(173) フライトプラン
【監督】ロベルト・シュベンケ
【出演】ジョディ・フォスター、ピーター・サースガード
【制作】2005年、アメリカ
ジョディ・フォスター主演のサスペンス。どんでん返しがなかなかよかった。
航空機の設計技師のカイル(ジョディ・フォスター)は、謎の転落死をとげた夫の棺と、娘のジュリアとともに、飛行機で故郷に帰ることとなった。機内に乗り込んだカイルが、娘とともに窓の外を見ると、夫の棺が貨物室に運び込まれようとしていた。窓に息を吹きかけ、ハートマークを指で書く、娘のジュリア。
近くの席には、なれなれしく話しかけてくる空港警察のジーン・カーソン(ピーター・サースガード)がいた。飛行機は離陸。カイルは短時間まどろんでしまい、ふと目を覚ますと、娘の姿が見当たらなくなっていることに気づく。周りの乗客に聞いても見た者がおらず、カイルはスタッフや機長に状況を訴える。機長は乗客を全員着席させて、機内を調べさせるが、密室空間であるにもかかわらず、娘は見つからない。そして機長から衝撃的な事実が告げられる。なんと、搭乗者名簿に娘の名前はない、あなたの娘は夫の道連れになって同時に亡くなった、つまり、あなたは一人で乗り込んだのだ、と言うのだ。機長はジーンに、カイルを見張るよう頼み、カイルは力なく席に戻る。近くに居合わせた心理カウンセラーにも、あなたはいやな記憶から逃げるために、ありもしないものをあると思ってしまうのだ、と言われ、次第に信じ込みそうになるカイル。
しかし何気なく窓の外を見たとき、そこには娘が指で描いたハートマークが、ガラスの曇りの中に浮かび上がっていた。カイルは、娘が実はいないという話などありえない、ということを確信する。
カイルはトイレに入ると、ジーンの目を盗み、天井裏に入り込み、娘を捜し始める。見つけたのは夫の棺。中には夫の遺体が横たわっていた。そこにジーンが登場し、彼女を客席へ促す。しかし、ジーンは再び棺に歩み寄ると、棺の天板をはがし、そこから爆破装置を取り出す。貨物室の下には、娘のジュリアが眠ったまま横たわっていた。そう、犯人はジーンだったのだ。彼は、客室乗務員の一人と共謀し、カイルを犯人に仕立てたハイジャックをもくろんでいた。ジーンは、機長に対して、カイルが飛行機に爆薬を仕掛け、お金をとある口座に振り込むよう要求している、と、嘘の情報を伝える。機長はそれを信じ、ジーンに言われたとおりの口座にお金を振り込んだ(ちょっとこのへんはご都合主義的な展開だが)。
緊急着陸した空港で、カイルらを後に降りようとするジーンだったが、ついにカイルに怪しいとにらまれ、機内に戻ることになる。カイルとジーンを除く全員が降りた機内で、カイルはジーンを消火器で殴り、昏倒させると、起爆装置を奪い取り、ついに娘を見つけ出すことに成功する。すべてを知られたジーンは、カイルを亡き者にしようと探し回るが、爆薬の仕掛けられた部屋に入り込んだ瞬間、カイルは扉を閉めてそこから脱出すると、起爆装置を作動させ、ジーンを葬る。
自分の子供の存在を、周りが否定するという展開は、「フォーガットン」とも似ている。乗客名簿に娘の名はない、というあたりでは、実は心理サスペンスだったのか、まさかフォーガットンなみのぶっ飛んだ展開はないだろうけど、なんて思ったりするのだが、きちんと筋の通った裏があり、謎が解けた、というカタルシスを得ることができる。後半のアクションシーンも、女性が格闘で男をやっつけたり、なんていうこともなく、逃げ回りながらも最後はしっかり復讐するという展開で、モヤモヤ感のない作品になっている。もっとも、何も本当に爆破しなくてもいいだろう、という気もしなくはない。
【5段階評価】4
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