(168) ミリオンダラー・ベイビー
【監督】クリント・イーストウッド
【出演】クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン
【制作】2004年、アメリカ
クリント・イーストウッド監督・主演の作品。女性ボクサーの育成が題材。第77回アカデミー賞作品賞受賞作品。
ボクシングを扱った作品としては、超有名な「ロッキー」シリーズのほか、「シンデレラマン」など、多数ある。しかし、本作は、単なるサクセス・ストーリーではなく、壮絶な悲劇が訪れる。
コーチのフランキー(クリント・イーストウッド)のもとに、女性ボクサーのマギー(ヒラリー・スワンク)が訪れる。女性を指導する気はないと断るフランキーだったが、マギーのひたむきな態度に負け、指導を開始する。めきめきと頭角を現すマギーだったが、ついに頂点に上り詰めようというとき、事件が起きる。マギーの戦い方に激高した対戦相手が、試合を止めている最中であるにもかかわらず、後ろからマギーに殴りかかったのだ。彼女は置いてあった椅子に倒れこみ、その衝撃で首の骨を折り、全身不随の状態になってしまう。
生きる希望を失った彼女は、舌を噛み切って死のうとする。彼女に付き添い、家族にも見放されるマギーの苦悩を目の当たりにするフランキーは、彼女の死の選択を助けるべきか悩む。相談した神父には「絶対に助けてはだめだ。助けたら君は終わる。永遠に自分を見失う」と言われる。しかし、フランキーの旧友のエディ(モーガン・フリーマン)は違った「人は毎日死ぬ。床掃除や皿洗いをしながら。そして最後に思う。『チャンスがなかった』。でもマギーは違った。やるべきことはやったのだ」と。そしてフランキーは決める。彼女の病室に向かい、人工呼吸器を外すと、アドレナリンの過剰投与を行い、病室を去る。
尊厳死の幇助という、普遍的なテーマに、クリント・イーストウッドなりの答えを示した作品とも言える。人工呼吸器を止め、脈拍がゼロになっても病室に医療スタッフが誰も来ないとか、突っ込みどころがなくはないが、なかなかの良作。
【5段階評価】4
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