(166) 博士の愛した数式
【監督】小泉堯史
【出演】寺尾聰、深津絵里、吉岡秀隆
【制作】2005年、日本
小川洋子原作小説の映画化。80分しか記憶の持続しない数学博士の物語。
雰囲気のいい映画。とある学校の数学教師(吉岡秀隆)が、最初の授業の自己紹介で、自分のあだ名がルート(√)であることと、その名付け親である博士の話を始める、という形で映画が進行する。
数字の一つ一つを「潔い」とか「チャーミング」と評し、その理由を語る博士の数字への愛情がほほえましい。序盤で一度だけ、思索の邪魔になった家政婦(深津絵里)に怒りの発言をするものの、その後は静かで穏やかなシーンが続く。
若干ものたりなく感じたのは、80分しか記憶が持たないというきわめて特徴的な症状が引き起こす不条理さがあまり見て取れないこと。博士が同じことを繰り返し尋ねるということを除けば、家政婦やその息子と大した支障もなくやりとりし、打ち解けているので、本当に何の記憶も蓄積されていないのだろうか、という気がしてしまった。
【5段階評価】4
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