(151) ダイアリー・オブ・ザ・デッド
【監督】ジョージ・A・ロメロ
【出演】ミシェル・モーガン、ショーン・ロバーツ、ジョシュ・クローズ、エイミー・ラロンド
【制作】2007年、アメリカ
これはテレビの録画ではなく、GyaOの無料動画で見た。ゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の作品。
死者がよみがえるという謎の現象が世界中で起き始める。人々はそれをマスメディアのニュースではなく、YouTubeのような個人の発信する画像で目の当たりにしていくのが、この映画の切り口になっている。
映画を専攻している学生たちが、指導教授とともに、とある深夜の山奥で、卒業制作の映画を撮影していた。しかし、死者がよみがえるというニュースを耳にした彼らは、車で家に戻ることにする。
しかし、とうとう彼ら自身、道ばたの車の衝突現場を通りかかったとき、黒こげになったゾンビの襲撃に遭い、ニュースが真実であることに気づき始める。そして逃げようとしたとき、車を運転していた女学生は、路上を徘徊しているゾンビを3人轢いてしまう。生きている人を殺してしまったと考えた女学生は、ショックで自殺を図ってしまう。彼女にまだ脈があると気づいた残りの学生たちは、彼女を病院へと連れて行く。
ところが、着いた病院はもぬけの殻だった。ようやく動く人影をベッドの近くに認めた彼らだったが、それはゾンビと化した医者と看護師だった。彼らの頭を撃ち抜き、退治する学生。そしてついに、自殺した女学生もゾンビとしてよみがえり始めた。彼女の頭を容赦なく撃ち抜いたのは、戦争経験のある教授だった。
その後も彼らの逃避行は続き、ついに女学生の家にたどり着く。しかし家族もすべてゾンビと化していた。彼女に飛びかかってきた弟の脳天を、弓矢で打ち抜く教授。
彼らは次に、撮影現場から一足先に家に戻っていた学生の家を目指すことにする。彼の家は豪邸で、住んでいた学生はやってきた彼らを歓迎する。しかし、悲劇はここでも起こっていた。彼の家族と彼と一緒に帰った女学生は、すでにゾンビとなっており、プールの底を徘徊していた。そして彼自身、腕をゾンビに噛まれていた。とうとう彼もゾンビ化してしまう。
なんとかその襲撃をかわした学生たちと教授だったが、仲間が一人二人とゾンビに殺されていく。残った者たちで避難部屋(パニックルーム)に閉じこもるが、外は多くのゾンビが徘徊する状態になっていた。その一方、生きている人間たちは、ゾンビ狩りを楽しむような映像をネット上にアップしたりもしはじめていた。果たして残酷なのはどちらなのか。人間を救う価値はあるのだろうか。生き残った学生が自問したところで映画は終わる。
ロメロ監督のゾンビは、「28日後...」の感染者のような素早い動きはしない。あくまで死体であり、ゆっくり動く。また、脳を撃ち抜くと動かなくなる。ゾンビ物の映画は、すでに何作も作られているが、何ともいえないやるせなさがあり、独特の雰囲気がある。本作も、ただゾンビに襲われて怖いというだけではなく、仲間や恋人、家族がゾンビとなり、そして、それにとどめを刺さざるをえないという悲劇に直面する人たちの心情をとらえている。ただのグロ映画ではない後味が残る。
【5段階評価】4
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