(45) バベル
【監督】アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
【出演】ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、菊地凛子、役所広司
【制作】2006年、アメリカ
菊地凛子がアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたことで日本では有名になった映画。バベルの故事にちなみ、言葉を理解し合えない人どうしの織りなす悲劇が国境を越えて展開する。
ドラマは、モロッコ、アメリカ(とメキシコの国境)、日本で起きる。
アメリカ人夫婦のリチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)は、険悪になった夫婦仲を癒すために、モロッコに旅行に来ていた。お互いの溝が埋まらないまま、バスでの移動中、突如、スーザンがライフルで撃たれる。近くに治療が可能な医療施設はなく、出血が止まらないスーザンは、ろくな施設のない僻地の村に連れ込まれる。そこにやってきた医者は獣医。獣医は止血のため、傷口を縫うと言っていると、通訳から聞かされるが、激しく拒絶するスーザン。
一方アメリカでは、メキシコから不法入国した女が、リチャードとスーザン夫妻のベビーシッターとして働いている。彼女は家族の結婚式のため、夫妻の子供二人を連れて、メキシコ入りする。しかし帰りの車で、飲酒運転がばれそうになった甥が国境の検問を突破し、しかも原野の中に女と子供を降ろして逃走してしまう。無人の原野で必死に助けを求め、ようやく通りがかった警察車両を呼び止めるが、不法入国者扱いされる。
モロッコでは、家畜を襲う獣の威嚇用にと銃を手に入れた現地の羊飼いの息子二人が、銃の腕を競おうと、通りかかった観光バスを狙い撃つ。まさか当たるまいと思って撃った弟の弾が、スーザンに当たったのだった。そして警察に追われた父と息子達は、いきなり警察に銃撃され、兄は銃で撃たれて死んでしまう(死後硬直したようなシーンがあったので死んでしまったように思える)。
そして日本。聾唖のチエコ(菊地凛子)が、歯医者にキスを迫ったり、その手を自分の股間に押し当てて誘惑したり、また別の場所では、パンティをはかずに股を広げて若い男に見せたり、最後には、家に父の話を聞きたいと言ってやってきた若い刑事を自宅に呼び出し、母はベランダから飛び降りて死んだと嘘を付き、その後、全裸になって刑事を誘惑する。
自分にとっては、この日本のエピソードだけが、何がなんだかよく分からない。チエコの思春期の不安定な心境と、聾唖でコミュニケーションが思い通りにいかないいらだちがそうさせるのか、というところではあるのだが。
でも映画全体を通して、何かしら不安をあおる音楽が共通して用いられ、何とも言えない後味の映画である。というわけで、久々に評価4にしてみた。
【5段階評価】4
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