(3028) ブルークリスマス
【監督】岡本喜八
【出演】勝野洋、竹下景子、仲代達矢、岡田英次、岡田裕介、小沢栄太郎、沖雅也、田中邦衛、大滝秀治、中条静夫、天本英世
【制作】1978年、日本
青い血を持つ者の出現に怯える人類の選択を描いたSF作品。タイトルからは想像のつかない異色作。
宇宙学者の兵藤光彦(岡田英次)が、UFOや宇宙人の存在を肯定する説を唱え、総スカンを食らうが、彼は何者かに拉致される。国営放送JBCの報道部員、南一矢(仲代達矢)は、大河ドラマの主演に抜擢された新人女優の高松夕子(新井晴美)と交際している芸能記者の木所(岡田裕介)から、夕子の血が青かったという話を聞かされる。南は一笑に付すが、世間ではUFOの目撃談や、青い血を持つ者の出現が噂されるようになる。南は、兵藤博士がアメリカにいるという噂の真相を確かめるため、ニューヨークで調査を進める。ようやく兵藤博士と対面できた南だったが、兵藤博士は何者かに拘束されてしまう。南は強制帰国させられ、上司(小沢栄太郎)から調査の中止を命じられる。パリ支局に飛ばされた南は、そこで兵藤博士を見かけるが、彼の頭にはロボトミー手術の跡があり、意志を奪われていた。
国防庁の職員、沖退介(勝野洋)は、特殊部隊に転属となり、青い血を持つ者を隔離する任務を負っていた。彼は理髪店に勤める西田冴子(竹下景子)と親しくなり、彼女の処女を奪うが、彼女の流した血は青かった。沖は彼女とともに田舎で暮らすことを決意する。しかし、沖には国防庁司令から、青い血を持つ者の抹殺を命じられる。沖の担当する対象敵性物は冴子だった。クリスマスイブの夜。家で沖を待つ冴子の前に沖が現れ、冴子は喜ぶが、沖は機関銃で冴子を銃撃。家を出ると、外で待ち構えた国防庁の陣営に銃を向けようとし、銃殺される。沖の流す赤い血に、冴子の青い血が流れ、混じり合うのだった。
人類の一部が青い血を持つようになるという、魅力的な設定を持ち込んでいるのだが、その設定を生かし切れておらず、有名俳優が続々と登場しているにもかかわらず、社会ドラマとしても、人間ドラマとしても、驚きや感動のない、消化不良な作品だった。国連を始めとする機関が、なぜ青い血の者は人間ではない恐怖の対象だという印象を人類に植え付けようとしているのか、よく分からないし、ヒトラーのユダヤ人虐殺にも重ねているようだったが、人類が過去の過ちを乗り越えて賢明な道を進んだわけでもなかった。南がパリで兵藤博士と偶然再会したり、沖の殺害対象が冴子だったり、ご都合主義なところもあった。公開当時25歳の竹下景子の可愛らしさは一見の価値あり。
【5段階評価】2
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