(3035) エディット・ピアフ 愛の讃歌
【監督】オリビエ・ダアン
【出演】マリオン・コティヤール、ジャン=ピエール・マルタンス、シルビー・テステュー、ジェラール・ドパルデュー、マルク・バルベ
【制作】2007年、フランス、イギリス、チェコ
シャンソン歌手の生涯を綴った伝記映画。シャンソン歌手、エディット・ピアフ(マリオン・コティヤール)の生涯を、時代を交錯させながら描いている。マリオン・コティヤールがアカデミー主演女優賞を受賞した。
晩年のエディット・ピアフは舞台で倒れるなど、健康を害していた。子どもの頃、幼いエディット(マノン・シュバリエ)は、大道芸人の父親(ジャン=ポール・ルーブ)に引き取られ、娼館に預けられて育つ。エディットは娼婦のティティーヌ(エマニュエル・セニエ)に、実の子のようにかわいがられるが、戦地から戻った父に引き取られる。一度は父親とサーカス団で暮らすが、父親がサーカス団を去り、大道芸人暮らしとなる。父親の大道芸の場つなぎにエディット(ポリーヌ・ビュルレ)が歌を歌うと、人々は拍手喝采。彼女の天性の素質が開花する。道ばたで歌を歌う20歳のエディットは、ナイトクラブのオーナー、ルイ・ルプレ(ジェラール・ドパルデュー)の目に止まり、クラブデビューを果たす。ルイ・ルプレはエディットに、雀を意味するピアフと名付ける。時の人となるエディットだったが、ルイ・ルプレが何者かに殺され、エディットは犯人扱いされる。作曲家のレイモン(マルク・バルベ)は落ち目のエディットを厳しく指導し、そのお陰でエディットは見事な復活を遂げる。
エディットはプロボクサーのマルセル(ジャン=ピエール・マルタンス)と恋に落ちる。マルセルは妻子持ちだったが、エディットはマルセルなしでは生きられないほど彼を愛する。マルセルは世界チャンピオンに上り詰めるが、飛行機事故に遭い、死亡。エディット自身も自動車事故を経験し、薬物依存度が増していく。死亡前夜、舞台で歌を披露することができず、ベッドに担ぎ込まれたエディットは、若い頃に産んだ娘マルセルを失った記憶を思い出す。後年、後悔などしないと歌う名曲に出会ったエディットは、体はボロボロになりながらも見事な歌唱を披露するのだった。
マリオン・コティヤールによる、40代にして老婆のようなエディット・ピアフの怪演が特徴的。受け狙いかのような細い眉毛の線と縮れ毛。歌はマリオン本人ではないだろうが、口パクとは思えない自然な演技だった。時代を交錯させながら描くのは、映画ではよくある手法。物語が分かりにくくなることがあるが、本作はそうでもなく、エディット・ピアフ本人への興味をかき立てるのに十分な内容だった。なんで突然ボクサーと恋に落ちるの、というのは、映画としては不思議だったが、伝記だからしかたがないのだった。
【5段階評価】3
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