映画・テレビ

2021年2月23日 (火)

(2331) カイジ ファイナルゲーム

【監督】佐藤東弥
【出演】藤原竜也、福士蒼汰、吉田鋼太郎、関水渚、新田真剣佑、伊武雅刀
【制作】2020年、日本

福本伸行の漫画「カイジ」の劇場版。「カイジ2~人生奪回ゲーム~」から9年ぶりの続編で、漫画にはないオリジナル脚本になっている。

市街地のどこかに設置された塔の上のカードを奪い合う「バベルの塔」に勝利したカイジ(藤原竜也)は、現金ではなく、その裏にある人生を変えられるカードを選択。彼は、余命わずかな富豪、東郷滋(伊武雅刀)から、預金凍結と新通貨発行の策略を阻止する計画に加わる。カイジはまず、法案廃案のための買収資金を確保するため、にっくき帝愛グループの幹部、黒崎(吉田鋼太郎)と資金力を競う「最後の審判」に挑む。黒崎は派遣社員だったカイジの元雇用者で、カイジらをただ同然でこき使う男。カイジは敵意をむき出しにするが、黒崎は東郷が用意した資金を次々と取り込み、優勢に勝負を進める。100億円近い差を付けられたカイジ側は、10分の1の確率で生き残れるバンジージャンプ、「ドリームジャンプ」に挑むことにし、協力者の桐野加奈子(関水渚)と東郷の秘書、廣瀬湊(新田真剣佑)とともに、ドリームジャンプの生き残り番号を見抜いて、手元に残していた10億円を10倍にし、ぎりぎりで勝利する。
カイジは、新通貨発行政策を進めていた官僚の高倉浩介(福士蒼汰)を相手取り、廃案を賭けてゴールドジャンケンに挑み、勝利するが、高倉は廃案の約束を反故にする。しかし、それを読んでいたカイジは、買収した印刷局を通じて、預金を新通貨に変換しようと裏工作していた総理大臣(金田明夫)らの資金を現行紙幣のままにし、新通貨への変換をできなくし、廃案を勝ち取る。仲間と喜ぶカイジだったが、手にするはずだった東郷からの報酬を、ドリームジャンプに協力した遠藤(天海祐希)に横取りされてしまい、また底辺の生活に戻るのだった。

1作目は面白かったのだが、本作はちょっと話にとってつけたようなご都合主義が鼻についた。カイジを善玉にするための、銀行預金を凍結して新通貨を発行するという敵側の法案が、まずあまりにも荒唐無稽で漫画的(いや漫画が原作なんですけども)。メインゲームの「最後の審判」も、限定ジャンケンや17歩のようなゲームとしての面白さはなく、制作側の都合でどうとでもなる資金量の勝負なので、「最後の問題は得点が一万点です」みたいなクイズゲームみたいなもんで、どんなに主人公が金額差を付けられても全然緊迫感がない。そうなると、10分の1の確率に10億円を賭けて100億円にするというのも、100億円足りない状況の予定調和感が鼻につき、これは僅差で勝つんだな、とだいたい先が見えてしまう。ご丁寧に「SHUFFLE・RESET」とラベルが貼られたレトロな「シャッフル切断スイッチ」や、コイン一枚の重みで動く超精密巨大天秤も、漫画のようなギミックだし(いや原作は漫画なんですけども)、カイジは好きな漫画ではあるが、本作の物語は今ひとつだった。

【5段階評価】3

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2021年2月22日 (月)

(2330) 犬鳴村

【監督】清水崇
【出演】三吉彩花、板東龍汰、高嶋政伸、高島礼子、古川毅、大谷凛香、宮野陽名、梅津陽、石橋蓮司
【制作】2020年、日本

ダムに沈んだ村の呪いを描いたホラー映画。

都市伝説を動画に収めようと、若い西田明菜(宮野陽名)が、森田悠真(板東龍汰)を連れて犬鳴隧道を抜ける。隧道を抜けた先に見つけた村で何か恐ろしい者に追われた明菜は、家に戻ってからも、「わんこがねえやにふたしちゃろ」という謎の童歌を口ずさみ、悠真の目の前で飛び降り自殺する。しかし死因はなぜか溺死だった。悠真の妹で病院勤めの森田奏(三吉彩花)は、怖い夢にうなされているという少年、遼太郎(笹本旭)を診察。遼太郎は今の母親(奥菜恵)とは別のママがいると話し、奏は近くにその存在を感じる。遼太郎の父親(須賀高匡)は、遼太郎は自分たちの子ではなく、妻が死産したため、同時期に出産して亡くなったシングルマザー(都合よすぎな設定だな)の子を養子にしたのだと奏に告げる。奏は、遼太郎の近くに現れる女性は、遼太郎の亡くなった母親だと感じる。
明菜を失った悠真は、友人を連れて犬鳴村をもう一度訪ねる。トンネルの入り口は、最初に訪れたときにはなかったコンクリートブロックで塞がれていたが、悠真はそれをよじ登って単身で中に入り、こっそり付いてきた弟の康太(梅津陽)とともに行方不明になる。警察とともに犬鳴トンネルの入り口に来た母親の綾乃(高島礼子)は半狂乱になり、制止する警官をひっかき、夫の晃(高嶋政伸)の腕に噛みつく。晃が何かを知っていると感づいた奏は彼を問い詰めるが、父は綾乃の血筋だとしか言わなかった。奏は祖父の中村隼人(石橋蓮司)を訪ねる。彼は、妻の耶英(やえ)(水木薫)が家の前に捨てられていた子だったことを話す。奏は祖母が犬鳴村出身ではないかと考え、犬鳴村を訪ねる。
奏は、自分の周囲に現れる謎の青年、成宮健司(古川毅)から、犬鳴村がかつて、電力会社のダム建設の犠牲となって水底に沈められたと聞かされていた。健司は沈む前の犬鳴村の時代に生きていた青年で、犬鳴トンネルに入った奏を村に導く。健司は、妻の摩耶(宮野陽名)が産んだ子どもを奏に託す。奏は村に幽閉されていた悠真と康太とともに逃げ出すが、摩耶は子どもを返してくれと泣き叫び、犬のような形相で追いかけてくる。悠真は健司とともに摩耶を引き留め、奏と康太はトンネルを抜け出す。その赤子こそ、奏の祖母、耶英だった。
悠真はダム湖で水死体となって発見されるが、彼の体には2体の古い遺体がしがみついていた。奏は病院勤めに戻り、遼太郎の退院を見送る。遼太郎の背後には本当のママの姿があり、遼太郎の目は犬の目のように怪しく変化する。奏もまた、犬のように黒目が拡大し、口元からは異様な犬歯が覗くのだった。

清水崇監督らしいホラー作品。怖さとおかしさは紙一重という彼の持ち味が随所に感じられ、水没する電話ボックスで溺死する悠真の友人たちを村人が取り囲むシーンや、死んだ友人らが奏の車を追いかけるシーン、奏の服に投影された犬鳴村の映像から村人が次々と出てくるシーンなんかは、怖いと思って観れば怖いが、一歩引いて撮影状況の様子を想像すると、なかなかシュールでコミカルでもあるのだった。

【5段階評価】3

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2021年2月14日 (日)

(2329) パプリカ

【監督】今敏
【出演】林原めぐみ(声)、大塚明夫(声)、古谷徹(声)、堀勝之祐(声)、江守徹(声)
【制作】2006年、日本

筒井康隆の小説が原作のアニメ作品。夢を共有する装置を巡る騒動を描いている。

刑事の粉川利美(大塚明夫)はパプリカ(林原めぐみ)という美女にサイコセラピーを受ける。美女の正体は千葉敦子(林原めぐみ、二役)で、幼なじみですさまじい肥満体の時田浩作(古谷徹)の開発したDCミニという、他人の夢を共有する装置を使ってサイコセラピーをしていた。二人の研究所長の島寅太郎(堀勝之祐)が、紛失したDCミニによって脳を乗っ取られ、冷蔵庫や人形がパレードをする奇天烈な夢に犯される。千葉は捜査を続け、時田の友人、氷室哲(阪口大助)を疑うが、黒幕は研究所の理事長、乾精次郎(江守徹)だった。現実と夢が交錯し、乾は巨大化して街を乗っ取ろうとするが、千葉から分離したパプリカは、赤子となって乾の夢を吸い取ると、乾をも自らの体に取り込み、消失する。粉川は高校時代の級友に抱いていた罪の意識を克服し、千葉は時田との結婚を決めるのだった。

夢の世界を映像化した独創性は買う。ただ、他人から「こんな夢を見たんだ」と興奮混じりに話されても共感できないのと同じで、現実と夢の境界があいまいになる話を理解するのは相当に困難。制作側が理解させる気があるか、そして観る側に理解しようとする気があるか。両方が成り立って理解の共有が成立しうるが、本作に関しては後者が存在しなかったため、映像のインパクトだけが印象に残る作品となった。

【5段階評価】2

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2021年2月13日 (土)

(2328) ライフ・イズ・ビューティフル

【監督】ロベルト・ベニーニ
【出演】ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジョ・カンタリーニ
【制作】1997年、イタリア

ドイツ軍によるユダヤ人迫害に遭ったイタリア人の家族の運命を描いた作品。

ユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は、偶然出会った小学校教師のドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)に一目惚れ。彼女と駆け落ちして夫婦となり、息子のジョズエ(ジョルジョ・カンタリーニ)を設ける。家族で楽しく暮らす三人だったが、軍によるユダヤ人弾圧が始まり、ある日、グイドはジョズエとともにユダヤ人収容所に送り込まれてしまう。ドーラも自ら収容所に入るが、男女は別々にされてしまう。グイドは収容所生活を不安がる息子に、これはゲームで、1,000点取れば戦車に乗って家に帰れると嘘をつく。収容所の子ども達はシャワーと称してガス室に送り込まれ、殺されてしまうが、シャワー嫌いのジョズエは運よく難を逃れ、隠れて宿舎で暮らし続ける。グイドは施設内の放送設備を使ってドーラに話しかけたりして、自分たちが生きていることを伝える。やがてドイツの敗戦が濃厚となり、収容所からドイツ軍が撤退を始める。グイドはジョズエを道路脇のボックスの中に隠れさせ、誰もいなくなるまで出るな、そうすれば一等になれると言い残してドーラを探しに行く。しかし、ドイツ兵に見つかってしまい、マシンガンを持ったドイツ兵に連れ戻される。ジョズエが隠れているボックスの前に来たグイドは、穴からこちらを見つめているジョズエに満面の笑みでウインクをすると、おどけた仕草で行進。それを見たジョズエは笑みを浮かべる。しかしドイツ兵はグイドはひとけのない建物の影に連れて行き、容赦なくマシンガンを響かせるのだった。
やがて収容所からドイツ兵の一団は去り、残されたユダヤ人たちもぞろぞろと施設から出て行く。一人になったジョズエがボックスから外に出ると、建物の影から戦車の走行音が聞こえてくる。ジョズエはご褒美だ、と喜ぶ。戦車に乗っている兵士は英語でジョズエに話しかけると、ジョズエを戦車の上に招く。グイドの言った通りのご褒美にご満悦のジョズエは、戦車の上から母親を見つけ、戦車から降ろしてもらう。ジョズエは母親に勝ったよ、と言って抱きつき、ドーラと喜びを分かち合うのだった。

序盤は底抜けに明るいグイドによる不条理喜劇のような展開が続き、正直さっぱり面白くないのだが、収容所に入れられてからはグイドの明るく振る舞う姿が痛々しく胸を打つ。グイドの振る舞いがどれだけ明るく、チャップリン映画のように喜劇的でも、ユダヤ人迫害の重苦しさをかき消すことは全くなく、この先に訪れるであろう悲劇が、どうかグイド一家には起こらないでほしいと観客は願うことになる。その思いもむなしく、多くのユダヤ人が助かったにもかかわらず、ジョズエを救い、ドーラを探そうと奔走したグイドは、全くもって理不尽な、必然性のない最期を迎える。そしてジョズエとドーラが無邪気に喜び合う輪の中にグイドがいないことが、そしてグイドが作品を通じて見せていた底抜けに明るい笑顔が、最後の最後、観客の胸に重く重く響く。これは、愛する息子を生かすために奮闘した、父親の物語だったのだ。これにはやられた。序盤のスラップスティックコメディも、この余韻のために必要だったのだ、と気づかされた。
グイド役で監督のロベルト・ベニーニは、本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞している。

【5段階評価】5

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2021年2月12日 (金)

(2327) Uボート

【監督】ウォルフガング・ペーターゼン
【出演】ユルゲン・プロホノフ、ヘルベルト・グレーネマイヤー、クラウス・ベンネマン、アーウィン・レダー
【制作】1981年、西ドイツ

第二次世界大戦におけるドイツ軍潜水艦、Uボートの死闘を描いた戦争映画。

Uボートの艦長(ユルゲン・プロホノフ)は、乗組員とともにUボートに乗艦。Uボートは敵駆逐艦の攻撃を避けながら、発見したタンカーを撃沈。しかし敵駆逐艦の執拗な爆雷攻撃を受ける。乗組員はソナー音と爆撃音に恐怖し、機関室のヨハン(アーウィン・レダー)は一時的に錯乱状態になる。
何とか駆逐艦を振り切ったUボートは、スペインに寄港。ジブラルタル海峡では敵戦闘機と駆逐艦の攻撃を受け、全速力で逃走しようとするが、海底に沈んでしまう。激しい浸水を必死で止め、15時間に及ぶ機器修理ののち、浮上に成功。何とか母港に戻るが、上官が歓迎しようとしたところで空襲に遭い、無事に戻った乗組員に多くの死者が出る。艦長は沈みゆくUボートを目にして、絶望のあまり倒れる。艦長と死闘をくぐり抜けてきた報道部のベルナー中尉(ヘルベルト・グレーネマイヤー)は、倒れた艦長の横にへたり込むのだった。

潜水艦という閉鎖的な空間で絶望的な戦いを強いられる兵士たちを写実的に描いている。戦局の描写はほとんどなく、Uボートに迫る局地的な戦いに焦点を当てているので、歴史の勉強にはならないだろう。
映像のほとんどは撮影カメラが通るのがやっとではないかというような狭い艦内。被弾や沈下、艦の再浮上など、Uボートに起きるできごとをほぼ全て、艦内の振動や轟音、メーターの針などを頼りに描いているが、臨場感は素晴らしく、俳優と撮影陣の苦労が偲ばれる。

【5段階評価】3

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2021年2月11日 (木)

(2326) 野獣教師

【監督】ロバート・マンデル
【出演】トム・ベレンジャー、アーニー・ハドソン、ダイアン・ベノーラ、マーク・アンソニー
【制作】1996年、アメリカ

代理教師として高校に赴任した傭兵が麻薬密売集団に挑むアクション作品。

高校教師のヘツコ(ダイアン・ベノーラ)は、不良の教え子ラーカス(マーク・アンソニー)を指導しようとするが逆恨みされ、ジョギング中にラーカスの仲間に襲われ、膝を負傷する。ヘツコの恋人で傭兵のジョナサン・シェイル(トム・ベレンジャー)は身分を偽り、代理教師として学校に赴任。不良生徒たちを更生させていく。ジェローム(シャロン・コーリー)もその一人だったが、ラーカスはただの不良ではなく、校長のローレイ(アーニー・ハドソン)が仕切る麻薬密売組織の一員で、シェイルに激しい憎悪をたぎらせていく。ラーカスはシェイルの正体を探るため、仲間とともにヘツコの家に押し入る。そこに、ラーカスとローレイの悪事をシェイルに伝えようと、ジェロームともう一人の女子高生が現れるが、ラーカスらに捕まってしまう。シェイルは配達員の姿でヘツコの家に現れ、ラーカスの仲間を射殺。ラーカスはジェロームが撃ち殺す。シェイルは仲間とともに麻薬倉庫と化している高校に向かい、多くの犠牲を出しながらもローレイの一団を壊滅させるのだった。

はじめは、傭兵が教師として不良生徒を立ち直らせるハートフルコメディかと思っていたが、中盤以降は高校を舞台にした単なる犯罪組織との大味なバトルアクション。悪役はなかなか主人公を撃たないし、主人公は撃たれても致命傷を負わないし、主人公アビリティ全開すぎて戦いに緊張感がない。
それにシェイルは、配達員を装ってヘツコの家に現れたり、仲間とともに高校でローレイを待ち伏せしたりと、いろいろな作戦を採りながら、毎回不利な立場に立たされ、貴重な仲間も失って絶体絶命のピンチに陥ってばかりで、作戦慣れした傭兵という頼もしさがない。人の命を記号のように扱うアクション映画の典型。舞台が高校である必然性も感じられず、期待外れな作品だったが、よく考えたら「野獣教師」というタイトルから、このB級感を予知すべきだったかもしれない。

【5段階評価】3

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2021年2月10日 (水)

(2325) 女帝 春日局

【監督】中島貞夫
【出演】十朱幸代、名取裕子、草笛光子、若山富三郎、鳥越マリ、長門裕之、金田賢一
【制作】1990年、日本

徳川家康の子を身ごもった春日局の生き様を描いた時代劇。

関ヶ原の戦いで西軍を裏切った大名、小早川秀秋(大木聡)は、家臣、稲葉正成(原田大二郎)を連れて徳川家康(若山富三郎)に寝返る。家康は戦で活躍した正成に、自分を頼れば十万石を与えようと称える。その後、秀明が自害し、正成は浪人の身に堕ちたため、正成の妻、おふく(十朱幸代)は、家康に夫を取り立ててもらうよう直訴するが、おふくの美貌を気に入った家康は、おふくを抱き、子をはらませる。おふくは堕落した正成を見限り、産まれて間もない家康の子を連れて、徳川秀忠(金田賢一)の家の乳母役に就く。秀忠は男児に恵まれず、第二代将軍となるために男児を求めていた。しかし、やっと産まれた男児が逆子で死産。秀忠の乳母、大姥局(おおうばのつぼね)(草笛光子)は、死産した子をおふくの赤子とすり替え、死産の事実を隠蔽。赤子は竹千代と名付けられ、おふくが乳母として育てる。その後、秀忠の妻お江与(えよ)(吉川十和子)が男児、国松を産んだため、お江与の乳母、民部卿(名取裕子)と大姥局は、国松を世継ぎにしようと考えるが、おふくは竹千代が世継ぎだと主張。大姥局は、竹千代を無理矢理取り上げるが、おふくの召使い、おつめ(鳥越マリ)は大姥局を刺し殺し、竹千代を連れて家康のもとに出向く。民部卿は、国松こそが嫡男だと家康に直訴して自害。家康は家光の屋敷に出向き、おふくに竹千代は自分の子かと詰め寄るが、おふくはそれは夢だと答え、家康は竹千代が正統な跡継ぎであると宣言する。竹千代はやがて家光と改名。おふくは春日局と呼ばれ、江戸で大きな権力を握ることになるのだった。

春日局の誕生秘話を、家光出生の謎とともに描き出した歴史ドラマ作品。史実に対して独自の解釈を入れているので、鵜呑みにすることはできないが、物語としてはよくできていた。序盤の十朱幸代のセミヌードシーンは、物語の展開上必要だったとしても、鳥越マリの全裸入浴シーンは完全な観客サービスだった。

【5段階評価】3

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2021年2月 9日 (火)

(2324) 男たちの挽歌II

【監督】ジョン・ウー
【出演】チョウ・ユンファ、ティ・ロン、レスリー・チャン、ディーン・セキ、シャン・クァン、エミリー・チュウ
【制作】1987年、香港

身内を殺された復讐戦に挑む男たちを描いたバイオレンスアクション。「男たちの挽歌」の続編。

紙幣偽造組織のボス、ルン(ディーン・セキ)の捜査のため、刑事のキット(レスリー・チャン)は彼の一人娘、ペギー(レジーナ・ケント)に接近。紙幣偽造から足を洗い、造船業に専念しようとしていたルンは、組織のナンバー2、コー(シャン・クァン)に裏切られ、ニューヨークに逃走。ペギーは殺されてしまう。ニューヨークでもマフィアに狙われ、仲間を殺されたルンは、精神に異常を来してしまう。かつてキットの兄、ホー(ティン・ロン)とともに戦い、命を落としたマーク(チョウ・ユンファ)の双子の弟ケン(チョウ・ユンファ、二役)は、ルンを立ち直らせて香港に渡り、キット、ホーと合流。協力してコーの紙幣偽造の証拠を掴もうとするが、キットはコーの配下の殺し屋に撃たれて致命傷を負い、出産直後の妻ジャッキー(エミリー・チュウ)から無事に子どもが産まれた報告を聞いた後、息を引き取る。
ホー、ルン、マーク、キン(ケネス・ツァン)は、コーの屋敷に乗り込み、大勢の敵を相手を弔い合戦を始め、死闘の末、コーを倒すのだった。

ジョン・ウー監督らしい派手な銃撃戦、爆破シーンの連続。相手のマシンガンの弾は当たらず自分の短銃は全弾命中、雑魚は一撃死だが自分はヒットポイント制でなかなか死なない、手榴弾持ちで雑魚キャラ一掃可能、などの主人公アビリティ全開の戦い。ペギーの死もキットの死も弔い合戦のためのアイコンで、敵は個性も人生観もない記号的存在で、物語に厚みがない。血糊と火薬でできた予想通りの大味な作品だった。

【5段階評価】3

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2021年2月 8日 (月)

(2323) 劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOME

【監督】安藤真裕
【出演】伊藤かな恵(声)、本田貴子(声)、竹内良太(声)、久保田民絵(声)、豊崎愛生(声)、小早川千明(声)
【制作】2012年、日本

テレビドラマ「花咲くいろは」の劇場版。旅館で働く少女と、その母親の少女時代を描く。

温泉旅館、喜翆荘(きっすいそう)の娘、皐月(本田貴子)は、東京に出て宿泊客だったカメラマンの松前綾人(竹内良太)と結婚。二人の間に産まれた女の子、緒花(伊藤かな恵)は、母親と離れて喜翆荘で仲居として修行する。同じく仲居として働く押水菜子(豊崎愛生)や和倉結名(戸松遥)たちと仕事に精を出しながら、旅館の従業員、助川電六(チョー)の業務日誌を通じて、母親の少女時代を垣間見、母親も悩みながら大人になっていったことを知るのだった。

少女時代の皐月(伊藤かな恵)と綾人との出会いや皐月が上京を決意するという過去の経緯と、現在を生きる緒花の旅館での経験という二つの時代の物語を交錯しながら描くという、少々凝った脚本になっている。それもあって、序盤は登場人物が次々と登場して、初見にはちょっと分かりづらいのだが、中盤からおおかたの人間関係が理解できるようになる。美少女が数多く登場するアニメで、入浴シーンが何度かあったりはするが、主題は家族であり、少女の心の成長と自立心に焦点を当てた作品だった。

【5段階評価】3

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2021年2月 7日 (日)

(2322) 孤狼の血

【監督】白石和彌
【出演】役所広司、松坂桃李、真木よう子、江口洋介、石橋蓮司、竹野内豊、滝藤賢一、ピエール瀧、伊吹吾郎
【制作】2018年、日本

広島の暴力団組織に立ち向かう刑事の奮闘を描いたサスペンス作品。柚月裕子の同名小説が原作。

広島大学出身の若手刑事、日岡秀一(松坂桃李)は、呉原東署の刑事、大上章吾(役所広司)と組むことになる。大上は暴力班捜査係でありながら、暴力団関係者から賄賂を受け取り、証拠を掴むためなら放火や家屋侵入などの強引な捜査をする男。日岡は実は、県警の監察官、嵯峨大輔(滝藤賢一)から、大上の内偵のために送り込まれていた。日岡は大上の彼の傍若無人な性格と捜査の仕方にあきれ、彼が暴力団の尾谷組と癒着しており、かつての暴力団抗争で、尾谷組に敵対する五十子会(いらこかい)の金村安則(黒石高大)が殺された事件の犯人だと確信する。
大上は、尾谷組に抗争を仕掛けようとする加古村組による、呉原金融社員、上早稲(うえさわ)二郎(駿河太郎)殺害の証拠を強引な捜査で探し、離島で遺体を発見。加古村組と尾谷組の抗争を防ごうとするが、大上の不正のネタを追う新聞記者(中村獅童)が署に現れ、署長の毛利(瀧川英次)は大上に自宅謹慎を言い渡す。尾谷組は大上の謹慎中に加古村組幹部を襲撃。大上は、加古村組の上部組織の五十子会の会長、五十子正平(石橋蓮司)と、尾谷組の一ノ瀬守孝(江口洋介)の双方に手打ちをするよう頼み込むがうまく行かず、大上は姿を消してしまう。日岡は、暴力団抗争を必死で制止しようとする大上に、いつしか畏敬の念を抱くようになっていた。
日岡は、クラブのママ高木里佳子(真木よう子)から、大上に託されたというスクラップブックを渡される。それは、警察上層部と暴力団との癒着の記録だった。大上はこれを盾に自分の身を守りながら、暴力団抗争を防ごうと奮闘していたのだった。里佳子は、大上に疑いがかかっている金村安則殺害の犯人は自分であり、身ごもっていた自分が刑務所送りにならないよう、大上がかばってくれたことを日岡に伝える。しかし大上は溺死体で発見される。胃からはブタの糞が検出された。日岡は、五十子組の息のかかった養豚場で、大上が使っていたライターを発見。大上が五十子組に拷問されて死んだと確信する。帰宅した日岡は、監察官への報告書に、いつの間にか大上が、辛辣だが心のこもった添削を入れていることに気づく。大上の大きな愛情を知り、日岡は嗚咽を漏らす。日岡は、一ノ瀬らを手引きしてパーティに出席中の五十子を殺害させると、一ノ瀬を裏切り、一ノ瀬を現行犯逮捕する。強引な方法で暴力団を一網打尽にした日岡は、大上のような刑事になることを決意するのだった。

傑作サスペンス小説を重厚な映画に仕上げた素晴らしい作品。オープニングでいきなりブタの排泄映像から、糞を口にねじ込み、指を切断するというリンチの過激映像。しかし、ただ過激なだけではなく、終盤の大上失踪の真相に関わる重要な伏線になっている。大上による暴力団幹部殺し、大上の日記の内容、といった大きな謎が物語の柱となり、やがて大上の刑事としての生き様が明らかになる。映像が本格的なだけではなく、サスペンスとして純粋によくできている。
俳優陣も豪華で、過激なシーンを交えながら、複数の暴力団の抗争や大上刑事の豪腕ぶりと壮絶な最期な最後が描かれ、見応えがある。次回作にも期待したい。
ちなみに、タイトルに「狼」の文字があり、役所広司演じる主人公の名は「大上」。「おおかみ」との掛詞だったのだろうか。

【5段階評価】5

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