映画・テレビ

2020年10月27日 (火)

(2218) ビー・バップ・ハイスクール

【監督】那須博之
【出演】仲村トオル、清水宏次朗、中山美穂、宮崎ますみ、地井武男、古川勉
【制作】1985年、日本

きうちかずひろの漫画、「ビー・バップ・ハイスクール」の実写化作品第1弾。けんかが得意な高校生2人のけんかと恋を描いた青春コメディ映画。

ダブリで愛徳高校2年生の仲村徹と加藤浩志(清水宏次朗)は、勝手に舎弟を名乗る兼子信雄(古川勉)や一年生の大前均太郞(鎌田伸一)らを従え、学生生活を送っていた。二人は同級生の泉今日子(中山美穂)に誕生会に呼ばれるが、全くなじめず、家業の酒蔵の酒を飲んで暴れてしまう。やけになった二人は他校との喧嘩に明け暮れ、戸塚水産高校の生徒と喧嘩。戸塚は卒業生の半数がヤクザになるという高校で、二人は戸塚のヘビ次(小沢仁志)とネコ次(木下秀樹)に目を付けられる。ヘビ次とネコ次はトオルとヒロシの居場所を聞くため、今日子を捕まえ、今日子を殴って髪の毛を切り落とす。今日子は親に転校させられてしまう。トオルとヒロシは戸塚高校に果たし状を叩き付け、仲間とともに工場跡地で戸塚高校と大乱闘。激しい戦いの末、ヘビ次とネコ次を倒す。今日子が忘れられない二人は花束を持って今日子の通う学校の門の前に現れ、二人で喧嘩を始める。それを見つけた今日子は嬉しそうに微笑むのだった。

不良高校生がわんさか出てくる映画で、高校生がたばこは吸うわ酒は飲むわなので、今となっては地上波放送は厳しいんだろうが、本作は東映チャンネルでの無料放送。今は亡き地井武男や阿藤海らが出演し、懐かしい作品。若い阿藤海の見た目と声質が、麒麟の田村に妙に似ていた。

【5段階評価】3

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2020年10月26日 (月)

(2217) オリエント急行殺人事件

【監督】ケネス・ブラナー
【出演】ケネス・ブラナー、ペネロペ・クルス、ジョニー・デップ、トム・ベイトマン、デイジー・リドリー、ジュディ・デンチ
【制作】2017年、アメリカ

オリエント急行の中で起きた殺人事件に名探偵が挑む推理劇。アガサ・クリスティの推理小説の映画化作品。

嘆きの壁で得意の推理を披露したエルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、オリエント急行に乗り込む。隣の個室のエドワード・ラチェット(ジョニー・デップ)は脅迫状を受け取っており、ポアロに警備を依頼するが、ポアロはラチェットが気に入らず、断る。翌日、ラチェットは個室内で死体となって発見される。胸には不揃いな複数の刺し傷があった。列車は雪崩の影響で脱線。ポアロは復旧を待ちながら捜査を開始する。
はじめはラチェットの秘書ヘクター・マックイーン(ジョシュ・ギャッド)が怪しまれたが、医師のアーバスノット(レスリー・オドム・Jr)が一緒にいたと彼のアリバイを証明。ポアロは、残された紙片の燃えかすをもとに、ラチェットがかつてアメリカで起きた少女誘拐殺人事件の犯人、カセッティであることを突き止める。ラチェットはアームストロング家の少女デイジーを誘拐して殺害。当時妊娠中だったデイジーの母親は死亡し、父親も自殺。犯人扱いされたメイドも自殺し、彼女を追い詰めたと世間に責められた担当検事も自殺していた。捜査を進めると、乗客のそれぞれが、何らかの形でアームストロング家にかかわっていることが判明していく。ポアロがその一人、デイジーの家庭教師だったメアリ・デブナム(デイジー・リドリー)に迫ると、彼女はついにラチェットへの殺意を表明する。すると突然、元狙撃兵の医師、アーバスノットがポアロに発砲し、ポアロは腕を負傷。アーバスノットは自分が真犯人だと宣言し、ポアロに襲いかかるが、駆けつけたポアロの友人ブーク(トム・ベイトマン)がポアロを助ける。
ポアロは、居並んだ乗客に対して二つの仮説を提示する。一つは、車掌になりすました何者かがラチェットを殺し、逃走を果たしたというもの。それはありえないとブークは否定する。もう一つは、ラチェットに恨みを持つ全員が犯人であるというものだった。全員が共謀し、ラチェットを抑えつけて一人一人がラチェットにナイフを突き立て殺害。互いのアリバイを証明し合う。それが事件の真相だった。ポアロは乗客に向かって、もし自分たちが罪人ではないと思うなら、自分を殺して口を封じろと言い、乗客の前に拳銃を置く。デイジーの祖母、ハバード夫人(ミシェル・ファイファー)は、自分だけが罪を背負うと叫び、銃を手に取り自らの喉元に向けて引き金を引くが、弾は入っていなかった。ポアロはそれを見て、静かに乗客に背を向け、立ち去る。
列車は復旧し、駅に到着。ポアロは、警察は一つ目の仮説を受け入れたと乗客に告げ、列車を降りる。彼は新たな殺人事件の解決のため、ナイル川に向かうのだった。

1974年の作品「オリエント急行殺人事件」に続く二度目の映画化作品。事件が起こってからのシーンは説明調になりがちだが、登場人物の感情を巧みに描いており、若い女性から老婆まで一人一人がラチェットに激しい怨みの一撃を食らわせる殺人現場の再現シーンは胸が震えた。家庭教師のメアリ・デブナムを演じたのは「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の主人公レイを演じたデイジー・リドリー。こんなに美人だったっけと思うほどの美女だった。
続編も絶対に観ようと思えるできばえで、評価5にしてもいいぐらいだったが、赤いガウンの意味やハバード夫人が背中を刺される狂言の意味が説明不足と感じたため、1点下げた。

【5段階評価】4

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2020年10月25日 (日)

(2216) トロールズ

【監督】マイク・ミッチェル
【出演】アナ・ケンドリック(声)、ジャスティン・ティンバーレイク(声)、ズーイー・デシャネル(声)
【制作】2016年、アメリカ

歌とダンスが好きな種族トロールの活躍を描いた3DCGアニメ作品。ドリームワークス・アニメーション制作。

歌とダンスとハグが大好きな種族トロールは、彼らを食べることが幸せと信じているベルゲン族に襲われ、離れた場所に移り住む。歌が大好きなポピー王女(アナ・ケンドリック)は、仲間とパーティを開き、花火を上げて盛り上がるが、ベルゲン族のシェフ(クリスティーン・バランスキー)に見つかり、ポピーの仲間が連れ去られてしまう。ポピーは歌うことをやめたブランチ(ジャスティン・ティンバーレイク)とともに仲間を助けるため、ベルゲンの町に向かう。シェフは、幼い頃にトロールを食べ損ねたベルゲンの若い王グリスル(クリストファー・ミンツ=プラッセ)に捕まえたトロールを捧げることにし、召使いのブリジット(ズーイー・デシャネル)にトロールを預ける。ブランチとともにベルゲンの町に忍び込んだポピーは、ブリジットがグリスルに片思いをしていることを知り、彼女がグリスルとデートできるように協力。グリスルはブリジットに一目惚れし、彼女をトロールフェスに招待する。ポピーは捕まったままのクリーク(ラッセル・ブランド)を助けようとするが、シェフに捕まり、村に残った一族も捕らえられ、鍋に入れられてしまう。落ち込むポピーを見て、仲間達も意気消沈。それを見たブランチは、封印していた歌を歌い、ポピーを励ます。ポピーは勇気をもらい、仲間も元気を取り戻す。すると、ブリジットが鍋の蓋を開け、ポピー達を逃がす。ブリジットが一人で責任を背負おうとするのを見たポピーは、仲間とともにブリジットのもとに戻り、大勢のベルゲン族に、幸せは自分の中にある、と説得。トロールの楽しい歌とダンスを見て、ベルゲン族も踊り出し、活気のなかったベルゲンの町は色とりどりに輝く。その姿を見たポピーの父親ペピー(ジェフリー・タンバー)は、ポピーを女王に任命。ポピーと町は幸せに包まれるのだった。

トロールと言えばRPGの世界では醜い緑色の大型モンスターだが、本作では髪の毛を自由に操るカラフルなこびとのような種族として描かれている。楽曲「True Colors」などが、「もはやこの歌を元に映画を作ったんじゃないの」と思うぐらいストーリーにドンピシャにハマっていて感動的。最後の大勢でのダンスシーンも胸が熱くなる。歌も本格的で心地よかった。

【5段階評価】4

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2020年10月24日 (土)

(2215) フィフス・ウェイブ

【監督】J・ブレイクソン
【出演】クロエ・グレース・モレッツ、アレックス・ロー、ニック・ロビンソン、ザカリー・アーサー、リーブ・シュレイバー
【制作】2016年、アメリカ

宇宙からの侵略者と戦う若者たちを描いたSF作品。

空の上に突如巨大な宇宙船が現れ、第1波として電子機器の破壊、第2波として地震と津波、第3波では鳥を媒介した致死性ウィルスにより、人類への攻撃が行われる。第4波でついに地球外生命体アザーズが地上に降り、人間の頭脳を支配。家族四人で暮らしていた女子高生のキャシー・サリバン(クロエ・グレース・モレッツ)は、医療従事者の母親(マギー・シフ)をウィルスで失い、父親のオリバー(ロン・リビングストン)、幼い弟のサム(ザカリー・アーサー)とともにキャンプ地で共同生活を送る。そこに突如、ボーシュ大佐(リーブ・シュレイバー)率いる米軍が現れ、子ども達をバスに乗せて連れ去り、大人は皆殺しにされる。バスに乗り遅れ、一人はぐれたキャシーは、サムの連れ去られた基地を目指すが、途中でアザーズに右脚を銃撃され、気を失う。
気がつくと、若い青年エバン・ウォーカー(アレックス・ロー)が彼女を介抱していた。キャシーはエバンを信用しきれず、単身で基地を目指すことにするが、エバンは彼女に同行。エバンの献身的な協力に、キャシーは感謝し、ある晩、エバンにキスをする。その夜、森の中で休息しているエバンにアザーズが持ち場に戻れと話しかけてくる。エバンはアザーズを倒すが、キャシーはエバンを信用できず、銃を向ける。エバンはアザーズと人間の中間的な存在だった。エバンは愛を信じていなかったが、キャシーに出会い、愛が存在することを確信したと告げる。キャシーはその言葉を信じることができず、付いてきたら撃つとエバンに言い残し、立ち去る。
キャシーの高校の同級生、ベン・パリッシュ(ニック・ロビンソン)は大勢の若者や子どもたちとともに基地に連れてこられる。彼は女性軍曹(マリア・ベロ)からアザーズを倒す兵士になるよう言われ、首に小さな探知機を埋め込まれる。集められた若者は軍隊教育を受け、ベンは小隊のリーダーとなる。そこにはキャシーの弟サムも配属されていた。ベンたちは第5波となるアザーズの猛攻に立ち向かうため、戦地に派遣される。彼らには、アザーズを緑色の光として感知する探索用スコープが配布される。ベンは幼いサムを戦地に送り込むことをためらい、サムを基地に残して戦地に向かう。戦地で緑色に光るアザーズと銃撃戦を繰り広げるベンたちだったが、敵に囲まれ、建物に逃げ込む。仲間の一人、リンガー(マイカ・モンロー)は軍を抜けると宣言して首の探知機を抜き取る。途端に彼女はスコープ越しにアザーズと認識される。トリックに気づいたベンは自分の探知機も抜き取る。ベンは、軍にいる大人達がアザーズであり、探知機のない普通の人間がスコープ越しに緑色に見えていること、アザーズは自分たちを投入して人間の生き残りを掃討しようとしていること、つまり自分たちこそが第5波、フィフス・ウェイブであることに気づく。ベンは、置いてきてしまったサムを連れ戻すために基地に戻る。同時に基地に潜入していたキャシーは、ベンと出会う。キャシーを追ってきたエバンの協力も得て、ベンとキャシーはサムを発見。基地を脱出した三人は、仲間と合流。キャシはみんなと食事を取りながら、希望を胸に生き続けることを誓うのだった。

普通の地球侵略SFのつもりで観ていると、キャンプ地でなぜか大人と子どもを分けるという軍の謎の行動が示される。面白くなってきたぞと思いきや、大人の兵士がいるのに子ども達を兵士として訓練し、大人達は全滅という必然性のない展開。次第に「あれ、これってもしかして子供向けのジュブナイル映画なのか」と気づく。そうなるともう、エバンズが人間とアザーズのどちらにもなれる存在だとか、愛に気づいてどうだとか、素人女子高生が女性兵士に素手で挑みかかって相手を殺すとか、全ての筋書きが予定調和で、青少年向けワクワク映画の範疇だった。アザーズの映像も、スコープ越しに緑色の画像でタコ星人みたいのが見えるだけという、テレビドラマの特撮レベルの造形。クロエ・グレース・モレッツをお目当てに観る分にはいいが、騙された感のあるB級SF映画だった。

【5段階評価】3

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2020年10月23日 (金)

(2214) 最後の1マイル~ハンセン病 果てなき旅路で~

【監督】浅野直広
【出演】笹川陽平、笹川陽一
【制作】2017年、日本

ハンセン病とその差別撲滅のために活動する日本財団会長を取り上げたドキュメンタリー映画。

日本財団会長の笹川陽平は、父親の笹川陽一同様、世界のハンセン病患者の救済に取り組んでいる。治療薬MDTの無償配布、啓蒙活動、回復者の心のケア、ローマ教皇庁への折衝など、様々な現場を飛び回っている様子が映像に捕らえられている。

ハンセン病、らい病、leprosyと呼ばれ、患者を指すleperはしばしば、世間から隔離・のけ者にされる者という一般的な意味さえ与えられている。最近まで治らない病気、ローマ法王すら根治不能な最悪の病気の例えに使っているほど、差別性が強い。本作を見ると、そのことがよく理解できる。陽平の父、笹川陽一が重度のハンセン病患者の女性を見て涙を流すシーンはぐっと来る。観ずに消そうかと一瞬思ったが、鑑賞してよかった。

【5段階評価】4

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2020年10月22日 (木)

(2213) 特捜部Q 檻の中の女

【監督】ミケル・ノルガード
【出演】ニコライ・リー・コス、ファレス・ファレス、ソニア・リクター、ミケル・ボー・フォルスゴー
【制作】2013年、デンマーク、ドイツ

未解決事件の真相を追う二人の刑事の活躍を描いたサスペンス作品。

強引な捜査をして仲間を失った殺人課の刑事カール(ニコライ・リー・コス)は、上司(ソーレン・ピルマーク)から未解決事件の整理作業をするために新設された「特捜部Q」に配属される。部署は要するに閑職で、たった一人、地下の部屋で仕事を始めるが、そこに別の刑事アサド(ファレス・ファレス)も配属される。彼は今までしてきたはんこ押し係よりましだ、と言って、未解決事件の資料を壁一面に張り出す。カールはあきれながらも、その中の一つ、フェリーから若手女性議員が飛び降り自殺した事件に興味を示す。死んだのはミレーデ・ルンゴー(ソニア・リクター)。彼女は、幼い頃に交通事故で両親を失ったことで解離性障害になった弟ウフェ(ミケル・ボー・フォルスゴー)とフェリーに乗り、自殺したとされていた。しかしカールは捜査資料から、自殺と判断するのは不自然だと考える。カールとアサドは、残された捜査資料をもとに、ウフェがフェリーの中でフード付きコートを着た正体不明の男に連れ去られ、ミレーデは弟を探していたのではないか、と推理する。
カールの推理通り、ミレーデは自殺したのではなかった。フェリーの中で弟を探していたところ、フードの男に背後から襲われ、加圧室の中に幽閉されて加圧された状態で1年以上も閉じ込められていたのだ。閉じ込めていたのはミレーデが会議の場で知り合い、一夜の関係を持った男(ピーター・プラウボー)だったが、ミレーデはなぜ彼に恨まれているのか、身に覚えがなかった。
アサドは療養施設にいて人との会話ができないウフェに辛抱強く付き合い、彼に会議出席者の写真を見せ、フェリーでウフェに関わった男を割り出す。参加者データから、男の名はダニエル・ヘイルであることが判明。捜査を進めると、ダニエル・ヘイルは湖で溺死しており、別の何者かが彼になりすまして会議に出席していたことが判明。二人はその男がミレーデに接近し、ダニエルを殺したと推理する。その男は、子どもの頃ダニエルと同じ孤児院にいたラセという男だった。
真相に近づこうとしたとき、与えられた任務の枠を超えすぎた捜査をする二人に、上司は停職を言い渡す。やる気を失うカールだったが、アサドは孤児院を突き止め、カールに報告。二人は孤児院に向かい、職員から、ラセは本名をラース・イェンセンと言い、子どもの頃に父親と妹を交通事故で失い、車椅子生活になった母親が酒浸りになってしまったため、孤児院に入ることになったと聞かされる。二人はラセの母親の家に向かう。
ラセが子どもの頃、父親の運転で家族でドライブをしていると、後ろから追い越してきた車がいた。車の後部座席に乗った少女は窓ガラス越しにラセにあかんべぇをすると、ふざけて運転する父親に目隠し。そのとき、対向車が目の前に現れ、衝突。ラセの車はそれに巻き込まれてしまい、一瞬で父親と妹を失ったのだった。ふざけていた少女の車も事故に巻き込まれたが、少女は無傷で、何の罪の意識もなく降る雪と戯れていた。ラセは大破した車の中で血を流しながらその少女を見るしかなかった。その少女こそ、幼いミレーデ・ルンゴーだったのだ。
カールとアサドは、ラセの母親の家にラセがいると見抜き、敷地の中を探す。二人が農作業小屋の中の怪しい部屋に入ろうと錠を壊そうとしたところに、ラセが現れる。彼は加圧室の加圧を抜き、ミレーデが気圧変化に対応できず死ぬ手はずを整えてから、二人の前に現れたのだ。二人は事情を聞くと言ってラセを車に乗せて走り出すが、停電でもないのに発電機を動かし続けていることを怪しみ、小屋に引き返す。その途端、ラセはカールとアサドに襲いかかり、小屋の方に走り去る。カールはラセを追って小屋に向かい、ついに加圧施設を発見。中には衰弱したミレーデがいた。カールは減圧レバーを戻してミレーデにがんばるよう声をかけるが、戻ってきたラセがカールの首を強烈に締め付ける。絞め殺されそうになったところに、足を負傷したアサドがたどり着き、ラセを殴り倒してカールを救う。
こうして事件は解決する。上司は二人の停職を解き、カールに殺人課に戻すと告げるが、カールは自分の裁量で未解決事件の捜査を続けると宣言。上司もそれを認める。カールはアサドに警察手帳を返すのだった。

序盤に謎が提示され、捜査の状況が丁寧に描かれ、少しずつ事件の真相が明らかになっていく。無邪気な子どものいたずらが、無実の第三者を巻き込んで互いの家族の運命を左右する大事故に発展し、それによって強烈な怨恨が生み出されるという過程を描いた場面は衝撃的。サスペンス作品として優れたできだった。
唯一、クライマックスでラセが無防備なカールの背後を襲ったときに首を絞めて殺そうとするというところは、ちょっと残念。本当に殺す気なら、刃物なり何なり、自分の家なんだからもっと確実な方法があったはず。まあ主人公が死ぬわけにはいかないので仕方ない。続編「特捜部Q キジ殺し」も面白かったし、今後が楽しみなシリーズ作品である。

【5段階評価】4

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2020年10月21日 (水)

(2212) 日々是好日

【監督】大森立嗣
【出演】黒木華、樹木希林、多部未華子、鶴見辰吾、郡山冬果、鶴田真由
【制作】2018年、日本

お茶を習い始めた女性の人生を描いた作品。森下典子のエッセイが原作。

大学生の典子(黒木華)は母親(郡山冬果)の勧めで従弟の美智子(多部未華子)とお茶を習うことにする。師匠の武田先生(樹木希林)の指導を受けながら、何が楽しいのかもよく分からないまま、典子はお茶の稽古を続ける。やがて美智子は結婚し、典子は就職も結婚もしないまま10年が経つ。裏切られた彼と別れ、一人暮らしを始め、新たな恋人ができる。一期一会の教えを武田先生から聞いたあと、典子は父親(鶴見辰吾)から近くに来たから寄ってもいいかという電話をもらうが、用事があると断る。父親はまた会えるからいいか、とあっさり了解するが、典子の週末の帰宅を待たず父親は倒れ、帰らぬ人となる。茶道を始めて24年が経ち、典子は武田先生から、お茶を教えてはどうかと勧められる。典子は新たな人生の始まりを感じるのだった。

茶道をテーマにした物静かな作品。号泣したり激昂したりするような演出はなく、終始、感情表現は抑え気味。黒木華らしい作品とも言える。タイトルとなった茶道の言葉は様々な読みがあるが本作は「にちにちこれこうじつ」と読む。繰り返し稽古することで茶道の形式美を体得していく。それをいいと思うか面倒と思うか。いいと思う人にとっては、茶道を始めるきっかけにもなりうる作品だろう。自分もお茶に呼ばれたことはあり、それなりの関心を持って作品を観たものの、この世界に足を踏み入れたいとは残念ながら思わなかった。俗物だが仕方ない。

【5段階評価】3

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2020年10月20日 (火)

(2211) ティアーズ・オブ・ザ・サン

【監督】アントワーン・フークア
【出演】ブルース・ウィリス、モニカ・ベルッチ、サミ・ロティビ、コール・ハウザー、イーモン・ウォーカー
【制作】2003年、アメリカ

ナイジェリアの内戦に巻き込まれたアメリカ人女性の救出に向かった米軍兵の運命を描いたアクション映画。

ナイジェリアではイスラム系フラニ族とキリスト教系イボ族の対立が激化。イボ族の支援をしている女性医師リーナ・ケンドリックス(モニカ・ベルッチ)を救うため、ウォーターズ大尉(ブルース・ウィリス)率いる部隊がナイジェリア入りする。ウォーターズはリーナを発見するが、彼女は患者を置いて逃げることはできない、と同行を拒否。ウォーターズは患者を連れて行くと嘘をついて歩ける患者とともにリーナをヘリとの合流地点に連れて行き、リーナだけを救出して現地人を置き去りにし、ヘリを離陸させる。リーナがいた教会の村人はナイジェリア軍により皆殺しにされていた。その無残な光景をヘリからリーナとともに見たウォーターズはヘリを引き換えさせ、ヘリに子どもや老人など12人を乗せ、残りの兵と現地人を連れて徒歩でカメルーンの国境を目指す。
ところが、彼らはナイジェリア軍の部隊に執拗に追跡される。怪しんだウォーターズが現地人を調べようとすると、一人の男が逃走。兵士の一人が銃撃し、捕らえると、男は発信器を持っていた。家族を人質に取られていると言い、アーサーを見張っていたと言い残す。アーサーとは、皆殺しにされたはずの大統領の息子(サミ・ロティビ)だった。ナイジェリア軍はイボ族の血を絶やすため、彼を追っていたのだった。ウォーターズはアーサーとリーナを救い出すため、仲間とともにカメルーンを目指す。しかしついにナイジェリア軍に追いつかれ、猛攻を受ける。仲間や現地人が次々と犠牲になる中、ようやく米軍の戦闘機が救援に現れ、ウォーターズは数人の仲間とともにリーナとアーサーの救出に成功する。現地人はリーナやウォーターズに感謝し、アーサーの生還を喜ぶ。ウォーターズはリーナに抱かれ、ヘリに乗り込むのだった。

扱っているテーマは重めだが、過激な映像を見所にした娯楽アクションの域を出ていなかった。ジャングルでの銃撃戦が中心だが、途中まで米軍兵は無敵状態。終盤にかけて話を盛り上げるように味方が死に始める。主人公は腕を切られたり銃弾を受けたりするが、リーナをかついで走ったり味方の負傷兵のところに匍匐前進で戻ったり、またにヒーローアビリティ全開。最後は爆弾に巻き込まれて重傷だったリーナは、救助されたとたんHPが完全に回復し、主人公を介抱する側になるというヒーローアビリティを発揮していた。それに、後半、ナイジェリア軍に襲われ、後退しながら逃走したのにカメルーン国境にたどり着くというのは、もともと進路を間違えていたのでしょうか。そしてナイジェリア軍もカメルーン国境に追い立ててしまったんでしょうか。んで、戦闘機の攻撃が無敵すぎ。戦闘機二機で、そんな簡単に歩兵部隊を壊滅できるもんかね。最初は救助ヘリは飛ばせないとかなんとか言っていたのに、そんなんだったら早く投入しとけ、という。こういう辺りがちゃんとしてないと、やっぱり盛り上がらない。ブルース・ウィリスは「アルマゲドン」ばりに最期、自らを犠牲にして味方を助けるのかと思ったらしっかり最後まで生き残ったのはちょっと意外だった。

【5段階評価】3

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2020年10月19日 (月)

(2210) ザ・ガンマン

【監督】ピエール・モレル
【出演】ショーン・ペン、ジャスミン・トリンカ、マーク・ライランス、ハビエル・バルデム
【制作】2015年、アメリカ、イギリス、スペイン、フランス

命を狙われた元スナイパーが、愛する女性と自分を守るために奮闘するバイオレンスアクション。

レアメタル採掘による富を巡って非人道的行為が横行するコンゴで、表向き警備任務に就いていたジム・テリア(ショーン・ペン)は、企業の指令により悪事にも手を染めていた。ある日、大臣暗殺計画の実行犯となったジムは、愛する女性アニー(ジャスミン・トリンカ)を残してコンゴを去る。8年が経ち、コンゴで人道的支援のNGOで働いていたジムは、突然、武装した複数の黒人に命を狙われる。返り討ちにするジムだったが、すぐに支援現場の人間を引き上げさせ、ロンドンに向かう。多国籍企業の重役となった共犯者コックス(マーク・ライランス)に心当たりを聞き、アニーの保護を頼んだフェリックス(ハビエル・バルデム)がバルセロナにいるという情報を得た聞くと、親友のスタンリー(レイ・ウィンストン)の心配をよそにバルセロナに向かう。バルセロナではアニーとフェリックスが夫婦となっていた。フェリックスはアニーとジムを再会させる。アニーはまだジムのことを思っており、彼の宿を訪ねて愛し合う。ジムはフェリックスとアニーの家に呼ばれるが、そこに暗殺集団が現れる。フェリックスは殺され、ジムはアニーを連れて脱出する。ジムとアニーはスタンリーの家に向かい、アニーを匿ってもらうと、スタンリーの情報をもとに、黒幕のコックスを追う。ジムはコックスに水族館に来るよう伝え、彼から話を聞き出そうとするが、コックスの手下に追われ、逃走。コックスはジムが落としてしまった手帳をもとにスタンリーの家をつきとめ、スタンリーを殺害。ジムは大臣暗殺計画の動画をネタにアニーを闘牛場で解放するようコックスに要求する。アニーを連れて闘牛場に現れたコックスは、手下にジムを始末させようとするが、ジムは3人の手下を葬り去る。隙を突いて逃げたアニーを追ってコックスは闘牛場の牛の出口に向かうが、ジムがアニーを上の階に引き上げ、コックスは走ってきた牛に襲われ、命を落とす。ジムはインターポールに逮捕されるが、刑期を終え、人道支援活動を続けるアニーの元に戻る。二人は強く抱き合うのだった。

ハードな映像が売りのアクション作品。主人公と敵の命の駆け引きは、あまり真剣味がなく、殺すならさっさと殺せばいいし、情報を得るならさっさと身動き取れなくすればいいのに、なんだかいろいろと脇が甘い。最後も大ボスが自ら銃を持って走って主人公に不用意に近づいて撃たれるというよくある展開。闘牛に殺されるという落ちは、オリジナリティというよりコミカルの一歩手前だった。

【5段階評価】3

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2020年10月18日 (日)

(2209) マダム・フローレンス! 夢見るふたり

【監督】スティーブン・フリアーズ
【出演】メリル・ストリープ、ヒュー・グラント、サイモン・ヘルバーク、レベッカ・ファーガソン、ニナ・アリアンダ
【制作】2016年、イギリス、フランス

カーネギーホールでコンサートを開いた音痴のソプラノ歌手と、それを支える夫との愛情を描いたコメディ。

エンターテイナーのシンクレア・ベイフィールド(ヒュー・グラント)は、フローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)を大事にしており、彼女の望みは何でも聞くようにしている。ソプラノ歌手として活躍したいフローレンスは、自分のお気に入りのピアノ伴奏者をオーディションで選び、コズメ・マクムーン(サイモン・ヘルバーク)が選ばれる。シンクレアはフローレンスの好き嫌いをコズメに伝え、破格の報酬を支払うことにする。
翌日、フローレンスは名指揮者のカルロ・エドワーズから歌のレッスンを受ける。カルロはまじめに指導するが、初めてレッスンに参加したコズメは、彼女のあまりの音痴ぶりに言葉が出ない。帰りのエレベータではこらえきれず大笑いをしてしまう。自分に才能があると信じ込むフローレンスはリサイタルをしたいと言い出す。カルロは見え見えの嘘をついて出席を拒否。コズメもシンクレアにやめるよう進言するが、シンクレアは半ば脅すようにコズメに伴奏させる。シンクレアは買収した記者とフローレンスの知人で観客を固めてリサイタルを実施。事情を知らない若い婦人のアグネス・スターク(ニナ・アリアンダ)はあまりのひどい歌に笑いが止まらず、夫とシンクレアに会場から追い出される。コンサート後、フローレンスは体調が悪化し、帰宅し、医師の診察を受ける。彼女は18歳の時、新婚初夜に遊び人だった夫に梅毒を移されていた。診察した医者が50年間も生きているのは信じられないと言ってシンクレアに理由を聞くと、彼は音楽が彼女を支えていると答える。医者はあなたの愛情もだ、と言って帰る。シンクレアは眠ったフローレンスを置いて打ち上げで盛り上がっている自宅に戻り、アグネスやコズメらと飲み明かす。
翌朝、彼女を絶賛する新聞記事に気をよくしたフローレンスは、シンクレアの家に現れ、コズメを連れて自分の歌をレコーディング。シンクレアが、フローレンスに内緒で同棲しているキャスリーン(レベッカ・ファーガソン)とゴルフに行っている間に、フローレンスは自分の曲をラジオ局に送り、カーネギーホールを予約して戦争で苦しんでいる帰還兵1,000人を招待してしまう。
コンサート当日。酔った帰還兵と有名人で埋まった会場を見て、フローレンスはナーバスになる。シンクレアが一生懸命なだめるが、そこにコズメが歩み寄り、「きっとうまく行きます」と勇気づける。感動したフローレンスは自分の遺書にコズメに遺産を残すと書き加え、会場入りする。コズメの伴奏でフローレンスが歌い始めるが、会場はフローレンスの歌声に爆笑。やめろ、警察を呼ぶぞ、と罵声が飛び交う。恐れおののき歌うのをやめてしまうフローレンスを見て、観客を恫喝したのは、最初のリサイタルで笑い転げていたアグネスだった。力の限り謳っているんだから応援しろ、と帰還兵にどなり、会場は総立ちでフローレンスを応援。勇気づけられたフローレンスは歌を再開する。買収に応じなかったニューヨーク・タイムズの記者は、あまりのひどさに席を立ち、会場を後にしてしまう。その後もフローレンスは歌い続け、コンサートは終了。フローレンスを連れ帰ったシンクレアは自分の家に戻らず、彼女の横で眠る。
翌朝、シンクレアは、酷評記事が書かれたニューヨーク・タイムズを買い占め、何とかフローレンスの目に付かないようにするが、彼女はゴミ箱からそれを取り出し、記事を読んでしまう。彼女はショックで倒れる。目を覚ますと、彼女の横にはシンクレアがいた。自分は嘲笑されたのかと疑うフローレンスに、シンクレアは、僕はそうじゃないと元気づけ、コズメも優しく見守る。フローレンスは目を閉じ、美しい歌声で観客を魅了し、コズメとシンクレアに挟まれてステージで喝采を浴びる情景に思いをはせるのだった。

歌唱力に定評のあるメリル・ストリープが、音痴の役を自らの声で演じているのが作品に現実味を与えている。カラオケが浸透し、音痴の人の歌い方を聞き慣れている時代だからこそ、音痴の人はこうなるよな、という音の外し方やすっとんきょうな高音の出し方が分かり、吹き替えでわざとひどい歌い方をしていると感じさせることなく、力の限り歌った結果、音痴になっているという歌声が表現されている。むしろ、ヒュー・グラント演じるシンクレアの献身ぶりの方が、なぜそこまで、と現実味を感じさせないほど。ピアニスト役のサイモン・ヘルバークも、ピアノが得意な俳優で、この臆病そうな青年が、次第にフローレンスに共感していく様子も感動的。ただ、実話に基づく作品だから仕方ないのかもしれないが、シンクレアが浮気をしているという設定は、作品のすがすがしさにはそぐわなかった。

【5段階評価】4

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