評価4の映画

2022年5月16日 (月)

(2385) グッドモーニング, ベトナム

【監督】バリー・レビンソン
【出演】ロビン・ウィリアムズ、フォレスト・ウィテカー、トゥング・タン・トラン、チンタラ・スカパタナ
【制作】1987年、アメリカ

ベトナム戦争下のベトナムに赴任したラジオDJの経験を描いた作品。

ベトナム戦争下のアメリカ軍に、ラジオDJとしてエイドリアン・クロンナウアー(ロビン・ウィリアムズ)が着任する。彼の型破りなDJはすぐに大人気となる。彼は町で見かけた美しい少女(チンタラ・スカパタナ)を一目で気に入り、彼女が通う英語学校の教師に無理やり就く。少女の弟トゥアン(トゥング・タン・トラン)は、姉に接近しようとするエイドリアンの間に割って入るが、エイドリアンはトゥアンと仲良くなり、やがてエイドリアンは、少女トリンの一族と一緒に映画を見に行く間柄になる。
ある日、エイドリアンがいつもの店で飲み物を飲んでいると、トゥアンが現れ、姉が会いたがっているとエイドリアンを誘い出す。直後、店はテロにより爆発。二人が死亡する大事故となるが、アメリカ軍は検閲により、事件の放送を禁止。自ら事件を目の当たりにしたエイドリアンは、ディカーソン上級曹長(J・T・ウォルシュ)の制止を無視して、非公式に爆破事件が起き、非公式に死者が出た、と放送でしゃべり出す。ディカーソンは放送機器の電源を落とさせ、彼を停職させる。エイドリアンはすっかりやる気を失うが、彼をDJに戻してほしいというリスナーの声が殺到。偶然、戦地に送り込まれる兵士たちに囲まれたエイドリアンは、自分が彼らに喜ばれていることを知り、DJに復帰する。ディカーソンは、ベトコンが支配する危険な地域に、その情報を隠してエイドリアンを向かわせる。エイドリアンとエディ・ガーリック上等兵(フォレスト・ウィテカー)の乗るジープは、ベトコンの攻撃で横転。何とかベトコンの追撃を振り切った二人は、山の中をさまよう。エイドリアンが英語の授業にやってこないことを心配したトゥアンは、彼が危険地帯に向かったことを知り、一人で車を走らせ、彼を救い出す。
戻ってきたエイドリアンに、ディカーソンは名誉除隊を言い渡す。トゥアンの正体は、爆弾テロもいとわないベトコンの一派だったのだ。いつもはエイドリアンをかばってくれるテイラー少将(ノーブル・ウィリンガム)も、このときばかりは彼を守ることができなかったが、エイドリアンを危険地に向かわせるという過剰で非道な対応をしたディカーソンに、彼はグアム左遷を言い渡す。
エイドリアンはトリンから、トゥアンの居場所を強引に聞き出すと、トゥアンに「友達だと信じていたのに、敵だと言われた」と叫ぶが、トゥアンは「敵って何さ。同胞を殺しに来てる。敵はあんたらのほうだ」と言い返し、立ち去る。エイドリアンは苦々しく思いながらも、その場を去るしかなかった。
ベトナムを離れる最後の日。エイドリアンは、仲良くなった英語教室の生徒たちと楽しくソフトボールに興じる。彼らに別れを告げていると、トリンが現れる。彼女は涙を浮かべながら、彼とは住む世界が違うことと、親切にしてくれたことへの感謝を口にする。エイドリアンはトリンと握手をして別れ、空港に向かう。エイドリアンの後任DJとなったガーリックは、彼から託された録音メッセージを放送に乗せるのだった。

ベトナムの混乱の中に、強引さと金の力で介入しようとするアメリカと、トリンに近づこうと金をばらまくエイドリアンの様子が重なる。トリンは結局最後まで、エイドリアンに感謝の言葉は述べつつも、彼を心から愛することはなく、距離は縮まらなかった。これもまた、ベトナム戦争の結果を象徴する。激しい戦闘シーンはないが、戦争の虚しさを感じさせる戦争映画。公開当時22歳のチンタラ・スカパタナの清楚で魅力的な演技も見どころ。

【5段階評価】4

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2022年3月12日 (土)

(2378) コンフィデンスマンJPプリンセス編

【監督】田中亮
【出演】長澤まさみ、東出昌大、小日向文世、関水渚、柴田恭兵、江口洋介、北大路欣也、ビビアン・スー
【制作】2020年、日本

テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版第2作。「コンフィデンスマンJP ロマンス編」の続編。大富豪の遺産相続を狙う詐欺師の奮闘を描いたコミカルサスペンス。

アジアの大富豪、レイモンド・フウ(北大路欣也)が亡くなり、執事のトニー・ティン(柴田恭兵)は、長女のブリジット(ビビアン・スー)、長男のクリストファー(古川雄大)、次男のアンドリュー(白濱亜嵐)の前で遺書を読み上げる。そこには三人の兄弟を差し置いて、隠し子である末っ子ミシェルに財産を譲ると書かれていた。
詐欺師のダー子(長澤まさみ)は、みなし児のコックリ(関水渚)をミシェルに仕立て上げ、自分が母親を演じて、手切れ金を手に入れる詐欺を計画。仲間のボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)とともにフウ一族に入り込む。引っ込み思案でうなずくことしかできないことから呼び名がついたコックリだったが、ダー子の作戦が奏功し、コックリは疑り深いトニーの目を欺いてミシェルと認められる。コックリはフウ一族当主としての英才教育を受けることになり、これまでろくな勉強をできなかったコックリは熱心に勉強に励む。遺産相続から外されたブリジットやクリストファーは、ダー子やコックリを敵視し、敵愾心を燃やすダー子は、手切れ金目当てから一転、遺産相続の道を選ぶことにする。コックリは市街でぶつかった老人に優しくしたり、自分を敵視する三兄弟にも素直に接したりし、次男のアンドリューはコックリ扮するミシェルに好感を持つ。
ブリジットらはマフィアの赤星栄介(江口洋介)に、当主襲名式典でのミシェル殺害を依頼。ミシェルがスピーチを見事に終え、ナイフ投げ曲芸師の魔の手が伸びようとしたとき、爆弾を体にまとった男が乱入し、アンドリューを人質にとる。男はフウ一族により家族を奪われたことを恨んでいた男で、フウ一族ともども自爆することをもくろんでいた。ダー子はコックリを連れて逃げようとするが、コックリは男に歩み寄る。その男は、コックリが町でぶつかった老人だった。コックリは老人の不幸な境遇を聞き、彼がぶつかった際に落とした人形を手渡すと、彼を抱いて涙する。男は警察に連行され、アンドリューはコックリに礼をする。
トニーはその様子を見ていた。彼は別の筋から、コックリが本物のミシェルではないという情報を得ており、真の母親から、実はミシェルは流産していて生まれていないという話を聞いていた。しかし、コックリ扮するミシェルこそ、フウ家を継ぐにふさわしい人物だと考え、フウ家存続のため、レイモンドが真の母親に宛てた手紙の宛名部分を切り取り、コックリを当主として受け入れる。
赤星にはダー子に騙された過去があり、ダー子がフウ家の玉璽を狙っていることを知り、彼女が式典で玉璽をすり替えたことを見抜いて彼女から玉璽を奪い取ろうとする。ダー子とともにいたボクちゃんやリチャードは抵抗するが、赤星の雇ったナイフ曲芸師に放ったナイフにより命を落とす。赤星は好敵手の死を悲しみながらもその場を後にする。しかし、これはすべてダー子の作戦だった。ナイフ曲芸師はダー子の手の内の者にすり替わっており、ナイフはプロテクターによって防御されていた。赤星の奪った玉璽も偽物だった。ダー子は玉璽や遺産を狙うのをやめ、フウ家の当主としての資質を備えたコックリをフウ家に残し、立ち去る道を選んだのだった。実はトニーがつかんだ真の母親の情報もダー子の仕込みであり、真の母親を演じたのは仕事仲間のスタア(竹内結子)。ボクちゃんはダー子の一か八かの作戦にあきれながらも、真のミシェルの存在を心配する。しかし、実は真のミシェルは存在しないのだった。かつて仲間と香港を訪れたダー子は、自分の店の後継者の不在に悩む飲食店の店主に「後継者に遺産を相続すると嘘をついて、そこに群がる詐欺師の中から優秀な者を選べば、実の子供を探すよりいい」と発言。酔っぱらいの思い付きに過ぎなかったが、たまたまそれを横の席で聞いていたのが、ほかならぬレイモンドだった。彼は自分の子供たちに事業を継がせるのではなく、フウ家を欺くほどの力のある詐欺師に事業を譲ろうと考えていたのだった。ダー子は、そんなことを知る由もなく、し損ねていたシンガポール観光を満喫するのだった。

コメディタッチだが、感動的なシーンもあり、充実した作品だった。当然、ダー子たちが殺されるシーンでは、どうせナイフ使いは身内なんでしょ、という目で観ることにはなるわけだが、実の母親すら序盤に登場したスタアが演じていたとか、ミシェル探し自体が詐欺だったとか、想像を超える展開もきちんと入っていて、伏線をしっかりと回収した推理小説のような、すっきりとした鑑後感(読後感を踏まえた造語)が味わえた。しかし、よく考えてみると、レイモンドの遺書が本物であれば、やはりミシェルはいたかもしれないわけで、そこは回収できていないとも言える。
一方で、三浦春馬や竹内結子など、自殺を遂げてしまった有名俳優が出演していたり、不倫騒動を起こした東出昌大が真面目キャラを演じていたり、観ていて複雑な気持ちになってしまうところもあった。

【5段階評価】4

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2022年3月 6日 (日)

(2377) レッド・ドラゴン

【監督】ブレット・ラトナー
【出演】アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、エミリー・ワトソン
【制作】2002年、アメリカ、ドイツ

猟奇殺人犯を追う元FBI捜査官の死闘を描いた作品。「ハンニバル」の続編だが、話としては「羊たちの沈黙」の前日譚である。

医学者でありながら人肉を食らう猟奇殺人者でもあるハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)を逮捕したFBI捜査官のウィル・グレアム(エドワード・ノートン)は、退職して妻と一人息子と静かに暮らしていた。そこに、FBI捜査官のクロフォード(ハーベイ・カイテル)が現れ、二つの家族が惨殺された連続殺人事件の犯人捜しへの協力をグレアムに求める。ウィルは妻のモリー(メアリー=ルイーズ・パーカー)の反対を押し切り、協力を決断。殺人犯の行動心理を追うため、無期懲役で収監されているレクターに面会し、彼の助言を得ながら犯人像に迫っていく。
殺人鬼は映像技師のフランシス・ダラハイド(レイフ・ファインズ)。彼は幼少の頃、祖母に虐待された過去を持ち、顔には口唇裂の手術痕と見られる傷を抱えていた。ダラハイドは、変身の象徴となるレッド・ドラゴンの入れ墨を背中に入れ、自信の持てない自分からの脱皮を図ろうとしているようであった。レクターは、自分宛に手紙を出してきたダラハイドにウィルの住所を教え、次の標的とするよう操る。レクターがダラハイドに送っている暗号を解読したFBIは、グレアムの家族を避難させる。ダラハイドは、盲目の女性リーバ(エミリー・ワトソン)と親密な関係を築き始めるが、一方で彼女を殺害しようという別人格との戦いに悩まされる。狂気が進行したダラハイドは、リーバを拉致して自室に連れ込み、部屋に火を放つと、彼女の目の前でショットガンを放つ。相手の顔が吹き飛んでいるのを手探りで察知したリーバは、火の海から逃げ出す。ウィルとクロフォードは現場に駆けつけるが、ダラハイドの屋敷は猛火に包まれ、大爆発を起こす。
ダラハイドが自殺し、ウィルは家族と自宅に戻るが、屋敷の焼死体はダラハイドではなく、彼の同僚だった。ダラハイドは殺害した同僚の顔をショットガンで吹き飛ばして自分が死んだとリーバに思わせ、屋敷から脱出。ウィル一家を皆殺しにしようとしていたのだ。ダラハイドはウィルの息子ジョシュ(タイラー・パトリック・ジョーンズ)を人質に取るが、ウィルは咄嗟に、ダラハイドが祖母に浴びせられていたような罵声を息子にあびせる。それを聞いたダラハイドは激昂してウィルに飛びかかる。ウィルは隠し持っていたナイフをダラハイドの脚に突き立て、息子を連れて別室に逃げ込む。ダラハイドは部屋のドアに突進してくるが、やがて気配を消す。そこに、異変に気づいてモリーがやってくる。ドアと床の隙間から、歩み寄るモリーの背後にダラハイドが現れたことを確認したウィルは、モリーに伏せるよう叫び、ダラハイドを銃撃。互いに撃ち合いになり、二人とも銃弾を受けて倒れるが、ウィルはモリーにダラハイドを撃つよう指示。モリーは必死でダラハイドにとどめを刺し、グレアム一家にようやく平穏が訪れる。
レクターの担当医、フレデリック・チルトン博士(アンソニー・ヒールド)は、一人の美人捜査官が面会に現れたことをレクターに告げる。レクターはチルトンに女性の名前を聞くのだった。

ハンニバル」の続編だと思って観ていたら、レクターの両手が健在なので、あれっと不思議になり、やがて、これはクラリスに会う前の話なのか、と気づく。「羊たちの沈黙」同様、迫力ある猟奇的な雰囲気を漂わせながら、捜査の手がダラハイドに伸びる展開に息をのむ。自殺したと思われたダラハイドが生きていたというミスリードも巧みで、自分もまんまと騙された。ダラハイドが捕らえたジョシュを傷一つつけずに人質に取っているというのは、ややお約束の流れではあったが。ラストシーンでは、クラリスがレクターを訪ねてきた場面を描き、「羊たちの沈黙」ファンをにやっとさせる。
「土曜洋画劇場」はエンドロールまでしっかり放送するので、好きな番組だ。

【5段階評価】4

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2022年3月 3日 (木)

(2374) ベイビー・ドライバー

【監督】エドガー・ライト
【出演】アンセル・エルゴート、リリー・ジェームズ、ケビン・スペイシー、ジェイミー・フォックス
【制作】2017年、イギリス、アメリカ

強盗犯を逃がす仕事をするドライバーの運命を描いたバイオレンスアクション映画。

凄腕ドライバーの通称ベイビー(アンセル・エルゴート)は、3人組の銀行強盗を車に乗せ、華麗な運転テクニックでパトカーの追跡をかわし、強盗犯の逃走を成功させる。彼は幼い頃、母親が運転中に父親と口論してよそ見をしたために前の車両に激突するという事故で両親を亡くしており、そのトラウマからイヤホンで音楽を聴き続けないといられない体になっていた。里親のジョー(CJ・ジョーンズ)と暮らすベイビーは、本来は優しい青年だったが、強盗犯罪のフィクサー、ドク(ケビン・スペイシー)に借金を背負わされ、強引に犯罪に加担させられていた。
ベイビーはある日、行きつけのカフェでウェイトレスのデボラ(リリー・ジェームズ)と出会い、二人は惹かれ合うようになる。強盗の手助けの仕事から足を洗いたいベイビーだったが、ドクはデボラやジョーへの危害をほのめかして彼を脅し、郵便局強盗の計画に巻き込む。強盗の実行役の一人、バッツ(ジェイミー・フォックス)は、ガムの代金を踏み倒すだけのために店員を撃ち殺すような残虐な男で、寡黙で愛想のないベイビーを信用せず、彼の家を襲撃してジョーに危害を加えるなどの暴挙に出る。郵便局強盗実行の日、ベイビーはついに反乱を起こす。彼は強盗を追えた3人を車に乗せると、車を急発進させて鉄筋の束を積んだ前の車に激突。鉄筋は助手席のバッツを貫き、バッツは絶命。後部座席のバディ(ジョン・ハム)とダーリン(エイザ・ゴンザレス)は慌てて車を降り、ベイビーをなじりながらも逃走するが、ダーリンは警察の銃撃により死亡する。ダーリンを愛していたバディはベイビーを激しく恨み、デボラの店で待ち伏せしてベイビーと対峙する。ベイビーは隙を突いてバディを銃で撃つと、デボラを連れて逃走。ドクに電話で助けを求める。ドクはベイビーを逃がしてやろうとするが、そこにパトカーに乗ったバディが現れ、ドクをひき殺すと、車で逃げようとするベイビーを捕らえる。バディはベイビーの耳元で銃をぶっ放して彼の自由を奪うと、復讐のため、ベイビーの愛するデボラを殺そうとするが、デボラはバディに反撃。落ちた銃を拾ったベイビーがバディの脚を撃ち、バディは建物から落下して死亡する。
ベイビーは警察に逮捕され、裁判で懲役25年の有罪となるが、彼が凶悪犯ではないという複数の証言により、5年での仮釈放が認められる。ベイビーは刑務所の外で待つデボラと再会し、口づけを交わすのだった。

ベイビーがiPODで聞く音楽に乗って車を駆るシーンは洗練された映像で見応えがある。ただ、ステレオタイプな悪者のバッツや、なかなか死なないタフな犯罪者の割に素人のデボラに手こずるバディ、盲目的に主人公を愛するデボラなど、物語としてはご都合主義も目立った。リリー・ジェームズ、エイザ・ゴンザレスという同世代の両名が、美しさの絶頂とも言える20代後半に共演しており、二人の目を見張る美しさだけでも一見の価値がある。

【5段階評価】4

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2022年3月 2日 (水)

(2373) 劇場版おいしい給食 Final Battle

【監督】綾部真弥
【出演】市原隼人、武田玲奈、水野勝、佐藤大志
【制作】2020年、日本

テレビドラマ「おいしい給食」の映画化作品。給食を愛する教師と生徒が巻き起こす騒動を描いたコメディ。

食育を教育方針に掲げる常節中学の教師、甘利田幸男(市原隼人)は大の給食好き。彼は担任を受け持つ1年1組の生徒、神野ゴウ(佐藤大志)を勝手にライバル視し、どちらがよりおいしく給食を食べられるか競っていた。神野は1年生としては異例の生徒会長に立候補。生徒の提案を給食に反映するという給食改革を公約に掲げる。ところが常節市の方針により、常節中学の給食が廃止されることが決定。神野はショックを受け、立ち会い演説は中断となってしまう。甘利田は神野を放送室に連れて行き、神野の思いを述べさせる。神野は自分が給食を好きであること、好きな理由はみんなと同じ物を食べることで思いを共有できるからだ、と語り、多くの生徒や先生の感動を呼ぶ。
これを機に、市の教育委員会には給食廃止に反対する陳情書が殺到。教育委員会の鏑木優(直江喜一)は甘利田のしわざだと常節中学に怒鳴り込み、甘利田の転勤を言い渡す。
甘利田は常節中学を去ることになり、御園と生徒たちに拍手で感謝の意を伝えられた甘利田は涙する。甘利田の常節中学最後の日。給食が隔日となり、弁当持参となったその日、甘利田は神野にカップ麺をおごり、校庭で二人並んでそれをすするのだった。

素朴な給食を最大の賛辞でほめちぎり、満喫する甘利田の喜びは、「テルマエ・ロマエ」で日本文化に感動するルシウスに通じる物があった。完食後の余韻に浸る甘利田が、神野の独創的な給食の食べ方に驚愕し、ライバル心をたぎらせるという作品前半は、市原隼人の渾身の演技によるコメディが楽しい。そして後半にどっと感動が押し寄せる。給食でここまで泣けるのか、と作品の力に驚いた。「ROOKIES 卒業」の安仁屋恵壹(あにやけいいち)に匹敵する市原隼人のはまり役かもしれない。

【5段階評価】4

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2022年3月 1日 (火)

(2372) 君の膵臓をたべたい

【監督】牛島新一郎
【出演】高杉真宙(声)、Lynn(声)、藤井ゆきよ(声)、内田雄馬(声)
【制作】2018年、日本

住野よるの原作小説のアニメ映画化作品。

読書が好きな高校生の志賀春樹(高杉真宙)は、病院で置き忘れられた一冊の本を発見。それは同級生の山内桜良(Lynn)の「共病日記」。彼女は膵臓の病気を患っているのだった。桜良は、他人との関係を持とうとしない春樹を強引に誘い、ともに過ごすようになる。桜良の親友の恭子(藤ゆきよ)は、暗い性格の春樹をよく思わなかったが、桜良はそんなことはおかまいなしに、春樹と止まりの旅行に出かけ、思い出を重ねていく。
桜良は検査のため入院し、その期間が延長したため、春樹は桜良を本気で心配するが、桜良はその後、退院。桜良と会う約束を↓春樹は喫茶店で桜良を待つが、彼女はやって来なかった。春樹が諦めて帰宅すると、テレビのニュースで、桜良が通り魔に刺し殺された事件が流れる。
10日たち、春樹は桜良の家を訪ね、桜良の母親(和久井映見)に桜良の共病日記を見せてほしいと告げる。そこには、自分の存在を大事に思ってくれた春樹への感謝の言葉が綴られていた。春樹は母親の前で号泣する。
春樹は、自分を毛嫌いしていた恭子を呼び、共病日記を手渡す。それを呼んだ恭子は号泣し、黙っていた春樹を責める。立ち去る恭子に、春樹は自分を許してほしい、そしていつか友達になってほしいと自分の意思を伝える。1年後。春樹は恭子とともに桜良の墓参りをし、ともに桜良の家に向かうのだった。

主要な展開は実写版と同じだが、実写版ではあった、大人になった春樹と恭子のくだりはない。実写版でも書いたように、半分は「何このエロゲ」なんだが、後半の日記のくだりは泣けた。主役2名の声がキャラクターによく合っていた。

【5段階評価】4

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2022年2月28日 (月)

(2371) 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

【監督】石黒昇、河森正治
【出演】長谷有洋(声)、飯島真里(声)、土井美加(声)、神谷明(声)
【制作】1984年、日本

テレビアニメ「超時空要塞マクロス」の劇場版。宇宙戦争に巻き込まれる人類の戦いを描いたアニメ作品。

荒廃した地球を離れた超時空要塞マクロスのパイロット、一条輝(ひかる)(長谷有洋)は、マクロス艦内で宇宙人ゼントラーディ軍の攻撃に巻き込まれたアイドル歌手、リン・ミンメイ(飯島真里)を救助。エンジン区画に墜落した二人は時間をともに過ごすうち、好意を寄せ合うようになる。多忙なアイドル生活に疲れたリンは輝と会い、輝は戦闘機バルキリーでリンを土星に連れて行くが、捜索に来た早瀬未沙(土井美加)らとともにゼントラーディ軍に捕らえられてしまう。ゼントラーディは遺伝子技術により男性だけで生きている種族で、同じく女性だけで生きているメルトランディ軍と長らく交戦状態にあった。ゼントラーディ軍の司令官ブリタイ・グリダニク(蟹江栄司)らは、男女が共存する地球人の文化に関心を持つ。メルトランディ軍の攻撃の隙に未沙とともにバルキリーで脱出した輝は、誰もいなくなった地球に不時着。二人は海上にある塔を発見。それは古代民族の残した都市宇宙船だった。地球人は、戦闘を逃れて地球にやってきた古代の巨人の遺伝子操作により誕生した種族だった。輝と未沙は、地球でともに暮らすうちに恋に落ちる。
未沙が行った通信により、地球にマクロスが帰還。そこにメルトランディ軍が攻撃を仕掛けてくる。ゼントラーディ軍の司令ボドルザー(市川治)は、捕らえたリンに、ゼントラーディに残されていた曲を歌わせる。メルトランディの女性兵士たちはそれを聞き、戦闘意欲を失う。歌という文化の力を知ったボドルザーは、マクロスと休戦協定を結ぶことを決定。リンがマクロスに帰ってくる。しかし、輝の心は未沙の方にあった。
ボドルザーはメルトランディに総攻撃を仕掛け、母艦から自軍を巻き込む主砲を放ってメルトランディのラプラミズ司令(鳳芳野)を消し去る。ボドルザーの暴挙を止めるため、輝は未沙の発見した歌詞をリンに手渡し、歌を歌うよう説得。リンの歌が流れる中、ゼントラーディ、メルトランディ、人類が共同でボドルザーの母艦を攻撃。輝がボドルザーにとどめを刺し、戦闘は終結する。リンは輝への愛を乗り越え、歌手として新たな道を歩むのだった。

古い作品だが作画は緻密で機体も洗練されており、SFアニメとしては素晴らしいできばえ。物語もそれなりに複雑で大胆な設定だが、意味不明ということはない。本作を楽しむためには、一介の軍人が人気女性アイドルと偶然出会って恋に落ちたりデートしたり、という男子中学生の妄想のような展開には疑問を挟んではならない。

【5段階評価】4

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2021年12月 5日 (日)

(2363) アナと雪の女王2

【監督】クリス・バック、ジェニファー・リー
【出演】クリステン・ベル(声)、イディナ・メンゼル(声)、ジョナサン・グロフ(声)、ジョシュ・ギャッド(声)
【制作】2019年、アメリカ

二人の王女の冒険を描いたディズニーアニメ。「アナと雪の女王」の続編。

幼い頃に母親から聞いた歌の歌声が流れてくることに気づいた王女エルサ(イディナ・メンゼル)は妹のアナ(クリステン・ベル)とともに声を追い、霧に覆われた森を目指す。声の主は今は亡き母親(エバン・レイチェル・ウッド)のものだった。エルサは森を覆う霧を取り払い、中に閉じ込められた人々を解放。エルサは森の国に移り住み、アナが女王となるのだった。

前作同様、魔法などを表現した映像は見事。歌も聴き応えがあり、感動的だった。アナがクリストフ(ジョナサン・グロフ)の発言にいちいちネガティブ反応するあたりは、若干いらついたが、最後は無事にプロポーズ成就だった。

【5段階評価】4

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2021年10月12日 (火)

(2360) 007 スペクター

【監督】サム・メンデス
【出演】ダニエル・クレイグ、レア・セドゥ、クリストフ・バルツ、レイフ・ファインズ
【制作】2015年、イギリス、アメリカ

スパイ映画、007シリーズ第24作。世界征服をもくろむ組織に立ち向かう諜報員の活躍を描く。

爆破テロを計画していたスキアラ(アレサンドロ・クレモナ)という悪者を倒したジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、派手な行動を理由に謹慎を言い渡される。ボンドがスキアラを追っていたのは、亡くなったM(ジュディ・デンチ)の指示によるものだった。スキアラの所属組織の黒幕を追うボンドは、関係者のミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)に会う。ホワイトは、自分の娘マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)に危害が及ぶことを危惧していた。ボンドはホワイトの娘を守ると約束し、鍵を握る娘の居場所を聞き出す。
マドレーヌから、組織の名前がスペクターであることを知らされたボンドは、北アフリカでボスのフランツ・オーベルハウザー(クリストフ・バルツ)と対面。彼はボンドの養父に育てられた、いわばボンドの兄だった。フランツは養父を殺し、自分も死んだことにして存在を隠していた。フランツはボンドを拘束し、小型ドリルを頭部に刺してマドレーヌの目の前でボンドを殺害しようとするが、ボンドは爆弾のついた腕時計をマドレーヌに託し、逃走に成功する。ボンドの所属するMI6を解体しようとしていたボンドの上司、C(アンドリュー・スコット)もフランツの一味だった。Cは世界の情報網を我が物にする計画を推し進めていたが、ボンドはM(レイフ・ファインズ)やQ(ベン・ウィショー)らと協力し、野望を阻止する。フランツは、半壊したMI6庁舎にマドレーヌを隠し、時限爆弾をしかけてヘリで逃走する。ボンドは爆破までの3分間にマドレーヌを見つけ、ボートでMI6庁舎から脱出すると、持っていた銃で、フランツの乗るヘリのエンジンを撃ち抜き、ヘリを不時着させる。フランツは負傷しながらもヘリから抜け出すが、そこにボンドが現れる。自分を撃てとすごむフランツを前に、ボンドは持っていた銃の弾を抜き取ると、そのままマドレーヌとともに立ち去る。
Qの前に戻ってきたボンドは、自分の愛車を受け取ると、マドレーヌを乗せて走り去るのだった。

アクションは見応えがあって楽しいのだが、クライマックスで、マドレーヌが時限爆弾をセットされたMI6の建物の中に隠され、ボンドが彼女を探し出し、脱出してフランツのヘリを撃つというくだりは、いくらなんでもご都合主義が過ぎた。マドレーヌを親切に建物の中に生かしたまま置いておくのも、見つけられるような場所に隠しているのも、3分という脱出が間に合っちゃう時間設定も、ボートで追いつかれて撃ち落とされちゃうのも、ボンドの大活躍というより、悪役のあまりの脇が甘さが際だつ展開になってしまった。

【5段階評価】4

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2021年9月27日 (月)

(2359) 殺人の追憶

【監督】ポン・ジュノ
【出演】ソン・ガンホ、キム・サンギョン、キム・レハ、ピョン・ヒボン
【制作】2003年、韓国

韓国で実際に起きた連続強姦殺人事件をモチーフにしたサスペンス作品。

韓国の田舎で、強姦殺害された女性が、用水路の中から発見される事件が発生。思い込みの激しい地元のパク刑事(ソン・ガンホ)と暴力的な取り調べをするチョ刑事(キム・レハ)のもとに、ソウルからソ刑事(キム・サンギョン)が応援にやってくる。パクとチョが、証拠をねつ造して容疑者に無理矢理自供させるというむちゃくちゃな捜査をする中、ソは雨の日に赤い服の女性が殺されているという共通点から、行方不明になっている女性が犠牲者になっていることを見抜き、遺体を発見する。事件の日に共通してラジオでかかる曲の存在が分かり、ソ刑事らは曲をリクエストしていたパク・ヒョンギュ(パク・ヘイル)を調べるが、ヒョンギュは不敵な笑みを浮かべ、尻尾を出さない。現場に残された精液のDNA鑑定を進めながら、ソ刑事はヒョンギュを見張るが、居眠りと乗っていた車のエンジン不調により、彼を見失ってしまう。その夜、またも事件が発生。犠牲者は中学生で、ソ刑事に、学校の噂話を教えてくれた少女だった。怒りに我を忘れたソ刑事は、ヒョンギュの家に乗り込み、彼を外に連れ出して殴る蹴るの暴行を加え、無理矢理自白させようとする。そこに、DNA鑑定結果の封筒を持ったパク刑事が駆け込んでくる。鑑定結果は、現場の精液とヒョンギュのDNAは一致しないというものだった。
事件は未解決のまま時が過ぎ、パクは刑事をやめて営業マンになっていた。遺体が発見された用水路の近くを通りかかったパクは、車を止めて、当時のように用水路の中をのぞき込む。そのとき、一人の少女がパクに話しかけてくる。少女は、つい最近、別の男が同じように用水路の中を見ていたと告げる。なぜ見ているのかと訪ねた少女に、男は「昔ね、自分がここでしたことを思い出して、久しぶりに来てみたんだよ」と答えたのだという。パクは犯人がまだ野放しになっていることを知るのだった。

稲穂に囲まれた少年が大アップになっているオープニングに始まり、作品全体がとても印象的。暗くジメジメした雰囲気の中、手がかりを見つけてはそれが手からすり抜けていくことを繰り返し、そのやるせなさが、冷静沈着だったソ刑事すら狂わせていく。見応えのあるサスペンスだった。
ただ、自分は実際の未解決事件(公開当時)をモチーフにした作品とは知らずに観たので、真犯人が明らかにならない結末は残念だった。

【5段階評価】4

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