評価4の映画

2021年1月16日 (土)

(2299) ムトゥ 踊るマハラジャ

【監督】K・S・ラビクマール
【出演】ラジニカーント、ミーナ、サラット・バーブ、ジャヤバーラティ、スバーシュリー
【制作】1995年、インド

とある使用人の活躍と出生の秘密を描いたミュージカル映画。

独身の富豪ラージャー(サラット・バーブ)に仕える使用人のムトゥ(ラジニカーント)は腕利きで、周囲の信頼を集める人気者。芝居好きのラージャーは、芝居で見かけた女優のランガナーヤキ(ミーナ)に一目惚れし、彼女との結婚を決意する。ある日、芝居の舞台になだれ込んできた悪漢からランガナーヤキを守るため、ラージャーは、ムトゥに彼女を連れて逃げるよう指示するが、ムトゥとランガナーヤキは一緒に逃亡を続けるうちに恋仲となる。
ラージャーの伯父アンバラッタール(ラーダー・ラビ)は、財産目当てに娘のパドミニ(スバーシュリー)をラージャーに嫁がせようとするが、ラージャーの心がランガナーヤキにあることを知り、手下のカーリ(ポンナーンバラム)を使ってムトゥがランガナーヤキを自分と結婚するよう脅しているという嘘を吹き込む。それを真に受けたラージャーはムトゥを追放してしまう。それを見たラージャーの母親シバガーミ(ジャヤバーラティ)はラージャーに驚愕の真実を話す。実はムトゥは使用人の身分ではなく、本来の地主であるシバガーミの兄(ラジニカーント、二役)の跡継ぎだった。彼がいとこに騙されて土地を奪われたとき、いとこを罰することをせずむしろ財産を譲って聖者として過ごすことに決め、その際、シバガーミが身分を内緒にすることを条件にムトゥを引き取り、使用人として育てていたのだった。ラージャーは自分の行いを悔い、聖者を屋敷に招こうとするが、アンバラッタールはカーリとともに夜道を行くラージャーを襲って川に投げ捨て、翌朝、カーリがムトゥがラージャーを殺したと叫んで回る。そこにムトゥが現れ、カーリに向かってラージャーに何をしたと激怒。あまりの怒りにカーリはアンバラッタールの指示であることを白状する。今度はアンバラッタールは大勢の人に追われる番となるが、そこにラージャーとパドミニが姿を現す。ラージャーは聖者に救助され、無事だったのだ。おそらくパドミニが介抱し、ラージャーはパドミニを愛することを決めたのだろう。アンバラッタールはラージャーに謝罪し、許しを得る。ラージャーはムトゥとランガナーヤキの手を握らせ、二人の愛を祝福する。ムトゥは晴れて屋敷に戻る。ラージャーはムトゥをご主人様と呼ぶが、ムトゥはラージャーが身につけていた使用人の手ぬぐいを自分の腰に巻き、いつものように高らかに歌声を響かせるのだった。

序盤はドタバタコメディでおバカミュージカルのノリなのだが、後半、一転してシリアスな展開となるのが面白い。ミュージカルシーンは、アメリカのミュージカルのように街の中を背景とせず、大がかりな舞台やセットの中で踊るようなスタイル。カット割りを多用し、凝った作りになっている。ランガナーヤキ役のミーナ、パドミニ役のスバーシュリーはどちらも美人女優だが、腰の辺りの贅肉もふくよかで、この辺りはインド人の好みなのかもしれない。終盤で、アンバラッタールが怒った人々に追いかけられるのだが、その数が異様に多く、「こんなにエキストラ必要ないだろ」とツッコみたくなること間違いなし。唯一恋が実らなかった脇役のテーナッパン(センディル)にも、出家するという落ちを用意し、放っておかないところも微笑ましい。そんな妙なこだわりも含めて、いわゆるボリウッドムービーの代表作として、一度は観ておきたい作品。

【5段階評価】4

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2021年1月15日 (金)

(2298) ウェスト・サイド物語

【監督】ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ
【出演】ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノ、ラス・タンブリン
【制作】1961年、アメリカ

若い不良集団の抗争と一組の男女の恋を描いたミュージカル映画。

ポーランド系アメリカ人の若者集団、ジェット団と、プエルトリコ系アメリカ人のシャーク団は、空き地の縄張り争いをしていた。ジェット団のリーダー、リフ(ラス・タンブリン)は元ジェット団の兄貴分トニー(リチャード・ベイマー)に協力を求める。シャーク団のリーダー、ベルナルド(ジョージ・チャキリス)は妹のマリア(ナタリー・ウッド)を地元のダンスパーティに連れて行く。マリアとトニーはそのダンスパーティで出会い、互いを運命の人だと確信する。ベルナルドは反対するが、二人は夜に隠れて会い、互いの愛を深めていく。
リフとベルナルドは縄張り争いを一対一の決闘で決着を付けることにする。決闘の場に現れたトニーは、なんとか無益な争いを阻止しようとするが、興奮したリフとベルナルドがナイフを取り出し、ベルナルドがリフを刺してしまう。それを見たトニーは衝動的にベルナルドをナイフで切りつける。パトカーのサイレンが聞こえ、ジェット団とシャーク団は逃げ出し、その場には倒れたリフとベルナルドだけが残される。二人はそのまま命を落とす。
兄の死を悲しむマリアの部屋にトニーが現れる。マリアはトニーを責めるが、トニーは自分が止めようとしたことを説得し、二人で街を出ようと言って去って行く。ベルナルドの恋人アニタ(リタ・モレノ)はマリアのトニーへの真実の愛を理解し、警察の尋問を受けることになったマリアに代わってトニーにメッセージを伝えに行くが、トニーを匿っているジェット団がアニタに暴行を働く。怒ったアニタは、マリアを好きだったチノ(ホセ・デ・ベガ)が、マリアとトニーの関係を知ってマリアを撃ち殺した、という嘘の伝言をトニーに伝えるよう吐き捨て、その場を去る。それを知らされたトニーはショックを受け、自分を殺せと叫びながら街を歩く。しかし暗闇の中にマリアが現れ、トニーは喜びながらマリアに駆け寄るが、そこにチノが現れてトニーを撃ち、トニーはマリアの腕の中で息を引き取る。マリアは銃ではなく憎しみがみんなの命を奪ったと叫び、くずおれる。刑事が現れチノは捕まり、ジェット団とシャーク団は協力してトニーの亡骸を運ぶ。集まった若者達は無言でちりじりになっていくのだった。

芝居のさなかに唐突に歌い出す典型的なミュージカル映画。有名な曲がいくつもある。ジェット団とシャーク団の勇ましい曲だけでなく、恋愛を歌うメロディアスな曲も目立つ。シャーク団の男女が掛け合いをしながら歌う「アメリカ」は、ラップバトルの原型のようで歌詞が楽しく、こういう時代からアメリカ人は歌の掛け合いになじんでいるのだなと分かる。

【5段階評価】4

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2021年1月13日 (水)

(2296) 天気の子

【監督】新海誠
【出演】醍醐虎汰朗(声)、森七菜(声)、小栗旬(声)、本田翼(声)、吉柳咲良(声)
【制作】2019年、日本

東京に家出した少年と天気を変える能力を手にした少女の運命を描いたアニメ映画。

病気の母親を看病していた天野陽菜(森七菜)は、雨の中、一筋の光が差しているのを見つけ、その光が当たる廃ビルの屋上の神社で、不思議な能力を手に入れる。同じ頃、東京に家出してきた16歳の少年、森嶋帆高(醍醐虎汰朗)は、住む場所がなくビル街で野宿していたとき、ゴミ箱の中に拳銃があるのを見つけ、鞄にそれをしまい込む。生活に困った帆高は、東京に行くフェリーで偶然出会った須賀圭介(小栗旬)を訪ね、彼の経営する事務所で住み込みの雑用係を始める。ある日、街を歩いていた帆高は、かつてが怪しい男にビルの中に連れ込まれそうになっている陽菜を見つけ、彼女を助ける。帆高は以前、陽菜がアルバイトをしていたマクドナルドで毎晩過ごしており、陽菜に内緒でハンバーガーをもらったことがあったのだ。陽菜は帆高に、自分が祈ると空が晴れるという能力があるところを見せる。それを見た帆高は、異常気象で雨ばかり降る東京で、空を晴れにする依頼をネットで募集し、報酬を得るという仕事を始める。晴れた空に感謝する人々を見て、陽菜は自分の役目に喜びを感じるが、その能力は大きな代償を伴うものだった。天気の巫女は異常気象を元に戻す代わりに人柱となって天に消えていくというのだ。捜索願が出ていて拳銃所持の疑いもあった帆高は警察に追われており、陽菜とその弟の凪(吉柳咲良)とともにラブホテルの一室で一夜を明かすが、朝になると、陽菜の姿は消えていた。帆高は陽菜にもう一度会うため、警察に追われながら、陽菜が能力を手にしたという廃ビルの屋上を目指す。屋上の神社にたどり着いた帆高は、積乱雲の上の世界に飛ばされる。空を落下しながら帆高は、雲の中の魚に囲まれた陽菜を発見。帆高は陽菜と一緒に地上に戻ることを願い、陽菜もそれに答え、二人は手を取り合って元の世界に戻る。その後、逮捕された帆高は保護観察処分となって地元に帰る。3年後、帆高は地元の高校を卒業し、東京に向かう。東京はあれから3年間雨が降り続けており、多くの土地が水没していた。帆高は3年ぶりに会った圭介にけしかけられ、再び陽菜に会いに行く。陽菜は田端の高台で空に祈りを捧げていた。二人は抱き合い、再会を喜び合うのだった。

オープニングの窓ガラスを落ちる雨の雫から、写実的な映像と天気の描写が美しい。CGっぽくない手描き風の背景が、実写映画のように視点の転回に伴ってなめらかに変化するという丁寧な作り。その一方で、雲の上の想像の世界の映像は幻想的で、ジブリ映画のようでもあった。帆高が神社を目指して非常階段を駆け上がるシーンは、音楽も相まって感動的。「君の名は。」の登場人物が作品内に隠れキャラ的に登場しているのも、ファンには楽しい仕掛けだ。

【5段階評価】4

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2021年1月 4日 (月)

(2287) ワンダーウーマン

【監督】パティ・ジェンキンス
【出演】ガル・ガドット、クリス・パイン、デビッド・シューリス、ロビン・ライト、エレナ・アナヤ
【制作】2017年、アメリカ

アメコミ・ヒーロー、ワンダーウーマンの活躍を描いたSFアクション作品。

女ばかりのアマゾン族が住むセミッシラ島の王女ダイアナ(ガル・ガドット)は、母親ヒッポリタ女王(コニー・ニールセン)の妹アンティオペ(ロビン・ライト)から武術の指導を受け、美貌と強さを兼ね添えた女性に成長。ある日、ドイツに潜入しているアメリカのスパイ、スティーブ・トレバーがセミッシラ島に現れ、彼を追ってきたドイツ軍との戦いでアンティオペが命を落とす。スティーブはドイツ軍が開発している毒ガス兵器の情報をイギリスに持ち帰る密命を帯びていた。ダイアナは、ドイツの策略は、幼い頃から聞かされていた戦争を引き起こす邪神アレスのしわざと考え、反対する母親を説得して、戦争を終わらせるためスティーブとともにイギリスに渡る。
スティーブは、ドクター・ポイズンことイザベル・マル博士(エレナ・アナヤ)から盗んだ毒ガス兵器のノートをもとに、ドイツを早めに叩くよう英軍上層部を説得するが、理解が得られない。しかしパトリック・モーガン卿(デビッド・シューリス)が協力を申し出て、スティーブとダイアナは、仲間とともにドイツ軍との戦いに挑む。
毒ガス兵器開発を進めている好戦的な性格のルーデンドルフ総監(ダニー・ヒューストン)が、アレスの乗り移った姿だと確信したダイアナは、激闘の末、彼を倒すが、毒ガス兵器の開発はやまず、兵器は飛行機に積載されてしまう。そこに現れたのはモーガン卿だった。彼こそがアレスだった。モーガン卿との死闘のさなか、スティーブは毒ガス兵器を積んだ飛行機に乗り込み、空中で爆破。それを見たダイアナは潜在能力が覚醒。モーガン卿を倒す。それにより、ドイツ兵は憑き物が落ちたように戦いの終結を喜ぶ。
時が移り現代。第一次世界大戦当時のダイアナの活躍を収めた写真を眺めるのは、劣らぬ美貌をたたえたダイアナだった。

ベッタベタなヒーロー名だし、主人公は女性だし、マーベルコミックヒーローの作品の中では最もつまらないだろうという先入観で見始めたのだが、どっこい一番よかったかも、というほどの作品だった。序盤の絵画風の映像で神話の時代の物語を女王が語るシーンはオリジナリティが高く、見応えがあった。こういうところをしっかり作り込むのには惚れ惚れする。ドイツ兵とワンダーウーマンやアマゾン族との戦いも、スローモーションも織り交ぜながらアマゾン族の高い身体能力と戦闘技術を巧みに表現。CGを駆使してやたら凝った表現をした結果、映像がごちゃごちゃしすぎて何が起きているかほとんど分からない作品もある中、見せたいものを分かりやすく見せることに徹しながら、迫力もオリジナリティもあるという映像表現は、簡単なようでなかなかできない。また、アマゾン族の戦士たちも、よく集めたなと思うぐらい、力強さと美しさを兼ね備えた大勢の女性が演じている。ワンダーウーマンのコスチュームも、胸元やふとももは露わだがいやらしさはなく、かわいさやセクシーさではなく女性の「かっこよさ」を描いた作品だった。

【5段階評価】4

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2021年1月 1日 (金)

(2284) パディントン2

【監督】ポール・キング
【出演】ベン・ウィショー(声)、ヒュー・グラント、ブレンダン・グリーソン、ヒュー・ボネビル、サリー・ホーキンス
【制作】2017年、イギリス、フランス

飛び出す絵本を手に入れるため奮闘するクマと人々との交流を描いたコメディ作品。

ブラウン一家の家族としてロンドンで暮らすクマ、パディントン(ベン・ウィショー)は、骨董品屋でロンドンの風景を題材にした飛び出す絵本を見て、ペルーで暮らすルーシーおばさん(イメルダ・スタウントン)にプレゼントしようと決める。ところが、その本は宝のありかを示す秘密の本だったことから、落ち目の俳優フェニックス・ブキャナン(ヒュー・グラント)が骨董品屋に忍び込み、絵本を盗み出す。フェニックスが家に入るところをたまたま目撃したパディントンは、彼を追いかけるが、警官はパディントンが骨董品屋に盗みに入ったと勘違いし、パディントンを逮捕。パディントンは刑務所行きとなる。
刑務所で恐れられているコックのナックルズ(ブレンダン・グリーソン)に、持っていたマーマレードサンドを気に入られたパディントンは、ナックルズをはじめ、囚人達と友達になる。ナックルズとその仲間は、パディントンが無実の罪で投獄されていることを知り、濡れ衣を晴らそうと言ってパディントンとともに脱獄する。ナックルズたちは一緒に外国に逃げようとパディントンを誘うが、パディントンは断り、ブラウン家に電話。ブラウン家はパディントンのために捜査を続け、ブキャナンが犯人であることを突き止めていた。パディントンとブラウン一家はブキャナンが乗った電車に乗り込み、ブキャナンを退治する。
絵本は捜査の証拠品として持ち去られてしまったが、ブラウン一家や街の人々は、ルーシーおばさんをロンドンに招待していた。パディントンは喜び、やってきたルーシーおばさんに抱きつくのだった。

前作に続いて、本作も心が温まり、家族愛にほろっとするいい作品だった。コメディタッチだが、下品さは少なく(冒頭にゲップのシーンはあるが)、「Mr.ビーン」シリーズほど笑わそうとしすぎていない。刑務所で強面の囚人達がスイーツのレシピを知っていて、みんなでケーキパーティをするシーンも純粋に楽しいし、飛び出す絵本の中でパディントンとルーシーおばさんが歩き回るシーンも映像としてとても巧み。丁寧に作られた作品だった。

【5段階評価】4

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2020年12月31日 (木)

(2283) パディントン

【監督】ポール・キング
【出演】ベン・ウィショー(声)、サリー・ホーキンス、ニコール・キッドマン、ヒュー・ボネビル
【制作】2014年、イギリス、フランス

ロンドンにやってきた熊と人間の家族との交流を描いたハートフルコメディ。

ペルーの森で、言葉を理解するクマの一家を探検家(ティム・ダウニー)が発見。探検家はロンドンに来たら歓迎すると言い残して去って行く。成長した男の子のクマ(ベン・ウィショー)は、地震で家を失ったことを機にロンドンを目指す。ロンドンに着いたクマはブラウン家の母親メアリー(サリー・ホーキンス)に声をかけられ、パディントンという名前を付けられる。ブラウン家はパディントンの話と帽子を手がかりに、ペルーに来た探検家を探すことにするが、父親のヘンリーはパディントンがいると子どもが危険だと考え、メアリーを説得。それを盗み聞きしたパディントンは置き手紙をしてブラウン家を去る。パディントンはついに探検家モンゴメリー・クライドの家を探し当てる。しかしそこに住んでいたのはモンゴメリーの娘、ミリセント(ニコール・キッドマン)だった。彼女は、父親がクマを連れ帰ればお金持ちになれたのに、クマの保護を優先してクマの生息地に関して口をつぐみ、その結果、探検家協会を追い出されたことを恨んでおり、パディントンを剥製にしようとする。それを知ったブラウン一家はミリセントのいる博物館に乗り込み、パディントンを救出。パディントンは晴れてブラウン家の一員になるのだった。

テッド」同様クマのぬいぐるみが主人公だと思っていたが、言葉を話すというファンタジーな設定ながら、本物のクマだった。童話が原作だが、内容は大人も楽しめるコメディ。はじめはクマを嫌っていた父親のヘンリー(ヒュー・ボネビル)が、クライマックスでミリセントにパディントンが自分たちの家族だと啖呵を切るシーンは感動的だった。ニコール・キッドマンがコミカルな悪役を演じているのも楽しい。

【5段階評価】4

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2020年12月29日 (火)

(2281) G.I.ジョー

【監督】スティーブン・ソマーズ
【出演】チャニング・テイタム、シエナ・ミラー、マーロン・ウェイアンズ、ジョセフ・ゴードン=レビット
【制作】2009年、アメリカ

悪の集団と戦うヒーロー戦士達の活躍を描いたアクション作品。

兵器メーカーMARS社のマッカラン(クリストファー・エクルストン)はNATOの資金で、ナノテクノロジーを使った金属破壊兵器ナノマイトを開発。兵士のデューク(チャニング・テイタム)とリップコード(マーロン・ウェイアンズ)は、その輸送を請け負うが、ステルス機能を持った戦闘機に襲撃される。戦闘機から現れたのは元婚約者のアナ(シエナ・ミラー)だった。アナはナノマイトを奪おうとするが、G.I.ジョーの部隊が救出に現れ、アナは逃走する。G.I.ジョーの部隊に合流したデュークとリップコードは、クレイトン・アバナシー(デニス・クエイド)率いるG.I.ジョーの訓練を受け、部隊に仲間入りする。
アナはストームシャドー(イ・ビョンホン)とともにG.I.ジョーの基地に現れ、ナノマイトを強奪。ナノマイトの入った4つのミサイル弾頭のうち一つをエッフェル塔に発射。エッフェル塔は崩れ出す。デュークがナノマシンを停止する装置のボタンを押し、パリ崩壊は免れるものの、デュークはマッカラン側に捕らえられてしまう。
マッカランの基地が北極の海底にあることを突き止めたクレイトンは、基地に総攻撃をかける。マッカランの基地にいる謎の科学者は黒幕ザルタン(アーノルド・ボスルー)に、顔の変形を可能にする手術を施す。科学者の正体はアナの弟レックス(ジョセフ・ゴードン=レビット)だった。科学者の彼はかつてデュークとともに軍事作戦に参加するが、作戦中に爆発に巻き込まれてしまう。死んだと思われていたが、生きており、ナノテクノロジーに魅せられたマッドサイエンティストとなっていたのだった。爆発で顔の焼けただれたレックスは、恨みからデュークの顔にも手術を施そうとするが、心を入れ替えたアナがデュークを救出。発射されたナノマイトミサイルはリップコードが破壊し、デュークはアナを連れて基地を脱出に成功。潜水艦で逃走したレックスはG.I.ジョーの部隊に捕らえられる。世界に平和が訪れたようだったが、アメリカ大統領(ジョナサン・プライス)は顔を変えたザルタンに入れ替わっているのだった。

複数の精鋭が活躍するヒーローアクションもので「アベンジャーズ」にも似た雰囲気だが、一人一人は超能力者ではなく、厳しい訓練を積んだ兵士。秘密兵器や乗り物が数多く登場し、男の子がわくわくするような作りになっている。男の子向け人形玩具がタイトルになっているが、デュークとアナ、リップコードとスカーレット(レイチェル・ニコルズ)の男女の恋愛を織り交ぜている辺りは大人向けでもあり、戦闘シーンも、銃撃戦から剣での格闘、パリでのカーチェイスにラストの海中戦まで多岐にわたっていてできがよい。海中戦は宇宙空間での戦闘のようでもあり、決して子供だましのアクションではなく、大人も楽しめる本格的な特撮アクション映画になっている。個人的には、能力が超常的すぎて驚く感覚が麻痺してしまう「アベンジャーズ」より、本作のほうが楽しめた。今回はスターチャンネル1で視聴したが、ドルビーデジタルによるサラウンドもバッチリで、ミサイルや戦闘機が飛び交う効果音の迫力も素晴らしかった。
突っ込みどころはやはり、スネークアイズの回想で出てくる東京のシーン。はじめの広告だらけのビル街はいいとして、その後のスラム街は、外国映画によくある日本らしさに欠ける日本の風景。台所の柱には「無くし物の責任は寺ではありません」という謎の張り紙があり、しかも横書きで書かれた短冊を縦に貼っている。子ども時代のストームシャドーがしゃべると、住職は「英語で話せ」と命じる。英語を強要する宗派かよ、という強引な英語モードなのだが、冒頭の1641年のフランスのシーンも登場人物は何の断りもなく英語なので、日本のシーンも最初からみんな英語でいいんじゃないのという。しかもストームシャドーのしゃべっているのはどうやら韓国語だし。まあ、アメリカ人にはどうでもいいことなんだろうな。

【5段階評価】4

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2020年12月24日 (木)

(2276) ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ

【監督】ステファノ・ソリマ
【出演】ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、イザベラ・モナー、イライジャ・ロドリゲス
【制作】2018年、アメリカ

アメリカとメキシコの国境で起きる不法入国と麻薬組織を巡る事件を描いた作品。「ボーダーライン」の続編。

アメリカのカンザスで自爆テロ事件が発生。犯人はメキシコから不法入国したと考えた国防長官(マシュー・モディーン)は、不法入国ビジネスを仕切る麻薬組織の壊滅をCIAのマット・クレイバー(ジョシュ・ブローリン)に指示。マットは麻薬組織に家族を殺された恨みを持つコロンビアの元検察官アレハンドロ・ギリック(ベニチオ・デル・トロ)に協力を依頼。二人は仲間とともに、麻薬組織のボス、レイエスの娘イザベル(イザベラ・モナー)を覆面をして誘拐すると、ライバル組織の仕業に見せかけて逃走。その後、彼女を救出した組織としてイザベルに顔を見せ、メキシコに連れ帰ることにする。ところが彼らを護送するメキシコ警察部隊が麻薬組織に買収されており、荒野の中でマットらの車両を攻撃。マットらはメキシコの警官を皆殺しにする。銃撃戦の合間に、イザベルは逃げてしまったため、アレハンドロはマットらと別行動を取って彼女を追いかける。
アメリカ政府は、メキシコとの関係悪化を恐れ、作戦の中止を決定。作戦を闇に葬るため、工作員のアレハンドロとイザベルの抹殺指令がマットに下される。マットはアレハンドロにイザベルを始末するよう指示するが、アレハンドロは拒否。彼はイザベルを連れて不法入国業者の手引きでアメリカに渡ることにする。ところが業者の一人、ミゲル(イライジャ・ロドリゲス)が偶然アレハンドロを見かけていたため、アレハンドロが単なる不法入国希望者ではないことがばれてしまい、誘拐されたことがテレビニュースになっていたイザベルにも気づかれてしまう。アレハンドロは人気のない荒野に連れて行かれ、ミゲルに頭部を撃たれてしまう。その様子を衛星画像で確認したマットは、イザベルを連れ去った車を追跡し、乗っていた連中を全員射殺すると、命令を無視してイザベルを救出。証人保護プログラムに乗せるため、アメリカに連れ帰る。死んだと思われたアレハンドロだったが、銃弾は頬を貫通しており、一命を取り留めていた。一年後、アレハンドロはミゲルを探し当て、「将来の話をしよう」と言ってミゲルと二人きりの部屋のドアを閉じるのだった。

序盤はメキシコからアメリカへの不法入国の様子が生々しく描かれており、これを見ると「トランプ大統領がメキシコ国境に壁を作るってこれを防ぐということだったのね」と、島国の日本国民には想像できなかった公約に妙に納得がいったりした。
アクションシーンの迫力とリアリティはなかなかのできばえだが、ドキュメンタリー風の写実性がよかった前作に比べると、話がだいぶ作り話めいており、悪者が安っぽく皆殺しになる場面も多く、過激映像が売りのエンタテインメント作品になっていた。

【5段階評価】4

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2020年12月22日 (火)

(2274) THE PROMISE/君への誓い

【監督】テリー・ジョージ
【出演】オスカー・アイザック、シャルロット・ルボン、クリスチャン・ベール、ショーレ・アグダシュルー
【制作】2017年、アメリカ

トルコによるアルメニア人虐殺を生き延びる人々を描いた歴史ドラマ。

1914年、南アナトニアの村シルンで薬剤師をしているアルメニア人のミカエル・ボゴシアン(オスカー・アイザック)は、地元の娘マルタ(ショーレ・アグダシュルー)と婚約し、その持参金を元手に医学生となる。知人の家に住むことになったミカエルは、そこで家庭教師をしている美しい女性アナ・ケサリアン(シャルロット・ルボン)と知り合う。アナはアメリカ人のAP通信記者クリス・マイヤーズ(クリスチャン・ベール)と恋仲にあったが、アナはミカエルを好きになり、ある晩、二人は結ばれる。
トルコ軍によるアルメニア人の迫害が始まり、ミカエルも捕らえられて奴隷のように働かされるが、仲間の一人が爆薬でトルコ兵を爆死させた際の混乱に乗じて脱走。故郷のシルンに戻る。両親と再会したミカエルは、山奥でマルタと挙式し、夫婦となる。やがてマルタは身ごもる。その頃、アナはミカエルに会うため、クリスとともにシルンに来ていた。ミカエルはアナと再会し、孤児達を国外に避難させようとするアナに、自分と家族を同行させてもらうよう依頼。アナはミカエルに妻がいることにショックを受けつつも、彼の頼みを受け入れる。孤児を連れたアナの一団は、シルンに向かうが、そこはすでにトルコ軍虐殺の手が及んでいた。村人は虐殺され、ミカエルの父親もマルタも殺されていた。ミカエルはかろうじて息があった母親を救い出すが、彼女もやがて亡くなる。アナらが目指していた村からも人々は追い出されており、村長が指揮を執って迫り来るトルコ軍に抵抗。ミカエルらも合流して彼らとともに戦う。
一方、クリスはスパイ容疑でトルコ軍に殺されそうになりながらも、アメリカ大使館の力でなんとか解放されると、フランス軍のフルネ提督(ジャン・レノ)の戦艦に乗り、アナらの救出に向かう。アナたちはフランス軍艦のいる海岸を目指し、ボートで脱出を図るが、トルコ軍の砲撃によってアナは海に落ち、帰らぬ人となる。ミカエルはクリスの手引きでアメリカに渡り、生き残った少女を養女にしてアメリカで医師となるのだった。

日本人にはおそらくあまりなじみのない、オスマン帝国によるアルメニア人虐殺を描いた重厚な作品。何の罪もない人々を、民族を理由に虐殺するという状況に、強いショックと理不尽さを禁じ得ない。地球を侵略するエイリアンより、人々を襲うゾンビより、目に見えない殺人ウィルスより、まともな人が人を襲い、殺戮するという方が、本当に恐ろしい。本作は、トルコ軍を一方的に悪者として、アルメニア人を一方的に罪なき人々として描いており、捉え方はややストレオタイプであったり、身ごもったマルタが死んだり最後の最後でアナが死んだりするのも、ちょっとドラマティックにしすぎと感じる面はあったりするものの、運命に翻弄されながらも必死で生き続ける人々を描きながら、歴史的なできごとを映画史に刻む作品としては十分に魅力的だった。

【5段階評価】4

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2020年12月20日 (日)

(2272) そらのレストラン

【監督】深川栄洋
【出演】大泉洋、本上まなみ、高橋努、マキタスポーツ、岡田将生、風吹ジュン、小日向文世、庄野凛
【制作】2019年、日本

北海道の酪農家が仲間とレストランを開く過程を描いたヒューマンドラマ。

亡くなった父を継いで北海道の酪農家となった設楽亘理(大泉洋)は、師匠の大谷(小日向文世)の指導でチーズ作りに勤しんでいる。妻のこと絵(本上まなみ)は、ある冬の夜、亘理の牧場を扱った記事を握りしめて突然、亘理の前に現れ、そのまま結婚した女性で、二人の間には潮莉(庄野凛)という幼い娘がいた。
亘理は、妻と別れた野菜農家の冨永芳樹(高橋努)や、添加物に反応する自分のアトピーを克服するため自ら無農薬作物を作っている石村甲介(マキタスポーツ)、脱サラして羊の酪農を営む若い神戸陽太郎(岡田将生)、イカ釣り漁師の野添隆史(石崎ひゅーい)らと仲よく暮らし、彼らの作物に感激した有名シェフ朝田一行(眞島秀和)も仲間に加わり、彼らの作った素材を生かした料理をふるまうレストランを開くことを計画。ところが大谷が持病の悪化で亡くなってしまい、看護師の妻(安藤玉恵)を持つ甲介が大谷の病状を隠していたことから芳樹との関係が悪化。大谷のチーズ作りを体得できなかった亘理はチーズ作りをやめると言い出す。芳樹は亘理の逃げ腰の態度に激怒するが、全てを決める前に大谷のチーズ工房を見てみろと亘理に告げる。そこには、注文生産のみをしていた大谷が唯一残していた古いチーズがあった。そのチーズには、10年前、父を継いだ亘理が初めて大谷に牛乳を納入した日付が書かれていた。それは大谷が亘理に託したチーズだったのだ。亘理はそのチーズを口にし、そのおいしさに涙する。亘理はあらためて、大谷のチーズではなく自分のチーズを追い求めることを心に誓う。こうして彼らのレストランはオープン。大谷の妻、佐弥子(風吹ジュン)をはじめ、招待客達はその味に感動する。亘理とこと絵は満足そうに微笑むのだった。

ほのぼのとした作品。中盤は人の死やら友人同士の喧嘩やらで少々どろどろするが、陽太郎が道化役になったり、こと絵が慰め役になったりして、全体的には涙を誘う静かな感動作に仕上がっている。UFOを呼ぶくだりが必要だったのかは、今ひとつ判然とはしなかったのと、レストランで料理をふるまうときに、農家一人一人が口上を述べるシーンはちょっとベタすぎて、もう少ししゃれた演出があってもよかったかなと感じた。マキタスポーツが意外とはまり役だった。

【5段階評価】4

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