評価4の映画

2023年1月14日 (土)

(2442) プラスティック

【監督】ジュリアン・ギルビー
【出演】エド・スペリーアス、アルフィー・アレン、エマ・リグビー、セバスチャン・デ・スーザ、ウィル・ポールター
【制作】2015年、イギリス

カード詐欺を繰り返す若者の運命を描いた作品。実話に基づいている。

サム(エド・スペリーアス)、フォーディ(ウィル・ポールター)、イェーツ(アルフィー・アレン)、ラファ(セバスチャン・デ・スーザ)の四人は、ロンドンでカード詐欺を働く若い犯罪集団。ある日、イェーツとラファは、カーセックス中の男性の車を襲撃し、男性の持つクレジットカードとスーツケースを強奪。ところがその男は犯罪組織の会計士だった。サムとフォーディが、だまし取った宝飾品を手にアジトに戻ると、そこには犯罪組織のボスのマルセル(トーマス・クレッチマン)と用心棒2名、そして会計士がおり、イェーツとラファは全裸で猿轡をされていた。マルセルは四人に、2週間以内に200万ポンド(約3億円)を要求する。四人は途方に暮れる。
サムは、思いを寄せていた女性フランキー(エマ・リグビー)がカード会社で働いていることを知り、彼女のメールをハッキング。彼女が父親の入院費に困っていることを調べ上げると、自分が弟の入院費のためにカード詐欺をしているとフランキーに告げ、彼女を仲間に引き入れる。彼らは、フランキーが手に入れた、限度額の高いクレジットカードの情報をもとに、マイアミで稼ぐことにする。ところがイェーツとラファはストリップバーで羽目を外し、詐欺に使う予定のカードを飲み代の支払いに使おうとして、店にそのカードを押収されてしまう。カードが使えなくなり、彼らは計画変更を余儀なくされる。そのときラファが、結婚のうわさがあるブルネイの王子になりすまして、宝石店から高額な宝飾品をだまし取るという詐欺を思いつく。四人は準備を進めるが、イェーツはサムと仲たがい。サムがフランキーと恋仲になったことを知ると、サムがフランキーをだまして仲間に引き入れたことをフランキーにばらす。フランキーは怒って彼らのもとを去る。マルセルは手下のタリク(メム・フェルダ)を使って彼らを監視しており、フランキーを拉致すると、サムたちを改めて脅迫。四人は計画を実行に移す。
彼らは小型ジェットをチャーターすると、ブルネイ王子を騙って宝石店の男を騙し、高額の宝飾品をロンドンに運ばせる。ブルネイ王子役のラファが乗るリムジンと、イェーツが乗るリムジンをすり替えて、後続の車に乗る宝石屋を騙すという作戦だったが、作戦が成功すると同時に、イェーツはサムを裏切り、ラファを強引に仲間にして宝石をすべて我が物にする。彼はミスターXという男と宝石の取引をしようとするが、ミスターXの手下がラファの脚を銃で撃ち、イェーツはミスターXに脅される。一方、宝石の場所をGPSで追っていたサムはマルセルに連絡を入れ、マルセル一味をイェーツのいるホテルに呼ぶ。サムとフォーディは車からマルセルが下りたことを確認すると、車に残っていた会計士を脅し、トランクに幽閉されていたフランキーを逃がして、車でマルセルを待ち伏せる。マルセルとその手下は、イェーツの取引現場となっているホテルの部屋に行くが、ミスターX側とマルセル側は激しい銃撃戦となる。ミスターXは死亡し、マルセルも銃弾を受ける。イェーツとラファはホテルから逃走。マルセルも何とか逃げ出し、自分の車に乗り込むが、そこにはサムとフォーディが待ち受けていた。サムはマルセルに銃を向けたままイェーツを追う。走ってホテルから逃げたイェーツは、脚を負傷しているラファを気遣う様子もなく、車を運転していた妊婦を車から引きずりおろして車に乗り込み、逃走。ラファは妊婦に気遣うが、追っていた警官に捕らえられる。GPSでサムの持つ宝石を追っていたサムとフォーディは、サムの車にに突っ込む。それにより、イェーツとマルセルは死亡。横転した車から出られなくなったサムは、フォーディに逃げろと叫び、フォーディは泣く泣くスーツケースを持って走り去る。ラファとサムは逮捕される。
そして2年後。サムは刑期を終えると、迷惑をかけたフランキーにこっそりと盗んだ宝石を渡す。サムとフォーディはどうやら大金持ちになっているようだった。

詐欺のテクニックが赤裸々に描かれ、映像もスタイリッシュで見ごたえのある作品。極悪非道のマルセルやミスターX、仲間を裏切ったイェーツが死に、詐欺を働きつつも自分を犠牲にして仲間を逃がしたサムと、サムを必死に助けようとしたフォーディがまんまと大金を手に入れるというエンディングは、単純な勧善懲悪ではなく、粋な終わり方。今回はムービープラスの視聴だったが、なかなかよかった。

【5段階評価】4

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2023年1月13日 (金)

(2441) インヘリタンス

【監督】ボーン・スタイン
【出演】リリー・コリンズ、サイモン・ペッグ、チェイス・クロフォード、コニー・ニールセン
【制作】2020年、アメリカ

自宅の裏庭に監禁された男を発見した女性検事の運命を描いたサスペンス作品。

富豪の銀行家アーチャー・モンロー(パトリック・ウォーバートン)が急死。妻のキャサリン(コニー・ニールセン)と、下院議員に立候補中の息子のウィリアム(チェイス・クロフォード)は巨額の遺産を手にするが、長女の女性検事ローレン・モンロー(リリー・コリンズ)の相続額ははるかに少なかった(と言っても100万ドルだが)。アーチャーの顧問弁護士ハロルド・シューリス(マイケル・ビーチ)はローレンに、遺言とは別に、アーチャーから預かっていたというビデオメッセージを渡す。そこには、アーチャーから裏庭の地下室に、墓場まで持っていくべき秘密があるというメッセージが遺されていた。
ローレンが地下室を調べると、中に首輪をかけられた老人がつながれていた。ローレンは男の指紋を取ってエミリオ・サンチェス刑事(ジョエル・ヘレラ)に調べるよう依頼する。ローレンは男に話しかける。男はモーガン・ワーナーと名乗り、モンロー家の事情をよく知っていた。ローレンはモーガンの求めに応じて食事を与え、それと引き換えに話を聞き出す。彼はアーチャーの旧友だったが、若い頃に二人の乗った車が人を轢き殺してしまい、死体を山に埋めたものの、その直後にアーチャーに殴られ、地下室に監禁されてしまったというのだ。ローレンは、モーガン・ワーナーという行方不明者がいないかエミリオに調査を依頼する。モーガンを信用していいか迷うローレンだったが、モーガンの言う通り、アーチャーに愛人がいる事実や、山中に実際に白骨死体があることを確認し、ローレンはモーガンの話を信じざるを得なくなる。モーガンはアーチャーのせいで長年、地下室で同じものだけを食べて生き続けてきた苦しみを訴え、ローレンに解放を懇願する。ローレンは良心に従い、彼を解放するとともに、生活に必要な資金を提供し、ハロルドに命じてケイマン諸島に旅立たせる。
その頃、モーガンの調査結果が自宅に届く。ローレンは地下室の整理をしていたため、その書類を母親のキャサリンが開封。ローレンは書類が届いていることに気づき、慌てて帰宅すると、書類を開けて驚いている母親と対面する。母親は、男は極悪人カーソンだと告げる。果たして、指紋の鑑別結果が指した人物の名はモーガンではなかった。また行方不明者のモーガンの写真は全くの別人だった。ローレンは慌ててハロルドのいた空港に行くが、ハロルドとパイロットは死体となっていた。ローレンは地下室に戻り、そこに母親が倒れているのを発見する。地下室にカーソンが現れ、明かりを消すとローレンに襲い掛かり、手錠と鎖でローレンを地下室に拘束する。カーソンは暴行されてぐったりしたキャサリンと、自由を奪われたローレン相手に、得意げに真相を語り始める。カーソンは若いとき、アーチャーの妻キャサリンに薬物を飲ませて彼女をレイプ。そのことでカーソンとアーチャーが口論中、人を轢いてしまう。カーソンは、名家アーチャーの弱みを握って骨までしゃぶりつくそうと考え、まだ息のあった被害者の首を折って殺害。遺体を山に埋めるが、アーチャーが隙をついてカーソンを昏倒させ、地下室に閉じ込めていたのだった。カーソンはアーチャーから受ける暴力に耐えながら復讐の機会をうかがっており、ある日、アーチャーがカーソンに打とうとした毒薬の注射を逆にアーチャーに打つことに成功。逃げ出したアーチャーが外で絶命したのだった。カーソンは、自分がお前の父親だ、と勝ち誇ったようにローレンに叫ぶが、キャサリンが背後からカーソンを撃ち殺す。自分がアーチャーの実の娘ではないという真実を知ったローレンだったが、キャサリンはローレンに寄り添い、あなたはモンロー家の一員だと伝えて手を握る。二人は地下室に油をまくと火を放ち、地下室の外から炎をじっとみつめるのだった。

世間の評判はよくないようだが、なかなか面白い作品だった。ローレンがモーガンを逃がしたところで、どんでん返しがあることを観客は予想するわけだが、きちんとその期待に応え、身の毛のよだつどんでん返しが起きる。これがよかった。さらによかったのがタイトルの妙。「インヘリタンス」は遺産や相続という意味だが、これには二つの意味が込められている。一つは、ローレンが遺産として相続したのが、カーソンというとんでもない人物であるということ。これはカーソン(モーガンになりすましているときの)やローレンが作中で口にしている。もう一つは、作中でははっきりと語られないが、なぜローレンの相続額が極端に少なかったのか、という謎。また、なぜアーチャーとローレンはたびたび衝突を繰り返してきたのか。それは、ローレンがアーチャーの実の子ではなかったからだということが暗示される。ローレンの周囲の人々は、アーチャーは娘を誇りに思っていたとローレンに言っていたが、それは実は、アーチャー自身が自らに、ローレンを自分の娘だと認めないといけないと言い聞かせているようにも思えるのだった。
ちなみに、カーソンは劇中で何度も何かのレシピを唱えているのだが、それが何の意味なのかはよくわからなかった。

【5段階評価】4

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2023年1月12日 (木)

(2440) 俺たちは天使じゃない

【監督】ニール・ジョーダン
【出演】ロバート・デ・ニーロ、ショーン・ペン、デミ・ムーア、レイ・マカナリー、ジェームズ・ルッソ
【制作】1989年、アメリカ

二人の脱獄囚が神父になりすましてカナダに逃げようとする様を描いたコメディ作品。1955年の同名映画のリメイク。

カナダ国境にあるアメリカの刑務所から、凶悪殺人犯のボビー(ジェームズ・ルッソ)が脱獄を企てる。たまたま近くにいたネッド(ロバート・デ・ニーロ)とジミー(ショーン・ペン)は、彼の脱獄に巻き込まれる形で刑務所を脱走する。ボビーと離れた二人が道を歩いていると、老婦人(エリザベス・ローレンス)の運転する車が通りかかる。老婦人は二人を神父と勘違いし、車に乗せる。国境の町では涙の聖母の祭りの時期を迎えており、多くの神父がいた。二人はレベスク神父(ホイト・アクストン)に、著名な書籍の作者であるブラウン神父とライリー神父だと勘違いされ、そのまま教会に連れて行かれる。
ネッドは神父のふりをしながら何とかカナダに渡る手段を探す。ネッドが懺悔室に隠れて足かせをはずそうとしていると、保安官が横の部屋に入ってくる。彼は妻以外の女と寝たと罪を告白し、強引にネッドを寝た相手モリー(デミ・ムーア)と引き合わせる。モリーには聾唖の娘がおり、娘の聾唖を直せない宗教に、モリーは全く関心がなかった。
刑務所長(レイ・マカナリー)が部下を引き連れて町に現れ、血眼になって脱獄囚を探し始める。ネッドは、教会に置かれている涙の聖母をカナダの姉妹教会に運ぶ行進があると聞き、それに参加することにする。行進に加わるには病気を持った人を連れて歩く必要があり、ネッドはモリーに娘を貸してほしいと頼むが、モリーは100ドルを要求。ネッドはジミーに協力を求める。ジミーは信者が差し出した紙幣を集め始める。ネッドが町を歩いていると銃声が鳴り響く。隠れていたボビーが銃を盗もうと店に入り、撃たれたのだ。脱獄囚が打たれたと聞いてジミーだと勘違いしたネッドは、ボビーに神父になりすましている姿を見せてしまう。留置場に入れられたボビーは、自分を助け出さないと巻き添えにするとネッドを脅す。ネッドはジミーにそのことを話すが、その矢先、ジミーがくじによって儀式の前のスピーチをすることになってしまう。壇上に上げられたジミーは、たまたま手にしていた熊対策の銃のチラシを見ながら適当なことを話し始めるが、次第に気分が乗ってきて、素晴らしい演説を披露。町の人々は大喝采し、聞いていたモリーも涙する。スピーチの最中に牢屋の鍵をくすねてボビーを連れ出したネッドは、ボビーを涙の聖母の乗った神輿に隠す。モリーはお金なしで娘をネッドに預ける。ネッドとジミーは、モリーの娘を連れて行進に参加する。ところが、国境の橋の上でボビーの存在がバレてしまい、ボビーはモリーの娘を人質にとる。ジミーはボビーにつかみかかり、仁王立ちになったボビーは保安官たちによって銃撃され、橋の下の川に落下。そのはずみでモリーの娘も川に落ちてしまう。ネッドは意を決して川に飛び込むと、流れてきた涙の聖母に捕まり、川岸にたどり着く。そのとき、モリーの娘が「抜けて・・・きた」と声を出す。人々は娘が声を出したことに感動するが、ネッドとジミーは、自分たちが刑務所を抜けてきたことがバレたと考え、大慌て。しかしレベスク神父は「カトリックを抜けた? 」と二人に尋ね、事なきを得る。
危機を脱した二人は、晴れてカナダに渡ろうとするが、ジミーは神父として生きることを決意。アメリカに戻る。ネッドはモリーと新たな人生を歩む道を選ぶのだった。

ロバート・デ・ニーロが肩をすくめながら両手を挙げるしぐさがこれでもか、と見られる作品。ニセ神父であることがばれそうでばれない様子が楽しく、二人の仕草も、真に受ける周囲の人々も、また、疑ってかかる人々もみんなユーモラス。ずっと臆病でおどおどしていたジミーが、演説の経験を経て人が変わり、ボビーに飛びかかるところはほほえましかった。
序盤にデミ・ムーアの豊満な胸をがちょこっと拝むことができるのだが、必要なシーンだったのかは謎。サービスカットかも。

【5段階評価】4

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2023年1月 7日 (土)

(2435) ミスター・ベースボール

【監督】フレッド・スケピシ
【出演】トム・セレック、高倉健、高梨亜矢、塩屋俊、デニス・ヘイバート、穂積隆信
【制作】1992年、アメリカ、イギリス

中日ドラゴンズに移籍した大リーガーの活躍を描いた野球映画。

ワールドシリーズでMVPに輝いた経歴を持つスラッガー、ジャック・エリオット(トム・セレック)は、成績不振や素行の悪さから、所属するヤンキースを追われ、トレードされることになる。トレード先は日本の中日ドラゴンズだった。やる気の出ないジャックは、厳しい内山監督(高倉健)やチームメイトと対立。通訳の西村洋次(塩屋俊)の忠告を聞かず、監督のバントの指示にも素直に従わない。成績の振るわないジャックは、試合で頭にデッドボールを受け、チームメイトの助っ人外国人、マックス・デュボア(デニス・ヘイバート)の忠告も聞かず、乱闘を起こして処分を受ける。
そんな中、ジャックは、彼にCMの口を持ってきた謎の美女、ヒロ子(高梨亜矢)と恋人の関係となる。ヒロ子はジャックを実家に連れて行く。驚いたことに、ヒロ子の父親は内山監督だった。ジャックは内山家のもてなしに極めて失礼な対応を見せ、ヒロ子は怒って席を立ってしまう。内山監督はジャックを連れて散歩に出ると、自分自身がジャックの可能性を信じて球団に招いたのだと話す。ジャックは改心し、日本流のトレーニングに励み、純粋に野球のボールを打ちたいという強い思いを取り戻す。
心を入れ替え、チームメイトとも打ち解けたジャックは大活躍。内山監督自身が持っている7試合連続ホームランに並び、チームもライバル巨人と優勝争いをする状態になる。そんなジャックに、ドジャースへのシーズン中移籍の話が舞い込む。ジャックは喜び、一緒にいたヒロ子に話すが、ヒロ子は自分より野球を優先するジャックに失望する。
8試合連続ホームランのかかった巨人との直接対決の試合。ジャックは相手から敬遠作戦をとられ、記録に挑むことができない。そして6対5の一点差で迎えた9回裏。二死満塁で打席がジャックに回る。内山監督はジャックに打ての指示を送るが、ジャックは2ストライクの状況から意表を突いたスクイズバントを行う。一塁への捨て身の突進により二走者が帰還し、チームはサヨナラ勝利。ジャックは監督と抱き合って喜ぶ。監督はジャックとヒロ子の中を取り持つため、娘を説得。ヒロ子と父親の関係も修復される。
年が明け、ジャックはデトロイトタイガースに移籍。選手権コーチとなる。ヒロ子もアメリカでデザイナーとして働きながらジャックを応援するのだった。

日本の野球文化や食事のマナーなどが扱われているのが特徴。いわゆるトンデモ日本描写ではなく、誠実に日本の習慣を描いているので、日本人が観て不愉快になるようなことはなく、「そうか、日本では当たり前のことも外国人には奇妙に映るのか」といった気づきやあるあるが楽しい。ラストシーンはハッピーエンドなわけだが、それが日本でのプレーを続けることではなく、大リーグに戻ることであったのは、さすがにそうなのか、とちょっと寂しかった。
作品に登場する野球選手の中には、実際の元プロ野球選手がいたりするのも面白い。、それなりに野球が上手なのも面白い。ジャック役のトム・セレックは打つシーンだけでなく、シートノックのシーンも違和感なく演じているし、デニス・ヘイバートも、本当に助っ人外国人のような立派なバッティングフォームを見せる。レオン・リーやアニマル・レスリーなど、実際の助っ人外国人が出演しているのも、日本人には楽しい趣向だった。

【5段階評価】4

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2023年1月 6日 (金)

(2434) コンフィデンスマンJP 英雄編

【監督】田中亮
【出演】長澤まさみ、東出昌大、小日向文世、瀬戸康史、城田優、生田絵梨花、松重豊、江口洋介
【制作】2022年、日本

テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版第3作。「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の続編。貴重な彫像をめぐる詐欺師同士の戦いを描くコミカルサスペンス作品。

ダー子(長澤まさみ)、リチャード(小日向文世)、ボクちゃん(東出昌大)の3人は、7日間で最も大金を稼いだ者が勝ちという勝負をすることにする。舞台はマルタ共和国。ダー子は富豪のジェラール・ゴンザレス(城田優)が持つ20億円相当の彫像「踊るビーナス」に目を付ける。ダー子は相棒の五十嵐(小手伸也)と手を組み、自衛隊士官に化けてジェラールに接近。しかし、ボクちゃんの方が先にジェラールの内縁の妻、畠山麗奈(生田絵梨花)に取り入っていた。そこにインターポールのマルセル真梨邑(瀬戸康史)や日本の刑事、丹波(松重豊)が現れ、美術品を守ろうとする。
そんな中、ボクちゃんと麗奈が何者かに誘拐される。ジェラールは身代金として踊るビーナスを差し出し、二人は助け出されるが、ボクちゃんは、誘拐犯は伝説の詐欺師ツチノコであり、その正体はリチャードだったと証言する。実はマルセルと丹波は、ダー子らに恨みを持つ赤星栄介(江口洋介)に接近し、ダー子、リチャード、ボクちゃんが詐欺師であることを見抜いていた。マルセルはあえてリチャードを泳がせ、ホテルに戻ってきたリチャードをはじめ、ダー子とボクちゃんを一網打尽にする。ボクちゃんは牢屋の中で、自分たちは罪を償おうと涙ながらに訴え、ダー子も涙する。
翌朝、三人はインターポールに連行されるが、丹波は赤星から被害届を受理し、三人の逮捕権を発動。身柄は日本の警察に引き渡される。マルセルはくやしがるが、三人の身柄は、実は彼にとってどうでもよかった。彼こそが、四代目ツチノコを名乗る詐欺師であり、彼の狙いは踊るビーナスだったのだ。彼は踊るビーナスを、数多くの美術品で埋め尽くされた秘密の隠れ家に収納し、悦に入る。詐欺仲間と喜ぶマルセルだったが、彼のもとに、踊るビーナスを取り戻して喜ぶジェラールと麗奈の映像がメールで届く。マルセルが慌てて隠れ家に戻ると、セキュリティの奥にある隠し部屋の中は空っぽ。すぐさまジェラール邸に向かったマルセルだったが、屋敷はもぬけの殻。隠し金庫に置かれていたのは「(C)ダー子」と書かれた偽の踊るビーナスだった。ダー子達は、山奥にあるマルセルの隠れ家と全く同じ隠れ家を作り、そこにマルセルを誘導。そこに設置した偽物のセキュリティシステムで暗証番号とマルセルの掌紋を盗み取り、本物のセキュリティシステムを解除して、中からマルセルのだまし取った美術品を根こそぎかっさらったのだ。ダー子は、三代目ツチノコ(角野卓造)のために、四代目ツチノコを騙る詐欺師の成敗を約束していた。その目的のため、ダー子は、リチャード、五十嵐だけでなく、ジェラールや麗奈、丹波や赤星までも味方に付け、マルセルを騙したのだった。ダー子は、踊るビーナスの贋作者を通じて、ボクちゃんからだまし取った5万ユーロを手にして、勝負に勝ったと宣言するが、その金は偽札。贋作者に化けていた三代目ツチノコがその金をせしめていた。ダー子達は、それにもめげず、次の作戦に挑むのだった。

本シリーズは、張っている伏線を終盤でしっかりと回収するのが醍醐味。一方で、観ている側は全てを疑ってかかるので、マルセルがきっと詐欺師であることや、ダー子達が最終的に勝利することは、ある程度読めてしまう。そうなると、ダー子達が捕まって牢屋に入っても、これはたぶん本当じゃないな、とか、丹波もたぶん本当の刑事ではないなとか、観る側がハラハラしない。これは、本作の避けがたい宿命だ。そういう意味では、最後のどんでん返しはどんでん返しでもないわけだが、それでも、種明かしのシーンは痛快。安心して楽しめる作品だ。

【5段階評価】4

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2023年1月 1日 (日)

(2429) ランボー ラスト・ブラッド

【監督】エイドリアン・グランバーグ
【出演】シルベスター・スタローン、イベット・モンレアル、アドリアナ・バラッザ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ
【制作】2019年、アメリカ

家族同様の少女を殺された男の復讐劇を描いたアクション作品。「ランボー 最後の戦場」の続編。

牧場を営むジョン・ランボー(シルベスター・スタローン)は、家政婦のマリア・ベルトラン(アドリアナ・バラッザ)と静かな余生を過ごしていた。ジョンは、マリアの孫娘ガブリエラ(イベット・モンレアル)を娘同様にかわいがっていたが、彼女は実の父親に会うため、メキシコに行き、売春組織に捕らえられてしまう。ジョンはガブリエラを取り戻すため、メキシコに渡って彼女を探すが、売春組織に見つかって暴行を受け、ガブリエラは麻薬漬けにされてしまう。ジョンは売春宿に出向き、売春組織の人間をハンマーで殴りつけ、強引にガブリエラを連れ戻すが、帰りの車の中でガブリエラは息を引き取ってしまう。
復讐に燃えるジョンは、自分の牧場に数々のトラップを設置。再度メキシコに渡り、売春組織を率いる兄弟のうち、弟のビクトル(オスカル・ハエナダ)の屋敷を襲撃。弟がベッドの上で首なし死体となっているのを見た兄のウーゴ(セルヒオ・ペリス=メンチェータ)は、仲間を率いてジョンの牧場に乗り込む。しかし、ジョンの戦闘能力と数々のトラップの前に、彼らは次々と惨殺される。最後に残ったウーゴも、弓矢で身動きを取れ亡くされ、最後はジョンにナイフを突き立てられ、心臓をつかみ取られてあえなく死ぬ。勝利したジョンは静かにロッキングチェアに座り、思いをはせるのだった。

個人的には大好き。しかし、評価は相当分かれる作品だろう。ホラー映画ばりの殺戮。家族を捨てたガブリエラの父親(マルコ・デ・ラ・O)のステレオタイプな人物像。メキシコは治安が悪く犯罪や汚職がはびこっているという偏見的な描き方。過剰な復讐劇を正当化するための少女の死。挙げればいろいろある。
しかし、ランボー・シリーズは、一作目こそ、ベトナム帰還兵の苦悩を描いたメッセージ性のある作品だったものの、二作目以降はだんだん、メッセージ性の乏しいアクション映画になっていたので、ランボーというエポックメイキングなシリーズを穢したという評価は当たらないだろう。
すでに頭が吹き飛んでいる死体にとどめを刺したり、串刺しになって動けない人間に機関銃を乱射したり、最後は身動きが取れない人間にナイフを突き立て、心臓を抜き取る(テレビではカットされていたが)という残虐ぶり。スプラッタ・ムービーのような展開だが、娯楽作品なのだから、これはこれでありだ。

【5段階評価】4

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2022年12月31日 (土)

(2428) ヴェノム

【監督】ルーベン・フライシャー
【出演】トム・ハーディ、ミシェル・ウィリアムズ、リズ・アーメッド、ジェニー・スレイト
【制作】2018年、アメリカ

マーベル・コミック・ヒーローものの特撮映画。地球外生命体と融合した男の活躍を描いている。

ライフ財団のトップ、カールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)は、環境破壊の進む地球を見捨てて別の星に移り住むため、地球外生命体との融合実験を進めていた。地球外生命体を捕らえたライフ財団の宇宙船が墜落し、捕らえた四体のうち一体が逃げ出して人間に寄生する。ジャーナリストのエディ・ブロック(トム・ハーディ)は、カールトンの人体実験の事実を暴こうと彼に接近するが、逆に職場を解雇され、恋人の弁護士アニー(ミシェル・ウィリアムズ)にも別れを告げられる。ライフ財団の研究者、ドーラ・スカース(ジェニー・スレイト)は、カールトンの暴走に付いていけなくなり、エディに接近。ドーラとともにライフ財団の研究室に入ったエディは、地球外生命体に寄生されてしまう。それによってエディは、超人的な能力を持つヴェノムとなる。一方、逃げた生命体はカールトンに寄生。エディのヴェノムより強力な生命体となったカールトンは、自分の仲間を地球に呼び寄せるため、ロケットを打ち上げようとするが、エディが死力を尽くしてそれを阻止。カールトンのヴェノムはロケットの爆発に巻き込まれて消滅する。エディはヴェノムを内に秘めたままジャーナリストとして生きていくこととなり、刑務所に厳重に収監されている殺人鬼(ウディ・ハレルソン)の取材に取り組むのだった。

超人的な力がありながら、高周波の騒音に弱いという弱点も持つのが特徴的。特撮はよくできていた。ただ、主人公が覚醒するまでの話が長く、中盤は「ヴェノムまだかなあ」とダレ気味だった。最後の殺人鬼への取材のシーンは次作への振りだが、こういう中途半端な終わり方は好きではない。

【5段階評価】4

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2022年12月18日 (日)

(2422) 恋に落ちたシェイクスピア

【監督】ジョン・マッデン
【出演】ジョセフ・ファインズ、グウィネス・パルトロウ、ジュディ・デンチ、コリン・ファース
【制作】1998年、アメリカ、イギリス

劇作家と王女の実らぬ恋を描いた恋愛映画。第71回アカデミー賞作品賞受賞作品。

借金を抱えた劇場主ヘンズロー(ジェフリー・ラッシュ)は劇作家シェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)に脚本の作成を依頼。裕福な家の娘バイオラ(グウィネス・パルトロウ)は、演劇が大好きで、役者になることを夢見る。劇場には男性しか立てなかった時代。彼女は男性に扮し、トマス・ケントと名乗って役者集めに参加。シェイクスピアは一目で気に入り、主役に抜擢する。やがてシェイクスピアは、トマスの正体が一目ぼれの相手バイオラであることを知る。二人はバイオラの部屋で一夜をともにする。バイオラは、傲慢なウェセックス卿との結婚を強いられる運命にあったが、男性に扮して劇の稽古に励みつつ、シェイクスピアと愛し合う。シェイクスピアは、バイオラとの愛に着想を得て、「ロミオとジュリエット」を完成させる。しかし、トマスが女性であることが明るみに出てしまい、劇場は閉鎖。バイオラは劇場を追い出される。演劇は別の劇場で上演されることになり、上演の日、バイオラはウェセックス卿との結婚式を抜け出して劇場に駆け付ける。劇場ではジュリエット役の代役が必要となる事態になっており、セリフを覚えていたバイオラが急遽、ジュリエット役を担うことになる。バイオラは、ロミオ役のシェイクスピアとともに演劇を大成功に導く。バイオラを追って劇場に駆け付けたウェセックス卿は、警察を呼んでシェイクスピアらを逮捕させようとするが、そこに女王(ジュディ・デンチ)が現れ、バイオラは男だと宣言。バイオラの行動はおとがめなしとなるが、神に誓った結婚はご破算とはならなかった。バイオラはシェイクスピアに最後の別れを告げ、ウェセックス卿とともに、新天地アメリカに向かう。その船は、シェイクスピアとバイオラが思い描いた戯曲の通り難破し、ただ一人岸辺にたどりついたバイオラは、自ら新天地を進み始めるのだった。

有名なロミオとジュリエットの物語ができあがっていく過程と、シェイクスピアとバイオラの恋の進展が絡み合うという展開が秀逸。公開当時26歳のグウィネス・パルトロウのスレンダーな裸体も見られる。

【5段階評価】4

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2022年12月11日 (日)

(2419) オルカ

【監督】マイケル・アンダーソン
【出演】リチャード・ハリス、シャーロット・ランプリング、ウィル・サンプソン、ピーター・ホーテン
【制作】1977年、アメリカ、イタリア

シャチと人間の死闘を描いた動物パニック作品。

漁師のノーラン(リチャード・ハリス)は、水族館に売るためのシャチを生け捕りにしようと、海に出る。シャチの群れを発見したノーランは、オスめがけて銛を放つが、銛はオスシャチの背びれをかすめ、メスのシャチに当たってしまう。ノーランはそのままシャチを船に釣り上げる。すると血まみれになったメスの体から胎児が飛び出す。それはまるで人のようだった。ノーランは気味悪がり、ホースの水で子どもを海に落とす。オスシャチは船底に体当たりを続け、恐れをなしたノーランは、乗員のノバック(キーナン・ウィン)に命じて、釣り上げたメスシャチを海に落とさせるが、オスシャチは船からせり出したポールにしがみついているノバックに襲いかかり、ノバックは海に引きずり込まれて命を落とす。
ノーランらは港に戻るが、オスシャチはノーランの船をつけ、海岸にメスシャチの遺体を運び込む。動物学者のレイチェル(シャーロット・ランプリング)は、シャチの習性や知能の高さをノーランに説き、ノーランはシャチを捕らえることを断念する。しかし、オスシャチは港の船を破壊したり、小屋に体当たりして火事を起こすなどして、漁村に損害を与える。
ノーランの仲間で、オスシャチに船を襲われた際に足を骨折したアニー(ボー・デレク)が、海辺の小屋でワインを飲もうとすると、小屋にオスシャチが体当たり。小屋は傾き、うまく動けないアニーは、駆けつけたノーランやポールの救助もむなしく、片足を食いちぎられてしまう。ノーランは仲間とともに漁村から逃げだそうとするが、漁村の人々は、ノーラン達がオスシャチを放置したまま村を去ることを許さなかった。ノーランは船を海に出すことを決意する。
ノーランの船には、レイチェル、ポール(ピーター・ホーテン)、ケン(ロバート・キャラダイン)、ウミラク(ウィル・サンプソン)が乗り込む。船が沖に出ると、ほどなくオスシャチが現れる。オスシャチは船を北に誘い、ノーランはそれに従う。不用意に船の側面に立っていたケンがオスシャチに襲われ、命を落とす。次第に流氷が現れ始め、ポールは救助艇で逃げようとするが、オスシャチが救助艇に体当たりし、ポールも殺される。オスシャチはさらに氷山を船にぶつけ、船に大量の氷塊が落下。ウミラクが下敷きになって死亡する。ノーランとレイチェルは沈みゆく船から脱出して氷山の上に這い上がるが、ノーランはオスシャチに襲われ、海に投げ出されてしまう。オスシャチは尾びれでノーランを跳ね飛ばし、氷山に激突したノーランは、そのままずるずると海に沈んでいく。救助のヘリコプターが到着する中、レイチェルはなすすべなく、ノーランの沈んでいった海面を見つめるのだった。

ジョーズ」の大ヒットに続く動物パニック作品。陸地で暮らす人間がいかに海で動物と戦うことになるか、という点において、「ジョーズ」は主人公達がハンターという設定だが、本作では漁村の人々が主人公らを海に追い込むというのが秀逸。シャチの知能の高さや、なんで氷山の浮かぶ北洋でシャチと戦うの、というのがご都合主義ではあるが、ノーランが仲間を殺され、村人に冷たい目で見られ、精神的に追い込まれていく様子がうまく描かれていた。

【5段階評価】4

漁村の人々がノーランを追い込んでいくという設定は、巧みだった。

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2022年12月 6日 (火)

(2417) 劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明

【監督】小島正幸
【出演】富田美憂(声)、伊瀬茉莉也(声)、井澤詩織(声)、水瀬いのり(声)、森川智之(声)
【制作】2020年、日本

つくしあきひと原作漫画の劇場版。「劇場版総集編 メイドインアビス【後編】放浪する黄昏」の続篇。子供向けアニメのような絵柄ながらR15+指定という異色作。

謎の大穴「アビス」を冒険する少女リコ(富田美憂)、記憶喪失のロボット、レグ(伊瀬茉莉也)、獣人のようなナナチ(井澤詩織)の三人は、人体に寄生する虫のはびこる第4層を抜け、第5層にたどり着く。そこには、ナナチに過酷な運命を与えたボンドルド(森川智之)と、その娘プルシュカ(水瀬いのり)がいた。プルシュカはリコらを歓迎する。ボンドルドも表向きは彼らを歓迎するが、その本心は、アビスの解明にあった。ボンドルドの一味はレグを捕らえて片腕を切り落としたり、排泄物を確認したりする。そこに、ナナチ、リコ、プルシュカが現れ、レグを救い出す。ナナチ、リコ、レグはボンドルドをおびき寄せて抹殺しようとするが、大ボンドルドの取り巻きが、大岩に潰されたボンドルドの兜を受け継ぐと、その者がボンドルドに生まれ変わってしまう。
ボンドルドは娘であるプルシュカを自らの力の増大のために利用。プルシュカは臓器と脳をトランクに詰められただけの存在になってしまう。レグは研究所の電気を大量に充電して強大な力を得、ボンドルドを倒す。ボンドルドは自分より強い意志を持ったナナチらとの戦いに感謝する。リコ、レグ、ナナチは、蘇ったボンドルドの見守る前で、冒険の鍵となる白笛となったプルシュカとともに、第6層に進むのだった。

人体に寄生する虫、臓器だけの存在となった人間など、12歳前後の少年少女が直面するには、あまりにも過酷な状況が描かれている。単にグロテスクなだけだと、見ていて気分が悪くなるのだが、ほのぼのアニメ調の絵柄で緩和され、登場人物達の感情に集中できる。次にどのような運命が主人公達を待ち受けるのか。最後まで目が離せないシリーズだ。

【5段階評価】4

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