評価4の映画

2020年5月27日 (水)

(2076) ライアー ライアー

【監督】トム・シャドヤック
【出演】ジム・キャリー、モーラ・ティアニー、ジャスティン・クーパー、ジェニファー・ティリー
【制作】1997年、アメリカ

子どもの願掛けによって本音しか言えなくなった弁護士が、愛する一人息子との絆を取り戻す様子を描いたコメディ作品。

弁護士のフレッチャー・リード(ジム・キャリー)は、出世のために家族より仕事を優先し、何かと嘘の言い逃れをしては家族との約束をないがしろにしていた。息子のマックス(ジャスティン・クーパー)は、誕生日パーティに父親が来てくれなかったことを悲しみ、一日だけパパが嘘をつけなくなってほしいと誕生日のお願いをする。するとフレッチャーは、お世辞を言うことも、物乞いに小銭がないと言うこともできなくなり、エレベーターに乗り合わせたセクシーな女性に向かって胸にしゃぶりつきたいと言ってしまったり、秘書の女性に給料を上げる気はないと断言してしまったりするようになってしまう。自分の浮気が原因で離婚することになり、夫から財産分与を受けるための弁護を依頼してきたサマンサ・コール(ジェニファー・ティリー)に対しても、本音では浮気女と思っているため、まともな弁護ができなくなってしまう。離婚した妻のオードリー(モーラ・ティアニー)にも、息子のパーティに行けなかったのは上司の女性とセックスしていたからだと正直に言ってしまい、オードリーは新しい恋人のジェリー(ケイリー・エルウィス)の待つボストンに引っ越すことを決意する。
息子に会えなくなることを悲しんだフレッチャーは、仕事が終わったら絶対に会いに来ると約束。圧倒的に不利な裁判の席で、サマンサが結婚当時、まだ17歳であり、結婚できない年齢だったことに気づき、当時の結婚は無効で、その時に交わされた「浮気した場合は離婚時の財産分与はなし」という契約も無効だと主張し、逆転勝訴。フレッチャーは急いで空港に向かい、オードリーとマックスの乗る飛行機を無理矢理停止させ、ボストン行きを阻止する。三人は再び強い絆で結ばれ、幸せな生活を取り戻すのだった。

ジム・キャリーの魅力が十分に生かされた作品。「マスク」のように特撮に頼らず、生身のジム・キャリーの演技だけで勝負しており、より彼の役者としての実力が発揮された一作になっている。エンディングでのNGシーンでは、けっこうアドリブで撮影していることが分かり、興味深かった。
物語もハッピーエンドで微笑ましいのだが、オードリーを譲ったジェリーが、いい人すぎてちょっとかわいそうだった。例えばコールがジェリーの人柄に惚れて、浮気と決別して彼の新しい恋人になるとか、何か救いがあってもよかった。

【5段階評価】4

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2020年5月 9日 (土)

(2063) 太陽がいっぱい

【監督】ルネ・クレマン
【出演】アラン・ドロン、モーリス・ロネ、マリー・ラフォレ、ビル・カーンズ
【制作】1960年、フランス、イタリア

金持ちの友人を殺して彼になりすまそうとした男の運命を描いたサスペンス。

裕福な父親を持つフィリップ(モーリス・ロネ)は、友人のトム・リプレー(アラン・ドロン)と、父親の金で遊んでいた。トムはフィリップの父親から息子をアメリカに連れ戻すよう依頼されていたが、フィリップにその気はなく、貧乏なトムはフィリップの使いっ走りをするしかない。
フィリップにはマージュ(マリー・ラフォレ)というフィアンセがおり、三人でヨット旅行を企てるが、フィリップとマージュは喧嘩をしてしまい、寄港地でヨットを降りてしまう。トムとフィリップは、トムがフィリップになりすませば金持ちになれるという計画を話題にする。危険が身に迫っていることを案じたフィリップは、わざとポーカーに負けてトムに金を払おうとするが、トムは話の通りヨットの上で彼を殺害。死体とヨットの碇にワイヤーに巻き付け、海の真ん中に投棄する。
手先の器用なトムは、パスポートを偽造し、フィリップのサインをまねる訓練をし、銀行から彼の金を引き出すことに成功。フィリップになりすまして家を借りるが、そこにフィリップの知人、フレディがやってきて、トムがフィリップになりすましていることを見抜いてしまう。トムはフィリップを部屋にあった彫像で殴り殺し、夜中に彼を抱えて市中に捨てる。警察は、フィリップがフレディを殺し、失踪したと考える。トムは次第にマージュと愛し合うようになる。
全てがうまく行ったと思われたが、フィリップの遺体に巻き付けたワイヤーが船のスクリューに絡まり、フィリップの死体が陸に上がってしまう。そうとは知らずにビーチの売店の椅子でくつろぐトムに、警察の手が伸びるのだった。

アラン・ドロンの代表作としてあまりに有名な作品。今までも何度か録画されていたものの、古すぎるのでついつい観ずにいたのだが、今回初めて鑑賞。金持ちのボンボンを父親のもとの連れ戻そうとして、ボンボンになりすます、という展開に、あれ、なんだか観たことあるな、確か人名がタイトルの作品だったな、と思ったら、途中で「リプリー」に思い当たった。「リプリー」が本作のリメイクであることを知らずに観ていたことが判明。
トムには怒りや嫉妬、さまざまな感情が渦巻いているはずだが、本作はそこをえぐるような表現は控えめで、トムが恨みを募らせていく過程、マージュの心を巧みに引き寄せる行動を叙事的に淡々と描いている。トムがフィリップの死体を海に投げ捨てるシーンには、BGMすらない。これにより、観客は、トムに安っぽい感情移入をしすぎず、純粋にこの物語の結末を純粋に楽しむことができる。ちゃんと面白い名作だった。

【5段階評価】4

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2020年4月22日 (水)

(2056) 忠臣蔵

【監督】渡辺邦男
【出演】長谷川一夫、鶴田浩二、滝沢修、市川雷蔵、勝新太郎、京マチ子、山本富士子、淡島千景
【制作】1958年、日本

切腹に処された主君の仇討ちに挑む赤穂藩の武士を描いた時代劇。

吉良上野介(滝沢修)に田舎侍と散々罵られた赤穂藩主、浅野内匠頭(市川雷蔵)は切腹に処され、吉良上野介は放免となる。浅野内匠頭の中心、大石内蔵助(長谷川一夫)は、敵討ちを決意するが、それを決して周囲に漏らさぬよう、家族や浅野内匠頭の妻、瑤泉院(山本富士子)にすら何も言わずに酒と女に興じる。大石は密かに江戸に入り、12月14日、大挙して吉良の屋敷に乗り込み、宿願を果たす。

台詞回しがいかにも芝居がかっていて古めかしく、お酒を「ご酒(ごしゅ)」と言ったりするので、日本語作品なのに字幕がないと理解できないほど。退屈な作品かと思ったが、シーンごとの展開が早く、登場人物ごとの物語が分かりやすく描かれている。吉良邸の絵図面を手に入れるための岡野金右衛門(鶴田浩二)とお鈴(若尾文子)恋物語や、大石の男ぶりに負けて協力する側に回る女間者のるい(京マチ子)、夫の位牌を見てその覚悟を察して身を引く妻のりく(淡島千景)、大石が垣見五郎兵衛になりすましていることを知った垣見五郎兵衛本人(中村鴈治郎)が、大石の覚悟を意気に感じて自分の手形を自分が偽造した物だと言って渡すシーンなど、浪花節のエピソードがてんこ盛りで、2時間半以上の長い作品だが一気に観られた。

【5段階評価】4

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2020年3月29日 (日)

(2040) GANTZ:O

【監督】川村泰
【出演】小野大輔(声)、早見沙織(声)、M・A・O(声)、郭智博(声)、ケンドーコバヤシ(声)
【制作】2016年、日本

奥浩哉の漫画が原作の3DCGアニメ作品。大阪での主人公達と凶悪な敵との戦いが描かれている。

弟と二人暮らしの高校生、加藤勝(小野大輔)は、ある日、通り魔に襲われた人を助けようとして通り魔になすすべなく殺されてしまう。ところが彼は死の瞬間、謎の部屋に転送される。そこには巨乳アイドルのレイカ(早見沙織)、中学生の西(郭智博)、中年男性の鈴木良一(池田秀一)がおり、勝は彼らと大阪に転送され、ぬらりひょんと戦うことになる。そこには妖怪の姿をした魔物が徘徊していた。戦い慣れした西が敵を倒すが、多くの敵に彼らは翻弄される。そこに大阪から転送されてきた部隊が現れ、次々と大物を倒していくが、ボスは次々と変化を遂げ、大阪で何度も戦いをくぐり抜けてきた室谷信雄(レイザーラモンRG)や島木譲二(レイザーラモンHG)、岡八郎(ケンドーコバヤシ)らも殺されていく。勝は、レイカと大阪組の杏(M・A・O)の協力のもと、敵を倒す。生き残ってもとの部屋に転送された勝は100点を取り、報酬として殺された杏を復活させると、弟の待つ家に帰るのだった。

敵との壮絶な戦いを描いたCGの迫力が作品の見所。CGアニメでPG12指定だけのことはあった。ストーリーとしては、これでもかというほど強くなり、とても倒せそうもない怪物を倒すという単純な話だが、映像の迫力が素直に楽しい作品。本当に好きな人が作っているんだろうなあと感じた。実写版を観たときにはあまり感じなかったが、原作漫画を読み返したくなった。

【5段階評価】4

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2020年3月28日 (土)

(2039) カウボーイ&エイリアン ロング・バージョン

【監督】ジョン・ファブロー
【出演】ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリビア・ワイルド、サム・ロックウェル
【制作】2011年、アメリカ

西部開拓時代の地球にやってきたエイリアンとカウボーイ達との死闘を描いた作品。

ある男(ダニエル・クレイグ)が、見覚えのない頑丈な腕輪をつけた状態で、一人荒野で目覚める。男は盗賊団のボス、ジェイク・ロネガンだったが彼にその記憶はない。地域の実力者ウッドロー・ダラーハイド(ハリソン・フォード)は、粗暴な振る舞いで捕まった息子(ポール・ダノ)を取り返そうと街に戻るが、そこに謎の飛行物体が現れ、街を破壊し、機体からロープのようなものを飛ばして人々を捕らえて連れ去る。するとジェイクの腕輪が反応。武器だと直感したジェイクはそれを使って飛行物体を撃ち落とす。街からは人を襲って負傷した生物が逃げ去る。
連れ去られた人々を救い出すため、ウッドローとジェイクは手を組み、街の人々とともに逃げた生物の足跡を追う。彼らは再び飛行物体の襲撃に遭う。ジェイクと行動を共にしていた女性エラ(オリビア・ワイルド)が生物に襲われて負傷し、息を引き取る。ところが彼女の遺体を火にくべると、彼女は炎の中から蘇る。彼女は別の星から来た存在だった。インディアンを介して、彼女は顛末を説明する。飛行物体の生物は金(きん)を目的に地球に来ており、人間の弱点を探るために人々を連れ去っていた。やがて大群でやってきて人間を滅ぼすだろう、我々の星も住む場所を失った、力を合わせて宇宙人を倒すべきだ、とエラは説明する。インディアンの儀式により、ジェイクは記憶を取り戻す。彼は妻とともに宇宙船に連れ込まれ、妻は殺されていた。彼は宇宙人が外した腕輪をとっさに奪って反撃し、宇宙船から逃げたところで記憶を失っていたのだった。
ウッドローらとインディアンは手を組み、ジェイクはかつての盗賊仲間を引き入れる。彼らは宇宙船の場所にたどり着くと、宇宙人との死闘の末、捕らわれた人々を救い出す。エラは単身で宇宙船の心臓部に入り込み、宇宙船を破壊。街に平和が戻るのだった。

絵に描いたようないがみ合いをしていた人同士が手を取り合って、凶悪で無慈悲な共通の敵を倒すという、ただただ痛快な作品。タイトルがしょぼいので、どうかと思ったが、俳優は本格的で面白かった。ただまあ、ジェームズ・ボンドとインディ・ジョーンズが登場している割には、トンデモ映画だったと言えるだろう。
まず、地球に宇宙船で飛んでくるほどの高度な技術を持ったエイリアンが、言語も持たないようなただただ凶悪で野蛮な宇宙人という設定が、ご都合主義の最たるもの。人体を粉砕するレーザー銃のようなものを持っていながら、肉弾戦で戦って返り討ちに遭ったり子どもの扱うナイフで一撃死したり、そもそも防護服も着ている様子もなく素っ裸で戦ってるし。そして問答無用に人を殺していながら、さらった人は生かしてお置いておく理由もよく分からない。そして、宇宙人の一撃で即死する仲間が続出する中、ジェイクとウッドローには弾も当たらなければ敵が即死させることもないというのもお約束の通り。そういう点でのひねりは全くない作品だった。

【5段階評価】4

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2020年3月26日 (木)

(2038) ウォッチメン

【監督】ザック・スナイダー
【出演】パトリック・ウィルソン、ビリー・クラダップ、マリン・アッカーマン、マシュー・グッド
【制作】2009年、アメリカ

正義のヒーロー殺害の謎を追うダークファンタジー。アメコミヒーローものだが、「アベンジャーズ」シリーズに比べると陰湿で残酷なシーンも多く、R15+指定されている。

第二次世界大戦前、マスクをかぶって悪者を退治してきたヒーローたちが結成した「ミニッツメン」が「ウォッチメン」として生まれ変わるが、そのうちの一人、コメディアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)が何者かに殺害される。ヒーローの一人、ロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリー)が事件の謎を追うが、彼自身、殺人の疑いをかけられ、刑務所行きとなる。時間を超越する能力を持つDr.マンハッタン(ビリー・クラダップ)は、周囲の人間が癌で死んでいるとマスコミに指摘され、地球に対する愛情を失い、恋人のシルク・スペクターII(マリン・アッカーマン)を捨てて火星に逃げる。シルク・スペクターIIはナイトオウルII世(パトリック・ウィルソン)とともに、正義のヒーローとしての活動を再開し、ロールシャッハを刑務所から連れ出す。そこにDr.マンハッタンが現れ、シルク・スペクターIIを火星に連れて行く。ナイトオウルII世とロールシャッハは、黒幕がウォッチメンの一員オジマンディアス(マシュー・グッド)であることに気づき、彼のいる南極の拠点に向かう。オジマンディアスは、自分がコメディアンを殺害し、Dr.マンハッタンを火星に追い込んだと二人に告白。二人はオジマンディアスに戦いを挑むが歯が立たない。そこに、シルク・スペクターIIの説得により、地球を救う使命感を取り戻したDr.マンハッタンが現れる。彼はオジマンディアスに圧倒するが、オジマンディアスの行動の目的は、自らの世界征服ではなかった。米ソの核戦争の危機を救うため、Dr.マンハッタンが人類共通の敵であるように見せかけようとしていたのだ。それを理解したDr.マンハッタンは、ヒーローが悪者になることを隠し続けることに耐えられないと叫ぶロールシャッハを泣く泣く抹消。しかし、ロールシャッハが捜査の過程で記してきた手記は、平和ぼけした社会で記事に困っている新聞社のもとに届くのだった。

けっこう長い見応えのある作品。あらすじでは省略してしまったが、シルク・スペクターIIの実の父親がコメディアンだったとか、いろいろなドラマが詰め込まれており、何度か観てかみしめる価値のある作品。特撮もよくできていて、銃やナイフで脚や腕を貫いたり、両腕を回転のこぎりで切断したり、東部になたを振り下ろしたり、といった残酷な映像もリアル。ただ、ヒーローものにしてはちょっと暗すぎた。

【5段階評価】4

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2020年3月17日 (火)

(2033) それでも夜は明ける

【監督】スティーブ・マックイーン
【出演】キウェテル・イジョフォー、ルピタ・ニョンゴ、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ
【制作】2013年、アメリカ、イギリス

白人に騙されて奴隷にされた男が家族との再会を果たすまでを描いた実話に基づく作品。第86回アカデミー賞作品賞受賞作品。

バイオリン演奏家のソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)は、愛する妻と二人の子どもを持ち、幸せに暮らしていたが、ある日、二人の白人に騙され、黒人奴隷にされてしまう。彼はプラットと名前を付けられ、材木商人のフォード(ベネディクト・カンバーバッチ)に売られる。フォードは紳士的な男だったが、ソロモンが白人の農園監督ジョン(ポール・ダノ)の恨みを買い、殺される危険が生じたことから、フォードは彼を綿花業者のエドウィン(マイケル・ファスベンダー)に売り渡す。エドウィンは残酷な男で、若い女性奴隷のパッツィ(ルピタ・ニョンゴ)を性的に虐待したり、些細なことでむち打ちにしたりした。ソロモンは生き続けるために自分の身分を隠し、奴隷として過ごしていたが、奴隷制度に反対するカナダ人の大工サミュエル・バス(ブラッド・ピット)に心を開き、自分の有人に手紙を書いてほしいと依頼。やがてソロモンの知人パーカーが保安官を伴って現れ、ソロモンの素性を確認すると、エドウィンからソロモンを取り返す。
12年ぶりに家に帰ったソロモンは、家族に謝罪するが、妻はあなたが謝る必要は何もない、と言って優しく出迎える。娘は成長し、子どもを産んでいた。ソロモンは奴隷解放の活動家となるが、彼の最期は明らかになっていないのだった。

奴隷制度の理不尽さを鮮烈に描き切った見事な作品。スティーブ・マックイーンが、原作に感銘を受けて映画化した。黒人が所有物として扱われ、自由も尊厳も奪われて、おびえて暮らすしかない時代。ソロモンは決して理不尽さに正義をもって立ち向かう英雄ではない。圧倒的な不義に飲み込まれ、逃げるきっかけを伺いつつも逃れるすべを見いだせない弱い存在だ。そこに現実味があった。
パッツィのむち打ちのシーンが圧巻。何度か背中の見えない前面から背中を打つ映像を流すが、カメラが背中を捕らえると、パッツィの背中に鞭が当たり、次々と背中が裂け、皮がめくれていく。このシーンは目を覆うほどの迫力があった。制作陣の意気込みを感じた。
奴隷制度は日本人にはあまりなじみがないが、人種差別のむごさを教えてくれる作品だった。

【5段階評価】4

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2020年3月 9日 (月)

(2025) 劇場版総集編 メイドインアビス【後編】放浪する黄昏

【監督】小島正幸
【出演】富田美憂(声)、伊瀬茉莉也(声)、井澤詩織(声)、森川智之(声)
【制作】2019年、日本

つくしあきひと原作漫画のテレビアニメの総集編前編。底知れぬ大穴に挑む少女の冒険を描いた作品。「劇場版総集編 メイドインアビス【前編】旅立ちの夜明け」の続編。

深界四層にたどり着いたリコ(富田美憂)とレグ(伊瀬茉莉也)は、タマウガチという毒を持つ猛獣に襲われ、リコが左腕を毒針で負傷。レグの伸びるアームで二人は上に逃げたが、リコの左手は何倍にも腫れ上がり、目や鼻や口から流血して呼吸が止まってしまう。泣き叫ぶレグに、声をかけてきたのが、ナナチ(井澤詩織)だった。彼は自分の住処にレグとリコを誘い、リコの治療を始める。ナナチにはミーティ(喜多村英梨)という同居人がいた。彼女はかつて人間の女の子だったが、ボンドルド(森川智之)という男の人体実験に供され、異形の生物になってしまい、ナナチもぬいぐるみのような姿になってしまったのだった。ナナチはレグの腕から放出される強力な火葬砲を見て、生きる苦しみから救うためにナナチを葬り去ってくれとレグに頼む。ナナチの苦しみを知り、レグはそれに応じる。やがてリコは意識を取り戻し、左手も少し動くようになる。リコはナナチに冒険の同行を頼み、ナナチは了解。3人はさらなる深みを目指すのだった。

本作で全ての謎が解けるのかと思っていたが、そうではなかった。それどころか、本作の大半において主人公は昏睡状態。いる場所もずっと深界四層のままだった。
そして本作は子供向けアニメのような雰囲気にもかかわらず【PG12】指定。続編の「深き魂の黎明」に至っては【R15+】。本作でも膨れ上がった左手を折って切りつけたり、顔から血が吹き出したり、痛さのあまり失禁したり、ミーティが異形の姿に変化したりする様子が描かれているので、PG12になったのだろう。ただ、単なるグロ映像を売りにしているわけではない。
レグの正体は。リコの母親は生きているのか。ボンドルドと彼に懐く子供は何者か。多くの謎を抱えたまま物語が進行しており、続きが楽しみだ。

【5段階評価】4

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2020年3月 6日 (金)

(2023) マスカレード・ホテル

【監督】鈴木雅之
【出演】木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、渡部篤郎、松たか子
【制作】2019年、日本

東野圭吾の小説が原作の推理ドラマ。群像劇風の展開の中に、連続殺人事件が組み込まれた、巧みな作品。

連続殺人の捜査のため、稲垣(渡部篤郎)を責任者とする警察の一団がホテル・コルシア東京で潜入捜査を行うことになる。刑事の新田浩介(木村拓哉)はフロント係となり、ホテル側の指導係として山岸尚美(長澤まさみ)が付く。二人は始めはいがみ合うが、次第に互いの能力を理解するようになっていく。ホテルには様々な客が様々な事情でやってくる。ある者は新田に縁のある元教育実習生(生瀬勝久)だったりもした。新田は山岸との会話の中から、連続殺人事件のヒントを掴み、そのたびに、元相棒の刑事、能勢(小日向文世)に捜査を依頼。新田と能勢は、犯人がネットの闇サイトを介して複数の殺人を連続殺人に見せかけ、自分が殺したい2人をカモフラージュしようとしていると予想を立てる。その人物は、かつて山岸が部屋が空いていないと言って追い返した、ストーカーの女性、長倉麻貴(松たか子)だった。名古屋で役者をしていた長倉は、自分を妊娠させておきながら逃げた芝居仲間の松岡という男を追ってホテル・コルシア東京にやってきたが、山岸に追い返され、冷たい雨の降る中、外にいたせいで流産してしまったことで、松岡だけでなく、山岸にも恨みを持っていたのだった。老婆のふりをして入ってきた松岡は、客室で山岸を拘束し、毒物を注射しようとするが、ぎりぎりで気づいた新田が部屋を突き止め、殺害を未然に防ぐ。新田と山岸は、後日、二人で祝杯を挙げるのだった。

出だしでは、ホテルを舞台にした連続殺人事件の謎にわくわくするのだが、ホテルあるある(バスローブを盗むと見せかけて難癖をつけようとする客の話)や、ほっこりする話(視覚障害者の夫のために、視覚障害のふりをしてホテルにやってきた老婆)、どきっとする話(ストーカーの男を近づけるなと言っておきながら自分がその男に会おうとしていた女)などの話が続くうちに、「これは殺人事件の謎を軸に、ホテルの細かいエピソードを紡ぐ群像劇風の作品なのか」と思わせる。しかしきちんと、メインの話の中に老婆の話がからみ、謎を回収。多少迂遠な気はするし、電話番号のすり替えは殺人事件の捜査にしてはお粗末なトリックだったが、面白い作品だった。東野圭吾の作品の中では、コミカル色のある一作。「秘密」や「手紙」、「祈りの幕が下りる時」のように、ぐっと来る作品の方が好みではあるが、本作も娯楽作品として十分に楽しめた。

【5段階評価】4

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2020年3月 4日 (水)

(2021) ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

【監督】ジョン・リー・ハンコック
【出演】マイケル・キートン、ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ、ローラ・ダーン、リンダ・カーデリーニ
【制作】2017年、アメリカ

一人の営業マンが、マクドナルドを大チェーン店にするまでを描いた作品。

売れない機器のセールスマン、レイ・クロック(マイケル・キートン)は、サンバーナーディーノにあるマクドナルドという画期的なハンバーガー店を見つけ、フランチャイズ化しようと思い立つ。マクドナルドを創業したディック(ニック・オファーマン)とマック(ジョン・キャロル・リンチ)の兄弟は、徹底した効率化により30秒でハンバーガーを作る仕組みを考案。しかし、特にディックは品質管理にこだわり、商業主義には否定的だった。レイはマクドナルド兄弟と契約を結び、強引な店舗展開を進める。アイスクリーム用冷凍庫の電気代を削減するため、粉ミルクを用いたシェークを採用しようとし、ディックは激怒する。レイはとうとうマクドナルドの知的所有権を二人から買い取る。マクドナルド兄弟は、店名にマクドナルドを使えなくなり、ほどなく店は潰れる。レイはマクドナルド創業者として名を馳せることになるのだった。

この映画を観ると、マクドナルドに対する見方がおそらく悪い方に変わるだろう。利益を追求し、本来の創業者の事業を乗っ取って拡大した、という話なのだから。しかし、ビジネスとはそういうものだ、と言われれば、そうなのかもしれない。マクドナルドは不動産業だ、という言い方も面白かった。
なお、全く個人的なことだが、本作を鑑賞中、ブルーレイレコーダーの画像が途中から乱れ、音が鳴らなくなった。録画中だった番組(これもデータの書き込み不良なのか再生できず)を消したら元に戻ったのだが、10年使ってきたので、そろそろ寿命かもしれない。

【5段階評価】4

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