(2497) あなたを抱きしめる日まで
【監督】スティーブン・フリアーズ
【出演】ジュディ・デンチ、スティーブ・クーガン、ソフィ・ケネディ・クラーク、ショーン・マーホン
【制作】2013年、イギリス、アメリカ、フランス
生き別れた息子との再会を望む老女と、それを助ける元ジャーナリストを描いた作品。実話に基づいている。
アイルランドに住むフィロミナ・リー(ソフィ・ケネディ・クラーク)は、カーニバルで若い男の誘いを受け、妊娠。彼女は男児を産み、アンソニーと名付けるが、カトリックの厳しい戒律により、子供とは週に一度しか会うことを許されなくなる。ある日、アンソニーは協会にやってきた紳士に連れ去られてしまう。フィロミナはその運命を受け入れざるを得ず、50年の月日がたつ。元BBCのジャーナリストであるマーティン・シックススミス(スティーブ・クーガン)は、彼女(ジュディ・デンチ)を取材することになり、彼女の息子探しに協力することになる。二人はフィロミナが暮らしていた教会を訪ねるが、シスターはアンソニーの記録は火事で焼失したと告げる。
マーティンは、酒場で得た情報をもとに、アンソニーがアメリカに渡ったという可能性を追って、フィロミナとともにアメリカに渡る。ほどなくしてマーティンは、アンソニーがレーガン大統領やブッシュ大統領の顧問弁護士を務めていたが、すでに死亡していることを突き止める。フィロミナはそれを知って涙する。一度は故郷に戻ろうとしたフィロミナだったが、アンソニーを知る人に会いたいと考え、アメリカに残ることを決意。マーティンとフィロミナは、アンソニーがゲイだったことを知る。アンソニーはエイズで命を落としていた。
フィロミナは、アンソニーが故郷を、そして母のことを気にかけていたかが気になっていた。フィロミナとマーティンは、アンソニーのパートナーだったピート・オルソン(ピーター・ハーマン)と面会。ピートは、アンソニーが幼少時代を過ごしたアイルランドの教会を訪ねていたこと、彼の希望によりそこに埋葬されたことを知る。アンソニーは自分の故郷がアイルランドであることを知っており、実の母親を探す努力をしていたのだった。
フィロミナとマーティンは再び教会を訪れる。マーティンはアンソニーのことを隠していたシスター・ヒルデガード(バーバラ・ジェフォード)を責めるが、フィロミナは彼女を許し、誰も憎みたくない、と話す。フィロミナはアンソニーが埋葬された墓に導かれる。マーティンもフィロミナとともに墓に向かい、キリスト像を墓に供える。一連のできごとを記事にすることを拒んでいたフィロミナだったが、思い直し、マーティンは彼女の身に起きたことを著す。かつてイギリスの修道院は、アメリカの富裕層に子供を売って収益を得ていた。多くの母子が、いまだに互いを探す努力を続けていることを、マーティンは告発したのだった。
修道院による若い女性の軟禁、人身売買という問題を取り扱った重厚な作品。日本にいては触れることのない問題に気づかせてもらえる貴重な作品だった。
【5段階評価】3
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