評価3の映画

2019年6月18日 (火)

(1902) 48時間

【監督】ウォルター・ヒル
【出演】ニック・ノルティ、エディ・マーフィ、ジェームズ・レマー、ソニー・ランダム
【制作】1982年、アメリカ

熱血白人刑事と服役中の黒人が協力して凶悪犯を追い詰めるバディ・ムービー。仲間を殺された白人刑事は、犯人の鍵を握る黒人青年を仮釈放させる。果たして青年は刑事に協力するだろうか。

屋外労働をしている服役囚のところに、トラックに乗った原住民のビリー(ソニー・ランダム)が現れ、水をほしいと看守に頼む。服役囚の一人、ギャンズ(ジェームズ・レマー)が喧嘩を売り、二人は取っ組み合いになるが、二人はぐるだった。二人は拳銃で看守2名を射殺し、逃走する。
二人は犯罪仲間のルーサー(デビッド・パトリック・ケリー)を脅し、ルーサーのガールフレンドを拉致して金を持ってくることを約束させる。
他人の名義で車をレンタルした犯人を捜査するため、サンフランシスコ刑事のジャック(ニック・ノルティ)は同僚の刑事2名とホテルに向かう。同僚の刑事はジャックをフロントに待機させ、部屋に向かう。部屋にいたギャンズとビリーは、刑事を撃ち殺して逃走。ジャックはギャンズに体当たりして持っていた拳銃を跳ね飛ばすが、そこにビリーが銃を持って現れる。生き残った刑事の一人がロビーに現れ、4人はにらみ合いの状態になる。ギャンズが、ジャックの銃を渡せば刑事は撃たないと言ったため、ジャックはギャンズに銃を投げ渡すが、ギャンズは刑事を撃ち殺して逃走してしまう。
警察署に戻ったジャックは、ギャンズらのことを知る服役中のレジー・ハモンド(エディ・マーフィ)に会い、彼を48時間だけ仮釈放させる。ジャックはレジーを罵倒しながら強引に協力させるが、レジーは人種差別的な発言にもめげず、ジャックの捜査に協力。ビリーの女がいる部屋に向かうが、空振りに終わる。ジャックはレジーに怒りをぶつけ、殴り合いの喧嘩になるが、やがて二人に奇妙な友情が芽生える。レジーは、ギャンズの狙っている金は、かつて自分が盗んだ50万ドルであることを明かす。翌朝、50万ドルが隠されたポルシェを、ルーサーが引き取りに現れる。張り込みをしていたジャックとレジーはルーサーを追跡。ルーサーはお金の入ったアタッシュケースを持ち、地下鉄駅に向かう。そこにギャンズとビリーが現れる。ジャックは金を持って逃げたルーサーをレジーに任せ、ギャンズとビリーを追うが、逃してしまう。レジーも逃げてしまったのではないか、と心配したジャックだったが、レジーから連絡が入る。レジーと合流したジャックが、ルーサーを見張っていた。ルーサーはギャンズが盗んだバスに乗り込み、金をギャンズに渡してガールフレンドの解放を求めるが、あっさりとギャンズに撃ち殺されてしまう。ジャックとレジーはバスを車で追うが、逃げられてしまう。
上司から役立たずのチンピラと組んでいることを激しく責められたジャックだったが、レジーは頭の回転が速く根性もある、とレジーをかばう。手がかりを失った二人だったが、いちるの望みを託してビリーの女の家に向かう。二人は、ビリーの女を発見し、彼女とともに二手に分かれて部屋に侵入。ビリーを発見したレジーは、震える手で銃をビリーに向けるが、ビリーは持っていたナイフを手にレジーに近寄る。レジーは銃を撃ち、ビリーは倒れる。ギャンズはアタッシュケースを手に部屋を飛び出すと、物陰に隠れて、追ってきたレジーを人質に取る。そこにジャックが現れる。ギャンズは拳銃をレジーの頭に押しつけ、俺はお前の銃と金を持っている、と勝ち誇ったように叫ぶが、ギャンズは問答無用にギャンズに銃をぶっ放す。驚いたギャンズは我を忘れてジャックに襲いかかろうとするが、ジャックは今度は容赦なくギャンズを撃ち殺す。ジャックは、レジーがずっと望んでいた女性とともに過ごす願いをかなえてやり、50万ドルも彼に託すのだった。

刑事と犯罪者という、やや珍しいバディ・ムービー。エディ・マーフィの映画デビュー作。
序盤のホテルでの犯人2名と刑事2名が四すくみになり、ジャックがギャンズに銃を投げ渡すシーンは、どうにも意味が分からないのが残念。

【5段階評価】3

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2019年6月 9日 (日)

(1899) ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-

【監督】伊藤智彦
【出演】松岡禎丞(声)、戸松遥(声)、伊藤かな恵(声)、神田沙也加(声)、鹿賀丈史(声)
【制作】2017年、日本

川原礫のライトノベルをアニメ化した作品。ARゲームのプレーヤーの記憶を奪おうと企む研究者に立ち向かう少年の活躍を描く。

VRゲーム、ソードアート・オンラインの世界に閉じ込められ、そこから生還したキリト(松岡禎丞)は、ゲームから遠ざかるようになっていた。世の中にはAR技術が浸透し、オーグマーという装置が人気となる。キリトとともにソードアート・オンラインの世界で闘ったアスナ(戸松遥)は、オーディナル・スケールというARゲームでも活躍。ところがアスナは、闘いの中で仲間をかばって戦闘不能になり、ソードアート・オンラインでの記憶が薄れてしまう。キリトは、AR世界の中に白い服の少女(神田沙也加)を見つけていた。その少女は、オーグマーの開発者、重村教授(鹿賀丈史)の娘の分身だった。重村教授は、ソードアート・オンラインで娘のユナを亡くしており、ソードアート・オンラインのプレーヤーの記憶を集めてA.I.のディープ・ラーニング用のデータとして活用することで、娘を再現しようとしていた。キリトは重村教授に協力しているプレーヤーのエイジ(井上芳雄)を倒すと、仲間とともにボスキャラに挑み、勝利。重村教授の野望は潰える。
キリトとアスナは、夜空の星を見るという約束をかなえ、満天の星空のしたで口づけをかわすのだった。

テレビアニメの続編という形なので、世界設定や登場人物の把握ができない序盤はあまり面白くないのだが、人々の記憶を奪ってA.I.に学習させるという展開からは話が分かりやすくなった。この手のアニメだと大概、ヒロインは主人公に対してツンデレだったり、普段は喧嘩ばっかりしていたりするのだが、本作は珍しく、主人公の少年に三枚目の要素がなく、少女とキスしたり抱きしめ合ったりするシーンがあった。実在の企業名やロゴが登場するのも特徴的。これをNHKが放送するというのも面白かった。

【5段階評価】3

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2019年6月 5日 (水)

(1897) 母と暮せば

【監督】山田洋次
【出演】吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一
【制作】2015年、日本

長崎の原爆で死亡した息子の魂が母親のもとに戻ってくる。息子と息子の許嫁を愛する母親の深い愛情を描いた作品。

1945年8月9日。米軍の原爆攻撃により、長崎医科大学の学生だった福原浩二(二宮和也)は命を落とす。3年後の夏、母親の伸子(吉永小百合)は原爆落下の日の黙祷を捧げる。傍らには浩二の許嫁だった町子(黒木華)がいた。彼女が操を立てていることに、伸子は心を痛めていた。
帰宅した伸子は浩二に食事を供え、遺体が見つからないまま逝った息子の死を嘆いていると、家の中に浩二の姿が現れる。浩二は死んでいることを自覚しており、母親と楽しそうに話をする。浩二ははじめ、町子がずっと自分の嫁として伸子の世話をすることを望んでいたが、伸子がそれを諫め、浩二も納得する。浩二が忘れられずにいた町子だったが、学校の教師をしている同僚の黒田(浅野忠信)という男と婚約する。町子は黒田を伸子に会わせ、伸子に詫びるが、伸子は浩二も喜んでいる、と町子に優しく話す。伸子が力なく布団で寝ていると、枕元に浩二が現れ、伸子を天に連れて行く。伸子の葬儀が営まれる中、浩二は伸子を連れて教会を去って行くのだった。

父親の死亡届を受け取る小学校の少女(本田望結)や、死ぬ間際に酒を欲した大学教授(橋爪功)などの挿話を混ぜながら、物語は静かに展開。感情の起伏を抑制した作品。ただまあ、まばゆい光の中に二人が消えていく、なんていうのはいかにもステレオタイプで、終盤に大きな感動が押し寄せる、というものではなかった。

【5段階評価】3

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2019年6月 4日 (火)

(1896) 夜は短し歩けよ乙女

【監督】湯浅政明
【出演】花澤香菜(声)、星野源(声)、神谷浩史(声)、秋山竜次(声)
【制作】2017年、日本

森見登美彦の小説が原作のアニメ作品。京都の長い一夜を過ごす少女と、彼女に恋心を抱く先輩との恋の行方を描く。

黒髪の乙女(花澤香菜)に恋心を抱く先輩(星野源)は、ナカメ(なるべく彼女の目にとまる)作戦を実行し、彼女に接近するチャンスをうかがう。実は酒豪の乙女は、知り合いを増やしながら飲み歩き、李白(麦人)と飲み比べをして勝利する。
乙女は、子供の頃に読んでいた「ラ・タ・タ・タム」という絵本を手に入れたくなり、古本市に向かう。それを知った先輩は、李白の主催する怪しい大食い競争に参加し、絵本を手に入れる。彼は秋の学園祭で模擬店を出し、ラ・タ・タ・タムを乙女に渡そうとするが、店舗の設備をゲリラ演劇の一団に奪われてしまう。その演劇は、かつて名の知らぬ女性と運命的な出会いをしたパンツ総番長(秋山竜次)が、その女性を探すために行っているものだった。乙女もその演劇に飛び入り参加するが、彼女が最終幕でパンツ総番長とキスをするという話を聞いた先輩は、芝居に乱入。パンツ総番長を舞台からたたき落とし、乙女とキスをしようとしたところ、舞台の床が抜けて奈落に転落。パンツ総番長の相手は、女装した学園祭事務局長(神谷浩史)だった。ショックを受ける総番長。しかし総番長を支えてきた女性スタッフが彼に愛を告白。二人は結ばれる。
冬になり、風邪を引いた先輩は部屋で寝込んでいた。風邪を引いた人々を見舞っていた乙女は、先輩の家に向かう。先輩は「ラ・タ・タ・タム」を彼女にあげ、彼女を古本屋に誘う。乙女は顔を赤らめ、OKする。喫茶店で待つ先輩のもとに乙女が向かう。二人のデートが始まるのだった。

自分がかつて住んでいた京都が舞台だったので、出町柳の自転車置場や進々堂など、画面に現れる町並みが懐かしかった。
文学作品らしいしゃれたセリフが小気味よい。偽電気ブランの大酒飲み対決で、乙女が酒を飲むたび幸せな気持ちに浸る場面も、どことなく文学的な表現で映像化されていた。
文学でも恋愛でも何でも議論の対象にし、自ら煩悶し、異性に恋い焦がれ、夜を明かした学生時代が懐かしくなる作品だった。

【5段階評価】3

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2019年6月 3日 (月)

(1895) ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK

【監督】ロン・ハワード
【出演】ザ・ビートルズ、シガニー・ウィーバー、ウーピー・ゴールドバーグ、浅井慎平
【制作】2016年、イギリス

ビートルズの活躍と苦悩を描いたドキュメンタリー。

ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター。4人がイギリスでブレイクし、アメリカに渡る。エド・サリバンショーで人気に火が付いた彼らは、アメリカのシングルチャートでも1位をとり、正解的なトップスターとなる。一方で、彼らに熱狂するあまり、音楽を聞こうともしないファンや、囚人護送車で移動をするような異様な状況に、メンバーはこれでいいのかという思いを抱くようになる。
ジョン・レノンが、自分たちはキリストを超えたと言ったかのようなできごともあり、ビートルズは人気の一方でバッシングの標的にもなる。
ツアー活動を控え、レコーディングに専念する時期を経て、アップルの屋上を彼らは最後のライブの場所とするのだった。

ビートルズがスターダムを上り詰める過程を写実的に伝えている。ドキュメンタリーは、語りのシーンや説明のシーンが長かったりしてだるい印象があるが、本作は、有名な楽曲が次々と流れ、しっかりと聴かせるパートもあるし、軽妙洒脱な彼らのインタビューシーンや、シガニー・ウィーバーやウーピー・ゴールドバーグのような映画スターのインタビューを交えたりして、飽きさせない作りになっている。子供の頃のシガニー・ウィーバーがにビートルズのライブで興奮している様子がたまたま映像に残っているシーンがあるのは貴重。ポール・マッカートニーとリンゴ・スターのインタビューもあり、ビートルズファンは必見の作品。

【5段階評価】3

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2019年5月28日 (火)

(1892) 怪盗ルビイ

【監督】和田誠
【出演】小泉今日子、真田広之、水野久美
【制作】1988年、日本

怪盗を目指す若い女性と、相棒に選ばれた男性の悪戦苦闘ぶりを描いたコメディ。

母親(水野久美)と二人暮らしのサラリーマン、林徹(真田広之)はアパート暮らし。彼らの住む上の階に、若い女性、加藤留美(小泉今日子)が引っ越してくる。引っ越し荷物にあった水着姿の写真をちょろまかした徹は、留美宛ての新聞をいそいそと彼女の部屋に持って行く。留美は徹を部屋に招く。留美はスタイリストをしているが、サムシングを探すために怪盗になることを徹に打ち明け、強引に彼を相棒に指名する。
しかし、雑貨屋の主人の鞄をすり替える作戦では、たかだか13,000円程度の収穫しかなく、鞄は返しに行く。留美は銀行強盗や宝石屋への詐欺、高級マンションに忍び込んでの空き巣を計画するが、どれも失敗。二人で家に帰ったところに、留美の恋人(陣内孝則)がやってきたため、徹は慌てて部屋を出るが、留美は恋人と喧嘩になってしまう。留美は恋人宛に手紙を出したものの、ひどいことを書いたので取り返してほしいと徹に依頼。徹は相手の郵便受けから手紙を盗み出すが、警察(秋野太作)に見つかってしまう。徹は、手紙には致死性のウィルスが付いているから焼いた方がいい、と、留美に言われた大嘘をつくが、警察の鑑定医(名古屋章)は調べてみようと言って手紙を預かると、手紙には確かにカンゲワーチというウィルスが付いていたから焼却しておいた、と徹に告げ、君はいい人というか馬鹿というか、と言って徹を帰す。徹は留美の家に帰って顛末を報告。留美は、警察の法医学者が機転を利かせて手紙を処分したことに気づく。カンゲワーチは、痴話げんかの逆さ言葉だった。法医学者が徹をいい人で馬鹿で、と言っていたという話を聞いて、留美は徹を新しい恋人にすることを決意。二人は熱い口づけをかわし、新しい犯罪計画を楽しそうに話し合うのだった。

公開当時22歳の小泉今日子を主役にしたアイドル映画。ストーリーに現実味はなく、キョンキョンのバラエティに富んだヘアスタイルや衣装を楽しむ作品。留美をもっとミステリアスに描いてもよかったように思うが、彼氏がいるそぶりを見せていたら本当にいて、それもごく普通の男だったりして、意外と普通だった。真田広之が三枚目でコミカルな役を演じて演技の幅を広げた作品とも言える。

【5段階評価】3

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2019年5月27日 (月)

(1891) 小さな恋のメロディ

【監督】ワリス・フセイン
【出演】マーク・レスター、トレイシー・ハイド、ジャック・ワイルド、シェイラ・スティーフェル
【制作】1971年、イギリス

子供たちの大人への反乱と純粋な恋を描いた作品。

規律の厳しい小学校に通うダニエル(マーク・レスター)は、いたずら好きの少年達の仲間に入り、ガキ大将のトム(ジャック・ワイルド)と親しくなる。ある日、ダニエルはバレエの練習をしているメロディ(トレイシー・ハイド)の姿に心を奪われる。ダニエルはメロディから目が離せなくなる。ダンスパーティの日、女の子と向かい合って踊っているメロディを見つけたダニエルは、トムを誘って一緒に踊ろうと話しかける。メロディは応じてくれるが、もう一人の女の子がトムに悪態をついたため、トムはその子を蹴飛ばしてしまい、メロディとのダンスはあっという間の出来事になってしまう。
授業で宿題をしてこなかったダニエルとトムは、放課後、教師に呼び出されて尻叩きのお仕置きを受ける。二人が教師の部屋を出ると、メロディがいた。トムはダニエルと帰ろうとするが、ダニエルはメロディと一緒に駆け出す。トムは鞄を壁にたたきつけて悔しがる。
メロディはダニエルに惹かれ、二人は学校をサボって海に遊びに行く。海岸で砂遊びをしながら、ダニエルはメロディに結婚しようと告げる。
先生に呼び出された二人は、先生に向かって結婚したいと告げ、先生を怒らせる。家に帰ったメロディに、父親(ロイ・キニア)も彼女の早すぎる恋愛にとまどい、20歳まで待った方がいいと諭すが、メロディはどうしてみんな邪魔をするの、と泣き出す。
はじめはダニエルとメロディをからかった同級生達だったが、みんなで学校の授業をサボって高架下の廃墟で二人の結婚式を行う。神父役のトムが式を執り行っているところに、話を聞きつけた先生達やダニエルの母親(シェイラ・スティーフェル)がやってくる。始めは先生から逃げ回っていた生徒達は先生の服をひっぱるなどして反撃。生徒の一人の作った爆弾が、母親の車を大破させると、先生達は尻尾を巻いて逃げ出す。トムは、ダニエルとメロディをトロッコに乗せ、二人を見送る。ダニエルとメロディは二人でトロッコをこぎ、草原に伸びる線路をどこまでも進んでいくのだった。

幼い少年と少女の恋物語。キスシーンも抱き合うシーンもなく、手が触れあうだけでドキドキするような純愛が描かれている。子供の幸せを願っているという父親に向かって、だったらどうして協力してくれないの、と言い返すメロディの言葉には説得力があった。「メロディ・フェア」を始めとするビー・ジーズの曲も日本では有名。
食事の場で大声で話す大人達の顔を、細かいカット割りのアップでつなげ、子供にとってはどうでもいい退屈な話が続く様子を描く方法が巧みだった。

【5段階評価】3

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2019年5月21日 (火)

(1888) 夜明け告げるルーのうた

【監督】湯浅政明
【出演】下田翔大(声)、寿美奈子(声)、斉藤壮馬(声)、谷花音(声)
【制作】2017年、日本

人魚の言い伝えのある港町で起きたできごとを描いたアニメ作品。

東京から地方の港町に引っ越してきた中学3年生の足元海(カイ)(下田翔大)は、同級生の海老名遊歩(寿美奈子)と国夫(斉藤壮馬)とバンド仲間となる。カイは、音楽に乗って海からやってくる人魚ルー(谷花音)の存在に気づく。ルーはバンドに合わせて歌を歌って踊り出し、カイや遊歩、国夫と仲よくなる。3人は地元の祭りでライブを披露することになり、ルーをクーラーボックスに忍ばせて歌を歌わせようとするが、ルーはクーラーボックスを飛び出して踊り出し、その様子が動画に撮られてしまう。町内会長でもある遊歩の祖父(菅生隆之)は人魚人気にあやかって、かつて失敗した人魚ランドを復活させるが、人魚は人を襲うという言い伝えがあり、カイの祖父(柄本明)やかつて恋人を亡くしたタコ婆(青山穣)をはじめ、それに反対する者も現れる。ルーのことが大騒ぎになったため、カイはバンドをやる気がなくなり、遊歩と国夫は二人で人魚ランドで演奏をするが、観客は人魚のルーに夢中。しかも演奏にはサポートがいて、遊歩が転んでも演奏が途切れず曲は流れたため、遊歩はふてくされる。街では、遊歩がいなくなったことが騒ぎになり、人魚の仕業ではないかと考えた遊歩の父親(チョー)は、ルーを捉えて檻に閉じ込め、娘の居場所を聞くが、ルーはみんなのことが好きだというばかり。業を煮やした父親は、人魚の弱点である日光をルーに浴びせようとする。ルーは悲鳴を上げ、それを聞きつけたルーのパパ(篠原信一)が大暴れして助けに現れる。実は遊歩は知り合いの伊佐木(伊藤静)のもとに駆け込んでいただけだった。遊歩はルーが捉えられている場所に向かう。遊歩の父は娘の無事を知るが、遊歩をその場から立ち退かせる。
その頃、お陰様のたたりが起き、街の水位が上がり始める。遊歩や国夫は町内放送で避難を呼びかけ、カイたちはルーのパパとルーを助け出す。人魚たちは次々と街の人達の避難を手助けする。タコ婆の恋人は、人魚に姿を変えていた。タコ婆も人魚に姿を変え、海に消えていく。母親を人魚に殺されたと思っていたカイの祖父だったが、母親もまた、人魚に命を助けられ、人魚になっていたのだった。カイの祖父も海に消える。
街の人達と人魚達の協力により、お陰様のたたりは押し返され、お陰岩は姿を消す。カイたちは新しい目標を見つけて次の一歩を踏み出すのだった。

ポニョとトトロを混ぜたような作品。新海誠作品のような写実的な映像ではなく、遠近感や人の動きをデフォルメしたような映像が特徴的。音楽が好きな人魚という設定は単純で分かりやすく、人魚に対する人の不信感も、あまりドロドロと描写せず、すぐに人魚達が人々を救うために活躍し、タコ婆やカイの祖父の誤解も最後に解けるので、清々しい終わり方になっていた。

【5段階評価】3

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2019年5月20日 (月)

(1887) ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

【監督】キム・ソンス
【出演】西島秀俊、キム・ヒョジン、真木よう子、中村ゆり、伊武雅刀
【制作】2014年、日本

司城志朗の小説を映画化した作品。記憶を入れ替えられた科学者が妻の死を巡る謎に立ち向かうSFミステリー。

ある日、デザイナーの石神武人(西島秀俊)が帰宅すると、電気の消えた部屋の中にろうそくがともっており、部屋の中には妻(中村ゆり)の死体があった。そこに電話がかかる。相手は妻の美由紀だった。訳の分からない石神。そこに警察を名乗る二人の男が尋ねてくる。二人は家に上がり込むが、なぜか死体は消えていた。二人は石神を車で連れ出し、「オ・ジヌ」という人物のことを尋ねる。石神は二人が警察ではないと気づき、隙を突いて脱走。通りかかった韓国人女性記者のカン・ジウォン(キム・ヒョジン)に助けを請い、石神の妻の実家に向かう。しかし、そこには別人が住んでいた。ジウォンはファミレスで石神の話を聞く。そこにも追っ手が来たため、逃げた二人は、ラブホテルに宿泊する。翌朝、石神は妻の電話番号や自分の勤務先の社名を思い出せなくなっていた。ジウォンは石神の調査を行うために外出し、石神は知人の伊吹(浜田学)に会いに行く。石神は伊吹に家を調べに行ってもらう。そこにまたも謎の男達が迫ってくる。石神は科学の知識を使って電子レンジを時限爆破し、その隙に逃走する。デザイン会社に赴いたジウォンは、デザイン会社で働いていた石神が、彼女の知る石神とは別人であることを知る。夜、二人は再び石神の家に行く。石神はルミノール反応で血痕が確かにあることを確認。ベランダに出たジウォンは、そこに携帯電話が落ちているのを見つける。そこにまたも謎の男達が現れ、石神は連れ去られてしまうが、ジウォンの機転によって二人は逃走。ジウォンの拾った携帯は、彼女が日本で会おうとしていた状況提供者の女性のものだった。ジウォンは、石神が二人の女性と結婚していたのではないか、と疑う。
次の日、石神は、アルツハイマーの研究をしている研究所に向かう。そこで石神は、「ジヌ」と呼びかけられる。彼は実は韓国人の研究者で、人の記憶を吸収して吐き出すことのできるウィルスを研究していたことが判明。ジヌの妻はユリと言い、彼が尋ねた実家は美由紀の実家ではなくユリの実家だったため、石神武人は部外者と受け止められてしまっていたのだった。ユリは、ジヌがユリの記憶を失って美由紀と暮らしていることを知り、ジヌと美由紀の暮らす家に忍び込んで、ジヌとの思い出だったろうそくによる遺伝子構造式を部屋に作っていたのだ。石神が帰ってきたときにあったユリの死体がなくなっていたのは、まだ部屋に犯人が潜んでいたせいだった。美由紀が拉致されていることを知った石神は、謎の集団のもとに向かい、飛行機で韓国に飛ぶ。待っていたのは、製薬会社のボス(イ・ギョンヨン)だった。彼はジヌのいた研究室に監視カメラを仕掛けていた。そこに映っていたのは、杉沢製薬の佐藤博士(伊武雅刀)が大けがをした石神を連れ込み、それに気づいて通報しようとしたジヌがウィルスに感染してしまうという一部始終だった。ジヌの記憶が石神の記憶によって上書きされようとしており、ジヌはいわば人体実験の被験者となっていた。研究の情報を提供するよう迫るボスに、ジヌは情報は東京にあると告げる。記憶を操作することで永遠の命を得られるようになると喜ぶボスに対し、ジヌは実験は失敗であることを告げる。石神の記憶は1年しかもっていないのだった。ジヌはボスの車から脱走。東京の佐藤博士のもとに戻る。銃を手に、ジヌは佐藤博士に真相を尋ねる。佐藤博士はよそ見運転で石神を轢いてしまい、彼を使ってウィルスの人体実験をすることを思いつく。はずみでウィルスはジヌに感染するが、ジヌは石神の自宅に出入りするようになり、佐藤は経過を見守っていたのだった。ジウォンは隠しマイクで研究室でのやりとりを記録していた。研究室を後にしたジヌは、ジウォンに別れを告げると、再び伊吹の元に向かう。伊吹は石神の家に、夜いたことに気づいたからだ。石神の家には、昼と夜で絵が変わる趣向の絵画があり、伊吹が話したのが夜に見られる絵であったからだ。伊吹は真相を話す。ユリが石神の家に忍び込んでいるのに気づいたのは美由紀だった。美由紀はユリともみ合いになり、倒れた拍子にユリが頭を打ち、命を落としてしまう。美由紀は伊吹に相談し、伊吹がユリの死体をベランダから墜として死体を隠蔽。そのため、いつの間にか死体は消え、ユリの携帯がベランダに落ちていたのだった。伊吹と美由紀は養護施設育ちで、佐藤博士が後見人だった。そのため、二人は博士に協力し、石神を観察していたが、美由紀は本当に石神を愛するようになってしまったのだった。
石神の記憶が途絶え途絶えになったジヌは、公園で美由紀に再会。美由紀はことの真相を告げる。ジヌは薄れゆく記憶の中で美由紀にありがとうを述べ、意識を失う。
一年後、職場に向かったジウォンのもとに、ジヌの手紙が届く。二人は再会。ジヌはジウォンと会った記憶はなくしているようだった。ジウォンはジヌを食事に誘うのだった。

記憶を上書きするという、東野圭吾作品にも見られるようなSFもの。話が複雑なので、一度観ただけでは分かりづらいが、よく練られた作品だった。監督が外国人であるせいか、日本のはずの街の景色に、「僕の彼女はサイボーグ」の時にも感じた、パラレルワールドのような虚構感があった。また、これも外国人監督であるせいなのか、セリフを棒読みしているような芝居臭い不自然さが随所に感じられた。

【5段階評価】3

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2019年5月15日 (水)

(1885) ミルドレッド・ピアース

【監督】マイケル・カーティス
【出演】ジョーン・クロフォード、ザカリー・スコット、アン・ブライス、ブルース・ベネット、ジャック・カーソン
【制作】1945年、アメリカ

夫と別居し、娘を育てるためにレストランの経営者となった女性の数奇な運命を描いた作品。主演のジョーン・クロフォードがアカデミー主演女優賞に輝いている。

豪奢な身なりをした男性(ザカリー・スコット)が何者かに撃ち殺される。波止場では、裕福そうな女性、ミルドレッド・ピアース(ジョーン・クロフォード)が思い詰めた表情で海を眺め、海に身を乗り出そうとしたところを巡回中の警官に制止される。ミルドレッドはそのまま歩き出し、知り合いのウォーリー・フェイ(ジャック・カーソン)に呼び止められる。二人は彼女の家に向かう。ところが、ミルドレッドはウォーリーを家の中に閉じ込めていなくなる。部屋の中には先ほどの男性の死体があった。ウォーリーはガラスを破って部屋を抜け出し、警察に発見される。
死んだ男性はモンティ・ベラゴン。ミルドレッドの夫だった。警察で事情を聞かれていたミルドレッドの前に現れたのは、彼女の元夫のバート・ピアース(ブルース・ベネット)。警察はバートが犯人だと言うが、ミルドレッドはそれを否定し、元夫と別れた経緯を話し始める。
ミルドレッドとバートの間には、ビーダ(アン・ブライス)とケイ(ジョー・アン・マーロウ)という二人の娘がいたが、バートは別の女性と浮気をしており、ミルドレッドはバートを家から追い出す。ミルドレッドは娘を不自由なく育てるため、ウェイトレスからのし上がり、自らレストランの経営に乗り出す。場所として選んだのが、落ち目の富豪、モンティ・ベラゴンの持つ不動産だった。ミルドレッドは不動産屋のウォーリーを介してモンティと会う。モンティはミルドレッドを気に入り、不動産の契約をしただけではなく、二人は恋仲となっていく。ミルドレッドが家に帰ると、家にはバートがおり、ケイが肺炎にかかったと知らせる。医者による治療もむなしく、ケイは命を落としてしまう。ミルドレッドは、レストラン経営に邁進し、それを成功させる。落ちぶれたモンティは、ミルドレッドにお金をせびるようになっていく。ミルドレッドの愛情はビーダに注がれるが、ビーダは次第に金のためなら何でもするような女性になってしまう。ミルドレッドはモンティだけではなく、ビーダをも家から追い出す。ビーダが酒場の歌手に成り果てているのを知ったミルドレッドは、彼女を取り戻そうとし、モンティとの結婚を決意。果たしてビーダは家に戻ってくる。ところが、ミルドレッドがレストラン経営に奔走している間、モンティはビーダに手を出していた。ビーダは本気でモンティに惹かれていたが、モンティは遊びだとうそぶく。それを聞いたビーダが、発作的にモンティを撃ち殺してしまっており、ミルドレッドは、その身代わりとなろうとしたのだった。
ところが警察は、ミルドレッドの嘘を見抜いていた。警察はビーダを呼び、彼女に向かって母親が全て話した、と鎌をかける。ビーダはまんまと騙され、真犯人がビーダであることが明るみに出る。ビーダは逮捕され、ミルドレッドは解放される。彼女が警察署を出ると、外にはバートが待っていた。二人は力なく警察署を後にするのだった。

古いモノクロ作品だが、ストーリーは分かりやすく、間延びせずキビキビと話が進む。娘のために懸命に生きているはずが常に空回りし、ままならないミルドレッド・ピアースの人生が印象的で、もの悲しいエンディングを迎える。登場人物は多くはないが、男勝りの協力者、アイダ(イブ・アーデン)や、甲高い声の黒人のメイドなども特徴的。ツボを押さえた佳作だった。

【5段階評価】3

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