« (2755) トゥームレイダー ファースト・ミッション | トップページ | (2757) レッド・スコルピオン »

2024年8月 6日 (火)

(2756) 22年目の記憶

【監督】イ・ヘジュン
【出演】パク・ヘイル、ソル・ギョング、リュ・ヘヨン、ユン・ジェムン、イ・ビョンジュン、チョン・グックアン
【制作】2014年、韓国

金日成(キム・イルソン)を演じることを求められた男の運命を描いた作品。

1972年、売れない中年役者、キム・ソングン(ソル・ギョング)は、妻と死別し、老いた母と幼い息子テシクと三人暮らし。ソングンは、リア王の芝居で役をもらうが、観客席の息子が見ている前でセリフを忘れ、恥をかく。楽屋で落ち込んでいる彼の前に、演劇科のホ・サムウン教授(イ・ビョンジュン)が現れ、非常に特別な公演のオーディションに参加してほしいと言われる。服を脱がされたり拷問を受けたりする謎のオーディションを経て、ソングンはオーディションに合格。彼の役目とは、南北首脳会談に臨む韓国大統領の会談リハーサルのために、北朝鮮の金日成役を演じるというものだった。役人のオ(ユン・ジェムン)の管轄のもと、訓練とでも呼ぶべき厳しい稽古が続くうち、ソングンは役に飲み込まれたのか、自分自身が金日成であると思い込み、息子にジョンイルと呼びかけてしまうほどになる。
22年の時がたち、成人してマルチ商法を手掛けるようになったテシク(パク・ヘイル)は、多額の借金を抱えていた。テシクは、都市開発のために明け渡しを求められている父の土地を売却して借金を返済することを思い立ち、売却に必要な実印を探すため、父に会うが、ソングンは自分を金日成と思い込んだまま痴呆症のようになっていた。テシクは、体の関係を持ったことのあるソン・ヨジュン(リュ・ヘヨン)を家事手伝いに雇い、父と過ごした家で再び父とともに暮らし始めるが、自身を金日成だと思い込んでるソングンに手を焼く。家の明け渡しが迫る中、22年の時を経て、とうとう南北会談が実現することとなり、長官となったオがソングンを迎えに来る。
ソングンは息子の見守る中、韓国大統領(チョン・グックアン)を相手に、金日成本人を超えるような役回りを見せる。あまりの過熱ぶりに大統領はリハーサルを中断して席を立ってしまい、オ長官は大統領に謝罪しながらも、リア王のセリフを堂々とそらんじるソングンを見て、「見事だ、バカ野郎」とほほ笑みながらつぶやく。金日成は南北会談実現前に逝去し、ソングンも数日後に亡くなる。テシクはマルチ商法から足を洗い、妊娠中のヨジュンのもとに向かうのだった。

現実に着想をえているのか、全くのフィクションなのか分らないが、非常に独創性の高い状況設定。序盤はコミカルな展開で、ソングンがどう金日成を演じるのか楽しみにしながら話が進むのだが、結局会談リハーサルが実現しないままソングン指導チームは解散となり、ソングンは老いてテシクの物語になっていく。この辺りは正直、中だるみ気味で、なんだかつまんないなぁと思えてくるのだが、ついにソングンによる会談リハーサルが実現することになり、一気に盛り上がる。終盤のソングンとテシクの親子愛も感動的で、目頭が熱くなった。
ソル・ギョングは「シルミド」(2003)では金日成暗殺を目指す部隊の隊員を演じている。金日成となんだか縁の深い俳優だ。「パーフェクト・バディ 最後の約束」では全身まひの富豪を演じている。本作では、やせたソングンが金日成に似せるために太るという役どころで、終盤ではかなり首周りに肉がついている。特撮なのか、役に合わせた体作りが有名な俳優なので自ら太ったのかもしれない。

【5段階評価】3

|

« (2755) トゥームレイダー ファースト・ミッション | トップページ | (2757) レッド・スコルピオン »

映画・テレビ」カテゴリの記事

評価3の映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« (2755) トゥームレイダー ファースト・ミッション | トップページ | (2757) レッド・スコルピオン »