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2024年6月

2024年6月30日 (日)

(2719) a-ha THE MOVIE

【監督】トマス・ロブサーム
【出演】モートン・ハルケット、ポール・ワークター=サボイ、マグネ・フルホルメン、ヤン・オムダール
【制作】2021年、ノルウェー、ドイツ

ノルウェー出身のバンド、a-haの活躍の経緯を描いたドキュメンタリー映画。

ノルウェー出身のポール・ワークター=サボイとマグネ・フルホルメンは意気投合。ボーカルとしてモートン・ハルケットを仲間にしてa-haを結成。プロデューサーのアラン・ターニーらの力で「Take On Me」を大ヒットさせる。a-haは様々な障害を乗り越え、デビューから35年が経ってもライブ活動を続けるのだった。

超イケメンボーカルのモートン・ハルケット。何の苦労もないようでいて、世間の注目を浴びて仲間の負担を消している。うらやましいような成功を収めている人でも、想像も付かないような大いなる悩みを抱えているのだと気づかされる。音楽のような正解のない世界では、メンバーの衝突が絶えないことは想像に難くない。バンドの解散など珍しくない中、a-haの活動は称賛に値するだろう。本作はムービープラスの無料視聴で観ることができた。感謝だ。

【5段階評価】3

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2024年6月29日 (土)

(2718) 映画 ギヴン

【監督】山口ひかる
【出演】中澤まさとも(声)、江口拓也(声)、矢野奨吾(声)、内田雄馬(声)、浅沼晋太郎(声)
【制作】2020年、日本

バンドメンバーの恋を描いたテレビアニメの劇場版。

バンド「ギヴン」のドラム担当、梶秋彦(江口拓也)は、天才バイオリニストの村田雨月(浅沼晋太郎)と恋仲にあり、雨月の家に同棲していたが、関係が悪化し、秋彦は出て行く。家のない秋彦は、ベースの中山春樹(中澤まさとも)の家に転がり込み、同居を始める。ボーカルとしてバンドに入った佐藤真冬(矢野奨吾)は上ノ山立夏(内田雄馬)に助けられながら作詞作曲を手がけ、バンドはコンテストでいいところまで行く。恋と音楽に悩んでいた秋彦だったが、真冬の歌を聴いてふっきれ、音楽活動に精を出し、一度は振られた春樹に愛を告白。春樹はそれを受け入れるのだった。

BLものにはどうにも共感できず、序盤はちっとも面白くなかったのだが、楽曲のパフォーマンスシーンはよかった。BLものもテレビアニメになっていることを本作を通じて知った。

【5段階評価】2

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2024年6月28日 (金)

(2717) イチケイのカラス

【監督】田中亮
【出演】黒木華、竹野内豊、斎藤工、向井理、吉田羊、柄本時生、西野七瀬、田中みな実、尾上菊之助
【制作】2023年、日本

テレビドラマ「イチケイのカラス」の劇場版。岡山で起きた船舶衝突事故と健康被害訴訟に関わる裁判官と弁護士を描いた作品。

岡山の架空の町、日尾美町に、裁判官の坂間千鶴(黒木華)が弁護士として赴任。隣の秋名市(こちらも架空の都市)には腐れ縁の裁判官、入間みちお(竹野内豊)が着任する。秋名地方裁判所の管轄内で、島谷秀彰(津田健次郎)が船長の貨物船が、自衛隊のイージス艦に衝突して沈没し、船長、船員が死亡する事件が起きる。島谷の妻、加奈子(田中みな実)は、墓参した鵜城英二防衛大臣(向井理)にナイフを隠し持って迫り、関係者を負傷させるという事件を起こす。この事件の裁判を担当した入間は、加奈子の話を聞き、裁判所が衝突事故を調べるという職権を発動するが、即座に裁判の担当を外されてしまう。
千鶴は、衝突事故を起こしたゴールド免許の老婦人、尾花トメを弁護。トメは別の弁護士、月本信吾(斎藤工)にも弁護を依頼。千鶴と月本は行動をともにする。日尾美町は、シキハマ株式会社の工場で成り立つ企業城下町だった。月本はシキハマを怪しみ、排水を調査。基準値を超える有害物質が入っていることを突き止め、月本と千鶴は住民説明会を開くが、シキハマの顧問弁護士、三田村武晴(尾上菊之助)と工場長の木島昌弘(平山祐介)が説明会に乗り込んできて、物質は基準内だという別の調査結果を配り、月本の調査結果は、排水の入手経路を説明できないでっち上げだと主張。説明会は解散となる。月本は、工場長から金銭を受け取っていた。月本に好意を寄せ始めていた千鶴だったが、それを知って幻滅する。
3年前に移住してきたラーメン屋店主の松原俊哉(橋本淳(あつし))は、息子に健康被害が出ていることを千鶴に伝える。千鶴は訴訟を起こし、松原俊哉を原告、シキハマ株式会社を被告とする健康被害裁判が始まる。千鶴は、健康被害はシキハマの工場の環境汚染が原因だと主張。被告の弁護人、三田村は争う姿勢を見せる。入間は土壌汚染の証拠を探すよう千鶴に命じる。松原のラーメン屋は石を投げ込むなどの嫌がらせを受け、千鶴の家も放火の被害に遭う。日尾美町に残り続けていた月本は、何者かに階段から突き落とされ、死亡する。それでも千鶴は、真相を明らかにするためシキハマからの示談の申し出を断り、土壌汚染の証拠を見つける。千鶴は、シキハマは汚染された土を外に持ち出していたのではないかと考える。
入間は裁判で証言台に、船長の妻、加奈子を立たせると、衝突事故の調査結果を説明する。衝突は、島谷の貨物船が航路を外れたことにより起きており、その原因は、貨物船に積み込まれた汚染土による船長や船員の意識障害だった。積み荷の確認は船長自身が行っており、入間は、船長の島谷が汚染土の隠蔽に加担していたとの考えを示す。加奈子はその事実を受け入れつつも、なぜ地元を愛していた夫がそのようなことをしたのかという疑問を口にする。千鶴は、工場の産業医を担当している小早川悦子(吉田羊)を証言台に立たせ、健康被害を公にしないようシキハマから圧力を受けていたのではないかと問う。答えようとしない悦子に、入間は、隠蔽しようとしていたのはシキハマ本社ではなかったのでは、と問いかけると、悦子はついに真相を話す。シキハマの環境汚染を隠蔽していたのは、日尾美町出身の町民自身だった。悦子のほか、悦子の夫で町役場職員の小早川輝夫(宮藤官九郎)も関与していた。裁判は結審し、悦子と輝夫は二人は警察に連行されていく。
月本を階段から突き落としたのは、三田村だった。三田村、悦子、輝夫、工場長の木島、そして船長だった島谷秀彰は、地元愛の強い仲間で、子どもの頃、シキハマから表彰されていた。それを突き止めた月本は、健康被害の実態を明らかにするよう彼らを説得した帰りに、三田村に突き落とされたのだった。月本の死亡現場に花を供えた千鶴は、三田村らの弁護を務めるのだった。

テレビドラマの劇場版だと、登場人物のキャラクターに依存した人間ドラマに焦点が当たり、作品ファンぐらいしか楽しめないようなものも珍しくない(「交渉人 THE MOVIE」とか「ホタルノヒカリ」とか「劇場版MOZU」とか「奥様は、取り扱い注意」とか「Dr.コトー診療所」とか)が、本作は、謎の提示と回収、無関係に見える複数の事件がつながっていくところがきちんと作られていた。犯人が、普通は第三者的な立場であるはずの、町の一般の人達でした、というのは、推理物としても、独創的な設定だった。
ツッコミどころとしては、防衛大臣(向井理)はミスリード役だったのだろうが、あまり物語の本筋に絡んでいなかったのと、現職大臣が一般人の加奈子に近寄られたり、港で入間と二人で話したり、なんてことは警備上あり得ないので、作り物めいてしまったところかな。

【5段階評価】3

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2024年6月27日 (木)

(2716) 冬の華

【監督】降旗康男
【出演】高倉健、池上季実子、田中邦衛、北大路欣也、藤田進、小池朝雄、三浦洋一、岡田眞澄、小林亜星、小林稔侍
【制作】1978年、日本

幼い娘のいる兄貴分を殺したヤクザが、その娘の成長を見守りながら苦闘する姿を描いた作品。

東竜会の加納秀次(高倉健)は、組を裏切った兄貴分、松岡幸太郎(池部良)と話し合っていた。松岡は子どもがいるんだと情に訴えるが、秀次は幸太郎を刺し殺す。身寄りのなくなった松岡の娘が気がかりだった秀次は、獄中にいることを伏せて援助を続ける。秀次は15年服役し、出所する。高校生になった洋子(池上季実子)は、秀次をおじさまと慕い、会うことを楽しみにしていた。秀次は、洋子を大事に思いつつも、父親を殺した罪の意識から、遠くで見守ることしかできない。
ヤクザの世界は仁義より金儲けを重視するように変わり果てていた。秀次は足を洗うことを考えはじめる。それを秀次から聞いた親分の坂田良吉(藤田進)は反対せず、自衛官の息子、道郎(北大路欣也)が道を踏み外さないよう目を掛けてほしいと秀次に頼み、秀次は道郎を守ることを約束する。
東竜会は、関西のヤクザと手を組むことを目指す派閥と、独立を貫く派閥に別れていた。独立を重んじる良吉は、反対派の山辺(小池朝雄)の裏切りにより暗殺されてしまう。道郎は復讐に燃えるが、秀次は良吉との約束を守るため、堅気に戻る道を諦め、自ら山辺を葬る役割を担うことにする。秀次は、洋子におじさまでしょ、と話しかけられるがしらを切る。山辺には、慶応大学に合格した息子がいた。秀次たちに取り囲まれた山辺は、子どもがいるんだ、見逃してくれないか、と秀次に懇願するが、秀次は山辺にドスを突き刺す。立ち去ろうとした秀次の耳に、なぜか幼子の声が響き、秀次は思わず振り返るのだった。

みんなボソボソしゃべるのと、登場人物が無駄に多く、セリフの中に名前が出てきても誰のことだか覚えきれないので、物語の内容が分かりづらかった。主人公が実の家族を気に掛けているようでもあったが、本筋と何の関係があるのかもよく分からない。映画で感動するために必要な情報を観客に効果的に伝えるというのは、けっこう工夫が必要なんだと、脚本の重要性を再認識した。

【5段階評価】3

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2024年6月26日 (水)

(2715) かがみの孤城

【監督】原恵一
【出演】當真あみ(声)、芦田愛菜(声)、宮﨑あおい(声)、北村匠海(声)、吉柳咲良(声)
【制作】2022年、日本

辻村深月の小説が原作のアニメ映画。鏡を通って城に集まった中学生7人が、願いの叶う鍵探しに挑む。

中学一年生の安西こころ(當真あみ)は、同級生の真田美織(吉村文香)らにひどいいじめを受け、不登校になる。母親(麻生久美子)は、お腹が痛いと訴えるこころに、学校に行くのか行かないのかを聞く。こころは、「行かない」のではなく「行けない」のに、と心でつぶやく。こころは、母親と出向いたフリースクールの喜多島先生(宮﨑あおい)に優しくされる。
ある日、こころは自分の部屋の鏡を通って、見覚えのない城の中に迷い込む。中にはアキ(吉柳咲良)、フウカ(横溝菜帆)、リオン(北村匠海)、スバル(板垣李光人)、マサムネ(高山みなみ)、ウレシノ(梶裕貴)がいた。狼のお面をした少女(芦田愛菜)は、3月30日までに鍵を見つければ、願いを一つ叶えることができる、城にいられるのは9時から17時までで、時間のルールを破ると大きな狼に食われる、と説明する。また、願いが叶うと、7人は城のことも互いのことも記憶をなくすと言われる。
7人は話し合ううち、自分たちが同じ南東京市の雪科第五中学に通っており、リオン以外は不登校であることを知る。リオンは雪科第五中学に通う予定だったが、ハワイに留学していた。7人は鍵を見つけることができないまま3月30日を迎え、こころらはお別れパーティを城で開くことにする。ところが、こころの部屋のかがみの奥から、アキがルールを破って狼に食べられた、と声がする。こころは城に入り、同級生の東条萌(池端杏慈)の家に飾られていた「七匹の子ヤギ」の絵を手がかりに鍵の謎を解く。鍵を手に入れたこころは、7人は異なる時代から集まっていたことを知る。こころは鍵を使って扉を開け、アキがルールを破ったことを帳消しにしてほしいと願う。アキは義父に性的暴行を受けそうになったトラウマに悩まされていたが、こころたちはアキを救い出す。狼のお面をした少女は、リオンが幼少の頃に病死した姉(美山加恋)だった。7人は元の世界に戻って行く。リオンは去り際、記憶を消したくないと望み、お面の少女は善処すると答える。
喜多島先生は、成長して名字の変わったアキだった。不安を抱えながらも、学校に行くことにしたこころに、通学路で一人の男子中学生があいさつしてくる。それはリオンだった。こころはなぜ声をかけられたのか不思議がるが、リオンだけは城の記憶があるのかもしれないのだった。

分かったような分からないような作品。全ての謎がすっきりと解けた、というほどではなく、登場人物同士の関係が全て繋がった感じもなかった。タイトルからはファンタジーものかと思ったが、人間の内面を扱っていた。

【5段階評価】3

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2024年6月25日 (火)

(2714) 昭和残侠伝 破れ傘

【監督】佐伯清
【出演】高倉健、池部良、北島三郎、鶴田浩二、安藤昇、星由里子、檀ふみ、山本麟一、山城新伍
【制作】1972年、日本

ヤクザの抗争の中で義理を通す渡世人の死闘を描いた作品。「昭和残侠伝 吼えろ唐獅子」の続作。

郡山の天神濱組が催した花会(賭場)で、郡山の寺津組の組長、力松(安藤昇)は、大阪の近松組の衆に馬鹿にされ、力松に同行していた福(山城新伍)が喧嘩を始める。天神濱組は寺津組の力松と福、仙吉(待田京介)を花会から放り出す。力松の兄弟分の花田秀次郎(高倉健)は、天神濱組への復讐を誓う力松に加担。天神濱組の組長、羽黒政太郎(水島道太郎)に一太刀浴びせた秀次郎は喧嘩の勝ちを宣言し、羽黒にとどめを刺そうとする力松を押しとどめる。
四年後の新潟。秀次郎は、時雨組の賭場でイカサマを働いた東京銀二郎(北島三郎)が、けじめをつけられそうになっているところに出くわす。銀二郎が女郎をしている妹への伝言を頼む姿を見た秀次郎は、親分の時雨弥三郎(鶴田浩二)に身代わりを申し出、時雨は秀次郎の左手の甲にドスを突き刺し、場を収める。銀二郎が秀次郎を連れて妹のよし江(堀越光恵)に会いに行くと、弥三郎がよし江の身請け(女郎の借金を払って自由の身にすること)を引き受けていた。銀二郎は弥三郎に感謝し、秀次郎も頭を下げる。銀二郎と別れた秀次郎は、寺津組の者が会津若松の鬼首(おにこうべ)組の者と、女工のお雪(檀ふみ)を大陸に売り飛ばそうとしている現場に遭遇。秀次郎は寺津組の者達を帰らせ、お雪と、お雪を助けようとしていた天神濱組の清次(北十学)を自由にする。
天神濱組の代貸しだった風間重吉(池部良)は、二代目の座を実子の勇三(中田博久)に譲り、堅気の杜氏となっていた。秀次郎が寺津組を訪ねると、力松は鬼首組の組長、鉄五郎(山本麟一)の妹、おしま(鮎川いずみ)を娶っていた。鉄五郎は刑事の河野(沼田曜一)を買収し、天神濱組の花会に警察を踏み込ませる。天神濱組二代目の勇三が逮捕され、寺津組の仕業と考えた天神濱組の者が寺津組の者を襲うが、重吉が割って入り、寺津組に詫びを入れる。寺津組が重吉に暴行を加えているところに秀次郎が通りかかり、騒ぎを収めて重吉を家まで送り届ける。出迎えたのは、秀次郎が探し続けていたお栄(星由里子)だった。お栄は英治郎が喧嘩で死んだと聞いて、死のうとしたところを重吉に助けられたのだった。秀次郎は、お栄が堅気の重吉と結ばれたと知り、立ち去る。
寺津組と鬼首組の者が、新潟で逃がしたお雪と清次を見つけ、清次を刺し殺し、お雪を手込めにしようとするが、お雪は舌を噛んで自害。さらに出所した勇三が暗殺される。重吉は、天神濱組に戻ることを決意する。寺津組の三次(今井健二)は、状況を鉄五郎に伝える。鉄五郎は妹のおしまを捨石に寺津組に肩入れして天神濱組を壊滅し、郡山を制圧しようとたくらんでいた。
二代目暗殺を恨んだ天神濱組の若者が寺津組を襲撃し、仙吉が刺し殺される。鉄五郎は、重吉を斬るよう秀次郎に命じる。秀次郎と重吉は果たし合いとなり、二人は互角の勝負をする。そこに止めに入ったお栄を重吉が斬ってしまう。秀次郎は重吉を斬れないと力松に話す。事情を知った弥三郎が寺津屋を訪ね、寺津組と天神濱組の手打ちを提案する。力松は固辞するが、秀次郎が説得し、力松は手入れを受け入れる。それを知った鉄五郎は客人になっていた銀二郎に弥三郎殺害を依頼するが、弥三郎に恩のある銀二郎は丸腰で弥三郎に斬りかかる振りをし、時雨組の者に殺される。力松は鉄五郎を自ら説得し、手打ちにするよう頼むが、鉄五郎は力松とおしまを殺してしまう。さらに鉄五郎は、弥三郎を騙しておびき寄せ、大勢で斬りかかると、鉄五郎がピストルを何発も打ち込み、弥三郎を殺害。業を煮やした秀次郎は、助太刀を申し出た重吉とともに、鉄五郎のいる寺津組に乗り込み、死闘の末、鉄五郎を討ち、復讐を果たすのだった。

序盤は寺津組が悪者なのか、天神濱組が悪者なのか話がよく見えないのだが、中盤から鬼首組と寺津組の一部が悪者であることが分かってくる。本作でも、風間重吉は重傷を負うが、死にはしなかった。

【5段階評価】3

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2024年6月24日 (月)

(2713) 昭和残侠伝 吼えろ唐獅子

【監督】佐伯清
【出演】高倉健、池部良、松方弘樹、鶴田浩二、光川環世、松原智恵子、葉山良二、諸角啓二郎、今井健二
【制作】1971年、日本

ヤクザの親分の妾と駆け落ちした男を巡る騒動を描いた作品。「昭和残侠伝 死んで貰います」の続作。

昭和のはじめ、前橋。黒田組の客人、花田秀次郎(高倉健)は、黒田組の風間文三(松方弘樹)と川勝組に殴り込みをかけ、組長(沢彰謙)を討ち取る。黒田組の組長、米吉(葉山良二)は、文三を旅に出させ、文三を慕うおみの(光川環世)を手込めにして妾にする。おみのは文三を追い、それを知った米吉は組の小岩源七(今井健二)らに文三を追わせ、秀次郎にも協力を命じる。文三に追いついたおみのは、文三と添い遂げたいと懇願。断る文三だったが、おみのの強い思いを知り、一緒に逃げることにする。追っ手が迫っていることを知った文三は、金沢にいる兄の重吉を訪ねるように言っておみのを逃がす。文三と対面した秀次郎は、駆け落ちは筋が通らないと文三を説得。文三は秀次郎の言葉に従い、正直におみのの向かった重吉(池部良)のもとに源七らを案内するが、おみのはいなかった。汽車の中で容態の悪化したおみのは、同乗していた加代(松原智恵子)の計らいで三州組の世話になっていた。文三は三州組に出向いておみのを看病する。源七らは、三州組と敵対する稲葉組の寅松(諸角啓二郎)とともに三州組に向かい、文三とおみのを連れ出そうとするが、礼を失する源七らを組長の三州政治(鶴田浩二)ははねつける。秀次郎は三州に仁義を切った後、出直すよう源七に進言し、その場を収める。
三州組に迷惑を掛けられないと考えた文三は、おみのを連れて再び逃げ出す。源七らはそれを追い、秀次郎は文三に駆け落ちをやめるよう諭す。おみのと文三は、稲葉組に出向いていた黒田米吉のもとに戻る。秀次郎は、文三をおみのに会わせてやってくれと米吉に頼み、おみのは文三に見守られながら息を引き取る。米吉は、秀次郎の頼みを聞いたことと引き換えに、三州政治を斬るよう秀次郎に命じると、文三を葬る。
秀次郎は、三州に果たし合いを挑み、二人は互角の勝負を繰り広げるが、そこに黒田組の手の者が三州に発砲。黒田組の悪行に堪忍袋の緒が切れた秀次郎は、仁義は通したと言って黒田組の手の者を追い返す。
重吉は、三州が襲われ、文三が黒田組と稲葉組に殺されたことを知る。文三とおみのを弔った重吉は、稲葉組に殴り込みに行くことを決意。秀次郎は重吉に同行する。二人は稲葉組に殴り込みをかけ、三州も加勢。重吉は命を落とすが、秀次郎は黒田米吉を葬り去る。三州は重傷を負った秀次郎に肩を貸し、去って行くのだった。

大物俳優、鶴田浩二が加わり、鶴田浩二と高倉健の勝負が見所となっている。主人公側が長々と悪者への恨み言を述べると、自分の犯罪行為を正当化することになり、興ざめするのだろうが、言葉少なに復讐の決意を表現する辺りが、本シリーズのよさなんだろう。本シリーズは、シリーズを重ねるごとに内容がよくなっている気がしたが、シリーズ自体を気に入ってきたのかもしれない。おみのが文三への思いを語るシーンは普通に感動していたからな。

【5段階評価】3

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2024年6月23日 (日)

(2712) 昭和残侠伝 死んで貰います

【監督】マキノ雅弘
【出演】高倉健、池部良、藤純子、長門裕之、加藤嘉、山本麟一、中村竹弥、松原光二
【制作】1970年、日本

ヤクザの悪行に耐えかねた元博徒の料理人の復讐劇を描いた作品。「昭和残侠伝 人斬り唐獅子」の続作。

若い博徒、花田秀次郎(高倉健)は、博打のイカサマに引っかかり、一文無しになる。彼が銀杏の木の下で雨に打たれていると、芸者見習いの幾江(藤純子)が通りかかり、秀次郎を介抱する。時が経ち、秀次郎は、以前は見抜けなかった権藤熊次郎(山本麟一)のイカサマを見破り、熊次郎の右手をドスで刺し、刑務所入りとなる。秀次郎は、面会に来た妹のお弓(永原和子)と寺田組の組長友之助(中村竹弥)に、幾江に渡してほしいと300円を託す。老舗の料理屋「喜楽」を営む秀次郎の父親、清吉(加藤嘉)が病死し、清吉の世話で堅気の料理人になった風間重吉(池部良)は秀次郎に面会し、父親の死を伝える。
秀次郎の故郷、深川では、老舗の寺田屋と新興の駒井組が争っていた。出所した秀次郎は「喜楽」に戻り、継母で盲目のお秀(荒木道子)に名を偽って料理人として働き始める。寺田と重吉は秀次郎を芸者になった幾江に引き合わせる。駒井組の頭、甚造(諸角啓二郎)は、喜楽の座敷に幾江を呼ぶ。幾江がいやいや座敷に入ると、甚造は幾江に言い寄り、乱暴を働く。幾江の悲鳴を聞きつけた秀次郎は調理場を飛び出して座敷に上がり込み、駒井組の手下に手を上げる。重吉は秀次郎を殴りつけ、甚造らに謝罪させる。その後も駒井組は町で見かけた秀次郎に暴行を加えるが、秀次郎はじっと耐える。
喜楽の花田武史(松原光二)は相場に手を出し、喜楽の権利証をかたに甚造から借金をしようとするが、甚造はそれを取り上げてしまう。重吉に相談された寺田は、甚造に話を付けて権利書を取り返すが、帰り道に駒井組の客人となっていた熊次郎らに襲われ、命を落とす。業を煮やした重吉は、駒井組に殴り込みに行くことを決意する。秀次郎は、皿洗いとして喜楽で働き始めていた弟分の松(長門裕之)にドスを用意させ、重吉とともに駒井組に殴り込みを掛ける。重吉は命を落とすが、秀次郎は甚造を斬り、復讐を果たす。警察に連行される秀次郎を、松と幾江が見送るのだった。

高倉健が殴り込みに向かい、池部良が付き従うというのが定番だったが、本作では池部良に高倉健が付いていくという逆のパターンになっている。盲目のお秀が秀次郎のだし巻きを食べて、偽名を使っている秀次郎を本人だと見抜いていたという辺りの展開は感動的だった。

【5段階評価】3

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2024年6月22日 (土)

(2711) 昭和残侠伝 人斬り唐獅子

【監督】山下耕作
【出演】高倉健、池部良、小山明子、片岡千恵蔵、長谷川明男、須賀不二男、大木実、葉山良二
【制作】1969年、日本

所場の仕切りを巡るヤクザの抗争を描いた作品。「昭和残侠伝 唐獅子仁義」の続作。

昭和の初め、玉の井を仕切る皆川組の所場に、東雲組が介入し始める。渡世人の花田秀次郎(高倉健)は東雲組でわらじを脱ぐ。東雲組では、秀次郎の兄弟分、風間重吉(池部良)が代貸しを務めていた。二人は旧交を温め、重吉は、秀次郎と恋仲だった雅代(小山明子)が、皆川家の組長の後妻になっていると知らされる。
東雲組の組長、下川原重蔵(須賀不二男)は、中国大陸の事情に通じた山村(内田朝雄)にそそのかされ、玉の井の女郎を大陸に送り込もうとしており、重吉は心を痛める。皆川組の衆が東雲組に暴行され、皆川組の組長の実子、誠吾(長谷川明男)は、重蔵を待ち伏せして斬りかかるが、重吉に取り押さえられる。皆川組の代貸し、梶五郎(葉山良二)は、誠吾を取り戻しに東雲組の事務所に向かうが、重蔵は五郎を袋だたきにするよう命じる。重吉は組長を諫め、客人の秀次郎も誠吾と五郎を帰らせるよう進言。重蔵は秀次郎の顔を立て、二人を帰すかわりに、秀次郎に皆川組の組長を斬るよう命じる。秀次郎は渡世人の義理により、皆川巖(大木実)に果たし合いを挑み、急所は外すが巖を斬る。
秀次郎は恩義のある剣組の組長、剣持光造(片岡千恵蔵)に、皆川組と東雲組の抗争を収めてほしいと頭を下げる。剣持は、東雲組が玉の井に手を出さないよう下川原に約束させ、手打ちにする。手打ちの儀式の場で皆川巖は倒れ、帰らぬ人となる。東雲組は手打ちの条件を無視して玉の井に手を出し続ける。秀次郎を激しく恨む誠吾は、剣組の賭場で手本引きの親を張る秀次郎を見つけ、いかさまで秀次郎に勝つが、剣組の者に見とがめられる。剣組の者は、誠吾に指を詰めさせようとするが、秀次郎が割って入り、誠吾を帰らせる。気の済まない誠吾は、帰り道で秀次郎にドスで斬りかかるが歯が立たない。翌日、誠吾はピストルを持ち出し、雅代とともに現れた秀次郎を撃つ。代貸しの五郎が誠吾を平手打ちし、秀次郎が誠吾の父を斬ったのは、重蔵に斬りかかるという軽率な行動をとった誠吾を守るためだったではないかと諭す。ようやく目が覚めた誠吾は、秀次郎に後見になってほしいと頼み、秀次郎は引き受けることになる。
山村は、関東の組を束ねた大連合組織を作り上げることを提案するが、剣持は反対。東雲組は玉の井にダイナマイトを投げ込み、堅気の人が犠牲になる。誠吾は代貸しの五郎とともに東雲組に乗り込み、堅気の人に迷惑をかけるなと重蔵に啖呵を切る。五郎は東雲組に斬り殺され、誠吾も半殺しになる。それを知らされた剣持は東雲組に乗り込むと、五郎の遺体と誠吾を引き取る。剣持は喧嘩状をしたため、若頭の川畑(寺島達夫)が東雲組に書状を持ち込む。受け取った重蔵は、川畑を斬れと組の連中に命じるが、重吉が割って入る。怒った重蔵は重吉を破門にし、重吉は川畑を守って剣組に送り届ける。
東雲組は、喧嘩状を無視して剣組を奇襲し、剣組は全滅。剣持も機関銃で蜂の巣にされて絶命する。復讐に燃える皆川組だったが、秀次郎はそれを押しとどめ、泣きすがる雅代を振り切って、単身で東雲組に向かう。東雲組を破門された重吉が秀次郎に合流。二人で東雲組に殴り込む。重吉は重傷を負うが、秀次郎は山村と重蔵を斬り殺し、瀕死の重吉に肩を貸して去って行くのだった。

善人が皆川組、悪役が東雲組という構図だが、本作は高倉健と池部良のどちらも最初、悪役側にいるというのが珍しい設定。池部良が生き残るのも、シリーズでは初めてのパターン。殴り込みのシーンでは、出血の演出が派手になっていた。作中、「義理と人情を秤にかけりゃ義理が重たい男の世界」という、主題歌「昭和残侠伝」の有名な歌詞が登場する。

【5段階評価】3

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2024年6月21日 (金)

(2710) 昭和残侠伝 唐獅子仁義

【監督】マキノ雅弘
【出演】高倉健、池部良、藤純子、待田京介、志村喬、河津清三郎、山本麟一、夏珠美、宮土尚治
【制作】1969年、日本

採石事業を巡る業者とヤクザの抗争を描いた作品。「昭和残侠伝 血染の唐獅子」の続作。

昭和の初めの浅草。雷門一家への復讐を終えた蔵前一家の代貸し、花田秀次郎(高倉健)は、雷門一家の客人、風間重吉(池部良)に果たし合いを挑まれ、秀次郎は重吉の左腕を斬る。5年後、服役を終えた秀次郎は、弟分が世話になっている名古屋の石黒一家に向かう。秀次郎の乗る汽車には、雷門一家の仙太(曽根晴美)と辰(藤山浩二)が乗っており、秀次郎への復讐の機会をうかがっていた。秀次郎の向かいに座っていた林田組の組頭、伝之助(志村喬)は、秀次郎に注意するよう言葉を掛ける。汽車から降りて歩く秀次郎は、仙太と辰に斬りかかられ、手を負傷するが、相手にせず追い返す。秀次郎に岩波藤吉(待田京介)という渡世人が声をかけ、金で復讐を請け負おうとするが、秀次郎は相手にせず立ち去る。
負傷した秀次郎を芸者のおるい(藤純子)が見つけ、芸者小屋に招いて手当てする。仙太と辰は、兄弟分の樺島組に助けを乞う。樺島組は、左腕を失った客人の重吉に秀次郎斬りを依頼するが、重吉は断る。芸者小屋は樺島組に包囲されるが、おるいは裏手から秀次郎を逃がす。追われる秀次郎は、林田組の代貸し、峰岸隆平(山本麟一)に匿ってもらう。翌朝、隆平は秀次郎を探しに来た仙太と辰に刺され、命を落とす。伝之助は復讐に行こうとする秀次郎を押しとどめ、名古屋に行かせる。
樺島組の岩蔵(河津清三郎)は採石事業を老舗の浅野屋から横取りしようと頭の浅野幸太郎(御木本伸介)に脅しをかけるが、林田伝之助が現れ、浅野屋を守ると宣言し、樺島組を追い返す。名古屋から戻った秀次郎は、不戦を説く伝之助にドスを預ける。おるいを訪ねた秀次郎は、おるいが亭主持ちで、その亭主が風間重吉であると知り、有り金をおるいに渡して立ち去る。
浅野屋は事業の落札に成功するが、樺島組は浅野屋の採石場を爆破して事業を妨害し、伝之助を暗殺する。樺島岩蔵に秀次郎を斬るよう命じられた重吉は、再び秀次郎と相まみえる。おるいは二人を探し出して止めに入るが、背後から樺島組の衆に撃たれ、命を落とす。秀次郎は樺島組に単身で殴り込みを掛けることを決め、重吉が助太刀を申し出る。樺島組の悪行三昧に業を煮やした岩波藤吉も秀次郎に加勢。重吉は凶刃に倒れるが、秀次郎は岩蔵を討ち、復讐を果たすのだった。

序盤でいきなり主役二人が斬り合うという、これまでにない出だし。一方で、シリーズ5作目にして、ついに舞台となる事業が石材業と、2作目と重複していた。本作は過去作に比べると秀次郎と重吉の関係が複雑で、秀次郎が重吉に手切れ金を渡すくだりのやりとりは、意味がよく分からなかった。

【5段階評価】2

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2024年6月20日 (木)

(2709) 昭和残侠伝 血染の唐獅子

【監督】マキノ雅弘
【出演】高倉健、池部良、藤純子、津川雅彦、山城新伍、牧紀子、河津清三郎、天津敏
【制作】1967年、日本

東京博覧会の建設工事を巡る建設業者とヤクザの抗争を描いた作品。「昭和残侠伝 一匹狼」の続作。

昭和初期の浅草。東京博覧会の会場が上野に決まり、上野の工事を仕切る鳶政の衆は喜ぶ。病床に就く鳶政の頭(加藤嘉)のもとにヤクザの阿久津組の社長、剛三(河津清三郎)が訪ねてきて、工事の元請けを譲れと札束を投げ渡すが、頭はそれを断る。頭は建設予定地に出て立派な会場を作る夢を周囲に語るが、その場で倒れ、亡くなる。
剛三は東京市の土木局長(金子信雄)に贈賄し、会場建設を入札にさせ、業者の窓口を引き受ける。さらに、市と業者との会合に鳶政を呼ばないという妨害行為を働く。阿久津組の代貸し(No.2のこと)の風間重吉(池部良)は、鳶政も入札に参加させるべきだと剛三に進言する。兵役から鳶政に戻った花田秀次郎(高倉健)は、仲間から推され、組頭となる。重吉は、阿久津組と鳶政が反目しないようにすると秀次郎に約束する。重吉の妹、風間文代(藤純子)は秀次郎と思いを寄せ合っており、彼の帰りを喜ぶ。阿久津組は入札に白紙の札を入れ、入札会場で鳶政より安い金額で落としたように見せかけるという不正を働くが、会場にいた秀次郎は不正を暴き、会場工事は鳶政が落札する。
鳶政の音吉(山城新伍)は、思いを寄せる芸者の染次(牧紀子)が借金をかたに剛三に言い寄られているのを知り、鳶政の纏(まとい)を質草に岩源(沢彰謙)から600円を借り、阿久津組との縁を切らせる。ところが阿久津組と通じている岩源は、纏を阿久津組に持ち込む。それを知った秀次郎は、仲間の金をかき集め、音吉に纏を取り返しに行かせる。音吉は丸腰で阿久津組に行き、660円を返して纏を取り返そうとするが、阿久津組は音吉を刺し殺し、音吉がドスを持って殴り込みに来たように工作。秀次郎は音吉の遺体を引き取ることしかできなかった。染次は阿久津組に身を売って纏を取り返し、秀次郎に返すと、音吉の後を追って入水自殺する。
建設工事が始まるが、阿久津組は下請け業者を脅して工事を妨害。重吉は剛三に悪行をやめるよう諫言するが、剛三は酒瓶で重吉の頭を殴りつけ、重吉を破門にする。阿久津組の行為に業を煮やした秀次郎は、単身での殴り込みを決意。それを知った文代は泣いて悲しむ。そこに重吉が現れ、秀次郎を助太刀し、秀次郎を死なせはしないと文代に言って聞かせる。二人は阿久津組に向かい、秀次郎の弟分の竹(津川雅彦)も付いていく。三人は阿久津組に殴り込みをかけ、竹は殺され、重吉も阿久津組の三日仏(天津敏)と相打ちになる。秀次郎は敵に斬られながらも剛三を仕留める。そこに警察が踏み込み、秀次郎は逮捕される。連行される秀次郎を鳶政の連中や文代が見送るのだった。

作品ごとに舞台となる業界が変わる本シリーズ。本作は建設工事請負業界が扱われている。当時は高所作業が得意な建設請負業者が火消しも請け負っており、鳶政の象徴となる纏が作品の大きな鍵となっていた。

【5段階評価】3

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2024年6月19日 (水)

(2708) 昭和残侠伝 一匹狼

【監督】佐伯清
【出演】高倉健、池部良、藤純子、扇千景、島田正吾、河津清三郎
【制作】1966年、日本

漁師町の覇権を巡る争いに加わるやくざの復讐劇を描いた作品。「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」の続作。

昭和4年の浅草。桂木竜三(池部良)が、島津組の親分を殺したと象潟(きさかた)警察署に自首する。島津組の武井繁次郎(高倉健)は、暗殺の依頼主である辨天組の親分を復讐のため殺害し、服役する。出所した繁次郎は、前橋で子分の文治の妻、加代(扇千景)と出会う。加代は文治と死別して病を患っており、不義理をした父親の政太郎(島田正吾)に一目会いたいと繁次郎に話す。繁次郎は加代を連れて、千葉の銚子を縄張りとする潮政組の親分、政太郎のもとに出向くが、政太郎は娘に会おうとせず、加代は亡くなってしまう。繁次郎は政太郎を冷たい男だと軽蔑するが、政太郎が加代の墓で娘に詫びているのを見て、その考えを改める。政太郎は加代を世話してくれた繁次郎を客人としてもてなす。
潮政組は昔なじみの漁業者、濱德を支援していたが、濱德は新興の悪徳業者、川銀の嫌がらせを受けていた。出所した竜三は川銀の世話になるが、川銀の悪辣なやり口を知り、川銀に世話になったことを後悔する。繁次郎が、かつて具合の悪くなった加代を世話してくれた美恵(藤純子)の営む小料理屋で飲んでいると、店に竜三がやってくる。竜三は美恵の兄だった。繁次郎は、竜三が親分を殺した張本人だと知り、果たし合いを挑むが、竜三の子分の弁慶松(小島慶四郎)の邪魔が入り、果たし合いは時を改めることになる。
川銀の濱德への妨害行為は加熱し、政太郎は川銀の手の者に殺され、濱德の漁船は焼かれる。業を煮やした繁次郎は川銀に単身で乗り込む。道中、川銀の悪行に嫌気の差した竜三も繁次郎に加担し、料亭で酒宴を催している川銀に殴り込みを掛ける。竜三は死闘の末、美恵に見守られて息を引き取るが、繁次郎は川銀の親分、川崎銀五郎(河津清三郎)を討ち取るのだった。

ベタヤクザ映画の昭和残侠伝だが、3作目に来て、このいい人はいい人、悪い人はとことん悪い人、という裏切りのない勧善懲悪ぶりが心地よくなったのか、それなりに感動。評価がワンランクアップした。藤純子の可愛さも貢献したかもしれない。昔の美人女優は本当に美しい。

【5段階評価】3

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2024年6月18日 (火)

(2707) 昭和残侠伝 唐獅子牡丹

【監督】佐伯清
【出演】高倉健、三田佳子、津川雅彦、池部良、保積ぺぺ、水島道太郎
【制作】1966年、日本

石切場での縄張り争いを巡る復讐劇を描いた作品。「昭和残侠伝」の続作。

昭和初期の宇都宮。清川周平(津川雅彦)はくみ(三島ゆり子)と結婚しようとしていたが、石切業者、左右田組の弥市(山本麟一)が妨害。周平の兄貴分、花田秀次郎(高倉健)は、左右田組の親分、左右田寅松(水島道太郎)に、二人に手を出さないよう頼みに行く。寅松は頼みを聞く代わりに、商売敵の榊組の親分、秋山幸太郎(菅原謙二)を殺害するよう秀次郎を脅す。秀次郎は幸太郎に果たし合いを挑み、受けて立った幸太郎を斬る。弥市が膝を折った幸太郎にとどめを刺し、幸太郎は秀次郎の腕と覚悟を称えたあと、息を引き取る。3年の刑期を終えた秀次郎が幸太郎の墓参りをすると、幸太郎の息子、和夫(保積ぺぺ)に声をかけられる。墓参りに来ていた幸太郎の妻、八重(三田佳子)とも出会うが、秀次郎は名乗らず退散する。
石切場の所有者、田代栄蔵(芦田伸介)は、榊組に仕事を任せていたが、左右田組は榊組の組員に暴行を働くなど、妨害工作に出る。和夫に気に入られて榊組に出入りするようになった秀次郎は、たびたび榊組を助けるが、罪の意識に苛まれ、疲労で倒れた八重に、自分が幸太郎を手に掛けたと白状し、退去する。榊組の危急を聞いて戻ってきた榊組の兄貴分、畑中圭吾(池部良)は、秀次郎に果たし合いを挑むが、八重が圭吾を押しとどめ、勝負はお預けとなる。
左右田組は榊組の作業場に爆弾を仕掛け、金子直治(花沢徳衛)が死亡。秀次郎は、単身で左右田組に乗り込む決意をする。そこに圭吾も現れ、二人で左右田組に押し入る。圭吾は左右田組の屋敷で果て、秀次郎は石切場に逃げた弥市らを追う。周平が秀次郎に加勢するが、弥市の投げたダイナマイトを食らって死亡。秀次郎は弥市を斬った後、親分の寅松を葬り、復讐を果たす。立ち去る秀次郎を、八重と和夫が涙ながらに見送るのだった。

前作より時代が遡り、設定は異なっているが、監督や主題歌は前作と同じ。前作に比べると池部良はちょい役だった。クライマックスでもすぐ死ぬし。でも前作より分かりやすかった。

【5段階評価】2

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2024年6月17日 (月)

(2706) 昭和残侠伝

【監督】佐伯清
【出演】高倉健、池部良、三田佳子、松方弘樹、梅宮辰夫、江原真二郎、三遊亭圓生、水島道太郎
【制作】1965年、日本

極悪非道な組織の横暴に耐えかねた組長の復讐劇を描いた作品。

昭和21年。浅草の露天商を仕切る神津組は、新興勢力の新誠會のチンピラに商売を妨害される。神津組の政(松方弘樹)はチンピラに喧嘩を挑むが多勢に無勢で歯が立たず、そこに通りがかった風間重吉(池部良)が政に加勢し、新誠會を追い払う。神津組の四代目親分、川田源之助(伊井友三郎)は、客人として重吉をもてなす。
新誠會は商売敵の源之助を銃撃。源之助は、寺島清次(高倉健)を五代目にすることと、争いごとをしないことを遺言にして死亡する。戦地から戻ってきた清次は五代目を就任。新誠會に数々の妨害を受けてもじっと耐え、商売に精を出す。清次には、戦地に赴く前に思いを寄せ合っていた綾(三田佳子)という女性がいたが、彼女は清次の帰りを待ちきれず、石岡組を仕切る西村恭太(江原真二郎)と結婚していた。清次は誠実な恭太と綾の結婚を祝福する。
神津組の五郎(梅宮辰夫)は、目をかけていたみちよ(水上竜子)が新誠會の男に搾取されているのを見て、男に殴りかかったため、新誠會に惨殺されてしまう。五郎を探して神津組を訪ねてきたみちよを見て、重吉は驚く。みちよは、重吉の探していた妹、美代だった。美代は重い病を患っており、重吉の看病もむなしく他界する。
新誠會は露天商のために屋根付きのマーケットを建設すると触れ込み、神津組の世話になっていた露天商もいくつか新誠會に寝返る。恭太も新誠會の新商売に乗ることにしていたが、ついに新誠會が本性を現し、追加の会費の請求や露天商の締め出しを始める。新誠會のやり口に業を煮やした恭太は、単身で新誠會に乗り込み、惨殺される。浅草の隠居、大谷(三遊亭圓生)は問屋たちと共同で資金を集め、清次にマーケット建設を請け負わせる。
神津組はマーケット建設に勤しむが、新誠會は神津組の建設資材に火を放ち、マーケットは全焼。神津組の六兵衛(潮健児)が撃ち殺される。堪忍袋の緒が切れた清次は、新誠會に単身で乗り込むことにする。道中には、妹に先立たれた重吉が待っていた。二人は新誠會に殴り込みをかける。清次を追ってきた政も加勢し、清次は新誠會の親分、岩佐(水島道太郎)の息の根を止める。重吉と政は帰らぬ人となるが、神津組のマーケットは無事に完成し、神津組の江藤昌吉(菅原謙二)や大谷、綾たちは、一命を取り留めた清次の帰りを待つのだった。

悪者の悪行三昧に耐えに耐えた主人公が、怒り心頭に発して復讐を果たすという、ヤクザ映画の典型。主人公の盟友が加勢するというのもよくあるパターンで、同じく高倉健主演の「新網走番外地」と構成が似ていた。この手の作品、あまり好きではないのだが、シリーズ9話が全て録画されたので、一気見してみる。

【5段階評価】2

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2024年6月16日 (日)

(2705) 桜色の風が咲く

【監督】松本准平
【出演】小雪、田中偉登、吉沢悠、吉田美佳子、リリー・フランキー
【制作】2022年、日本

視力と聴力を失った息子とその母親の生き様を描いた作品。実話に基づいている。

福島令子(小雪)と正美(吉沢悠)夫婦の三男、智(遠藤千空(せんくう))は、3歳の正月のとき、右目に異常が現れる。医者(リリー・フランキー)にかかり、治療を受け続けるが、最終的に眼球癆と診断され、右目を失明する。小学生になり、明るく生きる智(森優理斗)だったが、左目にも異常が出て、ついに全盲になってしまう。東京の盲学校に通うことになった智(田中偉登)は、女子学生、増田真奈美(吉田美佳子)の声とピアノの演奏を気に入るが、次第に聴力が衰えていく。処方される薬を信用できなくなった智は、食事療法や運動療法にも挑戦するが、効果はなく、ついに全盲聾となる。息子が絶望の淵に立たされていることを感じた令子は、心中することまで考えるが、夫の正美は、それは智が迷惑がるから死にたいなら一人で死ね、と強く諭す。
ある日、母親の支度が遅いと文句を言う智に言い返したくなった令子は、点字を打つのももどかしく、智の指に自分の指を当て、点字をタイプするように直接、文字を伝える。この指点字により、智は孤独から解放される。同級生の山本正人(山崎竜太郎)も指点字で、君には思索がある、と智を励ます。智は、自分が全盲聾であることでたどり着く場所があるのではないかと考え、大学進学を決意。智の覚悟を聞いた正美は、まだ未成年の智とビールを飲み交わす。智はまだ盲聾者で大学に進学した人が日本にいない時代に大学を卒業し、大学教授となったのだった。

全盲聾という状態に置かれた中で思索を繰り返し、だからこそ見える景色、だからこそたどり着ける境地を目指すという前向きな気持ちを持つことに、素直に感動する。自分が不幸だと考えている人は、本作を観てみるといいだろう。実はその不幸は、人生を豊かに、あるいは新たな成長の機会の糧だと考え直すことができるかもしれない。
個人的には、この実在の人物、福島智教授の講義を直接拝聴したことがあり、署名入りの書籍も持っている。こういう人が使命感を持って社会に貢献していることは、尊いことだと思う。一方で、こういう人には普通に生きてほしいとも思う。聖人君子である必要はない。立派な人物でなければいけないわけではない。誰だって、肩の力を抜いて人生を楽しむ権利があることも、再認識した気がした。

【5段階評価】4

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2024年6月15日 (土)

(2704) プロメア

【監督】今石洋之
【出演】松山ケンイチ(声)、早乙女太一(声)、堺雅人(声)、佐倉綾音(声)、小清水亜美(声)
【制作】2019年、日本

炎を発する特異体質の人間と消火活動に命を賭ける青年の戦いを描いたアニメ作品。

怒りの感情が炎として吹き出す人体発火現象が世界各地で発生。都市プロメポリスの救命消防隊バーニングレスキューに所属するガロ・ティモス(松山ケンイチ)は、炎で都市を荒らす過激派組織マッドバーニッシュのリーダー、リオ・フォーティア(早乙女太一)を捕らえる。リオは一度、収監されるが、仲間を救出して脱走する。彼らが潜伏しているのを発見したガロだったが、リオに拘束される。リオは、プロメポリスが発火現象を起こす存在バーニッシュを人体実験に用いていると伝え、ガロを置いて逃走する。
ガロは、自分を炎から救った人物として慕っていた司政官クレイ・フォーサイト(堺雅人)に真相を尋ねる。クレイは、ガロに、滅亡寸前の地球からワープ航法で10,000人の人類を脱出させるためにバーニッシュを燃料として使うという恐ろしい計画を明かすと、反抗するガロを幽閉する。
リオはクレイの計画阻止のため都市を攻撃。自由になったガロはリオを捕らえる。バーニングレスキューのガロの仲間、アイナ(佐倉綾音)は興奮するガロとリオを凍結湖に叩き落とす。湖の底には謎の建造物があった。中にはコンピュータに保存されたプロメス博士(古田新太)の意識が残されており、ガロたちは、クレイがプロメス博士を殺して博士のバーニッシュ研究成果を横取りし、人類移送計画を実行しようとしていることを知る。プロメス博士によると、バーニッシュを使ったワープ実行は地球を滅亡に導くという。ガロとリオは、プロメス博士の遺した巨大兵器デウス・エックス・マキナに乗り込み、クレイに立ち向かう。一度は強力なマシンに乗ったクレイに二人は倒され、リオがワープ燃料として捕らえられてしまうが、ガロがリオを救出。クレイの野望を打ち砕き、地球の滅亡は防がれるのだった。

正方形や光線形の模様を多用した独特の造形で、自然より人工物の描写が多いアニメーションが特徴的。物語は完全なフィクションだが、決して理解不能ということはなく、最初に敵だと思ったリオが実は正義の人で、好人物と思っていたクレイが実は悪人だったという話の転換も分かりやすく描かれていた。一方で、物語の設定が、何か現実社会の問題を象徴的に扱っているかというと、そうでもなかったので、心にぐっとくるものは感じられなかったのと、個人的にはアニメの画風がチカチカしていて見づらかった。声優陣は豪華。

【5段階評価】3

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2024年6月14日 (金)

(2703) 荒野の決闘

【監督】ジョン・フォード
【出演】ヘンリー・フォンダ、ビクター・マチュア、キャシー・ダウンズ、リンダ・ダーネル、ウォルター・ブレナン
【制作】1946年、日本

弟を殺された男が保安官となって復讐を果たすまでを描いた西部劇。いわゆる「OK牧場の決闘」を描いている。

元保安官のワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)は、兄弟のモーガン(ワード・ボンド)、バージル(ティム・ホルト)、ジェームズ(ドン・ガーナー)と、牛の群れを連れてテキサスを通りかかる。それを見つけたオールドマン・クラントン(ウォルター・ブレナン)と長男のアイク(グラント・ウィザース)は、ワイアットに牛の買い取りを持ちかけるが、ワイアットは断る。ワイアットとモーガン、バージルがトゥームストーンという町に先乗りしてひげを剃ろうとすると、先住民が銃を持って店内で暴れ出し、保安官が先住民の相手を拒否したため、ワイアットが先住民をねじふせる。保安官になってくれという町の人達の頼みを断り、ワイアットらが牛の番をしていたジェームズのもとに戻ると、牛は連れ去られ、ジェームズは殺されていた。クラントン一家が怪しまれたが証拠がなく、ワイアットは保安官を引き受けて復讐の機会を疑う。
ワイアットは町の実力者、ドク・ホリデイ(ビクター・マチュア)と出会う。彼は病を患っており、死に急いでいるように酒をあおっていた。酒場の歌手チワワ(リンダ・ダーネル)はドクの恋人だったが、荒れているドクに冷たくされる。ドクのもとに、クレメンタイン・カーター(キャシー・ダウンズ)という美しい女性が訪ねてくる。ドクは彼女も冷たく追い返す。クレメンタインがドクを諦めて町を出ようとしているのを見かけたワイアットは、彼女をエスコートして町の集会に参加し、教会の起工式後のダンスをクレメンタインと踊る。クレメンタインが町に居残っているのを見たドクは怒り出し、自分が町を出ると言って町を飛び出す。
ワイアットに置き去りにされたことに怒ったチワワはクレメンタインを町から追い出そうする。とめに入ったワイアットは、チワワがジェームズが持っていた首飾りをしているのに気づく。ワイアットがどうやって手に入れたか聞くと、チワワはドクにもらったと答える。ワイアットはドクを追いかけ、町に連れ戻すと、二人でチワワを問いただす。ドクに首飾りをもらったというチワワの話は嘘だった。チワワは、ドクに冷たくされた日、部屋にやってきたビリー・クラントン(ジョン・アイアランド)から首飾りをもらったのだった。チワワの部屋の外に潜んでいたビリーは真相を白状したチワワを撃って逃走。クラントン一味の住み家にたどり着くが、ビリーに銃で撃たれており、事切れる。ビリーを追っていたバージルはクラントン一味の家に踏み込むが、オールドマンに背後から撃たれ、命を落とす。ドクはチワワの緊急手術を行うが、チワワは帰らぬ人となる。
町にクラントン一味が現れ、バージルの遺体を投げつけ、OK牧場で待つと言って走り去る。ワイアットはモーガンとドク、協力を申し出たシンプソン老人(ラッセル・シンプソン)と町長(ロイ・ロバーツ)とともにOK牧場に向かう。ワイアットがオールドマンに投降を促すが、オールドマンは拒否し、自分がジェームズとバージルを殺したと挑発。戦いを挑んできたアイクをワイアットが撃ったのを皮切りに銃撃戦が始まり、オールドマンの息子たちは全滅。ドクも銃弾を浴び、死亡する。ワイアットはオールドマンを殺さず、息子を失った悲しみとともに生き続けさせることにするが、隠し持っていた銃で反撃しようとしたオールドマンを、モーガンが銃の連射で倒す。ワイアットはクレメンタインに別れを告げ、モーガンとともに町を去るのだった。

OK牧場の決闘だけではなく、酒場のポーカー賭博や演劇、日曜の集会など、当時の生活の描写にも時間を割いている。ただ、役者が芝居小屋から失踪して酒場に現れるくだりは、本筋と何の関係があるのか分からず、退屈だった。テーマ曲の「愛しのクレメンタイン」は有名。

【5段階評価】2

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2024年6月13日 (木)

(2702) ジャイアンツ

【監督】ジョージ・スティーブンス
【出演】ロック・ハドソン、エリザベス・テイラー、ジェームズ・ディーン、デニス・ホッパー、キャロル・ベイカー
【制作】1956年、アメリカ

テキサスの大牧場主の半生を描いた作品。3時間を超える大作。

テキサスの大牧場主、ジョーダン・ベネディクト(ロック・ハドソン)は、メリーランド州に住む勝ち気な娘、レズリー(エリザベス・テイラー)と結婚。レズリーはジョーダンのメキシコ先住民や女性への偏見を公然と批判。ジョーダンは激怒しつつも、彼女への愛は変わらない。ジョーダンの姉ラズ(マーセデス・マッケンブリッジ)が落馬事故で死亡。遺言により、彼女が目をかけていた使用人ジェット・リンク(ジェームズ・ディーン)に土地が譲られる。ジェットは油田を掘り当て、ジョーダンを追い越すほどの富豪となる。
ジョーダンとレズリーは双子を授かり、成長した長男のジョーディ(デニス・ホッパー)は父親の牧場を継がず医者となり、メキシコ人の看護師ホアナ(エルザ・カルデナス)を妻とする。長女のジュディ(フラン・ベネット)は牧畜業に従事する青年ボブ・デイス(アール・ホリマン)と結婚。次女のラズ(キャロル・ベイカー)はジョーダンの姉の名を授かったせいか、ジェットに好意を持つ。ジェットは空港やホテルを建設。ジェットのホテルで祝賀パーティが開かれ、ベネディクト家も招かれる。ジェットは泥酔した状態でパーティに参加。ホアナがジェットのホテルで差別を受けたため、怒ったジョーダンがパーティ会場に乗り込んでジェットに殴りかかろうとしたり、息子をジェットに殴られたジョーダンが、ジェットを会場から連れ出したり、とパーティは大混乱。会場に戻ったジェットはスピーチをできずに卒倒。ラズのジェットへの恋心は冷め、ベネディクト家はホテルを去る。
帰り道、ジョーダンは、妻レズリーと娘のラズ、長男の嫁ホアナを連れてハンバーガー屋に入るが、店主のホアナへの差別的態度や、続いて入ったメキシコ人客を店から追い出そうとしたのに腹を立て、店主と大げんかし、殴り倒される。家に帰ったジョーダンは、何も思い通りにならなかった人生を振り返るが、レズリーは、あの喧嘩をしたあなたが一番かっこよかったとジョーダンを褒めるのだった。

3時間の大作で、上で書いた以外のエピソードもいろいろと織り込まれており、歴史的価値のある作品。ジェームズ・ディーンが、いかにも彼らしいすこしひねたジーンズ姿の青年だけでなく、後半では額のやや後退した壮年の男を演じている。彼の遺作だが、最後のスクリーンでの姿が田代まさし風の酔った男だったとは知らなかった。日本では「線路は続くよどこまでも」の歌詞で知られる曲「I've Been Working on the Railroad」が作中に登場する。

【5段階評価】3

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2024年6月12日 (水)

(2701) 劇場版 響け! ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~

【監督】石原立也
【出演】黒沢ともよ(声)、雨宮天(声)、藤村鼓乃美(声)、石谷春貴(声)、安済知佳(声)、七瀬彩夏(声)
【制作】2019年、日本

武田綾乃の小説が原作のテレビアニメ「響け! ユーフォニアム」の劇場版。吹奏楽部の高校生たちの奮闘を描いた作品。「リズと青い鳥」の続作。

北宇治高校吹奏楽部の黄前(おうまえ)久美子(黒沢ともよ)は、幼なじみの塚本秀一(石谷春貴)に告白され、付き合うことになる。3年生が卒業し、2年生になった久美子は、新入生を受け入れる。久美子のいる低音パートには、久石奏(雨宮天)らが入り、奏は久美子と同じユーフォニアムを担当する。新入生の受け入れ担当となった久美子は、部になじめずにいる鈴木美玲(七瀬彩夏)や、名字で呼ばれると不機嫌になる月永求(もとむ)(土屋神葉(しんば))たちの扱いに苦労する。
久美子に従順であるように見えた奏だったが、3年生の中川夏紀(藤村鼓乃美)が自分よりユーフォニアムが下手だと思っており、コンクール出場枠を巡るオーディションで自分が夏紀を出場枠から追いやることで悪者にならないよう、オーディションでわざと実力を出さずに演奏する。それに気づいた夏紀は奏のオーディションをやり直すよう顧問の滝昇(櫻井孝宏)に進言。久美子と夏紀は奏に本気でオーディションに臨むべきだと言って言い争いになる。久美子は立ち去った奏を追いかけて話し合い、奏は本気でオーディションに臨む。結果、3人ともユーフォニアム奏者に選ばれる。
全国大会近商を目標に掲げ、関西地区大会に挑んだ北宇治高校だったが、金賞を取ったものの全国大会出場は逃してしまう。部長の吉川優子(山岡ゆり)は恥じることはないと部員を鼓舞し、次の大会に向けて努力することをみんなで誓うのだった。

主人公の久美子が2年生になり、新1年生の久石奏との関係に焦点が当たった内容になっている。中学生のコンクールの時、隣にいた高坂麗奈(安済知佳)が「悔しくて死にそう」と叫んだときに動揺した久美子が、全国出場を逃して「悔しくて死にそう」と言った奏を優しく見守るという対比が、久美子の成長を物語っていた。
前作で登場するオーボエの鎧塚みぞれとフルートの傘木希美の演奏シーンがあるのも楽しい趣向。ただし、二人ともセリフはないのでノンクレジットである。
最後で、北宇治高校が全国出場を逃すのは、龍聖学園高等部という別学校がチラチラ出てくるというフラグが立っていたので、予想できた展開だった。

【5段階評価】3

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2024年6月11日 (火)

(2700) リズと青い鳥

【監督】山田尚子
【出演】種﨑淳美(声)、東山奈央(声)、本田望結(声)、藤村鼓乃美(声)、山岡ゆり(声)、桑島法子(声)
【制作】2018年、日本

武田綾乃の小説が原作のテレビアニメ「響け! ユーフォニアム」の劇場版。吹奏楽部の女子高校生の心の交流を描いた作品。「劇場版 響け! ユーフォニアム ~届けたいメロディ~」の続編だが、主人公は前作までと異なっている。

北宇治高校吹奏楽部3年の鎧塚みぞれ(種﨑淳美)と傘木希美(東山奈央)は親友同士。コンクールの自由曲が童話を題材とした「リズと青い鳥」に決まり、希美は喜ぶ。「リズと青い鳥」は、リズ(本田望結)という一人で暮らす少女が青い髪の少女(本田望結、二役)と出会い、二人で仲良く暮らすが、少女の正体が青い鳥であることを知ったリズが、少女を空に飛び立たせるという物語。希美は、この物語が自分とみぞれのようだと話す。
進路に迷っていたみぞれは、教師の新山聡美(桑島法子)から、音大受験を勧められる。それを聞いた希美は自分も音大を受けようかなと言い出し、みぞれも希美が受けるならと音大受験を決める。部長の吉川優子(山岡ゆり)は、希美に依存したみぞれの考え方に違和感を覚える。自由曲「リズと青い鳥」の第3楽章では、みぞれのオーボエと希美のフルートの掛け合いが重要だったがしっくりいかず、二人の関係もギクシャクする。新山先生と話し合ったみぞれは、大好きな青い鳥を旅立たせるリズの気持ちが分からない、自分なら青い鳥を閉じ込めておくと話す。新山先生は、みぞれが青い鳥だったら、と問いかける。みぞれは、青い鳥はリズの幸せのためには羽ばたくしかなかったと考える。みぞれの中で何かが変わる。
練習の場面で、みぞれは珍しく自ら第3楽章を通しでやりたいと顧問の滝昇(櫻井孝宏)に提案。そこでみぞれは見事なオーボエソロを披露する。それを聞いた希美は、みぞれが希美の演奏レベルに合わせて自分を抑えていたのだと悟る。希美のもとに出向いたみぞれは、それを否定し、希美が自分の全てだったと話し、希美にハグをする。二人の間のわだかまりは溶け、二人で仲よく甘いものを食べに出かけるのだった。

前作、前々作では目立たなかった、暗めで大人しい鎧塚みぞれが主役となっている。童話を劇中劇のように取り入れる趣向が凝らされており、演奏曲もこれまでと異なるので新鮮だった。終盤の希美とみぞれとのやりとりは、どちらかが絶叫したり激昂したりという流れになってもおかしくなかったが、そうした感情が爆発する場面はなく、ハッピーエンドになっている。

【5段階評価】3

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2024年6月10日 (月)

(2699) 劇場版 響け! ユーフォニアム ~届けたいメロディ~

【監督】小川太一
【出演】黒沢ともよ(声)、寿美菜子(声)、沼倉愛美(声)、櫻井孝宏(声)、藤村鼓乃美(声)
【制作】2017年、日本

武田綾乃の小説が原作のテレビアニメ「響け! ユーフォニアム」の劇場版。吹奏楽部の高校生たちの奮闘を描いた作品。「劇場版 響け! ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~」の続編。

北宇治高校吹奏楽部は吹奏楽コンクールの関西大会に出場し、全国大会となる全日本吹奏楽コンクールへの出場が決まる。ユーフォニアム担当の黄前(おうまえ)久美子(黒沢ともよ)は、同じユーフォニアムを担当している3年生の副部長、田中あすか(寿美菜子)が、母親に部活動を反対されていることを知る。あすかは明るい態度を見せながらも、練習に顔を出さなくなり、顧問の滝昇(櫻井孝宏)は、2年生の中川夏紀(藤村鼓乃美)をあすかの代役に立てる可能性を口にする。
久美子の姉で大学生の麻美子(沼倉愛美)は、高校の部活を辞めて受験の末、大学に行ったことを悔やみ、大学を中退して美容師になると言い出す。父親の健太郎(中博史)は、中退するなら家を出て行き自費で美容師学校に行くよう麻美子に告げる。久美子は麻美子の覚悟を聞き、あすかも部活を辞めるのではと心配になる。久美子はあすかに部活を辞めないでくれと説得。あすかは全国模試で30位以内という好成績を収め、それを材料に母親を説得し、部活を続けて全国大会に出場する。
全国大会では、あすかの父親で、2歳の時に離婚して以来、会っていないユーフォニアム奏者の新藤正和が審査員となっていた。あすかは父親の前でユーフォニアムを演奏するが、北宇治高校は最低ランクの銅賞に終わる。滝昇は新藤正和からの「よくここまで続けてきたね。美しい音色だったよ」という伝言をあすかに伝え、あすかは素直に喜ぶ。全国大会で3年生の部活動は終わり、久美子はあすかの卒業を見送るのだった。

前作は久美子と高坂麗奈(安済知佳)の1年生同士の関係を中心に展開したが、本作は1年生の久美子と3年生のあすかとの関係を中心に描かれている。部活と受験の両立や、子どもの進路への親の干渉の是非という、これまた高校生活の典型的な話題が取り上げられた内容だった。リアルに作っているからだとは思うが、クライマックス曲が前作と同じ「三日月の舞」だったのは残念。違う曲を味わいたかった。

【5段階評価】3

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2024年6月 9日 (日)

(2698) 劇場版 響け! ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~

【監督】石原立也
【出演】黒沢ともよ(声)、安済知佳(声)、櫻井孝宏(声)、朝井彩加(声)、豊田萌絵(声)、茅原実里(声)、石谷春貴(声)
【制作】2016年、日本

武田綾乃の小説が原作のテレビアニメ「響け! ユーフォニアム」の劇場版。吹奏楽部の高校生たちの奮闘を描いた作品。

中学で吹奏楽部だった黄前(おうまえ)久美子(黒沢ともよ)は、北宇治高校に入学。吹奏楽部に見学に行くと、中学で同じ吹奏楽部だった高坂麗奈(安済知佳)がやってきて驚く。久美子は同級生の加藤葉月(朝井彩加)や川島緑輝(さふぁいあ)(豊田萌絵)とともに吹奏楽部に入る。
顧問の滝昇(櫻井孝宏)は部員の目標が全国大会出場であることを確認すると、厳しい練習メニューを与える。久美子はユーフォニアムを担当し、練習に励む。久美子は夏祭りの夜を麗奈と過ごし、固い友情で結ばれる。トランペット担当の麗奈は、3年生の中世古香織(茅原実里)とソロパートを競い合い、一対一のオーディションとなる。香織は麗奈の実力を認め、ソロパートを麗奈に譲る。北宇治高校吹奏楽部は京都府吹奏楽コンクールで見事に金賞を受賞。関西大会に駒を進めるのだった。

美少女吹奏楽アニメ。ライバル同士の戦い、幼なじみとの恋、苦しい練習、同級生との友情などが詰め込まれた内容。出てくる女子高生も可愛い子ばかりだった。

【5段階評価】3

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2024年6月 8日 (土)

(2697) 映画おしりたんてい シリアーティ

【監督】門由美子
【出演】三瓶由布子(声)、齋藤彩夏(声)、園崎未恵(声)、福山雅治(声)、渡辺いっけい(声)
【制作】2022年、日本

トロル原作の絵本「おしりたんてい」の劇場版アニメ。「映画おしりたんてい 夢のジャンボスイートポテトまつり」と同時上映された。

ホーホーはくぶつかんの秘宝「お・パーツ」を狙うシリアーティ(福山雅治)は、子分のオラン大佐(立木文彦)、ポーロッシュ(森川智之)とともに、巨大ドリルで地下金庫を狙う。おしりたんていはワンターポールの新米捜査官オードリー(園崎未恵)と協力して地下室の謎をとき、お・パーツを手に入れ、巨大スイートポテトで勇気と戦意を蓄えると、シリアーティを吹き飛ばすのだった。

地下金庫の鍵となるひらめきクイズが楽しい。一つ目は「あかなくなったとびら」と書かれた看板と「○しもとのゆ○の○なにな○ゆび」と書かれた扉。二つ目は8方向レバーに書かれた「かぎは みうしなうひ」。一つ目の謎は物語序盤で登場するので、クイズの得意な人ならすぐ解けるかもしれないフェアな謎の提示になっている。おしりたんていとシリアーティの顔がおしりの形をしていることこそが最大の謎だが、それは作品中では触れられていなかった。
なお、ひらめきクイズの答えだが、一つ目は「あかなくなったとびら」とは、「あ」と「か」がなくなった扉という意味。「○しもとのゆ○の○なにな○ゆび」の○の部分に「あ」と「か」を足すと「足元の床の穴に中指」となる。扉の横にある彫像の中指に鍵が仕込まれており、これを床の穴に差し込むことで扉が開く。二つ目はレバーの操作順を表している。「み」は右、「う」は上、「し」は下、次の「なうひ」斜め上左のこと。この順にレバーを倒すと鍵が開くということだった。

【5段階評価】2

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2024年6月 7日 (金)

(2696) 映画おしりたんてい 夢のジャンボスイートポテトまつり

【監督】入好さとる
【出演】三瓶由布子(声)、齋藤彩夏(声)、菅生隆之(声)、宇山玲加(声)、篠原恵美(声)
【制作】2022年、日本

トロル原作の絵本「おしりたんてい」の劇場版アニメ。「映画おしりたんてい シリアーティ」と同時上映された。

カフェ「ラッキーキャット」のマスター(菅生隆之)がぎっくり腰になり、おしりたんてい(三瓶由布子)が代わりに一日マスターに。店に大量に届いたさつまいもや砂糖、バターをもとに、みんなで巨大スイートポテトを作る。

映画おしりたんてい シリアーティ」の前座の位置づけの作品で、20分の短編。おしりたんていの助手ブラウン(齋藤彩夏)の存在や、おしりたんていの好物がスイートポテトであることなどを観客に伝える内容。

【5段階評価】2

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2024年6月 6日 (木)

(2695) 機動戦士ガンダムF91

【監督】富野由悠季
【出演】辻谷耕史(声)、冬馬由美(声)、荘司美代子(声)、池元小百合(声)、前田昌明(声)
【制作】1991年、日本

宇宙空間での戦争に巻き込まれる若者達を描く。「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に次ぐ劇場用オリジナル作品。

シーブック・アノー(辻谷耕史)の住むスペースコロニーに、反乱組織クロスボーン・バンガードのモビルスーツが侵入し、地球連邦政府の軍隊と衝突。シーブックは友人たちを連れて逃げる。シーブックの友人セシリー・フェアチャイルド(冬馬由美)はクロスボーン・バンガードの指導者カロッゾ・ロナ(前田昌明)の娘だった。セシリーは自分の運命を受け入れ、モビルスーツ、ビギナ・ギナに乗り込み、戦闘に加わる。シーブックは母親のモニカ・アノー(荘司美代子)が開発に関わったガンダムF91のパイロットとして敵を迎え撃ち、セシリーの乗るビギナ・ギナと遭遇。セシリーはシーブックとともに連邦政府側につく。カロッゾは自らモビルアーマー、ラフレシアに乗り込み、ガンダムF91とビギナ・ギナに攻撃するが、シーブックによってラフレシアは破壊される。セシリーは宇宙空間に放出されてしまうが、シーブックがセシリーを見つけ出し、二人は抱き合うのだった。

オリジナル版の割に、登場人物の説明が少なく、序盤に登場するザビーネ(梁田清之)やドレル(草尾毅)がクロスボーン・バンガードの軍勢なのか別の組織なのか、よくわからなかった。主役のガンダムがなかなか登場しないじらし作戦がとられていたが、ザクやゲルググが背景にちょこっと出てきたりする趣向は楽しかった。

【5段階評価】3

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2024年6月 5日 (水)

(2694) 大阪古着日和

【監督】谷山武士
【出演】森田哲矢、花梨、光石研、森島久、東ブクロ
【制作】2023年、日本

古着をきっかけに出会った男女の恋の行方を描いた作品。

古着好きの芸人、さらば青春の光の森田哲矢(森田哲矢)は、森島(森島久)の経営する古着屋で、アルバイトの女性、中嶋ナナ(花梨)と出会う。ナナの伯父の中嶋六(光石研)と3人で食事に行くことになるが、ナナは急用でドタキャン。ナナから次の日に会えないかとLINEで誘いが入り、哲矢は喜ぶ。
翌日、二人は植物園巡りをした後、哲矢の実家の蕎麦屋で昼食を取り、意気投合。哲矢のライブ終わりに食事の約束をする。ところが、哲矢に先輩芸人からコンパの誘いがあり、哲矢はナナにスタッフの打ち上げがあると嘘をつき、そちらに一時間だけ参加することにする。ナナがチケットを入手してライブを観覧していると、舞台で哲矢の相方の東ブクロ(東ブクロ)が、哲矢はこのあと先輩とコンパだ、とばらしてしまう。気分を害したナナは、夜の食事をキャンセルしてしまう。
哲矢は再びナナがバイトする店に行き、買った古着をナナにプレゼントする。ナナは喜ぶが、しばらくしたらロンドンに勉強に行くと話し、二人は別れる。哲矢はナナに振られた話を漫才のネタにするほろ苦い結末となったのだった。

ゆるい雰囲気の作品で、森田哲矢の等身大の演技が特徴的。古着屋の店長が本人だったり、ナナと訪ねる蕎麦屋、唐変木も実際の森田の実家。実父(森田啓二)も本人役で出演している。つまらないとは言わないが、メッセージ性はなかった。最後の漫才は面白かった。

【5段階評価】3

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2024年6月 4日 (火)

(2693) イエスタデイ

【監督】ダニー・ボイル
【出演】ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、ジョエル・フライ、エド・シーラン、ケイト・マッキノン
【制作】2019年、イギリス、アメリカ

ビートルズを誰も知らない世界で、ビートルズの歌で有名になっていくミュージシャンの人生を描いた作品。

世界が12秒停電になり、量販店でバイトをしながら音楽活動をしているジャック・マリス(ヒメーシュ・パテル)はバスに轢かれる。気がつくと、誰もビートルズを知らない世の中に変わっていた。ジャックはライブや地元番組でビートルズの歌を自分の曲として歌い始める。すると、有名アーティストのエド・シーラン(エド・シーラン)の目に止まり、彼の前座を務めることになる。エドのマネージャー、デブラ(ケイト・マッキノン)はジャックをデビューさせることにする。ジャックのマネージャーを担当してきた幼なじみで中学教師のエリー(リリー・ジェームズ)は、彼の成功を喜ぶ。ずっと男女の関係にはならずにいた二人は、ホテルの部屋で結ばれそうになるが、直前でエリーは拒み、二人の関係は終わる。
ジャックのデビューを記念するライブの直後、ジャックの知らないレオ(ジャスティン・エドワーズ)とリズ(サラ・ランカシャー)という男女が彼を訪ねてくる。二人はビートルズを記憶していた。責められることを覚悟したジャックだったが、二人はジャックがこの世にビートルズの曲を蘇らせたことに感謝し、ビートルズについて調べたメモをジャックに手渡す。ジャックはメモをもとに海沿いの一軒家を訪ねる。そこには78歳になったジョン・レノン(ロバート・カーライル)が住んでいた。ジャックは長生きしているジョンに会えたことに感激し、エリーへの愛を表現することを決意する。大きなライブで、ビートルズの曲を披露したジャックは、ステージの上からエリーに愛を告白。さらに、ビートルズの曲は自分で作曲したのではないことを告白し、楽曲を無料で公開する。スーパースターの道を自ら閉ざしたジャックはエリーと結ばれ、子ども達にビートルズの曲を楽しんでもらう人生を歩み始めたのだった。

ビートルズの曲の偉大さを再認識させられる作品。パラレルワールドものだが、小難しい理屈を語らないのがよい。ビートルズのほかにコカコーラやハリー・ポッターも世の中に存在しなくなっているというのも面白かった。終盤、見た瞬間に「年をとったジョン・レノンだ」と分かる老人が登場。クレジットに役者名がないのでCGなのかと思ったが、何とロバート・カーライルが演じていた。まあ、長髪真ん中分けにして丸眼鏡かけたらそれっぽくなるのかもしれないが、驚いた。

【5段階評価】4

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2024年6月 3日 (月)

(2692) パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー

【監督】トム・シャドヤック
【出演】ロビン・ウィリアムズ、モニカ・ポッター、ダニエル・ロンドン、ボブ・ガントン、フィリップ・シーモア・ホフマン
【制作】1998年、アメリカ

患者の生きる価値を高めることに身を捧げる医学生を描いた作品。実話に基づいている。

自殺未遂をしたハンター・アダムス(ロビン・ウィリアムズ)は、患者として精神病院に入るが、そこで苦しむ患者の相手をするうち、医者として患者の相手をすることに使命感を見出す。彼は医療大学に入り、ウォルコット学部長(ボブ・ガントン)の猛烈な批判にめげず、パッチ・アダムスと名乗り、患者に笑いを与え、無料の治療所を開く。アダムスは医学生のカリンに恋をし、はじめはアダムスを嫌っていたカリンも、アダムスの献身的な生き方に共感する。アダムスの治療所に、自傷癖があり救急治療室の常連のラリー(ダグラス・ロバーツ)が現れる。カリンはラリーを警戒するが、アダムスは優しく彼を受け入れようとカリンを諭す。ラリーから、話し相手がほしいというボイスメッセージが届いているのを聞いたカリンは、ラリーの家に様子を見に行く。その夜、ラリーがカリンを猟銃で撃ち殺し、自殺するという事件が起きる。アダムスは自分がカリンを殺したと激しく落ち込み、治療所の運営をやめ、医大を去ろうとするが、ルームメイトのミッチ・ローマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)らに止められ、医大生を続ける。ウォルコット学部長は、アダムスを退学させようとするが、審査会が開かれ、アダムスの在籍は認められる。医大を卒業したアダムスは、その後12年間、無料の治療所を運営したのだった。

鼻に赤く丸いゴムをつけて、道化師のように振る舞う姿が有名。審査会にかけられたアダムスを応援しに、多くの子ども達が現れて鼻に赤いゴムをつけて立ち並ぶシーンは感動的。ロビン・ウィリアムズは「レナードの朝」でも献身的な医師を演じている。「いまを生きる」の教師役とも重なる役どころだった。

【5段階評価】3

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2024年6月 2日 (日)

(2691) 新・明日に向って撃て!

【監督】リチャード・レスター
【出演】トム・ベレンジャー、ウィリアム・カット、ブライアン・デネヒー、ジル・アイケンベリー
【制作】1979年、アメリカ

二人のならず者の出会いと活躍を描いた西部劇。「明日に向って撃て!」の前日譚。

刑務所を仮釈放されたブッチ・キャシディ(トム・ベレンジャー)は、カジノで悪巧みをしているサンダンス・キッド(ウィリアム・カット)と出会い、彼を仲間にする。昔の住み家に戻ったブッチは、かつての仲間、OC・ハンクス(ブライアン・デネヒー)に再会するが、直後に保安官(ジェフ・コーリー)が踏み込み、ハンクスを逮捕。ハンクスはブッチが手引きしたと思い込み、逆恨みする。ハンクスはブッチを追い、ブッチとサンダンスに発砲。弾はサンダンスに当たってしまう。ブッチは家族のもとに戻り、サンダンスを回復させる。サンダンスは再び現れたハンクスと決闘し、復讐を果たす。仲間の情報をもとに、ブッチはサンダンスと列車強盗を企み、見事に成功させ、意気揚々と走り去るのだった。

明日に向って撃て!」でブッチとサンダンスを演じたポール・ニューマンとロバート・レッドフォードに代わり、トム・ベレンジャーとウィリアム・カットが演じている。名作の続作ということで観てみたが、前作同様、エピソードが細切れで「このあとどうなるんだろう」というドキドキ感がなく、退屈だった。

【5段階評価】2

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2024年6月 1日 (土)

(2690) 映画 プリキュアオールスターズDX3 未来に届け! 世界をつなぐ☆虹色の花

【監督】大塚隆史
【出演】小清水亜美(声)、折笠富美子(声)、山寺宏一(声)、勝生真沙子(声)
【制作】2011年、日本

テレビアニメ、プリキュアシリーズの登場人物が活躍するアニメ作品。「映画 プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!」の続編。

ブラックホール(山寺宏一)をボスとする悪者集団が地球に現れ、プリズムフラワーを消し去ろうとする。スイートプリキュア♪の北条響(小清水亜美)と南野奏(折笠富美子)は、歴代のプリキュアたちと一緒に戦い、ブラックホールを倒す。

前作同様、主人公たちの苦戦する場面が長い。観客がミラクルライトで主人公たちを応援するという趣向も前作と同じだった。登場人物が多く、さすがに飽きてしまった。プリキュアファン向けの作品だった(言わずもがな)。

【5段階評価】2

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