(2681) 八重子のハミング
【監督】佐々部清
【出演】升毅、高橋洋子、梅沢富美男、文音、安倍萌生、上月左知子、月影瞳
【制作】2016年、日本
アルツハイマー病を患った妻を看護した男性を描いた作品。陽(みなみ)信孝の小説が原作。
萩市の元校長で教育委員会委員長も務めた石崎誠吾(升毅)が、妻を看病した体験を講演で話しているシーンから始まる。誠吾は友人の医師、榎木(梅沢富美男)からガンを宣告される。胃を摘出する手術をし、その後も腸やすい臓にがんが見つかりながらも、手術に耐えていく。誠吾が手術のために入院したころから、妻の八重子(高橋洋子)の痴呆が始まり、榎木は若年性アルツハイマーに間違いないと告げる。誠吾は八重子を介護するため、ガンを乗り越えて生きる決意をする。
誠吾は献身的に妻の介護を続ける。誠吾は、周囲の人たちにも八重子がアルツハイマー病を患っていることを明かす。誠吾と八重子は教師をしており、教え子だった水本早紀(月影瞳)は、八重子の介護がしたいと介護の勉強を始める。誠吾は、講演活動もするようになり、八重子を講演会に連れていくこともあった。八重子を見世物にしているという批判もあったが、八重子はアルツハイマー病としては異例となる12年間も生き続け、自ら咀嚼して食べ物をとりつづけていた。八重子の葬儀には、長蛇の列ができる。音楽好きだった八重子のハミングが、いまも誠吾の脳裏に響くのだった。
「明日の記憶」同様、若年性アルツハイマー病を扱った作品。介護する夫の側も、ガンを患っており、リアルな介護シーンには頭の下がる思いだ。それでも、病気を不幸なこととしてばかり扱わず、優しさが薬になる、アルツハイマー病のおかげで回りに優しさがあふれる、という解釈には心が温まった。脇役のイメージの強い升毅が主演をしている珍しい作品でもある。
【5段階評価】3
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