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2024年4月17日 (水)

(2645) 影踏み

【監督】篠原哲雄
【出演】山崎まさよし、尾野真千子、北村匠海、中村ゆり、滝藤賢一、鶴見慎吾、大竹しのぶ、中尾明慶、竹原ピストル
【制作】2019年、日本

母と弟を失った双子の兄の周囲で起こる殺人事件や過去の無理心中の真相を描いた作品。横山秀夫の小説が原作。

深夜に住居に侵入して窃盗を働くノビ師の真壁修一(山崎まさよし)は、資産家の稲村家に忍び込む。すると、宅内に灯油をまいて火をつけようとしている稲村葉子(中村ゆり)に気づき、それを阻止。そこに刑事の吉川聡介(竹原ピストル)が立ち入り、修一は逮捕される。出所後、聡介が溺死体で発見される。修一は事件を追い、葉子に接近する。修一を「修兄(しゅうにい)」と慕う若い男(北村匠海)が、事件に深入りしようとする修一を諫めるが、修一は事件を追い続ける。
修一は双子で、啓二(北村匠海)という弟がいたが、啓二が窃盗で捕まり、中学教師だった母親(大竹しのぶ)は、絶望して家に火を放ち、啓二と無理心中していた。修一の幼馴染で恋人だった安西久子(尾野真千子)は、修一の罪を知りながら彼を思い続ける。久子は文具店を営む久能次朗(滝藤賢一)とお見合いし、求婚されていたが、それを断る。ところが男はプロポーズを続け、ついには久子の帰宅を狙って部屋に侵入し、久子に暴行を働く。久子はそれが次朗ではないと気づいていた。その男は次朗の双子の兄、新一郎(滝藤賢一、二役)だった。
聡介を殺したのは、修一の窃盗品を買い取っていた闇業者の大室誠(中尾明慶)だった。葉子の営むスナックで葉子に優しくされた大室は、葉子を振り向かせるため、葉子の周囲の男に片っ端から暴行していた。聡介も葉子の店に行ったことから、大室の魔の手にかかってしまったのだ。修一も大室に襲撃されるが、刑事の馬淵(鶴見慎吾)が現れ、大室は逮捕される。
次朗は粗暴な性格の新一郎に恋路や文具店経営など、人生を振り回されたことを恨み、衝動的に新一郎を殺害。修一は文具店に侵入し、次朗の罪を咎める。そこに突然、いつもの若い男が現れる。若い男は啓二の幻影だった。啓二との会話を終えた修一は、絶望する次朗に、生き続けるよう諭す。修一は啓二の幻影とたもとを分かち、久子と生きていくことを決めるのだった。

推理ものかと思ったが、聡介殺しの真犯人は取ってつけたような動機の犯人。二組の双子の運命を描いたヒューマンドラマだった。終盤、修一は、自転車の後ろに乗る啓二から、自分は母親に殺されたのではない、母親は途中で心中を思いとどまり自分を逃がそうとしたが、自分が母親を置いて逃げる選択をせず、母親と運命をともにしたのだと告白される。実在の人物のようにふるまっていた若い男が、啓二が幻影だったという、映画でときどきあるトリック(思えば序盤で、修一と啓二が図書館で言い争っているのを見て利用者が逃げ出すシーンがあるが、これは実は修一が独り言で「うるせえよ!」と言っているのを周囲が気味悪がっていたという伏線になっていた)とともに、無理心中の真相が明かされるという、悲劇の中にも救済のあるどんでん返しが用意されていた。このあたりの物語の重厚さは、さすが横山秀夫原作というところ。とは言え、修一と啓二の双子の運命はともかく、久能新一郎と次朗の双子の話まであるのは、ややこしすぎた。映画に登場する双子は一組でお願いしたい。

【5段階評価】3

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