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2024年4月27日 (土)

(2655) カルメン故郷に帰る

【監督】木下惠介
【出演】高峰秀子、小林トシ子、坂本武、笠智衆、望月美恵子、佐田啓二、見明凡太郎、佐野周二
【制作】1951年、日本

東京で有名になった踊り子の娘が故郷に帰って起こす騒動を描いた作品。初の国産カラー映画。

浅間山のふもとで農業を営む青山正一(しょういち)(坂本武)のもとに、娘のゆき(望月美恵子)がやってきて、東京に家出して踊り子になった、妹のおきん(高峰秀子)が帰ってくることを知らせる。正一は娘に素直に会う気になれずにいたが、地元の校長先生(笠智衆)に説得され、娘を出迎える。おきんはリリー・カルメンと名乗り、友人のマヤ朱美(小林トシ子)を連れて派手ないでたちで地元に戻る。
小学校の運動会で、戦地で全盲になった田口春雄(佐野周二)が、自ら作詞作曲した曲を家族とともに披露するが、歌っているさなか、金貸しの丸野十造(見明凡太郎)が朱美にちょっかいを出し、驚いた朱美が飛び上がったとたんにスカートが脱げたため、人々は大爆笑。春雄は演奏ができなくなり、校長はリリーたちを追い返す。
リリーは名誉挽回に地元で踊りを披露しようと朱美に提案。十造は金儲けになると踏み、急ごしらえの劇場を準備する。裸で踊るという噂が地元に流れ、校長は止めさせようとするが、それを聞いた正一は、泣きながら、馬鹿な娘が一番かわいい、やらせてあげればいい、自分も笑いものになる、と校長に話す。意気に感じた校長は正一とともに、芸術のためと言いながら金の亡者になっていると十造に猛抗議。校長と正一は、小川先生(佐田啓二)と、ゆきの亭主、青山一郎(磯野秋雄)とともに、校長の家で酒を酌み交わす。劇場ではリリーと朱美が肌を露出した踊りを披露。観客たちはそれを楽しむ。
翌日、リリーと朱美は、人々に見送られながら地元を去る。上機嫌な十造は、春雄の借金のかたに取り上げたオルガンを返すと、春雄の妻、光子(井川邦子)に言い、光子は泣いて喜ぶ。リリーの稼ぎは正一の手に渡り、正一はそれを校長に託して、娘が地元に錦を飾ったと受け止めるのだった。

リリーの踊りが父親に認められるという筋書きなのかと思ったが、リリーの踊りは最後まで、男たちの歓心を買う低俗な見世物という扱いだった。公開当時27歳の高峰秀子が、はつらつとした歌と踊りを披露。父親の理解を得るには至らない、ほろ苦い終わり方だが、最後までリリーと朱美は明るくふるまっていた。

【5段階評価】3

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