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2024年4月22日 (月)

(2650) ニライの丘~A Song of Gondola~

【監督】大城直也
【出演】神谷健太、津波真一、垣花きらら、松田ゆうな、仲本興次、ジョニー宜野湾
【制作】2010年、日本

空手を習わせてくれない父親に反発する中学生の心の成長を描いた作品。

中学生の桑江良(神谷健太)は空手を習いたいと父親の良造(津波真一)に頼むが、良造は幼い娘の風子(ふうこ)(垣花きらら)には優しいが良に冷たく、絶対に習わせてもらえない。良は友だちの凪(松田ゆうな)に借金して月謝を払い、空手を習い始めるが、父に見つかり、殴られる。良は父親に反発。祖父の良助(仲本興次)の家に泊まる。
留守番をしていた風子のもとに、良造の知り合いの男(藤木勇人)が現れ、風子に一方的に話しかける。男は突然、良は良造の本当の子ではないという話をする。その話は良の耳に入る。良は家出状態となり、迎えに来た良造に、自分の子じゃないから金がもったいなくて空手を習わせないんだろう、と叫ぶ。良造は良にうまく接することができないことを悩んでおり、良に何も言い返すことができなかった。良造は風子と観覧車に乗り、寝ている風子に対して、困った男の話をする。困った男には、好きになった女性(桃原(とうばる)遥)がいたが、自分を振り向かせることができず、イケメンの先輩を通じて自分を振り向かせようとするが、結果は、女性がその先輩と恋仲となって妊娠。先輩はアメリカに行ってしまい、空手の師匠になり、困った男はその女性のお腹の子の父親になろうとしたのだ、と。困った男とは明らかに良造のことだった。良造はイケメンの先輩、照屋(ジョニー宜野湾)に電話し、良に会ってもらう。照屋は良に気さくに話しかけ、家に帰りなさい、と優しく告げて立ち去る。良が家に帰ると、父親は背中を向けたまま、「良、一緒に食べよう」「良、もう寝なさい、休んでいいよ」と優しく話す。良は鳴き声で「ごめんなさい」と言うのだった。

はじめはスラップスティック風で間延びしたシーンが続き、全然面白くないのだが、良が良造の実の子じゃないと分かったあたりから物語がぎゅっと引き締まる。ぶっきらぼうな沖縄方言が作品の個性を引き立てて印象的だった。
ただ、残念なのはラストシーン。息子の良が「ごめんなさい」と謝って終わるのだが、二人の関係がぎくしゃくしたのは、良造も相当悪い。良造が良に向き合うなら、良造自身も謝るべきだった。息子だけが反省を表明したのは一方的。「ごめんなさい」は無条件降伏のようなもの。父親が戦勝国のような対応なのは、後味が悪かった。心で反省しても表明しないのは、反省していないのと見た目は同じなのである。

【5段階評価】3

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