(2589) お早よう
【監督】小津安二郎
【出演】設楽幸嗣、島津雅彦、三宅邦子、佐田啓二、久我美子、笠智衆、杉村春子、高橋とよ、東野英治郎
【制作】1959年、日本
親子喧嘩がもとで口を利かないことに決めた兄弟と、それに巻き込まれる大人たちを描いたコメディ。
林家の息子、実(設楽幸嗣)と勇(島津雅彦)は、母親の民子(三宅邦子)にテレビをねだるが買ってもらえない。実がだだをこねていると、帰ってきた父親の敬太郎(笠智衆)から口数が多いと叱られる。実は、大人だって無駄な会話をしているじゃないかと口答えし、勇を巻き込んで口を一切利かないことにする。二人は学校で給食費の支払いが必要なことを親に説明することもできない。腹をすかせた二人は、家からおひつとやかんを持ち出し、河原でご飯を食べるが、通りかかった警察官に不審がられ、逃げ出す。民子と同居している有田節子(久我美子)は、実と勇がしばしば出入りしている福井平一郎(佐田啓二)の家を訪ねる。平一郎は二人を探しに出かけ、駅前のテレビを見ていた二人を林家に連れ帰る。家には、敬太郎が買ったテレビが置かれていた。近所に住む富沢(東野英治郎)が家電のセールスマンの職に就いた祝いにと買ったのだった。実と勇は大喜びする。
登校中、実と勇は、近所の幸造(白田肇)と、はやりのおならごっこをするが、幸造はおならだけではすまなかったようだ。すごすごと家に帰り、母親のきく江(杉村春子)にこっぴどくしかられるのだった。
アメリカ映画でおならをユーモアに使う場面はよく見るが、小津監督作品にもあるとは知らなかった。町内会費を渡した渡さなかったでもめたり、押し売りを追っ払ったりといった、庶民のご近所付き合いのあるあるがつめこまれたような内容。家族を扱う小津監督作品の中でもコメディ色の強い内容だった。互いを憎からず思っている平一郎と節子が、核心に触れず天気の話や雲の形が珍しいなどといった、実の言う通りどうでもいい会話をしてしまうというシーンもほほえましかった。
【5段階評価】3
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