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2023年9月

2023年9月26日 (火)

(2495) ベニスに死す

【監督】ルキノ・ビスコンティ
【出演】ダーク・ボガード、ビョルン・アンドレセン、シルバーナ・マンガーノ、マーク・バーンズ
【制作】1971年、イタリア、フランス、アメリカ

美少年を見初めた年老いた教授の運命を描いた作品。

老作曲家のグスタフ・フォン・アッシェンバッハ教授(ダーク・ボガード)は、旅に出たベニスのリド島のホテルで、金髪の少年タッジオ(ビョルン・アンドレセン)を見つける。グスタフは、彼の中に天性の美を見出す。グスタフは、芸術のためには官能に身を任せるべきだと友人アルフリート(マーク・バーンズ)に指摘されたのを思い出す。理性的な行動を信条とするグスタフは、タッジオの美に苦しさを覚え、ホテルを発つことを決意。しかし、駅で荷物が誤配されたのを知ると、嬉々としてホテルに戻り、滞在を続ける。
町に怪しい白い液体が撒かれているのを見たグスタフは、ベニスにコレラが蔓延しているのを知る。それでもグスタフは髪を染め、顔を異様なほど白く塗って化粧し、砂浜の椅子に座ってタッジオを眺め続ける。染料の混じった黒い汗を流しながら、彼は息を引き取るのだった。

聞いたことはあるが進んで観ようとは思わない類の作品。こういう作品を観るのも、自動録画鑑賞の面白さ。実ることのない恋心を、美少年と老教授という形で描いている。二人は、一度も会話することはないし、触れ合うこともない。少年に恋い焦がれる教授は、醜い若作りをし、黒い汗を垂らして命を落とす。町には、駅でへたり込む男や、血色の悪い大道芸人が現れ、病魔を予感させる。ベニスでのできごとと、教授の回想や妄想が入り交じり、場面転換の多い小説のような映画だった。

【5段階評価】3

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2023年9月21日 (木)

(2494) 武器よさらば

【監督】チャールズ・ビダー
【出演】ロック・ハドソン、ジェニファー・ジョーンズ、ビットリオ・デ・シーカ
【制作】1957年、アメリカ

ヘミングウェイの同名小説の映画化作品。

第一次世界大戦で戦うアメリカ人のフレデリック・ヘンリー中尉は、看護師のキャサリン・バークレー(ジェニファー・ジョーンズ)に一目ぼれ。二人は愛し合うが、翌朝、ヘンリーは戦地に赴く。激しい攻撃で脚を負傷したヘンリーは病院に運ばれる。ヘンリーを知る医師の計らいでキャサリンの看護を受けることになり、ヘンリーとキャサリンは、キャンペン院長(マーセデス・マッケンブリッジ)の目を盗んで愛し合う。
再び戦地に向かったヘンリーは旧知の軍医リナルディ(ビットリオ・デ・シーカ)が心を病んでいるのを見て、戦争の虚しさを知る。ヘンリーはドイツ軍の攻撃から敗走するが、患者を置いて逃げることになったリナルディは絶望し、その行動を軍に見とがめられ、銃殺されてしまう。ヘンリーも同類とみなされ、銃殺されそうになるが脱走。キャサリンのもとに戻る。ヘンリーが追われていると知ったキャサリンは、ヘンリーの子を宿したまま、ヘンリーの漕ぐ手漕ぎボートで湖を渡り、スイスに脱出。幸せな日々を過ごす。
キャサリンに陣痛が始まり、出産を迎えるが、難産になり、二人は切開する道を選ぶ。しかし胎児は死亡。キャサリンも命を落としてしまう。ヘンリーは力なく病院を出て雨に濡れた街を一人歩くのだった。

文学作品のあらすじを理解する意味では見る価値があるが、幸せと不幸せが入れ代わり立ち代わり現れる作り話であり、死産の上、妻も死亡という結末も、そりゃ不幸にしようと思えばいくらでもできるわな、ということなので、感情移入は難しいのだった。

【5段階評価】3

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2023年9月19日 (火)

(2493) バーニング・オーシャン

【監督】ピーター・バーグ
【出演】マーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ジョン・マルコビッチ、ケイト・ハドソン、ジーナ・ロドリゲス
【制作】2016年、アメリカ

石油掘削基地の火災事故を描いた作品。実話に基づいている。

メキシコ湾の沖合にある石油掘削基地ディープウォーター・ホライゾンに勤めるマイク・ウィリアムズ(マーク・ウォールバーグ)は、妻のフェリシア(ケイト・ハドソン)と10歳の娘を置いて、21日間の基地勤務に向かう。基地では作業が43日遅れており、幹部のビドリン(ジョン・マルコビッチ)は掘削を焦る。安全管理責任者のジミー・ハレル(カート・ラッセル)は負圧テストを実施し、作業開始に慎重な姿勢を見せるが、ビドリンはジミーが席を外している間に掘削開始を強行する。やがて基地内で大量の泥水が噴出。さらに大爆発が起き、基地は炎に包まれる。マイクは爆発に巻き込まれて負傷したジミーを救出。ジミーとマイクは何とか被害を食い止めようとするが、もはや基地は制御不能となる。ジミーは救命艇に乗り、マイクはアンドレア(ジーナ・ロドリゲス)とともに基地の上層階から海に飛び降り、ボートに救助される。11人が死亡し、大量の石油が流出する大惨事となるのだった。

映像はリアルで迫力があるのだが、映画の始まりから事故が起きるシーンまで50分近くかかり、そこまではずっと会議やテストの状況を描いているので退屈。事故の原因となる基地内の石油や天然ガスの状況も、暗くてよく分からない映像で表しているので、得体の知れないもの、という演出だとは感じたものの、何が起きているのか理解しがたかった。マイクとアンドレアが海に飛び込んでからボートに回収されるまでもあっさりとしていて、拍子抜けだった。

【5段階評価】3

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2023年9月17日 (日)

(2492) 遠い夜明け

【監督】リチャード・アッテンボロー
【出演】ケビン・クライン、デンゼル・ワシントン、ペネロープ・ウィルトン、ケビン・マクナリー、ゼイクス・モカエ
【制作】1987年、イギリス、アメリカ

南アフリカ共和国の人種差別問題に取り組む新聞記者を描いた作品。実話に基づいている。

アパルトヘイト政策が執られている時代の南アフリカ共和国。新聞記者のドナルド・ウッズ(ケビン・クライン)は、黒人の人権活動家スティーブ・ビコ(デンゼル・ワシントン)と出会う。彼の暴力によらない知的な活動に、ドナルドは感銘を受ける。しかし、ビコは政府や警察にマークされ、不当な逮捕の上、拷問により脳挫傷となる。医師は早く専門医に診てもらうべきだと主張するが、警官は1,100kmも離れた警察病院への輸送を選択。悪路に揺られたビコは死亡してしまう。
ドナルドはカメラマンのケン(ケビン・マクナリー)と、霊安室のビコの死体を撮影。死体には暴行の痕跡があった。ビコはハンストで死んだと表明するクルーガー警察庁長官(ジョン・ソウ)の虚偽を暴こうとするが、警察に活動停止命令を出される。ドナルドは妻のウェンディや仲間と協力して南アフリカからの亡命を敢行。家族とともにボツワナに向かい、ビコの本の出版を実現するのだった。

人種差別という大きな問題に抗うことの難しさを描いている。2時間半を超える作品だが、黒人差別のむごさを描く前半と、ドナルド一家亡命の成否を描く緊張感のある後半で見所を変え、見応えがあった。

【5段階評価】4

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2023年9月12日 (火)

(2491) アナコンダ4

【監督】ドン・E・ファンルロイ
【出演】クリスタル・アレン、カリン・スタンチュー、リンデン・アシュビー、ジョン・リス=デイビス、エミール・ホスティナ
【制作】2009年、アメリカ

巨大蛇と戦う人々を描いた動物パニック映画。「アナコンダ3」の続編。

癌を患う資産家マードック(ジョン・リス=デイビス)の指示により、東欧のカルパチア山脈付近で不死の蘭を育成していた研究者ピーター(ゾルタン・バトク)が、飼育していた巨大蛇に襲われる。巨大蛇は強力な再生能力を手に入れていた。ピーターと連絡が取れなくなったマードックは、ピーターが自分を裏切ったと考え、ユージーン(エミール・ホスティナ)を100万ドルで雇い、不死の蘭エキスの獲得とピーターの殺害を依頼。関係者のアマンダ(クリスタル・アレン)も、邪魔であれば殺害するよう指示を出す。不死の蘭と巨大蛇の撲滅をもくろむアマンダは、古生物学者のアレックス(カリン・スタンチュー)と出会い、行動を共にする。アマンダは不死の蘭を育てている小屋を発見するが、巨大蛇に襲われる。洞窟の落盤により巨大蛇の攻撃は免れるが、アマンダははしごを踏み外して気絶。アレックスは自分の車に戻る。しかし、車の鍵を落としてしまっており、アレックスは車の中で夜を過ごすことしかできなかった。
その近くの採掘現場には、ジャクソン(リンデン・アシュビー)、その恋人のヘザー(アナ・ラウル)、リーダーのスコット(ダニー・ミッドウィンター)、ウェンディ(アンカ・アンドローン)、ローランド(アレクサンドル・ポトチェアン)らが向かっていた。ジャクソンは、先発隊が無残な死体となっているのを発見。採掘現場にも死体が転がっていた。
目が覚めたアマンダは、アレックスの車の鍵を持って小屋から脱出。巨大蛇に襲われていたアレックスとともに逃走する。その様子をユージーンの部隊とジャクソンらが発見。アマンダとアレックスを助けようとしたローランドが蛇に食い殺される。アマンダ、アレックス、ジャクソン、スコットらは、何とか採掘部隊のキャンプに戻る。
アマンダの居場所を突き止めたユージーンは、彼らを脅してエキスを入手するよう脅迫。片腕を失った状態だったパトリック(アレクサンドル・ポトチェアン、二役)と、逃げようとしたウェンディは撃ち殺されてしまう。アマンダはスコットとともに、ユージーンの手下二人とエキスを取りに、ピーターのいた小屋に向かう。アマンダとスコットは濃縮エキスを発見。ユージーンの手下は蛇の餌食となり、スコットもアマンダを逃がすため、犠牲となる。アマンダがキャンプ地に戻ると、そこにはマードックがいた。マードックはユージーンの裏切りに遭うが、その場に居合わせたジャクソンがユージーンの胸にナイフを突き立てる。マードックはアマンダに自動小銃を突きつけ、エキスを要求。アマンダはエキスをマードックに渡し、ジャクソン、アレックス、ヘザーとともに車でキャンプを脱出。マードックは手に入れたエキスを自分の体に注射器で注入し、つかの間の全能感を味わうが、現れた巨大蛇に食い殺される。胸を刺されたユージーンは起き上がり、アマンダ達の乗るジープに追いつき、彼らに襲いかかる。巨大蛇が追いすがる中、アマンダはユージーンを車から突き飛ばし、ユージーンは手榴弾とともに巨大蛇と爆死。蛇は木っ端みじんとなり、アマンダらはその場を後にするが、巨大蛇は生き残っているのだった。

ホラー映画によくある、真の恐怖は過ぎ去っていないという余韻を残しているが、一応の完結編を迎える。蛇はCG感丸出しだが、前作の目が黄色で肌がピンクみたいなアニメ風ではなく、茶褐色のリアルな色合いになっていた。一方で、アレックスが車の鍵を落としたり、ジャクソンが無線機を落としたり、スコットが濃縮エキスの入った試験管を落としたり、と、物を落としすぎなのと、やたら分かれて逃げたり夜中に一人で建物の外に出たり、と、死亡フラグが立ちすぎ。マードックに至っては、無防備な屋外で自らにエキスを注射し、全能感を謳歌して大声で叫んだ結果、直後に蛇に襲われて死ぬという無能ぶり。蛇より人間の方が頭が悪い展開は、B級ホラーならではだった。

【5段階評価】3

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2023年9月11日 (月)

(2490) アナコンダ3

【監督】ドン・E・ファンルロイ
【出演】クリスタル・アレン、デビッド・ハッセルホフ、アンソニー・グリーン、ライアン・マクラスキー
【制作】2008年、アメリカ

巨大ヘビに立ち向かう人々を描いた動物パニック映画。「アナコンダ2」の続編。次作は「アナコンダ4」。

ウェクセル・ホール製薬は、極秘の研究施設で、一つがいの巨大ヘビを育成していた。マードック会長(ジョン・リス=デイビス)は、自らの癌の治癒のため、蛇を巨大化させる効果を持つ不死の蘭の成分の実用化を急がせていた。ところが雄の巨大ヘビが強化ガラスの檻を脱出。研究者や警備員をかみ殺し、雌蛇とともに森に逃げ込む。マードック会長の指示で傭兵が集められ、女性研究者のアマンダ(クリスタル・アレン)は施設管理者のピンカス(ライアン・マクラスキー)とともにヘビの駆除に向かう。ところが傭兵のリーダー、グロズニー(アンソニー・グリーン)をはじめ、傭兵達は次々と巨大ヘビの餌食となる。ハンターのハーマット(デビッド・ハッセルホフ)も合流するが、ピンカスも犠牲となる。産卵場所を探している雌蛇が廃工場にいるとにらんだアマンダは傭兵のニック(パトリック・レジス)とペアでヘビを探すが、ニックが雄蛇に捕らえられてしまう。ニックは手榴弾で自爆し、雄蛇を葬る。ハーメットと合流したアマンダだったが、ハーメットは蛇の子どもを持ち帰る契約をマードックと結んでいた。アマンダにも裏切りを求めるハーメットだったが、アマンダは断り、ハーメットに致命傷を負わせると、時限爆弾を置いて立ち去る。ハーメットは雌蛇とともに爆死する。アマンダは機密文書を焼き捨てるが、マードックの雇った人物が生き残っていた蛇を廃工場から持ち帰るのだった。

次作に繋がる伏線を残して終わるパターン。不死の蘭という前作の設定も受け継がれていた。前作に比べて、食いちぎられた死体の描写などグロテスクな要素が増している。蛇は相変わらずCGアニメのようでリアル感に欠けていた。とは言え、空を飛んだり超能力を使ったりといったトンデモ要素にまでは至っていない。

【5段階評価】3

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2023年9月10日 (日)

(2489) アナコンダ2

【監督】ドワイト・リトル
【出演】ケイディー・ストリックランド、ジョニー・メスナー、サリー・リチャードソン、マシュー・マースデン
【制作】2004年、アメリカ

人々を襲う巨大蛇を描いた動物パニック映画。「アナコンダ」の続編。次作は「アナコンダ3」(2008)。

長寿若返りの成分を持つ蘭を入手するため、黒人の科学者ゴードン・ミッチェル(モリス・チェストナット)、美人科学者サム・ロジャーズ(ケイディー・ストリックランド)、同じく女性科学者のゲイル・スターン(サリー・リチャードソン)、男性科学者ジャック・バイロン(マシュー・マースデン)、助手のコール・バリス(ユージン・バード)、医師のベン・ダグラス(ニコラス・ゴンザレス)からなる研究者チームがボルネオ入りする。彼らは船長のビル・ジョンソン(ジョニー・メスナー)と助手のトラン(カール・ユーン)を雇い、おんぼろの船で密林にある蘭の咲く場所を目指す。しかし、雨期に増水した川に流され、船は滝を落下して大破。一行は何とか岸にたどり着く。ビルは仲間のリビングストン(アンディ・アンダーソン)の船を呼び、歩いて合流地点を目指す。しかし、沼の中を歩いていたとき、最後尾にいたベンが巨大蛇に襲われ、命を落とす。リビングストンも蛇に襲われ、暴走した船は岸に激突して爆発。ビルらは使えるものを拾い集めた後、近くにある部族の村を目指す。しかし、村も巨大蛇に襲われており、部族は船で逃げ去っていた。彼らは家を解体していかだを作る。蘭の入手に執着するジャックは、ほかの仲間の反対にあったため、単独で蘭の場所に行くことを決意。ジャックが拳銃と無線電話を隠し持っていることを知ったゴードンは、ジャックを問い詰めるが、ジャックは移動の途中で入手した毒蜘蛛を放ち、ゴードンは体が麻痺してしまう。心配になったサムは動けなくなっているゴードンを発見。ゴードンは蛇に飲み込まれてしまう。ビルはゴードンのいた小屋に火を放ち、蛇を追い払う。ジャックはそのすきに一人でいかだに乗り、蘭の咲く場所を目指す。残された一行は歩いて蘭の咲く場所に向かうが、途中でトランが蛇の犠牲となる。ジャックのもとにたどり着いた一行は、いかだを取り戻そうとするが、銃を持ったジャックに見つかってしまう。ジャックは一行を蘭の咲く場所に同行させる。窪地の中に無数の大蛇がひしめき合うところに蘭は咲いていた。ジャックはサムを脅して蘭を取りに行かせる。サムはリュックに蘭を詰め、ジャックに渡すが、リュックが地面に落ちる。ジャックはそれを拾い上げるが、そこには毒蜘蛛が付着していた。ジャックは蜘蛛に噛まれてしまい、窪地の中に落下。巨大蛇の餌食となる。残された一行にも蛇が襲いかかろうとするが、ゲイルがオイル缶を蛇に投げつけ、コールが信号弾を放つと、蛇を炎を吐きながら窪地に落下。中で爆発が起き、窪地の壁が崩れて大量の蛇は生き埋めとなる。生き残ったビル、サム、ゲイル、コールの4人はいかだで街を目指すのだった。

B級映画のつもりで見たが、蛇のCGぽさは拭えなかったものの、エログロを強調しすぎない、予想よりは上品な作品だった。本作のマクガフィンである蘭の成分が、巨大蛇を産みだした原因になっているというのも、ちょっとした謎解き要素になっていた。
原題が、前作は「Anaconda」で本作が「Anacondas」になっているのは、一作目が「Alien」、二作目が「Aliens」になっているのと同じ関係だ。船長のビルがかっこいいながらも金に目がくらんで船を大破させたり、あまり有能でない中、サムが蛇の頭を一刀両断したりゲイルがオイル缶を蛇に食らわせたりと、女性が活躍するという点も、「エイリアン」と共通している。
ベンが口ずさんだ「ジョーズ」のテーマ曲も、エンドロールの曲紹介の中に載っているのが面白かった。

【5段階評価】3

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2023年9月 5日 (火)

(2488) NY検事局

【監督】シドニー・ルメット
【出演】アンディ・ガルシア、イアン・ホルム、レナ・オリン、ジェームズ・ガンドルフィーニ、リチャード・ドレイファス
【制作】1997年、アメリカ

警官の汚職事件に関わった若い検事の苦闘を描いた作品。

ベテラン刑事のリアム・ケイシー(イアン・ホルム)は、相棒のジョーイ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)とともに、長く追っていた痲薬密売人ジョーダン・ワシントン(シーク・マハムード=ベイ)逮捕に向かうが、ワシントンの銃撃に遭ってリアムは重傷を負い、応援に集まった警官も犠牲になる。ワシントンは殺した警官の服に着替え、パトカーで逃走を果たす。ニューヨーク市地方検事局長のモーギー(ロン・リーブマン)は新米検事補のショーン・ケイシー(アンディ・ガルシア)をワシントンの担当に指名する。ショーンは重傷を負ったリアムの息子だった。ワシントンはベテラン弁護士サム・ビゴダ(リチャード・ドレイファス)の弁護を仰ぐことにし、警察に投降。裁判はショーンの楽勝と思われたが、ビゴダはワシントンが警官に贈賄をしており、ワシントンより金を積むと言った新手の密売人が現れたことで汚職警官らがワシントンを殺そうとしていたと説明し、ワシントンの警官殺害は正当防衛だと主張する。
ワシントンには有罪判決が出て、裁判はショーンの勝利となるが、ショーンは実の父が汚職に絡んでいたのではないかという疑惑に苦悩することになる。ビゴダ弁護士は、ショーンに汚職警官一掃の望みを託す。密売人との贈収賄に関わっていたクラインホフの水死体が発見され、検事局は汚職警官の捜査に乗り出す。始めは関与を否定していたジョーイが、金銭を受け取っていたことをショーンに告白。リアムは悲しみ、ショーンはジョーイを罵倒。ジョーイは車の中で拳銃自殺する。リアムもまた、ワシントン逮捕へのこだわりから、逮捕状を偽造していた。偽造の証拠となる逮捕状の原本をリアムから受け取ったショーンは、苦悩しつつも、その原本をシュレッダーにかける。リアムは偽造の事実をインベリテリ判事に告白するが、判事は自筆で逮捕状を書き起こして偽造の事実をもみ消すと、ショーンに電話し、原本を廃棄するよう告げる。ショーンは証拠隠滅に加担することとなる。ショーンは辞職を考えるが、それを引き留めたのはビゴダだった。ショーンは検事を続け、新米検事補の講師役を担うのだった。

ゴッドファーザー PART III」のアンディ・ガルシア、「エイリアン」のイアン・ホルムが出演する硬派な作品。酒を食らって笑いながら自殺するジョーイ役のジェームズ・ガンドルフィーニの怪演も光っていた。

【5段階評価】3

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2023年9月 4日 (月)

(2487) 情痴 アヴァンチュール

【監督】グザビエ・ジャノリ
【出演】リュディビーヌ・サニエ、ニコラ・デュボシェル、ブリュノ・トデスキーニ、フロランス・ロワレ=カイユ
【制作】2005年、フランス、ベルギー

夢遊病の女性と近くに住む男性との関わりを描いた作品。

ビデオテークという映像資料の整理を仕事にしているジュリアン(ニコラ・デュボシェル)は、恋人のセシル(フロランス・ロワレ=カイユ)と同棲生活を始める。ある夜、自宅のあるマンションに戻ったジュリアンは、建物のそとに、虚ろな瞳でこちらを見て立っている女性(リュディビーヌ・サニエ)を発見。不思議に思ったジュリアンは近づこうとするが、女性は立ち去る。翌日、ジュリアンはスーパーでその女性を発見。女性は幼い子の手を引き、別の女性とともに普通に買物をしていた。その夜、ジュリアンは再びその女性に遭遇。声をかけるが、女性はジュリアンを拒絶して立ち去る。ジュリアンは女性の後を付け、彼女の住むマンションの部屋を突き止める。中には割れた皿や料理が散乱し、台所には血痕があった。女性はベッドの上で眠っていた。ジュリアンは彼女の家にあったビデオテープを持ち帰る。中には、女性が仲間と楽しそうにプールで遊んでいる映像があった。
朝のカフェで、ジュリアンはジェミラ(エステル・バンサン)という女性に声をかけられる。謎の女性と買物をしていた人物だ。そこには件の女性と子どものマルタンがいた。3人は短い会話のあと、別れる。その夜、ジュリアンは女性の後を付け、ナイトクラブに入る。ジュリアンに気づいた女性は、何をしにきたのかと彼を問い詰める。彼女の名はガブリエル。そこに彼女の知人ルイ(ブリュノ・トデスキーニ)が現れる。ジュリアンはルイ、ガブリエル達の会話の席に混じる。ルイが席を外したとき、ジュリアンはガブリエルの横に座り直し、夜の街で見かけて家に行ったことを明かす。彼女は夢遊病の症状があることをほのめかす。ジュリアンは、ビデオで夢遊病のことを調べる。夢遊病の症状が出ているとき、本人には意識がなく、自傷行為や自殺の恐れがあるので周囲の人は気をつけてあげなくてはならないということだった。
ある日、ジュリアンがガブリエルの家を訪ねてくる。ガブリエルはジュリアンを家に招待する。セシルはジュリアンから事情を聞く。二人はガブリエルの家に行く。そこにはルイと、メイドのジェミラもいた。しかしガブリエルの情緒は不安定らしく、ジェミラと口論をしたと思えば、こんなパーティ意味はないと言ってジュリアンとセシルを凍り付かせる。ルイはガブリエルをなだめる。
ガブリエルは、ジュリアンの職場を訪れ、ルイを付けてほしいと依頼する。ジュリアンは、車で長距離移動するルイを尾行。彼は大きな豪邸で妻と子どもとおぼしき人達と過ごしているのを目にする。戻ったジュリアンはガブリエルにそれを報告するが、ガブリエルはそのことを知っていた。ジュリアンは怒ってガブリエルのもとを立ち去る(怒った理由はよくわからない)。ジュリアンはセシルに、ガブリエルとは絶交だと話すが、ガブリエルはまた夜の街を徘徊し、車にはねられて入院。ジュリアンは病室を訪ねる。セシルとジュリアンの関係は悪化し、ルイもジュリアンに、お節介を焼くなと怒りをぶつける。ルイはガブリエルはお前を潰すと警告するが、ジュリアンはガブリエルの療養のため、亡くなった両親の住んでいた家にガブリエルを連れて行く。やがて二人は肉体関係を結ぶが、ガブリエルの夢遊病は治まらず、彼女は自らの腹を何度も突く。ガブリエルは再び入院。彼女の腹の傷を見て、ルイは彼女のもとを去るが、ある夜、ガブリエルがルイの家に現れ、ルイが家に招くと部屋の中で卒倒する。ルイは車でガブリエルを家に送る。ジュリアンと家にいたセシルがガブリエルを見つけ、ジュリアンはガブリエルの家に向かう。中に入り、おそるおそる部屋の中を進むと、銃声が鳴る。ベッドの上には裸のルイが横たわっており、傍らに銃を持ったガブリエルがいた。ガブリエルは警察に連行されるが、ジュリアンは彼女の行為は無意識のものだと証言し、ガブリエルは釈放。彼女はマルタンを連れ、行き先を告げずに旅立つのだった。

セシルの独白の形式で話は進む。ガブリエルのルイ殺害は、夢遊病のもとでの行為なのか、それとも意識下での行為かは、明かされない。いずれにせよ、爆弾を抱えた美しい女性が再び世に放たれたのは間違いない。美しい女性が男性に翻弄される姿は「天国の駅」を彷彿とさせた。

【5段階評価】3

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