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2023年6月

2023年6月18日 (日)

(2470) グリーンブック

【監督】ピーター・ファレリー
【出演】ビゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニ
【制作】2018年、アメリカ

白人の雇われ運転手と、雇い主である黒人のピアニストとの交流を描いた作品。かつてのアメリカの痛烈な人種差別に立ち向かう様子を描いている。

ナイトクラブ「コパカバーナ」で用心棒をしていたトニー・バレロンガ(ビゴ・モーテンセン)は、クラブの改装によって無職の状態になる。ドクター・ドン・シャーリーという雇い主のドライバーの仕事を紹介され、医者だと思って言ってみると、相手は黒人の音楽家(マハーシャラ・アリ)だった。トニーは黒人に強い差別感情を持っており、家に来た黒人の職人が使った家のコップをそのままゴミ箱に捨ててしまうほど。ドンを前に始めは忍耐強くドンの質問に答えていたが、週100ドルでドライバーの仕事だけではなく靴磨きなどの雑用もする必要があるという説明を受けると、「自分は召使いではない。週125ドルは必要だ」と告げて立ち去る。しかしトニーの腕を買っていたドンは、彼の妻ドロレス(リンダ・カーデリーニ)に電話でトニーが8週間家を空けることの許可を得て、トニーを雇うことにする。トニーはレコード会社から、黒人が利用できる宿泊施設などが載ったグリーンブックを渡される。
車内でたばこを吹かし品のない言葉でしゃべり続ける粗野なトニーに、ドンは逐一注意する。ドンを疎ましく思うトニーだったが、彼のピアノ演奏を目の当たりにして彼の才能に驚き、敬意を感じるようになる。ドンも旅を続けるうち、手づかみでケンタッキーフライドチキンを頬張るトニーに勧められて素手でフライドチキンを食べ、骨を窓外に投げ捨てるなど、道中を楽しむようになる。
ドンの演奏は、富裕層に歓迎されるが、黒人のトイレは別だったり、バーに行くと白人に絡まれたり、根強い差別がまかり通っていた。トニーはドンの身を守りながら、次第に自らの差別意識も変わっていく。トニーは愛する妻にまめに手紙を出しており、ドンは手紙の内容をアドバイスする。手紙を受け取ったドロレスは、見違えるような手紙の内容に感激する。
最後の演奏会場でも、ドンはVIPのような待遇を受けつつも、楽屋は物置きで、レストランには黒人であることを理由に入店を断られる。ドンは「レストランで食事が取れないなら演奏はしない」とオーナーに告げる。オーナーはトニーに、ドンを説得するよう100ドル渡そうとするが、トニーはオーナーにつかみかかる。ドンはそれを制止し、トニーに「君が演奏しろというならそうする」と言うが、トニーは「こんなところ出ていこうぜ」と言って、ドンとともに黒人の集う店に行く。白人のトニーと立派な服を着たドンは、店内の注目を集める。トニーはドンを天才ピアニスト(竹内とますみではない)だと紹介。店員が演奏を促し、ドンがピアノを奏でると大喝采を受け、店のバンドと盛り上がる。店を出たトニーとドンは、クリスマスに間に合うようトニーの家に向かう。眠気で限界が来たトニーを、家まで送り届けたのはドンだった。ドンはトニーを降ろして自宅に戻り、執事を帰らせる。トニーは家族や親戚とクリスマスパーティを楽しむ。「ニガーはどうした」と親戚に聞かれたトニーは、にガーはよせ、とたしなめる。黒人差別をしていた夫の変わりようにドロレスは驚く。盛り上がるトニーの家に追加の客がやってくる。その後ろには、ワインを手にしたドンがいた。トニーはドンを歓迎し、二人は抱き合う。ドロレスもドンにハグをし、手紙の礼をする。ドンがトニーの手紙の手引きをしていることに、彼女は気づいていたのだ。始めは黒人の登場にとまどった親戚たちだったが、すぐに彼の席を用意するよう動き出し、彼を歓待するのだった。

実話に基づく作品で、胸のすく気持ちのよい作品だった。人種差別に白人が立ち向かうという紋切り型の作品になりそうなところ、本作の主人公は、金持ちの帽子を隠して紛失したように見せかけ、それを取り返したふりをして金持ちの歓心を買ったりするような、横暴で独善的な男として描かれていることで、正義漢が差別と闘うというステレオタイプとは一線を画していた。

【5段階評価】5

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2023年6月17日 (土)

(2469) スクープ 悪意の不在

【監督】シドニー・ポラック
【出演】サリー・フィールド、ポール・ニューマン、ボブ・バラバン、メリンダ・ディロン、ドン・フッド
【制作】1981年、アメリカ

新聞による情報操作に巻き込まれた男と女性新聞記者の運命を描いた作品。

マイアミで発生した失踪事件を追っていたFBIのエリオット・ローゼン(ボブ・バラバン)は、事態の打開を図るため、関係者と思われるマイケル・ギャラガーを利用することを企む。エリオットは、女性新聞記者のミーガン・カーター(サリー・フィールド)を部屋に呼び入れ、マイケル・ギャラガーが疑わしいという情報ファイルを机に置いたまま部屋を出て、わざとファイルをミーガンに読ませる。ミーガンはエリオットの思惑通り、マイケルが疑われているという記事を書く。その記事を読んだマイケルはミーガンの職場を訪ね、記事の出元を聞くが、ミーガンは答えない。ミーガンもまた、マイケルが失踪事件に関与しているのか知ろうとし、二人の微妙な駆け引きが始まる。
マイケルの幼なじみで、彼の無実を知っているテレサ・ペロン(メリンダ・ディロン)はミーガンと会い、彼が事件当日、自分と一緒にいたと証言するが、その場所を言おうとしないため、ミーガンはそれでは記事にできないと彼女の元を立ち去ろうとする。テレサは自分がカソリック教徒であることを理由に言い渋っていたが、実は彼が自分の堕胎に付き合ってくれていたのだと告白。ミーガンはそのことを記事にするが、自分の秘密を暴露されたテレサは自殺してしまう。
マイケルは激怒し、会いに来たミーガンを暴力的に追い返す。マイケルは、自分がFBIに電話を盗聴されていることを逆手に取り、自分が地方検事クイン(ドン・フッド)と取り引きをして自分への捜査を打ち切らせたという状況を作り出す。司法省組織犯罪局のジェームズ・ウェルズ局次長(ウィルフォード・ブリムリー)は、マイケルを含む関係者を一同に集め、クインが捜査を打ち切る見返りにマイケルに賄賂を要求していたと判断。エリオットも捜査情報を故意に新聞記者に見せるという異様な手段に出ていたと判じる。ジェームズは、クインに辞職を勧告し、エリオットに30日後のクビを言い渡す。
マイケルの船のもとにミーガンが現れ、別れを告げる。一夜をともにする仲にまでなった二人だったが、マイケルはミーガンを乗せないまま船を出すのだった。

複雑な状況が描かれた難しめの作品。マイケルがディアスの失踪に本当に関わっていないのかは、作品の中で明確には描かれていない。濡れ衣を着せられた悲劇の男というより、新聞記者や捜査側の裏をかく、先の読めない狡猾な男として描いている。マイケルとミーガンが一夜の関係を持つのも、マイケルの本心なのか、企みの一部なのかわからないなど、深読みできる幅がある作りになっている。難解な分、作品の知名度が低いのもうなずける。ポール・ニューマン、そしてシドニー・ポラック監督の隠れた名作といったところ。

【5段階評価】2

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2023年6月15日 (木)

(2468) 釣りバカ日誌

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、石田えり、谷啓、江戸家猫八、丹阿弥谷津子
【制作】1988年、日本

やまさき十三原作、北見けんいち作画の漫画「釣りバカ日誌」の実写化作品。釣り好きの社員が起こす騒動を描いている。

鈴木建設のぐうたら社員、浜崎伝助(西田敏行)は、出勤前に釣りに行くような釣りバカ。四国支社から本社に転勤することになり、本人は嫌がるが、愛妻のみち子(石田えり)は東京にも魚はいると勇気づけ、二人は東京に引っ越す。鈴木建設の社長、鈴木一之助(三國連太郎)が食堂で食事をしていると、たまたま向かいに座っていた伝助に話しかけられる。伝助は一之助が自分の会社の社長だとは気づかず、定年間際に安月給で働く老人と決めつけ、彼を海釣りに誘う。山登りの格好をして現れた一之助を、伝助はスーさんと呼び、海釣りのイロハを教える。一之助は釣りを堪能し、招かれた浜崎家で酒に酔い、寝てしまう。伝助とみち子は一之助を家に泊める。
一之助は社長室で、釣りの日に撮った写真を嬉しそうに整理する。ハマちゃんの職場に電話しようとした一之助は、秘書から、この電話は我が社の番号だと知らされる。一之助はハマちゃんが自社の社員だったことを知るが、それを明かすことなく、ハマちゃんとの付き合いを続ける。
伝助の忘れ物を会社に届けに来たみち子は、社長としてエレベーターに乗り込む一之助を発見。一之助はみち子を社長室に呼び、自分が社長であることを明かす。みち子は驚き、それを隠していたスーさんを責めて社長室を去る。ハマちゃんの東京転勤は手違いだったことが発覚し、ハマちゃんは四国に戻ることになる。スーさんはハマちゃんが四国に戻ることを嬉々として受け入れたことにショックを受け、公私抜きに付き合いを続けられないかとハマちゃんに電話するが、ハマちゃんはそれを断り、スーさんもそれを受け入れることにする。
四国に戻る新幹線に乗っていたハマちゃんとみち子は、ともにスーさんに向けた態度を後悔していることに気づき、新幹線からスーさんに電話を入れる。みち子はスーさんに社長室で言いすぎたことを詫び、三人は和解するのだった。

国民的シリーズ映画「釣りバカ日誌」の第一作。スーさんが社長であることが明かされるまでを描いている。気のいいハマちゃんとみち子が、スーさんに優しく接する場面に心が温まる。それゆえ、スーさんが社長と気づいたときのみち子の怒りや、ハマちゃんとの関係を続けたいと望むスーさんに断りを入れるハマちゃんには胸が痛む。最後に関係が修復され、今後の両者の関係だどうなるのか、気になるところで映画は終わる。次作が気になる展開だった。

【5段階評価】3

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2023年6月12日 (月)

(2467) バンク・ジョブ

【監督】ロジャー・ドナルドソン
【出演】ジェイソン・ステイサム、サフロン・バロウズ、デビッド・スーシェ、ピーター・デ・ジャージー
【制作】2008年、イギリス

銀行の貸金庫を襲撃する一味の運命を描いた作品。実際の事件を題材としている。

中古車販売業者のテリー・レザー(ジェイソン・ステイサム)は、知り合いのモデル、マルティーヌ(サフロン・バロウズ)から銀行のセキュリティシステムが働かなくなるという情報を教えられ、銀行襲撃の誘いを受ける。銀行の貸金庫には、マイケルXという犯罪者が、マーガレット王女の性癖を撮った写真を保管しており、MI-5の工作員ティム(リチャード・リンターン)はマルティーヌを通じて、テリーに銀行を襲撃するよう仕向け、写真を入手しようとしていた。テリーは仲間とともに、銀行の2軒隣の店を手に入れ、銀行の地下にある貸金庫の床まで掘り進める計画を立てる。エディ(マイケル・ジブソン)が近くのビルの屋上から監視し、無線でやりとりしながらテリーらが掘削を進める。首尾よく銀行の貸金庫室に たどり着いたテリーたちは大量の現金や宝飾品、スキャンダラスな写真などを奪って逃げる。その中には、件のマーガレット王女の写真や、政府高官のわいせつ写真、汚職警官への贈賄リストの載ったノートなどが含まれていた。マルティーヌの行動を訝しんだテリーは、彼女の狙いがマーガレット王女の写真であったことを白状させる。テリーはティムに会い、自分たちの安全を保証させる。
エディとテリーらのやりとりを録音した音声が出回り、政府高官たちは慌て始める。ポルノ業者のボーゲル(デビッド・スーシェ)はテリーの仲間デイブ(ダニエル・メイズ)を捕らえて拷問にかけ、さらにエディも拉致してデイブを殺し、テリーに贈賄リストを渡すよう脅迫する。テリーは、翌日の11時にパディントン駅までティムを連れてこないとリストを公にすると逆にボーゲルを脅す。テリーの仲間ケビン(スティーブン・キャンベル・ムーア)は、贈賄リストの一部を捜査担当のロイ・ギブン巡査部長に渡し、パディントン駅に向かうよう伝える。
テリーは、マーガレット王女の写真をMI-5に渡し、新たなパスポートを手に入れ、安全を保障される。ボーゲルはエディを連れてパディントン駅に現れるが、MI-5がいることに気づき、立ち去ろうとする。テリーは、デイブを殺したボーゲルに襲いかかるが、そこに警察が現れる。テリーとエディは一度はパトカーに乗せられるが、マーガレット王女の写真をMI-5に引き渡したことで無事に解放され、ボーゲルは逮捕される。
この事件により、汚職警官が多数粛正され、ボーゲルも有罪となる。400万ポンドを超える盗難事件だったが、貸金庫の借主の多くは被害の深刻を拒否したのだった。

実在の事件に噂話を加えて映画化した作品。イギリス人には面白いのかもしれないが、事件になじみのない人からすると、今ひとつピンとこない内容だった。実際の事件を題材にしている割に、テリーたちの安全が保障される辺りは、なぜそうなるのか理由がよく分からなかった。だって犯罪は犯罪だよねっていう。

【5段階評価】2

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2023年6月 5日 (月)

(2466) 優駿 ORACIÓN

【監督】杉田成道
【出演】緒方直人、斉藤由貴、吉岡秀隆、仲代達矢、緒形拳、加賀まりこ、石橋凌
【制作】1988年、日本

宮本輝の小説が原作の作品。ダービー馬を育てると若者と馬主となる若い娘を描いている。

北海道の小さな牧場で働く若者、渡海博正(緒方直人)は、父親の千造(緒形拳)が牧場の命運をかけて種付けをして生まれた馬を大事に育てる。和具工業の社長、和具平八郎(仲代達矢)は娘の久美子(斉藤由貴)にその馬を買い与える。平八郎には愛人の田野京子(加賀まりこ)との間に生まれた子供、誠(吉岡秀隆)がいた。誠は病気で入院しており、延命のためには父親からの腎臓移植を必要としていた。しかし平八郎は、会社の経営難を乗り切るのに懸命であり、腎臓移植をせずにいた。
久美子は、平八郎の秘書、多田時雄(石橋凌)に教えてもらったオラシオンという名を自分の馬につける。オラシオンは、渡海家の牧場から大規模な牧場に移り、競走馬として育てられる。誠の存在を知った久美子は病室の誠を訪ね、オラシオンの話をする。誠はオラシオンに憧れ、早くレースに出てテレビで見られることを願うようになる。しかし、オラシオンを車で運搬していた博正は、対向車を避けようとして側道に突っ込み、オラシオンが足を負傷する。怪我から明けたオラシオンは快走を続けるが、調教師の砂田重兵衛(田中邦衛)は、オラシオンが無理をして走っていると考える。誠に早くオラシオンを見せたい久美子は、オラシオンをレースに出すよう重兵衛に頼みこむが、重兵衛は聞かない。博正は久美子を諭すが、久美子は博正に誠の存在を教え、二人は誠の病室を訪ねる。オラシオンが見たいと話す誠を見て、博正は早朝の調教を誠に見せることを提案。三人は車でオラシオンを見に行き、誠は初めてオラシオンを目にする。
無理が祟ったのか、誠は病状が悪化。久美子は平八郎の会社に乗り込み、誠に腎臓を提供するよう頼む。久美子を怒鳴りつけて追い返す平八郎だったが、誠の病室を訪ねる。誠は初めて見る平八郎を父親と気づき、力ない声で、腎臓をください、と平八郎に懇願する。平八郎は誠の手を取り、うん、うん、と頷くが、誠はそのまま息を引き取る。
オラシオンは快走を続け、日本ダービーに出場が決まる。博正や久美子が見守る中、オラシオンは優勝。博正と久美子は、騎手の乗ったオラシオンの手綱を手に取り、凱旋するのだった。

フジテレビが制作にかかわり、バブル期の競馬ブーム押し上げに一役買った作品。売れっ子の斉藤由貴の出演や、緒形拳と緒方直人の親子共演などの話題性もあり、仲代達也や石坂浩二といった大物俳優も多数登場するが、バブリーで派手なつくりではなく、厳かにサラブレッドの尊さやはかなさを描いている。騎手の運命も描いているのだが、物語終盤で斜行の疑いがかかるくだりは、それと関係があるのか、シーンの必然性がよくわからなかった。

【5段階評価】3

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2023年6月 3日 (土)

(2465) 里見八犬伝

【監督】深作欣二
【出演】真田広之、薬師丸ひろ子、千葉真一、松坂慶子(声)、志穂美悦子、京本政樹、夏木マリ、目黒祐樹
【制作】1983年、日本

闇の軍勢を倒す戦士たちの活躍を描いたSF時代劇。

不老不死の妖怪、玉梓(たまずさ)(夏木マリ)と蟇田素藤(ひきたもとふじ)(目黒祐樹)は、宿敵、里見一族の静姫(薬師丸ひろ子)を狙う。侍志望の若者、犬江親兵衛(真田広之)は、山中を逃げる静姫を見つけ、彼女をさらおうとするが、静姫を守る使命を負った八犬士の犬山道節(千葉真一)と犬村大角(寺田農)が現れ、新兵衛を追い払う。道節は、静姫と八犬士の関係を静姫に話し、玉梓と素藤の討伐に向かうよう説く。
愛する義妹の浜路(岡田奈々)を失った怒りに燃える犬塚信乃(しの)(京本政樹)と、誰も愛さず愛されない運命を背負った女暗殺者、犬坂毛野(いぬさかけの)(志穂美悦子)が仲間に加わり、静姫らは残る犬士を探す旅に出る。新たな仲間、犬田小文吾(こぶんご)(苅谷俊介)、犬川荘助(そうすけ)(福原拓也)が加わるが、犬士の証である光る玉を持たない親兵衛は、道節から立ち去るよう命じられる。道節のもとを去った親兵衛は、玉梓の軍勢にさらわれ、玉梓から、自分が親兵衛の母親だと教えられる。親兵衛の手首のあざがその印だった。
犬士の玉を授かった闇の軍勢の武将、犬養現八(げんぱち)(大場健二)は、捕らえられた親兵衛を助け出し、犬士の玉に導かれて道節のもとに現れる。親兵衛は、闇の軍勢によって呪いをかけられており、静姫に襲い掛かるが、雷に打たれ倒れる。目が覚めた親兵衛の手には「仁」と書かれた玉が握られており、手首のあざは消えていた。こうして八犬士が揃い、静姫と親兵衛は愛し合うが、そこに現れた大蛇によって、静姫は闇の軍勢に連れ去られてしまう。親兵衛たちは、妖怪を討つことができる弓を携え、闇の軍勢の居城に向かう。仲間が次々と犠牲になりながらも、本丸にたどり着いた親兵衛は、静姫とともに玉梓と素藤を成敗する。
静姫を城に送り届けた親兵衛は、静姫との身分の違いを感じながら城を後にし、荒れ地で、命を落とした七人の犬士の墓を建てる。すると、そこに馬に乗った静姫が現れる。二人はともに生きていくことを決め、手を取りながら馬で走り続けるのだった。

魔界転生」や「伊賀忍法帖」と同系統のエログロ歴史絵巻。夏木マリの豊かなおっぱいも見どころ。いかにも特撮の巨大ムカデ妖怪などが登場するようなチープさもあるが、仲間を増やしながら巨大な敵に立ち向かう物語には、正道RPGを進めているようなわくわく感があった。

【5段階評価】4

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