(2459) ダウンタウンヒーローズ
【監督】山田洋次
【出演】中村橋之助、薬師丸ひろ子、柳葉敏郎、尾美としのり、渥美清、石田えり、坂上忍
【制作】1988年、日本
戦後間もない日本の男子高校生の青春を描いた作品。
名門、松山高校の生徒、志麻洪介(中村橋之助)は、男臭い寮生活を送っていた。洪介は、時々すれ違う女学生(薬師丸ひろ子)に淡い恋心を抱く。洪介は、家庭教師をしている児童の家で彼女、中原房子と再会し、知り合いになる。
洪介のいる東寮が、高校の記念祭で演劇「理髪師チッタァライン」を披露することになり、監督を務めるオンケル(柳葉敏郎)は、ヒロインのアガーテ役を房子に依頼。房子はアガーテの夫レオンハルトを演じるのが洪介と知り、アガーテ役を引き受けることにする。オンケルは芝居の練習を通じて房子を好きになっていく。演劇は成功を収め、オンケルは房子のことで頭がいっぱいになり、勉強が手に付かなくなる。オンケルは長文の恋文をしたため、房子に渡してくれと洪介に頼む。洪介は房子の家を訪ね、房子に向かって、君のことが好きで頭から離れないと切り出す。洪介を憎からず思っていた房子は喜びそうになるが、洪介は続けて、これは僕じゃなくてオンケルが言ったのだと告げ、オンケルの恋文を置いて立ち去る。房子は恋文を数枚めくるとそれを持って洪介を追いかけ、恋文を返す。房子は、こんな大事なことを人に頼むオンケルは嫌いだし、頼まれたからと言って持ってきた洪介も大嫌い、と叫び、走り去る。
洪介は酔って寮に戻り、手紙は突き返されたとオンケルに話す。オンケルは洪介が房子に惚れていて、手紙を渡さず一緒にいたんだろうと勘ぐり、二人は大げんか。翌日、オンケルは寮を出て行方が分からなくなる。みんなは自殺でもしないかとオンケルを心配するが、無事でいて高校を退学することにしたという報せが入る。高校を卒業した洪介は九州大学に入学することになる。街で芝居小屋を見つけた洪介はオンケルと再会。オンケルは洪介を歓迎し、房子は元気かと洪介に尋ねるが、洪介はあれから会っていないと告げる。松山に戻った洪介は房子に会いに行く。再会を喜ぶ房子に、洪介は、言うつもりではなかったがずっと好きだったと告白する。そのまま立ち去ろうとする洪介に、房子は、「どうして返事も聞かないで行っちゃうの。分からないのあたしの気持ちが。ずっと好きだったのに洪介さんのこと・・・」と告げる。結局二人が結ばれることはなく、年月が過ぎ、洪介は、再会の3年後にヤクザに刺されて亡くなったオンケルの遺志を継ぐようにシナリオライターになったのだった。
古い学生寮に住む男子高校生の様子が描かれている。ふんどし一丁だったり、それすら付けていないような男たちが肩を組んだり抱き合ったりして馬鹿騒ぎするところには、決して近づきたくはないわけだが、そこにかくまわれることになった遊郭の女性(石田えり)に、服をプレゼントしたり専用のトイレの個室を設けたりして、学生達は指も触れず大切に扱うし、女一人で芝居稽古に打ち込む房子も大切に扱われる。彼女たちによこしまなことをしようとする学生は一人も描かれない。監督の上品さ、良心を感じるのだった。
【5段階評価】3
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