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2023年5月

2023年5月22日 (月)

(2464) ムーンライト

【監督】バリー・ジェンキンス
【出演】トレバンテ・ローズ、アレックス・ヒバート、アシュトン・サンダース、マハーシャリ・アリ、ナオミ・ハリス、アンドレ・ホランド
【制作】2016年、アメリカ

黒人青年の人生を描いた作品。第89回アカデミー賞作品賞受賞作品。

少年時代のシャロン(アレックス・ヒバート)は他の子供にいじめられて空き家に逃げ込んで隠れているところを、麻薬売人のフアン(マハーシャリ・アリ)に見つかる。フアンはシャロンに優しくし、家に招く。翌日、フアンはシャロンを家に送るが、母親のポーラ(ナオミ・ハリス)はフアンを警戒する。ポーラは麻薬の常習者だった。
成長したシャロン(アシュトン・サンダース)は、相変わらず級友にいじめを受けていた。彼と対等の付き合いをしてくれているケビン(ジャレル・ジェローム)と、夜に海岸で出会ったシャロンは、麻薬を吸いながら語り合う。二人はいつの間にかキスをし、シャロンはケビンに身を任せる。ケビンは学校で、クラスのボス格の少年テレル(パトリック・デシル)からシャロンを殴るよう指示し、ケビンは仕方なくシャロンを殴る。シャロンは顔にけがをするが、先生に相手を告訴するよう促されてもそれには従わなかった。しかし、意を決したように登校したシャロンは、問答無用にいじめの主犯格を背後から椅子で殴りつけ、警察に連行される。
青年になったシャロン(トレバンテ・ローズ)は、麻薬の売人になっていた。ある日、ケビンから久しぶりの電話が入る。ケビンはレストランのコックをしているという。店を訪ねたシャロンはケビンと再会。ケビンはシャロンにワインを進め、閉店後、家に招く。ケビンは別れた妻との間に一人の息子がいて、思い通りではないが不安のない暮らしをしていると告げる。シャロンは伏し目がちに、自分はあれ以来、ケビン以外の人に触れていないと話す。ケビンはその夜、シャロンの肩を優しく抱くのだった。

いじめにあい、薬物中毒の母親を持つ不幸な境遇の少年の運命を、控えめに描いている。ことさら感動的に、でもなく、悲劇的に、でもない。また、不幸な境遇に強く立ち向かっているわけでもない。運命に流されるように生きているシャロンは、ケビンに肩を抱かれているが、おそらくケビンと幸せに暮らし続けるわけではないだろう。麻薬売人のフアンが若くして亡くなっていることも暗示的だ。
アカデミー賞では、作品賞の発表の際に「ラ・ラ・ランド」と一度誤発表された逸話がある。

【5段階評価】4

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2023年5月21日 (日)

(2463) メンフィス・ベル

【監督】マイケル・ケイトン=ジョーンズ
【出演】マシュー・モディーン、テイト・ドノバン、ビリー・ゼイン、デビッド・ストラザーン、ジョン・リスゴー
【制作】1990年、イギリス、アメリカ

米軍爆撃機の乗組員の死闘を描いた作品。

ドイツの工場爆撃の任務を果たすため、デニス(マシュー・モディーン)やルーク(テイト・ドノバン)ら10人は、爆撃機メンフィス・ベルに乗り込み、基地を出発。爆撃機の編隊は、ドイツ軍戦闘機の攻撃や地上からの砲撃を受け、数を減らしていく。煙幕で爆撃手のバル(ビリー・ゼイン)は工場を発見できず、デニスは旋回して再度爆撃を試みることを選択。ついに煙幕が晴れ、爆撃に成功する。しかし、帰途での攻撃でダニー(エリック・ストルツ)が負傷。バルは出血多量のため基地まで持たないと判断し、パラシュートを付けてドイツの領域に落とす方法を取ろうとするが、仲間の説得により思いとどまる。機銃など重いものを投下して何とか基地に接近したメンフィス・ベルは、出てこない片輪を手動で出し、着陸に成功。仲間が熱く出迎えるのだった。

爆撃機に焦点を当てつつ、途中で家族を戦争で失った遺族の手紙などを織り交ぜながら、戦争の悲惨さを描いている。狭い不自由な爆撃機の空間の中で、若者たちが狂気と隣り合わせになりながら必死で任務を全うしようとする姿が克明に描写されている。
爆撃主バルを演じたビリー・ゼインは、「タイタニック」で悪役の富豪を演じている。

【5段階評価】3

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2023年5月 9日 (火)

(2462) ブルドッグ

【監督】F・ゲイリー・グレイ
【出演】ビン・ディーゼル、ラレンズ・テイト、ジャクリーン・オブラドース、ジーノ・シルバ
【制作】2003年、アメリカ

麻薬王を追う麻薬捜査官の奮闘を描いたアクション作品。

麻薬捜査局の捜査官ショーン(ビン・ディーゼル)は、相棒のデメトリウス(ラレンズ・テイト)らとともに、7年間追い続けた麻薬王メモ・ルセロ(ジーノ・シルバ)を逮捕。しかしルセロは後悔することになるぞと不敵にふるまう。ロサンゼルスに戻ったショーンは愛妻のステイシー(ジャクリーン・オブラドース)と穏やかに過ごすが、夜、自宅を銃で武装した集団に襲撃され、ショーンは負傷し、ステイシーは帰らぬ人となる。
ショーンはルセロの後も麻薬密売を続けるディアブロの存在を暴くためルセロに接近。自身も妻と子どもを殺されたルセロはショーンに情報を渡す。ショーンは麻薬業者になりすまし、ディアブロの取引現場に向かうが、そこに現れた取引相手が、ルセロを捕らえた捜査官の妻を殺したのは、くそみてえな女だったぜ、と言ったことに逆上し、男を殴り殺してしまう。捜査は台無しとなって捜査側と麻薬組織の激しい銃撃戦となり、捜査官が3名死亡する。ショーンは解任を命じられてしまう。
ショーンはルセロに会いに行く。ルセロは、ディアブロという魔物を倒すなら警官ではなく自分が魔物になるのだとショーンに告げ、金のありかの情報とともに自分を別の刑務所に移送するよう依頼する。ショーンはデメトリウスとビッグ・セクシー(ジョージ・シャーパーソン)とともに、ディアブロとつながりのあるポモナ・ジョー(ジェフ・コーバー)のいるバーを襲撃。ジョーを脅してディアブロに麻薬取引を持ちかけさせ、自家用ジェットで現金を持ってきたハリウッド・ジャック(ティモシー・オリファント)を捕らえ、取引現場の飛行場に向かう。しかし、ディアブロの組織はハリウッドの怪しさに気づき、彼を撃ち殺して機内の現金を持ち出して去る。機内に隠れていたショーンとデメトリウスは札束に仕込んだDPSを追って彼らのアジトを突き止め、中に潜入。そこにいたのはディアブロこと、ルセロの忠実な部下だったマテオ(ファン・フェルナンデス)だった。ショーンは銃撃戦の末、マテオを始末し、デメトリウスとともにアジトを後にする。一方、ルセロは移送の車を仲間に襲撃させ、脱走を成功させていた。ショーンはメキシコのルセオの故郷に向かう。そこにはボディーガードに囲まれ、若い女性と談笑するルセオがいた。ショーンを見つけたルセオは、自分の故郷に来たショーンをなじるが、彼らは警察に取り囲まれていた。ルセオは再び逮捕され、ショーンは立ち去る。ショーンは妻の墓に向かい、デメトリウスとともに墓地を去るのだった。

細かいあらがいろいろある娯楽作品だった。妻を殺されることで、悪人を殴り殺してもいいという大義名分を手に入れた正義の男が、犯罪者の命を犠牲にしながら復讐を果たすというパターン。ルセオを殺すという結末にしていなかったところは上品だった。

【5段階評価】3

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2023年5月 8日 (月)

(2461) ルパン三世

【監督】北村龍平
【出演】小栗旬、黒木メイサ、玉山鉄二、綾野剛、浅野忠信
【制作】2014年、日本

モンキー・パンチの漫画「ルパン三世」の実写化作品。クレオパトラの首飾りを狙う攻防を描いている。

義賊組織「ザ・ワークス」を束ねるトーマス・ドーソン(ニック・テイト)は、ルパン三世(小栗旬)ら新旧の泥棒を呼び寄せ、自分の地位を後継者に譲ることを宣言。初回オリンピックのメダルを手に入れた峰不二子(黒木メイサ)がその座につくことになる。ザ・ワークスが集めた財宝が披露され、その中にはルビーが外されているという曰く付きのクレオパトラの首飾りがあった。その場にいたマイケル・リー(ジェリー・イェン)はドーソンを裏切り、ドーソンの邸宅を襲撃した仲間とともにクレオパトラの首飾りを奪って逃走。ドーソンはマイケルの仲間に撃ち殺されてしまう。マイケルは首飾りのルビーを持つセキュリティ会社の富豪、モムラーチャオ・プラムック(ニルット・シリチャンヤー)に取り引きを持ちかけ、ルビーを買収しようとするが、逆に首飾りを買い取られてしまう。マイケルは生き別れとなった実の妹と信じる不二子のために、完成した首飾りを求めていたのだった。マイケルとルパンは手を組むことにし、仲間の次元大介(玉山鉄二)と石川五右衛門(綾野剛)、ピエール(キム・ジュン)、さらにハッカーのヨゼフ(ジャエンプロム・オンラマイ)とともに、堅牢を誇るプラムックのセキュリティ施設に挑む。
ルパンとマイケルは、それぞれ銭形警部(浅野忠信)とタイ軍のナローン大佐(ウィッタヤー・パンシリガーム)に変装して施設に入り込むと、ヨゼフがハッキングして施設内のセキュリティシステムを無力化。プラムックの犯罪に関するデータをタイ軍に送り込む。ルパンとマイケルは金庫に保管されたクレオパトラの首飾りを手にするが、直後に金庫室にロックがかかり、室内の空気が抜かれていく。ルパンは持っていた爆薬で一か八か扉を爆破しようとする。マイケルはルパンを救うため、ルパンを金庫の中に押し込んで爆弾を起爆。マイケルは命を落とす。ルパンは一命を取り留めるが、金庫室から出たところで捕らえられてしまう。仲間達もプラムックの部隊に取り押さえられていた。そこに銭形警部とナローン大佐が軍隊を引き連れて到着。悪事を暴かれたプラムックは逮捕されてしまう。銭形警部は首飾りを受け取ってルパン達を見逃すが、首飾りは偽物。ルパン達は無事に逃げおおせる。
日本に戻ったルパンは、不二子に首飾りをプレゼントするが、不二子は銭形警部にルパンの居場所を知らせており、首飾りを持って逃走。ルパンと次元、五右衛門は大笑いして、銭形警部の追撃から逃げるのだった。

見ていて恥ずかしくなるようなキザなやりとりが多いが、役になりきることでギリギリ見てらんない感を乗り越えていた。アニメの影響力がすごく、ルパンや銭形警部、次元の口ぶりに、自ずとアニメでの雰囲気を探してしまった。寄せすぎるとものまねになるし、別物すぎると違和感がある中、ほどよい演出だった。
また、全編を通して英語のセリフが多く、邦画でここまでこだわるかという気もしたが、英語にすることでキザなやりとりが目立たなくなる効果はあった。小栗旬の妻、山田優がキャビンアテンダント役でちょこっと登場している。

【5段階評価】3

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2023年5月 6日 (土)

(2460) 滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie

【監督】滝沢秀明
【出演】Snow Man、ジャニーズJr.
【制作】2020年、日本

Snow Manの8人の歌や芝居、殺陣を詰め合わせた作品。

真剣に殺陣をやったり、かっこいい曲をかっこよく決めたり、終盤は長いセリフのシーンを堂々と演じたりと、Snow Manのエンターテイナーぶりを味わえる。

ファンにはたまらない作品だろうが、ファンではない人には苦痛かもしれない。それでも、一生懸命やっているんだなということは伝わった。

【5段階評価】2

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2023年5月 5日 (金)

(2459) ダウンタウンヒーローズ

【監督】山田洋次
【出演】中村橋之助、薬師丸ひろ子、柳葉敏郎、尾美としのり、渥美清、石田えり、坂上忍
【制作】1988年、日本

戦後間もない日本の男子高校生の青春を描いた作品。

名門、松山高校の生徒、志麻洪介(中村橋之助)は、男臭い寮生活を送っていた。洪介は、時々すれ違う女学生(薬師丸ひろ子)に淡い恋心を抱く。洪介は、家庭教師をしている児童の家で彼女、中原房子と再会し、知り合いになる。
洪介のいる東寮が、高校の記念祭で演劇「理髪師チッタァライン」を披露することになり、監督を務めるオンケル(柳葉敏郎)は、ヒロインのアガーテ役を房子に依頼。房子はアガーテの夫レオンハルトを演じるのが洪介と知り、アガーテ役を引き受けることにする。オンケルは芝居の練習を通じて房子を好きになっていく。演劇は成功を収め、オンケルは房子のことで頭がいっぱいになり、勉強が手に付かなくなる。オンケルは長文の恋文をしたため、房子に渡してくれと洪介に頼む。洪介は房子の家を訪ね、房子に向かって、君のことが好きで頭から離れないと切り出す。洪介を憎からず思っていた房子は喜びそうになるが、洪介は続けて、これは僕じゃなくてオンケルが言ったのだと告げ、オンケルの恋文を置いて立ち去る。房子は恋文を数枚めくるとそれを持って洪介を追いかけ、恋文を返す。房子は、こんな大事なことを人に頼むオンケルは嫌いだし、頼まれたからと言って持ってきた洪介も大嫌い、と叫び、走り去る。
洪介は酔って寮に戻り、手紙は突き返されたとオンケルに話す。オンケルは洪介が房子に惚れていて、手紙を渡さず一緒にいたんだろうと勘ぐり、二人は大げんか。翌日、オンケルは寮を出て行方が分からなくなる。みんなは自殺でもしないかとオンケルを心配するが、無事でいて高校を退学することにしたという報せが入る。高校を卒業した洪介は九州大学に入学することになる。街で芝居小屋を見つけた洪介はオンケルと再会。オンケルは洪介を歓迎し、房子は元気かと洪介に尋ねるが、洪介はあれから会っていないと告げる。松山に戻った洪介は房子に会いに行く。再会を喜ぶ房子に、洪介は、言うつもりではなかったがずっと好きだったと告白する。そのまま立ち去ろうとする洪介に、房子は、「どうして返事も聞かないで行っちゃうの。分からないのあたしの気持ちが。ずっと好きだったのに洪介さんのこと・・・」と告げる。結局二人が結ばれることはなく、年月が過ぎ、洪介は、再会の3年後にヤクザに刺されて亡くなったオンケルの遺志を継ぐようにシナリオライターになったのだった。

古い学生寮に住む男子高校生の様子が描かれている。ふんどし一丁だったり、それすら付けていないような男たちが肩を組んだり抱き合ったりして馬鹿騒ぎするところには、決して近づきたくはないわけだが、そこにかくまわれることになった遊郭の女性(石田えり)に、服をプレゼントしたり専用のトイレの個室を設けたりして、学生達は指も触れず大切に扱うし、女一人で芝居稽古に打ち込む房子も大切に扱われる。彼女たちによこしまなことをしようとする学生は一人も描かれない。監督の上品さ、良心を感じるのだった。

【5段階評価】3

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2023年5月 4日 (木)

(2458) 名探偵コナン ハロウィンの花嫁

【監督】満仲勧
【出演】高山みなみ(声)、山崎和佳奈(声)、古谷徹(声)、湯谷敦子(声)、高木渉(声)、山口由里子(声)
【制作】2022年、日本

名探偵コナンシリーズ第25作。「名探偵コナン 緋色の弾丸」の続編。

タレコミに基づき張り込みをしていた公安の安室透(古谷徹)は、首輪型の爆破装置を付けた男と遭遇。装置は爆発し、仲間を助けようとしていた安室は謎の人物に同じ首輪を付けられる。安室はコナン(高山みなみ)を呼び出して、身動きが取れない自分の代わりに捜査への協力を要請し、3年前の事件の話をする。彼は3年前、警察学校の仲間とともに、プラーミャと呼ばれる爆弾犯を発見。爆弾自体は爆弾処理を担当する松田陣平(神奈延年)が何とか処理するが、犯人は取り逃していた。安室の首輪の爆弾は、3年前の事件の時に処理したものと同様、ピンクと水色の液体が混ざることで爆発する仕組みだった。
目暮警部(茶風林)の元同期の村中(三宅健太)が、ロシア人のクリスティーヌ・リシャール(山口由里子)と結婚式を挙げることになる。彼女宛のプレゼントを受け取りに雑居ビルに入ったコナンは、そこにあった時限爆弾の爆発に巻き込まれそうになり、間一髪で脱出。コナンから事情を聞いていた佐藤刑事(湯谷敦子)のもとに、千葉刑事(千葉一伸)を人質にとった人物から、松田刑事を呼ぶよう脅迫する電話が入る。松田刑事はすでに殉職しており、代わりに高木刑事(高木渉)が電話の主のもとに向かう。そこにいたのはロシア人の集団だった。彼らはプラーミャに家族を殺された過去を持ち、プラーミャへの復讐を狙っていた。高木を追っていたコナンの情報を元に警察が踏み込むが、ロシア人一団は脱走する。
自分たちが狙われていると考えた村中は挙式を中止しようとするが、クリスティーヌのもとに、結婚式を中止するなという脅迫のメッセージが届く。二人は警察の監視の中、結婚式を執り行う。コナンは、プラーミャの招待に気づき、プラーミャに恨みを持つ集団に真実を告げに行く。彼らはコナンとともに結婚式場に現れる。プラーミャの正体は、クリスティーヌだった。彼女は自分を知る人物を抹殺するため、渋谷全体を爆発させる計画を立てていた。プラーミャは式場を抜け出てビルの屋上に向かう。しかし彼女の呼んだヘリのパイロットは安室だった。安室は仲間の奮闘によって爆弾の無力化に成功しており、プラーミャは単身でヘリに乗り込み、安室に付けた爆弾を爆発させようとするが、代わりにヘリの中で爆発が起きる。安室はヘリに飛び移るとプラーミャと格闘。ヘリは渋谷に落下し、村中によってプラーミャは取り押さえられる。渋谷の街に仕込まれた爆破装置が起動し、2種類の液体が渋谷交差点に向けて流れ始めるが、コナンは阿笠博士(緒方賢一)の作った巨大サッカーボールを使って流れをせき止めることに成功するのだった。

事件の規模を大きくした結果、渋谷全体に二種類の液体が流れて大爆発が起きるという常識外れな展開で、その解決方法も巨大サッカーボールを膨らませて流れをせき止めるという漫画のような展開(まあ漫画原作なんですけども)。犯人の目的も大雑把だし、犯人が挙式を実行する意味も分からない。ヘリのパイロットが安室だったり、安室に襲いかかるプラーミャを村中が食い止めたり、といった都合のよい展開に何の説明もなかったりして、大味な娯楽作品。こうなると渋谷の実在の建物もステマに見えてしまうのだった(実際、ステマなんだろうけど)。

【5段階評価】3

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2023年5月 2日 (火)

(2457) ザ・デプス

【監督】ショーン・S・カニンガム
【出演】グレッグ・エビガン、ナンシー・エバーハード、ニア・ピープルズ、ミゲル・フェラー、シンディ・ピケット
【制作】1989年、アメリカ

深海の生物に襲われる人々を描いたパニック作品。

深海でミサイル設置の任務につく潜水艇操縦士のマクブライド(グレッグ・エビガン)と女性兵士のコリンズ(ナンシー・エバーハード)は恋仲の関係にあった。部隊を率いるバン・ゲルダー(マリウス・ウェイヤーズ)は、任務遂行のため、深海で見つかった空洞を爆破するよう指示。深海を研究する若い女性学者スカルペリ(ニア・ピープルズ)は爆破に反対するが、爆破は実行される。すると爆破を実行した海底作業船を操縦していた二人が何かに襲われて消息を絶ち、作業基地も襲撃を受ける。本部施設から潜水艇で基地に向かったレイドロー(トーリン・ブラック)とマクブライドは、基地にいたコリンズを救出。しかし重い荷物の下敷きになったブルシアガ(エリヤ・バスキン)は死亡。レイドローもハッチの扉に体を挟まれ、死亡する。マクブライドとコリンズは本部に戻る。コリンズを診察した船医ノリス(シンディ・ピケット)はコリンズが妊娠していることに気づく。マクブライドはコリンズとの結婚を真剣に考える。施設の脱出を決めた隊員達は準備にとりかかる。作業員のスナイダー(ミゲル・フェラー)はコンピューターの指示に沿ってミサイルの爆破を選択。その衝撃で本部施設は崩壊の危機に陥る。事態の修復のため、ジム(マット・マッコイ)が潜水服を着て施設の外に出るが、謎の深海生物に気づかれる。ジムは施設に戻るが、同時に深海生物も施設内に入り込んでしまう。ジムは潜水服ごと体を引きちぎられて死亡。スカルペリも犠牲となる。施設の修復作業のため、マクブライドらは再び深海生物のいる部屋に入り込むが、スナイダーは誤って攻撃用の銛をゲルダーに突き刺してしまう。ゲルダーは胸が破裂して死亡。パニック状態になったスナイダーは、船医のノリス(シンディ・ピケット)が目を離した隙に減圧処理をしないまま脱出カプセルに乗り込み、一人で施設を脱出。しかし、カプセルの中で血を吹き出して死亡する。
マクブライドは、ノリスとコリンズを船室に遺し、離れた場所にあった潜水艇に乗り込み、施設に回す。しかし、マクブライドが帰ってきたと勘違いしたノリスとコリンズが船室のハッチを開けると、大量の海水が船室に流れ込み、深海生物も中に入ってきてしまう。ノリスは自らを犠牲にして深海生物を自らのほうにおびき寄せ、コリンズを減圧室に向かわせる。減圧室に待機していたマクブライドは、ノリスが助からないのを見て、減圧室のハッチを閉じる。減圧を済ませた二人は潜水艇で海面に到達。救命ボートに乗り込もうとするが、そこに追ってきた深海生物が現れる。マクブライドはコリンズを救命ボートに乗せると、自らは潜水艇の燃料に火を付け、深海生物を爆破する。マクブライドの姿を探すコリンズは、背後にマクブライドが無事に浮かび上がるのを発見。彼は間一髪、爆破を逃れていた。二人は救命ボートに乗り込み、海原を進むのだった。

閉ざされた空間にいる隊員が一人一人命を落としていくという典型的なパニックホラー作品。賢明でチャーミングなスカルペリには助かってもらいたかったが、犠牲になったようだった。深海生物のデザインは、「ザ・フライ」を手がけたクリス・ウェイラス。そう言われると口や牙の造形が似ていた。

【5段階評価】3

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