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2023年1月13日 (金)

(2441) インヘリタンス

【監督】ボーン・スタイン
【出演】リリー・コリンズ、サイモン・ペッグ、チェイス・クロフォード、コニー・ニールセン
【制作】2020年、アメリカ

自宅の裏庭に監禁された男を発見した女性検事の運命を描いたサスペンス作品。

富豪の銀行家アーチャー・モンロー(パトリック・ウォーバートン)が急死。妻のキャサリン(コニー・ニールセン)と、下院議員に立候補中の息子のウィリアム(チェイス・クロフォード)は巨額の遺産を手にするが、長女の女性検事ローレン・モンロー(リリー・コリンズ)の相続額ははるかに少なかった(と言っても100万ドルだが)。アーチャーの顧問弁護士ハロルド・シューリス(マイケル・ビーチ)はローレンに、遺言とは別に、アーチャーから預かっていたというビデオメッセージを渡す。そこには、アーチャーから裏庭の地下室に、墓場まで持っていくべき秘密があるというメッセージが遺されていた。
ローレンが地下室を調べると、中に首輪をかけられた老人がつながれていた。ローレンは男の指紋を取ってエミリオ・サンチェス刑事(ジョエル・ヘレラ)に調べるよう依頼する。ローレンは男に話しかける。男はモーガン・ワーナーと名乗り、モンロー家の事情をよく知っていた。ローレンはモーガンの求めに応じて食事を与え、それと引き換えに話を聞き出す。彼はアーチャーの旧友だったが、若い頃に二人の乗った車が人を轢き殺してしまい、死体を山に埋めたものの、その直後にアーチャーに殴られ、地下室に監禁されてしまったというのだ。ローレンは、モーガン・ワーナーという行方不明者がいないかエミリオに調査を依頼する。モーガンを信用していいか迷うローレンだったが、モーガンの言う通り、アーチャーに愛人がいる事実や、山中に実際に白骨死体があることを確認し、ローレンはモーガンの話を信じざるを得なくなる。モーガンはアーチャーのせいで長年、地下室で同じものだけを食べて生き続けてきた苦しみを訴え、ローレンに解放を懇願する。ローレンは良心に従い、彼を解放するとともに、生活に必要な資金を提供し、ハロルドに命じてケイマン諸島に旅立たせる。
その頃、モーガンの調査結果が自宅に届く。ローレンは地下室の整理をしていたため、その書類を母親のキャサリンが開封。ローレンは書類が届いていることに気づき、慌てて帰宅すると、書類を開けて驚いている母親と対面する。母親は、男は極悪人カーソンだと告げる。果たして、指紋の鑑別結果が指した人物の名はモーガンではなかった。また行方不明者のモーガンの写真は全くの別人だった。ローレンは慌ててハロルドのいた空港に行くが、ハロルドとパイロットは死体となっていた。ローレンは地下室に戻り、そこに母親が倒れているのを発見する。地下室にカーソンが現れ、明かりを消すとローレンに襲い掛かり、手錠と鎖でローレンを地下室に拘束する。カーソンは暴行されてぐったりしたキャサリンと、自由を奪われたローレン相手に、得意げに真相を語り始める。カーソンは若いとき、アーチャーの妻キャサリンに薬物を飲ませて彼女をレイプ。そのことでカーソンとアーチャーが口論中、人を轢いてしまう。カーソンは、名家アーチャーの弱みを握って骨までしゃぶりつくそうと考え、まだ息のあった被害者の首を折って殺害。遺体を山に埋めるが、アーチャーが隙をついてカーソンを昏倒させ、地下室に閉じ込めていたのだった。カーソンはアーチャーから受ける暴力に耐えながら復讐の機会をうかがっており、ある日、アーチャーがカーソンに打とうとした毒薬の注射を逆にアーチャーに打つことに成功。逃げ出したアーチャーが外で絶命したのだった。カーソンは、自分がお前の父親だ、と勝ち誇ったようにローレンに叫ぶが、キャサリンが背後からカーソンを撃ち殺す。自分がアーチャーの実の娘ではないという真実を知ったローレンだったが、キャサリンはローレンに寄り添い、あなたはモンロー家の一員だと伝えて手を握る。二人は地下室に油をまくと火を放ち、地下室の外から炎をじっとみつめるのだった。

世間の評判はよくないようだが、なかなか面白い作品だった。ローレンがモーガンを逃がしたところで、どんでん返しがあることを観客は予想するわけだが、きちんとその期待に応え、身の毛のよだつどんでん返しが起きる。これがよかった。さらによかったのがタイトルの妙。「インヘリタンス」は遺産や相続という意味だが、これには二つの意味が込められている。一つは、ローレンが遺産として相続したのが、カーソンというとんでもない人物であるということ。これはカーソン(モーガンになりすましているときの)やローレンが作中で口にしている。もう一つは、作中でははっきりと語られないが、なぜローレンの相続額が極端に少なかったのか、という謎。また、なぜアーチャーとローレンはたびたび衝突を繰り返してきたのか。それは、ローレンがアーチャーの実の子ではなかったからだということが暗示される。ローレンの周囲の人々は、アーチャーは娘を誇りに思っていたとローレンに言っていたが、それは実は、アーチャー自身が自らに、ローレンを自分の娘だと認めないといけないと言い聞かせているようにも思えるのだった。
ちなみに、カーソンは劇中で何度も何かのレシピを唱えているのだが、それが何の意味なのかはよくわからなかった。

【5段階評価】4

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