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2023年1月

2023年1月22日 (日)

(2443) アラビアンナイト シンドバッドの冒険

【監督】藪下泰司
【出演】木下秀雄(声)、里見京子(声)、黒柳徹子(声)、川久保潔(声)
【制作】1962年、日本

船乗りになった青年の冒険を描いたアニメ作品。

アラブの少年シンドバッド(木下秀雄)は船での冒険に憧れ、少年アリー(黒柳徹子)とともに、樽に隠れて貿易船に乗り込む。船員に見つかるが、船長にやる気を認められ、船員となる。一同は、ついた町で酒盛りをするが、船員の一人が、なんでも手に入るギターの歌を歌ったところ、それを王の家来が聞きつけ、シンドバッドたちを王のもとに連れていく。彼らはギターにそんな力はないと訴えるが、大臣のトルファ(川久保潔)は彼らを牢屋に閉じ込める。王女のサミール(里見京子)は家来を眠らせてカギを取り、シンドバッドたちを逃がす。船に戻ったシンドバッドたちが、船を出すサミールが追いかけてきて仲間になる。シンドバッドは、船長を説得して、宝が眠るという島に向かう。サミールを取り戻すためにシンドバッドを追いかけてきたトルファは、シンドバッドと対決。サミールとアリーはトルファの手下につかまり、木に縛り付けられてしまう。島を守る精霊が洪水をおこし、トルファは波にのまれてしまうが、シンドバッドは精霊に祈り、サミールとアリーは助かる。サミールとシンドバッドは肩を寄せ合うのだった。

手塚治虫と北杜夫が脚本を手掛けたという貴重な作品。ディズニーアニメを彷彿とさせる絵柄で、制作年ほどには古さを感じさせなかった。

【5段階評価】2

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2023年1月14日 (土)

(2442) プラスティック

【監督】ジュリアン・ギルビー
【出演】エド・スペリーアス、アルフィー・アレン、エマ・リグビー、セバスチャン・デ・スーザ、ウィル・ポールター
【制作】2015年、イギリス

カード詐欺を繰り返す若者の運命を描いた作品。実話に基づいている。

サム(エド・スペリーアス)、フォーディ(ウィル・ポールター)、イェーツ(アルフィー・アレン)、ラファ(セバスチャン・デ・スーザ)の四人は、ロンドンでカード詐欺を働く若い犯罪集団。ある日、イェーツとラファは、カーセックス中の男性の車を襲撃し、男性の持つクレジットカードとスーツケースを強奪。ところがその男は犯罪組織の会計士だった。サムとフォーディが、だまし取った宝飾品を手にアジトに戻ると、そこには犯罪組織のボスのマルセル(トーマス・クレッチマン)と用心棒2名、そして会計士がおり、イェーツとラファは全裸で猿轡をされていた。マルセルは四人に、2週間以内に200万ポンド(約3億円)を要求する。四人は途方に暮れる。
サムは、思いを寄せていた女性フランキー(エマ・リグビー)がカード会社で働いていることを知り、彼女のメールをハッキング。彼女が父親の入院費に困っていることを調べ上げると、自分が弟の入院費のためにカード詐欺をしているとフランキーに告げ、彼女を仲間に引き入れる。彼らは、フランキーが手に入れた、限度額の高いクレジットカードの情報をもとに、マイアミで稼ぐことにする。ところがイェーツとラファはストリップバーで羽目を外し、詐欺に使う予定のカードを飲み代の支払いに使おうとして、店にそのカードを押収されてしまう。カードが使えなくなり、彼らは計画変更を余儀なくされる。そのときラファが、結婚のうわさがあるブルネイの王子になりすまして、宝石店から高額な宝飾品をだまし取るという詐欺を思いつく。四人は準備を進めるが、イェーツはサムと仲たがい。サムがフランキーと恋仲になったことを知ると、サムがフランキーをだまして仲間に引き入れたことをフランキーにばらす。フランキーは怒って彼らのもとを去る。マルセルは手下のタリク(メム・フェルダ)を使って彼らを監視しており、フランキーを拉致すると、サムたちを改めて脅迫。四人は計画を実行に移す。
彼らは小型ジェットをチャーターすると、ブルネイ王子を騙って宝石店の男を騙し、高額の宝飾品をロンドンに運ばせる。ブルネイ王子役のラファが乗るリムジンと、イェーツが乗るリムジンをすり替えて、後続の車に乗る宝石屋を騙すという作戦だったが、作戦が成功すると同時に、イェーツはサムを裏切り、ラファを強引に仲間にして宝石をすべて我が物にする。彼はミスターXという男と宝石の取引をしようとするが、ミスターXの手下がラファの脚を銃で撃ち、イェーツはミスターXに脅される。一方、宝石の場所をGPSで追っていたサムはマルセルに連絡を入れ、マルセル一味をイェーツのいるホテルに呼ぶ。サムとフォーディは車からマルセルが下りたことを確認すると、車に残っていた会計士を脅し、トランクに幽閉されていたフランキーを逃がして、車でマルセルを待ち伏せる。マルセルとその手下は、イェーツの取引現場となっているホテルの部屋に行くが、ミスターX側とマルセル側は激しい銃撃戦となる。ミスターXは死亡し、マルセルも銃弾を受ける。イェーツとラファはホテルから逃走。マルセルも何とか逃げ出し、自分の車に乗り込むが、そこにはサムとフォーディが待ち受けていた。サムはマルセルに銃を向けたままイェーツを追う。走ってホテルから逃げたイェーツは、脚を負傷しているラファを気遣う様子もなく、車を運転していた妊婦を車から引きずりおろして車に乗り込み、逃走。ラファは妊婦に気遣うが、追っていた警官に捕らえられる。GPSでサムの持つ宝石を追っていたサムとフォーディは、サムの車にに突っ込む。それにより、イェーツとマルセルは死亡。横転した車から出られなくなったサムは、フォーディに逃げろと叫び、フォーディは泣く泣くスーツケースを持って走り去る。ラファとサムは逮捕される。
そして2年後。サムは刑期を終えると、迷惑をかけたフランキーにこっそりと盗んだ宝石を渡す。サムとフォーディはどうやら大金持ちになっているようだった。

詐欺のテクニックが赤裸々に描かれ、映像もスタイリッシュで見ごたえのある作品。極悪非道のマルセルやミスターX、仲間を裏切ったイェーツが死に、詐欺を働きつつも自分を犠牲にして仲間を逃がしたサムと、サムを必死に助けようとしたフォーディがまんまと大金を手に入れるというエンディングは、単純な勧善懲悪ではなく、粋な終わり方。今回はムービープラスの視聴だったが、なかなかよかった。

【5段階評価】4

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2023年1月13日 (金)

(2441) インヘリタンス

【監督】ボーン・スタイン
【出演】リリー・コリンズ、サイモン・ペッグ、チェイス・クロフォード、コニー・ニールセン
【制作】2020年、アメリカ

自宅の裏庭に監禁された男を発見した女性検事の運命を描いたサスペンス作品。

富豪の銀行家アーチャー・モンロー(パトリック・ウォーバートン)が急死。妻のキャサリン(コニー・ニールセン)と、下院議員に立候補中の息子のウィリアム(チェイス・クロフォード)は巨額の遺産を手にするが、長女の女性検事ローレン・モンロー(リリー・コリンズ)の相続額ははるかに少なかった(と言っても100万ドルだが)。アーチャーの顧問弁護士ハロルド・シューリス(マイケル・ビーチ)はローレンに、遺言とは別に、アーチャーから預かっていたというビデオメッセージを渡す。そこには、アーチャーから裏庭の地下室に、墓場まで持っていくべき秘密があるというメッセージが遺されていた。
ローレンが地下室を調べると、中に首輪をかけられた老人がつながれていた。ローレンは男の指紋を取ってエミリオ・サンチェス刑事(ジョエル・ヘレラ)に調べるよう依頼する。ローレンは男に話しかける。男はモーガン・ワーナーと名乗り、モンロー家の事情をよく知っていた。ローレンはモーガンの求めに応じて食事を与え、それと引き換えに話を聞き出す。彼はアーチャーの旧友だったが、若い頃に二人の乗った車が人を轢き殺してしまい、死体を山に埋めたものの、その直後にアーチャーに殴られ、地下室に監禁されてしまったというのだ。ローレンは、モーガン・ワーナーという行方不明者がいないかエミリオに調査を依頼する。モーガンを信用していいか迷うローレンだったが、モーガンの言う通り、アーチャーに愛人がいる事実や、山中に実際に白骨死体があることを確認し、ローレンはモーガンの話を信じざるを得なくなる。モーガンはアーチャーのせいで長年、地下室で同じものだけを食べて生き続けてきた苦しみを訴え、ローレンに解放を懇願する。ローレンは良心に従い、彼を解放するとともに、生活に必要な資金を提供し、ハロルドに命じてケイマン諸島に旅立たせる。
その頃、モーガンの調査結果が自宅に届く。ローレンは地下室の整理をしていたため、その書類を母親のキャサリンが開封。ローレンは書類が届いていることに気づき、慌てて帰宅すると、書類を開けて驚いている母親と対面する。母親は、男は極悪人カーソンだと告げる。果たして、指紋の鑑別結果が指した人物の名はモーガンではなかった。また行方不明者のモーガンの写真は全くの別人だった。ローレンは慌ててハロルドのいた空港に行くが、ハロルドとパイロットは死体となっていた。ローレンは地下室に戻り、そこに母親が倒れているのを発見する。地下室にカーソンが現れ、明かりを消すとローレンに襲い掛かり、手錠と鎖でローレンを地下室に拘束する。カーソンは暴行されてぐったりしたキャサリンと、自由を奪われたローレン相手に、得意げに真相を語り始める。カーソンは若いとき、アーチャーの妻キャサリンに薬物を飲ませて彼女をレイプ。そのことでカーソンとアーチャーが口論中、人を轢いてしまう。カーソンは、名家アーチャーの弱みを握って骨までしゃぶりつくそうと考え、まだ息のあった被害者の首を折って殺害。遺体を山に埋めるが、アーチャーが隙をついてカーソンを昏倒させ、地下室に閉じ込めていたのだった。カーソンはアーチャーから受ける暴力に耐えながら復讐の機会をうかがっており、ある日、アーチャーがカーソンに打とうとした毒薬の注射を逆にアーチャーに打つことに成功。逃げ出したアーチャーが外で絶命したのだった。カーソンは、自分がお前の父親だ、と勝ち誇ったようにローレンに叫ぶが、キャサリンが背後からカーソンを撃ち殺す。自分がアーチャーの実の娘ではないという真実を知ったローレンだったが、キャサリンはローレンに寄り添い、あなたはモンロー家の一員だと伝えて手を握る。二人は地下室に油をまくと火を放ち、地下室の外から炎をじっとみつめるのだった。

世間の評判はよくないようだが、なかなか面白い作品だった。ローレンがモーガンを逃がしたところで、どんでん返しがあることを観客は予想するわけだが、きちんとその期待に応え、身の毛のよだつどんでん返しが起きる。これがよかった。さらによかったのがタイトルの妙。「インヘリタンス」は遺産や相続という意味だが、これには二つの意味が込められている。一つは、ローレンが遺産として相続したのが、カーソンというとんでもない人物であるということ。これはカーソン(モーガンになりすましているときの)やローレンが作中で口にしている。もう一つは、作中でははっきりと語られないが、なぜローレンの相続額が極端に少なかったのか、という謎。また、なぜアーチャーとローレンはたびたび衝突を繰り返してきたのか。それは、ローレンがアーチャーの実の子ではなかったからだということが暗示される。ローレンの周囲の人々は、アーチャーは娘を誇りに思っていたとローレンに言っていたが、それは実は、アーチャー自身が自らに、ローレンを自分の娘だと認めないといけないと言い聞かせているようにも思えるのだった。
ちなみに、カーソンは劇中で何度も何かのレシピを唱えているのだが、それが何の意味なのかはよくわからなかった。

【5段階評価】4

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2023年1月12日 (木)

(2440) 俺たちは天使じゃない

【監督】ニール・ジョーダン
【出演】ロバート・デ・ニーロ、ショーン・ペン、デミ・ムーア、レイ・マカナリー、ジェームズ・ルッソ
【制作】1989年、アメリカ

二人の脱獄囚が神父になりすましてカナダに逃げようとする様を描いたコメディ作品。1955年の同名映画のリメイク。

カナダ国境にあるアメリカの刑務所から、凶悪殺人犯のボビー(ジェームズ・ルッソ)が脱獄を企てる。たまたま近くにいたネッド(ロバート・デ・ニーロ)とジミー(ショーン・ペン)は、彼の脱獄に巻き込まれる形で刑務所を脱走する。ボビーと離れた二人が道を歩いていると、老婦人(エリザベス・ローレンス)の運転する車が通りかかる。老婦人は二人を神父と勘違いし、車に乗せる。国境の町では涙の聖母の祭りの時期を迎えており、多くの神父がいた。二人はレベスク神父(ホイト・アクストン)に、著名な書籍の作者であるブラウン神父とライリー神父だと勘違いされ、そのまま教会に連れて行かれる。
ネッドは神父のふりをしながら何とかカナダに渡る手段を探す。ネッドが懺悔室に隠れて足かせをはずそうとしていると、保安官が横の部屋に入ってくる。彼は妻以外の女と寝たと罪を告白し、強引にネッドを寝た相手モリー(デミ・ムーア)と引き合わせる。モリーには聾唖の娘がおり、娘の聾唖を直せない宗教に、モリーは全く関心がなかった。
刑務所長(レイ・マカナリー)が部下を引き連れて町に現れ、血眼になって脱獄囚を探し始める。ネッドは、教会に置かれている涙の聖母をカナダの姉妹教会に運ぶ行進があると聞き、それに参加することにする。行進に加わるには病気を持った人を連れて歩く必要があり、ネッドはモリーに娘を貸してほしいと頼むが、モリーは100ドルを要求。ネッドはジミーに協力を求める。ジミーは信者が差し出した紙幣を集め始める。ネッドが町を歩いていると銃声が鳴り響く。隠れていたボビーが銃を盗もうと店に入り、撃たれたのだ。脱獄囚が打たれたと聞いてジミーだと勘違いしたネッドは、ボビーに神父になりすましている姿を見せてしまう。留置場に入れられたボビーは、自分を助け出さないと巻き添えにするとネッドを脅す。ネッドはジミーにそのことを話すが、その矢先、ジミーがくじによって儀式の前のスピーチをすることになってしまう。壇上に上げられたジミーは、たまたま手にしていた熊対策の銃のチラシを見ながら適当なことを話し始めるが、次第に気分が乗ってきて、素晴らしい演説を披露。町の人々は大喝采し、聞いていたモリーも涙する。スピーチの最中に牢屋の鍵をくすねてボビーを連れ出したネッドは、ボビーを涙の聖母の乗った神輿に隠す。モリーはお金なしで娘をネッドに預ける。ネッドとジミーは、モリーの娘を連れて行進に参加する。ところが、国境の橋の上でボビーの存在がバレてしまい、ボビーはモリーの娘を人質にとる。ジミーはボビーにつかみかかり、仁王立ちになったボビーは保安官たちによって銃撃され、橋の下の川に落下。そのはずみでモリーの娘も川に落ちてしまう。ネッドは意を決して川に飛び込むと、流れてきた涙の聖母に捕まり、川岸にたどり着く。そのとき、モリーの娘が「抜けて・・・きた」と声を出す。人々は娘が声を出したことに感動するが、ネッドとジミーは、自分たちが刑務所を抜けてきたことがバレたと考え、大慌て。しかしレベスク神父は「カトリックを抜けた? 」と二人に尋ね、事なきを得る。
危機を脱した二人は、晴れてカナダに渡ろうとするが、ジミーは神父として生きることを決意。アメリカに戻る。ネッドはモリーと新たな人生を歩む道を選ぶのだった。

ロバート・デ・ニーロが肩をすくめながら両手を挙げるしぐさがこれでもか、と見られる作品。ニセ神父であることがばれそうでばれない様子が楽しく、二人の仕草も、真に受ける周囲の人々も、また、疑ってかかる人々もみんなユーモラス。ずっと臆病でおどおどしていたジミーが、演説の経験を経て人が変わり、ボビーに飛びかかるところはほほえましかった。
序盤にデミ・ムーアの豊満な胸をちょこっと拝むことができるのだが、必要なシーンだったのかは謎。サービスカットかも。

【5段階評価】4

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2023年1月11日 (水)

(2439) アサシン クリード

【監督】ジャスティン・カーゼル
【出演】マイケル・ファスベンダー、マリオン・コティヤール、ジェレミー・アイアンズ、ブレンダン・グリーソン
【制作】2016年、アメリカ、フランス、イギリス、香港

アクションゲーム「アサシン クリード」の実写映画化作品。暗殺者の血を引く男の運命を描いた作品。

少年時代、自分の父親に殺された母親を目の当たりにした経験を持つカラム・リンチ(マイケル・ファスベンダー)は、殺人の罪で死刑に処されるが、気がつくと研究施設のベッドにいた。傍らにいたソフィア・リッキン博士(マリオン・コティヤール)は、過去の人物の追体験ができる装置アニマスに彼を接続する。カラムは1400年代後半のスペインの暗殺者アギラール・デ・ネルハの行動を体験する。ソフィアは、人の暴力衝動を抑制する技術を獲得するため、アニマスを使ってカラムに「果実」の入手方法を探らせる。アニマスへの過剰な接続は危険だったが、ソフィアの父アラン(ジェレミー・アイアンズ)は、自らの野望のため、カラムのアニマス接続を強行。アランは、人類の行動をコントロールする方法を手に入れることで、自らの勢力拡大を狙っていた。カラムは、童謡に施設に捕らえられていた仲間とともに反乱を起こす。アランとソフィアは施設を脱出し、「果実」を入手する。アランは教団の集会で自らの業績を披露するが、カラムはアランを暗殺。ロンドンの建物の上からどこかに飛び立つのだった。

建物などの背景や衣装は原作ゲームに忠実で再現度が高い。パルクールの動きや手首の仕込みナイフによるアクションなどもしっかり映像化されている。ただ、致命的なことに物語が分かりにくい。過去の世界で誰と誰が争っているのか、よく分からないし、そもそも過去の記憶を追及できるのなら、カラムを複雑な装置に接続しなくてもよさそう。ラストシーンで、アランがカラムに喉首を切られて殺されるシーンでは、施設内の人が驚くでもなくぞろぞろ建物を退出するのだが、この意味も分からなかった。映像はしっかり作られ、オスカー俳優のマリオン・コティヤールなどそうそうたる出演者だが、陰気でわかりづらい作品だった。原作ゲームは好きなだけに残念。

【5段階評価】3

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2023年1月10日 (火)

(2438) アンダルシア 女神の報復

【監督】西谷弘
【出演】織田裕二、黒木メイサ、伊藤英明、福山雅治、戸田恵梨香、夏八木勲、谷原章介
【制作】2011年、日本

マネーロンダリングにまつわる事件を追う外交官とインターポール捜査官の奮闘を描いたサスペンス。「アマルフィ 女神の報酬」とテレビドラマ「外交官 黒田康作」の続編。

フランスとスペインの国境付近にある小国、アンドラ公国で、警視総監の息子、川島直樹(谷原章介)が殺害される。現場にいたビクトル銀行の銀行員、新藤結花(黒木メイサ)は、現場を荒らして何かを窓から投げ捨てて逃走する。一方、日本の村上経済産業大臣(夏八木勲)は、パリサミットで、マネーロンダリング対策の強化を訴えるが、諸外国からは反発を食らっていた。その様子を見ていた外交官の黒田康作(織田裕二)のもとに、アンドラ公国の事件を追うよう指示が入る。現場にはインターポール捜査官の神足誠(伊藤英明)がおり、第一発見者を名乗る結花に尋問していた。結花は物取りの強盗が入ったようだと証言するが、黒田はそれを疑う。川島は事件に口を挟む黒田を疎ましく感じる。
夜、結花が何者かに襲われたため、現場にいた黒田は安全を確保するため、結花を車に乗せてバルセロナの領事館に連れて行く。しかし結花は領事館から脱走。追ってきた神足が結花を確保する。改めて取り調べを受けた結花は、川島に依頼されて、自分が物取りの犯行に偽装したと告げる。
黒田は外交官の安達香苗(戸田恵梨香)から、結花が両親と妹を事故でなくし、みよりがないという情報を得る。神足は、川島がルカスという人物と取り引きをして大損害を被っていた事実を把握する。インターポールは結花と黒田を安全な場所に匿う。黒田は、ジャーナリストの佐伯章悟(福山雅治)から、神足が警視庁時代、組織の内部告発をした過去があることを知る。神足は左遷の形でインターポールに来ていた。日本の警察は川島の事件をおおごとにすることを望んでいなかった。神足は日本に戻ることを望んでおり、事件を物取りによる殺人として処理するか、真相を暴くべきか迷っていた。
そんな中、神足、結花、黒田の三人がタクシーで移動していると何者かの襲撃を受ける。身の危険を感じた結花は、黒田に助けを求め、情報を伝える。近々ビクトル銀行が国際テロ組織ARMとアンダルシアで取り引きを行う、その仲介役がルカスだと言うのだ。黒田はそれを神足に伝え、インターポールは取引現場となるアンダルシアに向かう。同行した結花は同じ宿泊先にいた黒田を睡眠導入剤で眠らせ、神足と会う。川島の死は自殺だったと話す結花は、事件について口を閉ざす代わりに、自分を解放しろと神足に取り引きを持ちかける。神足が、黒田はどうするんだと聞くと、結花は警察ならどうにでもできるでしょ、と言って立ち去る。
取り引き当日。現場近くに待機する神足らは、ARMの重要人物が集結したのを確認し、出動の準備に入る。ところが神足は黒田を待機場所に残らせる。怪しむ黒田に、周囲の捜査員が拳銃を突きつける。捜査員を盾に建物から出た黒田だったが、神足に銃で撃たれ、その場に倒れる。神足は結花を車に乗せてその場を後にすると、結花を解放する。自由を得た結花は、川島の泊まっていた部屋から投げ捨てた荷物を回収し、安堵するが、そこを警察に囲まれる。そこには死んだはずの黒田がいた。黒田と神足は協力し、黒田が死んだと思い込ませて結花を泳がせていたのだ。結花が取り戻そうとしていたのは、川島とルカスのやりとりが記録された川島のPC。結花自身がルカスだったのだ。
テロ組織を一網打尽にしたことで、アメリカは日本のマネーロンダリング対策に賛意を表明。立役者の黒田に感謝した村上大臣のはからいで、事件を追うなという外務省からの指令を無視した黒田は更迭を免れ、神足もインターポールで昇進するのだった。

旅情報番組かのような前作よりは面白かったが、話が複雑で、結花は何が目的か、川島は自殺するほどの何を背負っていたのか、など、分かりにくい作品だった。
本作を放送したBSフジの映画番組でよくないのは、提供を流す部分でこのあとのハイライトシーンを流すところ、本作で言うと、黒田が銃で撃たれるシーンが先に出てしまう。これがどれだけ興ざめか、多少なりとも映画ファンなら分かりそうなものだ。自分はフジテレビ系列の映画番組の提供を流す部分は、下を向いて見ないようにしている。画面横に出る「この後、主人公に最大の危機が」みたいなキャプションも絶対読まないようにしなければならない。

【5段階評価】3

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2023年1月 9日 (月)

(2437) 弱虫ペダル Re: GENERATION

【監督】鍋島修
【出演】山下大輝(声)、岸尾だいすけ(声)、代永翼(声)、鳥海浩輔(声)、小野大輔(声)、宮野真守(声)
【制作】2017年、日本

渡辺航の漫画が原作の自転車競技アニメ。「劇場版 弱虫ペダル」の続編。

総北高校自転車競技部は手嶋純太(岸尾だいすけ)が新キャプテンとなる。1年生レースで勝利した鏑木一差(下野紘)、3年生の古賀公貴(中村悠一)との勝負に勝った手嶋、そして小野田坂道(山下大輝)、今泉俊輔(鳥海浩輔)、鳴子章吉(福島潤)、青八木一(松岡禎丞)がインターハイメンバーとなる。
最大のライバル、箱根学園には、身長202cmの葦木場拓斗(あしきばたくと)(宮野真守)、巨体のスプリンター銅橋正清(小野大輔)といった強力なメンバーが加わる。
総北は栃木のインターハイに参加。ファーストリザルトでは、箱根学園の銅橋に鏑木と青八木が二人がかりで挑むが僅差で銅橋の勝利。続く山岳リザルトでは、箱根学園2年生の真波山岳(代永翼)に手嶋が挑む。始めは手嶋を軽視していた真波だったが、努力のみで挑む手嶋の姿に心を打たれ、真剣に勝負する。セクション終盤で真波の自転車のチェーンが外れるトラブルが起き、手嶋は一真波を気に抜き去るが、このまま勝つことをよしとしない手嶋は、途中で止まって真波の復帰を待つ。改めて再開した真剣勝負は真波の勝利。インターハイは続くのだった。

テレビアニメの総集編なので、途中で話は終わる。各エピソードはそれなりに熱く描かれているが、全体的には物語を淡々と追う作品だった。

【5段階評価】2

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2023年1月 8日 (日)

(2436) 新極道の妻たち 覚悟しいや

【監督】山下耕作
【出演】岩下志麻、北大路欣也、梅宮辰夫、草刈正雄、かたせ梨乃、中尾彬、成田昭次、佐藤慶
【制作】1993年、日本

「極道の妻たち」シリーズ第6作。極道の夫を殺された妻の復讐劇を描いたヤクザ映画。「新極道の妻たち」の続編。

愛知県岡浜市のヤクザ、千之崎組の組長、野木万乃助(梅宮辰夫)は古い気質。住民からの立ち退き運動に苦しめられながらも、他の組織の協力を拒んでいた。万乃助は、弟の野木高明(草刈正雄)に代紋を譲るつもりでいたが、高明にヒットマンを命じたところ、高明は怖じ気づき、高明の妻、千尋(かたせ梨乃)は万乃助に怒鳴り込む。万乃助は千尋に取り合わず、万乃助の妻、安積(あづみ)(岩下志麻)も千尋を階段から突き落とす。千尋は二人を激しく恨む。
住民運動のリーダー(浜田晃)との和解を狙う笹部勝志(神山繁)に怒りで我を忘れた万乃助は、笹部に挑みかかる。笹部の部下が万乃助に銃を向けるが、その部下は銃撃されて倒れる。撃ったのは安積だった。安積は刑務所行きとなり、面会に来た千尋は高明と別れることを告白。安積も万乃助との離婚を心に決める。
出所後、香港を訪れた安積は、そこで若者の結婚式を仕切る日系人の男(北大路欣也)と出会う。男の名は花杜昌治。ただ者ではない雰囲気の花杜に惹かれ、安積は一夜の関係を持つ。帰国した安積は離婚届を万乃助に送る。それを手にした万乃助だったが、ヒットマンに襲われ、絶命する。万乃助に愛想を尽かした安積だったが、彼の死に直面し、復讐を決意する。犯人の似顔絵の男が花杜の部下だと気づいた安積は、再び香港を訪れ、花杜に会うと、夫の復讐のため、花杜を雇いたいと宣言。花杜は安積の依頼を受ける。花杜は自分の雇い主を襲い、万乃助殺害の依頼人を聞き出す。それは、淡野組の幹部、雁田(中尾彬)だった。雁田は、万乃助と安積を恨む千尋と恋仲になっていた。安積は千尋にそれを問いただし、千尋は開き直って安積の復讐を受けて立つ。
手始めに、笹部の乗る車に爆弾が仕掛けられ、笹部が死亡。安積の仕業と確信した高明は、安積のいる千之崎組に乗り込むが、安積にあしらわれ、千之崎組のビルに火を放って焼死。さらに安積は、淡野組四代目の就任祝いの場に、花杜とともに現れる。花杜は雁田の子分によって地下駐車場に連れ込まれ、安積は千尋に連れられ、地下駐車場に向かう。地下駐車場には淡野組の若手数名と雁田、そして暴行を受けて倒れ込んだ花杜がいた。安積と花杜は絶体絶命となるが、花杜が隙を突いて反撃し、二人で雁田と千尋を葬ると、四代目淡野組組長、佐郷隆之(佐藤慶)をも撃ち殺し、車で逃走。港に着いた花杜は安積と逃げようとするが、安積は断る。残された花杜は部下を逃がすと、追ってきた警察車両を持っていた銃で迎え撃つ。安積は一人、港を後にするのだった。

愚かな男と勇敢な女という構図の任侠映画。ただ、ヤクザ同士のやりとりが「こんなに脇が甘いものなの」と疑うほどひどく、笹部の乗る車は誰も監視しておらず、降りている間に爆弾を仕掛けられて爆死するし、万乃助は家の中に一人でいて、たった一人のヒットマンに忍び込まれて殺される。最後の銃撃戦のくだりはさらにお粗末。先に駐車場に連れ込まれた花杜が、淡野組の組員に暴行を受けているのだが、なんで持っていた銃を取り上げられていないのか。そして、銃を見つけられなかったとして、なんでたった二人で大勢の淡野組を全滅できるのか。花杜と安積も無謀だが、雁田と千尋は輪をかけて無為無策。さらには、大勢の淡野組組員に囲まれた状態で佐郷を撃ち殺した花杜が、なんで安積と車で港に乗り付けられるのか。この辺りの説明がないので、絶体絶命の状況からどう主人公側が反撃するのかを楽しみにしていた側からすると拍子抜けの極み。もう、制作陣はこのあたりをまじめに作るのはやめたんだな、という仕上がりだった。なにファンの人がこの作品を観るんだろう、というのがもはや分からない作品。観た自分が言うのもなんなんですが。

【5段階評価】2

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2023年1月 7日 (土)

(2435) ミスター・ベースボール

【監督】フレッド・スケピシ
【出演】トム・セレック、高倉健、高梨亜矢、塩屋俊、デニス・ヘイバート、穂積隆信
【制作】1992年、アメリカ、イギリス

中日ドラゴンズに移籍した大リーガーの活躍を描いた野球映画。

ワールドシリーズでMVPに輝いた経歴を持つスラッガー、ジャック・エリオット(トム・セレック)は、成績不振や素行の悪さから、所属するヤンキースを追われ、トレードされることになる。トレード先は日本の中日ドラゴンズだった。やる気の出ないジャックは、厳しい内山監督(高倉健)やチームメイトと対立。通訳の西村洋次(塩屋俊)の忠告を聞かず、監督のバントの指示にも素直に従わない。成績の振るわないジャックは、試合で頭にデッドボールを受け、チームメイトの助っ人外国人、マックス・デュボア(デニス・ヘイバート)の忠告も聞かず、乱闘を起こして処分を受ける。
そんな中、ジャックは、彼にCMの口を持ってきた謎の美女、ヒロ子(高梨亜矢)と恋人の関係となる。ヒロ子はジャックを実家に連れて行く。驚いたことに、ヒロ子の父親は内山監督だった。ジャックは内山家のもてなしに極めて失礼な対応を見せ、ヒロ子は怒って席を立ってしまう。内山監督はジャックを連れて散歩に出ると、自分自身がジャックの可能性を信じて球団に招いたのだと話す。ジャックは改心し、日本流のトレーニングに励み、純粋に野球のボールを打ちたいという強い思いを取り戻す。
心を入れ替え、チームメイトとも打ち解けたジャックは大活躍。内山監督自身が持っている7試合連続ホームランに並び、チームもライバル巨人と優勝争いをする状態になる。そんなジャックに、ドジャースへのシーズン中移籍の話が舞い込む。ジャックは喜び、一緒にいたヒロ子に話すが、ヒロ子は自分より野球を優先するジャックに失望する。
8試合連続ホームランのかかった巨人との直接対決の試合。ジャックは相手から敬遠作戦をとられ、記録に挑むことができない。そして6対5の一点差で迎えた9回裏。二死満塁で打席がジャックに回る。内山監督はジャックに打ての指示を送るが、ジャックは2ストライクの状況から意表を突いたスクイズバントを行う。一塁への捨て身の突進により二走者が帰還し、チームはサヨナラ勝利。ジャックは監督と抱き合って喜ぶ。監督はジャックとヒロ子の中を取り持つため、娘を説得。ヒロ子と父親の関係も修復される。
年が明け、ジャックはデトロイトタイガースに移籍。選手権コーチとなる。ヒロ子もアメリカでデザイナーとして働きながらジャックを応援するのだった。

日本の野球文化や食事のマナーなどが扱われているのが特徴。いわゆるトンデモ日本描写ではなく、誠実に日本の習慣を描いているので、日本人が観て不愉快になるようなことはなく、「そうか、日本では当たり前のことも外国人には奇妙に映るのか」といった気づきやあるあるが楽しい。ラストシーンはハッピーエンドなわけだが、それが日本でのプレーを続けることではなく、大リーグに戻ることであったのは、さすがにそうなのか、とちょっと寂しかった。
作品に登場する野球選手の中には、実際の元プロ野球選手がいたりして、本当に野球がうまいのも面白い。ジャック役のトム・セレックも、打つシーンだけでなく、シートノックのシーンも違和感なく演じているし、デニス・ヘイバートも、本当に助っ人外国人のような立派なバッティングフォームを見せる。レオン・リーやアニマル・レスリーなど、実際の助っ人外国人が出演しているのも、日本人には楽しい趣向だった。

【5段階評価】4

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2023年1月 6日 (金)

(2434) コンフィデンスマンJP 英雄編

【監督】田中亮
【出演】長澤まさみ、東出昌大、小日向文世、瀬戸康史、城田優、生田絵梨花、松重豊、江口洋介
【制作】2022年、日本

テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版第3作。「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の続編。貴重な彫像をめぐる詐欺師同士の戦いを描くコミカルサスペンス作品。

ダー子(長澤まさみ)、リチャード(小日向文世)、ボクちゃん(東出昌大)の3人は、7日間で最も大金を稼いだ者が勝ちという勝負をすることにする。舞台はマルタ共和国。ダー子は富豪のジェラール・ゴンザレス(城田優)が持つ20億円相当の彫像「踊るビーナス」に目を付ける。ダー子は相棒の五十嵐(小手伸也)と手を組み、自衛隊士官に化けてジェラールに接近。しかし、ボクちゃんの方が先にジェラールの内縁の妻、畠山麗奈(生田絵梨花)に取り入っていた。そこにインターポールのマルセル真梨邑(瀬戸康史)や日本の刑事、丹波(松重豊)が現れ、美術品を守ろうとする。
そんな中、ボクちゃんと麗奈が何者かに誘拐される。ジェラールは身代金として踊るビーナスを差し出し、二人は助け出されるが、ボクちゃんは、誘拐犯は伝説の詐欺師ツチノコであり、その正体はリチャードだったと証言する。実はマルセルと丹波は、ダー子らに恨みを持つ赤星栄介(江口洋介)に接近し、ダー子、リチャード、ボクちゃんが詐欺師であることを見抜いていた。マルセルはあえてリチャードを泳がせ、ホテルに戻ってきたリチャードをはじめ、ダー子とボクちゃんを一網打尽にする。ボクちゃんは牢屋の中で、自分たちは罪を償おうと涙ながらに訴え、ダー子も涙する。
翌朝、三人はインターポールに連行されるが、丹波は赤星から被害届を受理し、三人の逮捕権を発動。身柄は日本の警察に引き渡される。マルセルはくやしがるが、三人の身柄は、実は彼にとってどうでもよかった。彼こそが、四代目ツチノコを名乗る詐欺師であり、彼の狙いは踊るビーナスだったのだ。彼は踊るビーナスを、数多くの美術品で埋め尽くされた秘密の隠れ家に収納し、悦に入る。詐欺仲間と喜ぶマルセルだったが、彼のもとに、踊るビーナスを取り戻して喜ぶジェラールと麗奈の映像がメールで届く。マルセルが慌てて隠れ家に戻ると、セキュリティの奥にある隠し部屋の中は空っぽ。すぐさまジェラール邸に向かったマルセルだったが、屋敷はもぬけの殻。隠し金庫に置かれていたのは「(C)ダー子」と書かれた偽の踊るビーナスだった。ダー子達は、山奥にあるマルセルの隠れ家と全く同じ隠れ家を作り、そこにマルセルを誘導。そこに設置した偽物のセキュリティシステムで暗証番号とマルセルの掌紋を盗み取り、本物のセキュリティシステムを解除して、中からマルセルのだまし取った美術品を根こそぎかっさらったのだ。ダー子は、三代目ツチノコ(角野卓造)のために、四代目ツチノコを騙る詐欺師の成敗を約束していた。その目的のため、ダー子は、リチャード、五十嵐だけでなく、ジェラールや麗奈、丹波や赤星までも味方に付け、マルセルを騙したのだった。ダー子は、踊るビーナスの贋作者を通じて、ボクちゃんからだまし取った5万ユーロを手にして、勝負に勝ったと宣言するが、その金は偽札。贋作者に化けていた三代目ツチノコがその金をせしめていた。ダー子達は、それにもめげず、次の作戦に挑むのだった。

本シリーズは、張っている伏線を終盤でしっかりと回収するのが醍醐味。一方で、観ている側は全てを疑ってかかるので、マルセルがきっと詐欺師であることや、ダー子達が最終的に勝利することは、ある程度読めてしまう。そうなると、ダー子達が捕まって牢屋に入っても、これはたぶん本当じゃないな、とか、丹波もたぶん本当の刑事ではないなとか、観る側がハラハラしない。これは、本作の避けがたい宿命だ。そういう意味では、最後のどんでん返しはどんでん返しでもないわけだが、それでも、種明かしのシーンは痛快。安心して楽しめる作品だ。

【5段階評価】4

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2023年1月 5日 (木)

(2433) 氷の微笑

【監督】ポール・バーホーベン
【出演】マイケル・ダグラス、シャロン・ストーン、ジョージ・ズンザ、ジーン・トリプルホーン
【制作】1992年、アメリカ

アイスピックによる連続殺人事件を追う刑事と容疑者女性の駆け引きを描いたサスペンス作品。シャロン・ストーンの脚の組み替えシーンが有名。

元ロックスターのクラブ経営者、ジョニー・ボズがベッド上で両手をベッドに縛られ、アイスピックで滅多刺しにされる殺人事件が発生。刑事のニック(マイケル・ダグラス)は、相棒のガス(ジョージ・ズンザ)とともに、ボズと直前まで一緒にいた女性、キャサリン・トラメル(シャロン・ストーン)に話を聞きに行く。キャサリンは豪邸に住む妖艶な美女で、刑事二人の質問に、自分はジョニーと寝る関係ではあったが昨日は彼と寝ていないと涼しい顔で答える。
キャサリンの書いていた小説が、ジョニー殺害と同じ状況を描いていたことが判明し、ニックとガスは再度キャサリン邸を訪れ、警察への同行を求める。キャサリンは全裸の上にワンピースという姿に着替え、警察に向かう。取り調べ室の椅子に座ったキャサリンは、刑事達を前に、禁煙にもかかわらずたばこを吸ったり、下着を着けないまま脚を組み替えたりして刑事達を翻弄。ニックにも挑発的な質問を浴びせる。嘘発見器は彼女がシロであることを裏付け、キャサリンは解放される。
キャサリンへの疑いを捨てきれないニックは、キャサリンに話を聞きに行くが、逆にキャサリンの質問攻めに遭う。ニックは過去に観光客を射殺する事故を起こしており、キャサリンはニックをモデルとした小説を書くのだと言う。そこにキャサリンの同性愛の相手、ロキシー(レイラニ・サレル)が現れ、ニックはいったん立ち去る。
ニックの過去を知るのは、ニックの元恋人で精神科医のベス・ガーナー(ジーン・トリプルホーン)だけだった。ニックがベスを問い詰めると、ニックの内部監査をしているニールセン(ダニエル・フォン・バーゲン)だけには、ニックの過去を伝えたと言う。ニックは署内にいたニールセンにつかみかかるが、同僚達に追い払われる。その夜、ニールセンが何者かに射殺されたため、ニックは取り調べを受ける羽目になり、休職を言い渡される。ニックは改めてキャサリンに接近。キャサリンはニックを誘惑し、二人は激しい夜を過ごす。ところが、その様子をのぞき見していたロキシーが、夜の街を歩くニックを車でひき殺そうとする。ロキシーはニックに車で追いかけられてハンドル操作を誤り、命を落とす。
ロキシーの死を悲しむキャサリンを見て、ニックはキャサリンを優しく抱く。キャサリンは、大学時代、同級生にストーカーまがいの被害を受けていたことを明かす。同級生の名前はリサ・ホーバーマン。それはかつてのベス・ガーナーだった。ニックはベスを問いただすが、ベスはキャサリンの方が自分につきまとっていたのだと主張する。ニックは、キャサリンが被害届を出していたという事実を確認しようとするが、その調書はニールセンが持ち出したままだった。キャサリンに恨みを持つベスが彼女になりすましてボズを殺し、過去のストーカー事故を隠蔽するためにニールセンを殺したのだとするとつじつまが合う。ロキシーには、かつて衝動的に自分の弟二人をカミソリで喉を切って殺した経歴があり、ベスの元夫は、数年前、何者かに射殺されていた。キャサリンの周囲には多くの殺人の影があり、ガスは真犯人をキャサリンだと考えていたが、ニックは疑いの矛先をベスに向ける。
キャサリンはニックを主人公とした小説を完成させ、ニックに別れを告げる。その後、ニックはガスに呼び出される。キャサリンのルームメイトが見つかったという報せを受けたというのだ。二人は待ち合わせ場所であるホテルに向かう。ガスは休職中のニックを車に残してホテルのエレベータで405号室に向かうが、4階についたとたん、黒いフードをかぶった何者かにアイスピックで滅多刺しにされる。嫌な予感がしてホテルに駆け込んだニックは、瀕死のガスを発見。彼の銃を抜き取って犯人を探すと、ホテルの廊下にベスが現れる。ニックはベスに銃を向ける。ベスがポケットに手をやったのを見て、ニックはベスを撃ってしまう。倒れたベスのポケットを確認すると、中にあったのはキーホルダーだった。ニックは激しく後悔する。ニックは仲間とともにベスの部屋を捜索。部屋からはニールセンを撃ったのと同じタイプの拳銃と、キャサリンの小説が見つかった。警察は、ベスが真犯人とほぼ断定する。
ニックが部屋に戻ると、キャサリンがいた。キャサリンとニックはベッドをともにする。ニックはキャサリンとともに暮らしていくことを望むが、ベッドの脇の床にはキャサリンの準備したアイスピックが置かれているのだった。

激しいベッドシーンが特徴的な作品。テレビでは何度もボカシが入っていた。ラストシーンは、キャサリンがニック殺害を思いとどまったのか、それともこれから殺すのか、そもそも真犯人はキャサリンだったのか別人だったのか、よくわからないのだが、制作側の意図としては、キャサリンの単独犯ということらしい。それでつじつまが合っているのか、だとしたらなぜ決定的な証拠が挙がらないのか、すっきりしない描き方だった。ラブシーンだけではなく、ストーリーもしっかり理解されるように作った方がよかっただろう。それでも、シャロン・ストーンの美貌は一見の価値ありと言える。

【5段階評価】3

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2023年1月 4日 (水)

(2432) ほえる犬は噛まない

【監督】ポン・ジュノ
【出演】ペ・ドゥナ、イ・ソンジェ、キム・ホジョン、ピョン・ヒボン
【制作】2000年、韓国

団地で起きる犬の失踪事件に関わる人々を描いた作品。ポン・ジュノの長編映画初監督作品。

大学教授の座を狙う青年、コ・ユンジュ(イ・ソンジェ)は、住んでいる団地で耳障りな犬の鳴き声を聞きつける。団地の廊下に犬がいるのを見つけたユンジュは、その犬を捕まえて殺そうとするが勇気が出ず、犬を地下室の古いタンスの中に閉じ込める。しばらくしてまた犬の鳴き声が聞こえる。ユンジュの捕まえた犬は声帯を手術されていて、鳴かない犬だった。ユンジュは地下室に戻って、閉じ込めた犬を確認するがいない。そこに団地の警備員のピョン(ピョン・ヒボン)が現れる。あわててタンスの中に隠れたユンジュは、ピョンが犬を鍋の具材にするため処理してしまうところを目撃する。ピョンは、そこに管理主任が現れたため、犬の死体を隠し、しばらく話し込む。ピョンは、ボイラー・キムという男がこのマンションの地下室の壁にセメントで埋め込まれているという怪談話をすると、管理主任と地下室を後にする。おそるおそるタンスから出たユンジュは、暗がりで人影が動いたのを見て絶叫し、昏倒。しばらくしてようやく地下室から抜け出し、家に戻る。家には、冴えないユンジュにいらだっている妻のペ・ウンシル(キム・ホジョン)がおり、ユンジュが夜遊びをしてきたと決めつけ、彼を罵倒するのだった。
翌日、鳴き声を出す犬を見つけたユンジュは、飼い主の女性の隙を突いて犬を奪い、団地の屋上から犬を放り投げる。団地の管理事務所で働いているパク・ヒョンナム(ペ・ドゥナ)は、遠くから双眼鏡でたまたまその様子を目撃。彼女は急いで男を追いかけるが、ギリギリのところで取り逃す。飼い主の女性(キム・ジング)は捜索の張り紙を貼るため管理事務所のヒョンナムを訪ねてくる。ヒョンナムは女性に、男が投げ捨てた犬の死体を見せるが、女性は気絶して病院送りとなる。
ヒョンナムから逃げおおせたユンジュだったが、妻のウンシルが犬を買って帰ってくる。ユンジュはウンシルを責めるが、ウンシルは意に介さない。勤務に出ているウンシルは、ユンジュに犬の世話を指示。ユンジュは犬を連れて散歩に出るが、落ちていたスピードくじに夢中になっている間に、犬に逃げられてしまう。ユンジュは、妊娠中の妻が退職金で犬を買ってきたこと、残りの金はユンジュの出世のために使おうとしていたことを知り、犬の捜索の張り紙を貼ることにする。ヒョンナムは、ユンジュが犬を屋上から投げ捨てた犯人だとは気づかず、張り紙貼りに協力する。
犬は、団地の地下室に住み着いている浮浪者の男(キム・レハ)が捕まえていた。犬を串焼きにしようとしているのを見つけたヒョンナムは、浮浪者の男から犬を奪い取り、逃走。友達のチャンミ(コ・スヒ)の協力もあり、浮浪者は逮捕され、ヒョンナムは犬をユンジュに手渡す。ユンジュは妻の協力のもと、教授昇進に必要な賄賂となる札束をデコレーションケーキの中に仕込み、世話になる教授を訪ねる。酒好きな教授との懇親で泥酔したユンジュは団地近くの路上で寝てしまう。それを見つけたヒョンナムはユンジュを介抱。目が覚めたユンジュはヒョンナムに、犬を見つけてくれたことへの感謝の言葉を述べ、お礼のために管理事務所に行くと告げるが、ヒョンナムは管理事務所を首になっていた。ヒョンナムを不憫に思ったユンジュは、自分が屋上から犬を捨てた犯人であることを告白する。
ユンジュは晴れて大学教授になる。ヒョンナムはチャンミと、約束していた山歩きを楽しむのだった。

原題は「フランダースの犬」。作中ではユンジュがカラオケでアニメのテーマ曲を歌っている。騒々しい犬を嫌い、犬の失踪事件の犯人だったユンジュが、妻のために犬を探す側になる。彼は犬を取り戻し、夢見ていた教授の座も手に入れるが、その顔に喜びの表情はない。一方のヒョンナムは、犬探しに奔走し、銀行強盗を退治した銀行員のように世間の称賛を浴びることを夢見るがそれを果たせず、仕事も首になってしまうが、気の置けない有人と山に出かけ、かつて勢い任せにもぎ取った車のサイドミラーで太陽光を反射させて戯れている。思い通りの人生って幸せなんだろうか、ということを考えさせるような作品だった。

【5段階評価】3

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2023年1月 3日 (火)

(2431) 借王 THE MOVIE 2000

【監督】和泉聖治
【出演】哀川翔、夏樹陽子、志賀勝、宍戸錠、嶋大輔、海野けい子
【制作】2000年、日本

平井りゅうじ・土井しげるの同名漫画の劇場版第7作。悪質金融業者から金を奪取しようとする三人組の策略を描いている。

ひかり銀行の支店次長の安斉満(哀川翔)は、喫茶店を営む義兄(嶋大輔)が消費者を食い物にしているシステム金融の被害を受けていることを知り、報復を計画。仲間の刑事、水沼正三(志賀勝)、バーのママ、森下怜子(夏樹陽子)とともに、3億5千万円をだまし取る計画を立てる。
安斉は、実際には存在しない双子の弟になりすまし、架空のシステム金融業者を立ち上げると、上客を多数抱えていると見せかけ、システム金融の大口金主、向井郷太郎(宍戸錠)の秘書役、吉村美由紀(海野けい子)と顧問弁護士の神永四郎(片桐竜次)に接触。痴呆症の富豪ソノコ・ギャバン(原ひさ子)を金主に仕立て、怜子がソノコになりすますと、ソノコの女中(三浦伸子)の買い物に出てソノコが昼寝をしている時間に、ソノコの屋敷に神永と美由紀を呼び、架空業者の譲渡計画を持ちかける。しかし、美由紀は怜子の落としたハンカチから、ソノコが偽物だと見抜く。美由紀は借金があり、向井に従っていたが、美由紀にとって怜子は恩のある知人。美由紀は安斉に接近し、安斉の計画に加担する。
ソノコ邸にて架空業者の売却の契約書を取り交わす手はずを整えた安斉だったが、彼の勤める支店に本店の抜き打ち調査が入り、安斉は店を出られなくなる。安斉は水沼に連絡して、契約書を取り交わす場所を自分の支店の応接室に変更。向井郷太郎もその場に現れるが、安斉は本人と偽の弟の役目を切り替えながら契約締結にこぎつけ、現金3億5千万円の入手に成功。架空業者の事務所を即座に畳み、3億5千万円はシステム業者の者が翌日取りに来たことにして神永の追及を交わす。水沼は向井の元に出向き、おかまバーテンのコウちゃん(梅津栄)の写真を見せる。それは男色という向井の性癖を裏付ける人物だった。向井は安斉の計画に目をつぶらざるを得なくなる。安斉から5千万円を受け取った美由紀は向井への借金を完済し、夢だったブティック経営のため、怜子に見送られてフランスに飛び立つのだった。

テレビドラマかVシネマかという品質の作品。双子になりすますとか、富豪になりすますとか、詐欺の手口としてはとても上出来とは言えない内容だった。安斉がトイレで着替えるくだりも、妙に時間を使う割に、何もハプニングが起きないので、必要性がなかったりした。ただ、物語としては飽きずに観られた。

【5段階評価】3

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2023年1月 2日 (月)

(2430) 星の王子 ニューヨークへ行く

【監督】ジョン・ランディス
【出演】エディ・マーフィ、シャーリー・ヘドリー、アーセニオ・ホール、ジェームズ・アール・ジョーンズ
【制作】1988年、アメリカ

ある国の王子が好きな女性を自分で探すためニューヨークに向かう。エディ・マーフィ主演のコメディ作品。

ザムンダ王国の王子、アキーム(エディ・マーフィ)は、何から何まで家来にやってもらう過保護な生活に不満を持っていた。彼は21歳で父親の国王(ジェームズ・アール・ジョーンズ)の決めた許嫁(バネッサ・ベル)と婚約させられるが、自分に服従することだけを教え込まれた女性には満足できず、自分で好きな女性を探すことを決意。家来のセミ(アーセニオ・ホール)を連れてニューヨークへ行く。
アキームとセミは身分を隠し、クイーンズのぼろアパートに住み、マクドナルドによく似たマクドーウェルで働く。アキームは店主クレオ・マクドーウェル(ジョン・エイモス)の長女、リサ(シャーリー・ヘドリー)を見初める。リサは聡明な女性だったが、父親は金持ちの息子ダリル(エリク・ラ・サル)がお気に入り。クレオとダリルは勝手にリサとダリルの婚約を発表してしまう。リサはダリルの強引さにあきれ、アキームに惹かれていく。
しかし、貧乏生活に嫌気が差したセミが、金を送るよう国王に電報を送ったことで、国王が妻や家来を引き連れてニューヨークにやってくる。アキームが自分の決めた婚約者以外と結ばれることを避けたい国王は、マクドーウェル家に乗り込み、リサに「王子のアキームには婚約者がおり、ニューヨークには種まきに来ただけだ」という言葉を浴びせる。リサはアキームが自分を騙していたことを知り、家を飛び出す。アキームはリサを追い、自分は国王の地位を捨ててでもリサを選ぶとプロポーズ。しかし、リサは身分の違いにひるみ、求婚を断ってしまう。
失意のままニューヨークを去る息子を不憫に思った母親のエオリオン王妃(マッジ・シンクレア)は国王を説得。ザムンダで行われる結婚式で、アキームの横に現れたのは、国王の決めた許嫁ではなく、リサだった。アキームは喜び、国民もアキームとリサの結婚を祝福するのだった。

裕福な王子を過剰な描写でコミカルに描き、意中の女性を射止めるという分かりやすい作品。王が歩く前を、薔薇の花びらを撒く係が三人もいるというのは、ユニークだった。
作品の特徴の一つに、主役のエディ・マーフィと、世話係役のアーセニオ・ホールが、一人何役も演じるというのがある。作品の終わりに「実はこの役もエディ・マーフィでした」みたいな種明かしシーンがあるのだが、必然性がなかった。
また、アキームがホームレスに多額のお金を施したり、たまたま地下鉄に乗り合わせた老婆に高額なイヤリングを手渡したりするのだが、これらのアキームに感謝する人物が、最後にアキームとリサの仲を取り持つのに一役買うのかと思ったら、何もなかった。
最後にリサがアキームとの恋を取り戻すのも、何か感動シーンがあるのかと思ったら、特になかったので、ここは拍子抜けだった。

【5段階評価】3

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2023年1月 1日 (日)

(2429) ランボー ラスト・ブラッド

【監督】エイドリアン・グランバーグ
【出演】シルベスター・スタローン、イベット・モンレアル、アドリアナ・バラッザ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ
【制作】2019年、アメリカ

家族同様の少女を殺された男の復讐劇を描いたアクション作品。「ランボー 最後の戦場」の続編。

牧場を営むジョン・ランボー(シルベスター・スタローン)は、家政婦のマリア・ベルトラン(アドリアナ・バラッザ)と静かな余生を過ごしていた。ジョンは、マリアの孫娘ガブリエラ(イベット・モンレアル)を娘同様にかわいがっていたが、彼女は実の父親に会うため、メキシコに行き、売春組織に捕らえられてしまう。ジョンはガブリエラを取り戻すため、メキシコに渡って彼女を探すが、売春組織に見つかって暴行を受け、ガブリエラは麻薬漬けにされてしまう。ジョンは売春宿に出向き、売春組織の人間をハンマーで殴りつけ、強引にガブリエラを連れ戻すが、帰りの車の中でガブリエラは息を引き取ってしまう。
復讐に燃えるジョンは、自分の牧場に数々のトラップを設置。再度メキシコに渡り、売春組織を率いる兄弟のうち、弟のビクトル(オスカル・ハエナダ)の屋敷を襲撃。弟がベッドの上で首なし死体となっているのを見た兄のウーゴ(セルヒオ・ペリス=メンチェータ)は、仲間を率いてジョンの牧場に乗り込む。しかし、ジョンの戦闘能力と数々のトラップの前に、彼らは次々と惨殺される。最後に残ったウーゴも、弓矢で身動きを取れ亡くされ、最後はジョンにナイフを突き立てられ、心臓をつかみ取られてあえなく死ぬ。勝利したジョンは静かにロッキングチェアに座り、思いをはせるのだった。

個人的には大好き。しかし、評価は相当分かれる作品だろう。ホラー映画ばりの殺戮。家族を捨てたガブリエラの父親(マルコ・デ・ラ・O)のステレオタイプな人物像。メキシコは治安が悪く犯罪や汚職がはびこっているという偏見的な描き方。過剰な復讐劇を正当化するための少女の死。挙げればいろいろある。
しかし、ランボー・シリーズは、一作目こそ、ベトナム帰還兵の苦悩を描いたメッセージ性のある作品だったものの、二作目以降はだんだん、メッセージ性の乏しいアクション映画になっていたので、ランボーというエポックメイキングなシリーズを穢したという評価は当たらないだろう。
すでに頭が吹き飛んでいる死体にとどめを刺したり、串刺しになって動けない人間に機関銃を乱射したり、最後は身動きが取れない人間にナイフを突き立て、心臓を抜き取る(テレビではカットされていたが)という残虐ぶり。スプラッタ・ムービーのような展開だが、娯楽作品なのだから、これはこれでありだ。

【5段階評価】4

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