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2022年12月

2022年12月31日 (土)

(2428) ヴェノム

【監督】ルーベン・フライシャー
【出演】トム・ハーディ、ミシェル・ウィリアムズ、リズ・アーメッド、ジェニー・スレイト
【制作】2018年、アメリカ

マーベル・コミック・ヒーローものの特撮映画。地球外生命体と融合した男の活躍を描いている。

ライフ財団のトップ、カールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)は、環境破壊の進む地球を見捨てて別の星に移り住むため、地球外生命体との融合実験を進めていた。地球外生命体を捕らえたライフ財団の宇宙船が墜落し、捕らえた四体のうち一体が逃げ出して人間に寄生する。ジャーナリストのエディ・ブロック(トム・ハーディ)は、カールトンの人体実験の事実を暴こうと彼に接近するが、逆に職場を解雇され、恋人の弁護士アニー(ミシェル・ウィリアムズ)にも別れを告げられる。ライフ財団の研究者、ドーラ・スカース(ジェニー・スレイト)は、カールトンの暴走に付いていけなくなり、エディに接近。ドーラとともにライフ財団の研究室に入ったエディは、地球外生命体に寄生されてしまう。それによってエディは、超人的な能力を持つヴェノムとなる。一方、逃げた生命体はカールトンに寄生。エディのヴェノムより強力な生命体となったカールトンは、自分の仲間を地球に呼び寄せるため、ロケットを打ち上げようとするが、エディが死力を尽くしてそれを阻止。カールトンのヴェノムはロケットの爆発に巻き込まれて消滅する。エディはヴェノムを内に秘めたままジャーナリストとして生きていくこととなり、刑務所に厳重に収監されている殺人鬼(ウディ・ハレルソン)の取材に取り組むのだった。

超人的な力がありながら、高周波の騒音に弱いという弱点も持つのが特徴的。特撮はよくできていた。ただ、主人公が覚醒するまでの話が長く、中盤は「ヴェノムまだかなあ」とダレ気味だった。最後の殺人鬼への取材のシーンは次作への振りだが、こういう中途半端な終わり方は好きではない。

【5段階評価】4

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2022年12月30日 (金)

(2427) 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~

【監督】長崎健司
【出演】山下大輝(声)、三宅健太(声)、志田未来(声)、生瀬勝久(声)、小山力也(声)
【制作】2018年、日本

堀越耕平の漫画が原作のアニメ「僕のヒーローアカデミア」の劇場作品。悪者の起こしたテロ事件に挑む少年達の活躍を描く。

多くの人々が、特殊能力を個性として持って生まれる時代。一部の人々はヒーローとしてその能力を正義のために使い、ある者はビランとなって悪事に使っていた。有名なヒーロー、オールマイト(三宅健太)は、自分の能力を託したデクこと緑谷出久(山下大輝)とともに、人口島I・アイランドに到着。オールマイトは旧友の研究者、シールド博士(生瀬勝久)と再会。デクはシールド博士の娘のメリッサ(志田未来)に島を案内してもらう。島にはデクのクラスメートも大勢来ていた。
島で行われたパーティの最中、島がウォルフラム(小山力也)率いるテロリストに占拠される。会場の外にいたデクとメリッサは、仲間とともにセキュリティシステムの復旧のため、高層タワーの200階を目指す。200階にいたのはシールド博士。シールド博士は、テロリストに脅されたのではなく、自分の研究成果を取り戻すため、テロリストと共謀していたのだった。ウォルフラムは金属操作の個性を使ってデクやオールマイトの攻撃をねじ伏せようとするが、最後は二人が協力し、ウォルフラムを倒すのだった。

原作の世界観がコンパクトに紹介されたあと、オリジナルストーリーが展開。登場人物の能力も分かりやすく映像化されているので、キャラクターの特徴を知らなくても楽しめる。要するにヒロアカで言う個性は、「ONE PIECE」の悪魔の実の能力、「アベンジャーズ」のヒーローの能力、「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンドと同じということだった。

【5段階評価】3

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2022年12月29日 (木)

(2426) アクアマン

【監督】ジェームズ・ワン
【出演】ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、パトリック・ウィルソン、ウィレム・デフォー、ニコール・キッドマン
【制作】2018年、アメリカ

水中の能力に秀でたヒーローの活躍を描いたアクション映画。「ジャスティス・リーグ」の続編。

人間の父親トム・カリー(テムエラ・モリソン)と海底国の女王アトランナ(ニコール・キッドマン)の間に生まれたアーサー・カリー(ジェイソン・モモア)は、強靱な身体能力と水中の特殊能力を持つアクアマンとして、悪者を退治する日々を送っていた。彼のもとに海底国ゼベルの王女メラ(アンバー・ハード)が現れ、アーサーに、アトランティスの王になってほしいと依頼する。メラの婚約者であるアトランティスの王、オーム(パトリック・ウィルソン)は地上の国に戦争をしかけようとしており、それに反対するメラは、アーサーが王となることで陸と海の融和を果たそうとしていたのだ。アーサーに戦闘術を授けたアトランティスの家臣バルコ(ウィレム・デフォー)もアーサーに協力するが、バルコの行動はオームにばれており、バルコは監獄に送られる。オームとアーサーは決闘をすることになるが、アーサーは劣勢。メラは潜水艇でアーサーを救い出し、王の印となるトライデントを求めて、隠された海にたどり着く。アーサーは、死んだと思っていたアトランナと再会。ついにトライデントを手に入れたアーサーは、海底の国を支配しようとしているオームとの戦いに勝利。アトランナと再会したオームは、アーサーのことを認め、アーサーは王となることを決意するのだった。

特撮であることは間違いないのだが、迫力はなかなかのもの。海の生き物や乗り物の映像も楽しいし、アクションシーンが水中だけではなく、地上でも繰り広げられるのがいい。水中のシーンは、どうしても現実味がないので想像の世界になり、迫力を実感しづらいが、地上の戦闘シーンは、分かりやすく見応えがある。また、アーサーとオームの戦いだけを描くのではなく、アクアマンとの戦闘で父親を失ったブラックマンタ(ヤーヤ・アブドゥル=マーティン2世)との戦いも織り交ぜ、展開も適度に凝っている。劇場で見たら大満足の作品だろう。

【5段階評価】5

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2022年12月28日 (水)

(2425) ラブライブ! サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow

【監督】酒井和男
【出演】伊波杏樹(声)、逢田梨香子(声)、小林愛香(声)、高槻かなこ(声)、黒沢ともよ(声)
【制作】2019年、日本

テレビアニメ「ラブライブ! サンシャイン!!」の劇場版。前作は「ラブライブ! The School Idol Movie」。

スクールアイドルをしている高海千歌(たかみちか)(伊波杏樹)、桜内梨子(逢田梨香子)、渡辺曜(よう)(斉藤朱夏)、津島喜子(よしこ)(小林愛香)、国木田花丸(はなまる)(高槻かなこ)、黒澤ルビィ(降幡愛)は、編入先の学校に部活として認めてもらうため、練習に励む。先輩の小原鞠莉(鈴木愛奈)達を探しに行ったイタリアで自信を取り戻した千歌たちは、地元のライブを成功させるのだった。

複数の美少女キャラが登場するアイドルもの。目や髪の毛の色が違うだけで似たような顔と背丈の美少女がわんさか登場。誰が誰だかよく分からないまま話が進むのだが、楽曲のシーンはそれなりに楽しかった。

【5段階評価】3

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2022年12月26日 (月)

(2424) メトロポリス

【監督】りんたろう
【出演】小林桂(声)、井元由香(声)、岡田浩暉(声)、石田太郎(声)、富田耕生(声)
【制作】2001年、日本

手塚治虫の同名漫画が原作のアニメ作品。ロボットと人類が共存する世界の支配を企む者と戦う少年の奮闘を描いている。

ロボットが人間に成り代わって労働をしている未来都市メトロポリス。そこに日本の探偵、伴俊作(富田耕生)が、助手の少年ケンイチ(小林桂)を連れてやってくる。彼の目的は、犯罪者、ロートン博士(滝口順平)の逮捕。ロートン博士は、メトロポリスの征服を企むレッド公(石田太郎)から、世界を征服する能力を持った人造人間の開発を依頼されていた。しかしレッド公を崇拝する少年ロック(岡田浩暉)は、ロートン博士の研究工場に乗り込むと、ロートン博士を銃で撃ち、工場を爆破。伴俊作とケンイチは工場内に取り残されていたロートン博士を救助しようとするが、ロートン博士は死亡。ケンイチは、工場内で少女(井元由香)を見つける。それはロートン博士が製造した人造人間だった。ケンイチは少女を救出。少女はティマと名乗る。
ロックは世界を征服する座につくのはレッド公であるべきと考え、ケンイチとともに逃げ続けるティマを破壊しようとする。ロックに追い詰められたティマとケンイチだったが、そこにレッド公が現れる。ティマはレッド公の亡くなった娘の姿をしていた。レッド公はティマを連れて、権力の座につかせようとする。ティマは最初は抵抗するが、権力の座を象徴する椅子に座ると暴走を始める。ケンイチはティマを救いだそうと椅子からティマを引き剥がす。ティマはケンイチを攻撃するが、最後にケンイチの声が届き、そのまま奈落の底へと落下していく。ケンイチは、地下にいるロボット達がティマの残骸を持ち寄っていることに気づき、笑顔を見せるのだった。

昔のアニメ調のキャラクターが緻密なCGや「ブレードランナー」のような背景の中で動く様子が特徴的。緻密なCGのぎこちない動きがCGアニメの黎明期、あるいは初期の3DCGゲームを彷彿とさせる。

【5段階評価】3

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2022年12月21日 (水)

(2423) ラ・ブーム

【監督】クロード・ピノトー
【出演】ソフィー・マルソー、クロード・ブラッスール、ブリジット・フォッセー、アレクサンドル・スターリング
【制作】1980年、フランス

13歳の少女の恋心を描いた作品。

13歳の少女、ビック(ソフィー・マルソー)は男子生徒にブームに呼ばれ、小躍りする。ブームとはパーティのこと。ビックは漫画家の母親フランソワーズ(ブリジット・フォッセー)と歯科医の父親フランソワ(クロード・ブラッスール)の乗る車でパーティ会場に到着。そこで同じ学校のマチュー(アレクサンドル・スターリング)に声を掛けられたことをきっかけに、マチューに夢中になる。しかし、マチューはローラースケート場で別の女子と仲良くしており、それを知ったビックはショックを受け、様子を見に来た父親に抱き着き、キスをする様子をマチューに見せつける。マチューはフランソワがロリコンだと勘違いし、学校の近くに来ていたフランソワとけんかになる。
フランソワは昔の浮気相手につきまとわれ、やむなく外泊。フランソワは、一旦は妻のフランソワーズに、足を骨折したため帰宅できなかったと嘘をつくが、その後、正直に告白。しかし、フランソワーズは別居を申し渡す。そのフランソワーズも、ビックの学校のドイツ語教師レマン(ベルナール・ジラルドー)と浮気。レマンと海外旅行に出ることにする。フランソワは自分も海外に行くと嘘をついてフランソワーズを空港に送る。フランソワは、フランソワーズがビックを身ごもったときに訪れたレストランで一人で食事をする。フランソワーズはレマンとの旅行を思いとどまり、空港を後にすると、レストランにいるフランソワに気づき、店に入って彼に近づいて微笑みかける。ビックは自分の14歳の誕生祝いのブームを自宅で開き、仲のよい曾祖母(ドゥニーズ・グレイ)や友人に祝福される。ビックはマチューとダンスをするが、ブームにやってきた別の美少年に早くも目移りするのだった。

思春期の少女と、その両親の恋愛を描いている。ソフィー・マルソーの出世作。幼いながら、その美貌は際立っていた。ストーリーは、とりとめのない内容で、大事件が起きるわけではなく、フランスの家庭の日常、思春期の少年少女の恋愛を切り取った作品。

【5段階評価】3

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2022年12月18日 (日)

(2422) 恋に落ちたシェイクスピア

【監督】ジョン・マッデン
【出演】ジョセフ・ファインズ、グウィネス・パルトロウ、ジュディ・デンチ、コリン・ファース
【制作】1998年、アメリカ、イギリス

劇作家と王女の実らぬ恋を描いた恋愛映画。第71回アカデミー賞作品賞受賞作品。

借金を抱えた劇場主ヘンズロー(ジェフリー・ラッシュ)は劇作家シェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)に脚本の作成を依頼。裕福な家の娘バイオラ(グウィネス・パルトロウ)は、演劇が大好きで、役者になることを夢見る。劇場には男性しか立てなかった時代。彼女は男性に扮し、トマス・ケントと名乗って役者集めに参加。シェイクスピアは一目で気に入り、主役に抜擢する。やがてシェイクスピアは、トマスの正体が一目ぼれの相手バイオラであることを知る。二人はバイオラの部屋で一夜をともにする。バイオラは、傲慢なウェセックス卿との結婚を強いられる運命にあったが、男性に扮して劇の稽古に励みつつ、シェイクスピアと愛し合う。シェイクスピアは、バイオラとの愛に着想を得て、「ロミオとジュリエット」を完成させる。しかし、トマスが女性であることが明るみに出てしまい、劇場は閉鎖。バイオラは劇場を追い出される。演劇は別の劇場で上演されることになり、上演の日、バイオラはウェセックス卿との結婚式を抜け出して劇場に駆け付ける。劇場ではジュリエット役の代役が必要となる事態になっており、セリフを覚えていたバイオラが急遽、ジュリエット役を担うことになる。バイオラは、ロミオ役のシェイクスピアとともに演劇を大成功に導く。バイオラを追って劇場に駆け付けたウェセックス卿は、警察を呼んでシェイクスピアらを逮捕させようとするが、そこに女王(ジュディ・デンチ)が現れ、バイオラは男だと宣言。バイオラの行動はおとがめなしとなるが、神に誓った結婚はご破算とはならなかった。バイオラはシェイクスピアに最後の別れを告げ、ウェセックス卿とともに、新天地アメリカに向かう。その船は、シェイクスピアとバイオラが思い描いた戯曲の通り難破し、ただ一人岸辺にたどりついたバイオラは、自ら新天地を進み始めるのだった。

有名なロミオとジュリエットの物語ができあがっていく過程と、シェイクスピアとバイオラの恋の進展が絡み合うという展開が秀逸。公開当時26歳のグウィネス・パルトロウのスレンダーな裸体も見られる。

【5段階評価】4

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2022年12月13日 (火)

(2421) オーバードライヴ

【監督】リック・ローマン・ウォー
【出演】ドウェイン・ジョンソン、ジョン・バーンサル、スーザン・サランドン、バリー・ペッパー、ラフィ・ガブロン
【制作】2013年、アメリカ

麻薬密売の冤罪で収監された息子を救うため、潜入捜査に身を投じた父親の奮闘を描いた作品。

18歳のジェイソン・コリンズ(ラフィ・ガブロン)は、友人から大量の麻薬を受け取って欲しいと連絡を受ける。彼は迷いながらも、興味本位で宅配便を受け取ってしまうが、すぐにDEAが乗り込んできて逮捕され、10年の懲役刑に処される。ジェイソンの父親、ジョン・マシューズ(ドウェイン・ジョンソン)は、ジェイソンの母親シルビー(メリーナ・カナカレデス)と離婚しており、現在はアナリサ(ナディーン・ベラスケス)と結婚し、幼い娘もいた。ジョンは息子を助け出したい一心で、検事のジョアン・キーガン(スーザン・サランドン)に相談。ジェイソンに代わって彼が麻薬犯罪者の逮捕に協力すれば、息子を減刑させるという約束を取り付ける。
ジョンは、自分が経営する運送会社の従業員の中から、かつて麻薬に手を染めていたダニエル・ジェームズ(ジョン・バーンサル)に声をかけ、麻薬密売人を紹介してほしいと頼み込む。更生を誓っていたダニエルだったが、2万ドルという報酬を提示され、貧しい暮らしに耐えている家族のため、ジョンに協力することにする。ダニエルはかつての仕事仲間、マリーク(マイケル・K・ウィリアムズ)にジョンを引き合わせる。マリークはジョン自身の運転で麻薬を運搬するよう命じ、ジョンは見事にやってのける。その様子を監視していた麻薬捜査官のクーパー(バリー・ペッパー)は、彼がさらなる大物に接近するチャンスを得たことを知り、マリーク逮捕に踏み込まず、マリークを泳がせる。ジョンは約束が違うとジョアンに詰め寄るが、ジョアンは大物の逮捕にこぎ着ければジェイソンを解放すると約束する。
密売業者の信用を得たジョンは、麻薬カルテルの大物、エル・トポ(ベンジャミン・ブラット)と面会。彼の資金をメキシコに運搬する任務を託される。ジョンは自ら銃を購入し、運搬の任務に就く。ところが、エル・トポの一味に、彼が息子の解放のために動いていることが伝わってしまう。ジョンが運転するトレーラー車に追走していたエル・トポの一味がジョンに襲いかかる。ジョンはトレーラーを操りながら、持っていた銃で応戦するが、ついにトレーラーは横転。身動きの取れなくなったジョンのもとに男が走り込んでくるが、それは敵ではなく麻薬捜査官だった。
事件は解決し、ダニエルは、エル・トポ逮捕の報奨金、10万ドルを得る。ジョンは、釈放されたジェイソンと抱き合って喜ぶのだった。

麻薬密売人の逮捕に協力すれば減刑されるという仕組みに焦点が当たっている。この、お友達を紹介すれば特典が得られるという、ゲームやポイントカードでありがちな仕組みが麻薬捜査にも適用されると、自分の罪を軽くするために無関係の者を犯罪者に仕立て上げるという形で悪用されかねない。ジョンの息子、ジェイソン自身が、逮捕された友達に、半ば騙されるような形で売られている。メッセージ性のある作品だった。
一方で、この父親役を、見た目が不死身の屈強なドウェイン・ジョンソンが演じることには是非もあるだろう。どちらかと言うと、暴力に縁のない非力な父親が立ち向かっていく方が、観る者に驚きを与えられただろう。

【5段階評価】3

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2022年12月12日 (月)

(2420) バーン・アフター・リーディング

【監督】イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン
【出演】ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコビッチ、ブラッド・ピット、フランシス・マクドーマンド
【制作】2008年、アメリカ、イギリス

CIAを退職した男の周囲で起きる事件を描いたブラック・コメディ作品。

勤務態度を咎められ、CIAを自主退職したオジー(ジョン・マルコビッチ)は、収入を得るため自伝を書くことを決意。オジーの妻、ケイティ(ティルダ・スウィントン)は、夫の経済状態を調べるため、夫のPCからデータを抜き取るが、そのデータが入ったCDをスポーツジムに置き忘れる。若いジム職員のチャド(ブラッド・ピット)は、そのデータがCIAの機密情報だと考え、持ち主に返して謝礼金を手に入れようと企む。同じジム職員のリンダ(フランシス・マクドーマンド)は、整形手術代欲しさに、その作戦に加担。チャドはオジーに会い、データと引き換えに5万ドルを要求するが、オジーはチャドの顔面を殴り、車で走り去る。リンダとチャドは、そのデータをロシア大使館に持ち込むが、相手にされない。チャドはオジーの家に侵入し、室内を物色。すると、ケイティの浮気相手のハリー(ジョージ・クルーニー)が家にやってくる。慌ててクローゼットに隠れるチャドだったが、シャワーから出たハリーがクローゼットの扉を開け、チャドと鉢合わせ。元警護官だったハリーは咄嗟にチャドの脳天を銃で撃って殺してしまう。その状況はCIA上層部に伝わっていたが、CIAはハリーがチャドの遺体を海に捨ててベネズエラに逃亡しようとしているのを知り、放置することにする。
オジーは、自分の口座の金を妻に奪われていることを知り、自宅に戻る。誰もいないはずの家の中から音がすることに気づいたオジーは、銃を構えて地下室に向かう。そこには、金になりそうなデータを探すテッド(リチャード・ジェンキンス)がいた。テッドは、リンダの勤めるジムのオーナーで、リンダに密かな恋心を抱いており、彼女に協力しようとしていたのだ。オジーはテッドを銃で撃ち、屋外に逃げて路上に出たテッドを、斧で滅多打ちにして殺害する。CIAは、オジーが、その様子を監視していた者に撃たれて脳死状態になっていることを知り、事件を闇に葬り去ることにする。そして、たった一人事情を知っているリンダに、口止め料として、整形手術代を渡すことに決めるのだった。

ちょっとした金儲けをもくろんだチャドが、不幸な偶然の重なりから殺され、結果的に、整形手術代がほしいだけのリンダが得をするという物語を描いている。社会的メッセージは特になく、淡々と起こる出来事を描いている。コミカルなシーンが随所にちりばめられているコメディではなく、物語全体を見終わった時にユーモアを感じるという点がユニークだった。

【5段階評価】3

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2022年12月11日 (日)

(2419) オルカ

【監督】マイケル・アンダーソン
【出演】リチャード・ハリス、シャーロット・ランプリング、ウィル・サンプソン、ピーター・ホーテン
【制作】1977年、アメリカ、イタリア

シャチと人間の死闘を描いた動物パニック作品。

漁師のノーラン(リチャード・ハリス)は、水族館に売るためのシャチを生け捕りにしようと、海に出る。シャチの群れを発見したノーランは、オスめがけて銛を放つが、銛はオスシャチの背びれをかすめ、メスのシャチに当たってしまう。ノーランはそのままシャチを船に釣り上げる。すると血まみれになったメスの体から胎児が飛び出す。それはまるで人のようだった。ノーランは気味悪がり、ホースの水で子どもを海に落とす。オスシャチは船底に体当たりを続け、恐れをなしたノーランは、乗員のノバック(キーナン・ウィン)に命じて、釣り上げたメスシャチを海に落とさせるが、オスシャチは船からせり出したポールにしがみついているノバックに襲いかかり、ノバックは海に引きずり込まれて命を落とす。
ノーランらは港に戻るが、オスシャチはノーランの船をつけ、海岸にメスシャチの遺体を運び込む。動物学者のレイチェル(シャーロット・ランプリング)は、シャチの習性や知能の高さをノーランに説き、ノーランはシャチを捕らえることを断念する。しかし、オスシャチは港の船を破壊したり、小屋に体当たりして火事を起こすなどして、漁村に損害を与える。
ノーランの仲間で、オスシャチに船を襲われた際に足を骨折したアニー(ボー・デレク)が、海辺の小屋でワインを飲もうとすると、小屋にオスシャチが体当たり。小屋は傾き、うまく動けないアニーは、駆けつけたノーランやポールの救助もむなしく、片足を食いちぎられてしまう。ノーランは仲間とともに漁村から逃げだそうとするが、漁村の人々は、ノーラン達がオスシャチを放置したまま村を去ることを許さなかった。ノーランは船を海に出すことを決意する。
ノーランの船には、レイチェル、ポール(ピーター・ホーテン)、ケン(ロバート・キャラダイン)、ウミラク(ウィル・サンプソン)が乗り込む。船が沖に出ると、ほどなくオスシャチが現れる。オスシャチは船を北に誘い、ノーランはそれに従う。不用意に船の側面に立っていたケンがオスシャチに襲われ、命を落とす。次第に流氷が現れ始め、ポールは救助艇で逃げようとするが、オスシャチが救助艇に体当たりし、ポールも殺される。オスシャチはさらに氷山を船にぶつけ、船に大量の氷塊が落下。ウミラクが下敷きになって死亡する。ノーランとレイチェルは沈みゆく船から脱出して氷山の上に這い上がるが、ノーランはオスシャチに襲われ、海に投げ出されてしまう。オスシャチは尾びれでノーランを跳ね飛ばし、氷山に激突したノーランは、そのままずるずると海に沈んでいく。救助のヘリコプターが到着する中、レイチェルはなすすべなく、ノーランの沈んでいった海面を見つめるのだった。

ジョーズ」の大ヒットに続く動物パニック作品。陸地で暮らす人間がいかに海で動物と戦うことになるか、という点において、「ジョーズ」は主人公達がハンターという設定だが、本作では漁村の人々が主人公らを海に追い込むというのが秀逸。シャチの知能の高さや、なんで氷山の浮かぶ北洋でシャチと戦うの、というのがご都合主義ではあるが、ノーランが仲間を殺され、村人に冷たい目で見られ、精神的に追い込まれていく様子がうまく描かれていた。

【5段階評価】4

漁村の人々がノーランを追い込んでいくという設定は、巧みだった。

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2022年12月 7日 (水)

(2418) ONE PIECE STAMPEDE

【監督】大塚隆史
【出演】田中真弓(声)、中井和哉(声)、岡村明美(声)、山口勝平(声)、磯部勉(声)
【制作】2019年、日本

尾田栄一郎の漫画、ONE PIECEの劇場版第14作。強大な力を持った海賊と戦う主人公達の活躍を描く。前作は「ONE PIECE FILM GOLD」。

海賊のルフィ(田中真弓)らは、海賊万博が開かれるという情報を入手し、会場に向かう。主催者のブエナ・フェスタ(ユースケ・サンタマリア)は、伝説の大海賊、ゴール・D・ロジャー(津嘉山正種)の子分だったダグラス・バレット(磯部勉)を利用して、ロジャーが作り出した海賊時代に終止符を打とうとする。ルフィはウソップ(山口勝平)を無残に倒したバレットに戦いを挑む。一度はやられるが、仲間とともに再戦を挑み、勝利すると、海軍の追撃を振り切り、新たな冒険の旅に出るのだった。

CGを交えた映像は派手でよいのだが、悪魔の実の能力がすごすぎて、「ドラゴンボール」シリーズや「アベンジャーズ」シリーズと同様、もはや戦闘の派手さには感動がなくなってしまっている。本作のルフィの怒りの源泉は、ウソップを馬鹿にされたこと、という薄い理由であることも、感動をあまり呼ばない原因だろう。

【5段階評価】2

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2022年12月 6日 (火)

(2417) 劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明

【監督】小島正幸
【出演】富田美憂(声)、伊瀬茉莉也(声)、井澤詩織(声)、水瀬いのり(声)、森川智之(声)
【制作】2020年、日本

つくしあきひと原作漫画の劇場版。「劇場版総集編 メイドインアビス【後編】放浪する黄昏」の続篇。子供向けアニメのような絵柄ながらR15+指定という異色作。

謎の大穴「アビス」を冒険する少女リコ(富田美憂)、記憶喪失のロボット、レグ(伊瀬茉莉也)、獣人のようなナナチ(井澤詩織)の三人は、人体に寄生する虫のはびこる第4層を抜け、第5層にたどり着く。そこには、ナナチに過酷な運命を与えたボンドルド(森川智之)と、その娘プルシュカ(水瀬いのり)がいた。プルシュカはリコらを歓迎する。ボンドルドも表向きは彼らを歓迎するが、その本心は、アビスの解明にあった。ボンドルドの一味はレグを捕らえて片腕を切り落としたり、排泄物を確認したりする。そこに、ナナチ、リコ、プルシュカが現れ、レグを救い出す。ナナチ、リコ、レグはボンドルドをおびき寄せて抹殺しようとするが、大ボンドルドの取り巻きが、大岩に潰されたボンドルドの兜を受け継ぐと、その者がボンドルドに生まれ変わってしまう。
ボンドルドは娘であるプルシュカを自らの力の増大のために利用。プルシュカは臓器と脳をトランクに詰められただけの存在になってしまう。レグは研究所の電気を大量に充電して強大な力を得、ボンドルドを倒す。ボンドルドは自分より強い意志を持ったナナチらとの戦いに感謝する。リコ、レグ、ナナチは、蘇ったボンドルドの見守る前で、冒険の鍵となる白笛となったプルシュカとともに、第6層に進むのだった。

人体に寄生する虫、臓器だけの存在となった人間など、12歳前後の少年少女が直面するには、あまりにも過酷な状況が描かれている。単にグロテスクなだけだと、見ていて気分が悪くなるのだが、ほのぼのアニメ調の絵柄で緩和され、登場人物達の感情に集中できる。次にどのような運命が主人公達を待ち受けるのか。最後まで目が離せないシリーズだ。

【5段階評価】4

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2022年12月 5日 (月)

(2416) ザ・ファブル 殺さない殺し屋

【監督】江口カン
【出演】岡田准一、木村文乃、平手友梨奈、堤真一、安藤政信
【制作】2021年、日本

南勝久の漫画が原作。殺しを禁じられた殺し屋の活躍を描いたアクション作品。「ザ・ファブル」の続篇。

ボス(佐藤浩市)から殺人を禁じられている殺し屋、ファブルこと佐藤アキラ(岡田准一)は、かつて自分が売春組織から救い出した少女(平手友梨奈)を見かける。少女は足が不自由で車椅子に乗っており、公園でリハビリをしていた。少女の名は佐羽ヒナコ。彼女は、表向きは善良なNPO組織を運営しながら、裏で悪事を働く宇津帆(堤真一)と行動をともにしていた。宇津帆は、井崎(黒瀬純)とともに、アキラと同じデザイン会社に勤める貝沼(好井まさお)が、同僚の清水ミサキ(山本美月)の自宅内を盗撮していることをネタに、貝沼の家から示談金をだまし取ろうと画策。しかし、ヒットマンの鈴木(安藤政信)が貝沼を拉致する瞬間をアキラに見られてしまう。鈴木は、先回りしてアキラと同居しているヨウコ(木村文乃)の家に向かうが、あっさりと返り討ちに遭う。アキラは鈴木に、貝沼を無事に返せと命じるが、貝沼は井崎の凡ミスによってすでに死亡。アキラは仕方なく鈴木を解放する。宇津帆と鈴木は、事務所にアキラをおびき寄せ、集団でアキラを亡き者にしようとするが、アキラはそれをかいくぐる。鈴木と宇津帆は、追ってきたヨウコを人質にとってアキラを待ち伏せる。宇津帆はヒナコに、両親の喉元を掻き切って殺したのは佐藤だ、と説明しており、佐藤の仲間であるヨウコを撃てと言ってヒナコに拳銃と弾を渡すが、ヒナコが銃を放った相手は宇津帆だった。警察しか知らないはずの、両親の喉元が切られていた事実を語った宇津帆が犯人だと気づいたのだった。しかし、防弾チョッキを着ていて無事だった宇津帆は、開き直って両親殺害の様子を楽しげに語る。激怒したヒナコは車椅子から立ち上がり、宇津帆に歩み寄るが、そこにはアキラを仕留めるための地雷が仕込まれていた。宇津帆はヒナコを挑発。ヒナコはついに銃を放ち、反動で足が浮きそうになるが、そこにアキラが現れ、ヒナコを支える。ヒナコを救いたい一心の鈴木とアキラは手を組み、鈴木がショベルカーのバケットを地雷に覆いかぶせ、アキラがヒナコの足を同時に引き抜くことで、ヒナコを助け出す。その直後、宇津帆は隠し持っていた手榴弾をヒナコに投げつける。同時に鈴木が宇津帆の眉間を撃ち抜き、宇津帆は即死するが、手榴弾のピンは抜かれていなかった。作戦が失敗した宇津帆は観念し、自分が殺される道を選んだのだった。
ヒナコはアキラに感謝の手紙を書く。ビルの屋上でそれを読み終わったアキラは、手紙を燃やすと、雪の降り始めた夜空を見上げるのだった。

修繕工事中の足場でのアクションシーンが圧巻。これだけの大騒ぎを起こせば、もはや誰も殺さないというルールも有名無実と化した感はあるが、圧倒的な強者による無双のシーンは痛快。崩壊する足場を走り抜けるシーンも見事だった。ストーリーも分かりやすく、怒りに震えるヒナコが立ち上がるシーンは感動的。堤真一の演技が、うますぎるが故に逆に芝居臭いのがちょっと気にはなったが、前作を超える感動作に仕上がっていた。

【5段階評価】5

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2022年12月 4日 (日)

(2415) ジュマンジ/ネクスト・レベル

【監督】ジェイク・カスダン
【出演】アレックス・ウルフ、ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ダニー・デビート
【制作】2019年、アメリカ

ゲームの世界に入り込んだ若者達の脱出劇を描いた作品。「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」の続編。

気弱な青年、スペンサー(アレックス・ウルフ)は、恋人のマーサ(モーガン・ターナー)との付き合いに自信を失っていた。彼は勇気を取り戻そうと、かつてさまよい込んだジュマンジの世界に再び飛び込む。スペンサーを心配したマーサと、友人のフリッジ(サーダリウス・ブレイン)、ベサニー(マディソン・アイズマン)は、スペンサーの家を訪ね、彼がゲームの世界に入ったことに気づく。マーサは再びゲームの世界に入ることにするが、同時に入ったのはアンソニーと、スペンサーの祖父エディ(ダニー・デビート)と、エディの旧友マイロ(ダニー・グローバー)だった。逆にベサニーは現実世界に取り残される。
マーサは女性格闘家のルビー・ラウンドハウス(カレン・ギラン)というキャラクターとなり、フリッジは小太りの考古学者オベロン(ジャック・ブラック)に、エディは屈強なブレイブストーン(ドウェイン・ジョンソン)に、マイロは動物学者のマウス(ケビン・ハート)になる。混乱するエディとマイロに状況を説明しながら、マーサたちはスペンサーを探し出す。スペンサーは女性盗賊のミン(オークワフィナ)になっていた。馬になったベサニーと、カウボーイになったアレックス(コリン・ハンクス)も合流し、ゲームのクリアを目指す。旅の途中で、彼らはキャラクターを入れ替えられる水の中に飛び込み、スペンサーはブレイブストーンに、ベサニーはオベロンに、フリッジはマウスに、エディはミンに、マイロは馬になる。
ゲームクリアの鍵となる宝石は、悪の親玉ユルゲン(ロリー・マッキャン)が首にかけていた。ブレイブストーンとラウンドハウスはユルゲンに挑み、宝石を奪い取ると、ペガサスとなった馬に乗ったミンが宝石を太陽に掲げてジュマンジと叫び、ゲームはクリア。マイロはゲームの世界に残ることを決め、残りの者達は現実世界に戻る。二度とゲームには入らないと誓う四人だったが、スペンサーの母親の呼んだ配管修理工が、ジュマンジのゲームに触れてしまう。するとなぜか現実世界の中を、ゲームに登場したダチョウの大群が走る抜ける。スペンサー達はそれを目にして唖然とするのだった。

映像の迫力はそれなりにあるのだが、ゲームの世界なので起きることが何でもありすぎて、何が起きても驚きにならず、仲違いしていたエディとマイロが信頼関係を取り戻したり、スペンサーとマーサが復縁したりというドラマも織り交ぜられているが、あまり盛り上がりのない平板な作品になってしまっていた。最後は続編を予感させるものの、意味不明で中途半端だった。

【5段階評価】3

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