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2022年10月

2022年10月31日 (月)

(2402) ねことじいちゃん

【監督】岩合光昭
【出演】立川志の輔、柴咲コウ、柄本佑、小林薫、銀粉蝶、山中崇、田中裕子
【制作】2019年、日本

離島で猫と暮らす老人の日常を描いた作品。イラストレーターねこまきの漫画が原作。

とある島で暮らす老人、春山大吉(立川志の輔)は、妻のよしえ(田中裕子)に先立たれ、猫のたま(ベーコン)と一緒に暮らしていた。島には若い美智子(柴咲コウ)がやってきてカフェをオープン。年寄り達の憩いの場になる。釣りが趣味の巌(小林薫)は、幼なじみのサチ(銀粉蝶)に密かな思いを寄せ続けていた。サチは、若い頃、巌が本土で見たダンスホールにサチを連れていってやると言ったことを覚えていた。美智子が小学校を使った島のイベントで何をするか悩んでいたところ、巌はダンスホールを提案。ダンスホールには大勢が集まり、盛り上がる。その後、サチは亡くなってしまい、サチの飼い猫は美智子のカフェに引き取られる。
大吉の一人暮らしを、息子の剛(山中崇)は心配していたが、ある日、大吉は心臓が苦しくなり、家で倒れる。幸い、訪ねてきた美智子が気づき、大事には至らなかった。剛は改めて大吉に同居を進めるが、大吉は、たまとともに島で暮らすことを選ぶのだった。

猫のシーンが数多く登場し、終始、ほのぼのとした作品。たみこ(田根楽子)とトメ(小林トシ江)の口喧嘩が、ちょっと耳障りではあった。もうちょっと微笑ましい口喧嘩のほうがよかった。

【5段階評価】3

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2022年10月30日 (日)

(2401) ザ・フライ

【監督】デビッド・クローネンバーグ
【出演】ジェフ・ゴールドブラム、ジーナ・デイビス、ジョン・ゲッツ
【制作】1986年、アメリカ

ハエと融合した科学者の末路を描いたホラー作品。1958年の映画「ハエ男の恐怖」のリメイク。

天才科学者のセス・ブランドル(ジェフ・ゴールドブラム)は、女性記者のベロニカ(ジーナ・デイビス)に、テレポッドAに入れた物をテレポッドBに転送する装置を紹介する。興味を持ったベロニカは、元恋人の編集長、スタティス・ボーランス(ジョン・ゲッツ)に報告するが、スタティスはいんちきだと取り合わず、彼女に復縁を迫る。スタティスに嫌悪したベロニカは、研究に一心不乱なセスの純粋さに惹かれ、二人は愛し合うようになる。セスは生物の転送ができずにいたが、ベロニカと愛し合うようことで生物へのヒントを得、ついにヒヒの転送に成功する。シャンパンで成功を祝う二人だったが、スタティスが勝手にセスを記事化しようとしていることを知り、スタティスのいるオフィスに向かう。お祝い気分に水を差された格好のセスは、酔った勢いで自分自身がテレポッドに入って自身を転送。しかし、彼の入ったテレポッドには、一匹のハエが紛れ込んでいた。
転送に成功したセスは、自分の身体能力が向上していることを実感。ベロニカにも転送を薦めるが、ベロニカはセスの興奮した様子に恐れを感じてそれを拒否。いらだったセスはベロニカを置いてバーに行き、そこにいた女性を口説く。それを咎めた男に、セスは100ドル札を出して腕相撲勝負を挑み、意気込む相手の腕をへし折ってしまう。バーの女はセスの研究室まで来るが、転送には尻込みし、そこに現れたベロニカを見て退散する。
セスは次第に体が変化していく。ベロニカはセスの背中の傷口に生えていた毛を切って分析に出し、それが昆虫のものに近いとセスに報告。セスは認めようとしないが、次第に爪が剥がれ、皮膚が変質していく。セスは転送装置の中にハエが入っていたことを突き止める。セスはベロニカに助けを求める一方、自分がベロニカを傷つけてしまうことを恐れ、彼女を帰らせる。ベロニカは、自分がセスの子を身ごもっていることを知り、悩むが、セスの姿を見て堕胎を決意。スタティスに連れられて病院に向かうが、そこにセスが現れ、ベロニカを連れ去り、子どもを産んでくれとベロニカに懇願する。
ベロニカの身を案じたスタティスは、銃を携えてセスの研究室に忍び込むが、セスは口から溶解液を吐き出してスタティスの手や足を溶かし、スタティスは気を失ってしまう。セスの暴走を止めようとやってきたベロニカだったが、セスは、ベロニカとお腹の子ども、そして自分を融合させようとする。抵抗するベロニカがセスを押すと、セスの顎は崩れ、皮膚は剥がれ落ち、ハエに変態したブランドルフライが現れる。ブランドルフライはベロニカをテレポッドAに投げ込み、自身はテレポッドBに入る。しかし、気絶から覚めたスタティスが、転送開始直前にテレポッドAのケーブルを銃で撃ち、セスは一人でテレポッドCに転送される。テレポッドCから這い出てきたセスは、ベロニカの構える銃の銃口を自分の頭に導く。ベロニカは泣きながらセスの頭を撃ち抜くのだった。

ジェフ・ゴールドブラムがハエ男を演じた伝説的な作品。B級ホラー風の特撮が見ものだが、かなりのグロ映像なので、テレビ放映には不向きと思っていたところ、まさかのNHK BSでの放映だった。

【5段階評価】5

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2022年10月25日 (火)

(2400) コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-

【監督】西浦正記
【出演】新垣結衣、山下智久、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、馬場ふみか、椎名桔平
【制作】2018年、日本

医者を救急救命現場に搬送するドクターヘリで活躍する医療スタッフを描いた同名テレビドラマの劇場版。

翔陽大学附属北部病院救急救命センターで働く白石恵(新垣結衣)、緋山美帆子(戸田恵梨香)、藤川一男(浅利陽介)、冴島はるか(比嘉愛未)らのもとに、トロントから藍川耕作(山下智久)が戻ってくる。彼らは、スキルス胃がんに侵され余命わずかの富澤未知(山谷花純)、フライトナース雪村双葉(馬場ふみか)の母親でアルコール依存症の雪村紗代(かたせ梨乃)など、多くの患者に対応していく。海ほたるで起きた事故に対応していた藍川が階段から落下。同行していた恵と双葉が救急措置を施し、救命センターに搬送。意識不明の状態が続くが、やがて回復する。
結婚式を挙げられずにいた藤川と冴島のために、センター医師の橘啓輔(椎名桔平)や恵、美帆子、藍川たちがサプライズで病院内の結婚式をプレゼント。仲間とのきずなを深めあう。藍川はトロントに戻り、美帆子は新たな職場で活躍を続けるのだった。

病気や命を扱う作品は鉄板で泣けるものが多く、たいていは一人の重病人を扱っているが、本作は重傷者をこれでもかと詰め込む群像劇になっている。やりすぎると飽きるのだが、本作は泣けるシーンを詰め込みながら、うまく感動を呼ぶ内容に仕上がっていた。ただ、相川が意識不明の状態になる展開は、もうちょっと説得力がほしかった。引火事故を防ぐために自らを犠牲にしたようなのだが、落ち着いて対処すればいいのに焦って足を滑らせただけのようにも見えた。

【5段階評価】4

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2022年10月24日 (月)

(2399) フリー・ウィリー

【監督】サイモン・ウィンサー
【出演】ジェイソン・ジェームズ・リクター、オーガスト・シェレンバーグ、ロリ・ペティ、マイケル・マドセン
【制作】1993年、アメリカ

母親に捨てられた少年と家族から引きはがされたシャチとの交流を描いた作品。

海を泳ぐシャチの子供(ケイコ)が人間に捕らえられ、水族館に送られる。シャチはウィリーと名付けられるが、水族館を経営するダイアル(マイケル・アイアンサイド)は、芸を覚えないウィリーを好ましく思っていなかった。
母親に捨てられ、ストリートチルドレンとなっていた少年、ジェシー(ジェイソン・ジェームズ・リクター)は、仲間のペリー(マイケル・マコール)と水族館に忍び込み、スプレーで落書きをしながら中を探索していると、水槽の中にいるシャチを発見。そこに追ってきた警官が現れ、ジェシーは警察に連れていかれる。警官のドワイト(ミケルティ・ウィリアムソン)は、ジェシーを心配し、里親のアニー(ジェイン・アトキンソン)とグレン(マイケル・マドセン)のもとに連れていくが、ジェシーは大人の愛情を素直に受け取ることができずにいた。
ジェシーはバツとして水族館の落書き掃除を命じられ、水族館職員のランドルフ(オーガスト・シェレンバーグ)のもとに送り込まれる。ジェシーはウィリーとハーモニカを使ってやりとりをするようになる。グレンとぎくしゃくしたままのジェシーは、夜、水族館に忍び込み、うっかりウィリーのプールに落ちてしまう。誰にも気づかれず沈んでいくジェシーをプールサイドに引き上げたのはウィリーだった。ジェシーは水族館で働き続けることを望み、里親もそれを了承する。ウィリーはジェシーになつき、次第にジェシーの指示で芸をするようになる。ランドルフが見守る中、ジェシーは飼育員のレイ(ロリ・ペティ)とともにウィリーのショーを完成させる。それを見たダイアルはウィリーのショーを大々的に開催することを決めるが、大勢の人が集まり、多くの子供が水槽をバンバンたたく中、ウィリーは混乱し、ショーは大失敗。アニーやグレン、ドワイトはジェシーを慰めようとするが、ジェシーには届かなかった。
水族館でウィリーに別れを告げたジェシーは、ウィリーの鳴き声を聞きつけたウィリーの家族が、近くの海まで来ているのを見つける。水族館を去ろうとしたジェシーは、何者かがウィリーの水槽を壊し、水が漏れているのを発見。ダイアルの手先が、ウィリーを殺して保険金を手に入れようとしていたのだ。ジェシーはランドルフを呼び、ウィリーを海に逃がすことを決意。レイも協力して、ウィリーを台車に乗せ、グレンの車を持ち出してウィリーを運ぼうとするが、途中の山道を倒木がふさいでいたため、立ち往生してしまう。ジェシーは無線でグレンとアニーに協力を求める。アニーと現場に駆け付けたグレンは、ウィリーを助けてほしいと懇願するジェシーの姿を見て、ジェシーに協力することにする。ジェシーはグレンに抱き着いて彼に感謝する。ジェシーたちは車をバックさせて山道から抜けることに成功し、海に向かう。そこには、ジェシーたちがウィリーを逃がそうとしていることを知ったダイアルたちが待ち構えていた。ダイアル一味が立ちはだかる港のゲートを、車で強行突破したジェシーたちは、ウィリーを海に放すことに成功する。しかし、海にはダイアルが手引きした船が立ちはだかっていた。ジェシーはウィリーを海に突き出した防波ブロックのほうに誘導し、ウィリーに大ジャンプを指示。奇跡が起き、ウィリーは防波ブロックを飛び越えて海原に出ることに成功する。ジェシーは家族と抱き合い、帰途に就くのだった。

わかりやすい展開で、動物と子供の触れ合いを描いた代表的名作。最後の大ジャンプは合成映像丸出しのでき過ぎな展開なのだが、思わず胸が熱くなった。

【5段階評価】4

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2022年10月19日 (水)

(2398) 猫侍

【監督】山口義高
【出演】北村一輝、寺脇康文、蓮佛美沙子、浅利陽介、横山めぐみ、津田寛治、斉藤洋介、小野寺昭
【制作】2014年、日本

ひょんなことから猫を飼うことになった侍の活躍を描いた作品。

浪人の斑目久太郎(北村一輝)は仕事を求めて、妻のお静(横山めぐみ)と娘のおハル(岩田月花(るなか))を故郷に残し、街で傘張りの仕事をしながら、職探しをしていた。街では猫好きの親分、相川平八(斉藤洋介)の仕切る相川家と、犬好きの米沢清兵衛(小野寺昭)が親分の米沢家が対立しており、米沢家の三郎太(戸次重幸)は、久太郎の腕を見込んで、相川家の愛猫、玉之丞の殺害を依頼する。五両の報酬に目がくらんだ久太郎は相川家に忍び込み、猫番の島崎新右衛門(寺脇康文)を圧倒して猫に迫るが、猫は殺さず、家に連れ帰る。
玉之丞に気に入られた久太郎は、新たな猫番の前場新助(浅利陽介)を弟子にし、猫の飼育係のお梅(蓮佛美沙子)とともに猫を飼う。新右衛門は、新たに米沢清兵衛の飼い犬の犬番に就く。新助は、米沢家に乗り込み、父親を殺した新右衛門への仇討ちに挑むが歯が立たない。その騒動のすきに飼い犬が逃げてしまい、それを新助が確保。一方、相川家は久太郎の家で玉之丞を発見。双方は飼い犬と飼い猫を交換することにする。双方が距離を置いてにらみ合う中、新助が犬を、新右衛門が猫を連れて中央に歩み寄る。新助は親の敵(かたき)と新右衛門に斬りかかる。そこに久太郎が現れ、新右衛門にただ、猫を返せと要求。新右衛門は素直に猫を返すと、久太郎に勝負を挑む。猫を守ろうとした久太郎に新右衛門が刀を突きつけ、勝負ありとなる。そこに相川平八が現れ、本来は自分の飼い猫である玉之丞を、久太郎の猫だととぼけ、その場を収める。飼い犬を取り戻した米沢家もそのまま撤収する。
人を斬らないことに決めた久太郎は、玉之丞を連れて家族のもとに帰り、妻と娘との再会を果たすのだった。

タイトルを見て、ただのおバカ映画かと思ったが、意外と、それなりにまともな時代劇だった。玉之丞にウィンクされて「萌え~!」と心の中で叫んだり、おかしな自分のテーマソングを歌ったりといったギャグシーンもあり、ユーモアもある。今回視聴したMONDO TVは、Vシネマまがいの駄作を放送することが多いという印象だが、本作はまともだった。

【5段階評価】3

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2022年10月18日 (火)

(2397) ピッチブラック

【監督】デビッド・トゥーヒー
【出演】ビン・ディーゼル、アダ・ミッチェル、コール・ハウザー、キース・デビッド
【制作】2000年、アメリカ

不時着した星でエイリアンと戦う人々を描いたSF作品。

宇宙飛行士のキャロリン・フライ(ラダ・ミッチェル)の乗る宇宙船が事故を起こし、近くにあった惑星の重力に引き寄せられる。フライは宇宙船を安定させるため、乗客の乗った区画を切り離そうとするが、同僚のオーエンス(サイモン・バーク)にたしなめられる。宇宙船は地面に衝突し、オーエンスは死亡。宇宙船には犯罪者のリチャード・B・リディック(ビン・ディーゼル)が乗っており、警官バッジをつけたジョンズ(コール・ハウザー)はリディックを拘束するが、リディックは拘束を解いて脱走する。生存者達はフライに感謝の言葉を口にするが、彼女は、乗客を見殺しにしようとたことをフライだけには告白する。その様子を物陰からリディックも聞いていた。
彼らの不時着した惑星には太陽が三つあり、夜がなかった。生存者達は水を求めて周囲を探索。大型生物の死骸などが転がる荒れ地を進むうちに、彼らは人間の研究施設を発見。しかし、人の姿はなかった。生存者の一人、ジーク(ジョン・ムーア)が横穴を見つけ、中を探ると、突如何かに襲われ、命を落とす。フライ達はリディックを疑うが、ジークを襲ったのは謎の生物だった。ジョンズはいったんリディックを信用することにし、リディックの拘束を解く。リディックは、過去に目を手術し、暗闇でも目が見える能力を持っていた。
研究施設の一区画を調べていたアリ(フィラス・ディラニー)は大量の小型飛行生物に襲われ、殺されてしまう。エイリアンは光に弱く、地上は安心と思われたが、22年前に研究施設の人々が死に絶えたのは、惑星に皆既日食が訪れたためだと分かる。フライは、惑星にまた皆既日食が起きることを知り、研究施設に残された小型艇に動力となる電池を運び込むことにする。小型艇の準備を進めるフライに、リディックはジョンズの正体を告げる。ジョンズは警官ではなく、麻薬中毒の賞金稼ぎだった。
太陽電池バギーで電池を運ぼうとするフライ達だったが、皆既日食が始まり、地上に闇が訪れる。すると、地底からおびただしい数のエイリアンが現れ、逃げようとしたシャザ(クラウディア・ブラック)が犠牲となる。生存者達は建物に逃げ込むが、さらにハッサン(サム・サリ)がエイリアンに殺される。彼らは建物を出て、発光装置を纏って歩を進めるが、生存者の一人、パリス・P・オーグルビ(ルイス・フィッツジェラルド)がパニックに陥り死亡。エイリアン達は血の匂いを追っていた。匂いの主は、少年だと思われていたジャック(リアンナ・グリフィス)。ジャックは実は女性で、足手まといと思われないよう男のふりをしていたのだった。彼らは酒瓶をたいまつ代わりに小型艇を目指す。道中、ジョンズはリディックに、ジャックを犠牲にして逃げることを耳打ち。それを拒絶したリディックとジョンズは格闘になり、最後はジョンズがエイリアンに襲われ、命を落とす。さらに足を進める一行だったが、雨が降り出し、酒瓶のたいまつの火が絶え絶えとなる。足を負傷したスレイマン(レス・チャンテリー)がさらにエイリアンの犠牲となり、リディックは生き残っていたフライ、ジャック、そしてイマム(キース・デビッド)を近くの洞窟に退避させ、一人で小型艇のもとに向かう。フライはリディックを追いかけ、残してきた二人のところに戻ると主張。彼らを見殺しにしようと考えていたリディックだったが、フライに説得されて洞窟に戻り、二人を救出する。四人はようやく宇宙船にたどり着くが、リディックがエイリアンに襲われる。助けに戻ったフライだったが、とうとう彼女がエイリアンの餌食になってしまう。リディックはその場を後にして宇宙船に乗り込み、ジャック、イマムとともに、星からの脱出に成功するのだった。

エイリアンが人間を感知する様子を、細かい線が集合したような独特のモノトーン映像で表現。22年ぶりの皆既日食で地上に現れたという設定だが、エイリアンはふだん何を食ってるの、という基本的なところの説明が不足しているのが残念だった。アクションシーンも、暗くてカット割りが細かく、何が起きているのかよく分からないものが多かった。

【5段階評価】3

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2022年10月17日 (月)

(2396) 約束のネバーランド

【監督】平川雄一朗
【出演】浜辺美波、板垣李光人、城桧吏、北川景子、渡辺直美、三田佳子、松坂桃李
【制作】2020年、日本

孤児院に暮らす子ども達のサバイバルを描いたファンタジー作品。白井カイウ、出水ぽすかの同名の漫画が原作。

15歳の少女エマ(浜辺美波)は、孤児院グレイス=フィールドハウスで、親友のノーマン(板垣李光人(りひと))やレイ(城桧吏)とともに暮らしていた。ある日、エマとノーマンは、孤児院が、この世界に住む鬼のための食用肉を育てる施設であり、孤児院のママ、イザベラ(北川景子)は、自分たちを食用肉として出荷する役割であることを知る。
エマ、ノーマン、レイは、イザベラや助手のクローネ(渡辺直美)の目を欺きつつ、脱出の計画を立て、孤児のドン(山時聡真)やギルダ(安藤美優)らとともに、孤児院を脱出することに成功。エマ達に騙されたイザベラだったが、最後は子ども達を見送り、無事を祈るのだった。

可愛いながらも性的魅力は控えめな浜辺美波は、エマ役に絶妙にハマっており、原作の世界観もうまく再現されていたので、原作ファンには楽しい作品だろう。一方で、展開も原作に忠実なので、映画版ならではのどんでん返しのような意外性には欠けていた。

【5段階評価】3

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2022年10月11日 (火)

(2395) ザ・クリーナー 消された殺人

【監督】レニー・ハーリン
【出演】サミュエル・L・ジャクソン、エド・ハリス、エバ・メンデス、ルイス・ガスマン、キキ・パーマー
【制作】2008年、アメリカ

遺体処理後の清掃業を営む元警官が巻き込まれた事件を描いたサスペンス作品。

遺体処理後の特殊清掃業者ステリクリーンを営む元警官のトム・カトラー(サミュエル・L・ジャクソン)は、清掃依頼を受け、殺害現場となった邸宅に向かう。依頼書の指示通り、玄関脇の鉢植えの下にあった鍵を使って無人の邸宅に入ったトムは、現場の写真と音声記録を残しつつ、血まみれになった壁や床、ソファなどを念入りに清掃する。帰宅した家には、娘のローズ(キキ・パーマー)がいた。母親は事件に巻き込まれて死亡しており、トムは男手一つでローズを育てていた。
邸宅の鍵を誤って持ち帰ってしまったことに気づいたトムは、再度邸宅を訪れる。現れた住人のアン・ノーカット(エバ・メンデス)に、依頼を受けた清掃業者だと名乗るが、驚いたことにアンは清掃のことを知らなかった。怪しいものを感じたトムは、家を間違えたと咄嗟に嘘をつき、邸宅を後にする。トムは事務所に戻り、依頼元の警察に連絡を入れるが、担当刑事の名前は偽物だった。トムは殺害現場の記録を机の引き出しに隠す。
折しも警察は、ボーン市警本部長を中心とした収賄疑惑に揺れていた。警察時代の同僚、エディ・ロレンゾ(エド・ハリス)と再会したトムは、バーでノーカット氏の失踪事件のニュースが流れているのを目にする。バーには担当刑事のジム・バーガス(ルイス・ガスマン)がおり、トムはさりげなく事件の情報を聞き出す。ジムはノーカット氏の事件は失踪ではなく殺人とにらんでいると話す。ノーカット氏はボーン市警本部長の大陪審の証人になる予定だったがなぜか失踪し、担当がジムになった、とエディが明かす。エディはジムが怪しいとほのめかすかのようだ。
翌日、トムの事務所に、夫の失踪についての情報を得るため、アンが訪ねてくる。しかしトムは邸宅を清掃したことは話さず、彼女を帰す。その後、現場で清掃作業をしているトムのもとに、エディが現れ、ノーカット邸から清掃の痕跡が出たと話し、なぜ清掃したことを隠すのか問いただす。トムは、自分自身もローズとの生活を守るためにボーンに買収されていたことを明かし、自分にノーカット氏殺害の動機と犯行機会があり、容疑者として疑われる立場にあるとエディに白状する。
トムはアンと会い、ノーカット氏の邸宅を清掃したことを明かし、ノーカット氏が大陪審で何を話すつもりだったのかをアンに尋ねる。アンはノーカット氏がしたためていたノートをトムに見せる。それは買収された警官のリストだった。そこにはトムの情報も書かれていた。アンはノーカット氏に刑事のジムが接触していたと明かす。トムはエディと会い、買収警官リストの情報をエディに伝える。エディはそのノートを燃やすことをトムに薦めるが、トムはそれを受け流す。エディは助言を無視されたことに怒り、その場を去る。
トムはノースカット邸の殺人現場でショックを受けたアンを、同僚のミゲル(ホセ・パブロ・カンティージョ)一家の家に連れて行く。アンは、自分が最近妊娠したが流産したことをトムに明かす。トムもまた、自分の妻が暴漢に撃ち殺され、それを娘が発見して通報したことが人生で最悪の場面だったと告白する。
ノーカット氏の死体が発見され、アンは身元確認のため病院に向かう。アンと合流したトムは、検死官のアーロ・グランジ(ロバート・フォスター)から、ノーカット氏はパイプカットしていたことを聞かされる。つまりアンの妊娠は、夫とは別の男によるものだった。
トムはエディの家で彼と相談し、ジムと三人で会って買収警官リストを渡すことを決める。エディの家には、アン・ノーカットから送られた表彰盾が飾られていた。アンを妊娠させたのがエディだと確信したトムはアンの家で彼女を問いただす。アンはエディが妊娠を喜び、流産したのはノーカット氏の仕業だと思い込んでいたことを白状する。
その晩、トムはエディとジムとの集合場所に向かうが、トムの携帯に自宅にいるローズから電話がかかり、エディが来ているとローズが話す。トムは慌てて車で自宅に戻り、娘を隣室に追いやってエディと激しく言い争う。トムが激昂してエディを投げ飛ばすと、エディは銃を抜いてトムに銃口を向ける。大きな銃声が響くが、倒れたのはエディだった。ローズがトムの部屋に隠してあった銃でエディを撃ったのだ。事件は落着し、トムの家にはエディの遺体の血痕が残される。それを清掃するのは、仕事にストレスを感じて休職していたミゲルなのだった。

一度観ただけではストーリーがよく分からず、2回観て内容が把握できた。収賄疑惑とノーカット氏の関係がよく分からず、ボーン市警本部長の人物像も描かれていないためか、ジムが怪しいというミスディレクションも今ひとつ入ってこなかった。噛めば多少味のある作品とは思うが、評価4とはならなかった。

【5段階評価】3

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2022年10月10日 (月)

(2394) バルジ大作戦

【監督】ケン・アナキン
【出演】ロバート・ショウ、ヘンリー・フォンダ、
【制作】1966年、アメリカ

第二次世界大戦の「バルジの戦い」を描いた戦争映画。

連合軍が大戦勝利の予感に浮かれていた1944年12月。反撃の機会をうかがっていたドイツ軍は、名将ヘスラー大佐(ロバート・ショウ)をキング・タイガー戦車隊の指揮官に任命。ヘスラー大佐の側近、コンラート伍長(ハンス・クリスチャン・ブレヒ)は、兵士の士気の低下を危惧。ヘスラー大佐が戦車長を呼び寄せると、集まったのは戦闘経験のない若者ばかり。不安を露わにするヘスラー大佐だったが、若者達は「戦車の歌」を足踏みして合唱。コンラート伍長、そしてヘスラー大佐はそれに鼓舞され、戦車隊の指揮を決断する。
ドイツ軍は米兵になりすました霍乱部隊も活用し、アルデンヌ地方にいるアメリカ軍を戦車隊で蹴散らしていく。防戦一方だった米軍だったが、カイリー中佐(ヘンリー・フォンダ)はドイツ軍が燃料不足に陥っていることを突き止める。連合軍の燃料基地に現れた戦車隊に、連合軍のウェーバー少尉(ジェームズ・マッカーサー)やガフィー軍曹(テリー・サバラス)らが燃料をぶちまけ、戦車隊に引火させ、ドイツ軍戦車隊は壊滅。ヘスラー大佐も命を落とす。ドイツ軍の進撃はやみ、大量のドイツ兵は捕虜となる。捕虜の隊列の最後尾には、戦争に傾倒しすぎるヘスラー大佐との決別を決めたコンラート伍長の姿もあった。彼は持っていた銃を捨て去り、捕虜の集団の後を追うのだった。

大量の戦車が登場。ところどころミニチュア模型も活用もあったが、映像はかなりの迫力。作品全体は、戦争映画ではよくある群像劇風の作りで、商売に精を出しつつも戦争に殉じようとするガフィー軍曹や、捕虜の安全確保のためヘスラー大佐との交渉に挑むウォレンスキー少佐(チャールズ・ブロンソン)など、魅力的な人物が複数登場。167分の大作だが物語は分かりやすく、長さを感じない作品だった。

【5段階評価】3

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