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2022年7月 3日 (日)

(2389) 蟬しぐれ

【監督】黒土三男
【出演】市川染五郎、木村佳乃、石田卓也、佐津川愛美、緒形拳、原田美枝子、ふかわりょう、今田耕司
【制作】2005年、日本

藤沢周平の小説が原作の時代劇。時代の波に翻弄される幼なじみの男女の運命を描いた作品。

下級武士、牧助左衛門(緒形拳)の息子、文四郎(石田卓也)は、武芸に秀でた若者。幼なじみのふく(佐津川愛美)は文四郎に淡い恋心を抱いていた。ある日、助左衛門が突然、捕らえられてしまう。お家騒動で敗れた側に仕えていたというのが理由で、助左衛門には何もやましいことはなかったが、助左衛門は文四郎に武芸に励めと言い残し、処刑されてしまう。文四郎は助左衛門の遺体を乗せた荷車を一人で引き、家へ引き返す。悲しみに打ちひしがれた文四郎を支えたのが、ふくだった。しかしふくは、江戸の殿様の側室入りが決まる。ふくは文四郎の家を訪ねるが、文四郎は不在。ふくは文四郎に会えないまま、江戸に発つ。
青年となった文四郎(市川染五郎)は武芸の腕を上げ、家老の里村左内(加藤武)のはからいで、咎人の息子という立場から役目を持つ立場に回復する。文四郎は幼なじみの小和田逸平(ふかわりょう)や島崎与之助(今田耕司)と再会。文四郎は与之助から、ふくが殿の子をはらんだが跡目争いに巻き込まれて流産させられたという話を聞く。再び身ごもったふくは、今は密かに地元に戻り、子を産んだという。文四郎は、里村左内から、身分回復という便宜を図ったことを種に、ふくの子をさらってこいと脅される。それは明らかに左内の罠だった。文四郎に恩義を着せたのは、捨て駒として利用するための伏線だった。文四郎は逸平らに相談し、ふくの子をさらってふくともども逃走するという計画を立てる。文四郎はふくの住む屋敷を訪ね、美しくなったふく(木村佳乃)と再会。文四郎はふくと家臣に自分の作戦を告げる。そこに左内の手の者が現れ、文四郎らを捕らえようとする。文四郎は大勢の敵を相手に逸平と奮闘。ライバルだった剣豪、犬飼兵馬(緒方幹太)をも倒し、ふくを逃がすことに成功する。
時が経ち、文四郎はふくからの手紙で呼ばれ、彼女と再会。ふくは出家することを告げ、江戸に発つ日、文四郎の家に行って文四郎の嫁にしてほしいと頼みに言ったが、文四郎の母親(原田美枝子)に断られたことを告白。自分の子が文四郎の子である道はなかったのか、と問い、文四郎は、それができなかったのが生涯の悔いだと返す。しかし二人は結ばれることなく、別の道を進むのだった。

チャンバラ主体の派手な時代劇ではなく、人間ドラマに焦点が当てられている。幼なじみが結ばれないという運命を描き、切ない作品だが、幼なじみというのは、実際は狭い人間関係の中で身近にいる存在というだけであって、そこで芽生えた恋心が最終的に結ばれるべきものであるかというと、そうではないのが普通では、と思えるので、本作の文四郎とふみが、本当にお互いに相手が運命の人だったのだということを観客に伝えるには、蛇の毒を吸ったとか、荷車を押したぐらいではない、運命的な描写が必要だと思った。
また、石田卓也演じる少年時代の文四郎が、少年というよりそこそこ成長した青年なので、それが大人になって市川染五郎になりましたというのが最初は理解できず、別人かと思ってしまった。ふくも、佐津川愛美が演じるのは素朴な田舎娘で、それが江戸に行って木村佳乃の演じる見目麗しい女性に成長しているのだが、こちらはしっかりと「今から大人になったふくが登場します」という振りがしっかりあったので分かりやすかったし、江戸で身分が代わり、男も知ってすっかり垢抜け、今だ独り身で幼なじみとつるんでいる文四郎とは住む世界の違う、高嶺の花の存在になったたという演出はありだった。
もう一つ残念だったのは、ライバル剣豪、犬飼兵馬のくだりの必要性のなさ。そもそも兵馬との関係性や、兵馬の人間性の描写が少なく、文四郎の生涯のライバルという感じもなければ、極悪非道の憎き相手という感じもない。なので、何でふくの屋敷で一対一で戦い、そんでもって一太刀で倒せちゃうの、というのが疑問だし、感動が沸かない。例えば、兵馬と文四郎がふくを取り合う仲だったとかの確執があるならまだしも、そういった形でメインストーリーに絡むこともないので、単にとってつけただけのシーンになってしまっていた。

【5段階評価】3

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