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2021年7月

2021年7月24日 (土)

(2348) 市民ケーン

【監督】オーソン・ウェルズ
【出演】オーソン・ウェルズ、ドロシー・カミンゴア、ジョゼフ・コットン、エベレット・ストーン
【制作】1941年、アメリカ

アメリカの新聞王の生涯を描いた作品。

新聞王、チャールズ・ケーン(オーソン・ウェルズ)が、「ばらのつぼみ」と言い残して生涯を閉じる。ニュース製作会社のロールストン(フィリップ・バン・ツァント)は、記者達に、ケーンにゆかりのある人に取材して「ばらのつぼみ」の言葉の意味を探るよう命じる。
ケーンは、両親のもとでそり遊びをしていた無邪気な少年時代、宿屋を営む母親(アグネス・ムーアヘッド)の判断で、銀行家サッチャー(ジョージ・クールリス)に預けられる。彼は25歳で莫大な資産を受け継ぎ、落ち目の新聞社を立ち直らせる。大統領の姪エミリー・ノートン(ルース・ウォリック)を妻に迎え、知事選に挑むが、妻との関係は冷え始めており、その頃知り合った歌手の卵スーザン・アレクサンダー(ドロシー・カミンゴア)との不倫疑惑を報じられ、知事選に失敗。ケーンはエミリーとは別れ、スーザンと結婚する。ケーンはスーザンのためにオペラ劇場を建設し、彼女を歌手として出演させるが、ケーンの新聞社の記者リーランド(ジョゼフ・コットン)は、彼女の歌を酷評する記事を書く。それを見たケーンは、その記事を採用した上でリーランドを首にする。スーザンは歌手を続けられないと嘆き、ケーンもそれを了承。ケーンは大豪邸ザナドゥ城を建て、大量の美術品を持ち込むが、スーザンはむなしさを覚え、ケーンが引き留めるのも聞かず、彼の元を去ってしまう。ケーンはスーザンの部屋をめちゃくちゃに壊す。
結局、「ばらのつぼみ」の謎は明かされなかった。ケーンの大量の遺品のうち、価値のないものは焼却処分されていく。その中に、ケーンの少年時代のそりがあった。そこには「ばらのつぼみ」のロゴが描かれているのだった。

不朽の名作と名高い作品だが、正直、あまり盛り上がりはなく、退屈な部類の作品だった。長回しや極端なクローズアップ、ローアングルの撮影などが当時は評価されたようだが、今となってはインパクトはなかった。とは言え、映画ファンを自認するなら一度は観ておかざるを得ないだろう。

【5段階評価】2

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2021年7月23日 (金)

(2347) ノア 約束の舟

【監督】ダーレン・アロノフスキー
【出演】ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エマ・ワトソン、アンソニー・ホプキンス、レイ・ウィンストン
【制作】2014年、アメリカ

ノアの方舟の伝説を映画化したファンタジー作品。

アダムの子孫ノア(ラッセル・クロウ)は神の啓示を受け、洪水から動物たちを救い、未来に継承させるため、方舟の建設を始める。ノアの父(マートン・チョーカシュ)を殺した王トバル・カイン(レイ・ウィンストン)は、方舟を乗っ取ろうと大群で攻め込むが、岩の姿をした見守りの天使たちがそれを追い払う。舟の中で、ノアは子ども達に、未来に生き残るべきは動物たちであり、人間は滅ぶのだと説くが、旅の途中で助けた少女イラ(エマ・ワトソン)は、ノアの長男セム(ダグラス・ブース)の子を授かる。それを知ったノアは、女児が誕生したら直ちに殺すと宣言する。果たして、イラが産んだのは双子の姉妹だった。ノアは二人の赤子を殺そうと剣を突き立てようとするが、思いとどまる。ノアは神の啓示に背いた自分を責めるが、イラは、神はノアに選択を与え、ノアが慈悲を選んだのだと説く。ノアは心を入れ替え、息子たちに「産めよ。増やせよ。地を満たせ」と語りかける。空には大きな虹が輝くのだった。

ジェニファー・コネリーやアンソニー・ホプキンスなどの名優が登場し、壮大な特撮を織り交ぜた大作のはずなのだが、チープ感がつきまとう作品だった。中盤、方舟に乗り込もうと押し寄せる人々を、ノアが問答無用に惨殺するシーンがあるのだが、たとえばここでノアが「赦してくれ」と泣き叫びながら人々を振り払っていれば、ノアの苦悩や葛藤を表現できたはず。本作では単純なアクションシーンになっていて深みがない。幼少時に腹部を負傷し、子どもを産めない体になっていたイラが、ノアの祖父メトシェラ(アンソニー・ホプキンス)の力で子どもを産める体になるシーンは唐突で、必然性や脈絡が感じられなかった。家族のもとを離れて旅立つハム(ローガン・ラーマン)についても、新しい出会いの予感などを描くこともできるのに、何も救いもないままほったらかして終わる。唯一、剣を突き立てようとしていたノアが赤子に口づけをするシーンだけは感動的だった。

【5段階評価】3

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2021年7月22日 (木)

(2346) ザ・ファブル

【監督】江口カン
【出演】岡田准一、木村文乃、山本美月、柳楽優弥、安田顕、福士蒼汰、向井理、佐藤浩市
【制作】2019年、日本

南勝久の漫画が原作。殺しを禁じられた殺し屋の活躍を描いたアクション作品。

伝説の殺し屋、ファブル(岡田准一)は、ボス(佐藤浩市)から佐藤明という偽名を与えられ、妹役の佐藤洋子(木村文乃)とともに一年間、身を潜めるよう命じられる。明と洋子は大阪のヤクザ、真黒組の海老原(安田顕)の世話になる。明はそこでイラスト工房で働く女性、清水岬(山本美月)と知り合う。
海老原の弟分、小島(柳楽優弥)が出所し、岬に目を付け、脅してアダルトビデオ出演させようとするが、海老原の勢力を転覆させようとする真黒組の砂川(向井理)は、手下を使って小島と岬を拉致する。海老原から小島を助けてほしいと頼まれた明は、岬が誘拐されたことを知り、救助に向かう。ファブルを倒そうともくろむ血気盛んなフード(福士蒼汰)はファブルに挑むが、ファブルは致命傷を与えずにフードを倒し、誰一人殺すことなく小島と岬を救出する。海老原は、自分の命令を聞かなかった小島を自らの手で葬り、砂川と手打ちにする。明は普通の人として暮らす努力を続ける決意を新たにするのだった。

凄腕スーパーマンの活躍という、漫画のような話(原作漫画ですけど)だが、パルクールの要素を取り入れたようなアクションが見所で、上半身のたくましい岡田准一の演技が光っていた。肩肘の張らない娯楽作品として楽しめたので評価は4。独特な芸風の佐藤二朗も出ているが、癖は薄めでよかった。

【5段階評価】4

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2021年7月19日 (月)

(2345) ボヘミアン・ラプソディ

【監督】ブライアン・シンガー
【出演】ラミ・マレック、グルィルム・リー、ベン・ハーディ、ジョゼフ・マゼロ、ルーシー・ボイントン、アレン・リーチ
【制作】2018年、イギリス、アメリカ

伝説のバンド、クイーンのリードボーカル、フレディ・マーキュリーの人生を描いた作品。

空港の貨物作業員だったファルーク・バルサラ(ラミ・マレック)は、地元バンドのボーカルに加入。車を売った金で作ったアルバムが注目され、一気に人気バンドとなる。ファルークはフレディ・マーキュリーと改名し、洋服店員のメアリー(ルーシー・ボイントン)と結婚。クイーンと名付けた彼らのバンドは米国ツアーを成功させ、世界的な存在となる。一方で、フレディは自分がバイセクシャルであることを自覚。メアリーに告白するが、メアリーは彼の元から離れてしまう。
フレディは、アルバム作りとツアーの繰り返すばかりのバンド人生を変えようと、ゲイ仲間のポール・プレンター(アンレン・リーチ)の支援のもとソロ活動を決断するが、バンド仲間とは決裂。音楽作りに悩むフレディは、酒とドラッグに溺れる。メアリーの説得でポールとの関係を断ち、バンド仲間に謝罪してチャリティ・コンサート「ライブ・エイド」出演を決める。練習中、フレディは自分がエイズに冒されていることを告白。仲間は悲しみながらもフレディを受け入れ、コンサートは大成功を収める。フレディはその後、45歳で人生の幕を下ろすのだった。

バンドの誕生から成功、そして決裂からの再生という、分かりやすい物語展開。クイーンの有名でパンチのある楽曲が映画を盛り上げる。ストーリーの単純さが、クイーンの魅力をストレートに伝えるのにちょうどいい。仲間割れして、病気に苦しんで、というシーンが長々と続くより、仲直りしてフレディのシャウトが響く方が観ていて気持ちいいのだ。クライマックスのライブシーンは、素晴らしい迫力。ステージ直前で、これまでフレディの生き方を認められずにいた父親(エース・バティ)と抱き合うシーンも感動的だった。

【5段階評価】4

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2021年7月18日 (日)

(2344) 新聞記者

【監督】藤井道人
【出演】シム・ウンギョン、松坂桃李、田中哲司、高橋和也、本田翼、北村有起哉
【制作】2019年、日本

新聞記者、望月衣塑子の自伝「新聞記者」を題材にした作品。官僚の自殺の真相を追う、内閣府情報調査室の若手職員と新聞記者の奮闘を描いている。

東都新聞の記者、吉岡エリカ(シム・ウンギョン)は、ジャーナリストだった父を失った過去を持っていた。彼女の父は、政府の汚職を暴く記事を出したものの誤報とされ、自殺を図ったことになっていたが、真相は闇の中だった。ある日、東都新聞に、羊のイラストが添えられたファックスが届く。それは、新設大学院大学に関する情報だった。エリカはチーフの陣野(北村有起哉)の指示で、ファックスの発信者を追う。
外務省から内閣府情報調査室に出向している若手官僚、杉原拓海(松坂桃李)は、上司の多田智也(田中哲司)から、政府に都合の悪い情報をもみ消すような記事の拡散を指示される日々を送っており、自らの仕事に疑問を感じていた。家には身重の妻、奈津美(本田翼)がおり、彼女は仕事に打ち込む拓海を気遣っていた。
拓海は、外務省勤務時代の上司、神崎俊尚(高橋和也)から飲みの誘いを受ける。彼には、上司の指示で行った不祥事の責任を取った過去があった。その神崎が、突如、妻(西田尚美)と娘(宮野陽名)を残して自殺する。杉原は、神崎の自殺に、内閣情報調査室がからんでいるとにらむ。神崎の自殺の真相を追っていたエリカは、神崎の葬儀の場で、拓海と出会う。エリカは神崎家を訪問し、妻の伸子から、俊尚の書斎に通される。鍵のかかった引き出しの中には、東都新聞社に送られたファックスの原稿と、一冊の本があった。それは、かつてアメリカで細菌兵器が羊の大量死に繋がったことを記したノンフィクションだった。エリカは俊尚の書斎に拓海を呼び、政府が軍事転用可能な生物兵器の研究施設を作ろうとしているという仮説を立てる。拓海は、家族もろとも我が身を危険にさらす恐怖を感じながらも、真実を把握するため、大学建設の担当者の同僚の部屋から情報を盗み出し、エリカに送る。エリカと拓海は陣野を説得し、東都新聞は「新大学で生化学兵器研究」の記事を一面で出す。エリカは、誤報を出して死んだ父親のことを明るみに出されるが、他の主要紙が問うと新聞に追随することを知り、自らを奮起させるが、そこに、多田とおぼしき声から、あなたの父親は真実を書き、それでも死んだ、という脅しの電話が入る。エリカは慌てて、内閣府に向かって走り出す。多田の席の前には、血の気を失った拓海がいた。外務省に戻って外国で数年過ごせばいい、と多田に言われた拓海は、憔悴しきった表情のまま、地下鉄の入り口に向かう。交差点の横断歩道を挟んで、エリカと拓海は向かい合うが、拓海は何事かをつぶやき、それを見ていたエリカは、思わず叫び声を上げそうになるのだった。

ラストシーンで何があったかは、観る者の想像に委ねられているが、おそらく拓海は「ごめん」とつぶやき、そのまま車道に歩き出し、それを見たエリカが目を見開いたのだろう、というのが、最もありそうな展開だ(実際、首相官邸前の交差点を高速で走る車はいないと思うが)。
森友学園の問題で自殺した職員の事件とも共通するような、大学設立に関する不正を扱っており、見ようによってはなかなか生々しい。硬派で見応えのある作品だった。ちなみに本作を最初に観たのは飛行機の中だったのだが、シム・ウンギョンを完全に上野樹里だと思っていて、「上野樹里、英語うまいじゃん」などと脳天気な感想を持ったのだった。

【5段階評価】4

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2021年7月12日 (月)

(2343) JOKER

【監督】トッド・フィリップス
【出演】ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツ、フランセス・コンロイ、ブレット・カレン
【制作】2019年、アメリカ

バットマン」の悪役JOKERの誕生秘話を描いた作品。

老いた母親ペニー(フランセス・コンロイ)と二人で暮らすアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は、笑いが止まらなくなる精神疾患を抱えていた。彼はピエロの仕事をしながらコメディアンを目指していたが、街の不良少年から暴行を受け、仕事仲間のランドル(グレン・フレシュラー)から護身用にと拳銃を渡される。しかし、慰問先の病院の子ども達の前で持っていた拳銃を落としてしまい、雇い主に首を宣告されてしまう。ピエロ姿のまま電車に乗っていたアーサーは、無神経なビジネスマン3人が、若い女性にちょっかいを出しているのを見かける。アーサーはそこで笑いの発作が起きてしまい、気づいたビジネスマンから暴行を受けるが、持っていた銃で彼らを撃ち殺す。事件は富裕層に不満を持つ貧困者の犯罪とされ、ピエロは富裕層打倒のシンボルとなる。殺されたビジネスマンは、街の名士トーマス・ウェイン(ブレット・カレン)の会社の社員だったことから、トーマスは犯人や貧困層を激しく非難する。
アーサーは同じアパートに住むシングルマザーのソフィー(ザジー・ビーツ)と親しくなり、自分のステージを見に来てもらう。ステージの映像が、憧れのコメディアン、マレー・フランクリンの番組で取り上げられ、アーサーは喜ぶが、マレーはアーサーのつまらないネタを笑いものにしているだけだと知り、アーサーは失望する。
母親ペニーから、トーマスが自分の父親だと聞かされたアーサーは、トーマスに会いに行くが、ペニーは狂った女で自分とは何も関係はなく、アーサーはペニーの養子だと聞かされる。アーサーは病院の記録を調べ、トーマスの言葉が真実だったことを知る。ソフィーと親しくなったこともアーサーの妄想だった。アーサーは自分に嘘を突き続けていたペニーを病室で窒息死させる。ペニーの死を知ったランドルは、小人症の仲間ゲイリー(リー・ギル)を連れてアーサーの様子を見に来るが、彼の本当の目的は、警察の捜査が自身に及んだことによる口裏合わせだった。自分を失職に追いやった恨みからアーサーはランドルを惨殺する。
マレーの番組で流れたアーサーの映像が意外な反響を呼んだため、アーサーはマレーの番組出演が決まる。アーサーはマレーの番組で、自分がビジネスマン3人を殺害した犯人だと告白。彼を責めるマレーを撃ち殺し、その場で逮捕される。パトカーに乗せられたアーサーは、街が暴動によって混乱状態に陥っている様子を目にする。すると暴動を起こす市民によって護送中のパトカーが襲われ、アーサーはパトカーから救い出される。運命にもてあそばれるように、彼は暴動の主導者、ジョーカーとして担ぎ上げられるのだった。

猟奇的犯罪者として描かれがちな悪役ジョーカーを、度重なる不幸な運命に翻弄される悲劇の人として描いている。これまで大きな主役を務めた実績のなかったホアキン・フェニックスが、悲しいことが起きても笑いがこみ上げるという怪演を見せて高く注目され、アカデミー賞主演男優賞を射止めた。異色のアメコミ作品と言えるが、物語としては想像を超えてくるほどの内容ではなかった。
なお、本作はテレビ無料録画ではなく、Amazon Primeで視聴した。

【5段階評価】3

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2021年7月 5日 (月)

(2342) GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0

【監督】押井守
【出演】田中敦子(声)、大塚明夫(声)、山寺宏一(声)、榊原良子(声)
【制作】2008年、日本

士郎正宗の漫画「攻殻機動隊」の映画化作品。1995年公開の「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」のリニューアル版。

サイボーグが実現した近未来世界。光学迷彩を纏った暗殺者が外交官を暗殺する事件が起き、内務省公安9課の草薙素子(田中敦子)は相棒のトグサ(山寺宏一)やバトー(大塚明夫)と捜査に乗り出す。事件の裏に、「人形使い」と呼ばれるハッカーの存在が浮かび上がる。
ある日、女性型の義体が公安9課に持ち込まれる。義体の頭脳の中に人形使いの意識が入り込んでいることが判明。義体は自らを生命体だと主張し、亡命を希望する。そこに外務省の手を引く部隊が乱入し、義体を持ち去ってしまう。素子は義体を追い、銃撃戦の末、義体を手に入れると、バトーが見守る中、義体の頭脳に「ダイブ」し、義体の意識と対話をする。その後、外務省の狙撃部隊により義体は破壊されるが、バトーが咄嗟に庇ったことで、素子の頭脳は損傷を免れる。バトーが闇ルートで入手した義体に頭脳を移した素子は、再びネットの世界に消えていくのだった。

ブレードランナー」の世界観の影響を色濃く受けていることは間違いなく、サイボーグは自我を持つのか、生命として認められるのかというテーマが取り上げられている。文学性の高い内容である一方で、登場人物の背景や、なぜ外務省が黒幕として動く理由などの説明が不足していて、物語に関しては、よく言えば想像力をかき立てられる、悪く言えば何となくしか理解できない作品だった。

【5段階評価】3

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(2341) アリー/スター誕生

【監督】ブラッドリー・クーパー
【出演】レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパー、サム・エリオット、ラフィ・ガブロン
【制作】2018年、アメリカ

大物歌手に見いだされた女性歌手の運命を描いた作品。「スタア誕生」のリメイク。

ロック歌手のジャック・メイン(ブラッドリー・クーパー)は、酒とドラッグに溺れる癖があり、偶然寄ったバーで歌うアリー(レディー・ガガ)の才能に惹かれ、強引に彼女を自分のステージに立たせる。アリーは大観衆に受け入れられ、二人はともにステージで歌を続ける。プロデューサーのレズ・ガブロン(ラフィ・ガブロン)はアリーをソロ歌手として抜擢。結婚を果たしたジャックとアリーだったが、ジャックは、アリーの方向性を認められず、酒に溺れていく。アリーはグラミー賞の新人賞を受賞するが、ジャックは泥酔したままステージに上がり、受賞スピーチをするアリーの横で失禁するという大失態を犯す。
ジャックはアルコール中毒者用の矯正プログラムに参加し、アリーとの生活を取り戻そうとする。ジャックを愛するアリーは、レズに次の欧州ツアーでジャックとのステージ共演を提案するが、レズは断固として拒否。アリーは拒否するなら欧州ツアーをキャンセルしてくれと言い返す。レズはジャックのもとを訪れると、ジャックの失態の尻拭いに苦労させられたとジャックを責め、今度酒浸りになったらアリーと別れろ、と警告する。そうとは知らないアリーは、欧州ツアーはなくなり、アルバム作りに専念することになった、とジャックに嘘をつき、今日のライブで一緒に歌ってほしいとジャックに告げる。ジャックはそれに賛成するが、アリーが家を出た後、自らの命を絶つ。
アリーはジャックに嘘をついたことで自分を責めるが、ジャックの兄ボビー(サム・エリオット)はアリーは悪くないと慰める。アリーは追悼コンサートで、ジャックが自分のために作ってくれた愛の歌を歌い、涙を流すのだった。

中盤までの幸せな二人の関係が徐々に崩れていき、悲劇的な結末を予感せざるを得ない中、観る者としては「リメイクとは言えハッピーエンドになってほしい」と願うわけだが、その思いもむなしく、ジャックは命を落としてしまう。そんな悲劇ではあったが、歌の力を感じられる素晴らしい作品だった。序盤、アリーがジャックにステージで歌うよう促され、躊躇しながらもステージに立ち自分の気持ちを歌声に乗せるシーンは感動的だったし、アリーがテレビショーでセクシーな衣装を来て踊る様子を見て、ジャックが失望して酒に手を出すシーンでは、派手なステージなのになぜか歌の魂が響いてこない。この辺りの見せ方は、自身が歌手でもあるブラッドリー・クーパー監督の手腕だろう。

【5段階評価】4

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2021年7月 4日 (日)

(2340) メッセージ

【監督】ドゥニ・ビルヌーブ
【出演】エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー
【制作】2016年、アメリカ

宇宙人との交流を試みる言語学者の運命を描いた作品。

地球上の12カ所に謎の巨大宇宙船が出現。言語学者のルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)は、アメリカ軍大佐のウェバー(フォレスト・ウィテカー)から宇宙船内の生命体との対話を依頼される。ルイーズは物理学者のイアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)とともに船内に入り、ホワイトボードやジェスチャーを使って宇宙人と言語の交換を始める。7本足の彼らは、水中に吐いた墨がリング状に固定化されるようにして書かれる表意文字を使用。彼らの言語を理解するようになったルイーズは、彼らに地球に来た目的を尋ねる。彼らの回答は「武器を提供(offer weapon)」だった。米軍は宇宙人を警戒し、撤退を準備。中国も戦闘態勢に入り、各国との連絡回線は断たれてしまう。
中国のシャン上将(ツィ・マー)が宇宙船攻撃を決断する中、ルイーズは宇宙人の真意を問うため、単身で宇宙船内に入る。彼らは時間の流れに制約されない概念を持っていた。彼らは3,000年後、地球に助けてもらうため、時間の流れを超える概念をルイーズに提供する。彼女は、夫と結婚し、やがて離婚、授かった子どもが重い病気で夭折するという「将来の記憶」を体験する。
結局、中国の宇宙船攻撃は実施されなかった。ルイーズはパーティ会場でシャン上将と初対面する。シャン上将は、攻撃を中止するようルイーズに電話で説得された、と告白。ルイーズが、シャン上将の電話番号を知らない、と不思議がると、シャン上将は自分の携帯電話を見せて、「今知った」と話す。時間を超越するルイーズの記憶が、過去のルイーズに伝わったのだ。シャン上将は続けて、自分しか知らない妻の最期の言葉をルイーズに伝える。ルイーズはその言葉を開戦直前のシャン上将に伝えることで、シャン上将の説得に成功したのだった。かくして宇宙船との戦闘は回避され、宇宙船は世界各地で姿を消した。ルイーズは、その先に不幸が待っていることを知りながら、イアンとの結婚を受け入れるのだった。

SF作品ではあるが、ルイーズの人生を描いたドラマになっているのが特徴的。離婚後に娘を失うルイーズの回想シーンで始まるため、宇宙船に向かうルイーズは、夫と別れ、子を失うという経験を乗り越えた人物だと完全にミスリードされるわけだが、実はそれは、宇宙船飛来後の将来に起きる彼女の記憶であり、夫とはこの事件を通じて知り合ったイアンで、愛娘ハンナを授かるのもこれからなのだった。この辺りの見せ方は見事だった。
宇宙人の造形がステレオタイプなタコ怪物みたいだったり、世界各国が通信を遮断する流れがやや強引だったと感じたりはしたものの、将来の記憶があるという概念について思索にふける機会を与えてくれる秀作だった。
ちなみに、二体の宇宙人に付けられた「アボット」と「コステロ」は、アメリカの昔のコメディアンの名前から来ている。

【5段階評価】4

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