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2021年2月 4日 (木)

(2318) レベッカ

【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【出演】ジョーン・フォンティン、ローレンス・オリビエ、ジュディス・アンダーソン、レジナルド・デニー
【制作】1940年、アメリカ

富豪の先妻の死を巡るサスペンス映画。第13回アカデミー賞作品賞受賞作品。

ホッパー夫人(フローレンス・ベイツ)の秘書をしていた若い女性(ジョーン・フォンティン)が、富豪のマキシム・ド・ウィンター(ローレンス・オリビエ)に見初められ、結婚する。ド・ウィンター夫人となった女性はマキシムの屋敷で暮らすことになるが、使用人のダンバース夫人(ジュディス・アンダーソン)は女性に冷たい態度を取る。マキシムにはレベッカという先妻がいたが、彼女は海で事故に遭い、命を落としていた。ダンバース夫人はレベッカ付きの使用人でレベッカを崇拝していた。ド・ウィンター夫人は、自分が常にレベッカと比べられていると感じる。
夫人はマキシムの姉ベアトリス(グラディス・クーパー)の勧めもあり、仮装パーティを開くことにし、ダンバース夫人の助言で屋敷に飾られていた絵の衣装を着るが、それは亡くなったレベッカの姿だった。マキシムに着替えろと叱責された夫人はダンバース夫人を責めるが、ダンバース夫人は夫人への悪意をむき出しにする。そのとき、海で救難信号が打ち上がり、難破船とともに小舟が見つかったとの報告が入る。夫人はマキシムが海辺の小屋にいるのを発見。マキシムは、小舟からはレベッカの死体が見つかるだろう、レベッカを海に沈めたのは自分だから、と驚きの告白をする。彼はレベッカを憎んでいた。彼女は美貌と知性と家柄を兼ね備えながら、実は性悪な女で、マキシムとの関係は冷え切っており、従弟のファベル(ジョージ・サンダース)と浮気していたのだ。ある日彼女は、海辺の小屋の中で、自分は妊娠した、産まれる子はマキシムの子ではないが屋敷を継ぐことになる、さあどうする、とマキシムを挑発。ところが彼女は直後に転倒して頭を打ち、死んでしまう。マキシムは自分が疑われるのを恐れ、彼女を船に乗せて船の壁に穴を空け、船ごと沈めたのだった。
レベッカの死について再び裁判が開かれることになり、船大工は発見された小舟には内側から穴を空けた痕跡があったと証言。マキシムは裁判官から、レベッカとの関係は良好だったのかと詰問されて、つい激昂。それを見た夫人が卒倒したため、裁判は休憩に入る。マキシムと夫人が二人で休憩をとろうとすると、ファベルが現れる。彼はレベッカから受け取ったという手紙をちらつかせてマキシムを脅迫。マキシムは脅しに屈せず、警察管区長のジュリアン大佐(C・オーブリー・スミス)を同席させてファベルの言い分を聞く。彼はレベッカが妊娠していて直前まで医者の診察を受けており、自殺するはずがなく、マキシムがレベッカを殺したのだと説明。ファベルの連れてきたダンベール夫人が、レベッカの通っていた医者の名を証言したため、大佐はマキシムやファベルとともに話を聞きに行く。ファベルは、レベッカは妊娠していたのだろう、と担当医だったベイカー医師(レオ・G・キャロル)に詰め寄るが、ベイカーは彼女は末期癌だったと証言する。レベッカは自分の命が数ヶ月と知り、マキシムに自分を殺させようとしていたのだった。医師の証言により、レベッカの死は自殺と判断され、マキシムの疑いは晴れる。ファベルは、レベッカは癌だったこと、マキシムと夫人は幸せに暮らすだろう、とダンベール夫人に報告する。ダンベール夫人は正気を失い、屋敷に火を放つ。マキシムが屋敷に戻ったときには、屋敷は業火に包まれていた。マキシムと夫人は抱き合って屋敷を見つめる。レベッカの使っていた部屋に残っていたダンベール夫人の上に、燃えさかる家屋が崩れ落ち、レベッカのベッドが炎に包まれるのだった。

序盤はシンデレラストーリーのような展開を描きつつ、マキシムが妙に海に怯えるという微妙な違和感を織り交ぜ、徐々にレベッカという女性の影が作品を覆い始める。最後はレベッカの死の真相についてのどんでん返しまで用意されている。二転三転する物語の展開から目が離せない、見応えのあるサスペンス作品。
面白いのは、タイトルにもなっているレベッカは、作品を通じて一度も画面に登場しないことだ。それでも観客は、レベッカが海辺の小屋で勝ち誇った顔でマキシムを挑発する姿を思い浮かべただろう。全く微笑みを浮かべないダンベール夫人の表情も印象的で、ラストシーンの彼女の狂気の張り付いた形相はトラウマ級。白黒だが、十分に楽しめる作品だった。

【5段階評価】4

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