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2021年1月 3日 (日)

(2286) レヴェナント: 蘇えりし者

【監督】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
【出演】レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、フォレスト・グッドラック、ドーナル・グリーソン
【制作】2015年、アメリカ

山中で熊に襲われ死にかかった男の復活劇を描いた作品。実話に基づいている。

1823年。アメリカ人の毛皮狙いのハンター集団が、先住民のアリカラ族に襲われ、逃走。ガイド役のヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、船で逃げるのは危険だからと山中の行進を選択。ところが集団が休憩中、一人で森を見回っていたグラスは、突然子連れのグリズリーに襲われ、何とか返り討ちにしたものの瀕死の重傷を負う。医術の心得のある隊長ヘンリー(ドーナル・グリーソン)が応急処置として傷を縫い、タンカで彼を運ぼうとするものの、険しい雪山の行進はままならず、グラスを毛嫌いしていたフィッツジェラルド(トム・ハーディ)は、苦しむだけだし全員が危険だからここでグラスを殺した方がいいと意見。ヘンリーは、グラスを置いていくが最期を看取ってから埋葬することにし、グラスの息子ホーク(フォレスト・グッドラック)、若いブリジャー(ウィル・ポールター)がその役を買って出、報酬につられたフィッツジェラルドも残ることを決める。
しかしフィッツジェラルドはグラスと二人になると、グラスに早く死ぬよう決断を迫り、グラスの口に布を押し込んで殺そうとする。戻ってきたホークがフィッツジェラルドに銃を突きつけ、大声でブリジャーを呼ぶが、フィッツジェラルドは先住民に気づかれるから叫ぶなと言って、大声をやめないホークをナイフで刺し殺して山中に捨ててしまう。体が動かず声も出せないグラスは、その様子を見ているしかなかった。フィッツジェラルドは先住民が近くにいるとブリジャーに嘘を言い、グラスを放置して先に行ってしまう。ブリジャーはグラスに詫びながらも彼に従うしかなかった。取り残されたグラスは這いつくばりながら動物の死骸の骨髄や草を食べ、驚異的な生命力で生き延びる。途中でポーニー族の男と遭遇し、彼に助けてもらいながら雪山を進むが、その男はフランス人のハンターに馬を奪われ殺されてしまう。グラスはフランス人の野営地から男の馬を奪い返そうとするが、そのとき、フランス人の一人が先住民の若い女性(メラウ・ナケコ)をレイプしているのを見つけ、背後から男を殴りつけると、女性にナイフを託し、馬で逃走する。
一方、フィッツジェラルドは、グラスを埋葬したとヘンリーに嘘の報告をして報酬を得ていた。ところが彼らのキャンプに、フランス人のハンターの一人が、何者かに野営地を襲われたと言って現れる。そのハンターはグラスの水筒を持っていた。ブリジャーはホークが生きていたのかと考えるが、ホーク殺害を隠していたフィッツジェラルドは、生き延びているのはグラスだと確信する。果たして、ヘンリーはグラスを発見する。フィッツジェラルドはヘンリーらが戻る前に山中へ逃走。ヘンリーとグラスはフィッツジェラルドを追い、ヘンリーはフィッツジェラルドに殺されるが、グラスとフィッツジェラルドは血で血を洗う死闘となる。息も絶え絶えの二人のもとに、アリカラ族の一団が現れる。グラスはフィッツジェラルドにとどめを刺さず、運を天に任せる。アリカラ族はフィッツジェラルドの息の根を止めると、グラスには手を出さず去って行く。一団の中には、グラスが助けた若い女がいた。彼女はアリカラ族の酋長が探していた娘のポワカだった。生き延びたグラスは、かつて殺された妻が救済されたように微笑む姿を幻の中に見るのだった。

序盤から映像の迫力がすさまじい。先住民とハンターの肉弾戦が巧みなカメラワークで映像化されている。続いて、グラスと熊との死闘も、どうやって撮影したのか全く分からないほどリアル。アリカラ族から逃れるため川を流されたり、馬もろとも崖下に落下したり、とにかく痛々しいシーンが生々しく描き出されている。息を飲む展開とはこのこと。クライマックスのフィッツジェラルドとの死闘も、斧でフィッツジェラルドの指が飛んだり、細かい演出まで徹底してこだわり抜かれて作られていることがよく分かる。
本作で、有名俳優レオナルド・ディカプリオは初のアカデミー主演男優賞を受賞しているが、本作では実際に極寒の状況で水に入ったり馬の腹の中に入ったりしたそうで、これだけのことをしたら右に出る者はいないだろうと思わせる怪演、文字通り死を賭した演技だった。話としては一人の男のドラマで、ラストシーンでアリカラ族が現れてフィッツジェラルドにとどめをさし、娘を救ったグラスには手を下さないという展開はちょっと見え見えだったが、人と人との戦い、人と厳しい自然との戦いを描いた映像の圧倒的迫力には、満点評価がふさわしいだろう。

【5段階評価】5

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