« 2020年12月 | トップページ | 2021年2月 »

2021年1月

2021年1月31日 (日)

(2314) レ・ミゼラブル

【監督】トム・フーパー
【出演】ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アマンダ・サイフリッド、アン・ハサウェイ、エディ・レッドメイン
【制作】2012年、イギリス、アメリカ

ビクトル・ユーゴーの小説のミュージカル作品の劇場版。

妹の子のためにパンを盗んで19年も投獄され、看守のジャベール(ラッセル・クロウ)に目を付けられていたジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は仮出所の機会を得る。ジャンは食事を提供してくれた教会で、あろうことか金目の物を盗んで逃げて警官に捕まるが、神父はそれは彼にあげたのだと警官に言い、ジャンを赦す。ジャンは心を入れ替え、時を経て立派な市長となると、我が子を養うために娼婦に堕ちてしまったファンティーヌ(アン・ハサウェイ)と出会い、彼女の子コゼット(イザベル・アレン)を救うことを使命と感じ、あくどい宿屋で働かされていた彼女を救い出すと、彼女とともに密かに生きる道を選ぶ。警察署長となったジャベールは市長の正体がジャンだと気づき、彼を逮捕することを心に誓う。
9年が経ち、美しく成長したコゼット(アマンダ・サイフリッド)は、革命の士マリウス・ポンメルシー(エディ・レッドメイン)と出会い、互いに惹かれ合う。ジャンは二人の恋を知り、一度はコゼットを失うことを恐れるが、若い二人を守ることを決意。マリウスのいる革命軍に身を投じる。ジャンは、革命軍に潜入して捕まったジャベールを見つけ、あなたに恨みはないと言って彼を密かに逃がす。革命軍は警察の総攻撃を受け、マリウスも負傷して意識を失うが、ジャンは下水道を通って必死に彼を救出。ジャベールはマリウスを抱えたジャンを発見するが、彼を逮捕することができず、苦悩の末、投身自殺する。回復したマリウスはコゼットと結婚することになるが、ジャンは自分の過去が暴かれればコゼットを不幸にするとマリウスに告げ、コゼットに黙って旅立つ。しかし、マリウスは自分の命を救出したのがジャンだと知り、ジャンのいる修道院にコゼットを連れて行く。コゼットはジャンに一緒に生きてほしいと伝えるが、その言葉を聞きながら、ジャンはファンティーヌに導かれ、あの世へと旅出つ。フランスは明日の希望に満ちた人々で埋め尽くされるのだった。

ミュージカルを完全映画化したことが売りの本作。スーザン・ボイルの歌で有名になった「夢やぶれて」も登場する。ほぼ全編にわたって歌い続けており、素のセリフが少ない。ミュージカル映画の中でも異色だろう。名だたる声優が自分で、しかもアフレコでも事前録音でもなく撮影現場で歌っているというのは驚き。ヒュー・ジャックマンやアン・ハサウェイってこんなに歌がうまいの、とびっくりした。
ストーリーも重厚で見応えがあり、「レ・ミゼラブル」を知らないという人は、傑作文学作品のあらすじを知ることができるという意味でも、観る価値はあるだろう。

【5段階評価】5

| | コメント (0)

2021年1月30日 (土)

(2313) 海よりもまだ深く

【監督】是枝裕和
【出演】阿部寛、真木よう子、樹木希林、小林聡美、池松壮亮、リリー・フランキー、吉澤太陽
【制作】2016年、日本

探偵社で働く小説家の男と家族との触れ合いを描いたヒューマンドラマ。

清瀬の団地で暮らす篠田淑子(樹木希林)の家に、息子の良多(阿部寛)が現れ、淑子が留守なのをいいことにタンスの引き出しから金目のものをくすね、その一方で金には困っていない振りをして母親に小遣いだと言って1万円を手渡す。彼は取材と称して探偵社で働きながら小説も出していたが、ギャンブル好きの金欠で、若い社員の町田健斗(池松壮亮)からも金を借りるていたらく。彼は別れた妻の響子(真木よう子)に未練があり、響子が男(小澤征悦)と交際しているのをこっそり観察していた。
良多は月1回、息子の真悟(吉澤太陽)と会うのを楽しみにしており、なけなしの金でスパイクを買ってやると、台風が迫る中、強引に真悟を母親のアパートに連れて行く。真悟を迎えに来た響子も淑子の家に泊まることになる。良多は響子が新しい男と交際していることへの嫉妬を露わにするという情けない面を見せた挙げ句、響子の太ももに手をやり、響子を激怒させる。
良多はかつて自分も父親とそうしたように、暴風雨の中、真悟を連れて公園に探険に出かけ、遊具の中に入って一緒にお菓子を食べる。良多の不在中、淑子はさりげなく響子に、良多とよりを戻すことはないのか訪ねるが、響子は申し訳なさそうにかぶりを振る。良多と真悟がいる公園に響子が現れ、真悟を連れて帰ろうとする。真悟は良多に買ってもらった宝くじをポケットから落としたことに気づき、三人は夜の大雨の中、公園内に飛び散った宝くじを拾って回る。
台風の一夜が明け、三人は一緒に電車で帰る。もう良多を息子に会わせないと決めていた響子だったが、苦笑いしながらも、来月、良多と再会することを約束するのだった。

日本映画らしい、特段の事件も、落ちらしい落ちもない、しんみりとした作品。特に樹木希林の演技が自然で素晴らしく、この人の普通の人を演じる力には感服する。
ところで本作はBSフジ4Kで見たのだが、フジテレビ系列の映画放送で許しがたいのが、映画途中の提供告知のバックで、これまでのシーンならともかくまだ出てきていないハイライトシーンを映すという無神経さ。本作でも、終盤間際で、良多と真悟が夜の公園の遊具の中にいたり、家族三人が電車にのどかに並んで座っていたりするシーンをCMの合間に見せていて、要するにこの先どうなるのか大体分かってしまうという愚を犯す。極めて興ざめで、こういうことをされると、本当に放送側に映画愛がないんだな、と思う。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月29日 (金)

(2312) 記憶にございません!

【監督】三谷幸喜
【出演】中井貴一、ディーン・フジオカ、小池栄子、石田ゆり子、草刈正雄、佐藤浩市、吉田羊、斉藤由貴、田中圭
【制作】2019年、日本

記憶喪失になった支持率最低の総理大臣の復活劇を描いたコメディ作品。

総理大臣の黒田啓介(中井貴一)は、聴衆の投石が頭に当たり、記憶を失った状態で目覚める。秘書官の井坂(ディーン・フジオカ)はその事実を隠して総理を任務に当たらせる。記憶を失う前の黒田は、横柄で口汚く、私腹を肥やすことを考えていた男だったが、記憶を失った黒田は謙虚で遠慮深く、何とか任務をこなすうち、過去のしがらみに影響されない清廉な総理になることを決意するようになる。事務秘書官の番場のぞみ(小池栄子)は黒田を応援し、井坂は影響力の強い鶴丸官房長官(草刈正雄)を退任させる必要があると進言する。黒田は、不都合な写真を売りつけようと自分に接近していた政治ゴロの古郡(佐藤浩市)を呼び、鶴丸の弱みを握る証拠を掴むよう依頼する。
古郡は、ゴルフ協会の名誉会長である鶴丸が、ゴルフ中に不正行為を働いている写真を古郡に突きつけ、鶴丸は退任するが、鼬の最後っ屁とばかりに、古郡が持っていた、黒田の妻、聡子(石田ゆり子)と井坂の密会写真を週刊誌に暴く。しかし黒田は国会中継の場で、自分の愛が足りなかったと妻に詫び、やり直したいと改めて愛を告白。黒田を嫌っていた聡子はそれを聞いて黒田のもとに戻る。それでも黒田の支持率は微増にすぎなかったが、父親を軽蔑していた息子の篤彦(濱田龍臣)が「僕もいつか、総理大臣になりたい」と言うのを聞き、黒田は満足そうに微笑んで頷くのだった。

三谷幸喜作品らしい、ユーモラスで痛快な政治コメディ。声を上げて笑ってしまうようなシーンもあれば、妻への謝罪シーンや、最後の息子の告白のシーンでは目頭が熱くなる。「面白いなあ」としみじみ思いながら観ることができ、ずんの飯尾和樹やジャルジャルの後藤淳平、有働由美子なんかが隠れキャラ的に出ているのも面白く、サービス精神に富んだ作品。フィリピンパブがどうとか、ところどころ今ひとつなギャグもありはしたが。
ところで映画の内容ではないのだが、本作を放送したのはフジテレビの土曜プレミアム。この番組の度しがたい点は、CM明けにすっと本編に入らず、これまでのハイライトを映すのはまだしも、これから先のシーンの内容をばらすような映像やテロップを流すという愚挙を犯すことだ。本作だと、この先、アメリカの大統領が登場します、みたいなことを字幕で出したり、あろうことか大統領(木村佳乃)と黒田が握手する画面までハイライトで映してしまうのだ。本作では、アメリカンチェリーの関税に関して、黒田と大統領が反発し、大統領が「こんな傲慢な首相は初めてだ」と共同記者会見で話すシーンがあるのだが、ハイライトシーンを見てしまっているから、この後どんでん返しがあるな、と観る側は分かってしまい、案の定、大統領は、こういう腹を割って話すことが必要だ、と黒田を持ち上げて握手を求める。このフジテレビの無神経な先見せのせいで、せっかく盛り上がるシーンが台無しになっている。視聴者をつなぎ止めたいのかなんだかしらないが、映画制作者の意図をも踏みにじるようなことをしてまで、する必要のあることとはとても思えないのだった。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2021年1月28日 (木)

(2311) 勇気ある追跡

【監督】ヘンリー・ハサウェイ
【出演】ジョン・ウェイン、キム・ダービー、グレン・キャンベル、ジェフ・コーリー
【制作】1969年、アメリカ

殺された父親の仇討ちに挑む少女と保安官を描いた西部劇。

父親のフランク・ロス(ジョン・ピカード)をトム・チェニー(ジェフ・コーリー)という悪党に殺されたマティ(キム・ダービー)は、酒飲みだが勇敢な保安官ルースター・コグバーン(ジョン・ウェイン)を金で雇い、チェニー逮捕を依頼。チェニーを追っていたテキサス・レンジャーのラビーフ(グレン・キャンベル)も加わり、三人でチェニーを追う。キャンプ中、マティが一人で川に行くと、そこに偶然居合わせたチェニーに出くわす。マティはチェニーを撃つが致命傷には至らず、騒動に気づいたチェニーの仲間のネッド・ペッパー(ロバート・デュバル)がマティを捕らえ、マティを探すルースターに、少女を殺されたくなければ立ち去れと叫ぶ。ルースターとラビーフはいったん立ち去ったように見せて引き返し、ラビーフはマティを救出。ルースターはネッドら4人と対決する。ルースターは3人を倒すが、馬を倒され、足が下敷きになって動けなくなってしまう。ネッドがルースターにとどめを刺そうとしたとき、遠方からラビーフがネッドを狙撃し、ルースターを救う。ところがラビーフはチェニーに頭を岩で殴られて昏倒。マティはチェニーに銃を放つが、反動でガラガラヘビの巣穴に落ち、腕を噛まれてしまう。戻ってきたルースターがチェニーを撃ち殺し、ロープづたいに穴に入ってマティを担ぐと、瀕死のラビーフが馬を操って二人を穴から引き上げるが、直後に息絶える。ルースターはマティを馬に乗せて全速力で馬を駆り、馬が疲労で倒れると自らマティを抱え上げて医者の元に連れ帰り、マティの命を救う。ルースターはマティの墓参りに付き合うと、馬に乗って颯爽と去って行くのだった。

少女と老齢の保安官という移植のバディ・ムービー。映画開始で5分も経たずに父親が殺されるというスピーディな展開に驚くが、そこからはマティとルースター、ラビーフのやりとりと、彼らがチェニーに迫る様子を、時にコミカルに、時にかっこよいアクションでじっくりと描いている。西部劇でよくある、主人公が早撃ちで無敵というお約束の悪者退治ではなく、馬に足を挟まれて仲間に救われたり、ハラハラドキドキ感が楽しめる。2010年作品「トゥルー・グリット」は、本作のリメイク。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月27日 (水)

(2310) 汚名

【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【出演】ケーリー・グラント、イングリッド・バーグマン、クロード・レインズ、レオポルディーネ・コンスタンチン
【制作】1946年、アメリカ

悪事を働く組織を調査する男女の運命を描いたサスペンス映画。

父親がスパイとして有罪となり、酒浸りの生活を送る女性、アリシア・ヒューバーマン(イングリッド・バーグマン)のもとに、FBI捜査官のデブリン(ケーリー・グラント)が現れる。デブリンは、アリシアの父親を操っていた組織の情報を掴むため、一緒にブラジルに渡るよう彼女を説得。アリシアはデブリンとともにブラジルに渡り、やがてデブリンを愛するようになる。
デブリンは上司のポール・プレスコット(ルイス・カルハーン)から、組織の一員であるアレクサンダー・セバスチャン(クロード・レインズ)に接近させることを指示。アリシアを愛し始めていたデブリンは、彼女には無理だと主張するが上司を説得できず、上司からの指示を正直にアリシアに伝え、判断をアリシアに委ねる。アリシアは指示を全うすることを決め、セバスチャンに接近。以前からアリシアを好きだったセバスチャンは、やがてアリシアにプロポーズ。アリシアはセバスチャンの妻となる。
アリシアは、ワインセラーの鍵をセバスチャンが自分で管理していることから、そこが怪しいとにらみ、デブリンに報告。デブリンは自分がワインセラーを調べるので、パーティを開いて自分を招待するようアリシアに伝える。アリシアはセバスチャンの鍵束からワインセラーの鍵を盗み取り、パーティの日、デブリンとともにワインセラーに潜入。ワインのボトルにウラン鉱の粉末が隠されていることを突き止める。ところが、セバスチャンはアリシアがワインセラーの鍵を密かに抜き取り、翌朝元に戻していることに気づいてしまう。妻がスパイであることを確信したセバスチャンは、このことが仲間に発覚したら殺されると怯え、母親(レオポルディーネ・コンスタンチン)に相談。セバスチャンとともに悪事に手を染めている母親は、仲間に悟られないようアリシアを毒で弱らせて殺す作戦に出る。毒入りコーヒーで弱っていくアリシアだったが、状況報告のために会うデブリンの前では二日酔いだとうそぶく。しかしデブリンはアリシアの様子から二日酔いではないと見抜き、セバスチャンの屋敷に向かうと、使用人と住人の隙を突いてアリシアの寝室に侵入し、彼女を発見。弱ったアリシアにこれまで冷たくしていたことを詫びて愛を告げ、意識がもうろうとする彼女を抱えて屋敷から連れ出す。途中でセバスチャンと母親に気づかれるが、組織の仲間が見ている手前、二人はデブリンとアリシアが敵だと騒ぎ立てることができない。デブリンはまんまとアリシアを連れ出し、車で走り去る。セバスチャンの仲間の一人は、セバスチャンがまずい事態を引き起こしたことに感づき、何もできずデブリンの車から取り残された彼に、話があると呼びかける。セバスチャンは重い足取りで屋敷に戻るしかなく、玄関の扉は仲間の手により静かに閉められるのだった。

白黒作品だが、この先どうなるのだろうというハラハラドキドキ感、イングリッド・バーグマンの美貌、二人の恋の行方など、見所がいろいろあって最後まで楽しめる作品。デブリンのツンデレ感は女性にもたまらないだろう。クライマックスでのセバスチャンがあまりにも無力で、もうちょっと何かできたのでは、というところは気になったが。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月26日 (火)

(2309) おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!

【監督】-
【出演】花田ゆういちろう、小野あつこ、福尾誠、秋本杏月、賀来賢人
【制作】2020年、日本

おかあさんといっしょ はじめての大冒険」に続く、テレビ番組「おかあさんといっしょ」の劇場版第2作。本作も監督が誰か分かりませんでした。

歌のお兄さん(花田ゆういちろう)、歌のお姉さん(小野あつこ)、体操のお兄さん(福尾誠)、体操のお姉さん(秋本杏月)が、いたずらをするすりかえかめん(小林よしひさ)とすりかえお嬢(上原りさ)を追いかけるという内容。いれかえかめん(賀来賢人)や前の代の歌のお兄さん(横山だいすけ)も登場する。

映画では子ども達が参加できるよう、出題されるクイズに答えたり、画面に飛んでくるガラピコ(川島得愛)をよけたり、最後は出演者との記念撮影のシーンがあったり、といったイベントがある。2020年の公開は、新型コロナウイルスの影響で大変だっただろう。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2021年1月25日 (月)

(2308) 嵐を呼ぶ男

【監督】井上梅次
【出演】石原裕次郎、北原三枝、青山恭二、小夜福子、芦川いづみ、金子信雄、白木マリ、岡田眞澄、笈田敏夫
【制作】1957年、日本

弟思いのドラマーの運命を描いた作品。

ジャズバンドの支配人、美弥子(北原三枝)は、ドラマーのチャーリー(笈田敏夫)が抜けた代役に、流しのミュージシャンをしている国分正一(石原裕次郎)を雇う。正一の弟の英次(青山恭二)も兄の勧めで音楽の道に進んでいたが、音楽に理解のない母親の貞代(小夜福子)は、真面目な英次をヤクザな道に引きずり込んだと正一に恨み言を言い、正一がドラマーの職を得たことにも全く理解を示さない。正一は美弥子の家に住み込み、母親を見返してやろうと練習に明け暮れる。
正一は、音楽評論家の左京徹(金子信雄)が美弥子をものにしようとしていることを知り、自分を売り込む記事を書けば美弥子との仲を取り持つと左京に持ちかける。左京は約束通り正一を記事やテレビ番組で取り上げ、チャーリーと正一のドラム勝負を番組で提案する。正一はそれを受けることにするが、対決の前日、チャーリーが付き合っているダンサー、メリー(白木マリ)を巡るいざこざから、チャーリーの事務所のボクサー崩れ(高品格)にヤキを入れられ左手を負傷。正一は怪我を押して対決に挑み、左腕が動かなくなると、その手でマイクを掴み、「おいらはドラマー、ヤクザなドラマー」と歌い出す。観客は大興奮し、正一の人気は不動のものとなる。正一はジャズミュージシャン部門の人気投票で一位となり、その喜びを母親に伝えに行くが、貞代は英次が音楽の道に進むことが決定的になってしまったと嘆き、全く正一のことを認めない。正一はショックで母親の元を飛び出す。帰宅した正一に、美弥子は愛を告白。二人は恋仲となる。
それを知った左京は、英次がクラシックコンサートの指揮者に選抜されたことを正一に伝え、美弥子を諦めないと英次の出世の邪魔をすることをほのめかす。正一はやむなく美弥子のもとを去る。しかし美弥子は、左京がチャーリーや正一を美弥子の元から去るよう画策していたことに気づき、左京を呼び出して縁を切ると宣言。左京は、そのやりとりを聞いていたチャーリーと手を組み、チャーリーがもといた事務所の持永(安部徹)のもとに向かうと、正一が持永の女のメリーのもとにいることを知らせ、正一への復讐を持ちかける。正一は確かにメリーのアパートにいたが、それは酔って倒れていた正一をメリーが家に連れ帰ったためだった。正一は泥酔しながら、自分は今でも美弥子を愛しているが左京に脅されて弟の成功のために美弥子との仲を諦めたことを涙ながらにメリーに告白していた。メリーのアパートに持永の一味が現れ、事情を説明しようとするメリーを殴りつけて正一を外に連れて行く。正一は弟の邪魔だけはしないでくれと左京に頼むと、持永の一味の襲撃に立ち向かうが、集団リンチを受けて右手を潰されてしまう。
英次のコンサートの日。正一は入院先の病院から姿を消していた。英次は正一がどこかで放送を聞いていると信じてコンサートに臨む。心配する美弥子が英次の控え室から出ると、メリーが現れ、正一が弟のために美弥子を諦めたこと、どれだけ頑張っても母親に認められなかったと言っていたことを美弥子に伝える。それを横で聞いていた貞代は、自分が正一にしてきた仕打ちにようやく気づき、涙する。正一が行きつけのジャズバーにいることを知った美弥子は、貞代を連れて正一の元に向かう。英次の曲を泣きながら聞いていた正一は、貞代から感謝と謝罪の言葉を聞き、少年のような微笑みを浮かべる。英次の指揮するコンサートはフィナーレを迎え、会場は大きな拍手に包まれるのだった。

石原裕次郎が暴れん坊ヒーローを演じる娯楽作品かと思っていたら、母親に愛されない不遇な青年が、母親の理解を得られるまでを描いた感動作だった。「エデンの東」を彷彿とさせる内容で、メリーや、アパートの管理人の娘のみどり(芦川いづみ)、チャーリーといった主要な登場人物がストーリーの要所に絡んで登場人物に無駄がなく、シナリオが秀逸。石原裕次郎の主演映画はいろいろ観たが、これが最も感動的だった。殴り合うシーンの嘘っぽさはちょっと残念だったが。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2021年1月24日 (日)

(2307) ベン・イズ・バック

【監督】ピーター・ヘッジズ
【出演】ジュリア・ロバーツ、ルーカス・ヘッジズ、キャスリン・ニュートン、コートニー・B・バンス
【制作】2018年、アメリカ

薬物依存症の息子を守るために奔走する母親の奮闘を描いた作品。

クリスマス・イブの朝。ホリー・バーンズ(ジュリア・ロバーツ)の家に、薬物依存症の矯正施設に入院していた息子、ベン(ルーカス・ヘッジズ)が帰ってくる。継父のニール(コートニー・B・バンス)とベンの妹アイビー(キャスリン・ニュートン)は、勝手に帰ってきたことを心配するが、ホリーはベンを受け入れる。その夜、ホリーたちが家族で出席した教会の催しから帰ってくると、家が何者かに荒らされ、飼い犬のポンスがいなくなっていた。ベンはニールにお前が帰ってきたからこうなったと責められ、家を抜け出す。ホリーはベンを追い、彼を車に乗せて一緒にポンスを探しに行く。家に押し入ったのは、ベンが関わっていた麻薬組織だった。ベンは母親の隙を突いて単身で車に乗り込み、麻薬組織のリーダー、クレイトン(マイケル・エスパー)のもとに向かう。ベンはホリーに引き出してもらったお金で借金の一部を返済するが、クレイトンはベンに金だけではすまされないと言って麻薬取り引きの仲介を強要。ベンは何とかそれをやり終えると、クレイトンから一包みの薬物を報酬として渡され、ポンスを連れ戻すことに成功する。しかしポンスは車を途中で降り、薬物を摂取してショック状態となってしまう。ホリーはベンが車に残した置き手紙により彼の居場所を突き止め、何とか彼の意識を取り戻すことに成功するのだった。

アメリカで多くの死者を出して問題となっているオピオイド中毒を扱い、薬物依存の恐ろしさ、そこから抜け出すことも難しさをストレートに描いている。しかし、禁断症状で半狂乱になって叫んだり、暴力を振るったりといった、目を背けたくなるようなどぎついシーンは使っていない。ベンは常に感情を抑え込んでおり、冷静に薬物依存から抜け出そうと歯を食いしばっている。しかし周囲は彼を不審がり、継父はベンへの嫌悪感をあらわにするし、母親ですら彼への不信感をはっきりと伝え、ベンは常に感情の爆発の危険にさらされる。麻薬組織も、ベンとの縁を切ろうとせず、彼を薬物の世界に引き込もうとする。しかしベンは継父に感情的になることをせず、クレイトンにも冷静に犬を返してくれ、とだけ伝える。施設での訓練により、そこまで自分を抑制できるようになった彼でも、最後はショック状態になるのが分かっていながら、クレイトンに渡された麻薬に手を出してしまう。ホリーは継父とは別の意味でベンが再度薬物に手を出すことを確信しており、最後まで必死にベンを探し続け、彼をショック状態から救い出す。この愛情表現はなかなか深い。ジュリア・ロバーツやルーカス・ヘッジズの演技が素晴らしかった。
本作はBSテレ東4Kで観たが、番組の冒頭にジュリア・ロバーツとキャスリン・ニュートンのインタビューがあったのは、ちょっと嬉しいボーナスだった。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2021年1月23日 (土)

(2306) 劇場版 新幹線変形ロボ シンカリオン 未来から来た神速のALFA-X

【監督】池添隆博
【出演】佐倉綾音(声)、杉田智和(声)、金魚わかな(声)、清水理沙(声)、釘宮理恵(声)、伊藤健太郎(声)
【制作】2019年、日本

タカラトミーの玩具でテレビアニメにもなっている「新幹線変形ロボ」の劇場版。地球を侵略する生命体と戦うロボットパイロット達の活躍を描いた作品。

鉄道好きの小学生、速杉ハヤト(佐倉綾音)は、家族旅行で北海道に行くが、そこにゴジラが現れる。父親のホクト(杉田智和)とともにシンカリオンで出撃するが、ゴジラの発する光線に飲み込まれ、父親は姿を消し、謎の少年(釘宮理恵)が保護される。彼は少年時代のホクトだった。時空を超える力により、出動した多くのシンカリオンが別の時代に飛ばされてしまったため、は二人は協力して光の球を破壊。地球に侵略してきたナハネ(伊藤健太郎)を退ける。ホクトは無事に現代に戻るのだった。

新幹線好きには楽しい作品。ゴジラだけでなく、エヴァンゲリオンや北斗の拳が登場したりして、謎のコラボというか「銀魂」的なパロディがあった。大人の事情でJR東日本の車両しか出てこないが、どんな新幹線が走っているのかが分かるのは面白かった。新幹線が変形するシーンもしっかり作られていて楽しいのだが、残念ながら細かく速い動きが画面いっぱいに広がる映像では、地デジの画像圧縮コーデックの限界を超えてしまい、極端に画像のブロックノイズやジャギーが目立ち、相当見苦しくなってしまっていた。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月22日 (金)

(2305) かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~

【監督】河合勇人
【出演】平野紫耀、橋本環奈、浅川梨奈、佐野勇斗、佐藤二朗、堀田真由、池間夏海
【制作】2019年、日本

赤坂アカの漫画が原作のラブコメディ。互いに相手を告白させようとする男女の高校生を描いている。

頭脳明晰な高校生、白銀御行(平野紫耀)は、名門高校である秀知院学園の生徒会長となり、財閥令嬢の四宮かぐや(橋本環奈)が副会長となる。二人は互いを意識しつつも、告白した方が敗者という思想のもと、相手を自分に告白させようと策略を練るが、常に空回り。ペアチケットでの映画鑑賞や花火大会などですれ違いを繰り返し、とうとう生徒会活動が終わってしまう。かぐやは生徒会終了日に倒れてしまい、その原因が心臓病だと勘違いした御行は、かぐやに副会長という激務をさせたことを後悔し、生徒会長に立候補したかぐやの当選を阻止すべく、自分も立候補。微差で選挙に勝利する。かぐやの担当医師(佐藤二朗)から、かぐやが心臓病ではなく恋の病であることを暗に伝えられた御行は、かぐやを再度、副会長に指名し、二期目の生徒会活動が始まるのだった。

漫画を映画にしましたというおバカなラブコメ。平野紫耀と橋本環奈の美男美女コンビに見とれて楽しむ作品。見所は、藤原千花役の浅川梨奈や早坂愛役の堀田真由、柏木渚役の池間夏海などの美少女出演だろう。「カメラを止めるな!」で強烈なビジュアルを披露したどんぐりも、四宮家の使用人として出演している。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月21日 (木)

(2304) 銀魂2 掟は破るためにこそある

【監督】福田雄一
【出演】小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、三浦春馬、中村勘九郎、吉沢亮
【制作】2018年、日本

空知英秋原作漫画の実写映画化作品第2弾。将軍暗殺をもくろむ敵と戦う万事屋の活躍を描いている。「銀魂」の続編。

家賃の催促に追われる万事屋(よろずや)の坂田銀時(小栗旬)は、志村新八(菅田将暉)や神楽(橋本環奈)とともに、キャバクラや散髪屋のバイトで何とか稼ごうとしていた。一方、真選組の副長、土方十四郎(柳楽優弥)は首にチップを埋め込まれてヘタレオタクと化してしまう。仕組んだのは伊東鴨太郎(三浦春馬)で、彼は土方を副長の座から追い出し、総長の近藤勲(中村勘九郎)の乗る列車の中で、近藤の暗殺を企てる。銀時らは、土方を連れて近藤の救出に向かう。土方は戦いの中で侍の心を取り戻し、鴨太郎と一騎打ちを行う。しかし鴨太郎は、鬼兵隊の高杉晋助(堂本剛)が送り込んだ刺客、千人斬りの河上万斉(窪田正孝)に利用されていた。鴨太郎らの乗る列車は橋の爆破に巻き込まれ、鴨太郎は片腕を失う。列車から落下しそうになる彼を、近藤や土方、沖田総悟(吉沢亮)、新八、神楽らが救出する。鴨太郎は、自分が欲しかったのは権力ではなく、仲間との絆だったことに気づく。
万斉は真選組の不在を狙ってを将軍の暗殺をもくろむが、銀時が万斉を退ける。鴨太郎は真選組の掟により、土方によって粛正されるが、鴨太郎の心は仲間と強い絆で結ばれる。万事屋の面々は日常に戻り、今日も大家(キムラ緑子)に追いかけられるのだった。

前作同様、序盤はギャグ満載のおバカ映画なのだが、後半はけっこう仲間との絆を熱く描き、そこそこ感動的。とは言え本作の最大の見所は、この時期ちょっと太り気味になっていた橋本環奈の迫力バディだろう。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月20日 (水)

(2303) 劇場版 のんのんびより ばけーしょん

【監督】川面真也
【出演】小岩井ことり(声)、佐倉綾音(声)、福圓美里(声)、下地紫野(声)
【制作】2018年、日本

田舎暮らしの女の子達の沖縄旅行の体験を描いたアニメ作品。

小学生の宮内れんげ(小岩井ことり)は、みんなと買物に行き、越谷卓が福引きで特賞の沖縄旅行を当てる。民宿に泊まることにした彼らは、民宿で働く中一の新里あおい(下地紫野)と出会う。同学年の越谷夏海(佐倉綾音)はあおいと仲よくなり、あおいに現地を案内してもらう。あっという間に帰る日を迎え、夏海はべそをかくが、れんげは夏海に、夏海とあおいが笑顔で並んだ絵をプレゼント。夏海は部屋の壁にそれを飾るのだった。

終始ほのぼのとした内容で、たまにはこういうのもありだろう。とは言え、特に落ちがあるわけでもなく、原作ファン向けの作品。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月19日 (火)

(2302) レジェンド/光と闇の伝説

【監督】リドリー・スコット
【出演】トム・クルーズ、ミア・サラ、ティム・カリー、ダーフィト・ベンネント
【制作】1985年、イギリス、アメリカ

闇の魔王と戦い、王女を救う青年の活躍を描いたファンタジー作品。

闇の魔王(ティム・カリー)は太陽の昇らない世界を作るため、ユニコーンの討伐を小鬼のブリックス(アリス・プレイテン)に命じる。天真爛漫な王女リリー(ミア・サラ)は、森の青年ジャック(トム・クルーズ)にユニコーンを見せてもらい、その美しさに見とれてユニコーンに手を触れてしまう。ブリックスはその隙にユニコーンに毒矢を撃ち、逃げて弱ったユニコーンの角を手に入れる。リリーはジャックと口づけし、自分と結婚したければこの指輪を持ってくるように、と言ってつけていた指輪を川に投げ込む。ジャックは川に飛び込むが、そのとたん、世界は雪に覆われてしまう。
ジャックはガンプ(ダーフィト・ベンネント)という森の精と出会い、世界を闇の世界から守るため、魔王討伐に向かう。魔王はリリーに恋をし、悪魔の姿にして自分のものにしようとするが、ジャックは魔王の城の食器を鏡にして太陽の光を浴びせ、魔王を倒す。ジャックは川に沈んだ指輪を手に入れ、王女と結ばれるのだった。

エイリアン」、「ブレードランナー」と歴史に残る名作を立て続けに世に送ったリドリー・スコット監督の続作が、なんとこれ。序盤から「私は暗闇を支配する魔王だ」と魔王が自己紹介して、ゴテゴテの特殊メイクをしたゴブリンに命令を下す。「えっこれ本当にリドリー・スコット監督作品? 」と不安になる。すると今度は森の中で歌うステレオタイプなお姫様が現れ、ステレオタイプな村人と触れ合って素朴さをアピールしたあと、動物に好かれているステレオタイプな森の青年と戯れ、ユニコーンに触れるという、観客には何がいけないのかピンとこない禁忌を犯し、慌てて止めていたはずの青年と何もなかったようにいちゃいちゃし、指輪を川に投げ込むという暴挙を犯しながら、姫ゲットのため迷わず青年が川に飛び込むと、自分が川に指輪投げ込んだんだにもかかわらず、青年の蛮勇にパニック状態。すると突然辺り一面真冬になり、姫は慌てて村人のもとに逃げ帰るというグダグダな流れ。王女だったら居城に帰れよ。
ジャックはその後、これまたステレオタイプなおとぼけなこびとと精霊との珍道中。そして中盤、それまで声だけだった魔王が姿を現すと、観ている方が恥ずかしくなるようなデカすぎる角とデカすぎる顔の、ギャグ漫画のような出で立ち。魔王がリリーを闇の世界に引き込むときには、黒い衣装を着た人物が踊りながらリリーを踊りに巻き込むのだが、なんでファンタジー映画なのに特撮を使わず舞台演劇のような演出にしているのか、はなはだ理解不能。至る所がチープなだけでなく、終始、全く物語に感情移入できない。リドリー・スコット監督にとってもトム・クルーズにとっても、黒歴史と言っていい作品だろう。
では本作に全く観る価値がないかというと、「ハリー・ポッター」シリーズや「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズが、いかによくできている映画なのかを理解できるという価値があった。ボタンを掛け違うとこうも駄作になるのか、という恐ろしさを知ることのできた作品。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2021年1月18日 (月)

(2301) Re: ゼロから始める異世界生活 氷結の絆

【監督】渡邊政治
【出演】高橋李依(声)、内山夕実(声)、黒田哲章(声)
【制作】2019年、日本

魔法の世界で生きる少女と精霊との交流を描いたアニメファンタジー。長月達平のライトノベルが原作。

心優しい少女、エミリア(高橋李依)は精霊術を操り、銀髪と紫紺の瞳という外見から、人間には魔女として恐れられていた。エミリアは火の精霊メラクェラ(黒田哲章)に攻撃されるが、エミリアを守護する精霊パック(内山夕実)と契約し、メラクェラを退ける。

一連のアニメの主要な登場人物であるエミリアとパックが精霊の契約を結ぶまでを描いたスピンオフ的な作品なので、同作を知らない人には今ひとつの内容。OVAが劇場公開されたもので、アニメの品質もそれほど高くはなかった。エミリアがとにかく純真無垢で、パックのボケにもきちんと受け答えするのは可愛らしく微笑ましかったので、評価は甘めの3。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月17日 (日)

(2300) 狂った果実

【監督】中平康
【出演】津川雅彦、北原三枝、石原裕次郎、岡田眞澄
【制作】1956年、日本

若者の恋の行方を描いた青春映画。

男兄弟の夏久(石原裕次郎)と春次(津川雅彦)は鎌倉の駅で美しい女性、天草恵梨(北原三枝)と出会う。春次は一目惚れし、海で再会した恵梨と会う約束を取り付ける。恵梨は純粋な春次と恋仲になる。春次は恵梨をパーティに連れてきて、春次を子供扱いしていた周囲を驚かせるが、夏久は恵梨が妙に男慣れしていることが気になる。果たして恵梨は初老の外国人男性(ハロルド・コンウェイ)を夫に持つ既婚者だった。弟を守ろうとして恵梨に接近した夏久だったが、次第に彼自身が恵梨に惹かれ、関係を持つようになる。夏久は春次と恵梨が船で遠出をしようとしていることを知り、先回りして恵梨を自分のヨットに乗せて連れ去ってしまう。それを知った春次はボートに乗り、血眼になって二人を探す。浜辺に漂着した状態で一夜を明かした春次は再びボートを走らせ、ついに沖のヨットに乗る二人を見つける。執拗にヨットの周囲をボートで回る春次に夏久は折れ、お前の勝ちだと言って笑う。恵梨はヨットから海に飛び込み、春次に近寄ろうとするが、春次は恵梨をボートで轢くと夏久のヨットにボートで体当たり。ヨットは大破し、春次はそのまま走り去るのだった。

純粋で一途な恋心が、狂気に変わるさまを描いた作品。石原裕次郎がどちらかというと悪役を演じているのが特徴的。本作で共演している石原裕次郎と北原三枝は、のちに結婚している。なお、梨恵の夫役のハロルド・コンウェイは英語では「Harold Conway」だが、なぜか映画の出演者の表記では「コン・ウェイ」となっていた。何があったんでしょうか。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月16日 (土)

(2299) ムトゥ 踊るマハラジャ

【監督】K・S・ラビクマール
【出演】ラジニカーント、ミーナ、サラット・バーブ、ジャヤバーラティ、スバーシュリー
【制作】1995年、インド

とある使用人の活躍と出生の秘密を描いたミュージカル映画。

独身の富豪ラージャー(サラット・バーブ)に仕える使用人のムトゥ(ラジニカーント)は腕利きで、周囲の信頼を集める人気者。芝居好きのラージャーは、芝居で見かけた女優のランガナーヤキ(ミーナ)に一目惚れし、彼女との結婚を決意する。ある日、芝居の舞台になだれ込んできた悪漢からランガナーヤキを守るため、ラージャーは、ムトゥに彼女を連れて逃げるよう指示するが、ムトゥとランガナーヤキは一緒に逃亡を続けるうちに恋仲となる。
ラージャーの伯父アンバラッタール(ラーダー・ラビ)は、財産目当てに娘のパドミニ(スバーシュリー)をラージャーに嫁がせようとするが、ラージャーの心がランガナーヤキにあることを知り、手下のカーリ(ポンナーンバラム)を使ってムトゥがランガナーヤキを自分と結婚するよう脅しているという嘘を吹き込む。それを真に受けたラージャーはムトゥを追放してしまう。それを見たラージャーの母親シバガーミ(ジャヤバーラティ)はラージャーに驚愕の真実を話す。実はムトゥは使用人の身分ではなく、本来の地主であるシバガーミの兄(ラジニカーント、二役)の跡継ぎだった。彼がいとこに騙されて土地を奪われたとき、いとこを罰することをせずむしろ財産を譲って聖者として過ごすことに決め、その際、シバガーミが身分を内緒にすることを条件にムトゥを引き取り、使用人として育てていたのだった。ラージャーは自分の行いを悔い、聖者を屋敷に招こうとするが、アンバラッタールはカーリとともに夜道を行くラージャーを襲って川に投げ捨て、翌朝、カーリがムトゥがラージャーを殺したと叫んで回る。そこにムトゥが現れ、カーリに向かってラージャーに何をしたと激怒。あまりの怒りにカーリはアンバラッタールの指示であることを白状する。今度はアンバラッタールは大勢の人に追われる番となるが、そこにラージャーとパドミニが姿を現す。ラージャーは聖者に救助され、無事だったのだ。おそらくパドミニが介抱し、ラージャーはパドミニを愛することを決めたのだろう。アンバラッタールはラージャーに謝罪し、許しを得る。ラージャーはムトゥとランガナーヤキの手を握らせ、二人の愛を祝福する。ムトゥは晴れて屋敷に戻る。ラージャーはムトゥをご主人様と呼ぶが、ムトゥはラージャーが身につけていた使用人の手ぬぐいを自分の腰に巻き、いつものように高らかに歌声を響かせるのだった。

序盤はドタバタコメディでおバカミュージカルのノリなのだが、後半、一転してシリアスな展開となるのが面白い。ミュージカルシーンは、アメリカのミュージカルのように街の中を背景とせず、大がかりな舞台やセットの中で踊るようなスタイル。カット割りを多用し、凝った作りになっている。ランガナーヤキ役のミーナ、パドミニ役のスバーシュリーはどちらも美人女優だが、腰の辺りの贅肉もふくよかで、この辺りはインド人の好みなのかもしれない。終盤で、アンバラッタールが怒った人々に追いかけられるのだが、その数が異様に多く、「こんなにエキストラ必要ないだろ」とツッコみたくなること間違いなし。唯一恋が実らなかった脇役のテーナッパン(センディル)にも、出家するという落ちを用意し、放っておかないところも微笑ましい。そんな妙なこだわりも含めて、いわゆるボリウッドムービーの代表作として、一度は観ておきたい作品。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2021年1月15日 (金)

(2298) ウエスト・サイド物語

【監督】ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ
【出演】ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノ、ラス・タンブリン
【制作】1961年、アメリカ

若い不良集団の抗争と一組の男女の恋を描いたミュージカル映画。第34回アカデミー賞作品賞受賞作品。

ポーランド系アメリカ人の若者集団、ジェット団と、プエルトリコ系アメリカ人のシャーク団は、空き地の縄張り争いをしていた。ジェット団のリーダー、リフ(ラス・タンブリン)は元ジェット団の兄貴分トニー(リチャード・ベイマー)に協力を求める。シャーク団のリーダー、ベルナルド(ジョージ・チャキリス)は妹のマリア(ナタリー・ウッド)を地元のダンスパーティに連れて行く。マリアとトニーはそのダンスパーティで出会い、互いを運命の人だと確信する。ベルナルドは反対するが、二人は夜に隠れて会い、互いの愛を深めていく。
リフとベルナルドは縄張り争いを一対一の決闘で決着を付けることにする。決闘の場に現れたトニーは、なんとか無益な争いを阻止しようとするが、興奮したリフとベルナルドがナイフを取り出し、ベルナルドがリフを刺してしまう。それを見たトニーは衝動的にベルナルドをナイフで切りつける。パトカーのサイレンが聞こえ、ジェット団とシャーク団は逃げ出し、その場には倒れたリフとベルナルドだけが残される。二人はそのまま命を落とす。
兄の死を悲しむマリアの部屋にトニーが現れる。マリアはトニーを責めるが、トニーは自分が止めようとしたことを説得し、二人で街を出ようと言って去って行く。ベルナルドの恋人アニタ(リタ・モレノ)はマリアのトニーへの真実の愛を理解し、警察の尋問を受けることになったマリアに代わってトニーにメッセージを伝えに行くが、トニーを匿っているジェット団がアニタに暴行を働く。怒ったアニタは、マリアを好きだったチノ(ホセ・デ・ベガ)が、マリアとトニーの関係を知ってマリアを撃ち殺した、という嘘の伝言をトニーに伝えるよう吐き捨て、その場を去る。それを知らされたトニーはショックを受け、自分を殺せと叫びながら街を歩く。しかし暗闇の中にマリアが現れ、トニーは喜びながらマリアに駆け寄るが、そこにチノが現れてトニーを撃ち、トニーはマリアの腕の中で息を引き取る。マリアは銃ではなく憎しみがみんなの命を奪ったと叫び、くずおれる。刑事が現れチノは捕まり、ジェット団とシャーク団は協力してトニーの亡骸を運ぶ。集まった若者達は無言でちりじりになっていくのだった。

芝居のさなかに唐突に歌い出す典型的なミュージカル映画。有名な曲がいくつもある。ジェット団とシャーク団の勇ましい曲だけでなく、恋愛を歌うメロディアスな曲も目立つ。シャーク団の男女が掛け合いをしながら歌う「アメリカ」は、ラップバトルの原型のようで歌詞が楽しく、こういう時代からアメリカ人は歌の掛け合いになじんでいるのだなと分かる。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2021年1月14日 (木)

(2297) 怪獣大戦争

【監督】本多猪四郎
【出演】宝田明、ニック・アダムス、沢井桂子、水野久美、田崎潤、土屋嘉男
【制作】1965年、日本、アメリカ

怪獣を使って地球侵略を企む宇宙人と地球人との戦いを描いたSF作品。

木星で新衛星が発見され、探査に向かった富士一夫(宝田明)とグレン(ニック・アダムス)は着陸した衛星でX星人に遭遇。統制官(土屋嘉男)を名乗る男から、衛星で暴れるキングギドラに対抗するため、地球のゴジラとラドンを貸してほしいと依頼される。ところがこれはX星人の策略で、X星人はゴジラとラドンを電磁波で操れるようにすると、地球侵略を開始する。一夫の妹、ハルノ(沢井桂子)の恋人で発明家の鳥井哲男(久保明)は、自分の発明した防犯ブザー「レディー・ガード」の音波がX星人の弱点であることに気づき、そのアイディアを使って地球連合宇宙局はX星人を撃退。電磁波で操られていた怪獣も、一夫の開発した電波遮断装置によって操り状態が解かれる。我に返った怪獣達はもといた場所に帰っていくのだった。

ゴジラが「シェー」のポーズをしたり、古き良き時代の怪獣特撮娯楽映画。怪獣大戦争というタイトルからは、数多くの怪獣が登場して戦い合うような話かと思ったら、登場するのは三体で、しかも怪獣同士の戦いよりは人類と宇宙人との戦いが主題だった。
また、どうして宝田明の相棒役が外国人で、しかも吹き替え音声を加えてまでして日本語ができない俳優を起用しているのかも観ていて不思議だったが、ニック・アダムスが制作陣に気に入られた俳優だったらしい。当時はいわゆる外国人タレントが少なかったこともあるだろう。考えてみれば戦後まだ20年。アメリカ人を憎む日本人もまだまだ多かっただろうし。その他、言語やら物理現象やら、いろいろ気になる点はあるものの、この手の作品に細かい突っ込みは不要だろう。
ちなみに、本多猪四郎監督は「ゴジラ」第1作の監督。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月13日 (水)

(2296) 天気の子

【監督】新海誠
【出演】醍醐虎汰朗(声)、森七菜(声)、小栗旬(声)、本田翼(声)、吉柳咲良(声)
【制作】2019年、日本

東京に家出した少年と天気を変える能力を手にした少女の運命を描いたアニメ映画。

病気の母親を看病していた天野陽菜(森七菜)は、雨の中、一筋の光が差しているのを見つけ、その光が当たる廃ビルの屋上の神社で、不思議な能力を手に入れる。同じ頃、東京に家出してきた16歳の少年、森嶋帆高(醍醐虎汰朗)は、住む場所がなくビル街で野宿していたとき、ゴミ箱の中に拳銃があるのを見つけ、鞄にそれをしまい込む。生活に困った帆高は、東京に行くフェリーで偶然出会った須賀圭介(小栗旬)を訪ね、彼の経営する事務所で住み込みの雑用係を始める。ある日、街を歩いていた帆高は、かつてが怪しい男にビルの中に連れ込まれそうになっている陽菜を見つけ、彼女を助ける。帆高は以前、陽菜がアルバイトをしていたマクドナルドで毎晩過ごしており、陽菜に内緒でハンバーガーをもらったことがあったのだ。陽菜は帆高に、自分が祈ると空が晴れるという能力があるところを見せる。それを見た帆高は、異常気象で雨ばかり降る東京で、空を晴れにする依頼をネットで募集し、報酬を得るという仕事を始める。晴れた空に感謝する人々を見て、陽菜は自分の役目に喜びを感じるが、その能力は大きな代償を伴うものだった。天気の巫女は異常気象を元に戻す代わりに人柱となって天に消えていくというのだ。捜索願が出ていて拳銃所持の疑いもあった帆高は警察に追われており、陽菜とその弟の凪(吉柳咲良)とともにラブホテルの一室で一夜を明かすが、朝になると、陽菜の姿は消えていた。帆高は陽菜にもう一度会うため、警察に追われながら、陽菜が能力を手にしたという廃ビルの屋上を目指す。屋上の神社にたどり着いた帆高は、積乱雲の上の世界に飛ばされる。空を落下しながら帆高は、雲の中の魚に囲まれた陽菜を発見。帆高は陽菜と一緒に地上に戻ることを願い、陽菜もそれに答え、二人は手を取り合って元の世界に戻る。その後、逮捕された帆高は保護観察処分となって地元に帰る。3年後、帆高は地元の高校を卒業し、東京に向かう。東京はあれから3年間雨が降り続けており、多くの土地が水没していた。帆高は3年ぶりに会った圭介にけしかけられ、再び陽菜に会いに行く。陽菜は田端の高台で空に祈りを捧げていた。二人は抱き合い、再会を喜び合うのだった。

オープニングの窓ガラスを落ちる雨の雫から、写実的な映像と天気の描写が美しい。CGっぽくない手描き風の背景が、実写映画のように視点の転回に伴ってなめらかに変化するという丁寧な作り。その一方で、雲の上の想像の世界の映像は幻想的で、ジブリ映画のようでもあった。帆高が神社を目指して非常階段を駆け上がるシーンは、音楽も相まって感動的。「君の名は。」の登場人物が作品内に隠れキャラ的に登場しているのも、ファンには楽しい仕掛けだ。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2021年1月12日 (火)

(2295) パラサイト 半地下の家族

【監督】ポン・ジュノ
【出演】ソン・ガンホ、チェ・ウシク、チャン・ヘジン、パク・ソダム、チョ・ヨジョン、イ・ジョンウン
【制作】2019年、韓国

裕福な家族の暮らす豪邸に寄生した貧乏な一家の運命を描いた作品。第92回アカデミー賞作品賞受賞作品。

低所得層が住む半地下の家に暮らすキム一家。息子のギウ(チェ・ウシク)は大学生の友人ミニョク(パク・ソジュン)から、IT長者パク・ドンイク(イ・ソンギュン)の高2の娘ダヘ(チョン・ジョソ)の家庭教師をしてほしいと頼まれる。ダヘの母親ヨンギョ(チョ・ヨジョン)が、幼い息子ダソン(チョン・ヒョンジュン)の絵の先生を探していると聞いたギウは、家族であることを隠して妹のギジョン(パク・ソダム)を絵の先生に据える。帰宅したドンイクは、おかかえの運転手にギジョンを送るよう命じる。ギジョンは車の中でこっそり自分のパンティを後部座席に脱ぎ捨て、ドンイクが運転手を首にするようしむけ、運転手の座に父親のギテク(ソン・ガンホ)をつかせる。キム一家はさらに計画を練り、長年家政婦をしているムングァン(イ・ジョンウン)が桃アレルギーであることを利用して、彼女が結核患者だとヨンギョに信じ込ませ、首になったムングァンの後任として、母親チュンスク(チャン・ヘジン)が家政婦になる。こうしてキム家の四人はまんまと豪邸への寄生に成功する。しかし唯一、ダソンは、四人から同じ匂いがすると言ってギテクを慌てさせる。
パク一家が、ダソンの誕生祝いのため泊まりのキャンプ旅行に出かけたのを機に、キム家は四人揃って豪邸で酒盛りをする。ところがそこにムングァンが訪ねてきて呼び鈴を鳴らし続ける。インターホンに出たチュンスクに、ムングァンは忘れ物をしたから家に入れてほしいと言ってくる。チュンスクが仕方なくムングァンを招き入れると、ムングァンは食料庫に向かう。そこにはなんと秘密の地下室への通路があった。ムングァンはパク家に内緒で、借金取りに追われている自分の夫オ・グンセ(パク・ミョンフン)を地下室にかくまっていたのだ。それを知ったチュンスクは彼らを警察に突き出そうとするが、その様子を隠れて聞いていたギウたちが階段を踏み外してムングァンの前に姿を現してしまい、彼らが家族であることがムングァンにばれ、さらにその様子を動画に撮られてしまう。形勢は逆転し、ムングァンはグンセとともにリビングでくつろぎ、キム一家に両手を挙げさせて自由を奪うが、隙を突いてキム家がムングァンとグンセに飛びかかり、リビングで乱闘となる。そこに電話がかかってくる。パク家が大雨のためにキャンプができなくなり、帰って来るというのだ。キム家はムングァンとグンセを地下室に閉じ込める。チュンスクは階段を上がってこようとするムングァンを蹴落とし、ムングァンは頭を強打して気を失ってしまう。チュンスク以外の三人は何とか豪邸を脱出。大雨の中、家に戻るが、家の中には下水が流れ込んでおり、彼らは体育館で一夜を過ごす。体育館の中でこれからどうするのかギウに尋ねられたギテクは、無計画が一番いいんだと話す。ギウは無謀な計画を立てたことを謝罪する。
嵐が去り、パク家はダソンを祝うホームパーティを開くことにし、ギウとギジョンも招待される。ギテクの運転する車でパーティの買い出しに出たヨンギョは、車内でギテクの体臭に鼻をつまみ、思わず窓を開ける。昨晩大雨の中で必死だったギテクの顔からは笑顔が消えていた。
パク家に多くの客が招待され、庭でパーティが盛り上がる中、ギウは恋仲となったダヘの部屋で彼女との口づけを終えると、ミニョクからもらった観賞用の岩石を持ってムングァンとグンセのいる地下室に向かう。ところが待ち伏せしていたグンセに襲われ、慌てて逃げた背後からグンセに岩石で殴られてしまう。正気を失ったグンセは、包丁を持ってパーティ会場の中庭に現れ、バースデーケーキをダソンに渡そうとしていたギジョンに包丁を突き立てる。幼い頃にグンセの姿を見て失神したことのあるダソンは、同じグンセの姿に再び失神。ギジョンを刺したグンセは、今度はチュンスクに襲いかかる。パニック状態となった客は逃げ出し、ドンイクは息子を病院に連れて行くため、ギテクから車の鍵を受け取ろうとするが、ギテクの投げ渡そうとした鍵は地面に落ち、そこにもみ合うグンセとチュンスクが倒れ込む。包丁を振りかざすグンセの腹部に、チュンスクがバーベキューの串を突き刺し、グンセは鍵の上に倒れる。ドンイクはグンセを押しのけて鍵を手にするが、そのときグンセの体臭に顔をしかめ、同時に、何かに気づいたような表情を浮かべる。その顔に「これはギテクと同じ匂いだ」と書かれていると思ったのか、ギテクは突如、落ちていた包丁を手にすると、そのままドンイクの胸に包丁を突き立て、姿を消す。事件の結果、ギジョンとグンセ、ドンイクが命を落とし、ギウは脳手術を受けて何とか生存。ギウとチュンスクは執行猶予付きの有罪判決を受けるが、ギテクは行方不明となる。ギテクはグンセのいた地下室に潜んでいた。彼はすでに亡くなっていたムングァンを家主不在の間に庭に埋葬し、その後はモールス信号で息子にメッセージを送り続けていた。ギウはある日、それに気づき、金を稼いで豪邸を買い、父親に地下室から出てきてもらうことを計画立てるのだった。

アジア初のアカデミー賞作品賞受賞作品ということで、日本でも相当話題になった本作。クライムサスペンス風の前半から、後半の惨劇のシーンまで、どこか浮世離れしたコミカルな雰囲気を帯びながら、韓国の貧富の差という現実を描き出している。中だるみのないハイテンポな展開が小気味よく、シナリオもよく練られている。匂いが一つの鍵になっており、クライマックスの惨劇のシーンで、言葉を使わず表情やしぐさだけで匂いにまつわるやりとりを描く演出は見事。人によって解釈が異なるような含みがあり、繰り返し観て新たな発見があるようにもなっている。評判通りの名作だった。

【5段階評価】5

| | コメント (0)

2021年1月11日 (月)

(2294) 劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女

【監督】吉田りさこ
【出演】中村悠一(声)、早見沙織(声)、小原好美(声)、日笠陽子(声)
【制作】2017年、日本

魔法が存在する未来社会の高校生が活躍するSFアニメ。佐島勤のライトノベルが原作。

魔法科高校の司波達也(中村悠一)と妹の深雪(早見沙織)は、クラスメート達と小笠原諸島に遊びに来ていた。彼らは、小惑星を地球に落下させる実験から逃げてきた少女、綿摘未九亜(わたつみここあ)(小原好美)と出会い、九亜から、彼女と同様に実験に巻き込まれている残りの8人も助けてほしいと頼まれる。達也は千葉エリカ(内山夕実)、西城レオンハルト(寺島拓篤)とともに研究施設に向かい、少女達を救出。リーナ(日笠陽子)の協力を得て地球に落下する軍事衛星を消し去ることにも成功するのだった。

テレビアニメのダイジェストではなく、別のエピソードになっているが、作品の設定や時代背景はオープニングでごく完結に説明があるだけなので、作品の雰囲気を知ることはできるが、登場人物の関係は本作を観ただけではよく分からない。魔法の映像や武器、乗り物のデザインはけっこうしっかりしており、美少女キャラの入浴シーンもあったりするので、そういったアニメや声優好きのファンには楽しい作品だろう。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月10日 (日)

(2293) 機動戦士ガンダムNT

【監督】吉沢俊一
【出演】榎木淳弥(声)、村中知(声)、松浦愛弓(声)、梅原裕一郎(声)
【制作】2018年、日本

SFアニメ、機動戦士ガンダムの劇場版。機動戦士ガンダムUCの後の世界を描いている。

宇宙世紀0079にジオン公国が行った「コロニー落とし」を予知した三人の「奇跡の子供たち」。ヨナ・バシュタ(榎木淳弥)はモビルスーツのパイロットに、ミシェル・ルオ(村中知)はルオ商会会長の養子になり、リタ・ベルナル(松浦愛弓)はヨナ同様軍人となるも行方不明となっていた。地球連邦政府とジオン軍は、神出鬼没のユニコーンガンダム3号機「フェネクス」を捕らえようとしていた。ミシェルに送り込まれたヨナは、パイロットがリタだと確信し、フェネクスを逃がしたため、ミシェルはリタに怒りをぶつける。ミシェルは、人の意識で動くサイコフレームを使えば、人は意識を永遠に存在させることができると考えていた。
ジオン軍はフェネクスを捕らえるため、シャアの再来を目指した開発人間ゾルタン・アッカネン(梅原裕一郎)を送り込む。戦争狂となったゾルタンは、サイド6内で禁止されている武器を使用して、ヨナの乗るナラティブガンダムB装備を攻撃。そこに現れたフェネクスから、リタの意識が、ジオン軍のIIネオ・ジオングはこの世にあってはならない、とヨナに話しかける。ゾルタンはIIネオ・ジオングを奪って暴走を始め、地球連邦軍のイアゴ・ハーカナ(中井和哉)の制御を奪うが、ミシェルが自らを犠牲にしてイアゴを救い、ヨタはミシェルとヨナの意識を味方にしてゾルタンを倒すのだった。

機動戦士ガンダム」3部作や「機動戦士Zガンダム」3部作を観た程度のガンダム初心者では、とても内容についていけない。少なくとも機動戦士ガンダムUCの理解はほぼ必須だろう。モビルスーツの動きが速い上に各機体が地球連邦軍なのかジオン軍なのか、機体ごとの特徴の差異が分かりづらいので、誰が誰と戦っているのか、視認するのが困難。知っていないと区別できない。初代「機動戦士ガンダム」はどれがジオン軍のモビルスーツか悩むなんてことはなかった。そして、フェネクスに関する予備知識がないと、物語の全体感も判然としない。結果として個人的にはほとんど楽しめない作品だった。こんな調子なので、上のあらすじもはなはだ心許ないわけだが、確認する気も起きないので、あまりここのあらすじは鵜呑みにしないでください。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2021年1月 9日 (土)

(2292) 海外特派員

【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【出演】ジョエル・マクリー、ラレイン・デイ、ハーバート・マーシャル、ジョージ・サンダース
【制作】1940年、アメリカ

戦争を巡る陰謀に迫るアメリカの海外特派員の活躍を描いたサスペンス作品。

ニューヨーク・モーニング・グローブ社の新聞記者、ジョン・ジョーンズ(ジョエル・マクリー)は、開戦の気配漂うヨーロッパの状況を伝える特派員としてロンドンに派遣される。ジョーンズはオランダの重鎮バン・メア(アルバート・バッサーマン)の独占インタビューの指令を受け、彼が主賓の集会に赴く際、偶然移動中の彼と遭遇。タクシーに同情させてもらい、会話をする。集会では、世界平和党の要人スティーブン・フィッシャー(ハーバート・マーシャル)が挨拶をし、急用で退席したメア氏に代わって、フィッシャーの娘キャロル(ラレイン・デイ)がスピーチをする。ジョーンズはキャロルに一目惚れする。
後日、別の場でメア氏を見かけたジョーンズは彼に話しかけるが、メア氏はジョーンズの目の前で、カメラマンの姿をした暗殺者に撃ち殺されてしまう。ジョーンズは車で逃げる犯人を追い、居合わせたキャロルとスコット・フィリオット(ジョージ・サンダース)の車に乗って、犯人を追うが、風車小屋が並ぶ田園の中で犯人の車は消えてしまう。ジョーンズは、おかしな羽の動きをしている風車を発見。フィリオットとキャロルに警察を呼ぶように指示し、風車小屋に忍び込む。中には犯人の乗っていた車が隠されていて犯人が何者かと相談しており、小屋には昏睡状態にされたメア氏が捕らわれていた。殺されたのは替え玉だったのだ。ジョーンズは風車小屋から逃れるが、犯人一味はメア氏を連れ去ってしまい、ジョーンズがやってきた警察官と再度風車小屋に入ると、犯人達の痕跡は完全に消えていた。ホテルに戻ったジョーンズのもとに、警察を名乗る殺し屋が現れたため、ジョーンズはホテルを脱出。別の部屋にいたキャロルに助けてもらい、殺し屋の追跡を振り切って船に乗り込む。船の甲板で二人は結婚を誓い合う。
二人がキャロルの家に到着すると、フィッシャーは風車小屋で見かけた男(エデュアルド・シャネリ)と会っていた。フィッシャーはメア氏の誘拐に加担していたのだ。フィッシャーは、ジョーンズが男に気づいていることを知り、殺し屋(エドマンド・グウェン)をジョーンズに同行させる。殺し屋は追っ手がいるとジョーンズに嘘を付いて、ジョーンズとともに高い塔の上に登り、展望台からジョーンズを突き落とそうとするが、直前にジョーンズが身をかわしたため、殺し屋が転落死する。ジョーンズはフィッシャーが誘拐に関与していることを確信する。
フィッシャーはメア氏の監禁場所に向かい、メア氏が知る秘密を聞き出すが、彼を尾行していたフィリオットが現場に乗り込み、メア氏は警察に確保される。フィッシャーはキャロルとともに飛行機でロンドンを発つ。同じ便にはジョーンズとフィリオットも乗っていた。フィッシャーは、機内でフィリオット宛ての電報を盗み読みし、メア氏が意識を回復して事件の供述をしていることを知る。観念した彼は、キャロルに自分が逮捕されることを告白。ところがそのとき、ドイツの軍艦が彼らの飛行機を戦闘機と間違えて攻撃し、飛行機は海上に落下。フィッシャーは命を落とす。ジョーンズとキャロルは飛行機の翼の上に避難し、アメリカの商船に救助される。ジョーンズは有名な海外特派員となり、戦時下のロンドンから戦争の生々しい状況を伝え続け、キャロルはそんな彼に寄り添うのだった。

アルフレッド・ヒッチコック作品ということで観てみたが、謎解きよりはアクションに重きを置いた作品だった。カーアクションや海上での救助のシーンなんかは、モノクロ映画ながらなかなかの迫力。ヒロイン役のラレイン・デイの美しさも際立っていた。
逆にストーリーは難解で、フィッシャーが何を狙っていて、フィリオットが何を狙っていて、キャロルはなぜジョーンズが別室を予約しているのを観て彼が裏切ったと考えたのかなど、よく分からない部分が多かった。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月 8日 (金)

(2291) ミュウツーの逆襲 EVOLUTION

【監督】湯山邦彦、榊原幹典
【出演】松本梨香(声)、大谷育江(声)、市村正親(声)、山寺宏一(声)、小林幸子(声)
【制作】2019年、日本

ポケモン劇場版第22作目。「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」の3DCGリメイク版。

伝説のポケモン、ミュウ(山寺宏一)の遺伝子から人間が創り出したポケモン、ミュウツー(市村正親)は、人間に支配される生き方に疑問を抱き、自らポケモントレーナーとなって、コピーしたポケモンを使って人間のポケモントレーナーに戦いを仕掛ける。トレーナーの一人、サトシ(松本梨香)はポケモン同士が戦う姿を悲しみ、ミュウとミュウツーの攻撃の間に割って入り、黒い石のような姿になって動かなくなってしまう。サトシに寄り添って必死に介抱するピカチュウ(大谷育江)の姿を見て、戦っていたポケモン達は涙を流す。その涙によってサトシは復活。サトシとピカチュウの絆の強さを知ったミュウツーは、人間に戦いを挑むのをやめ、コピーポケモンやミュウとともに飛び去るのだった。

3DCGはよくできていて、思わずポケモンゲームをやりたくなるような作り。ミュウツーを完全な悪役に仕立ててミュウツーを倒すような展開ではなく、最後はポケモン同士が仲間意識を持つ流れは、子供向けの作品としても清々しく、ポケモンらしい。ポケモンの知識があまりなくてもそれなりに楽しめる作品だが、知っていればより楽しいだろう。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月 7日 (木)

(2290) 劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ

【監督】藤田陽一
【出演】杉田智和(声)、阪口大助(声)、釘宮理恵(声)、雪野五月(声)、島田敏(声)、磯部勉(声)
【制作】2013年、日本

空知英秋のSF時代劇ギャグ漫画「銀魂」が原作のアニメ作品。「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」の続編。

万事屋の坂田銀時(杉田智和)が、仲間の新八(阪口大助)と神楽(釘宮理恵)とともに映画館で仕事をしていると、映画館の予告でよく見る頭がビデオカメラの映画泥棒によく似た時間泥棒(山寺宏一)が現れ、銀時を5年後の世界に連れていく。そこは白詛(びゃくそ)と呼ばれるナノマシンによる病気の蔓延によって荒廃した世界で、銀時は死んだことになっていた。銀時は時間泥棒に付けられた道具により、周囲からは銀時とは気づかれない状態にされる。銀時は万事屋を継ぐ新八と神楽に再会し、自分の正体を隠して二人と行動をともにする。しかし白詛により視力が衰え、病床に伏していた志村妙(雪野五月)は、声で本物の銀時が戻ってきたと認識。やがて新八と神楽も銀時が本物だと気づく。
銀時は諸悪の根源である魘魅(えんみ)(磯部勉)を倒すため、新八と神楽に別れを告げ、単身で過去に戻るが、そこに新八や神楽、過去の仲間達が次々と現れ、銀時の戦いに協力。銀時は魘魅を倒す。歴史が変わったことで、過去に来た人々は次々と元の世界に戻り、銀時はいつものように、新八、神楽と万事屋を営むのだった。

本作は映画用のオリジナルストーリーなんだが、タイムスリップものの常として、つじつまがあってるんだかあってないんだかルールの臨界点が制作側任せで視聴者としては疑問を挟まず観るしかないのが残念。加えて「銀魂」をよく知らない人にとっては、作品の登場人物が次々に銀時のいる過去の世界に現れても、主人公との関係を知らないので感動がない。オリジナルストーリーを練った作品だとは思うのだが、「銀魂」ファンでない自分には残念ながら響かなかった。まあでも、銀魂の雰囲気を感じることはできる作品ではあった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2021年1月 6日 (水)

(2289) 劇場版 銀魂 新訳紅桜篇

【監督】高松信司
【出演】杉田智和(声)、阪口大助(声)、釘宮理恵(声)、石田彰(声)、子安武人(声)、根本圭子(声)、青山穣(声)
【制作】2010年、日本

空知英秋のSF時代劇ギャグ漫画「銀魂」が原作のアニメ作品。

謎の辻斬りに桂小太郎(石田彰)が倒され、万事屋の坂田銀時(杉田智和)は捜査を開始。辻斬りの正体は岡田似蔵(青山穣)で、刀鍛冶の村田鉄矢(大西健晴)の作った人工知能兵器、紅桜によって超人的な力を手に入れており、銀時も似蔵に重傷を負わされる。銀時に変わって調査を進める新八(阪口大助)と神楽(釘宮理恵)を助け、似蔵を倒すため、銀時は鉄矢の妹、鉄子(根本圭子)の打った刀を手に、敵地に乗り込む。そこには死んだと思われていた桂がいた。銀時は似蔵を激闘の末、打ち破ると、桂と協力して仲間と脱出する。

ギャグ色の強い漫画だが、本作は比較的シリアスな作りで、テレビアニメのダイジェスト版という位置づけになっている。しかし、登場人物同士の関係や、作品の背景の説明が十分ではないため、作品を観たことのある人にしか理解できない内容になっていて、ギャグを楽しめるわけでもなく、内容を概括できるダイジェスト版としても不十分いう、中途半端な作品だった。
実写版の「銀魂」と物語はほぼ同じなので、見比べるのも面白いだろう。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2021年1月 5日 (火)

(2288) マイマイ新子と千年の魔法

【監督】片渕須直
【出演】福田麻由子(声)、水沢奈子(声)、森迫永依(声)、江上晶真(声)、野田圭一(声)
【制作】2009年、日本

田舎暮らしの少女と友達との交流を描いた日本のアニメ作品。

昭和30年代。防府市の田舎に暮らす小学生のわんぱく少女、青木新子(福田麻由子)は、転校してきたお嬢様の島津貴伊子(水沢奈子)と友達になる。新子はむかし教師をしていた祖父の小太郎(野田圭一)から、地元の川(というより用水路)や道が、千年前からこの地、国衙(こくが)にあったものだと聞かされ、千年前に暮らしていた自分と同じ年頃のお姫様(森迫永依)を想像する。それは実際に幼い頃を周防国で過ごした清原諾子(きよはらのなぎこ)、のちの清少納言だった。
新子と貴伊子は、桑畑の水路にダムを作って遊ぶ男子と行動をともにするようになる。ダム湖に迷い込んだ金魚に保健室の先生の名前をとってひづると名付け、みんなでかわいがっていたが、貴伊子が持ち込んだ香水の瓶が中で倒れ、きんぎょは死んでしまう。最年長のタツヨシ(江上晶真)は、落ち込む貴伊子を見て、明日みんなで金魚を見つけてみんなで笑おうと提案。ところが警察官をしているタツヨシの父親(瀬戸口郁)がヤクザに騙されて借金を背負い首つり自殺。新子はタツヨシとともにヤクザのいるバーに仇討ちに向かう。ヤクザとバーの女(喜多村静枝)はタツヨシの父の死を悲しみ、タツヨシはバーの女の頭にげんこつをコツンと当てて仇討ちを終えると、大声を上げながら店を飛び出す。
新子は帰り道に用水路で金魚を見つけ、暗い中、貴伊子を連れて行き、一緒に金魚を見る。千年前の世界では、同じ年頃の友達と遊ぶことを夢見ていた諾子が、宮仕えの少女(奥田風花)と仲よくなり、一緒に遊ぶ。タツヨシは大阪に越していき、やがて新子も引っ越すこととなり、仲間に見送られて引っ越し先に向かうのだった。

昭和の里山を背景に、子どもたちの日常と冒険を描いている。序盤はこの手の邦画らしく、ほのぼのとしているものの話に起伏がなく、「つまんないな早く終わらないかな」だったのだが、後半で盛り上がり、じわっと感動があった。とはいえ、なんでタツヨシの父親が自殺したのか、とか、バーの女が何をしたのか、とか、説明不足でよく分からない部分もあった。
本作のロングランが、のちの片渕作品「この世界の片隅に」に繋がっている。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月 4日 (月)

(2287) ワンダーウーマン

【監督】パティ・ジェンキンス
【出演】ガル・ガドット、クリス・パイン、デビッド・シューリス、ロビン・ライト、エレナ・アナヤ
【制作】2017年、アメリカ

アメコミ・ヒーロー、ワンダーウーマンの活躍を描いたSFアクション作品。

女ばかりのアマゾン族が住むセミッシラ島の王女ダイアナ(ガル・ガドット)は、母親ヒッポリタ女王(コニー・ニールセン)の妹アンティオペ(ロビン・ライト)から武術の指導を受け、美貌と強さを兼ね添えた女性に成長。ある日、ドイツに潜入しているアメリカのスパイ、スティーブ・トレバー(クリス・パイン)がセミッシラ島に現れ、彼を追ってきたドイツ軍との戦いでアンティオペが命を落とす。スティーブはドイツ軍が開発している毒ガス兵器の情報をイギリスに持ち帰る密命を帯びていた。ダイアナは、ドイツの策略は、幼い頃から聞かされていた戦争を引き起こす邪神アレスのしわざと考え、反対する母親を説得して、戦争を終わらせるためスティーブとともにイギリスに渡る。
スティーブは、ドクター・ポイズンことイザベル・マル博士(エレナ・アナヤ)から盗んだ毒ガス兵器のノートをもとに、ドイツを早めに叩くよう英軍上層部を説得するが、理解が得られない。しかしパトリック・モーガン卿(デビッド・シューリス)が協力を申し出て、スティーブとダイアナは、仲間とともにドイツ軍との戦いに挑む。
毒ガス兵器開発を進めている好戦的な性格のルーデンドルフ総監(ダニー・ヒューストン)が、アレスの乗り移った姿だと確信したダイアナは、激闘の末、彼を倒すが、毒ガス兵器の開発はやまず、兵器は飛行機に積載されてしまう。そこに現れたのはモーガン卿だった。彼こそがアレスだった。モーガン卿との死闘のさなか、スティーブは毒ガス兵器を積んだ飛行機に乗り込み、空中で爆破。それを見たダイアナは潜在能力が覚醒。モーガン卿を倒す。それにより、ドイツ兵は憑き物が落ちたように戦いの終結を喜ぶ。
時が移り現代。第一次世界大戦当時のダイアナの活躍を収めた写真を眺めるのは、劣らぬ美貌をたたえたダイアナだった。

ベッタベタなヒーロー名だし、主人公は女性だし、マーベルコミックヒーローの作品の中では最もつまらないだろうという先入観で見始めたのだが、どっこい一番よかったかも、というほどの作品だった。序盤の絵画風の映像で神話の時代の物語を女王が語るシーンはオリジナリティが高く、見応えがあった。こういうところをしっかり作り込むのには惚れ惚れする。ドイツ兵とワンダーウーマンやアマゾン族との戦いも、スローモーションも織り交ぜながらアマゾン族の高い身体能力と戦闘技術を巧みに表現。CGを駆使してやたら凝った表現をした結果、映像がごちゃごちゃしすぎて何が起きているかほとんど分からない作品もある中、見せたいものを分かりやすく見せることに徹しながら、迫力もオリジナリティもあるという映像表現は、簡単なようでなかなかできない。また、アマゾン族の戦士たちも、よく集めたなと思うぐらい、力強さと美しさを兼ね備えた大勢の女性が演じている。ワンダーウーマンのコスチュームも、胸元やふとももは露わだがいやらしさはなく、かわいさやセクシーさではなく女性の「かっこよさ」を描いた作品だった。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2021年1月 3日 (日)

(2286) レヴェナント: 蘇えりし者

【監督】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
【出演】レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、フォレスト・グッドラック、ドーナル・グリーソン
【制作】2015年、アメリカ

山中で熊に襲われ死にかかった男の復活劇を描いた作品。実話に基づいている。

1823年。アメリカ人の毛皮狙いのハンター集団が、先住民のアリカラ族に襲われ、逃走。ガイド役のヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、船で逃げるのは危険だからと山中の行進を選択。ところが集団が休憩中、一人で森を見回っていたグラスは、突然子連れのグリズリーに襲われ、何とか返り討ちにしたものの瀕死の重傷を負う。医術の心得のある隊長ヘンリー(ドーナル・グリーソン)が応急処置として傷を縫い、タンカで彼を運ぼうとするものの、険しい雪山の行進はままならず、グラスを毛嫌いしていたフィッツジェラルド(トム・ハーディ)は、苦しむだけだし全員が危険だからここでグラスを殺した方がいいと意見。ヘンリーは、グラスを置いていくが最期を看取ってから埋葬することにし、グラスの息子ホーク(フォレスト・グッドラック)、若いブリジャー(ウィル・ポールター)がその役を買って出、報酬につられたフィッツジェラルドも残ることを決める。
しかしフィッツジェラルドはグラスと二人になると、グラスに早く死ぬよう決断を迫り、グラスの口に布を押し込んで殺そうとする。戻ってきたホークがフィッツジェラルドに銃を突きつけ、大声でブリジャーを呼ぶが、フィッツジェラルドは先住民に気づかれるから叫ぶなと言って、大声をやめないホークをナイフで刺し殺して山中に捨ててしまう。体が動かず声も出せないグラスは、その様子を見ているしかなかった。フィッツジェラルドは先住民が近くにいるとブリジャーに嘘を言い、グラスを放置して先に行ってしまう。ブリジャーはグラスに詫びながらも彼に従うしかなかった。取り残されたグラスは這いつくばりながら動物の死骸の骨髄や草を食べ、驚異的な生命力で生き延びる。途中でポーニー族の男と遭遇し、彼に助けてもらいながら雪山を進むが、その男はフランス人のハンターに馬を奪われ殺されてしまう。グラスはフランス人の野営地から男の馬を奪い返そうとするが、そのとき、フランス人の一人が先住民の若い女性(メラウ・ナケコ)をレイプしているのを見つけ、背後から男を殴りつけると、女性にナイフを託し、馬で逃走する。
一方、フィッツジェラルドは、グラスを埋葬したとヘンリーに嘘の報告をして報酬を得ていた。ところが彼らのキャンプに、フランス人のハンターの一人が、何者かに野営地を襲われたと言って現れる。そのハンターはグラスの水筒を持っていた。ブリジャーはホークが生きていたのかと考えるが、ホーク殺害を隠していたフィッツジェラルドは、生き延びているのはグラスだと確信する。果たして、ヘンリーはグラスを発見する。フィッツジェラルドはヘンリーらが戻る前に山中へ逃走。ヘンリーとグラスはフィッツジェラルドを追い、ヘンリーはフィッツジェラルドに殺されるが、グラスとフィッツジェラルドは血で血を洗う死闘となる。息も絶え絶えの二人のもとに、アリカラ族の一団が現れる。グラスはフィッツジェラルドにとどめを刺さず、運を天に任せる。アリカラ族はフィッツジェラルドの息の根を止めると、グラスには手を出さず去って行く。一団の中には、グラスが助けた若い女がいた。彼女はアリカラ族の酋長が探していた娘のポワカだった。生き延びたグラスは、かつて殺された妻が救済されたように微笑む姿を幻の中に見るのだった。

序盤から映像の迫力がすさまじい。先住民とハンターの肉弾戦が巧みなカメラワークで映像化されている。続いて、グラスと熊との死闘も、どうやって撮影したのか全く分からないほどリアル。アリカラ族から逃れるため川を流されたり、馬もろとも崖下に落下したり、とにかく痛々しいシーンが生々しく描き出されている。息を飲む展開とはこのこと。クライマックスのフィッツジェラルドとの死闘も、斧でフィッツジェラルドの指が飛んだり、細かい演出まで徹底してこだわり抜かれて作られていることがよく分かる。
本作で、有名俳優レオナルド・ディカプリオは初のアカデミー主演男優賞を受賞しているが、本作では実際に極寒の状況で水に入ったり馬の腹の中に入ったりしたそうで、これだけのことをしたら右に出る者はいないだろうと思わせる怪演、文字通り死を賭した演技だった。話としては一人の男のドラマで、ラストシーンでアリカラ族が現れてフィッツジェラルドにとどめをさし、娘を救ったグラスには手を下さないという展開はちょっと見え見えだったが、人と人との戦い、人と厳しい自然との戦いを描いた映像の圧倒的迫力には、満点評価がふさわしいだろう。

【5段階評価】5

| | コメント (0)

2021年1月 2日 (土)

(2285) レプリカズ

【監督】ジェフリー・ナックマノフ
【出演】キアヌ・リーブス、アリス・イブ、ジョン・オーティス、トーマス・ミドルディッチ
【制作】2018年、アメリカ

事故で失った家族をクローン再生させた脳神経科学者の奮闘を描いたSF作品。

脳神経科学者のウィリアム・フォスター(キアヌ・リーブス)は、バイオテクノロジー会社バイオナイン産業の研究施設で、死者から脳神経情報を取り出し、ロボットに移植する研究を進めていた。ウィリアムは美しい妻モナ(アリス・イブ)と三人の子どもを連れて家族旅行に出かけるが、暴風で沿道の木が倒れ、車は道路脇の池に転落。ウィリアム以外の4人は死んでしまう。ウィリアムは研究所の同僚エド(トーマス・ミドルディッチ)に協力してもらって、家族の脳神経をデータとして取り出すと、クローン再生ポッドを使って家族を蘇らせることにする。しかしポッドは3つしかなく、ウィリアムは仕方なく、家族の名前を書いたくじを作って一枚引く。そこには末っ子「ゾーイ(アリア・リーブ)」の名があった。ウィリアムはゾーイの再生を諦める。
ウィリアムは上司ジョーンズ(ジョン・オーティス)の目をかいくぐりながら家族の肉体の再生を進める。脳神経データからゾーイの情報を取り除き、情報を再生した肉体に転写する。研究施設では、実験を成功させて打ち切りの危機にある研究を継続させるため、死体の脳神経データではなく、自分の脳神経データを取り出し、ロボットに転写する。
ウィリアムの家族再生は成功し、フォスター家は日常生活に戻るが、モナは違和感に気づき、ウィリアムは事故で命を落とした家族を再生したことを告白する。しかし長女のソフィ(エミリー・アリン・リンド)もゾーイとは誰かと聞いてくる。そこに上司のジョーンズが訪ねてくる。彼はウィリアムが家族を再生したことを知っていた。バイオナイン産業はバイオテクノロジーを隠れ蓑にした軍需企業で、クローン技術で兵士を生み出すことが真の研究目的だったのだ。ジョーンズはウィリアムからクローン再生のアルゴリズムを聞き出し、家族の引き渡しを命じる。ウィリアムは隙を突いてジョーンズを気絶させ、家族を連れて車で逃走するが、船に逃れようとしたところを捕らえられてしまう。ウィリアムは自分の脳神経データを転写したロボットを起動させる。ロボットはジョーンズを倒し、ウィリアムはジョーンズを再生させることを条件に家族を見逃させる。ウィリアムはゾーイを再生し、妻に会わせる。ジョーンズはウィリアムのロボットとともに、大富豪の老人を復活させるビジネスを始めるのだった。

途中まで、クローン技術と脳神経データをコピーして家族を再生するという脳科学者の狂気に、悪い予感しかせず、ジョギング中のモナが異常を感じるかのように胸を押さえる辺りから、再生した人間がだんだん変調を来し、円満な家族関係に亀裂が生じて破滅的な悲劇が訪れるようなサイコサスペンス風の展開を期待していたら、途中から悪者上司が現れて、突如、一家総出の逃走劇になり、予想外のハッピーエンド。人間の再生という神の領域に踏み込むとされる重たい題材を、ずいぶんと軽い娯楽作品にしてしまっていた。こうなるとモナが胸を押さえていたのは何だったのかという感じだし、オープニングで兵士の精神を転写されたロボットがうまく自我をコントロールできず自らの顔を引き剥がすという背筋の凍るシーンも、何ら後の展開に生かされることはなかった。そもそも社会から抹消できるわけでもないのに家族の脳神経データからゾーイの記憶を消すだけで対処しようとするのも、浅はかとしかいいようがないし、家の中のゾーイの痕跡も全く消せていないのは何だったのか。こうなると、VRヘッドセットをかぶって空中の映像を手で操るシーンも「マイノリティ・リポート」の丸パクリのようで何だかな、だし、ロボットも2018年の作品にしては動きがぎこちなく、大コケしたのも仕方ないというところ。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2021年1月 1日 (金)

(2284) パディントン2

【監督】ポール・キング
【出演】ベン・ウィショー(声)、ヒュー・グラント、ブレンダン・グリーソン、ヒュー・ボネビル、サリー・ホーキンス
【制作】2017年、イギリス、フランス

飛び出す絵本を手に入れるため奮闘するクマと人々との交流を描いたコメディ作品。

ブラウン一家の家族としてロンドンで暮らすクマ、パディントン(ベン・ウィショー)は、骨董品屋でロンドンの風景を題材にした飛び出す絵本を見て、ペルーで暮らすルーシーおばさん(イメルダ・スタウントン)にプレゼントしようと決める。ところが、その本は宝のありかを示す秘密の本だったことから、落ち目の俳優フェニックス・ブキャナン(ヒュー・グラント)が骨董品屋に忍び込み、絵本を盗み出す。フェニックスが家に入るところをたまたま目撃したパディントンは、彼を追いかけるが、警官はパディントンが骨董品屋に盗みに入ったと勘違いし、パディントンを逮捕。パディントンは刑務所行きとなる。
刑務所で恐れられているコックのナックルズ(ブレンダン・グリーソン)に、持っていたマーマレードサンドを気に入られたパディントンは、ナックルズをはじめ、囚人達と友達になる。ナックルズとその仲間は、パディントンが無実の罪で投獄されていることを知り、濡れ衣を晴らそうと言ってパディントンとともに脱獄する。ナックルズたちは一緒に外国に逃げようとパディントンを誘うが、パディントンは断り、ブラウン家に電話。ブラウン家はパディントンのために捜査を続け、ブキャナンが犯人であることを突き止めていた。パディントンとブラウン一家はブキャナンが乗った電車に乗り込み、ブキャナンを退治する。
絵本は捜査の証拠品として持ち去られてしまったが、ブラウン一家や街の人々は、ルーシーおばさんをロンドンに招待していた。パディントンは喜び、やってきたルーシーおばさんに抱きつくのだった。

前作に続いて、本作も心が温まり、家族愛にほろっとするいい作品だった。コメディタッチだが、下品さは少なく(冒頭にゲップのシーンはあるが)、「Mr.ビーン」シリーズほど笑わそうとしすぎていない。刑務所で強面の囚人達がスイーツのレシピを知っていて、みんなでケーキパーティをするシーンも純粋に楽しいし、飛び出す絵本の中でパディントンとルーシーおばさんが歩き回るシーンも映像としてとても巧み。丁寧に作られた作品だった。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

« 2020年12月 | トップページ | 2021年2月 »