(2275) ボーダーライン
【監督】ドゥニ・ビルヌーブ
【出演】エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ダニエル・カルーヤ
【制作】2015年、アメリカ
麻薬密輸組織を捜査する人々を描いたアクションサスペンス作品。
誘拐事件を捜査していたFBI捜査官のケイト・メイサー(エミリー・ブラント)は、踏み込んだ家の中で大量の死体を発見。彼女は黒幕となる麻薬組織を捜査するため、国防総省のマット・グレイバー(ジョシュ・ブローリン)のチームに参加する。マットのパートナー、アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)とともに、麻薬組織の重要人物ギレルモ(エドガー・アレオラ)をメキシコからアメリカに護送するが、国境手前で渋滞しているところに、麻薬組織の一味が乗っていると思われる車が2台現れる。マットのチームは、多くの一般人の車がいる中で、彼らを銃殺。ケイト自身も、麻薬組織に買収された警官に狙われたため、相手を射殺する。ケイトはマットやアレハンドロのやり方にいらだちを感じる。
マットとアレハンドロはギレルモから、密入国用のトンネルの場所を聞き出し、捜査に向かう。しかし、アレハンドロの目的は私怨を晴らすことにあった。一方のマットは、アレハンドロの協力を得て、麻薬組織に混乱を起こして秩序を取り戻すことを狙っていた。アレハンドロはトンネルを抜けてメキシコに出ると、麻薬密輸に絡んでいる警官シルビオ(マキシミリアーノ・ヘルナンデス)を銃で脅して、組織のボス、マニュエル・ディアス(ベルナルド・サラシーノ)の車を止めさせる。アレハンドロはシルビオを射殺してディアスの足を撃ち、ディアスの車でソノラ・カルテルの麻薬王ファウスト・アラルコン(フリオ・セサール・セディージョ)の屋敷に侵入。ガード係を次々と射殺してアラルコン一家のディナーの場に現れる。アレハンドロは、容赦なくアラルコンの二人の子どもと妻を撃ち殺すと、アラルコンにもとどめを刺す。アレハンドロの妻と娘はアラルコンによって惨殺されていたのだ。
アメリカに戻ったアレハンドロはケイトのもとに現れ、捜査が適法であったという文書に無理矢理サインをさせる。ケイトは帰って行くアレハンドロに銃を向けるが、引き金を引くことはできなかった。メキシコでは、父の死を知らないシルビオの子どもが、母親に見守られてサッカーをしている。どこかでマシンガンの音が鳴り響き、人々は顔を上げるが、何事もなかったかのようにサッカーは続くのだった。
オープニングの死体発見や小屋の爆発、死体が吊り下げられている市街地を走り抜ける捜査車両など、ドキュメンタリー映画のようなシリアスな映像。コミカルな要素は一切なく、麻薬に汚染されたメキシコとアメリカの国境の状況がリアルに描かれている。メキシコの町並みや人々の暮らしの様子も興味深く、なかなか近づくことのできない地区の様子が感じ取れるのも作品の魅力になっている。
アレハンドロがアラルコンの屋敷に侵入するシーンは、警備の甘さにご都合主義を感じたが、女性捜査官の視点で物語を進めたり、名もないメキシコ警官の家族のシーンをメインストーリーに絡めたりと、脚本も巧み。BS12土曜洋画劇場が扱う作品は秀作が多い。
【5段階評価】5
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
「評価5の映画」カテゴリの記事
- (2769) ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2024.08.19)
- (2747) 犯罪都市(2024.07.28)
- (2664) 60歳のラブレター(2024.05.06)
- (2642) SING/シング: ネクストステージ(2024.04.14)
コメント