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2020年12月

2020年12月31日 (木)

(2283) パディントン

【監督】ポール・キング
【出演】ベン・ウィショー(声)、サリー・ホーキンス、ニコール・キッドマン、ヒュー・ボネビル
【制作】2014年、イギリス、フランス

ロンドンにやってきた熊と人間の家族との交流を描いたハートフルコメディ。

ペルーの森で、言葉を理解するクマの一家を探検家(ティム・ダウニー)が発見。探検家はロンドンに来たら歓迎すると言い残して去って行く。成長した男の子のクマ(ベン・ウィショー)は、地震で家を失ったことを機にロンドンを目指す。ロンドンに着いたクマはブラウン家の母親メアリー(サリー・ホーキンス)に声をかけられ、パディントンという名前を付けられる。ブラウン家はパディントンの話と帽子を手がかりに、ペルーに来た探検家を探すことにするが、父親のヘンリーはパディントンがいると子どもが危険だと考え、メアリーを説得。それを盗み聞きしたパディントンは置き手紙をしてブラウン家を去る。パディントンはついに探検家モンゴメリー・クライドの家を探し当てる。しかしそこに住んでいたのはモンゴメリーの娘、ミリセント(ニコール・キッドマン)だった。彼女は、父親がクマを連れ帰ればお金持ちになれたのに、クマの保護を優先してクマの生息地に関して口をつぐみ、その結果、探検家協会を追い出されたことを恨んでおり、パディントンを剥製にしようとする。それを知ったブラウン一家はミリセントのいる博物館に乗り込み、パディントンを救出。パディントンは晴れてブラウン家の一員になるのだった。

テッド」同様クマのぬいぐるみが主人公だと思っていたが、言葉を話すというファンタジーな設定ながら、本物のクマだった。童話が原作だが、内容は大人も楽しめるコメディ。はじめはクマを嫌っていた父親のヘンリー(ヒュー・ボネビル)が、クライマックスでミリセントにパディントンが自分たちの家族だと啖呵を切るシーンは感動的だった。ニコール・キッドマンがコミカルな悪役を演じているのも楽しい。

【5段階評価】4

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2020年12月30日 (水)

(2282) フェイク シティ ある男のルール

【監督】デビッド・エアー
【出演】キアヌ・リーブス、フォレスト・ウィテカー、クリス・エバンス、ヒュー・ローリー
【制作】2008年、アメリカ

警察官の汚職を巡る事件を描いたサスペンス作品。

ウォッカの小瓶を飲みながら強引な捜査をする警察官トム・ラドロー(キアヌ・リーブス)は、上司のジャック・ワンダー(フォレスト・ウィテカー)にいつも都合の悪い証拠の隠蔽などの便宜を図ってもらっていた。トムの活躍をうらやむ元相棒のワシントン(テリー・クルーズ)が、内部調査部のジェームズ・ビッグスに情報を流しているという話をワンダーから聞いたトムは、ワシントンを尾行。ところが、ワシントンの入った雑貨屋に覆面で武装した二人組が車で乗り付けたため、トムは慌てて店に入り、ワシントンに知らせるが、二人組は店主とワシントンをマシンガンで殺害して逃走。現場に現れ、店の防犯カメラの映像を見たワンダーは、この映像からはトムが二人組を導いてワシントンを殺したように見えると言い、映像の収められたDVDを処分するようトムに伝える。トムは迷いながらもDVDを隠蔽。ワンダーはトムが目立たないようトムを苦情処理係に回す。
トムはワシントンを殺した二人を逮捕したいと仲間やワンダーに伝えるが、誰も協力しない。トムはワシントンの事件を調べている若い警官ディスカント(クリス・エバンス)から、ワシントンが不正を働いていたと聞き、二人で協力してワシントン殺害犯を探すことにする。ワシントン殺害現場から、麻薬の売人フリーモントとコーツのDNAが検出されたことから、トムとディスカントは二人を追うが、彼らは僻地の山小屋で殺され埋められていた。その後、トムはフリーモントとコーツを名乗る二人組から呼び出される。単身で向かおうとしたトムだったが、ディスカントも同行。トムは相手に麻薬横流しの話を持ちかけてかまをかけるが、相手はワシントンを殺したときにそばにいた奴だ、とトムの正体を見抜く。そのとき、ディスカントがこいつらに見覚えがあると叫ぶ。すると相手は突然発砲して銃撃戦となり、ディスカントが命を落とす。撃ってきた二人は覆面捜査官だった。
トムは恋人グレース(マルタ・イガレータ)の家に身を寄せるが、そこにトムの同僚二人が突入し、トムを逮捕。しかし、二人はトムを署ではなく、フリーモントとコーツの殺害現場に連れて行く。覆面捜査官も含め、皆が不正に手を染めており、黒幕がワンダーだった。二人はトムを始末しに来たのだ。トムは殺されそうになるが逆襲して二人を倒すと、ワンダーのもとに向かう。ワンダーは警察署内のあらゆる裏事情を知り尽くし、巨額の金を隠し持っていた。ワンダーは自分の力のお陰でトムを守ることができ、手を出せない人物にも手を出せたのだと説得するが、トムは全てを終わらせるため、ワンダーを撃ち殺す。トムの通報を受けて現れたビッグスは、トムを信用できる警察官と認めるのだった。

割とよく映画の題材となる、警察署の組織的な不正を主題にした作品。序盤にワンダーが「ワシントンがトムの情報を流している」と言った時点で、ああ、どうもこいつが怪しいな、という感じなので、その通りだったという落ちにあまりカタルシスはなかった。キアヌ・リーブスをはじめ、クリス・エバンスやフォレスト・ウィテカー、ナオミ・ハリスなど有名俳優が多く出ているが、あまり個性的・印象的な作品ではなかった。

【5段階評価】3

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2020年12月29日 (火)

(2281) G.I.ジョー

【監督】スティーブン・ソマーズ
【出演】チャニング・テイタム、シエナ・ミラー、マーロン・ウェイアンズ、ジョセフ・ゴードン=レビット
【制作】2009年、アメリカ

悪の集団と戦うヒーロー戦士達の活躍を描いたアクション作品。

兵器メーカーMARS社のマッカラン(クリストファー・エクルストン)はNATOの資金で、ナノテクノロジーを使った金属破壊兵器ナノマイトを開発。兵士のデューク(チャニング・テイタム)とリップコード(マーロン・ウェイアンズ)は、その輸送を請け負うが、ステルス機能を持った戦闘機に襲撃される。戦闘機から現れたのは元婚約者のアナ(シエナ・ミラー)だった。アナはナノマイトを奪おうとするが、G.I.ジョーの部隊が救出に現れ、アナは逃走する。G.I.ジョーの部隊に合流したデュークとリップコードは、クレイトン・アバナシー(デニス・クエイド)率いるG.I.ジョーの訓練を受け、部隊に仲間入りする。
アナはストームシャドー(イ・ビョンホン)とともにG.I.ジョーの基地に現れ、ナノマイトを強奪。ナノマイトの入った4つのミサイル弾頭のうち一つをエッフェル塔に発射。エッフェル塔は崩れ出す。デュークがナノマシンを停止する装置のボタンを押し、パリ崩壊は免れるものの、デュークはマッカラン側に捕らえられてしまう。
マッカランの基地が北極の海底にあることを突き止めたクレイトンは、基地に総攻撃をかける。マッカランの基地にいる謎の科学者は黒幕ザルタン(アーノルド・ボスルー)に、顔の変形を可能にする手術を施す。科学者の正体はアナの弟レックス(ジョセフ・ゴードン=レビット)だった。科学者の彼はかつてデュークとともに軍事作戦に参加するが、作戦中に爆発に巻き込まれてしまう。死んだと思われていたが、生きており、ナノテクノロジーに魅せられたマッドサイエンティストとなっていたのだった。爆発で顔の焼けただれたレックスは、恨みからデュークの顔にも手術を施そうとするが、心を入れ替えたアナがデュークを救出。発射されたナノマイトミサイルはリップコードが破壊し、デュークはアナを連れて基地を脱出に成功。潜水艦で逃走したレックスはG.I.ジョーの部隊に捕らえられる。世界に平和が訪れたようだったが、アメリカ大統領(ジョナサン・プライス)は顔を変えたザルタンに入れ替わっているのだった。

複数の精鋭が活躍するヒーローアクションもので「アベンジャーズ」にも似た雰囲気だが、一人一人は超能力者ではなく、厳しい訓練を積んだ兵士。秘密兵器や乗り物が数多く登場し、男の子がわくわくするような作りになっている。男の子向け人形玩具がタイトルになっているが、デュークとアナ、リップコードとスカーレット(レイチェル・ニコルズ)の男女の恋愛を織り交ぜている辺りは大人向けでもあり、戦闘シーンも、銃撃戦から剣での格闘、パリでのカーチェイスにラストの海中戦まで多岐にわたっていてできがよい。海中戦は宇宙空間での戦闘のようでもあり、決して子供だましのアクションではなく、大人も楽しめる本格的な特撮アクション映画になっている。個人的には、能力が超常的すぎて驚く感覚が麻痺してしまう「アベンジャーズ」より、本作のほうが楽しめた。今回はスターチャンネル1で視聴したが、ドルビーデジタルによるサラウンドもバッチリで、ミサイルや戦闘機が飛び交う効果音の迫力も素晴らしかった。
突っ込みどころはやはり、スネークアイズの回想で出てくる東京のシーン。はじめの広告だらけのビル街はいいとして、その後のスラム街は、外国映画によくある日本らしさに欠ける日本の風景。台所の柱には「無くし物の責任は寺ではありません」という謎の張り紙があり、しかも横書きで書かれた短冊を縦に貼っている。子ども時代のストームシャドーがしゃべると、住職は「英語で話せ」と命じる。英語を強要する宗派かよ、という強引な英語モードなのだが、冒頭の1641年のフランスのシーンも登場人物は何の断りもなく英語なので、日本のシーンも最初からみんな英語でいいんじゃないのという。しかもストームシャドーのしゃべっているのはどうやら韓国語だし。まあ、アメリカ人にはどうでもいいことなんだろうな。

【5段階評価】4

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2020年12月28日 (月)

(2280) ねらわれた学園

【監督】中村亮介
【出演】渡辺麻友(声)、本城雄太郎(声)、花澤香菜(声)、小野大輔(声)
【制作】2012年、日本

中学2年生のクラスに現れた転校生が起こす謎の計画を巡るジュブナイル映画。眉村卓の小説が原作。

幼なじみで隣同士に住む中学2年生の関ケンジ(本城雄太郎)と涼浦ナツキ(渡辺麻友)のクラスに、京極リョウイチ(小野大輔)が転校してくる。クラスの委員長をしている春河カホリ(花澤香菜)はリョウイチに一目惚れする。実はリョウイチは月に住む未来人で、人の心を読む特殊能力を持っており、地球の環境破壊を食い止める可能性と、同じ能力を持つ人間を未来に連れ帰るため、過去の時代に来ていたのだ。リョウイチは特殊能力を持つ資質のある生徒達を次々と操り、操られた生徒会は学校を支配し始める。ナツキは生徒が支配されるシーンを目撃するが、リョウイチはナツキを口止め。ナツキは学校に来なくなるが、ケンジには心を開いていた。ケンジはナツキを励まし、ナツキは学校に来るようになる。ナツキはケンジのことが好きだったのだ。
実はケンジは、リョウイチを超えるほどの潜在能力の持ち主だったが、その力は封印されていた。リョウイチの計画を知ったケンジの祖父、関耕児(内田直哉)はケンジの能力を解放。ケンジは生徒会の裁判にかけられていたナツキを救い出す。リョウイチはケンジに立ち向かおうとするが、ケンジはあっけらかんと、明日休みだから海に行こう、とリョウイチを誘う。ケンジと対決するつもりだったリョウイチは拍子抜けしてしまう。
ケンジ、ナツキ、リョウイチ、カホリはともに海で過ごす。カホリと二人になったリョウイチは、月に帰ることになったとカホリに告げ、月に帰れば自分の記憶は消えるとカホリに告げる。カホリはリョウイチに抱きつき、好きだと告白するが、リョウイチはカホリを置いて去って行く。リョウイチは未来に帰ろうとするが、その場にいたケンジはリョウイチを引き戻すと、一緒にいたナツキに、また戻ると言ってリョウイチを未来の世界に送り届ける。ケンジが消えた瞬間、ナツキの中からケンジの記憶は消えてしまう。
ケンジとリョウイチのいない世界でナツキとカホリは暮らしていた。二人が転校生がやってくるという話をする。それはケンジだった。ケンジがナツキの携帯に電話をすると、ナツキの中にケンジの記憶が蘇る。ナツキは半分泣きながら、いつものようにケンジに「バカ」と返すのだった。

薬師丸ひろ子主演の1981年作品「ねらわれた学園」に比べると、超能力や生徒会による学校支配の流れは共通であるものの、二組の男女の恋愛に焦点が当てられている。また、1981年作品の後日譚の位置づけになっており、ケンジの祖父、耕児は1981年作品では主人公の同級生であることから、孫の世代の作品ということになる。
典型的ツンデレのナツキが、ケンジにキスをして気持ちを伝えるシーンはベタだが感動的。ラストはナツキからケンジの記憶が消えたところでエンドロールに入り、「なんだこの消化不良な終わり方」と思っていると、エンドロールの後のエピローグとして、ケンジが転校生としてナツキのもとに戻ってくるというハッピーエンド。これにはやられた。

【5段階評価】3

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2020年12月27日 (日)

(2279) スカイスクレイパー

【監督】ローソン・マーシャル・サーバー
【出演】ドウェイン・ジョンソン、ネーブ・キャンベル、チン・ハン、ローランド・ムーラー
【制作】2018年、アメリカ、中国

超高層ビルの火災に巻き込まれた家族を救うために奮闘する男の活躍を描いたアクション作品。

元FBIで自爆事故に巻き込まれて左脚の膝から下を失ったウィル・ソーヤー(ドウェイン・ジョンソン)は、転職して、香港の220階建ての超高層ビルのセキュリティ監査を担当することになる。ウィルはビルオーナーのジャオ(チン・ハン)からセキュリティシステムにアクセスする端末を受け取るが、それを強盗に奪われてしまう。強盗集団のボスで元軍人のコーレス・ボータ(ローランド・ムーラー)は、ビルの96階に放火し、ウィルから奪った端末でビル内の消火システムを無効化して火災を拡大させる。ウィルは、妻サラ(ネーブ・キャンベル)と娘ジョージア(マッケンナ・ロバーツ)と息子ヘンリー(ノア・コットレル)が98階に取り残されていることを知り、ビルの横にあったクレーンをよじ登ってビルに飛び移ると、ビル内でちりぢりになって逃げていた家族と合流。エレベータを使ってサラとヘンリーをビルから脱出させることに成功するが、ジョージアが強盗団に追われ、助けようとしたウィルとともに捕まってしまう。ボータは、ジョージアを人質にして、居室に逃げ込んだジャオが持つメモリードライブを持ってくるようウィルに命じる。ウィルは発電装置の中央部にあるコードを切断して居室のロックを解除して中に入り、ジャオから話を聞く。ボータはジャオのビル建設中に、ビル建設を妨害するとジャオを脅して金を巻き上げたが、ジャオは金をトラッキングしてボータの資金洗浄経路の情報を把握し、それをドライブに保管していた。ボータはジャオからドライブを奪うため、ジャオがビルから避難する際には大事なドライブを持ち去るだろうと踏んでビルに放火したのだった。
ウィルとジャオは、パラグライダーでビルから逃走するために屋上で待機しているボータらのもとに向かうが、ジャオがボータらに発砲し、銃撃戦となる。ジャオとウィルは奮闘し、次々と敵を葬り、最後はウィルがボータを突き落とし、ジョージアを助ける。ビルは炎に包まれるが、香港警察と行動をともにしていたサラが、犯人一味の持っていた端末を操作してビルのセキュリティシステムを再起動。ビルの消火システムが作動し、ウィルたちは無事に救助される。ウィルとジョージアはサラとヘンリーに再会。家族で強く抱き合い、周囲の人々が彼らを祝福するのだった。

すっかり大物ハリウッドスターとなったドウェイン・ジョンソンを主役に据えた、本格特撮娯楽アクション。「ダイ・ハード」と「タワーリング・インフェルノ」を混ぜて現代風のギミックを盛り込んだような作品。映像は本格的で展開も嘘くささが少ない。クレーンに立っているウィルがヘリから銃撃されるシーンでは、そりゃないだろと思ったが、そう言えば「ダイ・ハード」でも主役のジョン(ブルース・ウィリス)は犯人と間違われてヘリから銃撃されていた。足元がすくむような映像も大迫力で、マスコミの実況映像を見ながら様子を見守る見物人を味方に付ける辺りも自然な演出だった。
突っ込みどころがあるとすると、まず母親サラ。看護師なのに、敵側の男(ノア・テイラー)を投げ飛ばすわ、武闘派の女性ヒットマン(ハンナ・クィンリバン)と対等に渡り合うわと、強すぎ。また、8Kディスプレイが乱立する屋上での銃撃戦は、ちょっとアイディア倒れで現実味がなかった。正面にいると思わせておいて実はそれは虚像でウィル本人は背後にいたという落ちだが、どうやって自分の映像を出したのよ、と考えるとちょっと無理があった。それよりは、負傷したジャオが映像を操作してボータを混乱させ、その隙にウィルがジョージアを救い、ボータは自滅するみたいな展開のほうがジャオにも見せ場があり、よかったように思う。
とは言え、気持ちよくドキドキハラハラできる娯楽大作。映画館で観ていたら第一声は「面白かったね~」になるのは間違いない作品だろう。

【5段階評価】5

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2020年12月26日 (土)

(2278) アバウト・ア・ボーイ

【監督】クリス・ワイツ、ポール・ワイツ
【出演】ヒュー・グラント、ニコラス・ホルト、レイチェル・ワイズ、トニ・コレット
【制作】2002年、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ

シングルマザーと付き合おうと企む独身男性と、シングルマザーを持つ少年との交流を描いたコメディ。

38歳で独身、無職のウィル・フリーマン(ヒュー・グラント)は、恋人を取っ替え引っ替えしては、別れるたびに罵られていたが、シングルマザーときは相手から別れを告げられ、ウィルをいい人だと言ってきたことから、シングルマザーとなら後腐れない恋ができると考え、シングルペアレントの集会に子どもがいると偽って参加。美人のシングルマザー、スージー(ビクトリア・スマーフィット)とのデートにこぎ着けるが、スージーは別のシングルマザーの子ども、マーカス(ニコラス・ホルト)を連れてくる。デートが終わり、マーカスを家に送ると、マーカスの母親フィオナ(トニ・コレット)が自殺未遂をして家の中で倒れていた。スージーとウィルはフィオナを病院に連れて行き、フィオナは無事に退院する。マーカスは、自分一人では母親の自殺衝動を抑え続けるのは無理だと考え、ウィルを巻き込むことにする。マーカスは無理矢理ウィルの部屋に押しかけ、ウィルが子どもがいると嘘をついていることをネタに母親と会うように仕向ける。はじめはマーカスを拒絶していたウィルも、次第にマーカスと一緒にいることが当たり前になっていき、マーカスが学校でいじめられていることを知って靴を買ってあげたりするようになる。
ウィルは別の場でレイチェル(レイチェル・ワイズ)というシングルマザーを好きになり、マーカスを息子のように同伴させてレイチェルと付き合い始める。しかし、マーカスの説得もあってマーカスが息子でないことを明かし、レイチェルとの交際は断たれてしまう。マーカスは母親がまた元気がなくなっていることに気づき、母親を喜ばせるため学校のコンサートに出場することを決意。マーカスはウィルに協力を求めるが、レイチェルとの関係が終わって心がすさんでいたウィルはマーカスを拒絶。マーカスは母親の好きな「キリング・ミー・ソフトリー」を歌うことにするが、それをフィオナから聞いたウィルは、そんなダサいことをしたらずっと友達がいなくなると慌て、急いで会場に向かい、出場直前のマーカスを思いとどまらせようとするが、マーカスは一人で舞台に立つ。しかし案の定、マーカスがステージ上でか細い声で「キリング・ミー・ソフトリー」を歌うと大ブーイングが起こる。それを舞台袖から見ていたウィルは近くにいた生徒のギターを借りてステージに上がり、マーカスの伴奏をしながら一緒に歌う。会場はそこそこ盛り上がり、ウィルが調子に乗って歌い続けたことで、ブーイングの対象はマーカスからウィルに移り、結果的にマーカスは嘲笑の対象になることから逃れ、母親との信頼関係を取り戻す。その様子を観客席で見ていたレイチェルはウィルとの付き合いを続けることになり、マーカスや大勢の仲間とともに楽しいパーティをするのだった。

ウィルとマーカスが独白を交えながら行動を起こすという演出が面白い。ウィルとフィオナが結ばれるのかと思いきや、そうはならず、レイチェルとうまく行きそうだがほのめかす程度という余韻のある終わり方もよかった。あらためて「(仕事)何してるの」という素朴な質問は、無職の人にはキツいんだろうな、と再認識した。

【5段階評価】3

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2020年12月25日 (金)

(2277) サカサマのパテマ

【監督】吉浦康裕
【出演】藤井ゆきよ(声)、岡本信彦(声)、土師孝也(声)、大畑伸太郎(声)、ふくまつ進紗(声)
【制作】2013年、日本

互いの重力の向きが反転している二人がともに敵と戦う姿を描いたアニメ作品。

外の世界に出るなという掟の中、空のない世界で暮らす少女パテマ(藤井ゆきよ)は、ある日、重力が反転している巨大な穴に落下。その先で重力の向きが逆の世界で暮らしている少年、エイジ(岡本信彦)に出会う。エイジの世界はアイガと呼ばれ、支配者のイザムラ(土師孝也)は、重力が逆転した世界の少女パテマを捕らえる。エイジはパテマを助け出し、互いに反転したまま抱き合う。おもりを付けられたパテマの影響で、二人はエイジの世界でいう空高くに上昇。そこには、エイジが空の星と思っていた光を放つ建造物が建ち並ぶ世界があった。エイジとパテマは、かつてエイジの父エイイチが、パテマの世界の冒険家ラゴス(加藤将之)とともに作った飛行船を発見。エイジはパテマとともにそれに乗って再度下降し、パテマの住む世界に向かう。イザムラに追われた二人はパテマの世界をさらに落下(パテマにとっては上昇)。その最下層でのイザムラとの戦いの最中、地面(パテマにとっては天上)が割れる。下には空が広がっていた。イザムラは飛行船とともに空に落下していく。そこは本当の空が広がる世界だった。サカサマのエイジはパテマとサカサマに抱き合いながら、新しい世界に踏み出すのだった。

互いに重力が反転しているという設定は面白い。ただ、終始、登場人物の上下が反対なので、見ていて安定感がなく、ストレスを感じた。物理的にもなかなか説明が難しいので、完全な想像の世界と捉えた方がいい。若い男女が互いに上下反対で抱き合い続ける作品はなかなか観たことがないが、これに憧れるかは人それぞれだ。
ちなみに、エンディングの世界(おそらく我々の世界)をもとに図示すると、それぞれの世界はこうなっている。

エンディングの世界(重力の向きは↓)
---割れた地面---
パテマの世界(重力の向きは↓)
---鉄格子の区切り---
エイジの世界(重力の向きは↑)
------
エイイチの飛行船の残骸がある世界(重力の向きは↓)

エイジの世界からすると、パテマはサカサマなのだが、エンディングの世界からすると、パテマ達が同じ重力の向きの地下世界に住んでいて、エイジたちがサカサマの重力の状態でさらにその地底深くの狭い世界に住んでおり、エイイチはさらにその地下深くを目指して進んでいたということだった。

【5段階評価】3

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2020年12月24日 (木)

(2276) ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ

【監督】ステファノ・ソリマ
【出演】ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、イザベラ・モナー、イライジャ・ロドリゲス
【制作】2018年、アメリカ

アメリカとメキシコの国境で起きる不法入国と麻薬組織を巡る事件を描いた作品。「ボーダーライン」の続編。

アメリカのカンザスで自爆テロ事件が発生。犯人はメキシコから不法入国したと考えた国防長官(マシュー・モディーン)は、不法入国ビジネスを仕切る麻薬組織の壊滅をCIAのマット・クレイバー(ジョシュ・ブローリン)に指示。マットは麻薬組織に家族を殺された恨みを持つコロンビアの元検察官アレハンドロ・ギリック(ベニチオ・デル・トロ)に協力を依頼。二人は仲間とともに、麻薬組織のボス、レイエスの娘イザベル(イザベラ・モナー)を覆面をして誘拐すると、ライバル組織の仕業に見せかけて逃走。その後、彼女を救出した組織としてイザベルに顔を見せ、メキシコに連れ帰ることにする。ところが彼らを護送するメキシコ警察部隊が麻薬組織に買収されており、荒野の中でマットらの車両を攻撃。マットらはメキシコの警官を皆殺しにする。銃撃戦の合間に、イザベルは逃げてしまったため、アレハンドロはマットらと別行動を取って彼女を追いかける。
アメリカ政府は、メキシコとの関係悪化を恐れ、作戦の中止を決定。作戦を闇に葬るため、工作員のアレハンドロとイザベルの抹殺指令がマットに下される。マットはアレハンドロにイザベルを始末するよう指示するが、アレハンドロは拒否。彼はイザベルを連れて不法入国業者の手引きでアメリカに渡ることにする。ところが業者の一人、ミゲル(イライジャ・ロドリゲス)が偶然アレハンドロを見かけていたため、アレハンドロが単なる不法入国希望者ではないことがばれてしまい、誘拐されたことがテレビニュースになっていたイザベルにも気づかれてしまう。アレハンドロは人気のない荒野に連れて行かれ、ミゲルに頭部を撃たれてしまう。その様子を衛星画像で確認したマットは、イザベルを連れ去った車を追跡し、乗っていた連中を全員射殺すると、命令を無視してイザベルを救出。証人保護プログラムに乗せるため、アメリカに連れ帰る。死んだと思われたアレハンドロだったが、銃弾は頬を貫通しており、一命を取り留めていた。一年後、アレハンドロはミゲルを探し当て、「将来の話をしよう」と言ってミゲルと二人きりの部屋のドアを閉じるのだった。

序盤はメキシコからアメリカへの不法入国の様子が生々しく描かれており、これを見ると「トランプ大統領がメキシコ国境に壁を作るってこれを防ぐということだったのね」と、島国の日本国民には想像できなかった公約に妙に納得がいったりした。
アクションシーンの迫力とリアリティはなかなかのできばえだが、ドキュメンタリー風の写実性がよかった前作に比べると、話がだいぶ作り話めいており、悪者が安っぽく皆殺しになる場面も多く、過激映像が売りのエンタテインメント作品になっていた。

【5段階評価】4

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2020年12月23日 (水)

(2275) ボーダーライン

【監督】ドゥニ・ビルヌーブ
【出演】エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ダニエル・カルーヤ
【制作】2015年、アメリカ

麻薬密輸組織を捜査する人々を描いたアクションサスペンス作品。

誘拐事件を捜査していたFBI捜査官のケイト・メイサー(エミリー・ブラント)は、踏み込んだ家の中で大量の死体を発見。彼女は黒幕となる麻薬組織を捜査するため、国防総省のマット・グレイバー(ジョシュ・ブローリン)のチームに参加する。マットのパートナー、アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)とともに、麻薬組織の重要人物ギレルモ(エドガー・アレオラ)をメキシコからアメリカに護送するが、国境手前で渋滞しているところに、麻薬組織の一味が乗っていると思われる車が2台現れる。マットのチームは、多くの一般人の車がいる中で、彼らを銃殺。ケイト自身も、麻薬組織に買収された警官に狙われたため、相手を射殺する。ケイトはマットやアレハンドロのやり方にいらだちを感じる。
マットとアレハンドロはギレルモから、密入国用のトンネルの場所を聞き出し、捜査に向かう。しかし、アレハンドロの目的は私怨を晴らすことにあった。一方のマットは、アレハンドロの協力を得て、麻薬組織に混乱を起こして秩序を取り戻すことを狙っていた。アレハンドロはトンネルを抜けてメキシコに出ると、麻薬密輸に絡んでいる警官シルビオ(マキシミリアーノ・ヘルナンデス)を銃で脅して、組織のボス、マニュエル・ディアス(ベルナルド・サラシーノ)の車を止めさせる。アレハンドロはシルビオを射殺してディアスの足を撃ち、ディアスの車でソノラ・カルテルの麻薬王ファウスト・アラルコン(フリオ・セサール・セディージョ)の屋敷に侵入。ガード係を次々と射殺してアラルコン一家のディナーの場に現れる。アレハンドロは、容赦なくアラルコンの二人の子どもと妻を撃ち殺すと、アラルコンにもとどめを刺す。アレハンドロの妻と娘はアラルコンによって惨殺されていたのだ。
アメリカに戻ったアレハンドロはケイトのもとに現れ、捜査が適法であったという文書に無理矢理サインをさせる。ケイトは帰って行くアレハンドロに銃を向けるが、引き金を引くことはできなかった。メキシコでは、父の死を知らないシルビオの子どもが、母親に見守られてサッカーをしている。どこかでマシンガンの音が鳴り響き、人々は顔を上げるが、何事もなかったかのようにサッカーは続くのだった。

オープニングの死体発見や小屋の爆発、死体が吊り下げられている市街地を走り抜ける捜査車両など、ドキュメンタリー映画のようなシリアスな映像。コミカルな要素は一切なく、麻薬に汚染されたメキシコとアメリカの国境の状況がリアルに描かれている。メキシコの町並みや人々の暮らしの様子も興味深く、なかなか近づくことのできない地区の様子が感じ取れるのも作品の魅力になっている。
アレハンドロがアラルコンの屋敷に侵入するシーンは、警備の甘さにご都合主義を感じたが、女性捜査官の視点で物語を進めたり、名もないメキシコ警官の家族のシーンをメインストーリーに絡めたりと、脚本も巧み。BS12土曜洋画劇場が扱う作品は秀作が多い。

【5段階評価】5

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2020年12月22日 (火)

(2274) THE PROMISE/君への誓い

【監督】テリー・ジョージ
【出演】オスカー・アイザック、シャルロット・ルボン、クリスチャン・ベール、ショーレ・アグダシュルー
【制作】2017年、アメリカ

トルコによるアルメニア人虐殺を生き延びる人々を描いた歴史ドラマ。

1914年、南アナトニアの村シルンで薬剤師をしているアルメニア人のミカエル・ボゴシアン(オスカー・アイザック)は、地元の娘マルタ(ショーレ・アグダシュルー)と婚約し、その持参金を元手に医学生となる。知人の家に住むことになったミカエルは、そこで家庭教師をしている美しい女性アナ・ケサリアン(シャルロット・ルボン)と知り合う。アナはアメリカ人のAP通信記者クリス・マイヤーズ(クリスチャン・ベール)と恋仲にあったが、アナはミカエルを好きになり、ある晩、二人は結ばれる。
トルコ軍によるアルメニア人の迫害が始まり、ミカエルも捕らえられて奴隷のように働かされるが、仲間の一人が爆薬でトルコ兵を爆死させた際の混乱に乗じて脱走。故郷のシルンに戻る。両親と再会したミカエルは、山奥でマルタと挙式し、夫婦となる。やがてマルタは身ごもる。その頃、アナはミカエルに会うため、クリスとともにシルンに来ていた。ミカエルはアナと再会し、孤児達を国外に避難させようとするアナに、自分と家族を同行させてもらうよう依頼。アナはミカエルに妻がいることにショックを受けつつも、彼の頼みを受け入れる。孤児を連れたアナの一団は、シルンに向かうが、そこはすでにトルコ軍虐殺の手が及んでいた。村人は虐殺され、ミカエルの父親もマルタも殺されていた。ミカエルはかろうじて息があった母親を救い出すが、彼女もやがて亡くなる。アナらが目指していた村からも人々は追い出されており、村長が指揮を執って迫り来るトルコ軍に抵抗。ミカエルらも合流して彼らとともに戦う。
一方、クリスはスパイ容疑でトルコ軍に殺されそうになりながらも、アメリカ大使館の力でなんとか解放されると、フランス軍のフルネ提督(ジャン・レノ)の戦艦に乗り、アナらの救出に向かう。アナたちはフランス軍艦のいる海岸を目指し、ボートで脱出を図るが、トルコ軍の砲撃によってアナは海に落ち、帰らぬ人となる。ミカエルはクリスの手引きでアメリカに渡り、生き残った少女を養女にしてアメリカで医師となるのだった。

日本人にはおそらくあまりなじみのない、オスマン帝国によるアルメニア人虐殺を描いた重厚な作品。何の罪もない人々を、民族を理由に虐殺するという状況に、強いショックと理不尽さを禁じ得ない。地球を侵略するエイリアンより、人々を襲うゾンビより、目に見えない殺人ウィルスより、まともな人が人を襲い、殺戮するという方が、本当に恐ろしい。本作は、トルコ軍を一方的に悪者として、アルメニア人を一方的に罪なき人々として描いており、捉え方はややストレオタイプであったり、身ごもったマルタが死んだり最後の最後でアナが死んだりするのも、ちょっとドラマティックにしすぎと感じる面はあったりするものの、運命に翻弄されながらも必死で生き続ける人々を描きながら、歴史的なできごとを映画史に刻む作品としては十分に魅力的だった。

【5段階評価】4

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2020年12月21日 (月)

(2273) 落下の王国

【監督】ターセム
【出演】リー・ペイス、カティンカ・アンタルー、ロビン・スミス、マーカス・ウェズリー、レオ・ビル
【制作】2006年、インド、イギリス、アメリカ

入院中のスタントマンが少女に聞かせるおとぎ話を描いたファンタジー作品。

オレンジ畑での収穫作業中に木から落ちて腕を骨折した少女、アレクサンドリア(カティンカ・アンタルー)は、スタントマンのロイ・ウォーカー(リー・ペイス)と出会う。ロイはアレクサンドリアの関心を引こうとして、おとぎ話を聞かせる。ロイはスタントに失敗して足に重傷を負い、自殺するため、話の続きをせがむアレクサンドリアにモルフィネの錠剤を持ってこさせようとする。しかし、錠剤の数が少なかったり、モルフィネだと思ったら砂糖だったりして、自殺はうまく行かない。自暴自棄になって暴れるロイを見て、アレクサンドリアはモルフィネがないから寝られないのだと勘違いし、モルフィネを取ろうと高い棚に登り、落下してしまう。ロイは自らの行為を後悔し、アレクサンドリアに話の続きを聞かせる。しかし、ロイの話は悲しく、登場人物は次々と命を落とす。主人公の山賊(リー・ペイス)もかたき役のオウディアス総督(ダニエル・カルタジローン)にやられてしまうが、アレクサンドリアは彼を殺さないでと泣いて頼み、ロイは山賊を復活させる。
アレクサンドリアは退院し、元気にオレンジ畑を走り回るのだった。

砂漠の中に砂浜が現れたり、岩山に緑豊かな土地が現れたり、歴史的な建造物もリアルで凝った映像が楽しい。一方で物語はというと、正直難解。オープニングの橋のシーンも何を意図しているのか掴みきれず、現実世界の人物の描写が足りないので、おとぎ話の中の人物が同一であることの意味合いも把握できない。監督の思いが独創的すぎて観客を置き去りにしている作品だった。

【5段階評価】2

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2020年12月20日 (日)

(2272) そらのレストラン

【監督】深川栄洋
【出演】大泉洋、本上まなみ、高橋努、マキタスポーツ、岡田将生、風吹ジュン、小日向文世、庄野凛
【制作】2019年、日本

北海道の酪農家が仲間とレストランを開く過程を描いたヒューマンドラマ。

亡くなった父を継いで北海道の酪農家となった設楽亘理(大泉洋)は、師匠の大谷(小日向文世)の指導でチーズ作りに勤しんでいる。妻のこと絵(本上まなみ)は、ある冬の夜、亘理の牧場を扱った記事を握りしめて突然、亘理の前に現れ、そのまま結婚した女性で、二人の間には潮莉(庄野凛)という幼い娘がいた。
亘理は、妻と別れた野菜農家の冨永芳樹(高橋努)や、添加物に反応する自分のアトピーを克服するため自ら無農薬作物を作っている石村甲介(マキタスポーツ)、脱サラして羊の酪農を営む若い神戸陽太郎(岡田将生)、イカ釣り漁師の野添隆史(石崎ひゅーい)らと仲よく暮らし、彼らの作物に感激した有名シェフ朝田一行(眞島秀和)も仲間に加わり、彼らの作った素材を生かした料理をふるまうレストランを開くことを計画。ところが大谷が持病の悪化で亡くなってしまい、看護師の妻(安藤玉恵)を持つ甲介が大谷の病状を隠していたことから芳樹との関係が悪化。大谷のチーズ作りを体得できなかった亘理はチーズ作りをやめると言い出す。芳樹は亘理の逃げ腰の態度に激怒するが、全てを決める前に大谷のチーズ工房を見てみろと亘理に告げる。そこには、注文生産のみをしていた大谷が唯一残していた古いチーズがあった。そのチーズには、10年前、父を継いだ亘理が初めて大谷に牛乳を納入した日付が書かれていた。それは大谷が亘理に託したチーズだったのだ。亘理はそのチーズを口にし、そのおいしさに涙する。亘理はあらためて、大谷のチーズではなく自分のチーズを追い求めることを心に誓う。こうして彼らのレストランはオープン。大谷の妻、佐弥子(風吹ジュン)をはじめ、招待客達はその味に感動する。亘理とこと絵は満足そうに微笑むのだった。

ほのぼのとした作品。中盤は人の死やら友人同士の喧嘩やらで少々どろどろするが、陽太郎が道化役になったり、こと絵が慰め役になったりして、全体的には涙を誘う静かな感動作に仕上がっている。UFOを呼ぶくだりが必要だったのかは、今ひとつ判然とはしなかったのと、レストランで料理をふるまうときに、農家一人一人が口上を述べるシーンはちょっとベタすぎて、もう少ししゃれた演出があってもよかったかなと感じた。マキタスポーツが意外とはまり役だった。

【5段階評価】4

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2020年12月19日 (土)

(2271) 昼顔

【監督】ルイス・ブニュエル
【出演】カトリーヌ・ドヌーブ、ジャン・ソレル、ジュヌビエーブ・パージュ、ミシェル・ピッコリ、ピエール・クレマンティ
【制作】1967年、フランス、イタリア

娼婦になった人妻の運命を描いた作品。

医者の夫ピエール(ジャン・ソレル)を持つセブリーヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は裕福な暮らしをしていたが、夫と愛し合うことができずにいた。夢の中でセブリーヌはピエールと馬車に乗っているが、突如ピエールはセブリーヌを馬車から引きずり下ろし、御者に妻を犯させる。セブリーヌは夫に陵辱される夢を見る日々を送っているのだった。
彼女はピエールの友人ユッソン(ミシェル・ピッコリ)から娼婦宿の話を聞き、そこを訪ねて昼顔という名の娼婦になる。やがて麻薬商売に手を出している若者マルセル(ピエール・クレマンティ)に一方的に思いを寄せられ、さらにはユッソンにも娼婦をしていることがばれてしまい、娼婦をやめるが、マルセルはセブリーヌの家をつきとめ、セブリーヌの夫ピエールを銃撃。逃げたところを警官に射殺される。ピエールは全身麻痺となってしまう。
セブリーヌは退院したピエールを献身的に介護し、夢を見なくなったと夫に告げる。そこにユッソンが現れる。彼は、ピエールはセブリーヌに負い目を感じて苦しんでいるから、セブリーヌが娼婦をしていたことをピエールに告げる、とセブリーヌに言い、ピエールのいる部屋に入っていく。ユッソンが去り、セブリーヌが部屋に入ると、ピエールは涙を流していた。その顔を見て、なぜかセブリーヌは微笑む。彼女はピエールが元の体に戻る幻想を見ていた。馬車の走る音が聞こえてくる。馬車には誰も乗っていないのだった。

日本人には、上戸彩・斎藤工のドラマのほうになじみがあるだろうが、オリジナルはこちら。題材が売春であるだけにPG12指定だが、映像的などぎつさはない。現実と虚構が入り交じる展開は文学的。オープニングの妄想シーンでセブリーヌは夫と馬車に乗っており、ラストシーンでは誰も乗っていない同じ馬車が走り去るのだが、こういう難解な表現は好きではない。
ちなみにカトリーヌ・ドヌーブはいしだあゆみに似ていた。

【5段階評価】2

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2020年12月18日 (金)

(2270) PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星

【監督】マーク・アトキンス
【出演】リンジー・サリバン、ブランドン・オーレ、ステファニー・ベラン、
【制作】2016年、アメリカ

陸地が水没した地球で、鮫と戦いながら陸地を取り戻そうとする人々の奮闘を描いた動物パニック作品。

陸地が水没した地球で、海上にいかだを浮かべて暮らす人々が鮫に襲われる。ボートの船長バリック(ブランドン・オーレ)は、生き残った少女ビー(ローレン・ジョセフ)を救出。女性科学者のショー(リンジー・サリバン)やニコルス(ステファニー・ベラン)らは、レーザービームを使って海底火山を噴火させ、鮫を倒すが、巨大な母ザメは生き残る。母ザメは電波の交信で群れを統率していることを突き止めたショーとニコルスは、母ザメの電気を使って地球温暖化を止めるロケットを発射させるが、ショーは母ザメの犠牲となる。6ヶ月御、生き残ったバリック、ニコルス、ビーは、自由の女神やニューヨークの高層ビル群が海上に現れるのを見て喜ぶのだった。

オープニングで海上集落が鮫の大群に襲われるシーンは、明らかにCGな鮫が、海に落ちる人と微妙に重なって空中を飛ぶという、できの悪いレーザーディスクのゲームのような映像。これがこのまま続くのかとげんなりしていたら、それ以降は多少ましだった。・・・いや、違う。最初に思いっきりしょぼいのを出すと、それ以降のCGのショボさに目が慣れ、それなりに見ることができてしまっているだけだった。
これどうみても浅瀬ですよね、というようなところで撮影し、鮫やロケット、大破するボートなどはことごとくCGという低予算ぶり。近未来なのにあえてブラウン管モニタや初代iMacを使っているのは、ジャンク品を使っただけなのか、あえて時代の匿名性を狙ったのか。意外と巧みかもしれない。ただ、もっともらしい科学的な方法で鮫を退治したり地球温暖化を止めたりするのだが、その理屈は皆目分からなかった。
B級映画と斬ってしまえばそれまでだが、完全にばかばかしいわけではなく、それなりに鑑賞に堪えられる作品だった。

【5段階評価】3

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2020年12月17日 (木)

(2269) 孫文の義士団

【監督】テディ・チャン
【出演】ワン・シュエチー、ファン・ビンビン、ワン・ポーチエ、ドニー・イェン、フー・ジュン、ニコラス・ツェー、レオン・ライ
【制作】2009年、香港、中国

孫文を守護する義士団の奮闘を描いた歴史アクション作品。

イギリス植民地の香港に、清朝の打倒を目指す孫文が来ることになる。清朝は孫文の暗殺団を香港に送る。商人のリー・ユータン(ワン・シュエチー)は孫文を守護する計画に加わり、車夫のアスー(ニコラス・ツェー)や大男のワン・フーミン(メンケ・バータル)、父親を殺された劇団員の少女ホン(クリス・リー)、鉄扇の使い手リウ・ユーバイ(レオン・ライ)らを味方に付ける。ユータンの妻ユエル(ファン・ビンビン)は、ユータンを守ってほしいと別れた夫シェン・チョンヤン(ドニー・イェン)に頼む。拒絶するチョンヤンだったが、ユエルとの間に産まれた幼い娘を幸せのため、応じることにする。ユエルは、博打好きのチョンヤンでは、幼い娘を幸せにすることができないと考え、彼と別れてユータンと再婚しており、チョンヤンは幼い娘の父親としての誇りを重んじだのだった。
計画を主導するチェン・シャオバイ(レオン・カーフェイ)は、孫文の安全を守るため、影武者を立てることにし、くじの結果、ユータンの愛する息子チョングワン(ワン・ポーチエ)が選ばれる。いよいよ孫文が香港に上陸し、革命を主導するために集められた指導者達のもとに向かう。アスーやホン、フーミンらは孫文を守ろうと奮闘するが、次々と命を落とす。チョンヤンは暗殺団のボス、イエン(フー・ジュン)の突進を止めるため、彼の馬に体当たりして絶命。強靱な生命力を持つイエンは次々と義士団を倒し、影武者のチョングワンも滅多刺しにされてしまう。最後はイエンの師匠であったチェン・シャオバイが銃でイエンを倒す。その場に現れたユータンは、息子が影武者として死んだことを知り、涙を流す。彼らの貴い犠牲により、孫文の革命は成り、清朝は滅ぶのだった。

多くの人物が登場するが、それぞれの革命に賭ける思いが丁寧に描かれ、重層的なドラマに仕上がっている。アクション映画よりも歴史ドラマと呼ぶ方がふさわしいだろう。アクションシーンは若干過激なためか、R15+に指定されている。ドニー・イェンが主役とされているようだが、彼は助演で、ユータンとチョングワンの親子愛の方が主題だと感じた。

【5段階評価】4

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2020年12月16日 (水)

(2268) ソウル・ステーション/パンデミック

【監督】ヨン・サンホ
【出演】シム・ウンギョン(声)、イ・ジュン(声)、リュ・スンリョン(声)
【制作】2016年、韓国

韓国のアニメゾンビ作品。「新感染 ファイナル・エクスプレス」の前日譚。

ソウル駅の近くで、首から血を流した老人が苦しみながら駅構内の通路に横たわる。男はしばらくして息絶えるが、やがてゾンビとして人を襲い出す。働いていた風俗店から逃げ出した若い女性ヘソン(シム・ウンギョン)は、キウンという青年と暮らしていたが、金のないキウン(イ・ジュン)はヘソンに売春を強要し、彼女の画像をネットにアップしてカモを引っかけようとしていた。キウンは連絡をしてきた男(リュ・スンリョン)と会うが、男はヘソンの父親ソッキュで、ヘソンに会わせろとキウンに命じる。キウンは自分の部屋にソッキュを連れて行くが、隣の部屋の中年女性がゾンビ化しており、ソッキュとキウンに襲いかかる。二人はゾンビをかいくぐってソッキュの車に乗り込み、ヘソンを探す。
キウンもソウル駅でゾンビの集団に襲われ、逃げ込んだ派出所もゾンビだらけとなり、ホームレスの中年男性と逃走。地下鉄のトンネルを抜けた先でゾンビに追われるが、バリケードを築いて市民を守りながら抗戦している若者達に助けられる。ヘソンの居場所を電話で聞いたキウンとソッキュはヘソンを助けようとするが、機動隊がバリケードを築いていて近づけない。やがてバリケード内にゾンビが押し寄せ、機動隊は感染していない市民ともども攻撃を始める。ヘソンは何とか電線にぶら下がって塀に登り、足首をゾンビにひっかかれながらも脱出。逃げ込んだ先はマンションのモデルルームだった。電話が通じたキウンがやっとヘソンを見つける。そこにソッキュも現れるが、ヘソンはその顔を見て驚く。ソッキュはヘソンの父親ではなく、逃げ出した風俗店の店長だったのだ。ソッキュはヘソンを罵倒して借金を返させようとし、かばうキウンの首を包丁で掻き切って殺してしまう。逃げるヘソンを捕まえたソッキュは、モデルルームのベッドにヘソンを押し倒すが、ヘソンは動かなくなる。ソッキュがヘソンの足首を見ると、感染者特有の緑の血管が浮き出ていた。ゾンビと化したヘソンはソッキュに襲いかかる。モデルルームにソッキュの絶叫が響く。町はゾンビであふれ、機動隊がゾンビを撃ち続けるのだった。

ヘソンを必死で助けだそうとする男がヘソンの父親だと思い込んでいたら、実はヘソンの借金踏み倒しに怒り心頭の風俗店長だったという、ちょっとしたどんでん返しはあるものの、典型的なゾンビ映画で、全く希望のないバッドエンドの作品だった。なぜ父親がヘソンの電話に出ないでキウンにやりとりを任せているのか、と思っていたら、電話に出ると父親ではないことがバレるので、電話に出ないようにしていたのは、きちんとした伏線回収だったが、であれば、キウンがソッキュに「電話替わりましょうか」ぐらい言ってソッキュが拒否するぐらいしっかりと伏線を張った方がよかった。また、ヘソンの外出用とは思えない超ミニのワンピースと白パンティという姿も、意味があるのかよく分からなかった。ソウル市街をゾンビが埋め尽くす中に、ピンクと白のボーダーのワンピースを着たゾンビが混じっている、というような描写があれば、それらしかったのだが。
面白い映画ではあったが、猛烈な勢いで人間に襲いかかる姿は、まんま「アイアムアヒーロー」で、なんでわざわざこんな典型的なゾンビ映画をアニメで作ったのか、というのは謎だった。韓国の貧困や失業の問題をえぐる作品と見る向きもあるようだが、こじつけのように思える。

【5段階評価】4

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2020年12月15日 (火)

(2267) 女囚701号 さそり

【監督】伊藤俊也
【出演】梶芽衣子、夏八木勲、横山リエ、渡辺やよい、扇ひろ子、渡辺文雄、小林稔侍、太古八郎
【制作】1972年、日本

男に騙され投獄された女囚の脱獄と復讐劇を描いた作品。

汚職刑事の杉見次雄(夏八木勲)に騙され、投獄された松島ナミ(梶芽衣子)は、持ち前の精神力で脱獄を試みるが失敗。杉見は、事故に見せかけてナミを殺すよう、女囚の一人、片桐(横山リエ)に命じる。ナミは刑務所長の郷田毅(渡辺文雄)からも目の敵にされ、拷問に近い重労働をさせられるが、それに耐え、反撃の機会を伺う。ある日、重労働に耐えかねた女囚達が反乱を起こし、看守を人質にとって立てこもる。みんなが寝静まった頃を見計らって片桐はナミを殺害しようとするが、女囚のリーダー格進藤梨恵(扇ひろ子)がそれを見破る。看守側が籠城した工場内に入り、混乱状態の中、ナミは灯油に火を付け、刑務所を脱走。シャバに出たナミは自分を騙した男達を次々と殺害。最後に杉見も殺し、恨みを晴らすと、再び女囚として収監されるのだった。

昭和のエログロ作品。オープニングから素っ裸の女囚が、いやらしい目つきの看守の前を歩き、物語の中でも、ことあるごとに女囚は服を破り捨てられ、人質に取った看守になぜか女が裸で群がる。穴を掘って埋めるという無意味な重労働を囚人に課したり、独房の囚人にみそ汁をかけたりの暴行が横行したり、妄想全開の荒唐無稽な作り話。それでも出演俳優は本格的。当時の大衆娯楽を知る意味では、一見の価値ありだろうか。

【5段階評価】3

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2020年12月14日 (月)

(2266) 半世界

【監督】阪本順治
【出演】稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、杉田雷麟、石橋蓮司
【制作】2019年、日本

炭作り職人の家族と友人との触れ合いを描いた人間ドラマ。

父親の仕事を継いで備長炭作りの職人となった高村紘(稲垣吾郎)は妻の初乃(池脇千鶴)、中3の息子、明(杉田雷麟)と三重のとある田舎で暮らしている。彼の住む町に、中学の同級生、沖山瑛介(長谷川博己)が自衛隊を辞め、帰ってくる。紘はもう一人の親友、岩井光彦(渋川清彦)とともに瑛介を歓迎するが、瑛介はどこか沈んでいた。紘は家に閉じこもっている瑛介に自分の仕事を手伝わせ、次第に瑛介は明るさを取り戻していく。
紘は明の反抗期に手を焼いていた。明はいじめに遭っていた。瑛介は明に自衛隊仕込みの戦闘術を伝え、昔は紘もその父親によく殴られていたと話す。瑛介は自分の後輩が海で死んだことを悔いていた。瑛介は紘の手伝いをやめ、漁師の仕事に就く。
明と紘の関係に修復の兆しが見えた頃、紘は仕事場で胸を押さえ、倒れてしまう。病院に運ばれたもののそのまま息を引き取る。瑛介と光彦は、中学卒業時に山奥の木の根元に埋めた空き缶を取り出し、思い出に浸ると、また空き缶を埋め戻す。いじめっ子に勝負を挑み、勝利した明は、父の仕事を継ごうと製炭場に行き、ボクシングの練習に励むのだった。

息子が父親にため口をきき、父親は息子をできが悪いと決めつける。夫婦間はけんか腰のやりとり。そんな険悪な雰囲気の高村家に、家族の絆が戻ろうとしたところで、紘が突然の死を迎える。紘の棺に自分も入ると言って泣き叫ぶ初乃の悲嘆は涙を誘う。その一方で、紘の死があまりに突然で特段の伏線もないのは気になった。誰かが死ぬのは映画ではよくある話ではあるものの、「え、なんで死んだ? 」という印象も残ってしまった。早乙女という部下の死因も、言葉だけで描かれていて、今ひとつ迫ってこなかった。

【5段階評価】3

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2020年12月13日 (日)

(2265) エリジウム

【監督】ニール・ブロムカンプ
【出演】マット・デイモン、アリシー・ブラガ、シャールト・コプリー、ジョディ・フォスター、バグネル・モーラ
【制作】2013年、アメリカ

宇宙コロニーを目指す男の死闘を描いたSF作品。

地球環境が悪化し、富裕層が宇宙コロニー「エリジウム」で暮らすようになった社会。地球のスラムで暮らす青年マックス(マット・デイモン)は、工場勤務中に事故で致死量の放射能を浴びてしまう。エリジウムにある高性能医療マシンを使って治療するため、闇商人のスパイダー(バグネル・モーラ)を訪ねる。スパイダーは、エリジウムに連れて行く条件として、富裕層の一人である工場支配人カーライル(ウィリアム・フィクナー)の脳内データを抽出する器具をマックスに取り付け、カーライルを襲わせる。データ抽出に成功したマックスだったが、エリジウムの防衛長官ジェシカ・デラコート(ジョディ・フォスター)は、地球に住む傭兵クルーガー(シャールト・コプリー)を使ってマックスのデータを奪還しようとする。負傷したマックスは、幼なじみの看護師フレイ(アリシー・ブラガ)に助けを求める。フレイはマックスを自宅に連れ帰り、手当てをする。フレイには地球では治癒の見込みのない白血病を患っており、自分の娘をエリジウムに連れて行くことを望んでいた。マックスは助けることはできないと言い、自分がここにいてはフレイと子どもが危ないと家を去る。そこにクルーガーが現れ、フレイ親子を拉致。マックスはクルーガーの前に姿を現し、フレイの乗せられているクルーガーの飛行艇に乗り込む。ジェシカはクルーガーをエリジウムに呼び寄せるが、クルーガーはジェシカを殺害し、エリジウムを支配しようとする。マックスは死闘の末クルーガーを倒すと、スパイダーとともに、自分の脳に残された電子記憶を使ってエリジウムを再起動。電子記憶を抽出するとマックスは命を落とすことになるが、マックスはその運命を受け入れる。それにより、エリジウム市民にのみ認められていた権利が全員に開放され、フレイの子の白血病は完治する。富裕層にのみ与えられていたエリジウムの高度技術は、地球に住む人々にも開放されることになるのだった。

万能医療マシン、地球と宇宙を行き来できる飛行艇、記憶を抽出できる電子デバイス。電子データを抜くと死んでしまうという状況設定。とても都合のいい条件が揃っていて、分かりやすいものの、ちょっとできすぎの話だった。その一方で、お金はコインだったり、電子デバイスはコードとコネクタで更生されていたり、相変わらず戦闘は爆弾だの銃だの物理的な攻撃が中心だったり、100年経ってもそんな感じなの、というところもあったりした。とはいえ、映像は美しく独創的。今回はBSフジ4Kで観たので、その映像美を十分楽しめた。ただ、BSフジ4Kは日本語字幕がなく、エンドロールなども流さないのが残念。BSなんだから、もう少し贅沢に時間を使ってほしい。まあ、吹き替えのみで字幕どころかオリジナル音声も放送しないBS TBS4Kよりはましだが。

【5段階評価】4

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2020年12月12日 (土)

(2264) スター・トレック BEYOND

【監督】ジャスティン・リン
【出演】クリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、イドリス・エルバ、ソフィア・ブテラ
【制作】2016年、アメリカ

「スター・トレック」シリーズ第13作。「スター・トレック イントゥ・ダークネス」の続編。序盤でいきなりエンタープライズ号が撃沈するという衝撃的な作品。

カーク船長(クリス・パイン)が率いるエンタープライズ号は、宇宙基地ヨークタウンに到着。カークらは、異星人カラーラ(リディア・ウィルソン)の救助の求めに応じ、カラーラの仲間が不時着したという惑星アルタミッドに向かう。しかし、エンタープライズ号は途中で大量の小型機に襲われる。やがて小型機内の部隊がエンタープライズ号内に侵入。ボスのクラール(イドリス・エルバ)もエンタープライズ号内に入り、艦内に保管されていた太古の武器アブロナスを奪おうとするが、カークが阻止。しかし激しい攻撃によりエンタープライズは惑星に墜落。多くの乗組員はクラールの部隊の捕虜になってしまう。カラーラも実はクラールの一味だったが、エンタープライズ号の下敷きになり死亡する。
脱出ポッドで惑星に降り立ったエンジニアのスコット(サイモン・ペッグ)はジェイラ(ソフィア・ブテラ)という異星人と出会い、ジェイラの家に向かう。その家とは、地球の古い宇宙船フランクリン号だった。同様に惑星にたどり着いたカークはチェコフ(アントン・イェルチン)と合流。スポック(ザカリー・クイント)とレナード(カール・アーバン)も惑星に到着し、やがて彼らは合流する。
カークらは捕虜となったウフーラ(ゾーイ・サルダナ)らを助けるため、カークが囮となってクラールの基地に突っ込み、仲間の救出に成功。しかしクラールはクルーが持っていたアブロナスを入手し、大量の小型機でヨークタウンに総攻撃をかける。カークらはフランクリン号で後を追うと、彼らが交信によって統率力の高い編隊飛行をしていることを利用し、彼らの交信にロック音楽を混信させて小型機の編隊を無力化。ヨークタウンに侵入したクラールの小型機の侵攻をフランクリン号の体当たりで阻止する。
クラールの行方を確かめるため、フランクリン号を調べていたウフーラとカークは、クラールの正体がフランクリン号の船長バルタザール・エディソンであることに気づく。彼は惑星連邦に裏切られた恨みからヨークタウンを住民もろとも全滅させようとしていたのだ。クラールは中央部の大気制御装置でアブロナスを起動させようとするが、カークがそれを阻止。クラールはアブロナスとともに宇宙空間に放出される。カークらは無事を祝うパーティを開き、再建中のエンタープライズ号を見上げるのだった。

CG全盛の特撮には飽きると何度か書いたものの、本作の特撮は出色の出来。しかも今回はNHK BS4Kでの視聴だったので、映像だけでなくサラウンド音響も素晴らしかった。何で宇宙人のクラールが英語を話すのよ、というところも実は伏線で、実はもとは人間だったという落ち。ジェイラが英語ペラペラなのはフランクリン号内で学んだため、という設定はちょっと苦しい気もするが、まあ大目に見るんだろうな。宇宙人だし、しかも未来だし。

【5段階評価】4

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2020年12月11日 (金)

(2263) こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

【監督】前田哲
【出演】大泉洋、高畑充希、三浦春馬、萩原聖人、綾戸智恵、原田美枝子、佐藤浩市
【制作】2018年、日本

筋ジストロフィー症を患った男性とボランティアとの交流を描いた、実話に基づく作品。

小学生の時に筋ジストロフィー症を患った鹿野靖明(大泉洋)は、入院を拒否してボランティアの助けを得ながら自宅で暮らしていた。ボランティアの一人、医大生の田中久(三浦春馬)を彼氏に持つ安堂美咲(高畑充希)は、久の様子を見に鹿野の家を訪ねる。鹿野のわがままぶりを嫌悪していた美咲だったが、次第に彼の人柄を気に入るようになる。美咲はフリーターだったが、医大生と合コンするため、教育大生だと嘘をついており、それを久に告白したことから関係がギクシャクし始める。美咲は久のことは伏せて恋人に嫌われた話を鹿野にする。すると鹿野は、だったら今から教育大に入学して先生になっちゃえ、と前向きに美咲を励ます。
鹿野は呼吸が困難になって一度入院し、人工呼吸器を付けることになる。普通は人工呼吸器をつけると話すことができなくなるのだが、美咲は人工呼吸器をつけても話せるようになった人がいるという情報を入手。鹿野はそれを訓練し、話せるようになる。一方の久は鹿野と親しくなる美咲を許せない気持ちから、医者になる自信も失い、ボランティアを辞めてしまう。鹿野は退院パーティを開き、集まった客の前で美咲に指輪を差し出しプロポーズするが、美咲は気になる人がいると言って受け取りを断る。鹿野はすっきりとした笑顔でそれを受け入れる。
鹿野はボランティア達と出かけた旅行先から、重体になったと嘘の連絡を入れて久と美咲を呼び出し、間を取り持つ。7年が過ぎ、鹿野は天に召される。久と美咲は結婚し、久は医者、美咲は教師となって人生を歩んでいくのだった。

タイトルからすると、車椅子生活の障害者に振り回されるボランティアの奮闘記だが、内容としては久と美咲の恋物語も大きな主題となっている。人工呼吸器の手術を終えて一命を取り留めた主人公が、これまで邪険に扱っていた母親(綾戸智恵)の手を握るシーンは感動的だった。
病院に担ぎ込まれたのを心配して駆けつけた美咲に、鹿野が力なく「俺もう駄目かもしれない。最後にお願いがあるんだ。」と言い、「うん、何でも言って」と返す美咲に、鹿野が「おっぱい、触らせて」と言って美咲をかつぐシーンがあり、その後、鹿野が人工呼吸器をつけたまま話せるようになったことを喜んだ美咲が、握った鹿野の手を自分の胸に当て、「おっぱい。触ってみたかったんでしょ?」というシーンも印象的だった。大泉洋、役得。

【5段階評価】4

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2020年12月10日 (木)

(2262) 127時間

【監督】ダニー・ボイル
【出演】ジェームズ・フランコ、ケイト・マーラ、アンバー・タンブリン
【制作】2010年、アメリカ、イギリス

荒野の谷底で身動きが取れなくなった男の運命を描いた、実話に基づく作品。

若き冒険家のアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は、単身でアメリカ・ユタ州のキャニオンランズに出かける。途中で出会った若い女性ハイカー、クリスティ(ケイト・マーラ)とミーガン(アンバー・タンブリン)に、地底にある池へのダイビングスポットを紹介すると、彼は再び単独で渓谷を進む。ところが、彼が谷地の岩に手をかけ、下に降りようとしたところ、岩が動いて落下し、右手が岩に挟まれ、谷底で動けなくなってしまう。食料も水もほとんどなく、あるのはロープ、安物の万能ナイフ、ビデオカメラ程度。彼は何とか岩を動かそうと努力するが、岩はびくともしない。死を覚悟した彼はビデオにメッセージを残し始める。もうろうとする意識の中で、彼は家族や友人に行き先を告げなかったことを後悔し、孤独のうちに生涯を閉じる自分の運命に思いをはせる。やがてボトルの水が底をつき、アーロンは自分の尿を飲んで渇きをしのぐ。そして縛り上げた右の前腕にナイフを突き刺し、激しい痛みに耐えながら腕を切断する。ようやく地上に出たアーロンは、ついにヘリで救助されるのだった。

荒野の谷底で動けなくなった男の話なので、状況設定は極めて限定的なわけだが、主人公の回想や幻想を映像化することで、映像に変化をつけている。大雨が降って谷に濁流が流れ込み、岩が動いて助かるシーンも、完全に主人公の妄想なのだが、最初に観たときは本当に起きたのかと思ってしまった。また、大写しになった管の中を泡の浮いた黄色い液体がせり上がってくる飲尿シーンや、腕を切断というよりちぎり取るかのようなシーンもリアルで、トラウマもの。アーロンは腕の切断に負けず、その後も冒険を続けるので、バッドエンドとは言い切れないが、悲劇的な収束を見せることは確かなので、奇跡の生還を遂げました、みたいなサクセスストーリーを期待する人には向かないかもしれない。三画面分割のオープニングなど、映像はスタイリッシュで、ダニー・ボイル監督らしい躍動感が感じられた。

【5段階評価】4

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2020年12月 9日 (水)

(2261) 家へ帰ろう

【監督】パブロ・ソラルス
【出演】ミゲル・アンヘル・ソラ、マルティン・ピロヤンスキー、アンヘラ・モリーナ、オルガ・ボウォンジ
【制作】2017年、スペイン、アルゼンチン

ナチス・ドイツのユダヤ人迫害を経験した老人が、友人と再会するための旅に出るロード・ムービー。

アルゼンチンに住む老人、ブルスティン・アブラハム(ミゲル・アンヘル・ソラ)は、老人ホームに住み替えることになり、家を売却。彼は切断を迫られるほど病んでいる右脚を引きずりながら、旧友に会うため、ヨーロッパを目指す。彼はポーランド出身で、第二次世界大戦中、ユダヤ人大虐殺を逃れ、友人に助けられていた。消息も分からない彼に会うため、アブラハムは飛行機に乗り、スペインに降り立ち、列車の旅でポーランドに向かう。列車の中でドイツ兵に罵倒される悪夢を見て倒れるが、ワルシャワの病院に運ばれる。彼は担当の看護師のゴーシャ(オルガ・ボウォンジ)に連れられ、旧友のいた建物にたどり着く。ノックをしても応答はなかったが、窓越しにミシンを扱う老人と目が合う。彼こそが、アブラハムを助けた友人だった。友人はアブラハムを抱き寄せ、「家へ帰ろう」と告げて建物に彼を招き入れる。ゴーシャはアブラハムの車椅子を建物の脇に置くと、静かに立ち去るのだった。

日本で放映されるのは珍しいスペイン映画。静かなロード・ムービーだが、最後の抱擁のシーンは目頭が思わず熱くなる。途中で出会う人々とのやりとりが、特別なことはないのに印象的で、静かな感動が広がる。本作はSTAR CHANNEL1の無料放送。正直、聞いたことのない作品だったが、STAR CHANNEL1の無料放送はけっこう外れが少ないのでお勧めだ。

【5段階評価】4

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2020年12月 8日 (火)

(2260) The焼き肉ムービー プルコギ

【監督】グ・スーヨン
【出演】松田龍平、山田優、ARATA、田村高廣、桃井かおり、田口トモロヲ
【制作】2007年、日本

焼き肉チェーン店のカリスマとホルモン焼きの店員のバトルと兄弟愛を描いたコメディ。

幼い頃、兄と離ればなれとなり、今は北九州のホルモン焼きの「プルコギ食堂」で働くタツジ(松田龍平)は、育ての親、韓老人(田村高廣)からコプチャンを料理する手ほどきを受ける日々。母親譲りのケンニプのキムチが自慢の一品。看板娘のヨリ(山田優)とともにプルコギ食堂を営み、店は地元客で賑わっていた。焼き肉チェーン「トラ王」の若きカリスマ、トラオ(ARATA)はテレビの焼き肉料理対決番組で連戦連勝。チェーン店も大人気だったが、プルコギ食堂のある北九州だけは、全く売り上げが振るわない。トラオはプルコギ食堂に出向き、出されたケンニプのキムチを食べ、何かに気づく。トラオは韓老人にテレビ出演を打診するが、韓は興味を示さない。後日、トラ王会長(桃井かおり)の腹心(田口トモロヲ)がプルコギ食堂に乗り込むが、韓老人はコプチャンを焼き上げた途端、息絶えてしまう。タツジはトラオに対決を挑むことにする。
3品勝負の対決で、はじめはトラオが優勢。2品目で両者が出したケンニプのキムチの味が同じだったことから、タツジはトラオが自分の兄であることを確信。3品目でタツジは、韓老人秘伝のコプチャン焼きを披露。審査員はその味を絶賛する。一方のトラオは途中で勝負に興味を失ったかのようになり、勝負はタツジの勝利となる。タツジはトラオを探すが、その姿はどこにもなかった。
タツジはヨリと結婚。店を営むヨリを置いて、タツジは屋台の焼き肉屋に出向く。屋台を出しているのはトラオだった。タツジはコプチャンを頼むが、トラオはうちには高級な赤肉しかないと素気ない返事。タツジが店を手伝ってやろうかと言うと、トラオは腹を抱えて笑い出し、タツジもつられて笑うのだった。

トラオとタツジが兄弟と思いきや実は違う、というどんでん返しもあるかと思ったが、素直に兄弟でした、という分かりやすい展開。ラストも、韓老人の「仲よくなりたければ一緒に飯を食え」という言葉の通り、二人で飯を食って涙するというような感動シーンが来るかと思ったら、再会した二人が馬鹿笑いをするというシーン。分かりやすいストーリーだが、松田龍平とARATAの男らしさをうまく生かした粋な味付けをしているのがよかった。この二人に涙の再会は似合わないだろう。
作中のコプチャンがうまそうで、思わず家の近くのホルモン焼きの店を探してしまったほど。トラオの出す創作焼き肉料理も、決してばかばかしくはない本格的な内容。タイトルはベタだが、きちんと作られたいい作品だった。

【5段階評価】4

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2020年12月 7日 (月)

(2259) ルパン三世 THE FIRST

【監督】山崎貴
【出演】栗田貫一(声)、広瀬すず(声)、藤原竜也(声)、吉田鋼太郎(声)、山寺宏一(声)、沢城みゆき(声)
【制作】2019年、日本

モンキー・パンチの漫画、「ルパン三世」の劇場版第10作。シリーズ初の3DCG作品。

フランスの考古学者ブレッソン教授(伊藤和晃)は、ナチスドイツも狙う秘宝、ブレッソンダイアリーと鍵となるブローチを子ども夫婦と孫娘に託し、ナチスに殺害される。ブレッソンダイアリーを狙う考古学者のランベール(吉田鋼太郎)は、孫娘のレティシア(広瀬すず)を孤児院から引き取り、自分の言いなりになる道具として彼女を育て上げる。レティシアはブレッソンダイアリーを盗み出そうとするが、ルパン三世(栗田貫一)に取り上げられてしまう。さらに峰不二子(沢城みゆき)がそれを横取りし、ランベールとナチスドイツの残党ゲラルト(藤原竜也)に渡し、報酬を得ようとするが、捕らえられてしまう。ルパンはレティシアに接近し、自分もブローチを持っていることを告げる。レティシアはルパンとともにランベールとゲラルトがいる飛行艇に潜入し、ブレッソンダイアリーを金庫から取り出し、開錠。中から本を取り出す。それは強大な力を持つ兵器「エクリプス」の制御方法を記した物だった。一度はランベールとゲラルトに本を奪われるルパンだったが、それを奪い返し、峰不二子、レティシアとともに脱出する。
ルパンはレティシアとともに、次元(小林清志)や五ェ門(浪川大輔)、不二子、さらにはインターポールの銭形警部(山寺宏一)も味方に付け、エクリプスの収められた塔の罠をくぐり抜けていく。しかし、エクリプスにたどり着いたところで、ランベールとゲラルトの部隊に捕らえられてしまい、レティシアを連れて行かれる。ランベールはエクリプスを手に入れ、その力に狂喜する。レティシアが兵器を破壊しようとしたため、ゲラルトはレティシアを銃で撃つが、ランベールがかばい、命を落とす。ゲラルトは戦争を生き延びたと噂されているヒトラー総統のいる島にエクリプスを運び込むが、島はルパン達が抑えており、ヒトラー総統はルパンの変装だった。ヒトラー存命の噂はインターポールが流したデマだった。怒ったゲラルトはルパンに襲いかかるが、ルパンはエクリプスを破壊して脱出。ゲラルトはエクリプスに吸い込まれてしまう。
エクリプスの謎を収めたブレッソンダイアリーは、考古学者のブレッソンと、ルパン三世の祖父、怪盗ルパンが共同で創り上げたものだった。ルパンとの出会いに運命を感じるレティシアだったが、ルパンは彼女に大学で学ぶように言い、仲間とともに彼女から去って行くのだった。

THE FIRSTとあるように、過去のシリーズの続編ではなく、1960~1970年の時代背景のルパン三世の初期の活躍を描いており、また、祖父、怪盗ルパンとの関係も描かれているのが特徴的。近代都市でハイテク機器を駆使して活躍する現代的なルパンではなく、銃と車と飛行機のローテク機器の要素と「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」のようなSF的要素の混ざった世界で活躍するルパンを描くことで、大人も子どもも楽しめる作品になっている。これは山崎貴監督の勝利だろう。ヒトラー総統を作品に絡ませたことについては、批判があるかもしれないが。

【5段階評価】4

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2020年12月 6日 (日)

(2258) ナイルの宝石

【監督】ルイス・ティーグ
【出演】マイケル・ダグラス、キャスリーン・ターナー、ダニー・デビート、アブナー・アイゼンバーグ、スピロス・フォーカス
【制作】1985年、アメリカ

ナイルの宝石を巡る男女の冒険アクション。「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」の続編。

冒険家のジャック・コルトン(マイケル・ダグラス)と小説家のジョーン・ワイルダー(キャスリーン・ターナー)は、二人で船旅を続けていたが、ジョーンは船旅に飽きてくる。そこにエジプトの富豪オマー(スピロス・フォーカス)が現れ、まもなく王位に就く自分の伝記を執筆してほしいとジョーンに依頼。ジョーンはオマーとともにエジプトに向かい、ジャックもオマーが盗んだというナイルの宝石を求めて後を追う。しかしナイルの宝石とは貴石ではなく、エジプトの王位後継者アルジャハラ(アブナー・アイゼンバーグ)のことだった。オマーはアルジャハラを監禁して自らが王位に就こうとしていたのだ。ジョーンはアルジャハラのいた牢獄に放り込まれるが、二人は脱出。そこでジャックと合流する。三人はオマーの追っ手から逃げるが、とうとう乗り込んだ列車の中でオマーに捕まってしまう。
オマーは迷宮にアルジャハラを拘束し、ジャックとジョーンを深い穴の上にロープで吊り下げ、ロープが切れる細工をして王の即位式を始める。ジャックとジョーンのもとに、ジャックを追ってきたラルフ(ダニー・デビート)が現れる。ラルフはナイルの宝石の分け前を渡せとジャックを脅すが、ネズミに驚いてよろけた拍子に、はしごが穴に倒れかかり、ジャックとジョーンは穴への落下を免れる。二人はアルジャハラの拘束を解いて穴のある部屋から脱出すると、オマーの即位式を妨害。アルジャハラが集まっていた民衆に王と認められる。オマーは王位に就く野望が破れ、逃げるジョーンに襲いかかるが、ジャックがオマーを倒す。ジャックとジョーンはアルジャハラの立ち会いのもと、正式に結婚するのだった。

ラブコメディの混じった冒険アクション。アクションシーンは、地上走行する戦闘機での戦闘や岩場での逃走、鉄道での攻防などバラエティに富んでいて見応えがあり、特に鉄道シーンの撮影は本格的。前作より面白かった。

【5段階評価】3

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2020年12月 5日 (土)

(2257) ダーティー・コップ

【監督】アレックス・ブリューワー、ベンジャミン・ブリューワー
【出演】ニコラス・ケイジ、イライジャ・ウッド、スカイ・フェレイラ
【制作】2016年、アメリカ

汚職警官二名の犯罪計画の行方を描いたクライムサスペンス。

ラスベガスの警官ジム・ストーン(ニコラス・ケイジ)は、別の警官から頼まれ、競売にかけられるはずの押収品の横流しに加担。署内では汚職が横行していた。ある日、ストーンは若い犯罪者が20万ドルもの保釈金で釈放されていることを知り、部下で友人のデビッド・ウォーターズ(イライジャ・ウッド)を誘い、背景を調べ始める。釈放された男の勤め先で潜入捜査をした結果、ある倉庫に巨大な金庫が隠されていることが判明する。ストーンは正面からでは突破が難しいと考え、金庫の上の2階の住居に潜入し、床下から金庫の天上に穴を空けて金庫を開ける計画を立てる。ストーンはドイツから高性能のドリルを購入。さらにボボという拳銃密売人から銃を入手すると、その銃でボボを撃ち殺す。
準備を整えたストーンは、デビッドとともに倉庫の2階の住居に忍び込む。2階には年老いた男と若い女(スカイ・フェレイラ)がいた。二人は男女を拘束するが、男が暴れたため、ストーンは男を撃ち殺してしまう。デビッドはストーンのブレーキのきかない性格に恐怖を感じ始める。女を拘束したまま床にドリルを設置し、二人は穴を掘り始め、途中でトラブルに見舞われながらも、何とか穴を空けることに成功する。ストーンが上からファイバースコープを使って金庫のダイヤルを裏側から確認し、デビッドが1階から金庫のダイヤルを回し、開錠に成功。中には大量のダイヤなどが収められていた。しかし、その頃にはデビッドの恐怖は極限に達していた。盗んだ品をバッグに収めたストーンは、帰り支度を始める。2階に戻ったデビッドは、拘束されている女から、子どもがいるので夫に電話だけかけさせてほしいと懇願される。デビッドは自分の手に電話番号を書くよう女に言い、自分がボタンを押して女に通話させる。
ストーンはデビッドに、計画が成功したら二人でバハマに飛び、バカンスを楽しもう、と言って勇気づけていたが、デビッドはストーンが女を殺すだけではなく、自分も殺すのではという恐怖を感じ始め、1階から戻ってきたデビッドを撃ち殺してしまう。死んだデビッドの手には、二人分の航空券チケットが握られていた。ストーンにデビッドを騙す気はなかったのだ。
デビッドは力なく、奪った宝石を元に戻し、女を解放するため車に乗せる。すると走るデビッドの車の前方と側面を2台の車が囲む。前方の車の車体には、女がデビッドに伝えた電話番号が書かれていた。前の車から銃口が覗き、デビッドが警察バッジを示すまもなく、デビッドは撃ち殺される。女はすぐさま運転席に入り込み、車を止める。やがて、ラスベガスの証拠品倉庫には、いつものように、ストーンの購入したドリルが並ぶのだった。

ロード・オブ・ザ・リング」で善良なホビットを演じたイライジャ・ウッドのセックス・シーンから始まる本作は、アメリカン・ニューシネマの感覚も漂うクライムサスペンス。どう転んでもうまく行きそうもない展開に堕ちていく二人が、結局、最悪の結末を迎えてしまう。計画を進める中での重要な選択肢で、デビッドはことごとく悪い方を選んでしまう。ストーンを信用してすぐに逃走していれば、女の懇願を無視していれば、違った結果が得られたかもしれない。いや、やはり二人に幸せは似合わないかもしれない。バッドエンドの好きな人には面白い作品。

【5段階評価】4

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2020年12月 4日 (金)

(2256) 運び屋

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】クリント・イーストウッド、ブラッドリー・クーパー、ダイアン・ウィースト、アリソン・イーストウッド
【制作】2018年、アメリカ

麻薬の運び屋を始めた園芸農家の運命を描いた作品。

園芸農家のアール・ストーン(クリント・イーストウッド)は、娘アイリス(アリソン・イーストウッド)の結婚式も無視して仕事に没頭する男で、アイリスだけではなく、妻のメアリー(ダイアン・ウィースト)からも恨まれていた。ネット販売の波に飲まれて廃業することになったアールは、孫ジニー(タイッサ・ファーミガ)の婚約記念の集まりに顔を出すが、アイリスやメアリーから責められ、追い出されるように帰路に就こうとする。すると、パーティ会場にいた一人の若者が、アールに運び屋の仕事を紹介する。アールが紹介された場所に向かうと、閉ざされたガレージの中に怪しい若者が三人待っており、中身を見るなと言って荷物をトラックに積む。アールは指示された通り、車をホテルの駐車場に止め、しばらくして戻ると車の中にキーと報酬の大金が入っていた。アールはやがて自分が運んでいる物が麻薬であることに気づくが、まとまって入る金を目当てに仕事を続ける。彼はそのお金のお陰で、孫娘のためのパーティの資金を出したり、火事を出した退役軍人集会施設に資金供与し、差し押さえられた自宅も取り戻す。アールは安全運転の老人であり、警察の警戒の目をかわしてマイペースながら安定した仕事を続け、徐々に運ぶ麻薬の量が増えていく。信頼を得たアールは、麻薬組織のボス、ラトン(アンディ・ガルシア)の屋敷に招かれ、歓待を受ける。しかし、ラトンの手ぬるいやり方に業を煮やした部下のグスタボ(クリフトン・コリンズ・Jr)はラトンを殺害。部下を使って、アールに時間をきちんと守らないと命はないと厳命する。
麻薬組織の摘発をもくろむDEAのベイツ捜査官(ブラッドリー・クーパー)は、上長(ローレンス・フィッシュバーン)の指示のもと、相棒となったトレビノ捜査官(マイケル・ペーニャ)とともに捜査の的を絞っていく。そんな中、アールは300キロを超える麻薬を運ぶことになるが、運転中、ジニーから電話が入り、妻のメアリーが病気で倒れて余命数日なので会いに来てほしいと言われる。時間を守らないと命はないと言われているアールは、今は行けないと答えるが、失望するジニーの声を聞き、家族を最優先すべきだと考え直し、メアリーのもとに戻る。メアリーは心の底からアールが来たことを喜び、やがて息を引き取る。娘のアイリスともようやく和解する。麻薬組織は彼の失踪に躍起となり、警察も捜査が進展せず焦っていた。アールは妻の葬儀を終えてようやく麻薬運搬の仕事に戻るが、とうとうベイツに逮捕される。
アールは裁判所で、弁護士の制止を無視して自ら有罪を認め、刑務所に行く道を選ぶが、傍聴席のアイリスやジニーは、アールを抱き、励ます。アールは刑務所で花の栽培に精を出すのだった。

クリント・イーストウッド監督作品は外れがない、ということをまたも再認識させられる、いい作品だった。話はトントン拍子に進んで面白く、マフィアの脅しを意に介さない老人の行動は小気味よい。粋がる若者の暴力的な態度を恐れず平然と立ち向かう姿は、「グラン・トリノ」にも通じる物があった。家族愛に目覚め、自分の命より妻に寄り添うことを選ぶ姿は、ほのぼのとした感動を与えてくれた。
アールの娘を演じたアリソン・イーストウッドは、クリント・イーストウッドの実の娘である。

【5段階評価】4

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2020年12月 3日 (木)

(2255) チャッピー

【監督】ニール・ブロムカンプ
【出演】デブ・パテール、シャールト・コプリー(声)、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーバー
【制作】2015年、アメリカ

AIを搭載したロボット警官の運命を描いた近未来SF作品。

兵器製造会社のテトラバール社は、AIを搭載した警官をヨハネスブルグに配備。犯罪の抑止にめざましい成果を上げる。開発者の一人、ディオン(デブ・パテール)は感情を持つAIを開発し、スクラップになる予定のロボットNo.22で試験をしようとするが、CEOのミシェル・ブラッドリー(シガニー・ウィーバー)に却下され、自らNo.22を盗み出す。
ギャング団のニンジャ(ワトキン・チューダー・ジョーンズ)、ヨーランディ(ヨ=ランディ・ビッサー)、アメリカ(ホセ・パブロ・カンティージョ)の3人はディオンを誘拐し、自分たちの仲間になるロボットを用意させようとする。ディオンは彼らの前で、No.22に開発したAIをインストール。No.22は赤ちゃんのような状態で動き出し、ディオンやヨーランディの言うことを聞くようになる。ヨーランディはNo.22にチャッピーと名付け、自分をママと呼ばせる。ニンジャはチャッピーをギャングに仕立て上げるため、優しい心を持つチャッピーに、刃物は人を眠らせる道具だと嘘をつき、現金輸送車からの現金強奪を手伝わせる。チャッピーが金を奪う様子はテレビで報道されてしまう。
テトラバール社で巨大警官ロボ、ムースを開発していたのビンセント・ムーア(ヒュー・ジャックマン)は、警官ロボにウィルスを送り込んで機能停止させ、ムースを使ってチャッピーとディオンを消し去り、会社の信用回復を図ることをミシェルに認めさせる。ミシェルは脳波による遠隔操作でムースを動かし、チャッピーらのいるアジトを襲う。銃撃戦の大混乱の中、ディオンはギャングに背中から撃たれて重傷を負い、ヨーランディはムースの銃弾を浴びて命を落とす。チャッピーは爆薬を使ってムースを破壊し、テトラバール社の工場に向かう。チャッピーは便せんとを叩きのめすと、工場内の装置を使ってディオンの意識を試験用警官ロボに転送。ロボットとして蘇ったディオンは、バッテリーが切れかかっているチャッピーの意識を別のロボットに送り込み、チャッピーを復活させる。ヨーランディを失ったニンジャは、思い出の品の中に、チャッピーが取り出したヨーランディの意識の入ったメモリがあるのを発見する。ニンジャのもとに戻ったチャッピーは、テトラバール社の工場にハッキングし、ヨーランディの意識の器となる機体を製作するのだった。

人間型ロボットと二足歩行型巨大ロボットとの対決は「ロボコップ」と同じだが、クレイアニメのようだった「ロボコップ」版の二足歩行ロボに比べ、本作の映像ははるかにリアル。赤ちゃんのようなチャッピーが人間に従っていく様子も観ていて面白い。人間の意識をロボットに転送し、ロボットして生き続けるという結末は、それはそれで一つのテーマではあるが、それを描くためにディオンやヨーランディが命を落としたり、チャッピーが脳波検出用のヘルメットをかぶって意識を取り出せたりするのは、ややご都合主義だった。また、AIロボの活躍もやや限定的で、結末も「これでハッピーエンドなのかな」というような消化不良の感もあった。主役のデブ・パテールは、「スラムドッグ$ミリオネア」で主人公を演じた俳優。

【5段階評価】4

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2020年12月 2日 (水)

(2254) 花のあと

【監督】中西健二
【出演】北川景子、宮尾俊太郎、甲本雅裕、國村隼、市川亀治郎、伊藤歩、相築あきこ
【制作】2010年、日本

藤沢周平の小説が原作の時代劇。剣術に秀でた女性の恋と復讐を描いた作品。

寺井家の長女、以登(北川景子)は父、甚左衛門(國村隼)の手ほどきで剣術に秀でていた。城内の花見に出かけた以登は、江口孫四郎(宮尾俊太郎)に声をかけられる。孫四郎のりりしい姿に以登は心を惹かれ、父に頼んで孫四郎との剣術の試合に望む。孫四郎は以登を女性と侮らず、真剣に向き合い、孫四郎の勝利となる。甚左衛門は以登に、お前には許嫁がいるのだから今後、孫四郎に会うのは叶わぬと念を押す。以登の許嫁の片桐才助(甲本雅裕)は大食らいだけが取り柄のような冴えない風貌の男で、以登はますます孫四郎が気になるのだった。
孫四郎は、藩の重要な役目を担い、江戸に陳情に向かうことになる。藤井勘解由(かげゆ)(市川亀治郎)は孫四郎に江戸での作法を伝授するが、孫四郎がそれに従ったところ、それは筋を通さず直接家老に談判をする無礼な振る舞いであり、藩の顔に泥を塗ったことを悟った孫四郎は江戸で自害する。それを知った以登は、勘解由の罠を疑い、江戸に通じている才助に調査を依頼。果たして勘解由は、孫四郎の妻となった加世(伊藤歩)と不倫をしており、数々の収賄で私腹を肥やす悪人だった。加世の不義を知っている孫四郎に罪を暴かれ、果たし合いになることを恐れた勘解由は、先手を打って孫四郎が自害するよう仕向けたのだった。以登は勘解由に文を送っておびき寄せ、果たし合いに望む。それを予感していた勘解由は手下を3人連れてきていたが、以登は3人を討つ。勘解由は自ら刀を抜き、以登と勝負する。勘解由の腕前は以登を凌ぐが、勘解由がとどめを刺そうとしたとき、以登は懐刀で勘解由を倒す。そこに、どこからともなく才助が現れ、腕を負傷した以登の手当をすると、あとは任せろと言って以登を帰らせる。飄々とした才助だったが、実は手際のよい男で、以登は才助と結ばれ、才助はかなりの出世を果たすのだった。

公開当時23歳の北川景子の美しさが見所。型を演じるシーンまあ、ちょっと素人くさいのだが、孫四郎との勝負のシーンはそれなりの迫力。当時の武家の女性が位の高い男性との結婚を夢見るという風俗が描かれるのも興味深く、分かりやすい物語だった。

【5段階評価】3

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2020年12月 1日 (火)

(2253) 人間革命

【監督】舛田利雄
【出演】丹波哲郎、新珠三千代、芦田伸介、名古屋章、渡哲也、仲代達矢
【制作】1976年、日本

創価学会の唱える宗教思想、人間革命の誕生を描いた作品。160分の大作。

牧口常三郎(芦田伸介)に師事した教師、戸田城聖(丹波哲郎)は、牧口の勧めで日蓮宗に入信し、牧口とともに創価教育学会を設立。戦時中に治安維持法違反で逮捕されるが、投獄中に日蓮宗の教えの神髄を悟る。出所してからは通信教育や出版業で身を立て、組織名を創価学会と改めて各地で座談会を繰り返し開き、人々に十界を説くのだった。

日本映画専門チャンネルの無料放送で鑑賞。原作が池田大作ということで、「あ、宗教映画?」と気づく。しかし内容は哲学的で面白かった。戸田城聖役の丹波哲郎の長尺のセリフが素晴らしい。決して易しくはない抽象度の高い内容のセリフを、よどみなく感情を込めてノーカットで話す姿は圧巻。昭和初期の映像もしっかししていた。
映画の冒頭、建物の一階の事務所から二階の教室にカメラがせり上がっていくシーンがあるのだが、ふつうはカメラが床をすり抜けることはできないので、一瞬暗転するなどして合成するのだろうが、二階の教室の床が切り取られていてそこをカメラが通り、そのせいで床の切り口が見えてしまっているのが珍しかった。

【5段階評価】3

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