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2020年11月 9日 (月)

(2231) ザ・サークル

【監督】ジェームズ・ポンソルト
【出演】エマ・ワトソン、トム・ハンクス、ジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、エラー・コルトレーン、パットン・オズワルト
【制作】2017年、アメリカ

情報共有が徹底された社会の必要性に目覚めた女性の運命を描いた作品。

憧れのIT会社「ザ・サークル」に入社したメイ・ホランド(エマ・ワトソン)は、CEOのイーモン・ベイリー(トム・ハンクス)が小型カメラであらゆる場所の常時監視とデータ分析を可能にするシステム「SeeChange」を発表するのを聞く。メイは、社員から、もっと自分の情報をS共有するよう促され、ボーイフレンドのマーサー(エラー・コルトレーン)が鹿の角で作ったシャンデリアが、自宅に設置されたのを実家とのビデオ通話で知り、それを公開するが、マーサーは動物虐待者のレッテルを貼られ、脅迫メールが送られてしまう。マーサーはメイのもとを離れる。彼女は仕事帰りの夜、他人のカヤックを無断拝借して水辺にこぎ出すが、大型船の波に巻き込まれて水中に投げ出される。しかし、SeeChangeカメラのお陰で素早くヘリコプターが現れ、無事に救助。メイは、イーモンとステージに立ち、他人の目がないから自分は悪事を働いた、秘密は嘘になる、と発言し、今から自分の行動を全て公開すると宣言。胸にカメラをつけて公私の生活を送る。彼女には大量のフォロワーがつく。
しかし、仕事を終えた彼女が実家にビデオアクセスすると、父親(ビル・パクストン)と母親(グレン・ヘドリー)がベッドの上で夜の営みをしている様子が映し出され、それが公開されてしまう。両親はプライバシーが必要だと言って、家のカメラをオフにする。メイは落ち込みながらも、周囲のコメントに励まされ、有権者のサークルアカウント取得義務化やサークルを使った投票を提案。さらに、SeeChangeを使った犯罪人探索「SoulSearch」を発表。実験として逃亡中の犯罪者をわずか10分で探し出すことに成功する。今度は一般人で実験しようということになり、会場からはマーサーを探せ、の声があがる。メイはためらうが、イーモンや幹部のトム・ステントン(パットン・オズワルト)に背中を押され、マーサーを探すことになる。マーサーの居場所は一瞬で判明し、多くのサークルユーザーが車で逃げるマーサーを追う。メイはカメラを通じてマーサーに車を止めてくれと頼むが、マーサーは逃げ続け、視界に現れたドローンのためにハンドル操作を誤り、高架橋から落下して死亡する。
メイは自宅で数日間寝込むが、親友のアニー(カレン・ギラン)と話して元気を取り戻し、会社に戻る。メイは、サークルの暴走を憂慮していた創業メンバー、タイ・ラフィート(ジョン・ボイエガ)に連絡し、協力を要請する。それを知らないイーモンは、会社に戻ってきたメイを再びステージの壇上に上げ、彼女の勇気を称える。メイは、ステージの奥にいるトムも壇上に呼び出し、さらなる透明性の確保のため、タイ・ラフィートと協力して、イーモンとトムの過去のメールも全て公開することにした、と宣言。行動を公開するカメラを二人の胸元につける。あっけにとられるイーモンを残し、メイは会場を後にする。水上でカヤックを楽しむ彼女。しかし頭上には二台のドローンがやってくる。メイは驚くこともなくドローンに挨拶。世界のあちこちで、あらゆる映像が撮られ、収集されているのだった。

行き過ぎたネット社会を批判する作品。ネットの危険性に一石を投じる形だが、本作で描かれる情報公開の世界はあまりにも行き過ぎで荒唐無稽。行き過ぎたプライバシー侵害は容易に悲劇に及ぶだろうし、過剰な干渉が人を死に追い込むこともあることは、作品で描くまでもなく想像の範疇。イーモンとトムが、監視の目が我が身に及ぶに至って初めて青ざめるというのは、さすがに浅はか過ぎ。両親の夜のシーンの公開やマーサーの死だって、社会問題にならないはずはないので、肝心なところで現実味や常識感覚がない物語だった。
ただ、本作で面白いのは、イーモンやトムが私腹を肥やす悪役として描かれているわけではないこと。サークル社は個人情報を収集して独占的な商売をしようとしたり、悪事を働いたりしようとはしておらず、政治の腐敗やテロの撲滅など、高尚な使命を掲げ、イーモンやトムはそれを信じているように描かれている。監視を強めるのか、プライバシーを重視するのかについては、観る者に判断を委ねているのは、本作の良心だろう。

【5段階評価】3

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