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2020年11月27日 (金)

(2249) 隠し剣 鬼の爪

【監督】山田洋次
【出演】永瀬正敏、松たか子、吉岡秀隆、田畑智子、小澤征悦、緒形拳、高島礼子、田中泯
【制作】2004年、日本

藤沢周平の小説が原作。兄弟弟子の討伐を命じられた武士の勝負と、一人の女性への愛情を描いている。

貧しい武士の片桐宗蔵(永瀬正敏)は、仲睦まじく暮らしていた妹の志乃(田畑智子)と女中のきえ(松たか子)が嫁に出て、同居していた母親(倍賞千恵子)も亡くなり、寂しくも我が身を律して独身で過ごしていた。しかし、きえが嫁ぎ先でひどい扱いを受け、2ヶ月も床に伏せているという話を聞き、離縁させて家に連れ帰る。きえは再び女中として宗蔵の家で暮らし、元気を取り戻すが、周囲ではきえを妾にしているというよくない噂も出ており、宗蔵はきえを慕いつつも、実家に帰るよう命じる。きえは涙を流しながら、旦那の命令であれば仕方ありません、と翌日家を出る。
そんな折、謀叛の罪で投獄されていた狭間弥市郎(小澤征悦)が脱獄する。弥市郎は宗蔵の剣術の兄弟弟子で、宗蔵をもしのぐ剣術の使い手。家老の堀将監(緒形拳)は大目付の甲田(小林稔侍)を通じて、宗蔵に弥市郎の討伐を命じる。宗蔵は師匠の戸田寛斎(田中泯)を訪ね、教えを請う。戸田は一度視線を外して敵の虚を突く秘策を披露する。討伐に出る前夜、弥市郎の妻、桂(高島礼子)が宗蔵の家を訪ね、夫を逃がしてほしいと命乞いをし、自分の体を自由にしていいと言って懇願する。宗蔵が丁重に断ると、桂は家老の堀に命乞いに行くと言う。宗蔵は無駄なことは辞めるように言うが、桂の意志は固く、そのまま宗蔵の家を立ち去る。
翌日、宗蔵は弥市郎の前に現れ、切腹を勧めるが、弥市郎は聞く耳を持たない。弥市郎は、本来は腕の立つ自分が戸田から授かるはずだった秘剣、隠し剣鬼の爪を宗蔵が引き継いだことを恨んでもいた。二人は果たし合いとなり、宗蔵は師匠の作戦を使って弥市郎を斬る。討伐を果たした宗蔵がその場を去ろうとすると、桂が現れる。桂は、堀に命乞いをしたら討伐を中止すると言ったのだが、と宗蔵に告げる。宗蔵は悔しそうに、自分は何も聞いてない、あなたは堀に騙されたのだ、と答える。宗蔵は、堀と甲田から、労をねぎらう宴席に呼ばれるが、宗蔵は受けた盃に口を付けることなく、堀に、桂が訪ねてこなかったか、と質問する。堀は、来たので断ったが相手が色仕掛けに来たのでつい乗ってしまった、と悪びれもせずに答える。宗蔵がそれでは奥方があまりに不憫だと責めると、堀は堪忍袋の緒が切れ、追って沙汰をいたすと言い捨て、宴席を去る。その夜、宗蔵は隠し剣鬼の爪の準備に取りかかる。
宗蔵は城内で一人歩く堀の前に現れ、ひざまづくと、咎めようと近づく堀の胸元を金属製の細い刀で一突きすると、静かに立ち去る。何が起こったか分からぬまま堀は歩き出すが、やがて足元がおぼつかなくなり、その場に倒れる。血はほとんど出ず、医師が診ても人間業とは思えない傷で堀は亡くなっていた。宗蔵はこうして弥市郎と桂のかたきを討つ。
宗蔵は武士の身分を返上し、志乃とその夫で友人の島田左門(吉岡秀隆)に見送られ、町人として蝦夷に旅立つ。宗蔵はその足できえの実家に向かい、蝦夷に一緒に来てほしいと求婚。突然のことに驚くきえだったが、ご命令なら仕方ありません、と恥ずかしそうにうつむき、宗蔵は嬉しそうにきえの手を取るのだった。

2002年「たそがれ清兵衛」、2006年「武士の一分」と並ぶ、山田洋次の時代劇三部作の一つ。話しは分かりやすく、おだやかでコミカルなエピソードを紡ぎながら、徐々に宗蔵と弥市郎との避けがたい対決に向けて緊張感が高まっていく。この辺りの盛り上げ方は素晴らしい。エンディングも妙にストイックに終わらず、宗蔵ときえの恋が実るハッピーエンドで、武士の厳しい勝負と夫婦となる男女の愛情がうまく描かれている。

【5段階評価】3

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