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2020年11月

2020年11月30日 (月)

(2252) ハンバーガー・ヒル

【監督】ジョン・アービン
【出演】ディラン・マクダーモット、ハリー・オライリー、ドン・チードル、コートニー・B・バンス
【制作】1987年、アメリカ

ベトナム戦争の凄惨な状況を描いた戦争映画。

ほぼ一貫して、ベトナム兵と戦う若い米兵の戦闘の様子と休憩の様子を交互に描いている。決死の救出劇とか、自らを犠牲にして仲間を救うとか、そういうドラマ風の演出はなく、ただただ、高い丘を占拠するベトナム兵に、米軍が坂をずり落ちながら這い上がって立ち向かっていく。次々と兵士が撃たれ、手榴弾を投げ込まれ、命を落とす。それを繰り返し、写実的に描いている。作中でも「彼は国のために死んだんじゃない。弾を撃ち尽くして撃たれて死んだんだ」というようなセリフがある。

序盤から内蔵のはみ出した重傷者が現れ、終盤ではいつの間にか片腕を失っている兵士も現れる。つかの間の休息で現地の娼婦と風呂でいちゃつくシーンもあったり、BS12としてはけっこう攻めた映像を流していた。「土曜洋画劇場」はなかなかいい。
文字通り泥沼の長期化した戦争。本土では反戦ムードが高まり、勝利を喜ぶ声もない。そのことを伝える作品だった。

【5段階評価】3

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2020年11月29日 (日)

(2251) 恐怖の報酬【オリジナル完全版】

【監督】ウィリアム・フリードキン
【出演】ロイ・シャイダー、ブリュノ・クレメール、フランシスコ・ラバル、アミドウ
【制作】1977年、アメリカ

命がけで爆発物を運搬する男達の運命を描いたサスペンス作品。

殺し屋のニーロ(フランシスコ・ラバル)。爆弾テロ犯のマルティネス(アミドゥ)。不正投資家のセラーノ(ブリュノ・クレメール)。強盗を働きマフィアに追われているジャッキー・スカンロン(ロイ・シャイダー)。それぞれが逃亡したのが南米のラスコロムナス。そこで油田の火災事故があり、消火のためにニトロの運搬が必要になる。ヘリコプターは使えず、おんぼろのトラック2台を使うしかない。石油会社は高額の報酬を餌にドライバーを募集。選ばれたのがニーロ、マルティネス、セラーノ、ジャッキーだった。
ジャッキーはニーロと、セラーノはマルティネスと組み、トラックを走らせる。片側が崖の細い山道や、濁流の川にかかる吊り橋、道路に横たわる巨木を何とか乗り越え、目的地に近づくが、セラーノとマルティネスはタイヤのパンクが原因で爆死。ジャッキーとニーロは地元のゲリラ兵に捕まり、ニーロが隙を突いて攻撃するが、銃弾を浴びて命を落とす。ジャッキーは最後、自らニトロ入りの箱を抱えて目的地に到着。報酬の4万ドルを得る。しかし、店でくつろぐ彼のもとに、彼を追っていたマフィアの一味が近づくのだった。

序盤はオムニバス風で、フランス語やアラビア語などが飛び交う難解な出だし。やがて、どうやらあちこちから逃げてきた曰く付きの4人が、報酬目当てに危険な運搬任務に挑む話だと分かる。映像は写実的で、吊り橋のシーンの描写は見事。ただ、あまりテンポがよくないので、少し退屈だった。主人公のロイ・シャイダーは、「ジョーズ」や「ブルーサンダー」で有名。

【5段階評価】3

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2020年11月28日 (土)

(2250) ユリシーズ

【監督】マリオ・カメリーニ
【出演】カーク・ダグラス、シルバーナ・マンガーノ、アンソニー・クイン、ロッサナ・ポデスタ
【制作】1954年、イタリア

トロイ戦争の英雄の冒険譚を描いたアクションファンタジー作品。

トロイ戦争を率いた古代ギリシャの英雄ユリシーズ(カーク・ダグラス)は、ポセイドンの像を倒したために神の怒りを買い、乗っていた船が大嵐に遭う。ユリシーズの妻ペネロペ(シルバーナ・マンガーノ)はユリシーズが帰らないことを予感していた。しかしユリシーズは生きており、記憶を失って、とある浜に打ち上げられていた。土地の王女ナウシカア(ロッサナ・ポデスタ)はユリシーズの強さに惹かれ、王のアルチノオ(ジャック・デュメニル)は娘を結婚させることを決めるが、ユリシーズは次第に記憶を取り戻す。ユリシーズは船が大嵐に巻き込まれたため、積んでいた財宝を海に投げ捨て、仲間とともに島に流れ着く。一行は食料を探して一つ目の巨人ポリュペモスの住む洞穴にたどり着く。ユリシーズは仲間を指揮してポリュペモスをワインで酔わせ、その目を杭で突いて脱出に成功。海で歌を歌うセイレーンの呪いもすり抜け、別の島にたどり着く。そこにはペネロペとそっくりの魔女チルチェ(シルバーナ・マンガーノ、二役)がおり、ユリシーズは魔女の虜になってしまう。仲間達はユリシーズを置いて島を抜け出そうとするが、船は嵐に巻き込まれてしまう。ユリシーズは永遠の命を授けるという魔女の誘いに乗らず、島を逃げ出し、ナウシカアのいる島に流れ着いたのだった。ユリシーズはナウシカアを置いてペネロペの元に戻る。ペネロペを狙う勇者アンチノオ(アンソニー・クイン)は、競技会に勝利することでペネロペを妻にしようとするが、ユリシーズは物乞いに扮して競技会に参加し、見事に勝利。正体を明かしてペネロペと再び抱き合うのだった。

ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」を映画化した作品。一つ目の巨人や嵐に揉まれるミニチュアの船など、特撮は微笑ましい。登場する女優の美しさには目を見張るものがあった。

【5段階評価】2

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2020年11月27日 (金)

(2249) 隠し剣 鬼の爪

【監督】山田洋次
【出演】永瀬正敏、松たか子、吉岡秀隆、田畑智子、小澤征悦、緒形拳、高島礼子、田中泯
【制作】2004年、日本

藤沢周平の小説が原作。兄弟弟子の討伐を命じられた武士の勝負と、一人の女性への愛情を描いている。

貧しい武士の片桐宗蔵(永瀬正敏)は、仲睦まじく暮らしていた妹の志乃(田畑智子)と女中のきえ(松たか子)が嫁に出て、同居していた母親(倍賞千恵子)も亡くなり、寂しくも我が身を律して独身で過ごしていた。しかし、きえが嫁ぎ先でひどい扱いを受け、2ヶ月も床に伏せているという話を聞き、離縁させて家に連れ帰る。きえは再び女中として宗蔵の家で暮らし、元気を取り戻すが、周囲ではきえを妾にしているというよくない噂も出ており、宗蔵はきえを慕いつつも、実家に帰るよう命じる。きえは涙を流しながら、旦那の命令であれば仕方ありません、と翌日家を出る。
そんな折、謀叛の罪で投獄されていた狭間弥市郎(小澤征悦)が脱獄する。弥市郎は宗蔵の剣術の兄弟弟子で、宗蔵をもしのぐ剣術の使い手。家老の堀将監(緒形拳)は大目付の甲田(小林稔侍)を通じて、宗蔵に弥市郎の討伐を命じる。宗蔵は師匠の戸田寛斎(田中泯)を訪ね、教えを請う。戸田は一度視線を外して敵の虚を突く秘策を披露する。討伐に出る前夜、弥市郎の妻、桂(高島礼子)が宗蔵の家を訪ね、夫を逃がしてほしいと命乞いをし、自分の体を自由にしていいと言って懇願する。宗蔵が丁重に断ると、桂は家老の堀に命乞いに行くと言う。宗蔵は無駄なことは辞めるように言うが、桂の意志は固く、そのまま宗蔵の家を立ち去る。
翌日、宗蔵は弥市郎の前に現れ、切腹を勧めるが、弥市郎は聞く耳を持たない。弥市郎は、本来は腕の立つ自分が戸田から授かるはずだった秘剣、隠し剣鬼の爪を宗蔵が引き継いだことを恨んでもいた。二人は果たし合いとなり、宗蔵は師匠の作戦を使って弥市郎を斬る。討伐を果たした宗蔵がその場を去ろうとすると、桂が現れる。桂は、堀に命乞いをしたら討伐を中止すると言ったのだが、と宗蔵に告げる。宗蔵は悔しそうに、自分は何も聞いてない、あなたは堀に騙されたのだ、と答える。宗蔵は、堀と甲田から、労をねぎらう宴席に呼ばれるが、宗蔵は受けた盃に口を付けることなく、堀に、桂が訪ねてこなかったか、と質問する。堀は、来たので断ったが相手が色仕掛けに来たのでつい乗ってしまった、と悪びれもせずに答える。宗蔵がそれでは奥方があまりに不憫だと責めると、堀は堪忍袋の緒が切れ、追って沙汰をいたすと言い捨て、宴席を去る。その夜、宗蔵は隠し剣鬼の爪の準備に取りかかる。
宗蔵は城内で一人歩く堀の前に現れ、ひざまづくと、咎めようと近づく堀の胸元を金属製の細い刀で一突きすると、静かに立ち去る。何が起こったか分からぬまま堀は歩き出すが、やがて足元がおぼつかなくなり、その場に倒れる。血はほとんど出ず、医師が診ても人間業とは思えない傷で堀は亡くなっていた。宗蔵はこうして弥市郎と桂のかたきを討つ。
宗蔵は武士の身分を返上し、志乃とその夫で友人の島田左門(吉岡秀隆)に見送られ、町人として蝦夷に旅立つ。宗蔵はその足できえの実家に向かい、蝦夷に一緒に来てほしいと求婚。突然のことに驚くきえだったが、ご命令なら仕方ありません、と恥ずかしそうにうつむき、宗蔵は嬉しそうにきえの手を取るのだった。

2002年「たそがれ清兵衛」、2006年「武士の一分」と並ぶ、山田洋次の時代劇三部作の一つ。話しは分かりやすく、おだやかでコミカルなエピソードを紡ぎながら、徐々に宗蔵と弥市郎との避けがたい対決に向けて緊張感が高まっていく。この辺りの盛り上げ方は素晴らしい。エンディングも妙にストイックに終わらず、宗蔵ときえの恋が実るハッピーエンドで、武士の厳しい勝負と夫婦となる男女の愛情がうまく描かれている。

【5段階評価】3

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2020年11月26日 (木)

(2248) 昼下りの情事

【監督】ビリー・ワイルダー
【出演】オードリー・ヘップバーン、ゲーリー・クーパー、モーリス・シュバリエ、バン・トゥード、ジョン・マッギーバー
【制作】1957年、アメリカ

大富豪と私立探偵の娘との恋の行方を描いたラブコメディ。

パリの私立探偵クロード・シャバス(モーリス・シュバリエ)は、女好きの大富豪フランク・フラナガン(ゲーリー・クーパー)の浮気調査をしていた。依頼主の男性(ジョン・マッギーバー)の妻はフラナガンと密会しており、その報告を受けた男性はフラナガンを銃で撃つと宣言して事務所を去る。その様子を聞いていたシャバスの娘アリアンヌ(オードリー・ヘップバーン)は、大富豪への興味もあり、密会の場所になっているリッツホテルの14号室にバルコニーから入り込み、フラナガンに警告。フラナガンは男性の妻をバルコニーから逃がし、アリアンヌと会っている振りをして、銃を持って部屋に押し入ってきた男性の目をごまかす。フラナガンはアリアンヌに興味を示し、次の日の午後4時に待っていると告げる。アリアンヌは迷いながらも、素性を伏せて彼に会いに行く。
自由恋愛主義のフラナガンが、恋が初めての女性は重荷だと言ったことから、アリアンヌは自分にもたくさんの恋人がいると嘘をつく。フラナガンは彼女の嘘を真に受け、初めて嫉妬する。すっかり翻弄されたフラナガンは、とうとうシャバスに調査依頼に来る。シャバスはフラナガンから話を聞き、相手の女性が自分の娘だと気づく。翌日、シャバスはフラナガンに真相を告げ、娘を自由にしてやってほしいと告げる。それを聞いたフラナガンは、アリアンヌと離れることを決意。ニース行きの列車に乗る。見送りに来たアリアンヌは、動き出した列車の横で、自分にはたくさん恋人がいるから寂しくないと強がりを言い続ける。それを聞いたフラナガンはたまらずアリアンヌを抱き寄せて列車に乗せ、抱きしめる。二人は結ばれ、結婚するのだった。

「情事」という言葉から、どろどろしたメロドラマなのかと思ったら、年上の男性に憧れる少女の純愛映画だった。初めて恋した相手が初老の男性だった少女と、恋愛ゲームに手慣れているはずが見え透いた少女の嘘すら見抜けない男性。恋は盲目という言葉を映画化したような作品。
公開当時、ゲーリー・クーパー56歳、オードリー・ヘップバーン18歳。恋愛に年齢は関係ないというものの、38歳差の両俳優で撮られた本作は、男の妄想だけで創り上げた作品にいたいけな少女が巻き込まれている、としか受け取れず、浮気性の初老の男と、その男を初恋の相手に選んだ少女の間に、永遠の幸せが訪れるとはとても思えないのだった。

【5段階評価】3

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2020年11月25日 (水)

(2247) Dr.パルナサスの鏡

【監督】テリー・ギリアム
【出演】ヒース・レジャー、クリストファー・プラマー、リリー・コール、アンドリュー・ガーフィールド
【制作】2009年、イギリス、カナダ

幻想的な世界で娘のために戦う老人の奮闘を描いたダークファンタジー。

パルナサス博士(クリストファー・プラマー)と娘のバレンティナ(リリー・コール)、バレンティナに恋するアントン(アンドリュー・ガーフィールド)、小人症のパーシー(バーン・J・トロイヤー)は、鏡の奥に客を導くという見世物をする演芸一座。ある日、アントンらは、橋の下で首を吊っている男(ヒース・レジャー)を見つけて救出。彼も演芸の客寄せをするようになる。しかし、善人と思われたその男は、子どもの臓器売買に手を染める悪人トニー・シェパードだった。
かつてパルナサス博士は、ライバルのMr.ニック(トム・ウェイツ)との勝負に勝ち、不老不死の体を得ていたが、その体に苦しんでもいた。彼は若さを手に入れるため、16歳になったら娘を悪魔に譲り渡すという契約を交わしていた。博士は娘を取り戻すため、Mr.ニックと、どちらが先に5人を鏡の世界に誘い込むか勝負する。博士の味方として鏡の世界に入ったトニーは、悪人であるという正体がアントンにばれてしまう。トニーは逃走するが、博士がトニーを倒す。現実世界に戻った博士は、バレンティナがアントンと可愛い娘とともに幸せそうに暮らしているのを見届け、満足そうに微笑むのだった。

絵本の世界を実写化したような「チャーリーとチョコレート工場」に似た雰囲気の作品。ストーリーはやや難解で、何が起きているかよく分からず、取り残されてしまいがちだった。ベッキーと藤田ニコルを足して2で割ったようなリリー・コールが魅力的。可愛らしい少女を演じているが、身長は180cm近いスーパーモデル。トニー役のヒース・レジャーが撮影期間中に亡くなり、鏡の向こうの世界のトニーを、ジョニー・デップやジュード・ロウ、コリン・ファレルといった名優が演じている。

【5段階評価】3

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2020年11月24日 (火)

(2246) ボウリング・フォー・コロンバイン

【監督】マイケル・ムーア
【出演】マイケル・ムーア、マリリン・マンソン、チャールトン・ヘストン
【制作】2002年、アメリカ、カナダ、ドイツ

アメリカの銃社会に疑問を投じたドキュメンタリー映画。

コロラド州デンバーのコロンバイン高校で、二人の高校生が銃を乱射し、教師1名、生徒12名が死亡した事件を背景に、映画は始まる。世間は犯人が聞いていたというロックシンガーのマリリン・マンソンを責めたが、事件を起こす直前に二人がしていたボウリングのことは、誰も非難しない。
先進国の銃による年間死亡者数が数十からせいぜい数百人であるのに対し、アメリカは11,000を超えている。ミシガン州フリントのビュエル小学校では6歳の男児が6歳の女児を撃ち殺す事件が起きた。マイケル・ムーアは、銃規制が緩く子どもでも銃を手にできること、国やマスコミが恐怖をあおり、経済を成り立たせていることが背景にあると警鐘を鳴らす。彼はコロンバイン事件の被害者で障害者となった二人の若者を連れて、彼らが受けた銃弾を販売したKマートを訪ね、Kマートの火器販売停止の約束を取り付ける。さらにムーアは全米ライフル協会(NRA)会長のチャールトン・ヘストンにインタビューし、なぜアメリカは極めて銃殺事件が多いのか、なぜ事件直後のデンバーやフリントでNRAの集会を開いたのかを問うが、ヘストンはインタビューを打ち切り、去って行くのだった。

カナダも銃が普及しており、単一民族国家でもないのに、黒人に対する不信感や差別の意識が低く、家に鍵をかける人も少なく、銃撃事件も少ないというのは興味深い。アメリカではカナダに比べて、他者への不審を露わにすることや自衛のために攻撃することを正当化する風潮があり、国民に根付いているという説明には納得いくものがあった。広島・長崎への原爆投下を必要なこと、正しいことと考えるというのも同じ感覚なんだろう。

【5段階評価】4

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2020年11月23日 (月)

(2245) アトミック・ブロンド

【監督】デビッド・リーチ
【出演】シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカボイ、ソフィア・ブテラ、トビー・ジョーンズ
【制作】2017年、アメリカ

スパイリストの奪取をもくろむ女性スパイの死闘を描いたアクション・サスペンス。

MI6の女性スパイ、ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)が上司のエリック・グレイ(トビー・ジョーンズ)に、ベルリンでの出来事を尋問されている。聴取室にはゲストとしてCIAのエメット・カーツフェルド(ジョン・グッドマン)もいる。彼女の説明が始まる。
ロレーンはボスの「C」(ジェームズ・フォークナー)から、指令を受けた。内容は、MI6のスパイ、ジェームズ・ガスコイン(サム・ハーグレイブ)が東側のスパイ、バクティン(ヨハネス・ヨハンソン)に奪取されたスパイリストを取り返すというもの。彼女はベルリンに向かう。現地で合流した同僚のデビッド・パーシバル(ジェームズ・マカボイ)は有能だが抜け目がなく、ロレーンは彼を信用し切れない。ロレーンはフランスの女性スパイ、デルフィーヌ・ラサール(ソフィア・ブテラ)と関係を持ち、彼女からも情報を得たようだが、そのことはグレイに話さない。パーシバルとロレーンは、スパイリストの内容を記憶する男、スパイグラス(エディ・マーサン)を西側に逃がそうとするが、KGBと通じていたパーシバルが密かにスパイグラスを銃撃。ロレーンはスパイグラスを連れてKGBの一味と死闘を繰り広げるが、結局スパイグラスは死んでしまう。パーシバルは秘密を知るラサールを殺害。バクティンを殺してスパイリストを手に入れたパーシバルは、ロレーンが二重スパイ、サッチェルであることを知ったが、ロレーンはパーシバルを殺害。MI6で彼がサッチェルだという証言をし、事件を闇に葬る。
MI6の尋問から解放され、着飾ったロレーンはKGBのブレモビッチ(ローランド・ムーラー)と遭い、スパイリストの入った腕時計を手渡すが、それは偽物。ブレモビッチはロレーンを殺害しようとするが、ロレーンは返り討ちにする。その後、彼女が乗った飛行機には、CIAのカーツフェルドの姿が。彼女の真の正体はCIAエージェントなのだった。

ベルリンの壁崩壊という世界的な大事件のまっただ中、ネーナの「ロックバルーンは99」やジョージ・マイケルの「Father Figure」などの80年代ポップスをBGMに、スパイ同士の暗躍を描いているのが特徴的。ヌード姿から始まるオープニングに、スローモーションをふんだんに取り入れた巧みな映像による戦闘シーン。シャーリーズ・セロンが全身全霊で挑んだ大作と言えよう。ただ、タイトルが「チャーリーズ・エンジェル」のような、男を手玉にとって活躍する女スパイのコミカルアクションもののような響きがあり、損をしていると感じた。
序盤の戦闘シーンは、ドスンバタンと派手なものの、覚えたとおりの殺陣で敵が勝手に倒されていく感があったのだが、スパイグラスと入り込んだ建物での死闘から車で逃走するまでの10分にわたるワンカットのシークエンスは、カメラワークも含めて見事だった。
一方、登場人物が錯綜しすぎて敵味方の関係が覚えられず、何でこの人がこの人に殺されたのとか、どれが本当でどれが嘘なのとか、よく分からないまま観進めるしかなく、後半で大事なところだけ何となく分かるという面もあった。2回観た方が細かい設定が理解でき、楽しめる。
エンドクレジットは、スパイリストの内容が表示されるという味な演出になっていて面白い。BS12トゥエルビの「土曜洋画劇場」はこういうところまで放送してくれるので、映画ファンとしては嬉しい番組だ。

【5段階評価】4

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2020年11月22日 (日)

(2244) 怪物くん

【監督】中村義洋
【出演】大野智、八嶋智人、上島竜兵、チェ・ホンマン、川島海荷、上川隆也、鹿賀丈史
【制作】2011年、日本

藤子不二雄Aの漫画「怪物くん」の実写化作品。テレビドラマの劇場版。

怪物ランドのプリンス、怪物くん(大野智)は、わがままな性格を怪物達に責められ、へそを曲げて怪物ランドを抜け出し、ドラキュラ(八嶋智人)、オオカミ男(上島竜兵)、フランケン(チェ・ホンマン)とともに人間界に向かう。たどり着いたのはビシャール(上川隆也)が治める王国。ビシャールの願いで、さらわれたピラリ姫(川島海荷)を連れ戻した怪物くんだったが、ビシャールの正体は怪物界の岩石男。怪物界を捨てた岩石男は人間界で王となるため、ピラリ姫と結婚しようとしていたのだった。ピラリ姫はビシャールに洗脳された人々の目を覚ますため、城のテラスから飛び降りるが、間一髪で怪物くんがピラリ姫を受け止める。岩石男は巨大化して怪物くんに襲いかかるが、怪物くんは岩石男を倒し、怪物ランドに岩石男を連れ帰る。その様子をみていた怪物たちは怪物くんを王子として認め、戻ってきた怪物くんを祝福するのだった。

B級特撮の子供向け作品だが、怪物くんがピラリ姫を救ったり、怪物ランドの怪物達が怪物くんを受け入れるシーンはそこそこ感動的だったりして、脚本はよくできていた。TOKIOの松岡昌宏もデモキン役で出演。これが山口達也だったらテレビ放送されなかっただろうが、実は声の出演はしているらしい。

【5段階評価】3

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2020年11月21日 (土)

(2243) BATS 蝙蝠地獄

【監督】ルイス・モーノウ
【出演】ディナ・メイヤー、ルー・ダイアモンド・フィリップス、レオン、ボブ・ガントン
【制作】1999年、アメリカ

殺人コウモリと戦う人々を描いた動物パニック映画。

炭坑町で人間がコウモリに食い殺される事件が発生。原因は、マッケイブ博士(ボブ・ガントン)が生み出した、凶暴性と雑食性を高めた殺人コウモリがウィルスによって増殖したためだった。生物学者のキャスパー博士(ディナ・メイヤー)は、保安官のキムジー(ルー・ダイアモンド・フィリップス)とともに殺人コウモリの繁殖する炭坑跡に侵入。助手のジミー(レオン)と協力し、軍が用意した冷却装置と爆薬により、コウモリを全滅させることに成功する。

いわゆるB級ホラー映画。最初に出てくる食い殺された死体の描写はグロ度が高いが、それ以降のコウモリが人を襲うシーンは、映像がブレブレで何が映っているのかよく分からない。今回はMONDO TVの無料放送で観たが、オリジナルの問題なのか放送局の問題なのか、途中で何度か映像が斜めにゆがんでいた。2,000本以上もTVで映画を観ると、いろいろな現象を目にするもんだ。

【5段階評価】2

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2020年11月20日 (金)

(2242) 山椒大夫

【監督】溝口健二
【出演】花柳喜章、田中絹代、香川京子、進藤英太郎、河野秋武
【制作】1954年、日本

森鴎外の小説の映画化作品。人さらいに遭い、母親と離ればなれになった兄妹の運命を描いている。

平安時代。領民を思うが故に左遷された平正氏(清水将夫)を父に持つ厨子王(加藤雅彦)と安寿(榎並啓子)は、母親の玉木(田中絹代)と召使いの姥竹(浪花千栄子)と旅に出る。宿に困った一行は、巫女(毛利菊江)を名乗る女性と人買いの一味に騙され、玉木と姥竹は佐渡に売られ、厨子王と安寿は山椒大夫(進藤英太郎)の奴隷となる。10年が経ち、厨子王(花柳喜章)は父の尊い教えを忘れ、山椒大夫の言いなりになっていたが、安寿(香川京子)は母親と再会する希望を胸に秘めていた。安寿は、佐渡から来た奴隷の小萩(小園蓉子)が安寿と厨子王の名の入った歌を歌っているのを聞き、兄に脱走話を持ちかける。病気で衰弱した波路(橘公子)を山に捨てに行く任務を負った厨子王は、付き添った安寿に、一緒に脱走しようと言うが、安寿は自分は残って追っ手の足止めをするから先に逃げてくれと厨子王に答える。厨子王は安寿を残し、波路を背負って国分寺を目指し、寺に匿われる。安寿は山椒大夫から厳しい拷問を受けることを悟り、入水自殺する。
厨子王は関白の藤原師見(三津田健)に直訴し、平正氏の嫡男であることを認められ、師見から父親が亡くなったことを知らされる。彼は丹後の国守の任を命じられ、すぐさま荘園の奴隷解放を命じ、山椒大夫を罪人として捕らえるが、喜びを分かち合おうとした安寿はすでにあの世に旅立っていた。厨子王は国守を辞職し、母親を探すために佐渡に渡る。そこには視力が衰え、白髪頭となった母親がいた。厨子王は父と安寿が天に召されたことを母親に告げ、母親を抱きしめるのだった。

父と妹の悲報を携え老いた母親との再会を果たすという悲しい物語。古い作品だが、今回はNHK BS4Kでの4Kデジタル修復版の放送で、平安時代の情景や人々の様子を丁寧に描いた映像は真に迫っており、見応えがあった。4K化にはマーティン・スコセッシも関与しており、荒涼たる海のシーンの雰囲気は、彼の監督作品「沈黙 -サイレンス-」と相通じるところがあった。

【5段階評価】3

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2020年11月19日 (木)

(2241) 愛の果実

【監督】金田敬
【出演】嘉門洋子、吉岡睦雄、河合龍之介、サヘル・ローズ
【制作】2014年、日本

借金のカタに貸主に預けられた女性の人生の選択を描いた作品。

江戸川東高校の同級生だった真理子(嘉門洋子)と孝治(吉岡睦雄)は結婚し、クリーニング店を営むが、経営は厳しく、孝治はIT長者になった同級生の安西(河合龍之介)に5,000万円の借金を頼み込む。安西は、3ヶ月の間、真理子を預けることを借金の条件とする。孝治はしぶしぶそれを承諾する。
安西に抱かれることを覚悟する真理子だったが、安西は終始紳士的で、大金持ちの割に、カラオケのドリンクバーのソフトドリンクを混ぜるとうまいとか、お好み焼き屋で食事をするなど、素朴な一面を見せる。真理子は自ら安西とラブホテルに泊まり、関係を持つ。真理子は幸せは一つしかない自分を好きになれずにいたが、幸せはいろいろあると考えるようになる。真理子は安西と暮らす道を選びかけるが、孝治が人生を賭けて借金を返済しているのを見て心が揺れる。そして安西の秘書(サヘル・ローズ)が安西を一途に思っていることを知り、真理子は孝治を選ぶことを決意する。真理子は孝治のいるクリーニング店に戻り、孝治に口づけをするのだった。

嘉門洋子の体当たり作品ということで、ベッドシーンが売りの作品。映像的な魅力はさほどないものの、傘で行き先を決める運試しや、秘書が毎日用意する鯛焼きのエピソードなど、味付けもあったりして、そこそこ楽しめる作品だった。

【5段階評価】2

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2020年11月18日 (水)

(2240) ブラック・シー

【監督】ケビン・マクドナルド
【出演】ジュード・ロウ、ボビー・スコフィールド、グリゴリー・ドブリギン、スクート・マクネイリー
【制作】2014年、イギリス、アメリカ

海底に沈む金塊を狙う男達の運命を描いた作品。

アゴラ社で潜水の仕事に携わってきたロビンソン(ジュード・ロウ)はわずかな退職金で解雇される。彼は、友人のカーストン(ダニエル・ライアン)から儲け話を聞かされる。第二次世界大戦時にソ連からドイツに渡るはずの大量の金塊を積んだUボートが、黒海の海底に沈んでおり、今ならロシア、グルジア、アゴラ社に気づかれることなくそれを奪取できるというのだ。ロビンソンは仲間のブラッキー(コンスタンティン・ハベンスキー)とともに、ルイスという富豪から潜水艦を借り受け、ロシア人とイギリス人の混成チームを組成する。しかしカーストンは自殺しており、ロビンソンは、その報せを伝えにきた18歳のトビン(ボビー・スコフィールド)を仲間に引き入れる。
潜水艦はボロボロの旧式艦だったが、手入れをして出向。黒海上の艦隊をすり抜け、Uボートの沈没地点に向かう。ロビンソンは、富豪の取り分の残りはチーム員で山分けすると宣言するが、イギリス人のフレイザー(ベン・メンデルソーン)はロシア側への不満を露わにし、とうとう制止しようとしたブラッキーにナイフを突き立てる。ブラッキーが倒れた拍子に、修理中だったエンジン部で爆発が起き、潜水艦は海底に沈んでしまう。イギリス人とロシア人は分断されてしまうが、ロビンソンは、探しているUボートのドライブシャフトを持ち込めば修理できるとロシア側を説得。再びロシア側の協力を取り付け、フレイザー、トビン、ピータース(デビッド・スレルフォール)が潜水服で海底を歩き、Uボートを探し当てる。彼らは修理用のドライブシャフトだけではなく、大量の金塊も発見。台車に乗せて運ぼうとするが、あまりの重さに回収が難航。ルイスに派遣されたダニエルズ(スクート・マクネイリー)は生命を優先するため金塊を捨てろと叫ぶが、この挑戦に賭けるロビンソンは判断をフレーザーに委ねる。その結果、運搬中の事故でピータースが海溝に落下してしまう。金塊の回収に成功したものの、ダニエルズはすぐに浮上するよう主張。しかしロビンソンは全員で協力し、危険を冒してでも潜水艦を運航し、金塊を運び出そうとする。ダニエルズはロビンソンと二人で話したいと告げ、実は本件にはアゴラ社が関わっており、ルイスという富豪の存在は架空で、引き上げた金塊は全てアゴラ社のものとなり、ロビンソンらは海上に出た瞬間に海事法違反で逮捕されることになると真相を告げる。
ロビンソンは、潜水艦を南下させ、分け前を得る方法を採ろうとするが、潜水艦は谷と呼ばれる狭い地帯で事故を起こし、再び沈没してしまう。艦内がみるみる浸水し、生き残ったのはロビンソン、モロゾフ(グリゴリー・ドブリギン)、トビンだけとなる。ロビンソンは隠していた脱出用スーツを3着取り出し、自分は緊急レバーを使って脱出すると言ってトビンとモロゾフを脱出させる。海上に脱出したトビンは、同様に海上に現れたモロゾフに、ロビンソンを待とうと言うが、モロゾフは緊急レバーなどない、と告げる。ロビンソンは艦内でたばこをふかし、別れた妻と息子に思いをはせていた。やがて、脱出スーツが海上に浮かび上がる。喜ぶトビンだったが、それはロビンソンではなく、ロビンソンの家族の写真と、いくつかの金塊だった。

古びた潜水艦内でクルーが険悪な関係になっていくという劣悪な環境で、リーダーシップを発揮するロビンソンの活躍が描かれている。ジュード・ロウの演技は素晴らしいし、特撮も見事。次々と起こる事故や困難により、状況がどんどん絶望的になっていくところに、観客はハラハラするわけだが、冷静に考えると自ら危険な道を進んで筋書き通りに災難が降りかかり、話を盛り上げるために人が死んでいくという娯楽作品だった。

【5段階評価】3

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2020年11月17日 (火)

(2239) めぐり逢えたら

【監督】ノーラ・エフロン
【出演】トム・ハンクス、メグ・ライアン、ロス・マリンジャー、ビル・プルマン
【制作】1993年、アメリカ

妻を亡くした男性と、彼に惹かれた女性との恋の行方を描いた作品。

最愛の妻(キャリー・ローウェル)を癌で亡くしたサム・ボールドウィン(トム・ハンクス)は幼い息子ジョナ(ロス・マリンジャー)とともにシアトルに移り住む。ジョナは落ち込むサムを見かねてラジオの相談番組に電話し、出演者のドクター・マーシャ(キャロライン・アーロン)はサムにインタビューする。その放送を聞いていた記者のアニー・リード(メグ・ライアン)はサムの言葉に涙する。彼女は恋人のウォルター(ビル・プルマン)と婚約していたが、なぜかサムが気になり、サムのことを調べて会いに行く。アニーは道路の反対側にサムとジョナがいるのを見つけるが、サムは新しい出会いを求めてビクトリア(バーバラ・ギャリック)と会っていたため、アニーはサムに声をかけるのをためらう。道路に立ち尽くすアニーに車がクラクションを鳴らしたため、サムはアニーに気づいて挨拶の声をかけるが、アニーはそれに応えるのが精一杯だった。アニーは、映画「めぐり逢い」になぞらえ、バレンタインデーの日にエンパイアステートビルで会いたいという手紙をサム宛てに出す。ビクトリアが気に入らなかったジョナは、その手紙を読んでアニーこそが父親の運命の相手だと思い、単身、エンパイアステートビルに向かい、展望台でアニーを探すが見つからない。
アニーは、ウォルターとの結婚が自分の運命ではないと考え、バレンタインデーの日にウォルターに別れを告げ、婚約解消をしてエンパイアステートビルに向かう。息子を追ってエンパイアステートビルに向かったサムは、展望台でジョナを発見。ジョナを連れてエレベータに乗り込み、ちょうど入れ違いでアニーが展望台に到着する。しかし、ジョナはリュックサックを置き忘れていた。取りに戻ったジョナとサムはアニーと再会。サムはアニーの手を取り、三人でエレベータに乗り込むのだった。

映画「めぐり逢い」をモチーフにした恋物語。サムは空港で初めてアニーを偶然見かけ、運命の出会いを直感して言葉を失うのだが、完全に見た目に惹かれているので、人間は顔ってことかいっていうのと、アニーに振られるウォルターがあまりにも不憫なので、正直、二人が結ばれることを素直に喜べなかった。ウォルターが不慮の事故で死んでしまうのはやりすぎだが、何も落ち度がないだけに、もうちょっと工夫がなかったものかと思う。1998年の作品「ユー・ガット・メール」も同じ監督、同じ両主演の作品である。

【5段階評価】3

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2020年11月16日 (月)

(2238) チャイ・コイ

【監督】伊藤秀裕
【出演】川島なお美、イ・テガン、スリカニャ・サエンゴン、北川史織
【制作】2013年、日本

タイを訪れた女性作家と若者との恋を描いた作品。岩井志麻子の小説が原作。

作家の端島麻衣子(川島なお美)は、取材旅行としてタイを訪れる。来るはずだった不倫相手は来ず、麻衣子を迎えた現地で暮らす姪の恵(北川史織)は、羽目を外して楽しむことを麻衣子に提案。麻衣子がレストランで給仕をする韓国人の若者、ハヌル(イ・テガン)に興味を持ったのを知り、恵はハヌルに麻衣子の旅行ガイドを頼む。翌日、麻衣子はハヌルに連れられ、観光地を巡る。言葉の通じない二人だったが、麻衣子がハヌルの家に行ってみたいとジェスチャーで示し、ハヌルは家に麻衣子を上げる。二人はそのまま肉体関係を持つ。
ハヌルには盲目の恋人ウライ(スリカニャ・サエンゴン)がいたが、ハヌルは麻衣子との恋に溺れる。ウライはそれを知り自殺を図る。ハヌルはウライを看病するが、家に麻衣子が近づいたことを知ると麻衣子を追いかけ、外で麻衣子と行為に及んでしまう。ハヌルは麻衣子の滞在するホテルの部屋に現れ、キスをして去って行く。麻衣子は不倫相手との関係を終わらせ、一人、部屋にたたずむのだった。

川島なお美は公開当時52歳。ベッドシーンを観るのはなかなかきつかったが、こういう作品の市場もあるということだ。って、よく考えたら自分もその一人だった。限定的に劇場公開されたそうだが、ほぼVシネマの品質。

【5段階評価】2

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2020年11月15日 (日)

(2237) トラック野郎 御意見無用

【監督】鈴木則文
【出演】菅原文太、愛川欽也、中島ゆたか、夏純子、湯原昌幸、佐藤允、夏夕介、春川ますみ
【制作】1975年、日本

長距離トラック運転手が主役の人情ドラマ、東映「トラック野郎」シリーズの第1作。

星桃次郎(菅原文太)は、愛車「一番星号」を操る長距離トラック運転手。相棒の松下金造(愛川欽也)は「やもめのジョナサン」を名乗り、日本銀行御用達の看板を掲げたトラックを愛車にしていた。ある日、桃次郎はいきつけの食堂「くるまや」で見目麗しい女性、倉加野洋子(中島ゆたか)に一目惚れ。桃次郎を慕って舎弟となった千吉(湯原昌幸)に命じて洋子に花束を渡そうとするが、千吉は視界に入った竜崎京子(夏純子)に花束を渡してしまう。桃次郎を憎からず思っていた京子だったが、千吉から誤解であることを知らされる。
桃次郎に関門のドラゴンと名乗る男(佐藤允)がトラックでの競争を挑む。受けて立った桃次郎だったが、同乗していた千吉がおびえてトラックを停止させてしまい、勝負に敗れる。明くる日、桃次郎は、洋子が笑顔で竜崎のトラックに乗り込み、ラブホテルに乗り入れたのを見てショックを受け、くるまやに現れた洋子をなじる。しかし、それは桃次郎の早とちりで、彼女は店の客がラブホテルで服を盗まれたので、代わりの服を届けに行っただけだったのだ。桃次郎は洋子に詫びるが、ふとした弾みで桃次郎とドラゴンの大げんかになってしまう。
ドラゴンは実は京子の実の兄で、京子が惚れた男の品定めに来たのだった。桃次郎の男気を認めたドラゴンだったが、京子は桃次郎の思いが自分にはないことを知る。一方、京子に惚れた千吉は、トラックの運転席で愛の告白の予行演習をするが、うっかり拡声器のスイッチが入ってしまい、千吉の声は店の中に筒抜けになってしまう。店の客達は大笑いするが、京子は自分のトラックに乗り、千吉の求婚を受け入れる。
桃次郎も、洋子との仲を深めていく。しかし洋子には、松岡明(夏夕介)という別れた恋人がいた。彼は交通事故を起こし、巨額の賠償金による借金を背負っており、洋子に最後の別れを告げて遠洋漁業船に乗ることを決める。それを知った桃次郎は、洋子を励まし、トラックに洋子を乗せて港から旅立とうとしている明のもとに連れて行く。二人を見送り、桃次郎は港を去る。桃次郎は今日も金造とトラックを走らせるのだった。

デコトラブームを作り出した菅原文太の代表作。「男はつらいよ」に対抗する人情ドラマだが、女性のヌードシーンがあったり派手な喧嘩があったりと、内容は「男はつらいよ」より大衆娯楽色が強い。とは言え下品ではなく、いろいろなエピソードが盛りだくさんの作品。

【5段階評価】3

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2020年11月14日 (土)

(2236) リバー・ランズ・スルー・イット

【監督】ロバート・レッドフォード
【出演】クレイグ・シェイファー、ブラッド・ピット、エミリー・ロイド、トム・スケリット
【制作】1992年、アメリカ

アメリカモンタナ州で育った青年の、家族や恋人との交流を描いた作品。

厳格な牧師(トム・スケリット)を父に持つノーマン・マクリーン(クレイグ・シェイファー)は、故郷モンタナを離れて大学で学び、教職に応募して故郷に戻る。地元の新聞記者でフライフィッシングの得意な弟のポール(ブラッド・ピット)は型破りな性格で、ネイティブアメリカン禁止のレストランにネイティブアメリカンの彼女を連れて店に行ったり、ギャンブルにも手を染めているようだった。彼女の人種ををからかった相手を殴って相手の歯を折り、警察に捕まったこともあった。ノーマンとポールは一度殴り合いの喧嘩をしたことがあるが、その後は大げんかするでもなく、微妙な関係を続けていた。
ノーマンはパーティで見かけた美しい女性ジェシー・バーンズ(エミリー・ロイド)に興味を持ち、デートを重ねる。ジェシーの兄(スティーブン・シェレン)とは馬が合わず、それを見透かしたジェシーは一度、ノーマンには面白みがないと冷ややかな評価を下す。しかし、ノーマンからシカゴの教師の職に合格した報せを聞いたとき、ノーマンから君と離れたくないと告げられ、嬉しそうに彼に抱きつく。ノーマンの朗報には父親と母親(エディ・マックラーグ)も喜び、兄弟と父親は久しぶりに三人でフライフィッシングに出かける。ポールはそこで川を流されながらも素晴らしい大物を釣り上げ、ノーマンも父親も心からそれを喜ぶ。
しかし、ポールは、ある晩、何者かに殴り殺され、生涯を閉じてしまう。父親はポールのことを心に刻んで教会で説教を続け、やがて亡くなる。老いたノーマンはしわの寄った指で疑似餌をつけ、故郷でフライフィッシングをするのだった。

若い頃にやんちゃな弟を亡くした老人が、後に妻となる女性との出会いや、弟との交流を回想する内容の作品。序盤は何が起きるんだろうか、と思い、終盤ではポールは川に飲まれたりギャンブルのいざこざで死ぬんだろうか、と予感したりしながら、何も起きないと思った頃に突然やはり死ぬ。涙の感動作品というわけではなく、物静かに淡々と描いている。ノーマンは決して弟の性格や危なっかしい生き方に賛同できなかったが、芸術的な彼の川釣りには、完成された美しさを認めていた。川釣りのシーンや、ブラッド・ピットの演技は確かに美しかった。

【5段階評価】3

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2020年11月13日 (金)

(2235) ナチュラル・ボーン・キラーズ

【監督】オリバー・ストーン
【出演】ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス、ロバート・ダウニー・Jr、トミー・リー・ジョーンズ
【制作】1994年、アメリカ

凶悪殺人を繰り返す男女を描いたクライムアクション作品。

父親に性的暴行を受けて育った少女マロリー(ジュリエット・ルイス)は、家に来た肉屋の従業員ミッキー・ノックス(ウディ・ハレルソン)と意気投合。二人はマロリーの両親を殺害し、車で移動しながら殺人や強盗を続ける。殺人者を扱う番組のキャスター、ウェイン・ゲール(ロバート・ダウニー・Jr)が二人を番組で取り上げ、二人は若者から英雄視される。刑事のスキャグネッティ(トム・サイズモア)は、マロリーを執拗に追い、ついに二人を逮捕。二人は投獄される。
ゲールは刑務所でミッキーのインタビューを実施するが、所内で暴動が起きたことをきっかけに、隙を突いてミッキーが警官の銃を奪って逃走を開始。ゲールを連れてマロリーと合流し、そこにいたスキャグネッティを撃ち殺して脱獄する。二人はゲールも撃ち殺し、逃走。やがて二人の子供を儲け、今日も車を走らせるのだった。

プラトーン」や「JFK」など、シリアスな作品を手がけるイメージのあるオリバー・ストーンが監督を務めているのが意外。「俺たちに明日はない」のような題材でありながら、アニメや血まみれの顔のフラッシュバックなどが入り交じった独特な映像を用いて、アメリカン・ニューシネマと同じような退廃的な雰囲気を描き出すのは、やはり監督の実力を感じる。一度観たら忘れられない作品と言えるだろう。

【5段階評価】4

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2020年11月12日 (木)

(2234) ホース・ソルジャー

【監督】ニコライ・フルシー
【出演】クリス・ヘムズワース、ナビド・ネガーバン、マイケル・シャノン、マイケル・ペーニャ
【制作】2018年、アメリカ

9.11テロ後のタリバン討伐任務に携わった米兵の死闘を描いた戦争映画。実話に基づいた作品。

アメリカ陸軍特殊部隊ODA595のミッチ・ネルソン大尉(クリス・ヘムズワース)は、9.11テロ後、タリバン討伐のため、11人の仲間とともにアフガニスタン入りする。部隊は、タリバンに家族を殺され、マザーリシャリーフの奪還を目指す現地のドスタム将軍(ナビド・ネガーバン)の一団と合流。ネルソンが米軍の空爆を指示し、ドスタム将軍が陸戦でタリバン軍を倒す作戦に出る。しかし、米軍がドスタム将軍と敵対するアタ将軍をマザーリシャリーフに先に到達させる作戦を実行することにしたため、ドスタム将軍はネルソンの部隊と別行動を取ることにしてしまう。ネルソンは死を覚悟して仲間と進軍を始めるが、タリバンの猛攻に遭う。彼の窮地にドスタム将軍が合流するが、タリバン軍のBM-21ロケット砲が火を噴き、身動きが取れなくなる。一方、別行動を取っていたハル・スペンサー准尉(マイケル・シャノン)は降伏すると見せかけた敵の自爆に巻き込まれ重傷。ネルソンはBM-21を無力化するため、馬で敵地に突進。ドスタムの軍勢も加勢し、死闘の末、敵を全滅させる。ドスタム将軍は敵の指揮官を葬り、マザーリシャリーフのアタ将軍と握手。ドスタム将軍の行動を案じて彼を追ったネルソンは、将軍の振る舞いを「正しい行為」と称賛する。将軍は今日の味方は明日は敵と言うが、お前は永遠に兄弟だと告げる。ネルソンは米軍兵の死者を出すことなく、愛する妻(エルサ・パタキー)と娘のもとに帰ったのだった。

アメリカを美化し、アフガニスタンの現地兵ばかりがじゃんじゃん死ぬあたりは、なんだかなあという気もするのだが、映像の迫力はなかなかのもの。ミリタリー好きの人にも楽しめるだろう。

【5段階評価】4

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2020年11月11日 (水)

(2233) WILD CARD/ワイルドカード

【監督】サイモン・ウェスト
【出演】ジェイソン・ステイサム、マイケル・アンガラノ、マイロ・ビンティミリア、ドミニク・ガルシア=ロリド
【制作】2015年、アメリカ

ラスベガスで暮らす用心棒がマフィアと戦うバイオレンスアクション作品。

ラスベガスで暮らすニック・ワイルド(ジェイソン・ステイサム)は、コルシカ島でのんびり暮らすことを夢見る仲間思いの男。彼はIT長者の若者サイラス・キニック(マイケル・アンガラノ)からボディガードを頼まれる。ニックの元恋人ホリー(ドミニク・ガルシア=ロリド)が、イタリアンマフィアの若者ダニー・デマルコ(マイロ・ビンティミリア)に襲われ、強姦されて大けがをする。彼女は復讐したいとニックに連絡。ニックはマフィアとは距離を置きたいと思いながらも、彼女のためにデマルコの泊まるスイートルームを突き止め、彼とボディガードの二人を得意の戦闘技術で倒し、縛り上げる。部屋に現れたホリーは、デマルコの陰部を植木ばさみで切りつけ、復讐を果たすと街を去る。ニックはカジノに戻り、サイラスの見守る中、運を味方に付けてブラックジャックで大勝ちし、50万ドルを稼ぐ。しかし換金直前、この金では自由を得るのには足りないと思い直し、再びブラックジャックのテーブルに戻ると、50万ドル全額を賭けるが、選択ミスで全額を擦ってしまう。彼はやけ酒を飲み、倒れる。ニックは完全に酒とギャンブルの依存症だった。
サイラスがホテルの部屋でニックを介抱するが、バーに戻ったニックの周囲にデマルコの手下が現れるが、ニックは彼らを叩きのめす。デマルコはさらに、ニック行きつけのダイナーに手下を連れて自ら現れるが、ニックは彼らを返り討ちにすると、サイラスからもらったコルシカ島行きのチケットを手にラスベガスを去るのだった。

ステレオタイプな悪者マフィアを皆殺しにして街を去るという娯楽映画。ホリーの依頼は実は狂言なのでは、とか、サイラスが実はマフィア界の大物なのでは、とか、そういうどんでん返し的な展開は一切ない。ただただ悪い奴を懲らしめるだけ。
いったんマフィアを敵に回したら、街中で問答無用に銃で滅多撃ちにされたり、夜道で拉致されて拷問の末に殺されたり、まず知り合いから殺されていって指定の場所に呼び出されて殺されたり、どんな得体の知れない恐怖に苛まれるのかと思いきや、必ず少数の雑魚が「これから攻撃しますね」的な感じで現れる。銃を突きつけるわけでもナイフで刺してから話しかけてくるわけでもない。そしてラスボスであるはずのデマルコは、ニックの戦闘の腕が立つのが分かっているのに、チンピラだけ数人連れて現れ、なすすべなく殺される。あまりにも愚か。ジェイソン・ステイサム主役アクション作品ということだけが売りの内容の乏しい作品だった。

【5段階評価】3

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2020年11月10日 (火)

(2232) ザ・バンク 堕ちた巨像

【監督】トム・ティクバ
【出演】クライブ・オーウェン、ウルリク・トムセン、ナオミ・ワッツ、アーミン・ミューラー=スタール
【制作】2009年、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス

軍需産業に手を染める銀行の不法行為を暴こうとするインターポール職員の奮闘を描いたサスペンス。

インターポールの捜査官ルイ・サリンジャー(クライブ・オーウェン)は、ミサイル取り引きに関わる巨大銀行IBBCの不正を暴こうとしていた。仲間のトーマス・シューマー(イアン・バーフィールド)はIBBCの密告者アンドレ・クレマン(ジョルジュ・ビゴー)に接触するが、怪しい男に背後から毒を首に仕込まれ、死亡。クレマンも交通事故死してしまう。サリンジャーは同僚のエレノア・ホイットマン(ナオミ・ワッツ)とともに、IBBC不正の証人候補のカルビーニ(ルカ・バルバレスキー)に話を聞こうとするが、彼も演説中に狙撃され死亡。警察の中にも隠蔽工作に加担する者がおり、犯人はねつ造されるが、サリンジャーとエレノアは現場に残された足跡から、真犯人が義足であることを割り出し、空港の監視映像から男(ブライアン・F・オバーン)がニューヨークに渡ったことを突き止める。二人はニューヨークに飛び、オーネラス刑事(フェリックス・ソリス)、ウォード刑事(ジャック・マクギー)らと合流。義足を扱っていた医師の資料を手がかりに居場所を探し当て、街を歩いている男を発見。男はグッゲンハイム美術館に向かい、IBBCの重役ウィリアム・ウェクスラー(アーミン・ミューラー=スタール)と密談する。オーネラスが立ち去るウェクスラーを追い、サリンジャーとウォードは男に接近するが、武装集団が彼らを銃撃。ウォードは首に銃弾を受けて死亡。サリンジャーは男と協力して美術館を抜け出すが、男は銃弾を腹に受けており、そのまま息を引き取る。
病院に運ばれたサリンジャーは、エレノアとともに病院を脱出し、ウェクスラーを確保していたオーネラスと合流。IBBCの頭取ジョナス・スカルセン(ウルリク・トムセン)に従っていたウェクスラーを翻意させ、捜査に協力させる。取り引きのため、ウェクスラーを伴ってイスタンブールに渡ったスカルセンだったが、スカルセンの商談中、ウェクスラーは何者かに殺されてしまう。それに気づいたスカルセンは慌ててその場を逃げ出すが、サリンジャーがそれを追う。追い詰められ、サリンジャーに銃を突きつけられたスカルセンは、サリンジャーがインターポール捜査官だと知り、自分を逮捕できないだろうと開き直る。しかし、サリンジャーの背後から銃声が鳴り、スカルセンは倒れる。殺されたカルビーニの息子が放った暗殺者がスカルセンにとどめを刺し、立ち尽くすサリンジャーに礼を言って立ち去る。IBBCの頭取にはイームズ(ジェイ・ビラーズ)が就き、業績は回復。銀行が社会を支配する本質は何も変わらないのだった。

銀行の闇の支配力をテーマにしたバイオレンスアクション。巨大な悪に立ち向かう正義の人という構図だが、不都合な人物が次々と謎の死を遂げ、有名美術館に武装集団がわらわらやってきて滅多撃ち。さすがに現実世界を超越しすぎで、社会派作品というよりは娯楽作品の部類。ラストシーンも、頭取スカルセンがトルコの街でひとりぼっちになって撃ち殺されるという、この手の映画でよくある、手の届かなかったラスボスが終盤で無防備になるパターン。とはいえ、世界各地を舞台に分かりやすい展開は純粋に面白く、見応えのある作品だった。宇梶剛士のような渋い顔のクライブ・オーウェンもよかった。

【5段階評価】4

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2020年11月 9日 (月)

(2231) ザ・サークル

【監督】ジェームズ・ポンソルト
【出演】エマ・ワトソン、トム・ハンクス、ジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、エラー・コルトレーン、パットン・オズワルト
【制作】2017年、アメリカ

情報共有が徹底された社会の必要性に目覚めた女性の運命を描いた作品。

憧れのIT会社「ザ・サークル」に入社したメイ・ホランド(エマ・ワトソン)は、CEOのイーモン・ベイリー(トム・ハンクス)が小型カメラであらゆる場所の常時監視とデータ分析を可能にするシステム「SeeChange」を発表するのを聞く。メイは、社員から、もっと自分の情報をS共有するよう促され、ボーイフレンドのマーサー(エラー・コルトレーン)が鹿の角で作ったシャンデリアが、自宅に設置されたのを実家とのビデオ通話で知り、それを公開するが、マーサーは動物虐待者のレッテルを貼られ、脅迫メールが送られてしまう。マーサーはメイのもとを離れる。彼女は仕事帰りの夜、他人のカヤックを無断拝借して水辺にこぎ出すが、大型船の波に巻き込まれて水中に投げ出される。しかし、SeeChangeカメラのお陰で素早くヘリコプターが現れ、無事に救助。メイは、イーモンとステージに立ち、他人の目がないから自分は悪事を働いた、秘密は嘘になる、と発言し、今から自分の行動を全て公開すると宣言。胸にカメラをつけて公私の生活を送る。彼女には大量のフォロワーがつく。
しかし、仕事を終えた彼女が実家にビデオアクセスすると、父親(ビル・パクストン)と母親(グレン・ヘドリー)がベッドの上で夜の営みをしている様子が映し出され、それが公開されてしまう。両親はプライバシーが必要だと言って、家のカメラをオフにする。メイは落ち込みながらも、周囲のコメントに励まされ、有権者のサークルアカウント取得義務化やサークルを使った投票を提案。さらに、SeeChangeを使った犯罪人探索「SoulSearch」を発表。実験として逃亡中の犯罪者をわずか10分で探し出すことに成功する。今度は一般人で実験しようということになり、会場からはマーサーを探せ、の声があがる。メイはためらうが、イーモンや幹部のトム・ステントン(パットン・オズワルト)に背中を押され、マーサーを探すことになる。マーサーの居場所は一瞬で判明し、多くのサークルユーザーが車で逃げるマーサーを追う。メイはカメラを通じてマーサーに車を止めてくれと頼むが、マーサーは逃げ続け、視界に現れたドローンのためにハンドル操作を誤り、高架橋から落下して死亡する。
メイは自宅で数日間寝込むが、親友のアニー(カレン・ギラン)と話して元気を取り戻し、会社に戻る。メイは、サークルの暴走を憂慮していた創業メンバー、タイ・ラフィート(ジョン・ボイエガ)に連絡し、協力を要請する。それを知らないイーモンは、会社に戻ってきたメイを再びステージの壇上に上げ、彼女の勇気を称える。メイは、ステージの奥にいるトムも壇上に呼び出し、さらなる透明性の確保のため、タイ・ラフィートと協力して、イーモンとトムの過去のメールも全て公開することにした、と宣言。行動を公開するカメラを二人の胸元につける。あっけにとられるイーモンを残し、メイは会場を後にする。水上でカヤックを楽しむ彼女。しかし頭上には二台のドローンがやってくる。メイは驚くこともなくドローンに挨拶。世界のあちこちで、あらゆる映像が撮られ、収集されているのだった。

行き過ぎたネット社会を批判する作品。ネットの危険性に一石を投じる形だが、本作で描かれる情報公開の世界はあまりにも行き過ぎで荒唐無稽。行き過ぎたプライバシー侵害は容易に悲劇に及ぶだろうし、過剰な干渉が人を死に追い込むこともあることは、作品で描くまでもなく想像の範疇。イーモンとトムが、監視の目が我が身に及ぶに至って初めて青ざめるというのは、さすがに浅はか過ぎ。両親の夜のシーンの公開やマーサーの死だって、社会問題にならないはずはないので、肝心なところで現実味や常識感覚がない物語だった。
ただ、本作で面白いのは、イーモンやトムが私腹を肥やす悪役として描かれているわけではないこと。サークル社は個人情報を収集して独占的な商売をしようとしたり、悪事を働いたりしようとはしておらず、政治の腐敗やテロの撲滅など、高尚な使命を掲げ、イーモンやトムはそれを信じているように描かれている。監視を強めるのか、プライバシーを重視するのかについては、観る者に判断を委ねているのは、本作の良心だろう。

【5段階評価】3

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2020年11月 8日 (日)

(2230) サウスポー

【監督】アントワーン・フークア
【出演】ジェイク・ギレンホール、フォレスト・ウィテカー、レイチェル・マクアダムス、ウーナ・ローレンス
【制作】2015年、アメリカ、中国

妻を失ったボクサーの復活劇を描いたボクシング映画。

相手の攻撃を受けながらそれを上回る攻撃で勝つスタイルのボクサー、ビリー・"ザ・グレート"・ホープ(ジェイク・ギレンホール)は、愛する妻モーリーン(レイチェル・マクアダムス)と出席したチャリティ・パーティからの帰り、新進気鋭の若手ミゲル・"マジック"・エスコバル(ミゲル・ゴメス)の挑発に乗って喧嘩になる。そのとき一発の銃声が響き渡る。誰が撃ったのかは不明だったが、弾はモーリーンに当たり、必死で介抱しようとするビリーの腕の中で命を落とす。
意気消沈したビリーは、生活費を稼ぐために試合に挑むが、全く勝負にならず惨敗。さらに止めに入ったレフェリーを攻撃してしまい、プロとしての地位を追われてしまう。自暴自棄になったビリーは、飲酒をしたまま車を自宅の木に追突させ、怪我をする。裁判所はビリーの凶暴性と生活力の両面から、娘レイラ(ウーナ・ローレンス)の養育義務を果たせないと判断され、レイラは施設に入れられてしまう。
ビリーはレイラを取り戻すため、名コーチのティック・ウィルズ(フォレスト・ウィテカー)のジムに入り、彼の指導を受ける。ティックはビリーの防御力を徹底的に鍛え上げる。
かつてビリーに付いていたプロモーターのジョーダン(カーティス・"50セント"・ジャクソン)が、現チャンピオンになったミゲルとのマッチメイクの話を持ちかける。ビリーはティックにコーチを依頼。悩むティックだったが、教え子の一人が父親の暴力により亡くなったことを契機に、娘との生活を取り戻そうとしているビリーへの協力を決意。ティックは、右利きのスタンスからサウスポーに変化する秘密兵器をビリーに伝授する。
ラスベガスの試合当日。ビリーの更生が認められ、父親に会えるようになったレイラもラスベガスに向かい、控え室でテレビ越しに父を応援する。ビリーは怒りを抑え、自分を守ることを重視してミゲルに挑むが、パワーとテクニックを併せ持つミゲルのスピードに圧倒され、苦戦。早々に左目の上を切って出血する。ティックは的確な指示を与え続け、ビリーは肩で目を守るLの字ガードでカウンターを狙い、徐々に優位に立つ。最終ラウンド手前の第11ラウンドで、焦るミゲルはモーリーンの名前を出してビリーを挑発。ビリーは我を忘れて怒りを露わにする。ゴングが鳴っても興奮が収まらないビリーだったが、ティックの言葉で冷静さを取り戻し、最終ラウンドで秘密兵器の左腕のアッパーカットでミゲルからダウンを奪う。ミゲルがカウント8で立ち上がったところでゴングが鳴り、試合終了。判定でビリーが勝利。チャンピオンに返り咲く。選手控え室でビリーはチャンピオンベルトをティックに手渡し、彼への謝意を示す。そこにレイラが現れ、ビリーと抱きしめ合うのだった。

亡くなった妻、愛する娘のために戦う姿が感動的。ジェイク・ギレンホールの鍛え上げた肉体も素晴らしい。ただ、タイトルにもなっているサウスポーの一撃は、クライマックスの最も盛り上がる部分だった割に、なんだかあっさりしていて今ひとつ迫力にかけており、物足りなかった。ベタな展開と言えばそれまでだが、映像の迫力、試合のシーンのカメラワークなどは見応えがあり、秀作であることは間違いない。

【5段階評価】4

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2020年11月 7日 (土)

(2229) スイス・アーミー・マン

【監督】ダニエルズ
【出演】ポール・ダノ、ダニエル・ラドクリフ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド
【制作】2016年、アメリカ

無人島から故郷を目指す男が一体の死体を発見して・・・。非日常感漂うファンタジー作品。

無人島で孤独に苛まれるハンク・トンプソン(ポール・ダノ)は自殺を決意。首を吊ろうとしたとき、砂浜に男が流れ着いているのを発見。しかしそれは死体(ダニエル・ラドクリフ)だった。改めて首を吊ろうとすると、死体からガスが漏れる音がする。ハンクは海に流されそうになっている死体を引き戻そうとするが、突如、死体はガスを猛烈に吹き出し、水上バイクのように海原を進んでいく。途中で海に投げ出されたハンクは、気づくと別の陸地にたどり着いていた。ハンクは死体を置いて立ち去ろうとするが思い直し、死体とともに移動し始める。死体は飲料水を供給したり、火をおこしたり銃の代わりをしたり、まるでスイス・アーミーナイフのように機能的で、しかもしゃべり始める。ハンクは死体の名前がメニーであり、過去の記憶が何もないことを知る。
ハンクは、自分が片思いをしている女性の隠し撮り写真をスマホの待ち受けにしていたが、それを見つけたメニーは彼女に興味を持つ。ハンクはメニーが興奮するといろいろな役に立つ機能を発揮することを知り、待ち受け画面の女性に変装してメニーの恋人のように振る舞う。
苦難を乗り越え、二人はようやく人家にたどり着く。そこはなんと、待ち受け画面の女性、サラ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)の家だった。始めはハンクとメニーに驚くサラだったが、ハンクが遭難していたと知って救助を呼ぶ。救助隊員はメニーを死体として運び去ろうとするが、ハンクはそんなことはさせないと言ってメニーとともに逃走し、海辺にたどり着く。警官やサラたちが見守る中、メニーは再びガスの放出を始め、海面を勢いよく進んで沖に消えていくのだった。

どういう発想で作ったんだよ、と言いたくなる奇想天外な作品。しかも死体役は、「ハリー・ポッター」役で世界の人気者になったダニエル・ラドクリフ。ファンタジーでかわいい男の子というイメージで見てしまうが、本作では死体役、「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」では悪役を演じるなど、実は結構いろいろな役を演じており、その姿勢は挑戦的である。

【5段階評価】3

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2020年11月 6日 (金)

(2228) プラダを着た悪魔

【監督】デビッド・フランケル
【出演】アン・ハサウェイ、メリル・ストリープ、エイドリアン・グレニアー、スタンリー・トゥッチ
【制作】2006年、アメリカ

ファッション雑誌社で働く女性の奮闘を描いた作品。

大学を卒業したアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)はジャーナリスト志望。キャリアを積むため、ファッション雑誌「ランウェイ」の出版社への就職を希望し、運よく鬼編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)の目に止まり、第二アシスタントとして採用される。第一アシスタント、エミリー(エミリー・ブラント)の蔑視を受け流し、公私混同の無茶な要求を繰り返す傲慢なミランダに振り回されつつも、アンドレアは奮闘。ファッションに興味のない彼女だったが、ミランダの右腕ナイジェル(スタンリー・トゥッチ)の協力もあり、次第にミランダに認められ、年に一度の重要イベント、パリ・コレ取材のクルーに抜擢される。しかし、仕事に没頭するあまり、恋人のネイト(エイドリアン・グレニアー)との関係にひびが入り、パリでは憧れのイケメン作家クリスチャン・トンプソン(サイモン・ベイカー)と一夜の関係を持つ。
クリスチャンから、ミランダが編集長を降ろされ、ジャクリーヌ・フォレ(ステファニー・ショスタク)が新編集長になるという話を聞いたアンドレアは、ミランダにそれを伝えようとするが、ミランダはナイジェルが就くはずだった要職にジャクリーヌを抜擢するという裏工作に出て、自らの編集長降板を回避。冷徹なミランダを見て、アンドレアはアシスタントをやめる決心が付く。
アンドレアはネイトとよりを戻し、再就職の面接に向かう。面接相手は、「ミランダから直接ファックスが届き、そこには『アンドレアには失望させられた。雇わなかったら大馬鹿者だ』と書いてあった。いい仕事をしたようだ」とアンドレアに告げる。アンドレアは、ミランダが自分を認めてくれたことに驚く。
アンドレアは忙しそうに車に乗り込むミランダを見かける。ミランダはアンドレアを無視するように車に乗り込むが、ふと微笑み、そして厳しい顔でドライバーに車を出すよう指示する。ミランダの車を見送ったアンドレアは、街の雑踏に溶け込んでいくのだった。

どんなに技能があっても他社に偉そうな人間には虫唾が走るので、ミランダはとても好きにはなれない人物だが、このステレオタイプを通り越すほど典型的な鬼上司がいるからこそ、主人公アンドレアの変わるさま、変わらないさまが観る者に感動を与える。主役から脇役まで、隙のない素敵な作品。ファッションに興味がない人でも十分に楽しめる。

【5段階評価】5

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2020年11月 5日 (木)

(2227) シンクロナイズドモンスター

【監督】ナチョ・ビガロンド
【出演】アン・ハサウェイ、ジェイソン・サダイキス、ダン・スティーブンス、オースティン・ストウェル
【制作】2017年、カナダ、スペイン

巨大モンスターとシンクロする能力が芽生えた女性の運命を描いた作品。

オープニングは韓国。幼い少女が突如現れた見上げるほど巨大な怪獣に驚く。そして25年後。アル中気味の女性、グロリア(アン・ハサウェイ)は恋人のティムに愛想を尽かされ、同棲している家を追い出される。金欠の彼女は故郷に戻り、小学校の同級生だったオスカー(ジェイソン・サダイキス)と再会。彼の勤めるバーで働くようになるが、酒浸りの生活に戻ってしまう。そんなとき、ソウルに突如、巨大モンスターが現れ、世界中の話題となる。グロリアは、そのモンスターが、酔って公園にいたときの自分と同じ動きをしていることに気づく。グロリアはその話をオスカーにする。するとオスカーも巨大ロボットとシンクロしてソウルに現れることが判明。グロリアは、自分が知らないうちにソウルの街を破壊し、犠牲者を出していることを悔やみ、モンスターにハングルで地面に文字を書かせて謝罪する。
グロリアは、オスカーの知人のイケメン、ジョエル(オースティン・ストウェル)と付き合い始めたり、ティムが彼女を迎えに来て連れ帰ろうとしたり、人生が好転し始める。面白くないオスカーはソウルで暴れ始める。グロリアとオスカーはなぜモンスターとシンクロするのか。それは25年前、小学生だったオスカーがグロリアの作った大事な工作を踏みにじり、そのショックで泣き叫ぶグロリアに雷が落ち、二人に特殊能力が芽生えたのだった。グロリアはオスカーの暴走を止めるため、ソウルに向かい、そこからシンクロしたモンスターでアメリカにいるオスカー本人を掴み上げ、投げ飛ばす。グロリアはソウルのバーに入り、女性店員にこれまでのできごとを話すことにする。しかし、店員に何か飲むかと聞かれて、根本的な解決に至っていないことに気づき、ため息をつくのだった。

なかなか独創的な設定の作品だったが、何を伝えたい作品なのかはよく分からず、特に謎が解けてスッキリするわけでも、何かに感動するわけでもない。残念ながら設定を生かし切った作品ではなかった。

【5段階評価】2

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2020年11月 4日 (水)

(2226) トレマーズ2

【監督】S・S・ウィルソン
【出演】フレッド・ウォード、クリストファー・ガーティン、ヘレン・シェイバー、マイケル・グロス
【制作】1996年、アメリカ

謎の地中生物退治に挑む男達の奮闘を描いたコミカルホラー作品。「トレマーズ」の続編。

精油所に地底生物トレマーズが現れ、かつてトレマーズを退治して有名になったアール・バセット(フレッド・ウォード)のもとに退治の依頼が来る。アールは断るが、報酬目当ての若者グラディ・フーパー(クリストファー・ガーティン)に説得され、引き受けることにする。爆薬を使って次々とトレマーズを退治する二人だったが、巨大トレマーズに自動車ごと引きずられて身動きが取れなくなり、かつての仲間、バート・ガンマー(マイケル・グロス)に助けを求める。トレマーズ大量の爆薬と武器をトラックに積んで現れたバートは巨大トレマーズを倒し、活躍。負けじとトレマーズを退治していたアールとグラディは、巨大トレマーズが地上に顔を出したまま動かなくなり、夜中に腹が破れて死んでいるのを発見。地上を二本足で歩く新種のトレマーズが誕生していた。彼らは音や振動に反応するのではなく熱を感知し、バートの持ってきた食料を食べて増殖する。バートは倉庫にトレマーズをおびき寄せ、アールが大量の爆薬を爆発させてトレマーズを退治。何とか根絶に成功するが、巨大な爆発により精油所は吹っ飛んでしまうのだった。

劇場公開は限定的でビデオ公開となった作品。モンスターの動きはコミカルでかわいらしくもあり、怖さはない。本作に登場するヒロインは、元プレイメイトという地質学者のケイト(ヘレン・シェイバー)。公開当時45歳のおばさんがヒロインというのも、なかなかインパクトがある。

【5段階評価】3

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2020年11月 3日 (火)

(2225) 文豪ストレイドッグス DEAD APPLE

【監督】五十嵐卓哉
【出演】上村祐翔(声)、宮野真守(声)、諸星すみれ(声)、小野賢章(声)、中井和哉(声)
【制作】2018年、日本

異能力者どうしの戦いを描いたアニメ作品。

作家をモチーフにした登場人物が登場する。悪役として澁澤龍彦(中井和哉)が登場し、中島敦(上村祐翔)や泉鏡花(諸星すみれ)、芥川龍之介(小野賢章)らがそれに立ち向かう。中島らは、自身から切り離された自らの異能力に襲われ、それを倒して再び自らの能力にしたあと、協力して渋澤を倒す。

異能力として作家の作品名などが用いられており、芥川龍之介は「羅生門」、泉鏡花は「夜叉白雪」などそれらしい。調べてみると田山花袋の異能力は「蒲団」。どないやねん。映画には出てこなかったが。
ストーリーや登場人物を初見で理解することは極めて難しく、誰が敵で誰が仲間なのかもほとんど分からない。知らない人はポカーンと観るばかりのファン専用映画。ダイジェスト版のように観る作品ではなかった。

【5段階評価】2

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2020年11月 2日 (月)

(2224) ねずみ物語 ~ジョージとジェラルドの冒険~

【監督】波多正美
【出演】高山みなみ(声)、林原めぐみ(声)、大塚周夫(声)、内海賢二(声)、野沢雅子(声)
【制作】2007年、日本

ネズミの男の子二人が冒険に出るアニメ作品。

ネズミ一族の長老レオポルト(大塚周夫)は、仲間思いのジョージ(高山みなみ)と力持ちのジェラルド(林原めぐみ)に、月の谷に住む光の竜を捕らえた者を跡継ぎにするという試練を与える。二匹はウォルター(犬山イヌコ)とチェンバレン(山口勝平)、マリー・ルウ(菊地美香)とともに、破れた地図を手がかりに、旅に出る。五匹は道中で、フクロウのノーマ(野沢雅子)と老ネズミアレックス(内海賢二)に出会う。アレックスは破れた地図の対になる地図を持っていた。アレックスはかつて、レオポルトとともに光の竜を目指して旅をしたものの、仲違いが原因で光の竜にたどり着けなかったという過去があった。アレックスに送り出され、ジョージとジェラルドは協力して月の谷を目指し、ついに光の竜を発見する。
二人は竜を捕らえることなく、仲間と一緒にレオポルトのもとに戻り、二人で一族を率いていくと宣言。レオポルトは二人に一族を託すのだった。

意外な展開は特にない子ども向け冒険映画。大人には退屈な作品。

【5段階評価】2

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2020年11月 1日 (日)

(2223) パリの恋人

【監督】スタンリー・ドーネン
【出演】オードリー・ヘップバーン、フレッド・アステア、ケイ・ソンプソン、ミシェル・オークレール
【制作】1957年、アメリカ

本屋の店員からファッションモデルになった女性とカメラマンとの恋を描いたミュージカル作品。

ファッション雑誌の編集長マギー(ケイ・トンプソン)とカメラマンのディック・エイブリー(フレッド・アステア)はモデルを連れて書店で撮影を開始。書店の店員ジョー・ストックトン(オードリー・ヘップバーン)がディックの目に止まり、ディックは彼女をモデルになるよう説得。パリのフロストル教授に会うことを願っていた共感主義かぶれのジョーは、モデルになることを承諾。
パリに渡ったジョーとディックは撮影を進めながら互いに惹かれ合っていく。しかし、大事なショーの直前、ジョーはフロストル教授(ミシェル・オークレール)に出会い、二人で語り合っているところに、ディックが現れ、教授は下心でジョーに接していると言ってジョーを連れ帰ったため、ジョーとディックは喧嘩になり、ショーは大失敗。ジョーは再びフロストル教授に会いに行く。マギーとディックはアメリカから観光で来た夫婦になりすましてフロストル教授の家に入り、ジョーを連れ帰ろうとするが、ジョーは反発。マギーとディックは諦めて教授の家をあとにする。邪魔者がいなくなったフロストル教授は本性を現し、ジョーに激しく迫るが、ジョーは陶器の像で教授を殴って逃げ帰る。
会場に戻ったジョーはディックを探すが、ディックはすでに帰途に就いていた。ジョーはマギーにディックを連れ戻してくれるよう頼み、見事にファッションショーをやり遂げるが、ディックは捕まらない。ジョーはファッションショーを終えると、ウェディングドレス姿のまま、会場から駆け出す。
ディックは飛行機への搭乗直前、フロストル教授に再会。フロストル教授はジョーに頭を殴られ大けがをしたと激怒していた。ジョーがフロストル教授に騙されなかったことを知ったディックは飛行機に乗るのをやめ、ジョーと愛を誓い合った庭園に向かう。そこには失意のジョーがいた。ディックはジョーに愛をささやき、二人は再び口づけをかわすのだった。

公開当時28歳のオードリー・ヘップバーンに対し、フレッド・アステアは58歳。二人が恋人同士というのはさすがに年が離れすぎだが、そこは気にしてはいけないんだろう。ステッキやコートを使ったフレッド・アステアのダンスは見事だが、オードリー・ヘップバーンも巧みなダンスや歌を披露しており、見応えがあった。一方で、初登場シーンの質素な店員の出で立ちも、一目で「あ、映画スターだ」と気づいてしまう愛らしさ。一歩間違えば骨張って見えるほど華奢で痩せているが、怒った顔すら可愛らしい。絶世の美人女優とは違った世紀の大女優だ。

【5段階評価】3

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