(2206) パッセンジャー
【監督】モルテン・ティルドゥム
【出演】クリス・プラット、ジェニファー・ローレンス、ローレンス・フィッシュバーン、マイケル・シーン
【制作】2016年、アメリカ
移民を乗せて別の惑星に向かう宇宙船の中で冬眠状態から目覚めた男女の運命を描いたSF作品。
5,000人の移民を乗せて宇宙空間を飛行する宇宙船アバロン号。乗客、乗員は全員冬眠状態で、自動運行をしていた。しかし、巨大な隕石が衝突し、システムエラーにより、一人の冬眠が解けてしまう。起き上がったのは技術者のジム・プレストン(クリス・プラット)。彼は船内で起きているのは自分だけであり、目的地の惑星にはあと90年かかることを知る。人がいると思って近づいたバーテンダーはアンドロイドのアーサー(マイケル・シーン)。酒と食事を好きなだけとり、娯楽施設を堪能したり宇宙服を着て船外遊泳を楽しむジムだったが、孤独に耐えきれず、自殺の一歩手前まで追い込まれる。そんなとき、冬眠中のカプセルの中にオーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス)という美しく若い女性がいることに気づく。彼はオーロラのインタビュー動画を見つけ、彼女に惹かれていく。そしてついに誘惑に耐えかね、彼女の冬眠カプセルを操作し、彼女を冬眠から目覚めさせてしまう。オーロラはジムが自分を起こしたとは知らず、船内にたった一人のジムと知り合い、二人は恋人同士となる。ジムはアーサーに、自分がオーロラを起こしたことは絶対に言うなと口止めしていたが、恋仲になったジムとオーロラがバーに行ったとき、二人の間に秘密は何もない、とアーサーに話す。ジムは船内の貴金属で作った指輪をサプライズでオーロラにプレゼントするために席を外すが、二人の間に秘密はないと解釈したアーサーは、ジムがオーロラの冬眠カプセルを開けた頃の話をオーロラにしてしまう。それを聞いたオーロラは、ジムに自分の人生を奪われたことにショックを受け、ジムに激しい怒りをぶつける。二人の関係は完全に引き裂かれてしまう。
一方、船内は隕石衝突の影響で、回復できないエラーが頻発するようになり、乗組員のガス(ローレンス・フィッシュバーン)も目覚める。三人は協力して船内の故障の原因を探ろうとするが、ガスは冬眠装置の故障により体内を激しく損傷しており、身につけていた高セキュリティアクセスデバイスをジムに託し、息絶える。ジムとオーロラは協力して船内を探索。隕石が船内を貫通して核融合炉のコンピュータを破壊していることを突き止める。ジムは損傷箇所をスペア部品と取り替えて再起動し、加熱した核融合炉の熱を排出しようとするが、排出口の扉が故障して開かず、熱を排出できない。ジムは宇宙服を着て船外から扉を開け、同時にオーロラが船内のレバーを引くことで熱排出は成功するが、ジムは熱噴射により吹き飛ばされ、命綱が切れて宇宙空間に放り出されてしまう。それに気づいたオーロラは慌てて宇宙服を着て船外に飛び出し、何とかジムを回収し、治療用カプセルにジムを担ぎ込むが、ジムは死亡と診断される。オーロラは蘇生措置を起動し、ジムは蘇る。ジムは医療カプセルが冬眠カプセルの代替になることを発見。オーロラにカプセルで冬眠するよう促すが、オーロラはジムと船内で暮らし続ける道を選ぶ。88年が経ち、宇宙船のクルーたちが冬眠から目覚める。彼らは船内に木がしげり、小屋が作られているようすを目の当たりにするのだった。
「アポロ13」や「ゼロ・グラビティ」のような、宇宙空間から地球に生還するというサバイバルではなく、宇宙船の中で生き続けることを余儀なくされた二人の男女が生存を賭けて奮闘し、やがて自分たちの世界を創り上げるという創世記的な作品。なかなか面白い状況設定で、映像も美しく、見応えのある作品だった。未来の衣装や宇宙船のデザインも奇抜さがなく洗練されており、ギミックが豊かで観ていて楽しい。サバイバルできてよかったね、という楽しみ方もできる一方で、オーロラの立場からすると、ジムのしたことを本当に許せるのか、考えさせられる内容でもある。ジムが起きなければ宇宙船ごと5,000人が死亡していたとは言えるが、それは結果論である。少なくともジムが若いタフガイだから成り立つ話ではあるだろう。自分としては、オーロラに蘇生されたジムが記憶を失っていて、オーロラを見て「君は誰だ? 」と尋ね、そこから二人の愛が一から始まる、なんていう終わり方もありだと思った。
全員冬眠しているのに何で照明がついているの、とか、「技術者」が何でも作れるアビリティ使いすぎ、とか、ガスは要するに管理者権限を渡すためだけに出てきたNPCなのね、とか、細かいことは気にしないほうがいい。宇宙ではご都合主義なしには生き抜けないのである。
「ハンガー・ゲーム」では絶世の美女というより、どこにでもいるような平凡な少女を演じていたジェニファー・ローレンスの美しさも、本作の大きな魅力になっている。
【5段階評価】5
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