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2020年10月18日 (日)

(2209) マダム・フローレンス! 夢見るふたり

【監督】スティーブン・フリアーズ
【出演】メリル・ストリープ、ヒュー・グラント、サイモン・ヘルバーク、レベッカ・ファーガソン、ニナ・アリアンダ
【制作】2016年、イギリス、フランス

カーネギーホールでコンサートを開いた音痴のソプラノ歌手と、それを支える夫との愛情を描いたコメディ。

エンターテイナーのシンクレア・ベイフィールド(ヒュー・グラント)は、フローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)を大事にしており、彼女の望みは何でも聞くようにしている。ソプラノ歌手として活躍したいフローレンスは、自分のお気に入りのピアノ伴奏者をオーディションで選び、コズメ・マクムーン(サイモン・ヘルバーク)が選ばれる。シンクレアはフローレンスの好き嫌いをコズメに伝え、破格の報酬を支払うことにする。
翌日、フローレンスは名指揮者のカルロ・エドワーズから歌のレッスンを受ける。カルロはまじめに指導するが、初めてレッスンに参加したコズメは、彼女のあまりの音痴ぶりに言葉が出ない。帰りのエレベータではこらえきれず大笑いをしてしまう。自分に才能があると信じ込むフローレンスはリサイタルをしたいと言い出す。カルロは見え見えの嘘をついて出席を拒否。コズメもシンクレアにやめるよう進言するが、シンクレアは半ば脅すようにコズメに伴奏させる。シンクレアは買収した記者とフローレンスの知人で観客を固めてリサイタルを実施。事情を知らない若い婦人のアグネス・スターク(ニナ・アリアンダ)はあまりのひどい歌に笑いが止まらず、夫とシンクレアに会場から追い出される。コンサート後、フローレンスは体調が悪化し、帰宅し、医師の診察を受ける。彼女は18歳の時、新婚初夜に遊び人だった夫に梅毒を移されていた。診察した医者が50年間も生きているのは信じられないと言ってシンクレアに理由を聞くと、彼は音楽が彼女を支えていると答える。医者はあなたの愛情もだ、と言って帰る。シンクレアは眠ったフローレンスを置いて打ち上げで盛り上がっている自宅に戻り、アグネスやコズメらと飲み明かす。
翌朝、彼女を絶賛する新聞記事に気をよくしたフローレンスは、シンクレアの家に現れ、コズメを連れて自分の歌をレコーディング。シンクレアが、フローレンスに内緒で同棲しているキャスリーン(レベッカ・ファーガソン)とゴルフに行っている間に、フローレンスは自分の曲をラジオ局に送り、カーネギーホールを予約して戦争で苦しんでいる帰還兵1,000人を招待してしまう。
コンサート当日。酔った帰還兵と有名人で埋まった会場を見て、フローレンスはナーバスになる。シンクレアが一生懸命なだめるが、そこにコズメが歩み寄り、「きっとうまく行きます」と勇気づける。感動したフローレンスは自分の遺書にコズメに遺産を残すと書き加え、会場入りする。コズメの伴奏でフローレンスが歌い始めるが、会場はフローレンスの歌声に爆笑。やめろ、警察を呼ぶぞ、と罵声が飛び交う。恐れおののき歌うのをやめてしまうフローレンスを見て、観客を恫喝したのは、最初のリサイタルで笑い転げていたアグネスだった。力の限り謳っているんだから応援しろ、と帰還兵にどなり、会場は総立ちでフローレンスを応援。勇気づけられたフローレンスは歌を再開する。買収に応じなかったニューヨーク・タイムズの記者は、あまりのひどさに席を立ち、会場を後にしてしまう。その後もフローレンスは歌い続け、コンサートは終了。フローレンスを連れ帰ったシンクレアは自分の家に戻らず、彼女の横で眠る。
翌朝、シンクレアは、酷評記事が書かれたニューヨーク・タイムズを買い占め、何とかフローレンスの目に付かないようにするが、彼女はゴミ箱からそれを取り出し、記事を読んでしまう。彼女はショックで倒れる。目を覚ますと、彼女の横にはシンクレアがいた。自分は嘲笑されたのかと疑うフローレンスに、シンクレアは、僕はそうじゃないと元気づけ、コズメも優しく見守る。フローレンスは目を閉じ、美しい歌声で観客を魅了し、コズメとシンクレアに挟まれてステージで喝采を浴びる情景に思いをはせるのだった。

歌唱力に定評のあるメリル・ストリープが、音痴の役を自らの声で演じているのが作品に現実味を与えている。カラオケが浸透し、音痴の人の歌い方を聞き慣れている時代だからこそ、音痴の人はこうなるよな、という音の外し方やすっとんきょうな高音の出し方が分かり、吹き替えでわざとひどい歌い方をしていると感じさせることなく、力の限り歌った結果、音痴になっているという歌声が表現されている。むしろ、ヒュー・グラント演じるシンクレアの献身ぶりの方が、なぜそこまで、と現実味を感じさせないほど。ピアニスト役のサイモン・ヘルバークも、ピアノが得意な俳優で、この臆病そうな青年が、次第にフローレンスに共感していく様子も感動的。ただ、実話に基づく作品だから仕方ないのかもしれないが、シンクレアが浮気をしているという設定は、作品のすがすがしさにはそぐわなかった。

【5段階評価】4

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