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2020年10月11日 (日)

(2202) ウインド・リバー

【監督】テイラー・シェリダン
【出演】ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン、グラハム・グリーン、ケルシー・アスビル、ジェームズ・ジョーダン
【制作】2017年、アメリカ

雪原を10kmも走って息絶えた少女の謎に挑むFBI捜査官とハンターを描いたサスペンス映画。実話に基づく作品。

ハンターをしているコリー・ランバート(ジェレミー・レナー)は、ピューマ退治を依頼され、ワイオミング州のネイティブ・アメリカン居留地、ウインド・リバーの雪原に向かう。コリーはそこで血と足跡を発見する。その先で若い女性(ケルシー・アスビル)が死んでいた。女性の名はナタリー。ネイティブアメリカンの18歳の少女だった。ワイオミング州では、殺人事件はFBIが捜査することになっており、女性捜査官のジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)がやってくる。ナタリーには額を殴られた裂傷や強姦の痕跡があったが、直接の死因は、極寒の地を走り続けて肺が凍って出血したことによる窒息死だった。死因が他殺ではなく事故死であれば、FBIは捜査から外され、わずかな部族警察が調査することになるため、事件の迷宮入りは必須。ジェーンは地元に詳しいコリーに協力を依頼。ナタリーの父親マーティン(ギル・バーミンガム)は、コリーに、息子のチップが事件にかかわっているかもしれないと話し、犯人を見つけたら敵(かたき)を取るよう依頼。コリーはそれに応じる。ジェーンとコリーは、部族警察のベン・ショーヨ(グラハム・グリーン)とともに、チップがいるという場所に向かう。建物の中にいたサム(ジェラルド・トカラ・クリフォード)が発砲してきたため、ジェーンが彼を射殺。逃げるチップ(マーティン・センスマイヤー)をコリーがスコップで殴って捕まえる。コリーは、ジェットスキーの走行跡が山中に伸びているのを発見し、ジェリーとそれを追うと、雪山の中に裸の死体を発見する。
その夜、コリーはチップから、ナタリーの恋人の名がマットだったことを聞き出す。ジェリーは、捜査の結果、雪山の死体の正体がマットであったことをコリーに報告。マットは地元の掘削所の警備員だった。コリーはジェリーに、自分の娘エミリーが16歳のときに死んだことを告白。休みができたコリーが二人きりになるため妻をホテルに呼んだところ、親が留守だと聞いたエミリーの友人が家に集まり、友人ではない者も集まってパーティ状態となる。コリーは、エミリーの親友ナタリーからの連絡で、エミリーが姿を消したことを知る。エミリーは、家から30kmも離れたウインド・リバー地区で遺体となって発見される。コヨーテに食われており検死もできなかったのだった。
翌日、ジェーンはベンや保安官とともに掘削所のマットの部屋の捜査に向かう。その場にいた警備員たちは少女が雪山で死んでいたことを知っており、不自然な態度を示す。ジェーンたちと警備員は互いに銃を向けあい、一触即発の状態になるが、ジェーンがその場を治め、マットの部屋のドアをノックする。
・・・事件の真相はこうだった。部屋に一人でいるマット(ジョン・バーンサル)のところに、マットに恋するナタリーが現れる。二人がベッドで楽しく会話をしていると、マットの同部屋のピート・ミケンズ(ジェームズ・ジョーダン)が、戻ってこないはずだったのに仲間とともに帰ってきてしまう。酔ったピートはナタリーをめざとく見つけ、執拗にマットとナタリーをからかう。堪忍袋の緒が切れたマットはピートにつかみかかり、ピートもマットに飛びかかる。ナタリーもマットを挑発する男に挑みかかるが、額を殴られ昏倒。マットも頭を殴られ気絶する。その間にナタリーはピートに犯されてしまう。ようやく起き上がったマットがピートに飛びかかってナタリーを逃がそうとするが、他の男達にリンチされてしまう。ナタリーは、その隙に裸足のまま部屋を逃げ出し、10kmも走って逃げた末に息絶えたのだった。
・・・ジェーンのノックに答えたのは、ドアの向こうにいたピートの放った銃弾だった。防弾チョッキを着ていたジェーンは吹っ飛び、その瞬間、ジェーンたちと警備員との壮絶な撃ち合いになる。警察官は全員撃ち殺され、ジェーンも銃を奪われる。ジェーンが撃ち殺されようとしたとき、別行動を取っていたコリーが警備員達を狙撃。警備員達は次々と撃ち殺されるが、ピートだけは負傷しながらも雪山に逃げ込む。現場に駆けつけたコリーはジェーンに応急措置を施すと、ピートを追い、逃げる彼を捕らえると、車道から10km離れた雪山に連れていく。コリーはピートを裸足にし、正直に話をすれば逃がしてやると告げる。ピートはナタリーを強姦し、邪魔をしたマットを殴り殺したことを告白。それを聞いたコリーはピートにここから車道まで走って逃げろと命じてピートの耳元で銃を撃つ。慌てたピートは雪山を走り出すが、やがてナタリーと同じように肺を痛め、絶命する。
ジェーンは一命を取り留めていた。ジェーンを見舞ったコリーは、マーティンのもとを訪ね、復讐を遂げたことを報告。死を選ぼうとしていたマーティンは、息子のチップからの電話でそれを思いとどまったと話す。二人はしばらくの間、同じ場所に座り、ナタリーに思いをはせるのだった。

ネイティブ・アメリカンの女性に対する犯罪や失踪が闇に葬られていることを訴える作品。娘を失った過去を持つ白人男性が、同じ不幸を背負ったネイティブ・アメリカンの父の復讐に加担するという展開は無理がなく、主題を引き立たせ、繰り返し起きる事件の理不尽さを巧みに描いている。
なぜナタリーは氷点下の雪原を10kmも走り続けて死んだのか、という強烈な謎が序盤に提示され、終盤で驚愕の真相が示されるという展開は、サスペンス映画としても魅力的。しかもこんなくだらないできごとが二人を死に追いやったのかという衝撃が、ネイティブ・アメリカンに対する犯罪のむごさ、この地をとりまく人々の罪の意識の低さ、問題の根深さを強烈に表現している。死体や銃撃の映像はリアルで激しい一方で、全体的には雪山の寂しげな景色とも相まって物静かな雰囲気に包まれていることも、本作の主題を観る者に重く響かせることに一役買っていた。「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」のジェレミー・レナーと「GODZILLA ゴジラ」のエリザベス・オルセンという配役も素晴らしい。ちなみに二人は「アベンジャーズ」シリーズでも共演している。「ダンス・ウィズ・ウルブズ」や「ダイ・ハード3」のグラハム・グリーンもよかった。
しかし、物足りないのは音響面だった。雪山の寒々しさを感じさせるような風の音や、重要なシーンでのBGMが乏しく、音の貧弱なシーンが目立った。タイトルが「ウインド・リバー」なんだから、それこそ川の流れのごとく、常に風の吹く音が聞こえているぐらいでもよかった。

【5段階評価】4

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