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2020年10月29日 (木)

(2220) スイミング・プール

【監督】フランソワ・オゾン
【出演】シャーロット・ランプリング、リュディビーヌ・サニエ、ジャン=マリー・ラムール、チャールズ・ダンス
【制作】2003年、イギリス、フランス

フランスの別荘で執筆する女性推理作家の体験を描いた作品。

スランプを自覚する女性推理作家、サラ・モートン(シャーロット・ランプリング)は、出版社のジョン(チャールズ・ダンス)から、フランスの自分の別荘で気分転換することを進められる。サラはジョンも来るのかと尋ね、ジョンは娘がいるから遅れて行くと答える。サラはフランスに向かい、使用人のマルセル(マルク・ファヨール)の出迎えで別荘に到着する。別荘は快適で、ジョンは執筆が進んでいるとジョンに報告。レストランではハンサムな店員フランク(ジャン=マリー・ラムール)と親しくなる。しかし突然、ジョンの娘ジュリー(リュディビーヌ・サニエ)が現れ、彼女の平穏は終わりを告げる。ジュリーは豊かな乳房をさらして全裸でプールを泳ぎ、毎晩のように違う男を家に連れ込む奔放さで、物静かなサラと全く相容れない。サラはジュリーを嫌悪しながらも、執筆に用いているノートPCにジュリーのフォルダを作り、ジュリーの日記を書き写したりしはじめる。サラはジュリーを食事に誘い、彼女のことを聞き出す。ジュリーは、自分と母親はジョンに捨てられたこと、母親はニースに住んでいて、小説家だったが作品は世に出なかったことなどを話す。
ある日ジュリーはフランクを家に連れてくる。ジュリーは3人で飲むことを提案するが、フランクはサラと踊りだし、ジュリーは面白くない表情を見せる。フランクとジュリーは夜のプールで泳ぎ始め、フランクの股間にジュリーが顔を埋める。バルコニーからそれを見ていたサラはプールに石を投げ込む。それに気づいたフランクはジュリーを引き剥がして帰り支度を始める。
翌日、サラはフランクの働く店に行くが、フランクは来ていない。今度はマルセルの家に向かうと、マルセルの娘だと名乗る、背の低い老婆のような女性が現れ、マルセルはいないと告げる。サラがジュリーの母親に連絡が取りたいと告げると、その女は母親は死んだと冷たく言い放ち、建物にひっこんでしまう。別荘に戻り、寝ていたジュリーに近づくと、ジュリーはサラを母親と勘違いして抱きつき、違うと分かると大声で泣き叫ぶ。サラはジュリーをなだめ、話を聞く。ジュリーはフランクを殺したことを告白。サラはジュリーとともにフランクを庭に埋め、いつも通りに暮らすのだ、とジュリーに言い聞かせる。サラはマルセルに用事を伝えて別荘に来させるようジュリーに告げる。マルセルは庭の芝刈りをするが、フランクを埋めた地面の不自然さに気づいてしまう。サラはバルコニーからマルセルに声をかけ、自らのネグリジェをはだけて乳房を見せ、マルセルを誘惑する。
ジュリーは仕事の口を見つけ、別荘を離れることになる。ジュリーは母親の作品をサラに託す。サラはジュリーの母親の作品を自分の作品としてジョンに提出。それを読んだジョンは、この作品は世に出すべきではないと言うが、サラは別の出版社で書籍にしたと言って、本をジョンに手渡す。タイトルは「スイミング・プール」だった。サラはジョンのもとを去る。入れ違いに、ジュリアというジョンの娘が現れる。ジュリーとは似つかない、歯の矯正具を付けた平凡な顔の女性だった。
サラは別荘のプールで泳ぐ女性に手を振る。それは歯の矯正具を付けたジュリアの顔だった。しかしもう一度プールを見ると、手を振るのは美しいジュリーの顔になっているのだった。

訳の分からない結末。ジョンの娘だと名乗ったジュリーは、本当の娘ジュリアとは別の娘だが、全くの他人なのか、愛人の娘なのかは判然としない。ジュリーが現実の存在なのか、サラの妄想によるものなのかもよく分からない。ジュリーがなぜフランクを殺し、サラはなぜその証拠隠滅を主導したのか。何もかも真相は語られない。監督自身、作品の真相は観客の解釈に委ねると公言している。
本ブログに何度も書いているが、ちりばめた伏線を回収せず、提示した謎を明らかにしないのは卑怯である。解釈に幅があるのはいい。しかし、それは制作者が意図したものであるべきだ。何を表現するかを放棄して観客に委ねるのは制作者の怠慢である。観客の時間をただ奪った罪は重い。
また、本作はR-15指定だったので、相当ショッキングなシーンでもあるのかと思ったが、単に性的シーンがあるというだけだった。しかしそれすらわざわざR-15にするほど大したものではない。いろんな意味で期待外れの作品だった。

【5段階評価】2

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