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2020年9月16日 (水)

(2177) 八月の狂詩曲

【監督】黒澤明
【出演】村瀬幸子、吉岡秀隆、大寳智子、鈴木美恵、伊崎充則、井川比佐志、根岸季衣、リチャード・ギア
【制作】1991年、日本

長崎に住む原爆経験者の祖母と孫、アメリカの青年との交流を描いた作品。

原爆投下から45年経った長崎で暮らす老婆、鉦(かね)(村瀬幸子)のもとに、夏休み中の四人の孫達が泊まりに来る。鉦の子どもの信太郎(井川比佐志)と良江(根岸季衣)は、鉦の兄だという錫二郎(松本克平)という男からの連絡でハワイに行っていた。錫二郎はハワイでパイナップル農園を営む金持ちで、鉦が妹であることを突き止め、連絡してきたのだ。錫二郎は老い先が短く、死ぬ前に鉦に会いたいから孫を連れてハワイに来てほしいという手紙を送ってくる。しぶる鉦だったが孫の説得もあり、ハワイ行きを決意する。鉦は孫達と暮らしながら、戦争の体験を孫達に話す。孫達は、小学校の焼けたジャングルジムや、爆心地のモニュメントなどを見ながら、戦争の記憶を体験していく。
やがて信太郎と良江が鉦の家に戻ってくる。鉦は、原爆で亡くなった夫の命日の8月9日が過ぎたら行くとハワイに連絡を入れたが、ハワイの錫二郎からは、息子のクラーク(リチャード・ギア)が鉦を尋ねるという連絡が来る。パイナップル農場の富豪と関わりを持てることに下心を見せていた信太郎と良江は、アメリカ人が原爆のことを不愉快に思い、クラークが関係を断つ連絡をしにくるのでは、と考えるが、鉦は信太郎らのやましい考えに怒りを表明する。
クラークは、原爆で夫を亡くした鉦に対する気遣いがなかったことを謝罪しにきたのだった。クラークと鉦は打ち解け、四人の孫達ともすっかり仲良しになる。ところが、そこに錫二郎が亡くなったという急な報せが入り、クラークは帰国する。鉦は錫二郎の写真を手に、早くハワイに行ってあげればよかった、と涙する。
信太郎と良江は、子ども達を連れて鉦の家から帰ろうとするが、鉦がよたよたと信太郎のもとに歩み寄り、「兄さん、会いに来てくれたとね」と声をかける。様子がおかしいと感じた信太郎は帰るのをやめ、鉦の家にとどまる。鉦の時間は過去に向かって流れているんだ、と孫の縦男(吉岡秀隆)はつぶやく。鉦は原爆が落ちた日のような雲行きの中、家を出て行く。大嵐の中、鉦は夫を迎えに行くかのように傘を差して歩いて行く。それを孫の四人と信太郎、良江が追う。やがて傘は風にあおられ壊れ、鉦は大雨に打たれながら歩き続けるのだった。

ハワイに行けるとはしゃいでいた四人の孫達が、祖母の話を聞いて戦争について考えるようになり、その孫の親達は立派な農園のことで頭がいっぱいで戦争の記憶などそっちのけ。ハワイから来たクラークのほうが祖母に真摯に向き合い、素直に謝罪する。そんな対比がうまく描かれていた。始めは横文字の入ったシャツを着ていた孫達が、終盤では無地の服を着るようになっていたのも、意味のあることだったんだろう。リチャード・ギアが片言ではあるが日本語を話すシーンも貴重。静かな作品だが、観終わった後に感慨が胸に響くところはさすがは黒澤明監督というところ。
「野ばら」の曲が印象的に使われているのだが、この曲ってもともとドイツ語の曲なので、なんだか微妙な選曲な気はした。

【5段階評価】4

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