« (2135) 伊豆の踊子 | トップページ | (2137) トリプルX »

2020年8月 6日 (木)

(2136) 情婦

【監督】ビリー・ワイルダー
【出演】チャールズ・ロートン、マレーネ・ディートリッヒ、タイロン・パワー、ジョン・ウィリアムス
【制作】1958年、アメリカ

アガサ・クリスティの小説が原作の法廷サスペンス。

退院したばかりの老弁護士、ウィルフレッド・ロバーツ(チャールズ・ロートン)のもとに、レナード・ボール(タイロン・パワー)の弁護の依頼が来る。彼は偶然の出会いから親しくなった未亡人フレンチを殺害した容疑をかけられており、逮捕される。フレンチ夫人は彼に遺産を残すよう遺書を書き換えていた。レナードは無実を主張し、妻が自分のアリバイを証明してくれるとウィルフレッドに説明。ウィルフレッドは彼の弁護を決める。そこにウィルフレッドの妻クリスティーネ(マレーネ・ディートリッヒ)が現れ、彼女はドイツでレナードと結婚したが、それは生活のためで自分には別に夫がおり、レナードを愛してはいない、とウィルフレッドに説明。しかしアリバイは証言するつもりだ、と言って事務所を去る。ウィルフレッドはクリスティーネの意図を図りかねるが、彼女を証言台に上げないことを決意する。
ところが検察側はクリスティーネを証言台に立てる。すると彼女は、レナードは袖に血が付いた状態で帰宅し、女を殺したと言ってアリバイ偽装を自分に依頼したのだ、と証言する。ウィルフレッドは、これまで嘘を重ねてきた人間に質問しても意味がない、と言い捨てるが、レナードは厳しい状況に置かれる。事務所に戻ったウィルフレッドに、謎の女から電話が入り、レナードに有利な証拠があると言ってウィルフレッドを駅に呼び出す。女は名乗らず、クリスティーネが書いたという手紙をウィルフレッドに売りつける。それはクリスティーネがマックスという男に宛てた手紙で、マックスと一緒になるためにレナードを陥れるために偽証するつもりであることが書かれていた。ウィルフレッドはそれを証言台のクリスティーネに突きつける。クリスティーネはウィルフレッドを口汚く罵るが、手紙は自分が書いたことを白状する。レナードは無罪となる。ウィルフレッドはすっきりしないものを感じる。
裁判は終わり、クリスティーネは法廷の外で傍聴人らに嘘つき女呼ばわりされて混乱が起きたため、係員により法廷内に連れ戻される。法廷に残っていたウィルフレッドは、クリスティーネに偽証罪の罪の重さを説明しようとするが、クリスティーネは意に介さない。彼女は本当にレナードを愛しており、彼のために偽証をしたのだった。しかもレナードはフレンチ夫人殺しの真犯人だった。クリスティーネが妻のままレナードのアリバイを証明しようとしても証拠とならないため、彼女は別の夫がいてレナードの妻ではないという立場に立ち、あえてレナードが犯人だという証言をする。そして自らが謎の女に変装してウィルフレッドに自分の書いた手紙を渡し、自分の証言の偽装を暴かせてレナードの無実を勝ち取るという作戦をとっていたのだった。驚愕するウィルフレッドのもとにレナードが現れ、クリスティーネはレナードに抱きつく。しかしレナードには別の若い恋人がいた。クリスティーネは裏切られたのだ。クリスティーネは絶望し、法廷に残っていたナイフでレナードを刺す。レナードは倒れ、クリスティーネは連れ去られる。ウィルフレッドは、クリスティーネを弁護することを決意するのだった。

古い映画なので見るのを若干ためらったが、法廷ものは好きなので観ることにした。素晴らしい法廷サスペンスの一級品だった。古さなど全く関係がない。冒頭のウィルフレッドと看護師プリムソル(エルザ・ランチェスター)との小気味よいやりとりに始まり、テンポよく話が進展。無駄のない人物描写のあと、法廷のやりとりもウィルフレッドが長々としゃべらず、核心を突いた質問を決めて座る姿が気持ちいい。一方で体が悪く医者に止められているのに葉巻や酒をやめないので観客は彼の病状が悪化しないかとヒヤヒヤしながら法廷を見守ることになる。画面に釘付けだ。そしてクライマックスの見事などんでん返し。序盤のクリスティーネの謎の行動。謎の女がどうやってクリスティーネの手紙を持っていたのかのからくり。レナードが妻はいい女優なんだと自慢するシーン。全ての伏線が回収されて謎がスパッと解け、アガサ・クリスティの作品で感じられるカタルシスを存分に味わえる。そして最後にこれまでウィルフレッドに酒もたばこも重労働も駄目と厳しく接していたプリムソルがウィルフレッドの弁護士活動を応援する側に回り、ウィルフレッドが中味をすり替えたココアのボトルを持って「先生ブランデーをお忘れですよ」と話しかけるシーンも、ウィットに富んでいた。
ただ、モノクルの光を反射させて相手の顔に当てて嘘をついていないか確かめるシーンは、結局「見抜けてないんじゃん」という落ちなので、もう少しいい方法がなかったのかな、というのと、ドイツで結婚していたという文書をどうやって作ったのか、本当なのか嘘なのか、嘘だとしたらどうやって偽造したのかはよく分からなかった。とは言え、「好きな古い映画は」と言われたら真っ先に挙げるのでは、と思えるほどの名作だった。

【5段階評価】5

|

« (2135) 伊豆の踊子 | トップページ | (2137) トリプルX »

映画・テレビ」カテゴリの記事

評価5の映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« (2135) 伊豆の踊子 | トップページ | (2137) トリプルX »