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2020年8月

2020年8月31日 (月)

(2161) 雨に唄えば

【監督】ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン
【出演】ジーン・ケリー、デビー・レイノルズ、ドナルド・オコナー、ジーン・ヘイゲン、ミラード・ミッチェル
【制作】1952年、アメリカ

映画スターと駆け出し女優の恋を描いたコミカルミュージカル作品。雨の中のダンスシーンがあまりにも有名。

サイレント映画時代のスター、ドン(ジーン・ケリー)とリナ(ジーン・ヘイゲン)は仲睦まじいカップルとして売り出していたが、相手を好いているのはリナだけだった。ドンは街でファンに囲まれ、偶然通りがかった駆け出し女優キャシー(デビー・レイノルズ)の車に逃げ込む。キャシーは舞台俳優を目指しており、サイレント映画の俳優を影だけの存在とけなす。しかしドンはキャシーの存在が気になり、二人は恋仲となる。
トーキーの時代を迎え、ドンとリナの映画もトーキーに切り替えるが、リナが天性のキンキン声で試写会ではコメディのようになってしまう。ドンは親友のコズモ(ドナルド・オコナー)とともに、キャシーにリナの吹き替えをさせたミュージカルに映画を作り替えることを思いつく。撮影は順調に進むが、自分の声が吹き替えられていることを知ったリナは、映画会社との契約を盾に、キャシーを自分の吹き替え専用にして表舞台に出られないようにする。映画の完成披露の場で、調子に乗ったリナは舞台でスピーチを始めるが、映画と声が違うことに腹を立てた観客が、歌を歌え、と騒ぐ。シンプソン社長(ミラード・ミッチェル)は舞台の幕の後ろでキャシーに歌わせ、リナは得意顔で口パクをするが、シンプソン社長とドン、コズモは、歌の途中で幕を上げ、キャシーの後ろでリナが歌っていることをばらす。観客は大爆笑となり、リナは舞台から逃げていく。ドンはキャシーこそがこの映画の広いんだと告げて舞台に呼び戻す。こうしてドンとキャシーは結ばれ、「雨に唄えば」は二人の出演作品となるのだった。

ミュージカル映画では、何かと説明調の歌詞と場をわきまえない踊りが唐突に始まる不自然さが鼻につくことがあるが、本作は序盤、あまり劇中の不自然なミュージカルシーンがない。最初のダンスシーンは役者を目指すドンとコズモのステージパフォーマンスなので不自然さがなく、序盤の後半にコズモのコミカルなダンスシーンが始まる。このダンスが小道具をふんだんに用いて楽しく、CGや特殊撮影技術もない時代の完璧なダンスに度肝を抜かれる。その後はもうダンスシーンが楽しみで、特にドンとコズモの二人のダンスが軽快でアクロバティックで、とても素人にはできない見事さ。有名な割に作品全体を観たのははじめてだったが、「巴里のアメリカ人」と並ぶミュージカル映画の代表作と言われるのもうなずけるできばえだった。「ラ・ラ・ランド」が本作のオマージュだというのも納得。

【5段階評価】4

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2020年8月30日 (日)

(2160) 怪物はささやく

【監督】ファン・アントニオ・バヨナ
【出演】ルイス・マクドゥーガル、リーアム・ニーソン、フェリシティ・ジョーンズ、シガニー・ウィーバー
【制作】2016年、スペイン、アメリカ

重い病気の母親を持つ少年が、目の前に現れた怪物との関わりを通じて、心の成長を遂げる姿を描いたファンタジー作品。

夜な夜な、地割れに堕ちそうになる母親に手を差し伸べるものの母親(フェリシティ・ジョーンズ)が落下してしまうという夢を見る少年コナー・オマリー(ルイス・マクドゥーガル)。彼の前に、12時7分になると近くの丘の大木が変身した怪物(リーアム・ニーソン)が現れる。怪物は3つの物語を聞かせるのでその後、4つめに真実の話をしろとコナーに命じる。怪物は、農民の娘を殺してそれを女王のせいにして王座に就いた王子の話や、信仰を捨てて娘の命を助けて欲しいと言った牧師と協力を断った調合士の話、人から相手にされない透明人間の話をする。それらは善悪のあいまいな話で、コナーは最後の話を自分の話に置き換え、自分をいじめていた少年に仕返しをして病院送りにする。母親は治療薬が効かず、丘の大木を原料とする別の薬を試すことになる。しかし薬は効かず、コナーはついに丘に向かい、大木を責める。大木は怪物に変わり、コナーに話をしろとけしかける。コナーは夢の中で母親を掴んだ手を自ら離した、と告白。それを聞いた怪物はコナーの勇敢さを称える。そこにコナーの祖母(シガニー・ウィーバー)が現れ、コナーを母親のいる病院に連れて行く。コナーは素直に母親に泣きつく。怪物もそれを見守り、母親は天に召される。
コナーは母親の死を乗り越え、祖母の用意した新たな部屋に入る。そこには一冊の絵本があった。それを開くと、その中には怪物がコナーに話して聞かせた物語とコナーの前に現れていた怪物、そしてその肩にのる少女の姿が描かれていた。コナーは怪物が母親の創造の産物だったことを知るのだった。

怖くないダークファンタジーという趣で、少年の心の成長を描いているようであるが、怪物に関する謎がすっきりと明かされるという訳でもなく、何を描いているのか分かりにくい作品だった。特撮のできはよかったので、評価2とはしなかったが、正直期待外れだった。

【5段階評価】3

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2020年8月29日 (土)

(2159) パーフェクト ストーム

【監督】ウォルフガング・ペーターゼン
【出演】ジョージ・クルーニー、マーク・ウォールバーグ、ダイアン・レイン、ジョン・C・ライリー
【制作】2000年、アメリカ、ドイツ

1991年に大西洋で発生した巨大な嵐に巻き込まれた漁船の運命を描いたディザスター映画。

話としてはシンプルで、マサチューセッツ州グロスターのメカジキ漁船が巨大嵐「パーフェクトストーム」に巻き込まれ、奮闘むなしく全員が帰らぬ人となる。途中で救助ヘリと巡視船の奮闘が織り込まれている。

作品の目玉はCGと実写を駆使した海の猛威の描写。船員役のマーク・ウォールバーグが吐きながら演技をし、仕事を降りたいほどつらくて涙を流したら監督からいい演技だと言われたということだ。
技術力を駆使して撮影しているとは思うものの、やはりところどころCGっぽいし、船はセットの中で揺れている感じがしてしまうし、映像が作り物めいていて、現実と見分けがつかないほどのCG技術はまだ難しい頃の作品だったのだな、ということも見えてしまう。ストーリー的にもそれほど感動的というほどではなく、乗員全員が海に飲まれるという最悪のバッドエンドであり、感動の作品というわけにはいかない。実際の出来事を映画として描きあげたことは称賛に値するが、何度も観たくなるような感動や映像的魅力は乏しかった。ぶっちゃけDVDを購入した作品なので、テレビ録画で観る必要はあまりないわけだが。

【5段階評価】3

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2020年8月28日 (金)

(2158) コンフィデンスマンJP ロマンス編

【監督】田中亮
【出演】長澤まさみ、東出昌大、小日向文世、竹内結子、三浦春馬、江口洋介、織田梨沙、前田敦子
【制作】2019年、日本

テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版第1作。香港の女性富豪を巡る詐欺師の騙し合いを描いたコミカルサスペンス。

女詐欺師のダー子(長澤まさみ)はボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)、五十嵐(小手伸也)、そして街で出会った駆け出しの詐欺師モナコ(織田梨沙)と組んで、香港の女性富豪ラン・リウ(竹内結子)に取り入って詐欺を働く計画を立てる。一方、ダー子らにかつて20億円をだまし取られたヤクザの赤星栄介(江口洋介)は彼らに復讐するため行動を開始する。
ダー子らは香港に飛び、ラン・リウに接触するが、彼女のもとにはすでに恋愛詐欺師のジェシー(三浦春馬)が入り込んでいた。ジェシーはかつてダー子が組んだことの相手だったが、ジェシーは常に一手先を行き、ダー子らの計画はうまく進まない。ジェシーはラン・リウを恋仕掛けで落とそうとするが後一歩及ばず、ダー子に協力を申し出る。ジェシーはラン・リウの恋の相手に30億円もの金を渡してラン・リウを振る役をさせ、傷心のラン・リウの前にジェシーが登場。そこにダー子が横恋慕した形で現れ、ラン・リウに銃を向けたところでジェシーがかばうという筋書きでラン・リウを落とし、彼女が身につけている数百億円するというパープルダイヤモンドを手に入れる。あっけにとられるボクちゃんやリチャードたちを置いてダー子はジェシーとヘリに乗り込もうとするが、中にいたのは赤星だった。ジェシーは赤星に雇われ、ダー子たちを赤星に引き渡すのが目的。モナコはジェシーの送り込んだ手先だったのだ。そこに大量のパトカーとともにラン・リウが現れ、ジェシーに銃を向けるが、ジェシーは赤星とともにヘリで逃走してしまう。
赤星は勝ち誇ったようにパープルダイヤを鑑定にかけるが、それは偽物だった。騙されていたのはジェシーのほうで、なんとラン・リウもダー子の組んだ詐欺師だった。彼らはラン・リウの恋の相手に支払った30億をものにし、盛大に喜ぶのだった。

詐欺のどんでん返しは脚本次第で何でもありで、いかにも芝居じみたやりとりは好みの分かれるところだが、凝った伏線と回収で素直に楽しい。観ていて素直に楽しめなかったのは、浮気が発覚して話題となった東出昌大が、やっちゃいけないのは愛をもてあそぶことだの、自分が本当に愛しているのは誰なのか、などと語るシーン。どう観ればいいんだよ。騙したのお前だよお前、という。そして本作で一番の騙され役の三枚目を演じた三浦春馬さんが亡くなったのが本作のテレビ放映日。番組最初に「三浦春馬さんが本日お亡くなりになりました。謹んでお悔やみ申し上げますと共に、心からご冥福をお祈りいたします。」と追悼メッセージが放送された。

【5段階評価】4

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2020年8月27日 (木)

(2157) バイス

【監督】アダム・マッケイ
【出演】クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、サム・ロックウェル、スティーブ・カレル、アリソン・ピル
【制作】2018年、アメリカ

アメリカの副大統領を務めたディック・チェイニーの政治家人生を描いたコメディタッチの作品。

学生の頃はだらしなかったディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)は恋人のリン(エイミー・アダムス)に叱咤され、インターンシップでラムズフェルド議員(スティーブ・カレル)につき、彼に認められる。ウォーターゲート事件でニクソン大統領が失脚したのを機に史上最年少の34歳で大統領首席補佐官となる。彼は共和党の下院議員に当選し、活躍。大統領候補になることも現実味を帯びるが、娘のメアリー(アリソン・ピル)が同性愛者であることを知り、同性結婚を否定する共和党の大統領になることよりも娘を優先。ハリバートン社のCEOを勤め、余生を過ごす。・・・と思われたところで、ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)から副大統領になることを打診され、始めは拒んだものの結局受け入れ、副大統領に就任。目立たないながらもあちこちに自分の居場所を作り、影響力を持つようになる。9.11事件後はイラクを敵国と見なして攻撃。しかし大量破壊兵器も核兵器もイラクで見つからず、立場は悪化。しかし彼はテロに屈さず国民を守った自分は謝ることはないと強弁するのだった。

アメリカの政治を知るのには面白い作品。ただ、それに興味がないと全く面白くないだろう。コミカルに描くところや俳優が有名政治家になり切っているところはアメリカ人でないと分からない部分も多いだろう。特にチェイニーをイケメン俳優のクリスチャン・ベールが演じているというのは、何度観ても「どこがどうなればこうなるの」という驚きを禁じ得ない。
ごく普通のアメリカ人カート(ジェシー・プレモンス)を語り手にして最後には心臓移植手術の臓器提供者になる辺りもブラックユーモアが効いていた。途中でいったんめでたしめでたしとばかりにチェイニーの後日談がナレーションされ、「いや、こんな早く終わるわけないよな」と観客が思ったところにエンドロールまで流れて、「えっマジで終わり? 」と思ったとたん画面が切り替わって続きが始まるという念の入った演出もなかなか面白かった。

【5段階評価】3

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2020年8月26日 (水)

(2156) 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編

【監督】富野喜幸
【出演】古谷徹(声)、池田秀一(声)、鵜飼るみ子(声)、鈴置洋孝(声)、井上瑤(声)、白石冬美(声)
【制作】1982年、日本

テレビアニメ、機動戦士ガンダムの劇場版三部作の第三編。「機動戦士ガンダムII 哀・戦士編」の続編。

地球を離れて宇宙に出た地球連邦軍のホワイトベース。敵を欺くため中立地域のサイド6に着港。そこには乗組員ミライ(白石冬美)の元婚約者、カムラン(村山明)がいたが、戦争を人ごとのように考えているカムランとは、もはやミライは理解し合うことはなかった。アムロ・レイ(古谷徹)は父親テム(清川元夢)を見つけるが、彼は酸素欠乏症で精神に異常を来してしまっていた。アムロは父のもとを去る。また、アムロは偶然、宿敵シャア・アズナブル(池田秀一)とララァ・スン(潘恵子)に遭遇する。シャアはアムロがガンダムのパイロットとは気づかず、アムロは逃げるように車で走り去る。
ホワイトベースはドズル・ザビ(玄田哲章)が守る要塞ソロモンを攻撃。劣勢となったドズルはビグザムに乗り込み、玉砕。ビグザムを止めるため、スレッガー(井上真樹夫)が戦死する。ララァはエルメスに乗り込んで、集結中の連邦軍に打撃を与える。アムロはガンダムに乗り込んでララァに応戦。二人はニュータイプ同士、テレパシーで会話をするが、シャアが割って入る。アムロがシャアの乗ったゲルググを倒そうとしたとき、ララァがシャアの身代わりとなり、死んでしまう。
ジオンの公王デギン(柴田秀勝)は和平交渉のため、大集結中の連邦軍に接近するが、総帥のギレン(田中崇)は父親のデギンごとソーラーレイで連邦軍の艦隊に大打撃を与える。連邦軍はア・バオア・クーに総攻撃をかける。デギンの長女キシリア(小山まみ)は父を殺したギレンを撃ち殺し、自らは戦線を離脱しようとする。ガンダムに乗ったアムロは、ジオングに乗ったシャアと最後の戦いをし、ガンダムとジオングはともに戦闘機能を失う。二人はア・バオア・クーの中で剣で戦い合うが、それに気づいたセイラ(井上瑤)が二人の戦いをやめさせる。シャアは逃げようとするキシリアの首を撃ち落とし、復讐を果たす。アムロはニュータイプの力で仲間達を脱出させ、合流。戦争は終わりを告げるのだった。

最終作は舞台が宇宙となり、ニュータイプというテーマが大々的に取り上げられるため、二作目で感じられた戦争の生々しさから一転、SFらしい展開となる。個人的には二作目が最も見応えがあると感じるが、やはり三作目があるからこその機動戦士ガンダムであり、本作が必見であることは間違いない。セイラのシャワーシーンのおまけつきだし。

【5段階評価】5

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2020年8月25日 (火)

(2155) 機動戦士ガンダムII 哀・戦士編

【監督】富野喜幸、藤原良二
【出演】古谷徹(声)、池田秀一(声)、鵜飼るみ子(声)、鈴置洋孝(声)、井上瑤(声)、白石冬美(声)
【制作】1981年、日本

テレビアニメ、機動戦士ガンダムの劇場版三部作の第二編。「機動戦士ガンダム」の続編。

地球連邦軍の戦艦ホワイトベースに搭載されたモビルスーツ、ガンダムのパイロット、アムロ・レイ(古谷徹)は、艦長のブライト(鈴置洋孝)がアムロをガンダムから降ろすという話を耳にしてしまい、ホワイトベースを降りる。アムロは街の食べ物屋でジオン軍のランバ・ラル(広瀬正志)とハモン(中谷ゆみ)に遭遇。ランバ・ラルはアムロを放免して手下に後を付けさせ、ホワイトベースの位置を突き止め、攻撃をしかける。ランバ・ラルはグフに乗ってガンダムと戦い、アムロがガンダムのパイロットであることを知る。グフはガンダムに敗れ、ランバ・ラルは脱出する。ランバ・ラルは白兵戦を仕掛けるが、乗組員にかつて使えたジオン・ダイクンの娘アルテイシアことセイラ(井上瑤)がいるのを見つけ、「戦いの中で戦いを忘れた」と言い残し、自爆する。ジオン軍はモビルスーツ、ドムを送り込み、ホワイトベースに戦いを仕掛ける。ガンダムはドム三機によるジェットストリームアタックに翻弄されるが、そこにアムロの憧れるマチルダ中尉がホワイトベースを守るために輸送機で突っ込み、輸送機はドムに叩き落とされ、マチルダは死亡する。未亡人となったハモンは弔い合戦としてホワイトベースとガンダムに特攻をかけるが、リュウ・ホセイ(飯塚昭三)がハモンの機体にコアファイターで体当たりし、アムロを守る。
ホワイトベースはベルファストの基地に入港。ジオン側のスパイ、ミハル(間嶋里美)は幼い弟と妹を養うため、ホワイトベースに潜入。知り合いになったカイ(古川登志夫)の戦いを見て協力を決意するが、カイと乗った機体から爆風で吹き飛ばされ、命を落とす。ホワイトベースに戻ったカイは人目もはばからず号泣するが、ジオンと戦うことを強く決意する。
ホワイトベースは連邦軍の秘密基地ジャブローに入港。ジオン軍のシャア(池田秀一)に追跡され、ジオン軍の猛攻を受けるが、アムロらが撃退。ホワイトベースは再び宇宙に飛び立つのだった。

戦争による死に重点が置かれた本作。戦いの残酷さを若者に伝えるかのように自爆したランバ・ラル、夫の後を追うように特攻をかける妻ハモン。貧しい民間人ミハル。ホワイトベースを守ろうとしたマチルダ、その遺志を継いだ婚約者ウッディ(田中秀幸)。仲間を守るために自らを犠牲にしたリュウなど。子供向けのロボットアニメで白兵戦が描かれるだろうか。戦争の生々しさを容赦なく描いており、ただロボットがかっこいいというだけではない、感情を揺さぶる作品。挿入曲の「風にひとりで」「哀 戦士」もいい。

【5段階評価】5

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2020年8月24日 (月)

(2154) 機動戦士ガンダム

【監督】富野喜幸、藤原良二
【出演】古谷徹(声)、池田秀一(声)、鵜飼るみ子(声)、鈴置洋孝(声)、井上瑤(声)、白石冬美(声)
【制作】1981年、日本

テレビアニメ、機動戦士ガンダムの劇場版。地球連邦政府とジオン軍の一年戦争を描いた三部作の一作目。

ジオン公国が地球連邦政府に独立戦争を挑んだ世界。スペースコロニー、サイド7にジオン軍のモビルスーツ、ザクが現れ、連邦政府の新型兵器を攻撃。サイド7に住む少年アムロ・レイ(古谷徹)は近くに住む少女フラウ・ボゥ(鵜飼るみ子)らとともに避難することになるが、途中で父親のテム・レイ(清川元夢)が開発したモビルスーツ、ガンダムを発見。ガンダムに乗り込んでザクを倒したことから、ガンダムのパイロットとなる。ジオン軍のザビ家に恨みを持つシャア・アズナブル(池田秀一)は、ザビ家の末子ガルマ(森功至)に、偽の情報を与えて死に至らしめる。ザビ家の長男ギレン(田中崇)は盛大な葬儀を行い、ジオン軍をあおる。アムロは地球連邦軍の女性士官マチルダ中尉(戸田恵子)に恋心を抱きつつ、自分に焼き餅を焼きながらも献身的なフラウ・ボゥと葬儀の中継を見守るのだった。

ずっとテレビ放映されるのを待ち続けていた作品。ジブリ作品は毎年のように同じ作品を放送するのに、ガンダムは自分の知る限り、この10年以上、テレビでは放映してこなかった。「なぜだ。」とにかくこの有名なアニメ作品。「認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというものを」「二度もぶった。親父にもぶたれたことないのに」「坊やだからさ」など、名台詞もいっぱい。ロボットアニメのようでいて戦争のむなしさを描いた不朽の名作だ。

【5段階評価】5

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2020年8月23日 (日)

(2153) オーシャンズ8

【監督】ゲイリー・ロス
【出演】サンドラ・ブロック、アン・ハサウェイ、ケイト・ブランシェット、ヘレナ・ボナム=カーター
【制作】2018年、アメリカ

高額のネックレスを盗む計画を実行する女性集団の奮闘を描いたコミカルクライムサスペンス。「オーシャンズ13」の続編的な位置づけ。

刑務所を出所したデビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)は仲間のルー・ミラー(ケイト・ブランシェット)に、カルティエが50年間使用せずに保管している1.5億ドルのダイヤのネックレス、トゥーサンを盗む計画を持ちかける。二人はファッションデザイナーのローズ・ワイル(ヘレナ・ボナム=カーター)、宝石鑑定職人のアミータ(ミンディ・カリング)、ハッカーのナインボール(リアーナ)、手先の器用なスリ、コンスタンス(オークワフィナ)、盗品売買をしているタミー(サラ・ポールソン)を仲間に入れる。目を付けたのはメトロポリタン美術館で開かれるファッションの祭典メットガラ。犯行計画は、そこに招かれる女優ダフネ・クルーガー(アン・ハサウェイ)の首にトゥーサンをかけるよう仕向け、それを盗むというもの。各者がそれぞれ活躍し、見事にダイヤを盗み出すことに成功する。ところがダフネがデビーが怪しいことに気づいたため、ルーは彼女を仲間に引き入れる。デビーは盗んだダイヤの一部を、自分を騙して刑務所送りにした犯罪者クリード・ベッカー(リチャード・アーミティッジ)の懐に忍び込ませており、さらにダフネが彼の部屋に行って動かぬ証拠となる写真を撮り、彼をダイヤ盗難の犯人と誤解させることに成功。ダフネは盗んだネックレスだけでは一人当たりの報酬が目標に届かないのでは、とデビーとルーに尋ねるが、二人はトゥーサン盗難騒ぎの混乱の中、他のネックレスも大量に盗み出すことに成功していた。こうして彼女たちは大金を手にするのだった。

観る前は、全盛期を過ぎた女優をかき集めて「オーシャンズ11」の名前を騙って作った低質な映画かと思っていたが、正統な後継作品だった。内容も、キザな男がボスの女性盗賊集団が、高慢ちきなセリフを吐きながら男を手玉に取ってお宝を手にするような感じかと思っていたら、盗みの計画がしっかりと描かれていて、ラストのどんでん返しや伏線回収(なんでおもちゃのボートを買っていたのかなど)もあり、犯罪ものの作品としてきちんと成立していた。男に無能というレッテルを貼って馬鹿にするような逆性差別的な作風ではなく、ぎゃふんと言わされるのはあくまでデビーを騙した「人物」であって「男」全般ではないのもよかった。

【5段階評価】3

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2020年8月22日 (土)

(2152) 人間椅子

【監督】佐藤圭作
【出演】宮地真緒、小沢真珠、板尾創路
【制作】2006年、日本

江戸川乱歩の小説をモチーフにした不条理サスペンス。

出版社に勤める倉田真里(宮地真緒)は美人作家の今野佳子(小沢真珠)の担当となる。今野佳子は名作家、大河内俊作の弟子で、しばらく作品を出していない。佳子は人の入った椅子を部屋に置いて中の人の愛撫を受けるという猟奇的な性癖があり、真里もその椅子に座らされ、佳子の家で小説を書くようになる。作家の所有物やごみを集める変態的な趣味を持つ真里は、それをネタに上司の小原茂樹(板尾創路)と寝る羽目になり、担当交代のために佳子の家に連れて行かれる。しかしそれは、真里が担当を首になるということではなく、これまで椅子の中にいた掘田という男の担当者と真里が交代し、真里が真の佳子の相手を務めるということだった。掘田は大河内を嫉妬から殴り殺して佳子や小原とともにその死体を埋めた男だった。小原はかつて真里が小説コンテストに応募した作品「淡雪」を佳子の作品として世に出す。佳子はそれをもとに文学界に復帰を遂げるのだった。

モチーフは江戸川乱歩の小説だが、内容は原作とはほとんど関係ない。人間椅子の形もなんともぶかっこうで、おどろおどろしさもなく、ただ人が入るように作ったらとっても変なものになりましたという形。映像としての魅力も大してなかったが、唯一、大河内が白い布をかぶって椅子のようになりそこに佳子が座るというビデオのシーンは、若干「リング」のようなテイストで、音声がビデオのものと実際のものとが不規則的に入れ替わるという演出が、観る者の恐怖をあおり、多少迫力があった。ただ全体的には深夜テレビドラマレベルの品質。

【5段階評価】2

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2020年8月21日 (金)

(2151) 翔んだカップル オリジナル版

【監督】相米慎二
【出演】鶴見辰吾、薬師丸ひろ子、石原真理子、尾美としのり、円広志
【制作】1983年、日本

柳沢きみおの漫画が原作の青春ドラマ。一つ屋根の下で暮らす高校一年生の男女の恋を描いた作品。1980年に公開された作品のディレクターズ・カット版が「オリジナル版」として1983年に公開されたもの。

九州から上京した高校一年生の田代勇介(鶴見辰吾)はおじの家で一人暮らしを始める。そこに同級生の山葉圭(薬師丸ひろ子)が下宿人として引っ越し、一緒に暮らすことになる。二人は互いを意識しつつもけんかを繰り返す。勇介には優等生の杉村秋美(石原真理子)が接近。圭には勇介の親友、中山わたる(尾美としのり)や勇介の入ったボクシング部のキャプテン織田(西田浩)らが興味を示す。紆余曲折がありながら、勇介は圭に好きだと告白。圭はそのまま深い関係になっていいかを悩む。勇介は圭と暮らしていることをわたるに話し、わたるは学校にそれを密告してしまう。圭は勇介の家を出て行くことになる。それでも圭は勇介の応援を続け、勇介はボクシング部の新人戦に挑むのだった。

高校一年生が二人だけで一つ屋根の下に住むという設定自体が、古き良き時代の作者の妄想全開の感あり。さらに一人暮らしの秋美まで登場してみたり、それでいておかしなことは起きなかったりと、観る側が自らの常識を制作側の都合に寄せないと話に乗っていけないため、感情移入が難しい。間延びしたシーンや今ひとつ演出の意味が分からないシーン(巨大な鯨の風船など)もあり、それでいて122分と結構長いので、今ひとつだった。薬師丸ひろ子の初主演という意味では貴重な作品ではある。

【5段階評価】2

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2020年8月20日 (木)

(2150) ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

【監督】ヤヌス・メッツ
【出演】スベリル・グドナソン、シャイア・ラブーフ、ステラン・スカルスガルド、ツバ・ノボトニー、イアン・ブラックマン
【制作】2017年、スウェーデン、デンマーク、フィンランド

名テニスプレイヤー、ビヨン・ボルグとジョン・マッケンローのウィンブルドンでの死闘を描いた作品。

冷静なプレイスタイルから「氷の男」とも呼ばれるテニスプレイヤー、ビヨン・ボルグ(スベリル・グドナソン)は、実際にはシャイで幼少時から怒りをあらわにする性格だった。彼は5連覇を賭けてウィンブルドンに挑む。彼のライバルと目されたのは、コート上で暴言を吐くなど感情的になりやすいレフティ、ジョン・マッケンロー(シャイア・ラブーフ)だった。彼は幼少時は頭脳明晰な少年だった。ボルグは婚約者のマリアナ・シミオネスク(ツバ・ノボトニー)とコーチのレナート・ベルゲリン(ステラン・スカルスガルド)と行動をともにし、マッケンローは父親(イアン・ブラックマン)とともに試合に臨む。
大会中、感情をあらわにし、観客にまで暴言を吐くマッケンローは、決勝戦で登場するなりブーイングを浴び、完全に悪役となるが、試合が始まると、誤審に近い判定にも文句を言わず、紳士的にプレーを続ける。しかも、ランク1位のボルグに対して堂々と渡り合い、第1セットを圧勝する。しかし第2、第3セットを奪取され、後のなくなった第4セットでは、タイブレークに持ち込み、7回のマッチポイントを耐えて18-16というとんでもない点数でタイブレークをもぎ取る。第5セットも接戦となるが、6-8で落とし、ボルグの優勝が決まる。
二人は空港で偶然出会い、再戦を誓い合って抱き合う。そして自らの宣言通り、マッケンローは翌年のウィンブルドンでボルグを倒して優勝し、世界ランク1位に上り詰める。二人は無二の親友となるのだった。

二人を英雄のように扱うのではなく、弱さを抱えた人間として平等に描いている。作品自体はボルグがウィンブルドンで辛勝するところまでだが、翌年の二人の決勝戦も、十分に映画になるほど魅力的な戦いだっただろう。作品の序盤は、俳優のテニスの動きにがどうしてもプロテニスプレイヤーのようなキレがなく素人っぽく、感情移入が難しかったのだが、ウィンブルドン決勝のシーンはそれなりに見られるものになっていた。しかし、やはり本物の筋書きのないスポーツのドラマは感動する、ということを本作を通じて改めて感じた。

【5段階評価】3

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2020年8月19日 (水)

(2149) 浮草

【監督】小津安二郎
【出演】中村鴈治郎、京マチ子、若尾文子、川口浩、杉村春子
【制作】1959年、日本

旅回りの芝居一座の人間模様を描いた作品。

旅回りの芝居一座の親分、駒十郎(中村鴈治郎)は、隠し子の清(川口浩)の暮らすめし屋を訪ねる。清の母親のお芳(杉村春子)は、駒十郎のことを兄と伝えており、清は駒十郎を伯父さんと慕っていた。駒十郎の妻のすみ子(京マチ子)は清の存在を怪しみ、一座の若い娘、加代に金を渡して清を誘惑するよう伝える。清は加代になびき、二人は互いに恋い慕うようになるが、それを見つけた駒十郎は加代に激怒。加代をけしかけたのがすみ子だと知ってすみ子にも手を挙げる。
駒十郎の一座は客の入りが悪く、とうとう一座は解散となる。一方、清は加代と駆け落ちしようと二人で宿に泊まるが、加代は身分が違うからと駒十郎に別れを告げようとする。しかし清は加代と別れられず、家に加代を連れて帰る。家には駒十郎がおり、解散で心が弱っていた駒十郎は清の父として親子三人一緒に暮らすことを考えていた。そこに清が加代を連れて帰ってきたため、駒十郎は加代に手を挙げ、清にも張り手を食らわせる。清は駒十郎を思わず突き飛ばすが、それを見たお芳は、駒十郎はお前の父親だ、と告白。しかし清はいまさらそんなことを聞かされてもこんな親はいらない、と叫んで二階に駆け上がってしまう。すっかり意気消沈した駒十郎は、自分はやはり旅回りを続けると言ってお芳のもとを去る。駅にいくと、そこにはすみ子がいた。駒十郎はすみ子を無視しようとするが、すみ子に話しかけられ、もう一旗揚げようか、とすみ子に言う。二人は再起を期して桑名行きの汽車に乗るのだった。

古い作品だが役者のセリフが小気味よく、テンポよく話が進み、飽きさせない作品だった。俯瞰的な視点だけではなく、俳優を正面から捉えたカット割りが多用されており、小説を読んでいるような没入感があった。若尾文子の美しさと色気はみごと。昔の女優というのは本当に美人がなったのだな、と感じさせる。

【5段階評価】3

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2020年8月18日 (火)

(2148) ジュラシック・ワールド/炎の王国

【監督】J・A・バヨナ
【出演】クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、レイフ・スポール、イザベラ・サーモン
【制作】2018年、アメリカ

恐竜を利用した金儲けの企みを阻止しようとする人々の奮闘を描いたSFアクション。「ジュラシック・ワールド」の続編。

生きた恐竜のテーマパーク、ジュラシック・ワールドが崩壊し、恐竜が野生化。一方、テーマパークのある島が火山活動に見舞われ、恐竜を放置するか救出するかで世論が別れるが、政府は放置する方針を発表。ジュラシック・ワールドの元管理者で恐竜保全活動をしているクレア・ディアリング(ブライス・ダラス・ハワード)はロックウッド財団のイーライ・ミルズ(レイフ・スポール)から恐竜の救出を依頼される。クレアはジュラシック・ワールドでベロキラプトルの飼育をしていたオーウェン・グレイディ(クリス・プラット)を説得し、仲間とともに島に向かう。島にはハンターのケン・ウィートリー(テッド・レビン)の部隊がおり、彼らとともにオーウェンが飼育したベロキラプトルのブルーの捕獲に向かう。ところがオーウェンがブルーを見つけると、ケンらはオーウェンの指示を無視してベロキラプトルに襲いかかり、オーウェンにも麻酔銃を撃ち込み、ベロキラプトルを連れ去ってしまう。ミルズの依頼は嘘で、彼らは恐竜の保護ではなく、捕獲した恐竜を競売にかけて金儲けをしようと企んでいたのだった。オーウェンらは噴火が活発化した島から何とか逃げ出し、ハンターの船に潜り込むことに成功。恐竜を運ぶ車両の列に連なってロックウッド邸を目指すが、途中でケンに見つかり、檻に入れられてしまう。オーウェンは隣の檻に頭部の骨が発達したスティギモロクがいるのを見つけ、それを誘導して檻の扉を破って脱出する。イーライは科学者のヘンリー・ウー(B・D・ウォン)とともに戦闘型の恐竜インドラプトルを開発。試作段階だが2,300万ドルを超える高値が付く。そこに、オーウェンの放ったスティギモロクが乱入し、会場は大パニックとなる。会場の騒動に気づいたケンは檻に入れられたインドラプトルを見つけ、麻酔銃で倒した後、檻の中に入る。ところがインドラプトルはすぐに意識を取り戻し、ケンを捕食。檻を抜け出して人々を襲い始める。オーウェンとクレアは、ベンジャミン・ロックウッド(ジェームズ・クロムウェル)の孫娘、メイジー(イザベラ・サーモン)と合流。屋敷から逃げようとするが、インドラプトルに追いかけられる。屋上に逃げたオーウェンたちは追い詰められるが、ブルーがインドラプトルに飛びかかる。最期はインドラプトルがガラス製の天窓を割って落下し、下の部屋にあったトリケラトプスの化石の骨が刺さって絶命する。
屋敷からは次々と恐竜が逃げていき、ブルーもオーウェンの問いかけを拒むように藪の中に消えていく。街には恐竜が出没するようになり、ジュラシック・パークを知る数学者のイアン・マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)は科学技術を制御しきれない人類を皮肉るように「ジュラシック・ワールドへようこそ」と告げるのだった。

ジュラシック・ワールドの球形ポッドなどはもちろん、人がTレックスに食われて体が真っ二つになったり、蚊の入った琥珀の杖、「ジュラシック・パーク」や「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」で活躍したイアン・マルコムの登場など、過去の作品を思い出させる演出が楽しい。アラン博士(サム・ニール)も出ていたら受け狙いのやりすぎで、ほどよい味付けだった。ヘンリー・ウーはすっかりマッド・サイエンティストになってしまったが、試作段階のインドラプトルの売却を非難したり、多少の人間性は残しているようであり、次作以降も登場の可能性がありそうだ。

【5段階評価】5

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2020年8月17日 (月)

(2147) レディ・プレイヤー1

【監督】スティーブン・スピルバーグ
【出演】タイ・シェリダン、オリビア・クック、ベン・メンデルソーン、リナ・ウェイス、森崎ウィン、フィリップ・チャオ
【制作】2018年、アメリカ

VRゲームの世界で戦う若者の活躍を描いたSFアクション。いろんな映画やコミック、ゲームが取り込まれた賑やかな作品になっている。

2045年の世界でスラム街に住む少年、ウェイド・ワッツ(タイ・シェリダン)は、ジェームズ・ハリデー(マーク・ライランス)とオグデン・モロー(サイモン・ペグ)によって創造された仮想世界オアシスで現実逃避のプレイを続けていた。ハリデーは亡くなる際、オアシスの中に隠した宝「イースター・エッグ」を見つけたら全財産と経営権を譲ると言い残す。多くのプレイヤーが熱狂し、ウェイドもゲーム内アバター、パージバルで必要な3つの鍵を求める。巨大企業IOIの社長ノーラン・ソレント(ベン・メンデルソーン)も大勢の社員を投入し、宝の取得を目指す。ウェイドはハリデーの記録をヒントに一つ目の鍵を入手。ノーランはウェイドを買収しようとするがウェイドは拒否。仲間のエイチやアルテミスらとともに映画「シャイニング」の世界に入り込み、2つめの鍵を入手する。しかし、アルテミスをプレイするサマンサ(オリビア・クック)と、ウェイドのいる拠点にIOIの部隊が乗り込んでくる。サマンサはウェイドを逃して自らはIOIに捕らえられてしまう。ウェイドはエイチを操るヘレン・ハリス(リナ・ウェイス)やダイトウを操るトシロウ(森崎ウィン)、ショウを操るゾウ(フィリップ・チャオ)らと合流。第3の鍵を得るためオアシス内にバリアを構築するIOIに対して、他のプレイヤーとともに総攻撃をかける。サマンサもIOI内部から加担し、バリアを消去。ついにウェイドは最後の宝にたどり着く。ノーランは現実世界でウェイドを追うが、スラムの住人に囲まれ、最後は警察に捕らえられる。ウェイドはサマンサたちとオアシスの共同経営者となり、現実世界も大事にするため、火曜と木曜をオアシスの休みとするのだった。

本作の見所は、ストーリー云々というより、とにかく出てくるキャラクターの豊富さ。どれだけ元ネタを知っているかがどれだけ楽しめるかにつながる。シャイニングサタデー・ナイト・フィーバーなど、若者はまず観てないだろ、というような作品も取り込まれ、特にシャイニングはタイプライターや血の洪水、双子の少女やバスタブの女、迷路の庭など、原作と同じシーンが目白押し。機動戦士ガンダムやメカゴジラのような日本のキャラクターが登場するのも素直に楽しい。個人的には「アイアン・ジャイアント」が大活躍したのが嬉しく、最期を「ターミネーター2」のサムアップで決めたのには、思わず声を上げて笑ってしまった。挙げると切りがないが、ほかにもニヤッとさせるものが次々と出てくる。もちろん元ネタを多く知っていると楽しいが、たとえそうでなくても「自分の知っているものが出てきた」と1回でも感じられれば、本作はその人にとって特別な、得した気分になれる作品となりうるわけで、うまいところを突いている。ストーリーにひねりがある作品とは別の意味で、もう一度観直したくなる作品だ。いや、実際観直したけれども。キティちゃんやらゼルダの伝説やらロボコップやら、本当にいろいろ出ている。

【5段階評価】4

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2020年8月16日 (日)

(2146) 山猫は眠らない7 狙撃手の血統

【監督】クラウディオ・ファエ
【出演】チャド・マイケル・コリンズ、ダナイ・ガルシア、トム・ベレンジャー、ジョー・ランドー
【制作】2017年、アメリカ

麻薬カルテルのボスに雇われたスナイパーと戦う米軍兵の活躍を描いたアクション作品。「山猫は眠らない6 裏切りの銃撃」の続編。

米軍の優秀な狙撃手、ブランドン・ベケット(チャド・マイケル・コリンズ)は、コロンビアの麻薬カルテルのボス、ヘスス・モラレス(フアン・セバツティアン・カレロ)の拘束任務に就く。コロンビアで彼を3年間追い続けてきた女性麻薬捜査官ケイト・エストラーダ(ダナイ・ガルシア)も作戦部隊の一員となるが、彼がいる建物の情報はガセネタで、退院が侵入したとたん、建物は爆発。混乱の中、森に潜伏している狙撃手がエストラーダを狙う。しかし彼女が車の影にいたため、狙撃手は爆発でもうろうとしているガルサ警部の足を撃つ。ケイトは警部を抱えて物陰に隠れようとするが、第二射が発射され、警部は致命傷を負って死亡する。国土安全保障省のジョン・サムソン(ジョー・ランドー)はケイトとブランドンにアメリカに帰るよう示唆するが、ブランドンは48時間の猶予をもらい、捜査の指揮を執る父、トーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)は承諾する。二人は麻薬取締局の隠れ家に移るが、狙撃手のディアブロ(アンドレス・フェリペ・カレロ)は屋上で警戒するブランドンを狙撃。ブランドンは間一髪で逃れる。ブランドンは敵の狙撃手が、最新鋭の誘導型の銃弾を使っていることを突き止める。ブランドンの恩師リチャード・ミラー(ビリー・ゼイン)は、それがコロンビアの犯罪組織に流れているのはゆゆしき事態だと告げる。
ブランドンとケイトは自分たちの居場所が敵に漏れていると確信、ケイトは自分が信頼するカルロス神父のもとに潜伏する。しかしディアブロは神父を人質にとって二人をおびき寄せる。神父は夜の公園で首を吊った状態で放置され、ブランドンは神父を助けるために縄を撃つが、ディアブロは銃口の光を手がかりにブランドンの居場所に銃弾を浴びせ、神父も撃ち殺してしまう。
ブランドンは神父の葬式で悲しみの表情を浮かべていたモラレスの手下を説き伏せ、モラレスの居場所を聞き出し、モラレスはついに逮捕される。ディアブロが証拠隠滅のためにモラレスを暗殺すると読んだブランドンらは、モラレスの護送中を警戒。黒塗りの車に囮を乗せてモラレスはクリーニング屋の車に乗せたと思い込ませてディアブロを撹乱。距離に反応して爆発する銃弾を使ってディアブロを仕留める。モラレスらに情報を流していたのはジョン・サムソンだった。彼は逮捕される。ブランドンはリチャードやトーマスと別れを惜しむのだった。

本作は1作目と同じく南米が舞台。しかしジャングルではなく市街地が中心なので、雰囲気は全く異なる。毎回、様々な国の様々な土地環境が舞台になるのが本シリーズの面白いところだ。本作は誘導弾や一定距離で爆発する銃弾などの最新武器が登場するのが見所。豪語していた密売組織のボスがあっさり逮捕されてしまうのはなんだかな、という感じだが、真の敵は敵のスナイパーというのは、本シリーズの定番なのでよしとしよう。敵のスナイパーが最新鋭の武器を持っていたりアメリカへの入国を楽々果たす謎にもジョンの手が回っていたという説明が付いており、物語としてもあまり無理がなかった。ただ、序盤でブランドンの認める優秀な狙撃手が自殺した原因がストーリーにどう絡むのかと思っていたら全く関係なかったのはちょっと残念だった。1~7作を一気観しての感想としては、どれも大外れ、というものはなかった。劇場未公開のものもあり、テレビドラマみたいなできばえなのかもと思ったが、様々な国の自然環境や都市環境を表情豊かに映像化し、現地人はちゃんと現地語でしゃべる。銃撃シーンの特撮も、パンパン撃ってギャーッと倒れるだけのような手抜き映像ではなく血しぶきなどをきちんと映像にして迫力を出しているし、ストーリーにも常に一ひねりあり、観ていて飽きがなかった。設定も典型的なバディものの1作目から、一風変わったバディものの2作目、古い戦友との関係を描いた3作目、世代交代した4作目、親子の活躍を描いた5作目、チーム戦を描いた6作目と多彩。制作はアメリカだが、ド派手なアクションというよりは静かに相手を狙う狙撃手のヒリヒリするような緊張感が売りなので、アメリカ人より日本人の好みに合いそうなシリーズだった。8作目はついに日本人の秋元才加が出演。ぜひ観てみたい。テレビで(ぉぃ)。

【5段階評価】3

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2020年8月15日 (土)

(2145) 山猫は眠らない6 裏切りの銃撃

【監督】ドン・マイケル・ポール
【出演】チャド・マイケル・コリンズ、ビリー・ゼイン、デニス・ヘイスバート、ステファニー・ボクト
【制作】2016年、アメリカ

パイプラインを巡って犯罪組織と戦うスナイパーの活躍を描いたアクション作品。「山猫は眠らない5 反逆の銃痕」の続編。

狙撃手のブランドン・ベケット(チャド・マイケル・コリンズ)は、上官のリチャード・ミラー(ビリー・ゼイン)のもと、イスラム系過激派組織によるアメリカ人の人質救出作戦に就いていた。しかしブランドンは、ターゲットの処刑者が子どもだと分かり狙撃を躊躇してしまう。その甘さをリチャードや仲間に指摘され、思い悩むブランドンは、ビッドウェル少佐(ドミニク・マフハム)と再会。狙撃手の厳しさを教わる。
ブランドンはコロネル大佐(デニス・ヘイスバート)の指揮のもと、ジョージアの天然ガスパイプラインの視察に訪れる要人警護の任務に就くことになる。責任者はブランドンがイスタンブールでナンパしようとした美女、ロビン・スレイター(ステファニー・ボクト)。ブランドンらは要人の乗る車の経路に潜伏して過激派の攻撃に備える。ところが過激派はスナイパーの居場所を知っているかのようにブランドンの仲間を狙撃。ブランドンはジョージア軍が情報を漏らしたからだと指揮官に言いがかりを付け、その結果、大カフカス山脈の部隊の支援に送り込まれる。現地のボスはロシア人の狙撃手アンドレイ・ゾトフ(ラビル・イシアノフ)。彼とともに過激派の掃討に成功。大佐の部隊に復帰する。ブランドンは仲間が狙撃された謎を追って過激派のボス、ガザコフへの接近を試み、過激派が衛星通信を供えたPCを扱っているのを見つける。ブランドンは彼らが自分たちの側のドローンにハッキングして狙撃手の位置を掴んでいると確信。それを信じたリチャードや大佐(デニス・ヘイスバート)はGPSを外して任務に就くよう命じる。ブランドンらは敵がコブレチのパイプライン施設に集結しているという情報に基づき現地に送り込まれるが、ブランドンは道中、それはフェイクで大佐らがいるバトゥミが襲われると直感。車をバトゥミに引き換えさせる。バトゥミは過激派の攻撃を受け、大佐までもが応戦を余儀なくされる事態に。そこに狙撃犯が到着。次々と敵を葬る。ブランドンは敵のガザコフ(ベリスラフ・パブロフ)との撃ち合いとなるが間一髪で倒し、敵の排除に成功。リチャードはブランドンをねぎらい、去って行くのだった。

イスラム過激派がGPSをハッキングして狙撃手の位置を掴んでいた、という謎にたどり着く過程が描かれ、単純な撃ち合いだけではない作品になっている。また、シリーズの中では雪山のシーンと狙撃犯によるチーム戦が特徴的。毎回監督が替わっていた本シリーズだが、本作の監督は第5作と同じドン・マイケル・ポール。大佐役のデニス・ヘイスバートやビッドウェル少佐役のドミニク・マフハムは前作と共通。ただし、前作で出演したトーマス・ベケット役のトム・ベレンジャーは出演していない。一方でさすがにシリーズもここに来て、主人公の無敵ぶりがやや鼻についてきた感はあった。そして改めて気になる点がもう一つ。本シリーズは2作目から邦題にサブタイトルが付いているのだが、どれも今ひとつ内容に合っておらず、ピンとこない。例えば本作だと「裏切りの銃撃」とあるが、誰かの裏切りがあったわけではないし、銃撃は毎度のことであまり意味がない。前作は「反逆の銃痕」というサブタイトルだが、別に反逆がテーマではないし銃痕が物語の鍵を握っているわけでもない。サブタイトルの付け方に、どことなくスティーブン・セガールの沈黙シリーズのようなセンスの欠如を感じるのだった。サブタイトルには見終わったあと「なるほどそういう意味だったのか」と思わせるような深みのあるものを付けてほしい。

【5段階評価】3

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2020年8月14日 (金)

(2144) 山猫は眠らない5 反逆の銃痕

【監督】ドン・マイケル・ポール
【出演】チャド・マイケル・コリンズ、トム・ベレンジャー、ダグ・アレン、メルセデス・マソーン、デニス・ヘイスバート
【制作】2014年、アメリカ

元上官の暗殺を続ける元狙撃兵の暴走を阻止しようとする兵士の活躍を描いたアクション作品。「山猫は眠らない4 復活の銃弾」の続編。

アフガニスタンのセンチネル作戦で上官の指示に従った結果、味方を撃ってしまったシンプソン(ダグ・アレン)は、指示を出したステフェン(ネストール・フェラノ)をベルリンのビルの屋上に呼び寄せ、遠隔操作の狙撃銃で殺害。関係者を次々と殺す。中東の密売人を追っている狙撃兵ブランドン・ベケット(チャド・マイケル・コリンズ)は父親のトーマス(トム・ベレンジャー)がシンプソンに殺されたと聞き、単身で真相を探る。センチネル作戦参加者だったショープ少佐(マーク・ルイス・ジョーンズ)がターゲットになることが予想され、大佐(デニス・ヘイスバート)はビッドウェル少佐(ドミニク・マフハム)に調査を依頼。ビッドウェルはショープとともに密売品殲滅の作戦を実行する。しかし密売人に感づかれ、指揮者は逃走。そしてショープはシンプソンに狙撃されてしまう。ブランドンはシンプソンを発見し、撃ち返すが弾は当たらない。しかし、そこに現れたのは、死んだと思われていたトーマスだった。ブランドンはシンプソンを追い、トーマスも後を追う。シンプソンはブランドンを待ち伏せ、ねじ伏せると、親父と大佐に会いに行くと伝えろと言って姿を消す。
トーマスと合流したブランドンは、大佐のいるギリシャの島に向かう。シンプソンは遠距離から大佐を狙撃し、大佐は負傷するが、警戒していたブランドンらがシンプソンを追う。シンプソンは遠隔操作の銃を用意してブランドンを倒そうとするが、トーマスがその銃でシンプソンを撃ち、その暴走を食い止める。大佐はブランドンをねぎらい、休暇を取るというブランドンに、休暇から戻ったらトーマスが上官になるだろう、と告げるのだった。

世界各地で繰り広げられる本シリーズ。今回の舞台は中東シリア。本作でシリーズではじめて、ベケット親子が相まみえる。よくよく考えれば敵の弾は当たらずこちらの弾はじゃんじゃん命中するという、よくある銃撃戦ではあるのだが、主人公が狙撃兵なので、展開に理不尽さがなく、一人一人、敵を排除していくところには爽快感もある。本作は、トーマスが生きていた、という中盤の転回がある以外は、大筋の犯人にどんでん返しはなく、終始シンプソンが悪役という流れ。しかし、中ボス的に打たれ強い密売組織のボスや女スナイパーなどが登場し、転回に変化がある。劇場未公開らしく、そのへんの派手なだけのアクション映画より十分面白いものの、なかなか映画館で観たいと思わせるには渋すぎて一般受けしないのかもしれない。

【5段階評価】3

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2020年8月13日 (木)

(2143) 山猫は眠らない4 復活の銃弾

【監督】クラウディオ・ファエ
【出演】チャド・マイケル・コリンズ、ビリー・ゼイン、アナベル・ライト、リヒャルト・サメル
【制作】2011年、アメリカ

優秀な狙撃手の父を持つ国連軍の兵士が、殺された仲間の復讐のために奮闘するアクション作品。「山猫は眠らない3 決別の照準」の続編。

国連軍に所属していた米兵ブランドン・ベケット(チャド・マイケル・コリンズ)は命令無視の容疑で軍法会議にかけられようとしていた。彼は自らに起こったできごとを回想する。彼は国連軍としてコンゴに派遣され、上司のイェーガー大佐(リヒャルト・サメル)から避難を拒否している農場経営者のブラントを連れてくる指令を受ける。10人ほどの舞台で現地に向かうが、狙撃手に待ち伏せされ、部隊はほぼ全滅してブラントも死亡。逃げる途中で穴に落ちたブランドンは九死に一生を得、ハンターのマーティン・チャンドラー(パトリック・リスター)に救助される。ブランドンとマーティンは農場に戻り、一人で残っていたブラントの娘、ケリー(ケイラ・プリベット)を連れて何とか国境を越える。
基地に戻ったブランドンは、父親トーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)の戦友、リチャード・ミラー(ビリー・ゼイン)と出会う。ブランドンは、仲間が殺された事件をまともに調べようとしないイェーガーに業を煮やし、自らの復讐心をたぎらせるが、リチャードは狙撃手に復讐するなら敵を知る必要があると告げ、彼に狙撃手になることを勧める。しかしブランドンは待ち伏せて的を狙う狙撃手は卑怯だと言って拒絶する。ブランドンは単身で仲間を殺した人物を探し出すため、基地を抜け出し、マーティンに再会。子どもをさらって兵士にしようとする反乱軍のアジトに向かい、子ども達を救出する。そこにリチャードが現れ、ブランドンに協力する。リチャードは仲間を殺した狙撃手は、自分の育てた狙撃兵、マシエロ(ジャスティン・ストーリーダム)だと見抜く。ブランドンはマシエロをおびき出すため、基地に連絡をし、合流地点を告げる。ブランドンと恋仲になったエレン・アブラモウィッツ中尉(アナベル・ライト)が仲間とともに現場に現れるが、エレンとブランドンは大勢の兵士に囲まれてしまう。リチャードの援護もあり、何とか兵士達を退け、エレンを逃がしたブランドンだったが、リチャードはマシエロに撃たれてしまい、ブランドンとマシエロの一騎打ちとなる。夜まで耐えたブランドンは、石油タンクを爆破して暗視スコープを覗くマシエロの目をくらませると、背後に回り、マシエロの息の根を止める。
ブランドンの供述は終わり、ブランドンはイェーガーの屋敷に侵入。黒幕はイェーガーだった。彼は、ブラントを仲介人にして国連軍の武器を反乱軍やコンゴ軍に横流ししていたが、ブラントが邪魔になり、マシエロに命じて殺害させたのだった。イェーガーは逮捕され、ブランドンにはリチャードから新たな任務が告げられるのだった。

3作目までのトーマス・ベケットから、その息子のブランドン・ベケットに主役の座が移った本作。だいたいこうしたシリーズは後ろの作品になるほど派手なだけで大味になったりマンネリ化したりするものだが、本シリーズは毎回できがいい。本作も、最後にぶち切れたイェーガーが銃を振りかざしてブランドンに向かっていって無残な死を迎えたりするような結末にはせず、よくあるパターンだが自供を録音されて堕ちるという抑制の効いた終わり方になっていて、好感が持てる。また、世界各地を舞台にしている点も見所で、1作目の南米のジャングル、2作目は東欧の市街地、3作目はアジアで4作目はアフリカ。景観を見せるだけではなく、各地の政情も織り交ぜ、ただのアクション作品というだけではない品がある。「午後のロードショー」は嫌いな番組だったが、本シリーズを取り上げてくれたことで少し見直した。ただエピローグを迎える辺りで番宣を画面下部にどんと出すのは相変わらず。字が邪魔というより、もうこの後には何も起きないのか、と気づいてしまうのが興ざめなんだが、テレビ東京の映画を愛する関係者の方、やめてくれないもんでしょうかね。

【5段階評価】4

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2020年8月12日 (水)

(2142) 山猫は眠らない3 決別の照準

【監督】P・J・ピース
【出演】トム・ベレンジャー、バイロン・マン、ジョン・ドーマン、ジーネッタ・アーネット
【制作】2004年、アメリカ

米軍の狙撃兵が、命の恩人である戦友の暗殺に挑む。「山猫は眠らない2 狙撃手の掟」の続編。

米軍のベテラン狙撃兵、トーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)は、ベトナム戦争で亡くなった戦友、ポール・フィネガン(ジョン・ドーマン)の息子の結婚式に招かれる。未亡人のシドニー(ジーネッタ・アーネット)とは互いを意識しつつも、距離を縮められずにいた。そんなトーマスに、NSAのエイブリー副長官(デニス・アーント)から、ベトナムでテロに加担しているフィネガン暗殺の極秘指令が下る。フィネガンは生きていたのだ。ベケットは悩みつつも承諾し、ベトナムに渡る。現地の連絡員は、表向きはベトナムの警察官として働いているクアン(バイロン・マン)。二人は協力してフィネガンの暗殺を計画。ベケットは建物の屋上から狙撃を実行するが、弾は外れてしまう。すると何者かがベケットを銃撃。ベケットは何とか返り討ちにするが、現地警察に逮捕されてしまう。投獄されたベケットはフィネガンと再会する。彼は悪の道に染まっていた。ベケットは移送されることになるが、警察署が爆破され、ベケットは脱出する。ベケットはクアンを呼び出し、フィネガンが潜伏していると思われる地下壕に向かう。フィネガンは10代の若者を大勢率いた地下帝国を築いていた。足を滑らせたクアンがフィネガンの手下に捕まってしまう。クアンは若者に銃を突きつけられ、フィネガンはクアンを盾にして銃を向けるベケットから身を隠す。フィネガンは、ベトナム戦争時代、エイブリー、そして次期大統領候補のジョン・ゲイリー上院議員とともにドラッグと人間狩りに溺れ、9人を殺害し、同行していたAPカメラマンを口封じのために殺したことを告白。エイブリーとゲイリーは、フィネガンとベケットを二人とも亡き者にしようと画策していたのだ。ベケットは、クアンに銃を向けている若者の手の甲を撃つ。若者の手は反動でクアンから逸れ、背後にいるフィネガンの脳天に向けて引き金を撃ってしまう。フィネガンは即死。若者達は、自分たちを支配するコブラを倒したマングースだとベケットを崇める。ベケットは無事にその場を去り、米軍ヘリに救出されるのだった。

本作も、現地民は現地語でやりとりし、リアリティを追求しながら、ちょっとしたどんでん返しを交えたストーリーに、派手すぎず地味すぎずの展開が心地よい。クライマックスでのフィネガンの仕留め方や、緊迫した場面でのフィネガンの独白はいかにも映画的ではあるが、実際、映画なんだから仕方がない。評価4をつけるには至っていないが、結構面白いシリーズだ。

【5段階評価】3

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2020年8月11日 (火)

(2141) 山猫は眠らない2 狙撃手の掟

【監督】クレイグ・R・バクスレー
【出演】トム・ベレンジャー、ボキーム・ウッドバイン、エリカ・マロジャーン、タマス・プスカ
【制作】2002年、アメリカ

退役したベテラン狙撃手の極秘任務を描いたアクション作品。「山猫は眠らない」の続編。

退役した元米軍狙撃兵のトーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)は、バルカン半島でイスラム教徒を殺害して民族浄化を企むバルストリア将軍の暗殺を依頼される。ベケットは元の階級に戻してもらうことを条件に任務を引き受ける。彼は腕のいい観測手を求め、選ばれたのは死刑囚の元狙撃手、ジェイク・コール(ボキーム・ウッドバイン)だった。二人は現地に飛び、協力者のソフィア(エリカ・マロジャーン)からターゲットの写真と武器を入手。二人は無事に任務を終え、追っ手から逃げるが、なぜかコールはベケットの指示を無視して敵軍に捕らわれてしまう。ベケットはソフィアのもとに戻り、コールの救出に向かう。拷問を受けていたコールは別の施設に移送されることになるが、ソフィアは二人の兄弟とベケットとともに護送車を襲い、コールを救出。コールはなぜか、パベル(タマス・プスカ)という囚人を連れてくる。ベケットは驚くが、実は重要な極秘任務を負っているのはコールの方で、ベケットの暗殺任務はその前座だった。コールはわざと軍に捕らえられ、パベルを連れて亡命させようとしていたのだった。ベケットはコールと協力してパベルを救出するため、ヘリコプターとの合流地点に向かう。そこには敵軍はスナイパーが待ち伏せしており、コールはパベルを守ろうとして胸を撃たれてしまう。ベケットはスナイパーを返り討ちにし、コールとパベルとともにヘリに乗り込むが、コールは「自由だ」と言い残して息を引き取るのだった。

前作のジャングル戦に対して、本作は市街戦が中心。爆破シーンなど派手な演出があるが、敵の弾の当たらないスーパーヒーローが雑魚をじゃんじゃんやっつけるという痛快おバカアクションではなく、ストーリーのひねりもあって、なかなか面白かった。現地人は現地語でやりとりするなど、リアリティを追求している点もよかった。
一方、クライマックスでコールが撃たれる必然性の薄さと、ベケットが結局どういう作戦で敵スナイパーを倒したのかがよくわからなかった点は残念。

【5段階評価】3

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2020年8月10日 (月)

(2140) 山猫は眠らない

【監督】ルイス・ロッサ
【出演】トム・ベレンジャー、ビリー・ゼイン、フレデリック・ミラグリオッタ、ケン・ラドリー
【制作】1993年、アメリカ

米軍のベテラン狙撃兵と若いエリート兵士の極秘任務を描いたアクション映画。

ジャングルを知り尽くした米軍のベテラン狙撃兵、トーマス・ベケット特務曹長は、戦地で相棒のパピッチ伍長(エイデン・ヤング)を失う。ベケットは新たな仲間として、エリート兵士のリチャード・ミラーと組むことになる。彼らはパナマのアルバレス将軍(フレデリック・ミラグリオッタ)の暗殺の密命を受け、ジャングルを抜けて将軍の隠れ家の大農場を目指す。パピッチを奪ったスナイパーを退け、大農場にたどり着いた二人は、二手に分かれてチャンスをうかがうが、ミラーが敵の一人に気づかれ、ベケットはやむなくその敵を倒しに向かう。ミラーはアルバレス将軍を支援する麻薬王オチョアの暗殺に成功。敵の部隊が逆襲するが、ミラーとベケットはなんとかジャングルに逃げ込む。ベケットは将軍の暗殺に戻るとミラーに告げるが、ミラーは恐怖からベケットに逆らい、彼を殺そうとする。弾の尽きたミラーは膝を突く。失意で空笑いをするミラーにベケットが歩み寄るが、そこを敵に囲まれる。ベケットはミラーを逃がして応戦するが、敵に囲まれ、捕虜となってしまう。
その夜、アルバレス将軍に取り入っているシルハーノ(ケン・ラドリー)は、ベケットの右手の人差し指にワイヤーを巻いてねじ上げ、拷問する。ミラーは農場に忍び込み、将軍をナイフで刺殺すると、残った一発の銃弾でシルハーノを仕留め、ベケットとともに農場を脱出し、ヘリに救出されるのだった。

雑魚キャラとの派手な銃撃戦や爆破シーンで盛り上げるような大味な作品ではなく、狙撃が中心なので、戦闘シーンの緊張感はそれなりのもの。銃弾が空気を切り裂く独特の映像が随所に入っていた。午後のロードショーが「山猫は眠らない」シリーズ8作目の公開に会わせて過去7作を一挙放送するので、ビンジウォッチングしてみるつもり。一部の作品はアメリカでは劇場未公開だったりするみたいだが。
ビリー・ゼインは、「タイタニック」の悪役キャル・ホックリーで有名。

【5段階評価】3

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2020年8月 9日 (日)

(2139) 潮騒

【監督】西島克己
【出演】山口百恵、三浦友和、初井言栄、中村竹弥、中川三穂子、中島久之、石坂浩二(声)
【制作】1975年、日本

三島由紀夫の小説の映画化作品。鳥羽の漁師町の若い男女の恋を描いた作品。

三重の歌島の金持ち、宮田照吉(中村竹弥)の家に美しい四女、初江(山口百恵)がやってくる。貧しい漁師の青年、久保新治(三浦友和)は、初江の水運びを偶然手伝ったことがきっかけで親しくなり、時化で漁がない日に島の人に内緒で監的哨跡で会う。それを偶然見つけた千代子(中川三穂子)は、新治を初江に取られた嫉妬心から、初江の入り婿になることを狙っている川本安夫(中島久之)に告げ口。新治と初江の噂は島中に伝わり、怒った照吉は初江の外出を禁じ、二人は会えなくなってしまう。照吉は安夫と新治を、所有する遠洋漁業船に乗せる。新治の母、とみ(初井言栄)は、新治を初江から遠ざけるための照吉の悪巧みだと考えて憤慨し、照吉の家に乗り込んで、照吉はおろか初江にまで暴言を浴びせる。
一方の新治は船で立派に活躍し、悪天候の中、切れたロープを結び直すために荒海に飛び込み、見事に船の危機を救う。照吉は、男は家柄や財産ではなく気力だ、と言って、初江の夫に新治を選ぶ。島の人達は新治と初江を祝福し、二人は漁船で海にこぎ出すのだった。

純愛作品ではあるが、監的哨跡で裸になる有名シーンはしっかり映像化されている。伝説のアイドル山口百恵が、こういう演技をしていたのか、と思うと感慨深いものがある。今回はNHK BS プレミアムでの放送だったが、二人が乳繰り合っていたと子ども達が騒ぐシーンで「お@こ」が連発され、ご丁寧に字幕にもそのまま書かれているのにはちょっと驚いた。特に「不適切な表現がありますが、製作者の意図を尊重し、オリジナルのまま放送します」的な断り書きもなかった。一周回って認める方向になっているんだろうか。
山口百恵の初々しさと三浦友和の肉体美に星4つといったところ。吉永小百合の「潮騒」よりよかった。

【5段階評価】4

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2020年8月 8日 (土)

(2138) フライト・ゲーム

【監督】ジャウム・コレット=セラ
【出演】リーアム・ニーソン、ジュリアン・ムーア、ミシェル・ドッカリー、ネイト・パーカー、スクート・マクネイリー
【制作】2014年、アメリカ、フランス

航空機で起きる連続殺人に巻き込まれる航空保安官の活躍を描いたアクションサスペンス作品。

航空保安官のビル・マークス(リーアム・ニーソン)は乗客として国際線の飛行機に乗り込むが、彼の業務用の携帯端末に、20分以内に1億5,000万ドルを指定口座に振り込まないと乗客を殺すというメッセージが入る。ビルは隣に座っていた女性、ジェン(ジュリアン・ムーア)に協力を要請し、携帯を操作している人物を探そうとする。もう一人の保安官ジャック・ハモンド(アンソン・マウント)が怪しげな動きでトイレに入ろうとしたため、ビルがトイレに押し入ると、ジャックはビルに銃を向けてくる。ビルはジャックと格闘の末、首を折って彼を殺害する。ジャックの荷物から覚醒剤が見つかる。続いてパイロットが毒殺される。ビルは、ビジネス客の一人、ザック・ホワイト(ネイト・パーカー)が、メールの送信端末にウィルスを送り込むことでメールを受信したときにマナーモードが解除され音を鳴らすことができるという話を聞き、彼にその作業を依頼。音が鳴った携帯を持っていた男を問い詰めるが、男は自分の持ち物ではないと主張すると、突如苦しみだし、パイロットと同じように泡を吹いて死んでしまう。
機内に流れるニュースでは、ビルが元警官だったが精神的な疾患で退職しており、ハイジャックをしているということが報道され、乗客に不安が広がる。ジャックの覚醒剤のパックには爆弾が仕込まれていた。ビルは、飛行機の高度を8,000フィートまで下げ、飛行機の後部で爆発を起こして被害を最小限に抑える手段に出る。ビルは、乗客の一人が機内を撮影した動画から、ビルが怪しいとにらんで拘束したトム・ボーウェン(スクート・マクネイリー)が、機内を移動する際、三人目の被害者の胸元にビルにメッセージを送った携帯を偲ばせていることを発見。と同時に、トムが乗客の一人に銃を突きつけて正体を現す。彼は、過去のハイジャック事故で父親を亡くしており、アメリカの航空保安の甘さを世の中に知らしめるため、この事件を起こしていた。ザック・ホワイトは共犯者だったが、トムが自らの死を覚悟していたのに対して、ザックはそうではなかったため、トムは生き残るために時限爆弾を解除しようとしたザックを銃で撃つ。ビルは急降下を始めた航空機の混乱の中でトムを射殺。副操縦士はバック段によって後部が吹き飛んだ機体を何とか着陸させ、事件は無事に解決するのだった。

推理ドラマの様相を示しつつ、犯人は誰でもあり得るという、アクション主体の内容。主人公が絶望的な状況に追い込まれながらも、乗客は基本的に協力的だったり、飛行機のシーンもCG感が見え見えで、主人公に気づかれないようにメールを打ったからくり、片腕を主人公に拘束された状態のトムがどうやって他の乗客の内ポケットに携帯を忍ばせたかの説明に納得感がなく、盛り上がりとしては今ひとつだった。同じジャウム・コレット=セラ監督、リーアム・ニーソン主演のコンビの「トレイン・ミッション」も、魅力的で壮大な謎を提示しておきながら、謎解きが大味で今ひとつだったのだが、本作はそれよりはましではあったものの、概して似た印象の作品だった。

【5段階評価】3

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2020年8月 7日 (金)

(2137) トリプルX

【監督】ロブ・コーエン
【出演】ビン・ディーゼル、サミュエル・L・ジャクソン、アーシア・アルジェント、マートン・チョーカシュ
【制作】2002年、アメリカ

世界を生物兵器で混乱に陥れようとする悪党と戦う男の活躍を描いたアクション作品。

Xスポーツの達人、ザンダー・ケイジ(ビン・ディーゼル)は、運動能力を買われてアメリカNSA(国家安全保障局)のギボンズ(サミュエル・L・ジャクソン)に雇われ、スパイとしてプラハに拠点を構えるヨーギのもとに送り込まれる。ヨーギはロシアの科学者に生物兵器を製造させ、世界を混乱に陥れようとしていた。ヨーギと行動を共にする美女イレーナ(アーシア・アルジェント)はロシアの潜入捜査員で、ザンダーに協力。ザンダーは正体がばれ、殺されそうになったところにNSAの部隊が突入。ザンダーはヨーギを倒すと、生物兵器を積んだ小型ソーラー潜水艦に飛び移って兵器を無力化。正式にNSAのエージェントとなるのだった。

いかにもアクション映画という、現実味も脈絡もない派手さだけを追及した娯楽作品。雪山での疾走やクラシックスポーツカーと平気のギミックの組み合わせなど、007シリーズを彷彿とさせる部分があるが、なだれのシーンはいかにもCGだし、潜水艦にパラセーリングで飛び移るシーンも、ほかにいくらでもやりようがあるだろうというバカバカしさ。同じロブ・コーエン監督作品でも「ワイルド・ストーム」はけっこう面白かったが、本作は有名どころが出演している割に、バカバカしさの方がアクションシーンの面白さを上回っていた。

【5段階評価】3

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2020年8月 6日 (木)

(2136) 情婦

【監督】ビリー・ワイルダー
【出演】チャールズ・ロートン、マレーネ・ディートリッヒ、タイロン・パワー、ジョン・ウィリアムス
【制作】1958年、アメリカ

アガサ・クリスティの小説が原作の法廷サスペンス。

退院したばかりの老弁護士、ウィルフレッド・ロバーツ(チャールズ・ロートン)のもとに、レナード・ボール(タイロン・パワー)の弁護の依頼が来る。彼は偶然の出会いから親しくなった未亡人フレンチを殺害した容疑をかけられており、逮捕される。フレンチ夫人は彼に遺産を残すよう遺書を書き換えていた。レナードは無実を主張し、妻が自分のアリバイを証明してくれるとウィルフレッドに説明。ウィルフレッドは彼の弁護を決める。そこにウィルフレッドの妻クリスティーネ(マレーネ・ディートリッヒ)が現れ、彼女はドイツでレナードと結婚したが、それは生活のためで自分には別に夫がおり、レナードを愛してはいない、とウィルフレッドに説明。しかしアリバイは証言するつもりだ、と言って事務所を去る。ウィルフレッドはクリスティーネの意図を図りかねるが、彼女を証言台に上げないことを決意する。
ところが検察側はクリスティーネを証言台に立てる。すると彼女は、レナードは袖に血が付いた状態で帰宅し、女を殺したと言ってアリバイ偽装を自分に依頼したのだ、と証言する。ウィルフレッドは、これまで嘘を重ねてきた人間に質問しても意味がない、と言い捨てるが、レナードは厳しい状況に置かれる。事務所に戻ったウィルフレッドに、謎の女から電話が入り、レナードに有利な証拠があると言ってウィルフレッドを駅に呼び出す。女は名乗らず、クリスティーネが書いたという手紙をウィルフレッドに売りつける。それはクリスティーネがマックスという男に宛てた手紙で、マックスと一緒になるためにレナードを陥れるために偽証するつもりであることが書かれていた。ウィルフレッドはそれを証言台のクリスティーネに突きつける。クリスティーネはウィルフレッドを口汚く罵るが、手紙は自分が書いたことを白状する。レナードは無罪となる。ウィルフレッドはすっきりしないものを感じる。
裁判は終わり、クリスティーネは法廷の外で傍聴人らに嘘つき女呼ばわりされて混乱が起きたため、係員により法廷内に連れ戻される。法廷に残っていたウィルフレッドは、クリスティーネに偽証罪の罪の重さを説明しようとするが、クリスティーネは意に介さない。彼女は本当にレナードを愛しており、彼のために偽証をしたのだった。しかもレナードはフレンチ夫人殺しの真犯人だった。クリスティーネが妻のままレナードのアリバイを証明しようとしても証拠とならないため、彼女は別の夫がいてレナードの妻ではないという立場に立ち、あえてレナードが犯人だという証言をする。そして自らが謎の女に変装してウィルフレッドに自分の書いた手紙を渡し、自分の証言の偽装を暴かせてレナードの無実を勝ち取るという作戦をとっていたのだった。驚愕するウィルフレッドのもとにレナードが現れ、クリスティーネはレナードに抱きつく。しかしレナードには別の若い恋人がいた。クリスティーネは裏切られたのだ。クリスティーネは絶望し、法廷に残っていたナイフでレナードを刺す。レナードは倒れ、クリスティーネは連れ去られる。ウィルフレッドは、クリスティーネを弁護することを決意するのだった。

古い映画なので見るのを若干ためらったが、法廷ものは好きなので観ることにした。素晴らしい法廷サスペンスの一級品だった。古さなど全く関係がない。冒頭のウィルフレッドと看護師プリムソル(エルザ・ランチェスター)との小気味よいやりとりに始まり、テンポよく話が進展。無駄のない人物描写のあと、法廷のやりとりもウィルフレッドが長々としゃべらず、核心を突いた質問を決めて座る姿が気持ちいい。一方で体が悪く医者に止められているのに葉巻や酒をやめないので観客は彼の病状が悪化しないかとヒヤヒヤしながら法廷を見守ることになる。画面に釘付けだ。そしてクライマックスの見事などんでん返し。序盤のクリスティーネの謎の行動。謎の女がどうやってクリスティーネの手紙を持っていたのかのからくり。レナードが妻はいい女優なんだと自慢するシーン。全ての伏線が回収されて謎がスパッと解け、アガサ・クリスティの作品で感じられるカタルシスを存分に味わえる。そして最後にこれまでウィルフレッドに酒もたばこも重労働も駄目と厳しく接していたプリムソルがウィルフレッドの弁護士活動を応援する側に回り、ウィルフレッドが中味をすり替えたココアのボトルを持って「先生ブランデーをお忘れですよ」と話しかけるシーンも、ウィットに富んでいた。
ただ、モノクルの光を反射させて相手の顔に当てて嘘をついていないか確かめるシーンは、結局「見抜けてないんじゃん」という落ちなので、もう少しいい方法がなかったのかな、というのと、ドイツで結婚していたという文書をどうやって作ったのか、本当なのか嘘なのか、嘘だとしたらどうやって偽造したのかはよく分からなかった。とは言え、「好きな古い映画は」と言われたら真っ先に挙げるのでは、と思えるほどの名作だった。

【5段階評価】5

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2020年8月 5日 (水)

(2135) 伊豆の踊子

【監督】西川克己
【出演】山口百恵、三浦友和、中山仁、一の宮あつ子、佐藤友美、石川さゆり、浦辺粂子
【制作】1974年、日本

川端康成の小説の映画化作品。書生と踊り子の叶わぬ恋を描いている。

書生の川島(三浦友和)は下田に向かう道中、旅芸人と遭遇。その中にいる若い踊り子、かおる(山口百恵)を見初める。川島は旅芸人と道中をともにし、無邪気なかおるに好意を持つようになる。かおるも川島に憧れの感情を抱くようになり、下田で川島に活動に連れて行ってもらう約束をするが、一座を仕切るのぶ(一の宮あつ子)は身分の違う二人がともになることはできないと考え、お座敷の仕事を入れてしまう。かおるは活動に行けなくなり、川島は翌日に東京に発つことを告げる。翌日、見送りに来たかおるは船上の川島に手を振り、それに気づいた川島は涙を浮かべながらかおるに「おーい」と叫び続けるのだった。

のちに夫婦となる三浦友和と山口百恵の初共演作品。当時15歳の山口百恵の初々しさと、22歳で超美男子の三浦友和をただただ愛でるのが、正しい鑑賞方法だろう。90分弱と比較的短めなので、原作の内容を知りたい人にもお勧め。

【5段階評価】3

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2020年8月 4日 (火)

(2134) 暁に祈れ

【監督】ジャン=ステファーヌ・ソベール
【出演】ビリー・ムーア、ポンチャノック・マーブグラン、パンヤ・イムアンパイ、ビリー・ムーア
【制作】2017年、アメリカ、イギリス、フランス、中国

麻薬漬けになって刑務所入りしたボクサーが復活する過程を描いた実話に基づく作品。

イギリス人のボクサー、ビリー・ムーア(ジョー・コール)はタイで成り上がろうとするが試合ではぱっとせず、麻薬に浸った生活を送り、警察に逮捕されてしまう。タイ語も分からないまま、彼はタイの刑務所に送り込まれる。刑務所の大部屋では新人のリンチやレイプがはびこり、所内では自殺や殺人が起きたり、看守は鎮静剤を求めると当然のように賄賂を要求するなど地獄のような環境。ビリーは看守の一人に、麻薬と引き換えにイスラム教徒を殴るよう命令され、堕落していく。しかしビリーは所内にボクシングのトレーニング施設があることを知り、購買係をしているレディボーイ(トランスジェンダーの男性)のフェイム(ポンチャノック・マーブグラン)からたばこを融通してもらい、コーチに賄賂として渡してボクシングを始める。紆余曲折がありながらも腕を上げ、プリーチャー所長(ビタヤ・パンスリンガム)から対外試合の選手に指名される。ところが麻薬と酒と体への負担からビリーの体はぼろぼろになっており、ビリーはトイレで血を吐く。これ以上攻撃を受けたら命はないと医者に宣告されるが、囚人のボス、ゲン(パンヤ・イムアンパイ)から借金返済のため試合に出るよう脅され、ビリーは試合に臨む。
対戦は一進一退だったが、ビリーの肘打ちが相手にヒットし、ノックアウト勝ち。勝者となるビリーだったが、その場で血を吐いて倒れ、病院に担ぎ込まれる。目が覚めたビリーは、看護師に付き添われてトイレに行くが、トイレを出ると看護師はいない。足に鎖は付けられていたが病院のパジャマで見えないため、ビリーはそのまま病院を抜け出てしまう。街をさまようビリーは廃線のレールの上にたたずみ、病院に戻る。脱走の道ではなく、刑期を終える道を選んだのだった。ビリーは2010年に出所し、麻薬を立つ努力を続けるのだった。

オープニングは、試合直前のボクシング選手が入念なマッサージを受けるシーン。いかにも映画らしい映像。続く試合のシーンは、どうやって撮影しているのかと思うぐらい、選手の目線と俯瞰の目線が入れ替わり、選手の生々しい息づかいが耳元で聞こえるような迫力。この選手が、麻薬を吸っているところを警察に踏み込まれ、刑務所に送り込まれる。男の名前も国籍も説明がない。刑務所で名を聞かれて答えるシーンで、ようやく主人公の名前が分かる。映画には説明のためのシーンが避けがたくあり、そこが事件が起きる前の推理小説にも似た退屈さがあるのだが、本作にそれはない。ナレーションもなく、状況だけを描くという手法が、作品に圧倒的なリアリティを与えている。説明不足で話が進むのもまた、退屈さの原因になりがちだが、本作は映像のリアリティがそれを補ってあまりある。その後も、実際の刑務所を使い、元囚人を囚人役に当てて刑務所の状況を描写しているらしく、過酷な刑務所の状況をリアリティたっぷりに描いている。
恥ずかしながら本作が日本で公開されていることを知らなかったが、この名作を放映したSTAR CHANNEL 1に感謝したい。
ちなみにラストシーンで面会に現れるビリー・ムーアの父親は、ビリー・ムーア本人が演じていた。

【5段階評価】5

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2020年8月 3日 (月)

(2133) ワイルド・ストーム

【監督】ロブ・コーエン
【出演】トビー・ケベル、マギー・グレイス、ライアン・クワンテン、ラルフ・アイネソン、ベン・クロス
【制作】2018年、アメリカ

巨大ハリケーンの中、巨額紙幣の強盗を企む集団と、それに立ち向かう主人公達との攻防を描いたアクションサスペンス作品。

かつてハリケーンで父親を目の前で失った経験を持つ気象学者のウィル・ラトリッジ(トビー・ケベル)は、巨大ハリケーンの襲来を予想。保安官のジミー・ディクソン(ベン・クロス)は町中の住民を避難させる。ウィルは、街で修理屋をしている兄のブリーズ(ライアン・クワンテン)に避難を勧め、窓の補強を手伝う。
そんな中、裁断する古紙幣を扱う財務省職員のコナー・パーキンス(ラルフ・アイネソン)は6億ドルの紙幣の強奪を計画。ハッカー2名、武装要員3名からなる仲間とともに、施設内の警備員を麻酔銃で無力化して監禁。管理者のランディ・モレノ(クリスチャン・コントレラス)を脅して金庫を開けようとするが、女性職員のケーシー・コービン(マギー・グレイス)が暗証番号を入れ替えていたため、金庫が開かない。ケーシーは発電機の修理のため、修理屋のブリーズ・ラトリッジ(ライアン・クワンテン)を施設に連れて行こうとするが、施設の様子がおかしいことに気づき、ブリーズとともに逃げようとするが、ブリーズは捕らえられてしまう。ケーシーが何者かと銃撃戦をしているのを見つけたウィルは乗っていた気象観測車両でケーシーを救出。警察署に助けを求めに行く。しかし出迎えた保安官もコナーの協力者だった。ケーシーとウィルは隙を突いて逃げ、追ってくる車を返り討ちにし、彼らが通信に使っている電波塔を車のウィンチで倒して破壊。ケーシーは無線で、ブリーズを解放すればパスコードを教えるとコナーに伝える。コナーの仲間がブリーズを連れて、ケーシーのいるショッピングモールに向かうが、ハリケーンによる高波がモールを襲い、全員が飲み込まれてしまう。ウィルとブリーズは何とか無事に再会するが、ケーシーはコナーらに捕らえられてしまう。ケーシーは金庫の解錠を余儀なくされ、コナーらは大金の獲得に成功。コナーはモレノを撃ち殺すと、ケーシーを連れて三台のトレーラーに分乗して施設を出る。いったん家に戻って逆襲の準備をしたウィルとブリーズは、トレーラーを車で追いかけ、最後尾のトレーラーに飛び移って運転していたハッカー2人から運転を乗っ取ると、ウィルが2代目に飛び移り、ケーシーと合流。ウィルとブリーズはコナーの乗る先頭車両を挟み撃ち。後ろから追ってくる巨大ハリケーンに巻き込まれ、コナーは空高く飛ばされたトレーラーの下敷きになり爆死。ブリーズはウィルの乗るトレーラーに飛び移り、九死に一生を得るのだった。

車のウィンチで電波塔を倒せるの(車が引っ張られるんじゃないの)、とか、コナーはなんで途中まで警備員を殺さずに計画を進めていたのに金庫の扉が開いた途端に無抵抗のモレノを撃ち殺したの、とか、なんでその一方でケーシーを殺さず連れて行くの、とか、なんで畑の干し草ロールは強風で飛んでってないの、とか、ツッコみたくなるところはあったし、ショッピングモールでの気圧を利用した攻撃や、最後のトレーラーバトルも行き当たりばったり感がすごすぎるが、大迫力でリアルな映像とアクションは見応え十分。ロブ・コーエン作品の中では大当たりだろう。展開にもう少し現実味があれば評価5でもよかった。

【5段階評価】4

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2020年8月 2日 (日)

(2132) さびしんぼう

【監督】大林宣彦
【出演】富田靖子、尾美としのり、藤田弓子、小林稔侍、浦辺粂子、岸部一徳
【制作】1985年、日本

女子高生に片思いをしている男子高校生と、彼の前に突如現れた少女との不思議な経験を描いた青春映画。「転校生」、「時をかける少女」とともに尾道三部作の一つ。

尾道の寺の一人息子、井上ヒロキ(尾美としのり)は写真が趣味だがお金がなくてフィルムが買えず、片思いの女子高生(富田靖子)にさびしんぼうと名付け、カメラの望遠レンズで眺めていた。ヒロキの母親のタツ子(藤田弓子)は怒りん坊で、ヒロキに勉強しろとうるさく、ピアノでショパンの別れの曲を弾くことも勧めるが、ヒロキはうまく弾けないのだった。
ヒロキはある日、部屋の中に見たことのない不思議な格好の少女(富田靖子、二役)がいるのを見つける。彼女はさびしんぼうと名乗り、ヒロキの前に出たり消えたりするようになる。彼女はタツ子にヒステリーババァと悪口を言い、タツ子は少女を叩くが、不思議なことにタツ子自身の同じ所が痛くなる。どうやら少女は若い頃のタツ子のようだが、ヒロキもタツ子もそれに気づいていない。
ある日、片思相手の少女が自転車のチェーンが外れて困っているところに出くわしたヒロキは、自転車を押して渡し船に乗り、彼女の家の近くまで送る。彼女は橘百合子と名乗るが、翌日再開しても知らん顔。不思議に思うヒロキに百合子からのチョコレートと手紙が届く。手紙にはもう会わないと書かれていた。
さびしんぼうが、明日17歳になると私はいなくなるとヒロキに告げる。その日、ヒロキは以前から準備していたプレゼントを百合子に届けるが、百合子は感謝の言葉を述べつつも、もう会うつもりはないようで、ヒロキにさよならを告げる。雨の中、家に戻ったヒロキは、家の前の石段でずぶ濡れになっているさびしんぼうを見つける。さびしんぼうは別れを告げようと思ったと言って、ヒロキに抱きつく。ヒロキはさびしんぼうを抱きしめるが、いつの間にか彼女はいなくなる。次の日、母親のタツ子は石段で、自分が17歳の頃の写真を拾う。そこには雨で目の化粧が流れたさびしんぼうが映っていた。
時が過ぎ、ヒロキは跡取りとして僧侶になっていた。妻(富田靖子、三役)はさびしんぼうにそっくりで、ピアノで別れの曲を弾く娘(富田靖子、四役)もまたさびしんぼうにそっくりなのだった。

多感な男子高校生の前に現れた不思議な少女が実は母親、というのは、なかなか衝撃的な設定。その間に恋愛感情が生まれるととってもややこしいことになるわけだが、本作は微妙なところでその領域には踏み込まず、世代を超えた運命を美しく描いている。富田靖子が演じる清楚ではかなげな女子高生のかわいさは必見。青春の甘酸っぱい思い出を蘇ること間違いなし。佐藤江梨子に顔が似ていた。
そうした清純な青春映画である一方で、女性教師(秋川リサ)のスカートが脈絡なく脱げてパンツ丸見えになるというシーンが数回登場したり、校長(佐藤允)の買うオウムが「たんたんたぬきの金玉は~」の歌を歌うとか、ゴキブリが服の中に入ったと言ってタツ子が上の服を脱いで下着姿で大騒ぎしたり、といった、下品なネタもあり、その辺りのテイストは「ねらわれた学園」と共通。思えば「転校生」でも、小林聡美が演じる少女(男の子に心が入れ替わっている)が上半身裸になるシーンがあったりするので、実は尾道三部作のうち「時をかける少女」だけが例外的にそういった性的描写のない、純粋な作品なのだということに気づいた。今回の放送は大林宣彦監督の追悼の位置づけだったが、「転校生」も名作なのに、なかなかテレビで放送しないのはなぜなんだろう。

【5段階評価】4

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2020年8月 1日 (土)

(2131) 老人と海

【監督】ジョン・スタージェス
【出演】スペンサー・トレイシー、フェリッペ・パゾス、ドン・ダイアモンド
【制作】1958年、アメリカ

アーネスト・ヘミングウェイの名作小説を映画化した作品。巨大カジキと戦う老いた漁師と、漁師を慕う少年を描いている。

キューバのサンチャゴ(スペンサー・トレイシー)は、小舟で漁をする貧乏な老漁師。少年(フェリッペ・パゾス)は老人の面倒を見ながらともに漁をすることを願っている。少年が見守る中、漁に出たサンチャゴは、沖で巨大な引きを感じ、3日がかりで巨大なカジキを仕留める。船に乗るサイズではなかったため、サンチャゴは船の横にカジキをくくりつけるが、帰路でサメの攻撃に遭う。サンチャゴは銛やオールにナイフを結びつけた即席の武器でサメを追い払おうとするが、多勢に無勢。次第にサンチャゴは何と戦っているのかも分からない状態となり、完全な敗北を味わう。サンチャゴが街に戻ったときには、カジキは無残な骨ばかりの姿になってしまう。
それでも巨大カジキの背骨に街の人は驚き、食堂の主人(ドン・ダイアモンド)もサンチャゴを称える。少年はサンチャゴにコーヒーを持って行き、次はともに漁に出ることを約束するのだった。

ナレーションと老人の独白で成り立っており、まさに小説を読んでいるような作品。画質のせいか、背景が油絵のような風情を見せていた。
「どうぶつの森」であっさりとカジキを釣り上げてごめんなさい、という気持ちになった。

【5段階評価】3

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