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2020年7月28日 (火)

(2127) 病院坂の首縊りの家

【監督】市川崑
【出演】石坂浩二、佐久間良子、桜田淳子、あおい輝彦、ピーター、加藤武、小林昭二、横溝正史
【制作】1979年、日本

病院坂の空家で起きた事件の謎を追う探偵の活躍を描いたサスペンス映画。横溝正史の小説が原作。

探偵の金田一耕助(石坂浩二)は、パスポート用の写真を本條写真館で撮る。写真館の主人の本條徳兵衛(小沢栄太郎)は金田一に、自分は命を狙われているから調べてほしいと依頼する。金田一が去った直後、写真館に黒髪の美女(桜田淳子)が現れ、婚礼の写真を撮ってほしいと依頼する。カメラマンの本條直吉(清水紘治)はその夜、迎えに来た男(あおい輝彦)に連れられ、空家となっている法眼家の屋敷でその男と女の婚礼写真を撮る。相手の女は写真館に来た女性と思えたが、意識はもうろうとしているようだった。その写真を見た徳兵衛は、女は法眼家の娘の由香利(桜田淳子、二役)に似ていると話す。撮影に使われた屋敷は、かつてある女性が首つり自殺をした曰く付きの家だった。後日、美女の声で同じ屋敷に風鈴の写真を撮りに来てほしいと電話が入り、居合わせた金田一も写真館の連中とともに屋敷に行く。そこには写真に撮った男の切断された首が吊り下げられていた。その部屋にいた男(ピーター)が逃げ出したため、写真館で助手をしている日夏黙太郎(草刈正雄)が男を捕まえる。
翌日、屋敷の所有者である法眼弥生(佐久間良子)が現場に現れ、警察の等々力警部(加藤武)に対して、由香利は今日旅行から戻ったばかりであり写真の女性は由香利ではないと断言する。現場で捕まった吉沢平次は、写真に写っているのは同じバンドのメンバー山内敏夫と血の繋がらない妹、小雪だと証言する。
金田一は事件を調べ始める。屋敷で自殺したのは山内冬子(萩尾みどり)と言い、弥生の死んだ夫、琢也(菊池勇一)の愛人だった。敏夫と小雪は冬子の子だった。冬子は自殺の直前、弥生に伝えたいことがあり、彼女を訪ねていたが出迎えた由香利が冬子を乞食呼ばわりして追い返していた。その後、敏夫を殺したのは自分だ、自殺するから探さないでくれという小雪直筆の手紙が警察に届く。黙太郎も金田一の助手のように法眼家の家系を調べ、弥生もまた、愛人関係の両親の間に産まれたことを金田一に教える。
その後、写真館の徳兵衛が殺害される。写真館は荒らされ、法眼家に関わる写真の乾板が破壊されていた。さらに法眼家に由香利のある五十嵐滋(河原裕昌)を脅迫していた吉沢平次が殺される。さらに徳兵衛の息子、直吉も首縊りの家のシャンデリアのフックが落下し、重傷を負う。
法眼家の屋根裏には、弥生の母親、千鶴(入江たか子)が寝たきりで住んでいた。千鶴は連れ子の弥生を連れて五十嵐猛蔵(久富惟晴)と結婚したが、猛蔵が弥生を法眼家に嫁がせようとしたことに反対し、もみ合いになり、ベランダから落下した猛蔵が死んだのだった。
亡くなった法眼琢也の歌集をもとに東北を調べて回った金田一は、真相にたどり着く。法眼家にいるのは由香利になりすました小雪で、彼女を招き入れていたのは弥生。弥生の母親、五十嵐猛蔵(久富惟晴)と結婚したが、猛蔵は千鶴の連れ子の弥生を15歳のときに犯し、その証拠を本條写真館に撮らせていた。弥生は猛蔵の子を産み、その子はすぐ里子に出される。それが冬子だった。冬子は弥生が自分の母親だと知り、弥生に会いに行ったが、由香利に追い返され、自殺。敏夫は法眼家を激しく恨み、由香利をおびき出して薬で意識をもうろうとさせ、婚礼の写真を撮ってそれを法眼家に送り、恨みを伝えようとした。ところが意識を回復した由香利と敏夫がもみ合いになり、はずみで倒れた由香利は頭を打ち、死んでしまう。それを見た敏夫はガラス片で自らの首を刺し、小雪に自分の首を首縊りの家に吊せと命じて息絶える。小雪は弥生に真相を話し、弥生は小雪に協力することにしたのだった。吉沢と徳兵衛を殺したのも弥生だった。徳兵衛は弥生と猛蔵の写真をネタに弥生を脅していた。直吉も徳兵衛と同じことをしようとして重傷を負うことになったのだった。小雪と弥生は全てを告白する。そのとき、屋根裏にいた千鶴が息を引き取り、それをみんなが見に行った隙に、弥生は使用人の三之介(小林昭二)の人力車で屋敷を抜け出し、車中で自害するのだった。

市川崑・横溝正史コンビの作品は、セルフリメイクの「犬神家の一族」を除けば本作が最終作。いわば横溝映画の集大成と言えるわけだが、作品に共通するおどろおどろしさ、由緒ある名家の屋敷で起きる惨劇という様相が本作ではあまり感じられなかった。オープニングクレジットで、大きな活字を画面上で直角に折り返しす独特の表示方法が使われておらず、普通のテレビドラマのよう。そして肝心の舞台である首縊りの家は作り物めいていて現実感がないし、法眼家の屋敷も平板な明るさで奥行きを感じない。映像としての魅力も今ひとつだった。また、由香利と小雪が双子でもないのに周囲が気づかないほど瓜二つという設定からは、実は双子なのかといった推理を当然するわけだが、別にそういう真相もなく、血縁関係はあるものの単に似ていただけ。「推理ドラマを成り立たせるために設定したので受け入れてもらわないと困ります」という押しつけに耐えざるを得ないのも残念。吉沢を殴る道具がギターというのも殺害の本気度を疑われ、気になった。由香利が事故死するシーンも、「そんなんで死ぬか」みたいな迫力に欠けた映像で、そもそも不慮の事故死は横溝正史作品には似つかわしくない。横溝作品なら恨み骨髄に徹すゆえの死であってほしかった。直吉が性的不能で「赤いランプ」とうなされていたという件も回収されていない。冬子が弥生と猛蔵の子だったという展開は衝撃的だっただけに、もう少し盛り上げようがあったのではと感じる。集大成としては「女王蜂」のほうができがよかった。

【5段階評価】3

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