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2020年6月

2020年6月30日 (火)

(2108) グランド・イリュージョン 見破られたトリック

【監督】ジョン・M・チュウ
【出演】ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、リジー・キャプラン、ウディ・ハレルソン、ダニエル・ラドクリフ、モーガン・フリーマン
【制作】2016年、アメリカ

IT企業の陰謀に巻き込まれた4人組のマジシャンが奮闘するようすを描いたエンターテインメント・サスペンスとでも呼ぶべき作品。「グランド・イリュージョン」の続編。

フォー・ホースメンの一人、ダニエル(ジェシー・アイゼンバーグ)らは、彼らのマネージャー的存在、FBI捜査官のディラン(マーク・ラファロ)から、IT企業オクタ社がユーザーのプライバシーを悪用して金儲けを企んでいることを暴くと告げられる。新しく加わったルーラ(リジー・キャプラン)、メリット・マッキニー(ウディ・ハレルソン)、ジャック・ワイルダー(デイブ・フランコ)とともに、オクタ社の宣伝イベントに潜入。イベントを乗っ取って意気揚々と演説を始めようとしたところ、会場が暗転し、死んだとされたジャックが生きていること、黒幕がFBIのディランであることがステージで暴露されてしまう。四人は慌ててあらかじめ用意していた屋上のシューターから脱出するが、降りた場所はなぜかマカオだった。出迎えたのは、メリットの双子の弟で、互いに敵対しているチェイス(ウディ・ハレルソン、二役)。四人は死んだはずのウォルター(ダニエル・ラドクリフ)。彼は影の株主となってオクタ社の実権を支配していた。ウォルターは、四人の準備したシューターとは別のシューターを仕掛け、そこに催眠装置を仕掛けて、彼らを眠らせたままマカオに運んだのだった。ウォルターは四人に、世界中のコンピュータに侵入可能な電子チップの盗み取るよう脅迫。ダニエルは了承し、マカオのマジックショップに出向き、道具を揃えてチップが保管された建物に潜入。見事にチップを盗み出す。
四人の行方を探るため、ディランは服役中のサディアス・ブラッドリーを訪ねる。サディアスはディランの父親でマジシャンのライオネル・シュライク(リチャード・ラング)を死に追いやった因縁の相手。サディアスは自分を刑務所から出すよう条件を出し、ディランはサディアスを連れてマカオに向かう。ダニエルの入ったマジックショップでディランは手がかりを得るが、サディアスは姿を消す。手がかりをもとに、ディアスはチップを盗んだダニエルを発見。そこにウォルターが手下を連れて現れる。ディアスはダニエルからチップを奪った振りをしてダニエルを逃がし、ウォルター一味を相手に大立ち回りを演じるが、捕らえられてしまう。ウォルターはディランが憎む保険会社の支配者アーサー(マイケル・ケイン)の非嫡出子だった。アーサーはディランを、父親が死んだ脱出魔術用の金庫にディランを押し込み、川に沈める。ディランはサディアスの残した言葉を手がかりに扉を開けることに成功するが、水底で力尽きる。そこにダニエルが現れ、ディランを助け出す。再び結集した五人は、アーサーとウォルターに逆襲するため、彼らを大晦日のロンドンで白日のもとにさらす計画を立て、予告動画を公開。ダニエル、ルーラ、ジャックがロンドンでゲリラ公演を行い、ショーが開幕するが、ウォルターはチェイスをメリットのもとに送り込んで計画の行き先を読み、フォー・ホースメンとディランを捕まえる。ウォルターとアーサーは護送車で5人を運搬して自家用ジェットに乗せ、チップを回収。チェイスは5人を飛行機から落とせ、と指示し、5人は次々と飛行機から突き落とされる。アーサーとウォルターが高級シャンペンで乾杯するが、なぜかシャンペンはおかしな味がし、黄金色の液体はあっという間に黒変。すると、飛行機の外に、ニヤニヤしたホースメンの顔が現れる。飛行機は飛んでおらず、テムズ川に設置されたステージ上にあった。飛行機の囲いをとると、外には大勢の見物客がアーサーとウォルターを取り巻いていた。あっけに取られる二人を目の前にして、ダニエルらは、彼らの護送車の運転手をすり替え、偽の飛行機に乗せて巨大ファンとジャッキで飛行機が飛んだように見せかけ、あらかじめ催眠術をかけたチェイスに外に放り出すよう言わせ、その様子を世界中に放映していたという種明かしをする。アーサーとウォルターは逮捕され、5人は消え去る。
マカオのマジックショップの老いた女店主(ツァイ・チン)がマジック界の大物で、彼らは彼女の屋敷に招かれる。そこにはサディアスもいた。彼はディランの父親を死に追いやったのではなく、実はパートナーだった。表向きは敵対しているという演出で、ディランのマジックショーを盛り上げていたのだ。5人はサディアスから話を聞きたがるが、サディアスは部屋から立ち去るのだった。

ホースメンがイベントのスタッフになりすまして会場に潜入したり、厳しいセキュリティをかいくぐってチップを盗み出すシーンは、マジックや早着替えなどのテクニックをふんだんに使い、非常に見応えがある。ストーリーは若干ややこしく、前作の理解があったほうが楽しめるが、ストロボを使って雨を止めたり、といった魔術の種明かしも随所に盛り込みながら展開する映像は、ストーリー抜きに面白い。善人役が多いモーガン・フリーマンが前作では悪役だったが、本作では最後に善人役になるという落ちがついていた。次作も予感させるエンディングだった。ダニエル・ラドクリフが小ずるい悪役を演じるのも面白かった。こういう作品を無料で観られるのは、とても得した気分だ。

【5段階評価】5

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2020年6月29日 (月)

(2107) ブリジット・ジョーンズの日記

【監督】シャロン・マグワイア
【出演】レネー・ゼルウィガー、ヒュー・グラント、コリン・ファース、ジム・ブロードベント、ジェマ・ジョーンズ
【制作】2001年、イギリス、アメリカ、フランス

30代独身女性の恋の行方を描いたラブ・コメディ。

32歳で独身のブリジット・ジョーンズ(レネー・ゼルウィガー)は、両親に連れられて離婚経験ありの幼なじみ、マーク(コリン・ファース)と会うが、互いに相手への印象は今ひとつ。ブリジットは職場の上司ダニエル(ヒュー・グラント)と恋愛関係に至る。ダニエルはかつて婚約者をマークに寝取られたと話す。しかしダニエルは別の女性と浮気していた。ブリジットは会社を辞め、テレビ局のレポーターに転職する。マークは仕事仲間のナターシャ(エンベス・デイビッツ)と付き合っていたが、マークはブリジットに好意があることを告げる。レポーターの仕事で成功を収めたブリジットは、自身の誕生パーティに友人を招待することにし、慣れない食事の準備をしていると、マークが現れ、パーティに参加。しばらくしてダニエルも現れ、ダニエルはブリジットに別の女とは別れたからまた付き合ってほしいと告げる。マークはダニエルを外に呼び出し、殴り合いの喧嘩を始める。ブリジットは二人のどちらも選ばず、家に戻る。
ダニエルの言った、マークがダニエルの婚約者を寝取ったという話は嘘で、ダニエルがマークの妻と浮気をしたのだった。それを知ったブリジットはマークに会い、お詫びとともに自分もありのままのマークが好きだと告げる。しかしマークはナターシャとともにニューヨークに転勤することが決まっていた。ブリジットは一人暮らしを続けることになる。
ある夜。友人たちがブリジットをパリ旅行に連れ出そうとしたとき、マークが現れ、ニューヨーク行きをやめた、とブリジットに告げる。ブリジットはパリ行きをやめ、マークを家に招く。ブリジットがいったん席を外していそいそとセクシーな下着に着替えているとき、マークは机の上にあったブリジットの日記を発見。そこにはマークへの罵詈雑言が連ねられていた。マークは足早に家から立ち去る。それに気づいたブリジットは下着姿にコートを羽織ったまま、駆け足でマークを追いかける。ブリジットはマークに日記なんていい加減なものだ、と詫びる。マークは分かっていると言って、新しい日記をブリジットに手渡す。マークは怒って去ったのではなく、日記帳を買いに出ただけだった。二人は街角で熱い口づけを交わすのだった。

ザ・エージェント」ではかわいい女性だったレネー・ゼルウィガーが、小太りの30代女性を熱演。シャーリーズ・セロンの「モンスター」もそうだが、美人女優が、自分を美しく見せない演技をするというのは、美しく見せることとは別の意味で女優のプロ根性を感じさせる。他の作品とのギャップを見るのも楽しい。ストーリーも起伏に富んで面白い。登場人物が多すぎないので、結局ダニエルはひどい奴でマークはいい奴だったということも最後に分かり、すっきりと楽しめる作品だった。

【5段階評価】4

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2020年6月28日 (日)

(2106) クルードさんちのはじめての冒険

【監督】カーク・デミッコ
【出演】ニコラス・ケイジ(声)、エマ・ストーン(声)、ライアン・レイノルズ(声)
【制作】2013年、アメリカ

原始人の一家が洞窟を出て新天地に冒険するようすを描いた3DCGアニメ作品。

原始人のグラグ・クルード(ニコラス・ケイジ)は、家族を守るため、洞窟にこもって暮らし、新しいものには手を出さず、禁止ルールをたくさん作って家族に守らせていた。しかし、娘のイープ(エマ・ストーン)は好奇心が強く、ある夜、外に煌めく光を見つけ、洞窟を抜け出す。そこにはたいまつをともす青年、ガイ(ライアン・レイノルズ)がいた。はじめて「火」を見たイープは驚く。ガイはこの地は地割れが起きて消滅するから高い山を目指そうとイープに持ちかけるが、イープは家族がいるので、と断る。しかし、クルード一家の暮らす洞窟が天変地異で消え去り、彼らはガイとともに新しい場所を目指す。新しいものを受け付けないグラグに対して、ガイはクルード一家の知らない道具やアイディアで道を切り開く。次第に家族の心はガイに引き寄せられる。ようやく高い山までたどり着いたとき、目の前に地割れが起きて先に進めなくなる。グラグは自分の取り柄は腕力だ、と言って、一人一人を地割れの先に投げつける。グラグは一人、取り残されてしまうが、そこで素晴らしいアイディアをひらめく。自分になついたトラと空飛ぶ赤い生き物とたいまつ、そして大きな動物のあばら骨を使って飛行船を仕立て上げ、見事に地割れを飛び越えたのだ。地割れの先で待っていた家族は大喜び。彼らは初めて見る海にたどり着き、新しい生活を始めるのだった。

物語は比較的シンプルで分かりやすく、衝突していた家族や若者が強い絆で結ばれていく過程は見ていて清々しい。ネズミとマンモスのあいの子や、亀と鳥のあいの子のような、独創的な動物も楽しく、なぜ日本で劇場未公開だったのか不思議なほど面白い作品だった。
今回は日曜ロードショーで鑑賞。3DCGアニメは、テレビでは日本語吹替で放送されることが多いが、日曜ロードショーはオリジナル音声に字幕付き。特に本作は声優が有名俳優でもあり、オリジナル音声ファンとしては嬉しい。エンドロールもきちんと流すし、日曜ロードショーは好きな映画番組だ。

【5段階評価】4

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2020年6月27日 (土)

(2105) イップ・マン 継承

【監督】ウィルソン・イップ
【出演】ドニー・イェン、マックス・チャン、リン・ホン、マイク・タイソン、ケント・チェン
【制作】2015年、香港、中国

癌を患った妻をいたわりながら、地上げ屋を退治し、自らの拳法を守る武術家を描いたカンフー映画。「イップ・マン 葉問」の続編。

謙虚を旨とする武術家のイップ・マン(ドニー・イェン)は、若き日のブルース・リー(チャン・クォックワン)の弟子入り志願を受け流すほどの実力の持ち主。愛する妻ウィンシン(リン・ホン)との間の一人息子(ワン・シィ)の通う小学校が地上げ屋の標的にされ、イップ・マンは道場の弟子とともに小学校を守るが、家を空けている間、ウィンシンは不安な日々を過ごす。彼女は医者から癌の疑いを告げられていた。
地上げ屋の組織を束ねるフランク(マイク・タイソン)は、商売の邪魔をするイップ・マンに3分間立っていられたら見逃すとの条件でイップ・マンに勝負を挑む。フランクの強力なボクシングの力にイップ・マンは苦戦しつつも互角に渡り合い、フランクとの勝負は引き分けとなる。イップ・マンの息子と同じ小学校に自分の息子を通わせているチョン・ティンチ(マックス・チャン)は、人力車引きの苦しい生活から抜け出すため、自分の武術の力を使い、イップ・マンと同じ詠春拳を掲げて道場を開き、自らを正統派だと名乗り、イップ・マンに勝負を挑む。しかしイップ・マンは、癌の判明した妻に寄り添い、チョンからの勝負に挑まなかった。ウィンシンはイップ・マンに感謝し、彼女自身がイップ・マンとウィンシンの勝負を申し込む。二人はほぼ互角の戦いをするが、イップ・マンが紙一重の差で勝利する。1960年にウィンシンは他界。イップ・マンは道場を守り続けるのだった。

エレベータで武術家に襲われ、エレベータを降りて階段を降りながらイップ・マンが敵と戦うシーンが素晴らしいできばえ。本作はマイク・タイソンが出演しているのが特徴的で、これがラスボス戦だと思い込んでいたが、中盤の見所だった。このシーンも迫力があり、なかなかよかった。やたら窓ガラスを殴って割るのは、ちょっと演出過剰だな、とは思ったが。本作はTOKYO MX2の放送で、画質が低めだったのが残念。

【5段階評価】4

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2020年6月26日 (金)

(2104) マローダーズ 襲撃者

【監督】スティーブン・C・ミラー
【出演】クリストファー・メローニ、ブルース・ウィリス、デイブ・バウティスタ、エイドリアン・グレニアー、ジョナサン・シェック
【制作】2016年、アメリカ

銀行襲撃事件の謎を追うFBI捜査官の活躍を描いた作品。

覆面強盗による銀行襲撃事件が起こり、支店長が殺害される。FBI捜査官のジョナサン・モンゴメリ(クリストファー・メローニ)は、同僚のストックウェル(デイブ・バウティスタ)と新米捜査官のウェルズ(エイドリアン・グレニアー)らと捜査に入る。別の貸金庫襲撃事件が起き、今度は外で警備員が刺殺される一方で、支店長は無事で建物内で撃たれた警備員には救命措置まで施される。現場に残された指紋は、死亡したはずの元兵士、T・J・ジャクソン(テキサス・バトル)のものだった。彼は、銀行頭取のジェフリー・ヒューバート(ブルース・ウィリス)の弟アレクサンダーを誘拐した犯人とされており、ジェフリーの取り巻きのクック上院議員(Dr.デビッド・ゴードン)や殺された支店長や警備員が、かつて同じレンジャー部隊に所属していた。ジョナサンはヒューバートを怪しむ。
実はヒューバートは遺産相続のため、クックらを通じて弟を殺害させており、その濡れ衣を着せられたのがT・J・ジャクソンだった。T・J・ジャクソンらは兵士時代、テロリストがいるという指令を受けて施設に行くが、そこには死んだ民間人がいるだけ。そこに特殊部隊が現れ、銃撃戦となる。送り込まれた部隊の一員がウェルズだった。ウェルズは、ウェルズは現場の状況から、上官がT・J・ジャクソンらの殺害を企てたと悟り、T・J・ジャクソンらは全滅したと報告して真相を明らかにする復讐の機会をうかがっていたのだった。
ウェルズとともに事件を調べていた刑事のミムス(ジョナサン・シェック)はウェルズが実行犯だと気づき、ウェルズを問い詰めるが、ウェルズはミムスを射殺し、メキシコに逃亡したヒューバートを追う。メキシコに飛んだモンゴメリはウェルズに会って真相を聞き、その場にいたヒューバートを刺し殺す。ウェルズはヒューバートのボディガードを撃ってモンゴメリを助けると、その場を立ち去るのだった。

けっこう複雑な筋書きなので、一度観ただけでは全ての登場人物の行動が理解できないかもしれない。妻が癌で余命幾ばくもなく、汚いことをしてでも金がほしいが正義感との間で苦しんでいるミムス。妻を殺された過去を持つモンゴメリ。愛する妻を守るため正体を明かせないT・J・ジャクソン。それぞれが重い人生を背負っているのだが、けっこう終盤になって明かされるものもあり、こうした作品は映画よりも連続ドラマや小説のほうが表現方法として向いているかもしれない。特に本作は、ブルース・ウィリスが出演していることもあって、目がそちらに行ってしまい、複雑な作品を理解しようという気持ちが生まれづらい面もあった。

【5段階評価】3

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2020年6月25日 (木)

(2103) レッド・ダイヤモンド

【監督】マックス・アダムス
【出演】マーク=ポール・ゴスラー、クレア・フォーラニ、ジェナ・B・ケリー、ブルース・ウィリス
【制作】2016年、カナダ

5億ドルのダイヤを巡る攻防を描いたアクション作品。

泥棒を生業としているジャック(マーク=ポール・ゴスラー)が、恋人のジェナ(リディア・ハル)と抱き合っているところに、ジャックの仕事仲間、カレン(クレア・フォーラニ)が現れる。彼女は妊娠しており、ジャックが父親だと告げる。彼女は親玉のエディ(ブルース・ウィリス)に追われており、ジャックに5億ドルのダイヤの強奪計画を持ちかける。ジャックは仕事仲間のローガン(ジェナ・B・ケリー)やアンドリュー(ニック・ローブ)、ニコラス(ジョン・ブラザートン)と共同し、ダイヤの強奪に成功。それを奪おうとするエディをローガンが狙撃して殺害。ジャックはダイヤをカレンに譲り、ジェナとともに暮らす道を選ぶのだった。

作品の中味よりも、人の声の音量レベルがBGMや効果音に比べてえらく小さく、聞き取りづらいのがストレスだった。大したセリフではないので音を小さくしたのでしょうか。ボートでのチェイスシーンもカーチェイスシーンも、撃ち合う弾は互いに全然当たらないので、映像の割に緊迫感がなかった。
また、ストーリーも今ひとつよく分からない内容だった。特にエディの本性がよく分からず、サイモン(ダニエル・バーンハード)という有能な右腕がいながら、カレンとジャックを自由に行動させた結果、ヘリポートで無防備にローガンに撃ち殺される。冷徹さ、計算高さ、決して殺されそうにない無敵さ。そういったものが今ひとつ感じられない悪役だった。
ブルース・ウィリスは好きな俳優だが、ここに来て駄作の出演が目に付いてきた。そういう意味では当たり外れのある俳優と言えるが、もともと、出る作品全てが素晴らしい俳優というのも、なかなか思いつかない。作品のできは一人の俳優だけでは決まらないということなんだろう。そう考えると、クリント・イーストウッドなんかは外れが少ない俳優かもしれない。

【5段階評価】2

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2020年6月24日 (水)

(2102) エクストラクション

【監督】スティーブン・C・ミラー
【出演】ケラン・ラッツ、ジーナ・カラーノ、ブルース・ウィリス、D・B・スウィーニー、ジョシュア・マイケル
【制作】2015年、アメリカ

父と同じCIA捜査官となった男の活躍を描いたアクションサスペンス。

CIA捜査官のレナード・ターナー(ブルース・ウィリス)は、犯罪者に母親を殺される。息子のハリー(ケラン・ラッツ)は母親を救えなかった悔しさから、自らもCIA捜査官となり、厳しい訓練を続ける。
ある日、レナードが犯罪組織に人質にされるという事件が起きる。ハリーは上司から捜査に入ることを禁じられるが、強引に父親を救うため、犯罪組織への接触を開始。ハリーの訓練生時代の同期で元恋人のビクトリア・フェア(ジーナ・カラーノ)と合流し、捜査を続け、組織のボス、ドレイク(ジョシュア・マイケル)に接近するが、フェアは捕らえられてしまう。ハリーもフェアのアジトに向かうが、ドレイクに麻酔銃を撃たれ、気がつくと椅子に拘束されており、横には父親のレナードが座っていた。しかしレナードはドレイクに時間をくれ、と言い、立ち上がる。レナードは拘束されていなかった。彼は母親を殺したロシアの組織に復讐するため、ドレイクと手を組み、世界の通信網を支配できる装置「コンドル」を餌に、ロシアの組織をおびき寄せていたのだ。父親の行動に苦しむハリーだったが、復讐心がまさり、ロシアの組織のボスにとどめの一撃を浴びせる。そこにレナードの同僚のケン・ロバートソンが現れ、コンドルを奪って逃げようとする。ハリーはそれを奪い返して父親のもとに戻るが、レナードは帰らぬ人となる。ハリーはフェアとは別の道、闇の世界に生きることを決め、手始めにドレイクを暗殺するのだった。

ブルース・ウィリスが出演しているので観ることにした。そこそこの迫力ではあるが、敵のアジトに単身で乗り込み、一人ずつ雑魚を倒して進むあたりは、スリルがあるようでいて極めて予定調和的で、映画の後半になるほど冷めてしまう残念な展開だった。父親が事件の黒幕だったというどんでん返しは効いていたが、ロバートソンの行動はあまりにもおろかだし、最後に現れてドレイクを殴り倒すひげ面の男の立場も、わちゃわちゃしすぎて味方なんだか悪者なんだか分からないという始末。レナード・ターナーとジーナ・カラーノのマッチョな活躍を楽しむ作品と割り切った方がよさそうだった。

【5段階評価】3

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2020年6月23日 (火)

(2101) 人生の特等席

【監督】ロバート・ロレンツ
【出演】クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・グッドマン
【制作】2012年、アメリカ

プロ野球の老スカウトと一人娘との心の絆を描いた作品。

残り契約が3ヶ月の老スカウト、ガス(クリント・イーストウッド)は、今年のブレーブスのドラフト1位を決めるため、地方の野球観戦をしていた。視力が低下し、調子を落とした彼を心配した同僚のピート(ジョン・グッドマン)は、ガスの娘で弁護士のミッキー(エイミー・アダムス)に、一緒にいてやってほしいと頼む。パートナー(共同経営者)への昇進の条件となる重要な案件を抱えていたミッキーは始めは断るが、父親が心配になり、遠征先に駆けつける。二人は球場で、かつてガスがスカウトした元ピッチャーのジョニー(ジャスティン・ティンバーレイク)と出会う。彼はレッドソックスのスカウトになっていた。
ガスは33歳にもなるミッキーのことをいまだに過剰に心配し、男が彼女の腕に触れただけで激怒する始末。一方、母親が亡くなってから親戚に預けられ、父親の愛情を十分に受けられなかったと感じていたミッキーは、ダイナーでの朝食中、父親を責める。ミッキーは休暇が長引いたことが響いて昇進の話が先送りになり、弁護士のボーイフレンドとも破局してしまうが、素朴なジョニーと恋仲になっていく。
ガスはミッキーとともに選手のチェックを続け、有望視されていたパワーヒッター、ボー(ジョー・マッシンギル)が、カーブを打てないことを見抜き、ジョニーにボーは指名しないと助言。チームにもボーを指名するなと伝える。しかし責任者のビンス(ロバート・パトリック)は若いスカウトのフィリップ(マシュー・リラード)の説得に負けてボーを1位指名する。ジョニーはブレーブスがボーを1位指名したのを知って騙されたと勘違いし、怒ってミッキーのもとを去る。ガスは、かつてミッキーが6歳のとき、球場に連れて行ったミッキーが目を離した隙に知らぬ男に小屋に連れ込まれ、それを見つけたガスは男を殴り殺してしまったことを告白する。
ガスは帰宅し、残ったミッキーは、モーテルの少年、リゴ(ジェイ・ギャロウェイ)が素晴らしい球を投げるのを発見。ピートに連絡を入れて球場でボーと対決させる。ボーはリゴのストレートにも、カーブを投げると宣言したカーブにも全くバットを当てることができない。ビンスはリゴとの契約を決め、ガスにも契約延長を申し出る。ガスはリゴのエージェントにミッキーを推し、契約延長については考える、と返事する。意気揚々と事務所を出たガスとミッキー。ミッキーに法律事務所から電話が入り、ミッキーの昇進のライバル、トッド(ジェームズ・パトリック・フリートリー)が失敗したので復帰してほしいと言われるが、ミッキーは父親と同じように考える、と返事し、携帯をゴミ箱に投げ捨てる。球場の外にはジョニーが待っていた。ジョニーとミッキーは口づけを交わし、ガスは苦笑いをして一人で去って行くのだった。

親子が絆を取り戻していく様子が心地いい、心温まる作品。原題は「Trouble with the Curve」で、カーブに難あり、といった意味。「人生の特等席」というと「最高の人生の見つけ方」みたいな高齢者が人生の最後を楽しむ話のようなイメージがあり、原題よりは安っぽい印象がある。それよりは原題の方が「どういう意味だろう」と考えながら作品を観ることができ、始めはカーブの苦手なボーを指した言葉だと思いつつ、実は人生の曲がり角で問題を抱えるガスとミッキーをも指しているのか、と受け取れることもできる、なかなか含みのあるタイトルな気はした。ただ、日本語にするのは難しい。
いい作品ではあったが、リゴが登場してボーとフィリップをやり込める、というのはできすぎでご都合主義的ではあった。ボーのキャラクターが記号的で、人間味がないのは残念。彼にも何か救いを与えたほうが、作品としては味がよかった。

【5段階評価】4

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2020年6月22日 (月)

(2100) メカニック:ワールドミッション

【監督】デニス・ガンゼル
【出演】ジェイソン・ステイサム、ジェシカ・アルバ、サム・ヘイゼルダイン、トミー・リー・ジョーンズ
【制作】2016年、アメリカ、フランス

人質を救うために戦う殺し屋の活躍を描いたアクション作品。2011年の映画「メカニック」の続編。

殺し屋のビショップ(ジェイソン・ステイサム)のもとにジーナ(ジェシカ・アルバ)という女性が現れる。彼女はプノンペンで子どもの教育に携わる活動をしていたが、クレイン(サム・ヘイゼルダイン)に子どもを殺すと脅され、ビショップに殺しの依頼にやってきたのだった。ビショップはジーナを守ることにするが、クレインの一味に連れ去られてしまう。クレインは彼女の解放を条件に3人の暗殺をビショップに指示。ビショップはやむなく2人の殺害を実行。3人が世界に名を馳せる武器商人であり、クレインが世界制覇をもくろんでいることを知ったビショップは、3人目のターゲット、マックス・アダムス(トミー・リー・ジョーンズ)に取り引きを持ちかける。ビショップはアダムスを殺したと見せかけ、ビショップをおびき寄せる。アダムスの持つ潜水艦ドックでクレインの部隊を倒したビショップは、クレインの乗る船に乗り込み、ジーナを脱出ポッドで避難させると、クレインを倒す。ジーナはもとの仕事に復帰。そこにビショップが現れ、二人は再会を果たすのだった。

アクションは派手でかっこいい。高層ビルの屋上からせり出したプールの底を破壊してターゲットを殺すあたりは、ただのドンパチではない面白いギミック。ただまあ全体的には無敵の主人公が敵の雑魚キャラを無双するというよくある娯楽作品。リオデジャネイロやタイの海岸の映像は美しかった。

【5段階評価】3

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2020年6月21日 (日)

(2099) チャップリンの殺人狂時代

【監督】チャールズ・チャップリン
【出演】チャールズ・チャップリン、イソベル・エルソム、マリリン・ナッシュ、チャールズ・エバンズ
【制作】1947年、アメリカ

結婚詐欺で相手を殺害し続けていた男の運命を描いた作品。チャップリン映画だがコメディ性はほとんどなく、シリアスな作品。

元銀行員のアンリ・ベルドゥ(チャールズ・チャップリン)には愛する妻(メイディ・コレル)と息子(アリソン・ロダン)がいたが、その一方で、彼は巧みな弁舌で金持ちの女性と重婚し、財産を奪っていた。彼は知人から聞いた検出不能の毒薬の効果を試すため、街で見かけた若い女性(マリリン・ナッシュ)に声をかける。彼女は借りたタイプライターを質に入れた罪で3ヶ月投獄されていた。彼女の境遇を聞き、ベルドゥは毒を盛るのをやめ、彼女の再出発を支援するために金を渡す。
ベルドゥの捜査をしていた刑事(チャールズ・エバンズ)が彼の家にやってくるが、ベルドゥは妻に会ったら自供すると言って刑事とともに列車に乗り、刑事を毒殺。女性の財産狙いを続けようとするが計画はことごとく失敗。やがてナチスドイツが台頭し、ベルドゥは恐慌後、破産し、妻と息子を失う。失意のベルドゥは、かつて彼が支援した若い女性と再会。彼女は軍需工場の経営者と再婚して裕福になっていた。ベルドゥは運命の流れに身を任せることにし、逃走をやめ、警察に逮捕される。公判で彼は斬首刑を言い渡されるが、彼は、大量殺人兵器で商売をする者に比べれば自分はアマチュアだとうそぶく。死刑の決まったベルドゥは「殺人はビジネスだ。一人を殺せば悪党、100万人を殺せば英雄。数が罪を正当化する」と言い残し、処刑場に連れて行かれるのだった。

ターゲットの女性と二人でボートに乗り、おもりの付いたロープを女性の首に欠けて殺そうとするシーンでは、チャップリンらしいコミカルな演技が見られるが、そのほかのシーンは全体的にシリアス。実際の事件を映画にしたかのような比較的地味な展開。2時間以上あり、少々だるい作品だった。

【5段階評価】2

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2020年6月20日 (土)

(2098) アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ

【監督】パトリック・アレサンドラン
【出演】シリル・ラファエリ、ダビッド・ベル、ダニエル・デュバル、エロディ・ユン、フィリップ・トレトン
【制作】2009年、フランス

街を破壊して金儲けを企む政府高官と戦う刑事達の活躍を描いたアクション作品。「アルティメット」の続編。

秘密保安介入局のウォルター・ガスマン局長(ダニエル・デュバル)は部下に命じて、スラム化した13地区の住民が無抵抗の警官を撃ち殺すというねつ造動画を作らせる。それはガスマン局長の手下が、無実の警官を殺し、13地区に警官の死体をパトカーごと放置して13地区の住民を銃弾であおり、パトカーから警官が撃ってきたと勘違いした住民がパトカーに乱射する様子を撮影したものだった。13地区に住むレイト(ダビッド・ベル)は仲間から、警察が警察を撃ち殺す場面を収めた動画を託される。ガスマン局長は、介入を恐れて優秀な陸軍大尉ダミアン(シリル・ラファエリ)を不当逮捕させて投獄するが、ダミアンはレイトに連絡を入れ、レイトの協力により脱獄に成功する。ガスマンの悪事に気づいた二人は、13地区を治める実力者達を集め、政府の作戦本部に突入。ガスマンは大統領(フィリップ・トレトン)をそそのかし、13地区を爆撃させて更地を開発業者に明け渡すことで大金を得ようとしていたが、そこにダミアン達が現れ、ガスマンを捕らえる。大統領はダミアン達に感謝し、13地区の復興のリーダーにダミアンを指名するのだった。

オープニングでダミアンの潜入捜査での格闘シーンが出色の出来。2億ユーロのゴッホの絵画を守りながら次々と敵を倒す様子は、ジャッキー・チェンの作品のようだが、コミカルさよりクールさを強調し、それでいて楽しい。中盤の脱獄シーンも見応え十分。クライマックスでの作戦本部突入シーンは、味方の側の人数が多すぎて悪役側が雑魚化しすぎた感はあるが、大統領をいいヤツとして描くことで、大統領と13地区のボス達との連帯が清々しい感動を呼び、よかった。ただ、最終的に13地区の爆破を実行してしまったのは、せっかくのイキな解決を台無しにしているようで、ちょっと残念。
それにしても、ダサいサブタイトルは何とかならなかったのかと思う。

【5段階評価】4

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2020年6月19日 (金)

(2097) かごの中の瞳

【監督】マーク・フォースター
【出演】ジェイソン・クラーク、ブレイク・ライブリー、アーナ・オライリー、ウエス・チャサム
【制作】2017年、アメリカ

盲目の妻が視力を取り戻したことによる夫婦関係の変化を描いた作品。サスペンス映画と呼ぶか、恋愛映画と呼ぶか、判断が分かれる作り方になっている。

ジェームズ(ジェイソン・クラーク)は盲目の妻ジーナ(ブレイク・ライブリー)と結婚しており、二人は愛し合っていた。移植手術によりジーナの視力は回復するが、ジーナは初めて見る夫の顔や家の様子が思っていたのと違う、と表現し、ジェームズは妻の回復を喜びながらも戸惑いを禁じ得ない。ジェームズは妻を喜ばせようと新婚旅行で行った南スペインに向かい、ジーナの姉カーラ(アーナ・オライリー)と夫のラモン(ミケル・フェルナンデス)と対面。陽気なカーラ夫婦に会い、ジーナは次第に開放的な性格になっていく。
帰宅したジーナは、医者に指定されたステロイド剤の点眼を続けていたが、視力の低下を感じ、使っている目薬を医者(ダニー・ヒューストン)に調べてもらう。医者は新たに渡したサンプルの目薬を使うよう指示。果たして目薬には異常が認められた。ジーナは、犬を連れて公演に散歩に出かけ、知り合いのダニエル(ウェス・チャサム)に声をかけられ、肉体関係を持ってしまう。ジェームズは無精子症を患っていたにもかかわらず、ジーナは妊娠する。ジェームズはジーナがダニエルと関係を持っていたことを見抜く。
ジーナは再びジェームズの介添えなしには歩けなくなってしまうが、ジェームズはそれが本当なのか確信できない。二人はジーナが気に入った家に引っ越すが、ジェームズはジーナが医者からもらったサンプルの目薬を使っていることを発見。また、元の家に手紙が落ちていた。はっきりとは描かれていないが、おそらくジェームズは、ジーナが手紙を読んでいる、すなわち実は視力があり、見えない振りをしてジェームズの行動を見極めようとしていたことに気づいたのだろう。
ジェームズは、ジーナがオリジナル曲を歌う演奏会を鑑賞。ジーナは歌を歌いながらジェームズを見つめる。ジェームズは歌を最後まで聞くことができず、会場を飛び出して車を走らせる。泣きながら運転するジェームズは対向車線に飛び出し、トラックと衝突する。
一人、帰宅したジーナはジェームズが手紙を見たことを悟り、静かに結婚指輪を抜き取る。やがて、ジーナは子どもを産むのだった。

序盤から、何かが起こりそうな予感があり、ジェームズとジーナの関係に微妙なずれを描き続ける。おそらくジェームズは、目が見えず彼に依存していたジーナを愛していて、自立し、時に反発するジーナの目薬に細工をしたのだろう。しかし、そのシーンは描かれていない。そしてジーンは目が見えない振りをして夫の行動を伺っていたのだと思われるが、それも確証があるわけではない。相当部分を観客の判断に委ねる作り方になっている。最後にジーナが歌う歌も、ジェームズがジーナの愛情を信じなかったことを言い当て責めているのか、どうか自分を信じて欲しいと愛を伝えているのか、よく分からない。サスペンス映画として観ていた自分からすると、謎の予感をさんざん前振りしておきながら、結局決定的な事件は描かれずに終わってしまったのでフラストレーションが残った。一方で、二人の愛のすれ違いによる悲劇を描いたドラマだと観れば、また違った満足感があるのかもしれない。個人的には何度も書いてきたように、判断を観客に委ねる難解な作り方は好きではないので、序盤はとても映画らしい作り方だっただけに、「うーん、これで終わりかぁ」とちょっとがっかりした作品だった。一点、目の見えないジーナがぼんやりとした視界の中にきらめく光だけが見えているという映像は、眼の病気をしたことのある自分にとって、「そうそう、確かにこんなふうに見えるよな」というリアリティがあった。
本作はスターチャンネルの無料放送で視聴。画面の上下が黒いシネスコサイズの放送だったので、大画面で観ることで映画のように楽しめた。

【5段階評価】3

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2020年6月18日 (木)

(2096) 街の灯

【監督】チャールズ・チャップリン
【出演】チャールズ・チャップリン、バージニア・チェリル、ハリー・マイヤーズ
【制作】1931年、アメリカ

盲目の花売りの娘に恋する男の奮闘ぶりを描いたコメディロマンス作品。

除幕式を待つ彫像の上で眠っていた男(チャールズ・チャップリン)が、会場から追い出され、盲目の花売りの娘(バージニア・チェリル)に出会う。花売りは男が金持ちだと勘違いする。男は酔うと自殺癖が出る金持ちの男(ハリー・マイヤーズ)を助けたことから金持ちに感謝され、屋敷に招かれる。男は金持ちから車を借り、花売りの花を買い占めて彼女を家まで車で送る。しかし、金持ちはしらふになると男の記憶を失ってしまう。
花売りは男と会うことを心待ちするようになり、男もまた、彼女の生活を必死で支えるため、仕事に精を出す。しかし、娘に会うために遅刻を繰り返したため、仕事を首になり、ボクシングの選手の役を買って出る。しかし、八百長で賞金を山分けするはずが、対戦相手が追ってから逃げていなくなり、相手が急遽変更。新しい相手(ハンク・マン)は八百長に乗らず、ガチンコの戦いとなり、男は善戦するも敗れる。男は途方に暮れるが、偶然、金持ちの男に再会。事情を知った金持ちは男に1,000ドルを渡す。男は眼の手術代に、と娘に金を渡すが、男は金持ちの家に入った強盗と勘違いされ、投獄されてしまう。
出所した彼は、目が見えるようになり、花屋を開業した娘に再会。娘ははじめ、男に気づかないが、男の手に触れて彼が恩人であることに気づく。男は娘が視力を得たことを知り、喜ぶのだった。

ボクシングのコミカルな試合のシーンが有名。「チャップリンの黄金狂時代」や「モダン・タイムス」に比べると、笑いの要素は低め。酔うと男を思い出し、しらふではすっかり忘れるという金持ちの男のキャラクターも作り物めいていて、没入感が低かった。

【5段階評価】3

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2020年6月17日 (水)

(2095) PARKER/パーカー

【監督】テイラー・ハックフォード
【出演】ジェイソン・ステイサム、ジェニファー・ロペス、マイケル・チクリス、マイカ・ハウプトマン
【制作】2013年、アメリカ

強盗集団の仲間に裏切られた男の復讐劇を描いたバイオレンスアクション作品。

牧師に扮したパーカー(ジェイソン・ステイサム)は、仲間とともに祭りの券売所を襲い、大金を強奪。5人で移動中に、ボスのハーリー(ニック・ノルティ)は、奪った金を元手にさらに大きなヤマに手を出す計画をパーカーに持ちかけるが、パーカーは今回の分け前をもらうだけにすると拒否。ハーリーは仲間とともにパーカーを襲い、パーカーは走行中の車から飛び出して逃げるが、道路に倒れて動けなくなる。残った四人の中で最も下っ端のハードウィック(マイカ・ハウプトマン)が銃でとどめを刺し、道路下の水路に蹴落とす。
パーカーは瀕死の状態だったが何とか生き延びる。担ぎ込まれた病院から抜け出したパーカーは、強盗しての自らの美学に従い、ハーリーらから分け前を得るため、彼らの居場所であるパームビーチに向かう。金持ちに扮装したパーカーは、不動産業者に連絡をとり、家を買うふりをしてハーリーらの居場所を探す。担当者となったレスリー(ジェニファー・ロペス)は、パーカーが身分を偽装していることを調べ上げるが、自分の人生に絶望していたレスリーは、パーカーに協力を申し出、パーカーはそれを受け入れる。
ハーリーらはオークションに出される大量の方式を強奪する計画を立てていた。パーカーはハーリーらの住処に潜入し、彼らの武器に細工する。ところが計画の直前、パーカーは殺し屋に襲われ、胸をナイフで刺されるなど瀕死の重傷を負う。それでもパーカーは、ハーリーらの屋敷に向かう。ハーリーらの強盗は成功し、彼らは意気揚々と屋敷に戻ってくる。ところが、パーカーを心配してハーリーの屋敷にいたレスリーがハードウィックに見つかってしまう。ハーリーの屋敷に潜入していたパーカーはレスリーを助け、復讐を果たす。後日、レスリーには報酬として何百万ドル物大金が届くのだった。

ハリウッド作品らしい派手なアクション作品だが、中味はあまりない。パーカーを狙う殺し屋は、なぜか銃で襲わずナイフで斬りかかるものの、致命傷を与えられずに返り討ちに遭うし、ハーリーらは、パーカーの気配を感じながらもバラバラに行動して一人ずつ死んでいくし、的に魅力がないと作品全体も盛り上がらないのだった。
ちなみに、パーカーと言うと「ジャケット」みたいに服がタイトルになっているように聞こえるが、いわゆるフードの付いたパーカーは「parka」であり、主人公の名前がタイトルになった作品である。日本語だと「カイジ」みたいな感じか。

【5段階評価】3

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2020年6月16日 (火)

(2094) トレイン・ミッション

【監督】ジャウム・コレット=セラ
【出演】リーアム・ニーソン、ベラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、サム・ニール
【制作】2018年、アメリカ、イギリス、フランス

通勤電車で謎の女性から人捜しの依頼を受けた男の運命を描いたサスペンス作品。

元警察官で今は保険のセールスをしているマイケル・マコーリー(リーアム・ニーソン)は、家のローンや子どもの学費の負担を抱えるさなか、突然、解雇を言い渡されてしまう。帰宅する通勤電車に乗ったマコーリーは、ジョアンナ(ベラ・ファーミガ)と名乗る女性に話しかけられ、仮定の話だと断られながらも、「25,000ドルがトイレに隠されている。この電車に乗っているあなたの見知らぬ人物の鞄を見つけたらあと75,000ドルが手に入る」と告げられる。ジョアンナは電車を降りる。半信半疑のマコーリーだったがトイレを調べると確かに25,000ドルがあり、彼はそれを自分のバッグにしまいこんでしまう。それにより、ジョアンナの企てに強制的に巻き込まれる。途中の駅で妻の指輪を手渡され、家族に危険が及ぶことをほのめかされたマコーリーは、ジョアンナの命令に従い、終着駅で降りる人間を探し始め、一人一人、鞄の中味を問いかけていく。列車は終着駅に近づき、ついにマコーリーは一人の女性ソフィア(エラ=レイ・スミス)を見つける。彼女は自殺した市職員が警察官に殺されたことを知る重要人物で、FBIに身柄を確保してもらうために終着駅に向かっていたが、ジョアンナらはそれを阻止するため、マコーリーを使おうとしていたのだった。列車は運転士が車両に起きた爆発で死亡し、暴走し始める。マコーリーは車掌と協力して全員が乗っている最後尾車両を切り離し、列車はカーブで脱線するが、なんとか一命は取り留める。
事件はマコーリーが乗客を人質に籠城しているということにされてしまい、マコーリーの知り合いの警官、マーフィー(パトリック・ウィルソン)が列車に乗り込んでくるが、彼こそが市職員殺害の実行者だった。マーフィーは目撃者を探し出そうとするが、乗客が協力してマーフィーを撃退。マーフィーは結局、警察の狙撃犯に誤射され、命を落とす。マーフィーは警察官に復帰し、ジョアンナを発見するのだった。

原題は「The Commuter」で、まさに「通勤客」が主人公という作品。通勤電車に乗っている人の中から知らない人を探せ、というミッションだが、通勤電車に乗ってるのはふつう全員知らない人だろ、と思うのは日本の事情だろうか。
ジョアンナは、電車から降りているにもかかわらず、マコーリーの行動を細かく把握している。マコーリー同様、ジョアンナ自身も巨大な黒幕に操られる一人で、ほかにもそういう乗客がいるという設定ではあるが、マコーリーが新聞紙にこっそりとメッセージを書いて知り合いに忍ばせたことまで筒抜けになっており、「そこまで力があるのに、なんで目当ての人物を探すのだけ人頼みなの」というのが、なんだかよく分からない。
リーアム・ニーソン主演で、特撮にも迫力があったが、基本的な筋書きに対する納得感がなく、中途半端な作品だった。

【5段階評価】2

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2020年6月15日 (月)

(2093) チャップリンの黄金狂時代

【監督】チャールズ・チャップリン
【出演】チャールズ・チャップリン、ジョージア・ヘイル、マック・スウェイン
【制作】1925年、アメリカ

アラスカで金鉱を掘り当てた男の人生を描いたコメディ作品。革靴を煮て食べるシーンと、フォークを刺したロールパンを足に見立ててダンスを踊るシーンが有名。

序盤は山小屋でのドタバタシーン。ゴールドラッシュに沸くアラスカに来たチャーリー(チャーリー・チャップリン)は、雪山で指名手配犯のブラック・ラルセン(トム・マレイ)のいる山荘にたどり着く。そこにアラスカの雪山で金鉱を掘り当てたビッグ・ジム(マック・スウェイン)が現れる。ラルセンは食料を探しに外に出ていなくなり、ビッグ・ジムとチャーリーは山小屋でしばらくともに暮らす。
やがて二人は山小屋を出る。ビッグ・ジムは金鉱の場所に戻るが、ラルセンに襲われ、殴られたショックで記憶を失ってしまう。チャーリーは下山して、酒場で知り合ったジョージアに恋に落ちる。金鉱の場所を思い出せないビッグ・ジムは、酒場でチャーリーを見つけ、二人で雪山に戻って金鉱を発見。大金持ちになったチャーリーとジョージアは偶然に船で再会し、ハッピーエンドを迎えるのだった。

腹の減ったビッグ・ジムが、チャーリーを鶏と見間違えて襲おうとしたり、崖からおっこちそうになる山小屋でのドタバタなど、特撮も使ったコミカルなシーンが多い。ドリフターズのコントを彷彿とさせるが、当然、本作の方がずっと昔に作られているので、こちらが本家。ただ、ダンスのシーンのコミカルな動きなんかは、ただのアイディアマンというだけではなく、アクションもしっかりしているということ。未だに衰えないオリジナリティは素晴らしい。
なお、タイトルは「黄金狂時代」でもいいのだが、NHK BSプレミアムの「プレミアムシネマ」放映時のタイトルに合わせておいた。

【5段階評価】3

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2020年6月14日 (日)

(2092) ダ・ヴィンチ・コード

【監督】ロン・ハワード
【出演】トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、ポール・ベタニー、ジャン・レノ
【制作】2006年、アメリカ

キリストの聖杯の謎に絡む殺人事件に挑む学者の奮闘を描いたサスペンス。ダン・ブラウンの小説の映画化作品。

ルーブル美術館で、館長のジャック・ソニエール(ジャン=ピエール・マリエール)が、シラス(ポール・ベタニー)という銃を持った男に、ある物のありかを話すよう脅される。ソニエールはローズ・ラインのバラの下にあると告げるが、シラスに撃たれる。ソニエールは、レオナルド・ダ・ビンチの「ウィトルウィウス的人体図」を模した格好で死んでおり、ダイイング・メッセージを残していた。宗教学者のロバート・ラングドン(トム・ハンクス)は、フランスのファーシュ警部(ジャン・レノ)に呼ばれ、殺害現場にやってくる。ファーシュ警部は、ラングドンが犯人とにらんで逮捕しようとしていたのだが、そこに司法警察暗号解読官のソフィー・ヌブー(オドレイ・トトゥ)が現れ、ラングドンをファーシュ警部から引き離すと、自分がソニエールの孫だと告げる。ソフィーはラングドンに付けられた発信器を建物の外に投げ捨て、ファーシュ警部らが美術館の外に飛び出した隙に、美術館にソニエールが残した暗号の謎をラングドンとともに解き、絵の裏に隠された鍵を見つける。その鍵は銀行の金庫のものだった。金庫に収められていたのは、聖杯の地図を封印した箱、クリプテックスだった。それを手に入れた二人は、ラングドンの知人、リー・ティービング(イアン・マッケラン)のもとに向かう。ティービングは、聖杯とはカップではなく女性のことであり、キリストには妻のマグダラのマリアがおり、マリアは娘を身ごもっていたのだ、と説明する。そこにシラスが現れ、クリプテックスを奪おうとするが、ティービングがシラスの隙を突いて杖で攻撃し、シラスは捕らえられる。ティービングとラングドン達は、手がかりを求めてロンドンに渡る。シラスはティービングの執事レミー・リュガルテ(ジャン=イブ・ベルトロット)と共謀し、ティービングを裏切るが、レミーは実はティービングの手下であり、裏切られたのはシラスの方であった。シラスは警察に踏み込まれ、抵抗するが射殺される。リーはレミーを毒殺し、ラングドンとソフィーのもとに現れ、二人を銃で脅してクリプテックスの暗号を解いて箱を開けるよう強要する。ラングドンはクリプテックスを開けようとするが、できないと言って放り上げる。ティービングは慌ててクリプテックスをキャッチしようとするが、クリプテックスは落下。そこに警察が現れ、ティービングは逮捕される。ラングドンはクリプテックスの謎を解いていた。鍵となる球体とは、ニュートンが万有引力を発見するきっかけとなったAPPLEだった。中にあった鍵を手がかりに、二人はイギリスのロスリン礼拝堂に向かう。地下に残された新聞記事から、ソフィーがソニエールの実の孫ではなく、キリストの子孫として育てられていたことが判明。地下から二人が戻ると、ソフィーを守護してきた人々が集まっていた。ソフィーは彼らに歓迎される。ラングドンはソフィーと抱き合い、別れる。ラングドンはひげを剃りながら、改めてソニエールの残したメッセージについて考え、ルーブル美術館に戻る。キリストの妻、マグダラのマリアの娘の棺は、ルーブル美術館の地下に収められているのだった。

歴史的な建造物や美術品を使った映像には迫力があり、見応えはあるものの、オプス・デイやマグダラのマリアなど、キリスト教の知識がないと登場人物の行動の動機や人間関係が分かりづらい。そのせいもあるだろうが、殺人の必然性にはあまり納得感がなかった。
ちなみに本作は、ちゃんとフランス人同士はフランス語で話しており、リアリティに配慮している点はよかった。
ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演と言えば、「スプラッシュ」や「アポロ13」があり、これらもお勧め。

【5段階評価】3

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2020年6月13日 (土)

(2091) ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

【監督】エドワード・ズウィック
【出演】トム・クルーズ、コビー・スマルダーズ、ダニカ・ヤロシュ、パトリック・ヒューシンガー
【制作】2016年、アメリカ

元米軍少佐が軍の汚職に巻き込まれた助成少佐とともに事件の回目に挑むサスペンスアクション。「アウトロー」の続編。

元米軍少佐のジャック・リーチャー(トム・クルーズ)は、知人の陸軍憲兵隊少佐のスーザン・ターナーに会おうとするが、彼女はスパイ容疑で逮捕されてしまう。彼女の弁護を担当するモアクロフト大佐(ロバート・カトリーニ)に話を聞きに行くと、ジャックとの間に娘がいると主張している女性がいることを知らされるが、ジャックには身に覚えがなかった。モアクロフト大佐から、ターナーの部下2名がアフガンで殺されていることを聞かされたジャックだったが、ターナーの後任のモーガン大佐に逮捕されてしまう。ターナーも殺されると確信したジャックは、ターナーを救い出し、収監場所から脱出。二人を追う殺し屋(パトリック・ヒューシンガー)を何とか撃退し、二人はジャックの娘だという少女、サマンサ(ダニカ・ヤロシュ)に会いに行く。そこにも殺し屋の手は伸びていたが、サマンサは無事だった。サマンサをニューオーリンズのホテルに隠し、アフガンの事件の関係者、プルドムから事情を聞いた二人は、軍需企業パラソース社の悪事を暴くために空港へ。武器の横流しをしているとにらんだターナーだったが、武器は実際に貨物の中にあった。その場を指揮していたジェームズ・ハークネス将軍(ロバート・ネッパー)を犯人呼ばわりしたターナーは立場がなくなり、逮捕されそうになるが、ジャックがその武器の中にアヘンが隠されていることを見抜き、将軍は逮捕される。殺し屋はジャックへの個人的な闘争心から、サマンサをさらってジャックを脅すが、ジャックは殺し屋を返り討ちにする。
サマンサはジャックが本当の父親ではないことを知って寂しがり、別れ際にジャックの胸に飛び込む。ジャックはサマンサを抱きしめ、彼女のもとを去る。しかし彼のポケットには、サマンサが忍ばせた携帯が入っており、早速「miss me yet?」(もう寂しくなった?)とメッセージが入るのだった。

ジャック・リーチャーのアクションと機転が魅力的。トム・クルーズがクールに演じていて、スカッとするアクション映画。
本作のオープニングでは、ジャック・リーチャーが大勢を喧嘩で打ちのめした後、ダイナーで保安官に手錠をかけられるものの、「今から90秒以内に二つのことが起きる。店の電話が鳴り、保安官に手錠がかかる」と不敵に予言し、それが現実となるという魅力的なシーンがある。本作の予告編でも使われていて、ジャック・リーチャーの底知れぬ能力を示す有名シーンだ。しかしあろうことか、本作を放映したBS-TBSの「火曜デラックス」は、このシーンをカットしていた。加えて放映は吹替版のみ。どうして今どき、吹き替え版しか流さないんだろう。BSテレ東が「シネマクラッシュ」や「水曜映画館」を二カ国語字幕ありで放送するようになって喜んでいたが、新たな残念映画番組の誕生だ。

【5段階評価】4

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2020年6月12日 (金)

(2090) アメリカン・グラフィティ

【監督】ジョージ・ルーカス
【出演】リチャード・ドレイファス、ロン・ハワード、ポール・ル・マット、チャールズ・マーティン・スミス、シンディ・ウィリアムズ
【制作】1973年、アメリカ

高校生最後の夜を過ごす若者達を描いた青春映画。

取り立てて筋はない。大学に進学するか悩むカート(リチャード・ドレイファス)は不良にからまれる。借りた車で道を歩く女子(キャンディ・クラーク)をナンパしたテリー(チャールズ・マーティン・スミス)は、酒を買うのに苦労する。ローリー(シンディ・ウィリアムズ)と付き合っているスティーブ(ロン・ハワード)は、交際を続けるかどうか悩む。ナンパのつもりが13歳の少女(マッケンジー・フィリップス)を押しつけられた腕っ節の強いジョン(ポール・ル・マット)は町の男(ハリソン・フォード)にカーレースを挑まれる。それぞれがなんてことはない、でも忘れられない一晩を過ごす。

観る者それぞれが、自分の若い頃と重ね合わせて楽しむ作品。記憶に残る一作ではあるが、この先なにがおきるのか、というわくわく感があまりないので、正直、退屈だった。
監督のジョージ・ルーカスが、世界で最も有名な映画と言ってもいい名作「スター・ウォーズ」を世に送り出すのは、本作公開の4年後である。当時無名の若きハリソン・フォードが本作に出演しているのは面白い縁だ。

【5段階評価】3

 

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2020年6月11日 (木)

(2089) 帝一の國

【監督】永井聡
【出演】菅田将暉、竹内涼真、間宮祥太郎、野村周平、永野芽郁、千葉雄大、吉田鋼太郎
【制作】2017年、日本

古屋兎丸の漫画の実写映画化作品。生徒会長を目指して戦う高校生の姿を描いている。

厳しい父親(吉田鋼太郎)に育てられた赤場帝一(菅田将暉)は、腹心とも言える榊原光明(志尊淳)を味方に、海帝高校の生徒会長を目指す。幼い頃からのライバル、東郷菊馬(野村周平)は卑怯な手で帝一を引きずり下ろそうとする。また、外部進学の大鷹弾(竹内涼真)は生徒会長選に興味はないものの、その人柄のよさから人望を集めていた。帝一は、二年生の生徒会長選で森園億人(千葉雄大)を推し、森園が生徒会長となる。翌年、帝一は大鷹、東郷との選挙戦に挑む。東郷は人望がなく、選挙は大鷹と帝一の一騎打ち。東郷は、自分の票を帝一に入れ、締切ギリギリで大鷹に寝返り、帝一を突き落とす作戦に出るが、それを察知した光明は帝一に伝え、帝一は自ら大鷹に投票することで、勝ちを譲った形を取る。彼の総理大臣への夢は続くのだった。

全編を通して口角泡を飛ばす、くどい台詞回しとアクション。帝一と父親の濃すぎるやりとりが見所か。現実的ではないし、男子校だから男ばかり登場する汗臭い作品だが、それでも何となく楽しめてしまうのは、菅田将暉の役に徹する演技力と、キャラクターの分かりやすい性格設定に依るところが大きい。漫画を原作にした作品としては成功した部類だろう。

【5段階評価】3

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2020年6月10日 (水)

(2088) 8年越しの花嫁 奇跡の実話

【監督】瀬々敬久
【出演】佐藤健、土屋太鳳、薬師丸ひろ子、杉本哲太、北村一輝、浜野謙太、堀部圭亮
【制作】2017年、日本

300万人に一人と言われる脳障害に見舞われた女性と、その婚約者の愛の絆を描いた作品。

合コンで知り合った尚志(ひさし)(佐藤健)と麻衣(土屋太鳳)は付き合った末に婚約し、麻衣のお気に入りの結婚式場を予約する。ところが麻衣は、300万人に一人という脳の病気を患い、昏睡状態に陥る。尚志は意識の戻らない麻衣にメールで動画を送り続け、看病を続ける。麻衣の父(杉本哲太)と母(薬師丸ひろ子)は、尚志に麻衣を忘れていいんだと告げるが、尚志は自らの意志で看病を続け、そして2年後、麻衣は奇跡的に目を覚ます。障害の残った状態から徐々に回復する麻衣だったが、麻衣に尚志の記憶はなかった。麻衣は献身的に看病する尚志に答えようと記憶を取り戻そうとするが、記憶は戻らない。ついに尚志は、苦しむ麻衣を見かねて別れを告げ、一人で小豆島に移り住む。ようやく帰宅した麻衣は、自分の携帯電話を手にするが、暗証番号が分からない。母親とショッピングに行った帰り、彼女を結婚式場のウェディングプランナー(中村ゆり)が見つけ、声をかける。彼女は麻衣に、尚志が、いつ麻衣が起きてもいいように、二人が出会った記念日の3月17日に結婚式場を予約し続けていたことを伝える。麻衣は自分の携帯に「0317」と暗証番号を打ち込む。そこには526通に及ぶ尚志のビデオメールが届いていた。麻衣は尚志の暮らす小豆島に渡り、記憶は戻らないが、もう一度尚志を好きになった、と告白。二人は晴れて挙式し、子どもを授かるのだった。

ベタなお涙ちょうだい映画と言えばそれまで。でもやっぱ感情を揺さぶられた。納言的には「病気の回復はせこいよ」である。
暗証番号を打ち込む辺りから涙腺崩壊。個人的に佐藤健はあまり好きな俳優ではなく、彼が演じる主人公もちょっといい人過ぎて現実味に欠けたりはするんだが、その抑制的な演技が、「涙そうそう」でわんわんなく妻夫木聡とは違い、ぐっとくる涙を誘うのだった。
それにしても堀部圭亮は医師役の頻度が多い。医師役以外で映画に出ている印象がほぼない。堀部圭亮か鶴見辰吾か、という感じ。個人的には「催眠」で死を選ぶ新郎役の印象が強かったりするんだが。

【5段階評価】4

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2020年6月 9日 (火)

(2087) カンフー・ヨガ

【監督】スタンリー・トン
【出演】ジャッキー・チェン、ディシャ・パタニ、ソーヌー・スード、アーリフ・リー、レイ、ムチミヤ
【制作】2017年、中国、インド

古代の王の宝の争奪戦に巻き込まれる考古学者の活躍を描いたアクション・コメディ作品。

中国の考古学者ジャック(ジャッキー・チェン)のもとに、インドの美女、アスミタ博士(ディシャ・パタニ)が現れ、マガダ国が遺したとされる財宝の地図を示す。ジャックは助手のシャオグァン(レイ)とヌゥオミン(ムチミヤ)、トレジャーハンターの甥ジョーンズ(アーリフ・リー)を連れて、地図の示す雪山へ向かい、宝を探し当てる。そこにマガダ国の末裔ランドル(ソーヌー・スード)が現れ、宝を強奪しようとするが、ジョーンズは貴重なダイヤの装飾品を守り抜く。
ジョーンズは、ドバイのオークションにダイヤを出品。ジャックは知人に競り落とさせるが、そこにランドルの一団が現れ、ダイヤを奪う。カーチェイスの末、一度はジョーンズがダイヤを取り返すが、バイクに乗ったアスミタがそれを奪って消える。
ジャックたちはインドに向かい、アスミタに再会。彼女はマガダ国の王族の子孫だった。ダイヤの装飾品はさらなる王家の財宝のありかを示す鍵となるものだった。ランドルはジョーンズと、アスミタの妹カイラ(アミラ・ダスツール)を人質にとり、ジャックに王家の財宝を探し出すよう脅迫。彼らは「レイダース 失われた聖櫃」ばりに(作中でも「インディ・ジョーンズみたい」というセリフがある)迷宮の謎を解き、ついに黄金の財宝にたどり着く。宝を独占しようとするランドルと、みんなの資産だと主張するジャックとアスミタは取っ組み合いとなるが、そこにインドの僧侶達が大勢現れ、ランドルの野望が潰えたところでハッピーエンド。インド映画のような大勢のダンスで幕を閉じる。

公開当時63歳のジャッキーだが、アクションは楽しく、若手の俳優も混ぜることでキレのある映像になっている。ジャッキー・チェンが60歳前後になってからの作品では、「ダブル・ミッション」のように、彼の生身のアクションに魅力を委ねすぎた結果、どうしても往年のキレに比べてもったり感が出ていたり、逆に「ライジング・ドラゴン」のように、彼の演技より設定の奇抜さで新規性をカバーしようとして「もはやジャッキーじゃなくていいんじゃ」になったりしていたが、本作は、CGも使いながら、作品全体でアクションの魅力を表現していた。
カーチェイスの車の中にライオンが乗っていたり、必然性がよく分からない設定もあるが、女性も男ども相手に奮闘したりする辺りは、ボリウッド版の「プロジェクト・イーグル」といった感じで、どこかで見たようなシーンの連続ではあったが、期待より面白かった。

【5段階評価】4

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2020年6月 8日 (月)

(2086) モダン・タイムス

【監督】チャールズ・チャップリン
【出演】チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード、アラン・ガルシア、ヘンリー・バーグマン
【制作】1936年、アメリカ

工場の作業員として働いている男と身寄りのない少女が出会い、ともに歩んでいく様子を描いたコメディ。

おっちょこちょいな工場作業員の男(チャールズ・チャップリン)は、単純作業の繰り返しで頭がおかしくなり、病院送りに。退院したところを、共産主義のデモのリーダーと間違われて逮捕される。男は麻薬密売人の薬を誤って口にし、ハイになったおかげで、暴動を起こした囚人を打ちのめし、刑務所の役人に感謝される。仕事の紹介状を手に入れて釈放されるが、ドジばかりで仕事はうまく行かない。
父親を失った少女(ポーレット・ゴダード)は、配達中のパンを盗んで逃げようとするが、配達人に捕まってしまう。そこに居合わせた作業員の男が彼女の身代わりになる。男は逮捕されるが、少女も捕まってしまう。二人は護送中の車から脱走し、共同生活を始める。少女はレストランの踊り子として名を挙げる。少女は色のない男にレストランの仕事を紹介。男は見事な歌で客を魅了。店主(ヘンリー・バーグマン)は喜ぶ。少女の脱走がばれて二人は逃げ出すが、手を取り合って未来に歩み出すのだった。

チャップリンの最も有名な代表作だろう。工場の歯車の間を男がながされていくシーンや、手を繋いだ男と少女が道路を歩いて行くシーンなど、印象的で有名なシーンの多い作品。落下すれすれのところでローラースケートをするシーンがよくできている。
本作はセリフがシーンの合間に文字で出るのだが、一部のセリフや歌は映像に乗って流れたりして、サイレントとトーキーの過渡期のような作りになっている。

【5段階評価】3

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2020年6月 6日 (土)

(2085) 暗殺教室 ~卒業編~

【監督】羽住英一郎
【出演】山田涼介、二宮和也、菅田将暉、成宮寛貴、桐谷美玲、山本舞香
【制作】2016年、日本

松井優征原作漫画の実写映画化作品、「暗殺教室」の続編。

謎の生物、殺せんせー(二宮和也)が中学校の3年E組の教師として赴任し、半年が経過。殺せんせーはかつて死に神という暗殺者で、人体実験により今の姿になったという過去が明かされる。彼が先生になったのは、実験台になっていた彼の世話をしていた女性教師、雪村あぐり(桐谷美玲)が死の間際に彼に3年E組の担任になってほしいと願ったからだった。彼を実験台にしていた柳沢誇太郎(成宮寛貴)は、自らも超生物となり、殺せんせーに挑みかかるが、彼をかばおうとした茅野カエデ(山本舞香)を攻撃した柳沢に殺せんせーは激怒し、柳沢を吹き飛ばす。
殺せんせーは、カエデに手術を施し、カエデを回復させるが体力を消耗して瀕死の状態になる。殺せんせーは、自分を殺すよう生徒達を促し、潮田渚(山田涼介)が代表して殺せんせーにナイフを突き立てる。殺せんせーの体は光となって消える。将来の夢を持ち得なかった渚は、先生になる夢を叶えるのだった。

殺せんせーの出自が明らかとなり、前作よりはストーリー性が出たものの、大人が楽しめる作品とは言いがたかった。教師愛を描いた作品とも言えるが、こういう形で表現する必要もないし、やはり自分を殺しなさいだのというセリフは、聞いていて心地いいものではなかった。

【5段階評価】2

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2020年6月 5日 (金)

(2084) 500ページの夢の束

【監督】ベン・リューイン
【出演】ダコタ・ファニング、トニ・コレット、アリス・イブ、リバー・アレクサンダー
【制作】2018年、アメリカ

スター・トレックの脚本コンテストに執心する自閉症の少女の冒険を描いた作品。

グループホームで暮らし、就業経験をしているウェンディ(ダコタ・ファニング)は、曜日ごとに着るセーターの色を決め、規則的な生活を送る訓練をしていた。彼女はスター・トレックの大ファンで、ファン向けの脚本コンテストに応募するため、500ページ近い脚本を書き上げる。ところが、面会に来た姉オードリー(アリス・イブ)と、彼女の家に帰ることができるかどうかで口論になってパニック状態になってしまい、脚本の投函をしそびれ、日曜と祝日を挟んだ3日後の2月16日17時の提出締切に間に合わせることができなくなってしまう。ウェンディは日曜早朝にグループホームを抜け出し、ペット犬のピートとともに提出先のパラマウント・ムービーのあるロサンゼルスを目指す。ところがペット禁止のバスに乗ったために途中で降ろされ、子連れの若いカップルに持ち金をとられ、雑貨屋の店員にお金をぼったくられそうになって老婦人に助けてもらったまではよかったものの、乗ったバスの運転手の居眠り運転で事故に巻き込まれ、病院に運ばれてしまう。
ウェンディの世話をしていたスタッフのスコッティ(トニ・コレット)は、ウェンディが見つかったという報せを病院から受け、反抗期の息子サム(リバー・アレクサンダー)を乗せて病院に向かう。姉のオードリーも駆けつけるが、ウェンディは脚本を提出したい一心で病院を抜け出してしまっていた。お金のないウェンディはバスのチケットが買えず、ちゃっかりバスの腹にある荷物を載せるスペースに入り込み、ロスに到着。パラマウント・ムービーを探して町なかをさまよっているところを警察に保護される。スコットとオードリーは、ようやくウェンディと対面。スコットの車でパラマウント・ムービーに到着する。締切の十数分前に提出先の係員にたどり着いたウェンディだったが、係員は消印がないと駄目だ、と冷たくあしらう。ウェンディは怒り爆発でタンカを切り、投函口に原稿を投げ込んでその場を立ち去る。
ウェンディはこの大冒険で自信が付き、オードリーもウェンディの非凡な才能と精神力を認める。応募した作品の入賞はならなかったものの、主催者からは、これからも執筆を続けてほしいという激励の手紙が届く。また、オードリーもウェンディを家に呼ぶ手紙を書き、ウェンディは慣れない手でオードリーの赤ちゃんルビーを抱き、姉に寄り添うのだった。

ロードムービー風の展開で、お金は盗まれるし、原稿はまき散らすし、この先どうなるのか、とハラハラするが、ウェンディはパニックにならないよう、グループホームでの教えをかみしめるようにして自分を落ち着かせ、状況を打開していく。脚本が優勝するとか、それこそ映画のような劇的な展開にならず、ほのかな少女の冒険だが、本人にとっては未知の世界に大胆な一歩を踏み出しており、スター・トレックを素材に使っている辺りはうまい演出だった。

【5段階評価】3

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2020年6月 4日 (木)

(2083) デューン/砂の惑星

【監督】デビッド・リンチ
【出演】カイル・マクラクラン、フランチェスカ・アニス、スティング、ケネス・マクミラン、ホセ・ファーラー
【制作】1984年、アメリカ

砂漠の惑星の資源と支配権を巡る争奪戦を描いたSF作品。

メランジという万能のスパイスがとれる砂の惑星アラキス。シャダム4世(ホセ・ファーラー)から巨大な砂蟲が住む、その星の支配を任されたレト・アトレイデス公爵(ユルゲン・プロホノフ)は、息子ポール(カイル・マクラクラン)とその母ジェシカ(フランチェスカ・アニス)とともに赴任。一方、ハルコネン男爵(ケネス・マクミラン)は、レトの殺害を計画。アラキスはハルコネン部隊の襲撃を受ける。レトの家臣であったユエ(ディーン・ストックウェル)の裏切りにより、レトは毒矢を打たれて致命傷を負うが、ユエはハルコネン男爵への恨みから、レトの歯に毒を仕込み、ポールとジェシカを助ける代わりに接近したハルコネンを殺すよう暗示をかける。基地から脱出したポールとジェシカは飛空艇で脱出するが、砂漠の岩場に不時着。巨大な砂蟲を逃れて岩場を登ると、原住民のフレメンの一団に遭遇する。ポールは声を操る技をフレメンに伝授。堅い鉱石を破壊し、砂蟲を操る技術を手に入れるに至る。彼らはスパイスの採掘場をことごとく破壊。ハルコネン男爵の右腕、フェイド(スティング)との果たし合いに勝利したポールは、アラキスの制覇を宣言。神の力により、アラキスに雨を降らせるのだった。

壮大なSF小説の映画化作品で、宇宙船や衣服などの造形が面白い。特撮技術も、この時代にしてはお金をかけているだけあって、よくできている。公爵の屋敷が割と木造と鋳造物っぽいのも、未来の建物といえば何かとメタリックだったり白っぽかったりするのに比べて、なるほどこういう感じか、と興味深かった。
内容的には、精神世界を描く抽象的な場面など、シーンの意味するところが分かりづらいところが多かった。独白を登場人物のアップと声で表現するシーンが多用されているのが特徴的。
世界観を気に入り、のめり込めると面白い作品だと思うが、個人的にはその価値は感じなかった。

【5段階評価】3

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2020年6月 3日 (水)

(2082) アンフォゲッタブル

【監督】デニーズ・ディ・ノビィ
【出演】ロザリオ・ドーソン、ジェフ・スタルツ、キャサリン・ハイグル、シェリル・ラッド、イザベラ・ケイ・ライス
【制作】2017年、アメリカ

愛する男性の元妻からの嫌がらせを受ける女性の運命を描いたサスペンス作品。スリラーと紹介されていたが、身の毛もよだつ恐怖を描いている訳ではなかった。

キャリア女性のジュリア・バンクス(ロザリオ・ドーソン)は、仕事をやめて、愛するデビッド・コノーバー(ジェフ・スタルツ)とともに暮らすことにする。デビッドは元妻のテッサ(キャサリン・ハイグル)と離婚し、一人娘のリリー(イザベラ・ケイ・ライス)の親権を獲得していたが、テッサはたびたびジュリアとデビッドの暮らす家に現れては、子育てのことに文句を付ける。テッサの母親、ヘレン(シェリル・ラッド)もしつけに厳しい性格で、ジュリアに冷たい眼を向けていた。
テッサはデビッドとの復縁を望んだが、デビッドにその気がないことを知ると、ジュリアに逆恨み。ジュリアがかつて、マイケル・バルガス(サイモン・カシアニデス)という男性からDVを受け、彼の接近禁止が解ける状況にあることを調べ上げ、ジュリアのFacebookアカウントを作成し、マイケルに会いたいというメッセージを送る。その気になったマイケルは、ジュリアの家に向かうが、ジュリアはナイフを彼の脚に立て、逃走。その様子を外から見ていたテッサは、ジュリアの家に入り、マイケルの胸にナイフを突き立て、殺害する。
警察はジュリアの犯行と思い込み、デビッドもそれを信じかけるが、リリーに会いにテッサの家に向かう。そこにはなくなったはずのジュリアの結婚指輪をはめ、暖炉で衣服を焼いているテッサがいた。それを見てマイケルは全てを悟り、リリーを家から連れ出そうとするが、テッサは火かき棒でマイケルの頭を殴り、マイケルは昏倒する。警察の取り調べから解放されたジュリアはテッサの家に向かい、倒れているデビッドを発見。テッサはジュリアにもナイフを振りかざして襲いかかるが、窓ガラスに映った自分の姿を見て我に返る。ジュリアはとっさにナイフを奪ってテッサに向ける。テッサはジュリアを抱きしめるようにして自らナイフに自分の体を預け、自分の姿をリリーに見せないで、とジュリアに頼み、息を引き取る。
ジュリアとデビッドは無事に結婚し、リリーと幸せに暮らすことになる。そこに呼び出しのベルが鳴る。現れたのはテッサの母、ヘレンだった。ヘレンはジュリアに冷たい一瞥を投げかけると、テッサと同じようにリリーに優しい言葉をかけるのだった。

特にどんでん返しはなく、テッサがそのまんま嫌がらせをし、特に隠すでもなくデビッドにバレ、警察の誤解も解けるという展開。俳優が日本で有名というわけでもなく、日本未公開なのも無理ないところ。この手の作品では、夜中に不審な物音に気づいた主人公が、恐る恐るキッチンに向かうと、ギャーッ、みたいなのが多いが、本作はそういう怖がらせ方はあまりしないのはよかった。デビッドも、後半でこそジュリアの行動を不審がるものの、全体的にはジュリアを信じ、彼女を愛する姿勢を貫いていたので、その意味でも救いがあった。

【5段階評価】3

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2020年6月 2日 (火)

(2081) モアナと伝説の海

【監督】ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー
【出演】アウリイ・クラバーリョ(声)、ドウェイン・ジョンソン(声)、テムエラ・モリソン(声)
【制作】2016年、アメリカ

島の平和を取り戻すために海を渡る少女の冒険を描いた3DCGアニメ作品。

モトゥヌイ島の村長の娘、モアナ(アウリイ・クラバーリョ)は、珊瑚礁の先の世界を夢見ていた。島の近海で魚が捕れなくなり、モアナは祖母タラ(レイチェル・ハウス)の導きにより、父親(テムエラ・モリソン)の教えを破り、大海に出る。平和を取り戻すためには、かつて英雄マウイ(ドウェイン・ジョンソン)が女神テ・フィティから奪った、緑色に光る心を、女神に返す必要があった。モアナは流れ着いた小島でマウイに出会う。マウイとモアナは、海の底に住む巨大ヤシガニ、タマトア(シェマイン・クレメント)の住処に向かい、マウイに姿を変える能力をもたらす、神の釣り針を取り返す。二人はテ・フィティの島に向かうが、溶岩の魔人テ・カァに行く手を阻まれる。打ちのめされたマウイはモアナのもとを去ってしまうが、モアナは祖母の霊に励まされ、単身でテ・カァに立ち向かう。襲いかかるテ・カァの魔の手がモアナに伸びたとき、空からマウイが現れ、モアナを助ける。モアナは怒り狂うテ・カァこそがテ・フィティであることに気づき、テ・カァに緑の心を掲げる。テ・カァはテ・フィティに変化し、島は緑に覆われる。モアナはモトゥヌイに帰り、家族や村人の祝福を受けるのだった。

ヤシガニのくだりはちょっととってつけたような感じだったが、島の世界観や文化が楽しいデザインで描かれ、登場人物は少ないものの、感動的な作品になっていた。頭のネジの足りない鶏、ヘイヘイは、どこで知恵を発揮するのか、と思ってみていたら、クライマックスで海に落っこちそうになった心を嘴でつまんで救うだけの活躍だった。絶世の美女ではない、いわゆる有色人種のヒロインの造形は「リロ・アンド・スティッチ」に少し似ていたが、「リロ・アンド・スティッチ」に比べると、ヒロインがしっかりヒロインとしての魅力にあふれており、ディズニーらしい作品だった。

【5段階評価】4

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2020年6月 1日 (月)

(2080) ザ・メキシカン

【監督】ゴア・バービンスキー
【出演】ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、ジェームズ・ガンドルフィーニ、ボブ・バラバン
【制作】2001年、アメリカ、メキシコ

伝説の拳銃を奪い合う人々の起こす騒動を描いた作品。アクション、コメディ、恋愛、ロードムービーなどの要素がごちゃまぜになっている。

犯罪組織の下っ端のジェリー・ウェルバック(ブラッド・ピット)はドジばかりしており、上司のネイマン(ボブ・バラバン)から、ボスのマーゴリースのために、メキシコにある拳銃を取りに行く仕事を与えられる。ジェリーは恋人のサマンサ(ジュリア・ロバーツ)とラスベガスに挙式に行く約束をしていたため、サマンサは激怒。ジェリーを置いて一人でラスベガスに向かう。ジェリーは拳銃を手に入れることに成功するが、拳銃を車ごと盗まれてしまい、途方に暮れる。一方、サマンサは謎の黒人に襲われるが、そこに太った白人が現れ、サマンサを連れ出す。彼は拳銃が目当てで、サマンサを拉致していた。男はリロイと名乗る。彼はゲイでサマンサに優しく、ジェリーと別れたというサマンサに対して、我慢に限界はないから優しいジェリーと仲直りするよう声をかけ続ける。リロイはサマンサを連れてメキシコに飛び、車を盗んだメキシコ人から拳銃を取り戻したジェリーと合流。サマンサとジェリーは口げんかが絶えず、怒ったジェリーは車を暴走させ、あわや大事故。あきれたサマンサは車を降りてしまう。拳銃が車に積まれていることを確認したリロイは、タイヤをはずす作業をしているジェリーの背中に銃を向けるが、通り過ぎる車を気にして銃を下ろし、自らタイヤの交換を申し出る。今度はジェリーがリロイに拳銃を向ける。リロイは振り向きざまにジェリーに銃を向けるが、ジェリーがリロイを撃ち殺す。銃声に気づいて戻ってきたサマンサは、撃ったジェリーを責めるが、ジェリーは、本物のリロイは黒人だ、こいつは偽物だ、と告げる。男のパスポートにはウィンストン・バルドリーという名があった。
拳銃を持ってホテルに戻ったジェリーとサマンサだったが、何者かが接近していることを察知。サマンサが銃を隠し持ち、ジェリーが外に出るが、車を盗んだメキシコ人に身柄を拘束されてしまう。連れられた先にはボスのマーゴリース(ジーン・ハックマン)がいた。彼は伝説の拳銃を、本来の持ち主に返すために、拳銃を求めていたのだと説明。ジェリーは納得して、拳銃を返すことにする。ところがネイマンがマーゴリースを裏切り、拳銃を手に入れるため、サマンサを車のトランクに閉じ込めていた。ネイマンはジェリーに銃を向け、拳銃を渡すよう命じるが、ジェリーはサマンサが知っていると伝える。ネイマンがトランクを開けると、サマンサが伝説の拳銃をネイマンに向ける。弾は出ないと思われたが奇跡が起き、銃弾はネイマンの喉を貫き、ネイマンは倒れる。拳銃はメキシコ人が持ち帰り、ジェリーとサマンサは帰路に就くのだった。

かつて銃職人の男が娘を貴族に嫁がせるために貢ぎ物として作った拳銃、メキシカン。しかし娘は職人の弟子の男と相思相愛。貴族の男は娘が弟子に恋をしていると知り、撃ち殺そうとするが、娘はとっさにメキシカンを手に取り、貴族に向ける。弟子は娘が殺されると確信し、銃を下ろすように説得。娘は仕方なく銃を下ろすが、それを見た貴族は弟子を撃ち殺してしまう。娘はメキシカンを自らのこめかみに当て、引き金を引く。貴族が何度引き金を引いても弾が出なかったにもかかわらず、メキシカンは火を噴き、娘は死んだ。この曰く付きの銃を、サマンサが引き金を引いて再び火を噴いた、というのが、本作のハイライトではあるのだが、なんだかよく分からない物語だった。
いろいろな人間が登場し、賑やかで楽しい雰囲気はあるのだが、主人公の周辺の連中の行動の動機が不明。目的が何かよくわからないし、行動が悠長で必然性に欠けていた。太った白人の殺し屋ウィンストンは、なぜサマンサにリロイと名乗ったのか。なぜ背を向けているジェリーを撃ち殺さず、彼に背を向けたのか。いかにも脇役っぽい行動だった。

【5段階評価】2

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