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2020年2月28日 (金)

(2016) バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)

【監督】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
【出演】マイケル・キートン、エドワード・ノートン、エマ・ストーン
【制作】2014年、アメリカ

落ちぶれた映画俳優がブロードウェイの芝居に挑む苦闘を描いた作品。第87回アカデミー賞作品賞受賞作品。

ブロードウェイの芝居に挑むリーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、かつて「バードマン」というヒーローものの作品で有名になった俳優。現在は妻のシルビア(エイミー・ライアン)と別れ、娘のサム(エマ・ストーン)は薬物依存と格闘中。決して幸せとは言えない人生を歩んでおり、彼は常日頃から、自分自身の内なる声と戦っていた。彼は俳優を目指すきっかけとなったレイモンド・カーバーの小説を舞台で演じることにしたのだが、リハーサルの事故により、出演者の一人が負傷したため代役が必要となり、癖のある俳優、マイク(エドワード・ノートン)が採用される。彼はプレビュー公演で騒ぎを起こし、プレビューは台無し。最終のプレビュー公演では、リーガン自身が、出演の合間に外でたばこを吸おうとしたところ、劇場と外を隔てる扉が閉まって戻れなくなり、挟まったガウンを脱ぎ捨て、白ブリーフ一枚で街なかを歩き、劇場の正面玄関に戻る姿が動画に撮られて拡散するという大失態を犯す。タイムズ氏の演劇批評記者のタビサ(リンゼイ・ダンカン)は、芝居の興行の成否を握るほど発言力のある批評家で、リーガンは彼女に何とか取り入ろうとするが、タビサに芝居を終わらせてやると言われてしまい、タビサに悪態をついてしまう。落ち込んだリーガンは酒をあおり、路上で一夜を明かす。その朝、彼の内なる声はバードマンの実態となって現れ、リーガンは自らが空を自由に飛び回る妄想に取り憑かれる。その日の初公演で、彼は自らの頭を拳銃で狙い、ステージ上で自殺未遂をするが、弾は鼻に命中し、一命を取り留める。病院で目覚めたリーガンは、洗面所で整形により復活した赤黒い鼻を確認。洗面所のトイレにはバードマンが座っていた。彼はそのまま病室の窓を開けると、外に出る。病室に入ってきたサムは、リーガンがいないことに気づき、病室の窓から下を見下ろす。しかし視線を空に向け、にこやかに微笑むのだった。

一つ一つのシーンを長回しのワンカットのように見せ、その中に物が意思の力で動いたり、鏡があるのに撮影カメラが映り込んでいなかったり、空を飛んだり怪鳥が羽ばたいたり、という特殊撮影を盛り込んでいる。極めて技巧的な作品で、映画にこだわる人がこだわり抜いて作ったことがよく分かる。演出はやや難解で、プロの映画人を唸らせる作品ではあるが、映画ファンの評価は分かれるだろう。分かりづらい映画が好きでは亡い自分としては、正直、好きになりきれないタイプの作品だった。一方で、セリフの中にジョージ・クルーニーやらジェレミー・レナーなどの実在の俳優の名前が出てくるのは、映画ファンには面白かったし(映画批評家にも受けるだろう)、マイケル・キートン自身、バットマン」で活躍した俳優であり、その彼が今度は「バードマン」として脚光を浴びたのも、なんだか計算されているようで楽しいのだった。
ところで、今回はTOKYO MX2の「キネマ麹町」で観たのだが、「字幕がなく、オリジナル音声+字幕で観られなかった」ことに加え、「画質が粗い」ことが気になった。今の時代、古い映画は仕方ないにしても、最近の作品を低画質でしか観られないのはけっこうなストレス。「キネマ麹町」はエンドロールもだいたい流さずに終わるので、午後ロードに続き、今ひとつ映画愛の感じられない番組なのだった。映画の選択は嫌いではないのだが。

【5段階評価】3

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