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2020年2月

2020年2月29日 (土)

(2017) スノーピアサー

【監督】ポン・ジュノ
【出演】クリス・エバンス、ソン・ガンホ、エド・ハリス、コ・アソン、ジェイミー・ベル、ジョン・ハート
【制作】2013年、韓国

凍結した世界で永久機関として走る列車の中で起きる戦いを描いた作品。

2031年、地球温暖化を防ぐために散布した薬品のせいで、地球が極低温化し、生物は死滅。永久機関として世界を一巡りする列車の中で一握りの人が行き続けていた。最後部で底辺の暮らしをしているカーティス(クリス・エバンス)は、仲間とともに反乱を起こし、列車のセキュリティシステムの開発者、ナムグン・ミンス(ソン・ガンホ)を助け出す。人々は前方の車両に乗り込むが、大勢の犠牲者が出る。カーティスの相棒として戦っていた若者、エドガー(ジェイミー・ベル)も殺されてしまい、カーティスを支えていた老リーダー、ギリアム(ジョン・ハート)は反逆の見せしめに殺される。ミンスとその娘、ヨナ(コ・アソン)とともにエンジン部分の車両にたどり着いたカーティスは、内部に入るドアを開けるようミンスにつかみかかるが、ミンスはそれを拒否する。カーティスはミンスに、後部車両で起こっていた混沌を話して聞かせる。無賃乗車の大勢が列車の中に入れられ、救われたにもかかわらず、水と食糧の不足した車内では、人々の共食いが始まったのだと言う。やがて若者のグループがナイフで母親を殺し、その赤ん坊を奪った。そのとき、一人の男が自分の腕を切り落とし、それを食えと言って赤ん坊を助ける。その男こそギリアムで、助けられた赤ん坊がエドガー。そしてなんと、そのときナイフを置いた若者が、カーティスだったのだ。ミンスはその話を聞いてもなお、ドアは開けないと告げる。彼は外の気温が徐々に上がってきていることに気づいており、列車の外に活路を見いだそうとしていた。彼が集めていた固形覚醒剤は爆薬としての効力もあり、それでドアを吹き飛ばすというのだ。そのとき、エンジンルームから銃を持った女性が現れ、ミンスを撃つと、爆薬を取り去り、カーティスを内部に招く。そこにいたのは、列車の設計者、ウィルフォード(エド・ハリス)だった。彼は自らステーキを焼き、カーティスに振る舞うと、カーティスに驚くべき話をする。ウィルフォードは列車内の生物の均衡を保つため、人口をコントロールしており、それを最後部にいたギリアムとともに行っていたのだ。ウィルフォードはリーダーとして列車を支配してきたが、それをカーティスに譲ると告げる。しかし、列車の駆動部では、壊れた部品の代わりに、さらわれた幼いティミーが働かされていた。カーティスは自分の腕を犠牲にしてティミーを救い出す。エンジンルームの手前では、ミンスとヨナが協力して列車のドアを爆破。その衝撃で大規模な雪崩が発生。列車は次々と飲み込まれる。ヨナとティミーが気がつくと、ミンスとカーティスの姿はなかった。二人は毛皮のコートを着て車外に出る。雪一面の世界だったが、遠くの山にシロクマが現れる。生命は途絶えていなかった。二人は外の世界に向かっていくのだった。

設定自体は荒唐無稽。かろうじて鉄道車両の半永久機関が太陽光なり核燃料なりで可能だったとしても、レールのメンテナンスの大切さ、なめんなよ、という感じ。それでも、きちんと伏線を張り、それを回収しながら進む丁寧な作風は、さすがポン・ジュノ監督。意外なドラマ性もあり、しかも考えさせられる結論。結局、大勢の人を死なせたのは誰だったのか。ギリアムが腕を犠牲にしたのも、人口調節の

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2020年2月28日 (金)

(2016) バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)

【監督】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
【出演】マイケル・キートン、エドワード・ノートン、エマ・ストーン
【制作】2014年、アメリカ

落ちぶれた映画俳優がブロードウェイの芝居に挑む苦闘を描いた作品。第87回アカデミー賞作品賞受賞作品。

ブロードウェイの芝居に挑むリーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、かつて「バードマン」というヒーローものの作品で有名になった俳優。現在は妻のシルビア(エイミー・ライアン)と別れ、娘のサム(エマ・ストーン)は薬物依存と格闘中。決して幸せとは言えない人生を歩んでおり、彼は常日頃から、自分自身の内なる声と戦っていた。彼は俳優を目指すきっかけとなったレイモンド・カーバーの小説を舞台で演じることにしたのだが、リハーサルの事故により、出演者の一人が負傷したため代役が必要となり、癖のある俳優、マイク(エドワード・ノートン)が採用される。彼はプレビュー公演で騒ぎを起こし、プレビューは台無し。最終のプレビュー公演では、リーガン自身が、出演の合間に外でたばこを吸おうとしたところ、劇場と外を隔てる扉が閉まって戻れなくなり、挟まったガウンを脱ぎ捨て、白ブリーフ一枚で街なかを歩き、劇場の正面玄関に戻る姿が動画に撮られて拡散するという大失態を犯す。タイムズ氏の演劇批評記者のタビサ(リンゼイ・ダンカン)は、芝居の興行の成否を握るほど発言力のある批評家で、リーガンは彼女に何とか取り入ろうとするが、タビサに芝居を終わらせてやると言われてしまい、タビサに悪態をついてしまう。落ち込んだリーガンは酒をあおり、路上で一夜を明かす。その朝、彼の内なる声はバードマンの実態となって現れ、リーガンは自らが空を自由に飛び回る妄想に取り憑かれる。その日の初公演で、彼は自らの頭を拳銃で狙い、ステージ上で自殺未遂をするが、弾は鼻に命中し、一命を取り留める。病院で目覚めたリーガンは、洗面所で整形により復活した赤黒い鼻を確認。洗面所のトイレにはバードマンが座っていた。彼はそのまま病室の窓を開けると、外に出る。病室に入ってきたサムは、リーガンがいないことに気づき、病室の窓から下を見下ろす。しかし視線を空に向け、にこやかに微笑むのだった。

一つ一つのシーンを長回しのワンカットのように見せ、その中に物が意思の力で動いたり、鏡があるのに撮影カメラが映り込んでいなかったり、空を飛んだり怪鳥が羽ばたいたり、という特殊撮影を盛り込んでいる。極めて技巧的な作品で、映画にこだわる人がこだわり抜いて作ったことがよく分かる。演出はやや難解で、プロの映画人を唸らせる作品ではあるが、映画ファンの評価は分かれるだろう。分かりづらい映画が好きでは亡い自分としては、正直、好きになりきれないタイプの作品だった。一方で、セリフの中にジョージ・クルーニーやらジェレミー・レナーなどの実在の俳優の名前が出てくるのは、映画ファンには面白かったし(映画批評家にも受けるだろう)、マイケル・キートン自身、バットマン」で活躍した俳優であり、その彼が今度は「バードマン」として脚光を浴びたのも、なんだか計算されているようで楽しいのだった。
ところで、今回はTOKYO MX2の「キネマ麹町」で観たのだが、「字幕がなく、オリジナル音声+字幕で観られなかった」ことに加え、「画質が粗い」ことが気になった。今の時代、古い映画は仕方ないにしても、最近の作品を低画質でしか観られないのはけっこうなストレス。「キネマ麹町」はエンドロールもだいたい流さずに終わるので、午後ロードに続き、今ひとつ映画愛の感じられない番組なのだった。映画の選択は嫌いではないのだが。

【5段階評価】3

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2020年2月25日 (火)

(2015) キリング・フィールド

【監督】ローランド・ジョフィ
【出演】サム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール、ジョン・マルコビッチ
【制作】1984年、イギリス

カンボジア内戦を取材するアメリカ人とカンボジア人の記者の絆を描いた、実話に基づく作品。

ニューヨーク・タイムズの特派員、シドニー・シャンバーグ(サム・ウォーターストン)は、カンボジア人のディス・プラン(ハイン・S・ニョール)を通訳係として、カンボジア内戦の取材を行う。「赤いクメール」の勢力が増し、シャンバーグとプランは、プランの家族をアメリカに亡命させ、カンボジアに残る。シャンバーグらは「赤いクメール」に一度は捕らえられ、殺される危険に瀕するが、プランが必死に兵士を説得し、難を逃れる。シャンバーグらはフランス大使館に逃げ込む。カンボジア人のプランを救うため、シャンバーグの仲間のアラン(ジョン・マルコビッチ)らはパスポートを偽造するが失敗。プランは現地に残らざるを得なくなる。帰国したシャンバーグはピューリッツァー賞を受賞するが、アランはプランを見捨てたと言ってシャンバーグを責める。
プランは生きていた。「赤いクメール」の強制労働者として暮らしていたのだ。労働環境は劣悪で、些細なことで殺されるため、プランは英語、フランス語に堪能な身分をひた隠し、ついに脱走を図る。おびただしい屍を乗り越え、進むが、倒れてしまったところを別の幹部に見つかってしまう。しばらく奴隷として働いていたプランは、隙を突いてBBCで情報を得ようとするが、幹部に見つかってしまう。しかし「赤いクメール」のやり方に違和感を感じていた幹部は、プランを殺さず、英語で、自分に何かあったら息子を助けてほしい、と依頼する。幹部は奴隷殺害をやめさせようとして逆に殺されてしまい、プランは仲間とともに、幹部の幼い息子を連れて脱走。仲間と息子は、地雷によって命を落としてしまうが、プランはようやく、難民キャンプにたどり着く。シャンバーグはプラン生存の知らせを受け、現地でプランと感動の再会を果たすのだった。

歴史的な経緯を知っておかないと、主人公達の背景で何が起こっているのか、やや分かりにくいが、古い映画ながら映像はとてもリアル。戦争の悲惨さ、理不尽さを感じられる作品。カンボジア人記者のディス・プランを演じたハイン・S・ニョールは、演技経験が初めてだったにもかかわらず、本作でアカデミー助演男優賞を受賞している。

【5段階評価】3

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2020年2月23日 (日)

(2014) 地上最大のショウ

【監督】セシル・B・デミル
【出演】チャールトン・ヘストン、ベティ・ハットン、コーネル・ワイルド、ジェームズ・スチュアート
【制作】1952年、アメリカ

あちこちを巡るサーカス団で起こる男女の恋模様と騒動を描いた作品。第25回アカデミー賞作品賞受賞作品。

巨大なサーカス団を率いるブラッド・ブレイデン(チャールトン・ヘストン)には、空中ブランコ乗りの女王、ホリー(ベティ・ハットン)という恋人がいたが、ブラッドはサーカスの興業のことばかりを気にしており、ホリーはそれが気に入らなかった。ブラッドは集客のため、色男の空中ブランコ乗り、セバスチャン(コーネル・ワイルド)を雇い、彼を空中ブランコの花形にしてホリーをトップから降ろしたため、ホリーはセバスチャンをライバル視。セバスチャンはさっそくホリーに目を付け誘惑。安全ネットを外して大技に挑むが、落下してしまう。しばらくして病院から戻ってきたセバスチャンは、ホリーとブラッドに向かって、ホリーに飽きたので別のサーカス団に移る、と宣言するが、ブラッドが彼の右手が動かなくなっていることを見抜く。自分を傷つけないように身を引こうとしたセバスチャンを見て、ホリーはブラッドを見限り、セバスチャンを愛するようになる。ブラッドに好意を寄せていたエンジェル(グロリア・グレアム)は、その隙にブラッドに取り入り、彼女を愛していた象使いのクラウス(ライル・ベトガー)は嫉妬の炎を燃やす。クラウスは、象に片足を上げさせてその下にエンジェルが横たわるという芸の本番の最中に、象の足をどけずにエンジェルを脅す。それを見たブラッドはステージに割って入り、即座にクラウスを解雇。逆恨みしたクラウスは、こちらもまた屋台でいかさまをして客から金を巻き上げ、ブラッドに追い出されたテキ屋のジミーとともに、サーカス団の金を奪い取る計画を立てる。二人は大移動をしている列車を緊急停止させ、バッグの金を奪うが、後続の列車が猛スピードで迫ってくる。そこに愛するエンジェルが乗っていると気づいたクラウスは、列車を止めさようとして自動車ごと列車に轢かれてしまう。後続の列車はそのまま停車中の前の列車に激突し、大惨事となる。ブラッドは重傷を負うが、サーカス団の医師(フランク・ウィルコックス)も倒れている。ブラッドが重傷だと聞きつけたホリーは、現場から去ろうとしているバトンズ(ジェームズ・スチュアート)に声をかける。実は彼は医者で、かつて重病の妻を見かねて安楽死させており、その捜査をしている刑事(ヘンリー・ウィルコクスン)が列車に乗り込んできたのを知り、混乱に乗じて姿を消そうとしていたのだ。しかし彼は、ホリーの話を聞き、大きな恩のあるブラッドを助ける決意をし、刑事の前で見事な医者としての腕前を見せる。ブラッドは治療を受けながらも、サーカス団に次々と指示を出す。ホリーもまた、何とか青空公演を実現するよう奮闘する。
翌日、治療を終えたバトンズは刑事に連行されていく。ホリーは無事だった仲間とともに街をパレードし、大勢の観客を引き連れて、青空公演の会場にやってくる。会場は大いに賑わうのだった。

序盤は見るからに古い映画という感じで、退屈そうだし観るのやめようかな、と思ったのだが、作品賞受賞作品は観ておこうと思い、観はじめた。さすがは受賞作品。映画の魅力とサーカスの魅力が存分に楽しめる秀作だった。サーカスの世界を、ナレーションと実際の映像を用いて、ドキュメンタリー風に紹介。そのまま、演技に入っていくという形。ところどころ、背景が合成だとは分かるものの、観客はサーカス団の世界にどっぷりと浸かれる。サーカスの演目自体が非常に面白いし、千人以上のスタッフで成立しているというサーカスの実態も興味深く、見飽きないことに加え、俳優による芝居のシーンにも無駄がなく、だれるところがない。2時間半という長さを感じさせない作品だった。

【5段階評価】4

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2020年2月21日 (金)

(2013) ジェシー・ジェームズの暗殺

【監督】アンドリュー・ドミニク
【出演】ブラッド・ピット、ケイシー・アフレック、サム・ロックウェル、ジェレミー・レナー
【制作】2007年、アメリカ

伝説の強盗が暗殺される過程を描いた実話に基づく作品。

アメリカ南北戦争の時代。書物のヒーローになるほど有名な強盗、ジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)は、仲間と最後の列車強盗を企てる。盗賊団は解散。ジェシーのいとこのウッド(ジェレミー・レナー)は、ディック(ポール・シュナイダー)を連れて父の家にかくまってもらうが、ディックがウッドの継母に当たる女と肉体関係を持ったことから、二人の関係は悪化。ディックは、ジェシーに憧れて盗賊団に入ったボブ(ケイシー・アフレック)と兄のチャーリー(サム・ロックウェル)の住む家に逃げ込んでいたが、そこにウッドがやってくる。ウッドとディックは撃ち合い、ウッドがディックを撃ち殺そうとしたとき、ボブがウッドの頭を撃ってウッドを殺害。ディックとボブは死体を雪原に遺棄する。今度はジェシーがやってくる。極悪非情なジェシーに知られてはならないと、チャーリーは不自然に陽気に振る舞い、ボブは逆に感情的になる。ジェシーは二人の不自然さに気づきつつも、仲間が必要だと言ってチャーリーを連れて旅に出る。
ボブは警察にディックの居場所を伝え、ディックは逮捕されるが、知事から恩赦を受け、ボブはジェシー逮捕の密命を受ける。賞金首となったジェシーの精神が不安定になっていることに気づいたチャーリーは、ボブを仲間に入れることを提案。ジェシーはボブを誘う。ボブはチャーリーに、懸賞金狙いでジェシーを逮捕させようと相談する。3人はジェシーの家で過ごすが、ジェシーはますます不安定になり、ボブの首にナイフを突きつけて、おびえるボブとチャーリーをあざ笑うなどの行動をとり、チャーリーとボブは身の危険を感じる。一方でジェシーは、ボブに高価な拳銃をプレゼントする。
ある日、新聞記事でディックが逮捕されたことを知ったジェシーは、ボブがそれを知っていたはずではないかと疑う。ボブはごまかすが、恐怖は限界に来ていた。二丁の拳銃を腰に携えたジェシーが、ボブとチャーリーのいる部屋に入ってくる。ジェシーはなぜか、隣人に見られる、と言ってガンベルトを外すと、「絵が汚れている」と言って踏み台の上に登り、壁に掛かった、大して汚れているとも思えない絵の方を向く。ジェシーの無防備な背中を見て、ボブはジェシーの背後に回り、チャーリーもゆっくりと自分の銃に手をかけ、銃をジェシーに向ける。ボブもまた、銃をジェシーに向ける。ジェシーは、額縁のガラスに映るボブを認めるが、静かに軽くうなだれる。刹那、ボブの銃が火を噴き、ジェシーは脳天を絵に打ち付け、そのまま床に倒れ、命を落とす。
ジェシーは市民にとって英雄だった。ボブとチャーリーは、劇場でジェシー暗殺の演劇を始めるが、ジェシーを殺した二人に世間は冷たかった。チャーリーは罪の意識に耐えかねて自殺。ボブも期待していた称賛を得られず、厭世的になっていく。ボブは酒場にいたところを、ジェシーを信奉する老人にライフルで撃ち殺されてしまうのだった。

ウッドとディックが至近距離から撃ち合ってもなかなか死なない銃撃戦はとてもリアリティがある。脳天を撃ち抜かれて崩れ落ちるがしばらく息のあるウッドや、額縁に額をぶつけて倒れるジェシーや、薄く閉じたうつろな目とだらしなく半開きになった口をさらすジェシーの遺体もリアル。一方で、登場人物の関係がちょっと分かりづらく、なんでエド(ギャレット・ディラハント)は殺されたのか、とか、カミンズとは何者だったのか、とか、今ひとつ全容がつかめないままだった。日テレ「映画天国」が前後編に分けて放送した作品だったが、大作の感はあるものの、当たりの作品とは残念ながらならなかった。

【5段階評価】3

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2020年2月20日 (木)

(2012) キャスパー

【監督】ブラッド・シルバーリング
【出演】クリスティーナ・リッチ、ビル・プルマン、マラチ・ピアソン(声)、キャシー・モリアーティ
【制作】1995年、アメリカ

お化け屋敷で暮らすことになった父娘とお化けの交流を描いたSFコメディ。

お化け屋敷を相続した強欲な女、キャリガン(キャシー・モリアーティ)は、取り巻きのディブス(エリック・アイドル)とともに屋敷を訪れるが、現れたお化けのキャスパー(マラチ・ピアソン)にびっくり。悪魔払いや取壊し業者を呼ぶが歯が立たない。友達が欲しいキャスパーは、一人娘キャット(クリスティーナ・リッチ)のいるハーベイ博士(ビル・プルマン)を呼ぶように仕向ける。キャリガンはキャスパーの思惑通りハーベイ博士を屋敷に呼び、お化け退治を依頼する。中に住むことになったキャットとハーベイだったが、キャットはキャスパーを見てびっくり。ハーベイは恐る恐るキャスパーに立ち向かおうとするが、屋敷にはいたずら好きな3人のおじさんお化けも住んでおり、ハーベイはおじさんと奮闘。なんとか掃除機の中に3人を閉じ込める。
翌朝、キャスパーはキャットを脅かさないようにそっと近づき、キャットはキャスパーに心を開くようになる。キャットとキャスパーは、屋敷の中に、お化けを人間に戻す薬品と装置があることを発見。ところが、大事な薬品をキャリガンに奪われてしまう。キャリガンとディブスは薬品を取り合って争い、キャリガンは崖から転落してお化けになってしまう。お化けになったキャリガンはディブスを遙か彼方に吹っ飛ばすと、隠されていた宝箱と人間に戻る薬品を手にして、思い残すことは何もない、と叫ぶ。その瞬間、キャリガンは消滅してしまう。この世に未練のある魂しか、お化けでいられないためだった。薬品を手に入れたキャットとキャスパーは、キャスパーを人間に戻すことにするが、そこにハーベイのお化けが現れる。3人のおじさんお化けと飲んでいる途中で、工事現場の穴に落ちて死んでしまったのだった。キャスパーは即座に人間に戻る権利をハーベイに譲る。ハーベイは無事に人間に戻る。
キャットのクラスメイトがやってきて、ハロウィンパーティは大盛り上がり。ひとりぼっちのキャスパーのもとに、一人の女性が現れる。ハーベイの妻、アメリア(エイミー・ブレネマン)だった。アメリアは、キャスパーの心優しい行動のご褒美に、と、夜10時まで人間の姿になる魔法をかける。人間の姿になったキャスパー(デボン・サワ)は、キャットをダンスのパートナーに誘い、ダンスのあとに口づけを交わす。アメリアはハーベイの前にも現れ、そして去って行く。お化けの姿に戻ったキャスパーを見て、クラスメイト達は悲鳴を上げて屋敷から退散するが、ハーベイとキャットとキャスパーに3人のおじさんお化けバンドが加わり、楽しいダンスパーティが続くのだった。

子供向けの作風なので、死んでしまうことすらコミカルで楽しい。マクガフィンとなる薬や機械の説明が不足しているのはご愛敬。内心、「ザ・フライ2」のように、謎の装置がうまく動かず中からおぞましい生物が出てきたりしやしないかとドキドキしてみたが、子供向けの作品でそんなことは起きなかった。
ゴーストバスターズ」のレイモンド(ダン・エイクロイド)や「ダーティハリー」(クリント・イーストウッド)、メル・ギブソンなんかもちょこっと登場したりして、映画ファンにはたまらない演出。公開当時15歳のクリスティーナ・リッチは、子供の役ながら、なかなかグラマラスで魅力的だった。

【5段階評価】3

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2020年2月19日 (水)

(2011) 映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS

【監督】高橋滋春
【出演】種﨑淳美(声)、木村良平(声)、東山奈央(声)、小桜エツコ(声)
【制作】2018年、日本

テレビアニメ、妖怪ウォッチの劇場版第5作。妖怪に母親を奪われた少年の活躍を描く。

母親思いの少年、下町シン(種﨑淳美)は、母親の魂を妖怪に奪われ、母親を失う。自殺を図ろうとしたシンに、高城イツキ(木村良平)が声をかけ、二人で妖怪から魂を取り戻すことにする。妖術見習いの少女、有星タエ(東山奈央)も加わり、山姥屋敷で妖怪ウォッチを発見。猫又(小桜エツコ)、河童(竹内良太)、座敷童子(浅沼晋太郎)を味方につけたシンたちは、シンの母親とイツキの姉(佐藤はな)の魂を奪った妖怪タマモ(ブルゾンちえみ)を倒す。しかし、タマモの奪った魂は、閻魔大王(大友龍三郎)の息子、紫炎(小栗旬)のもとに送られていた。三人は妖魔界に向かい、紫炎と戦う。その戦いでイツキは致命傷を負うが、なぜか無事だった。彼は実は、姉を助けようとして自らも命を落としていたのだ。イツキは暴走した紫炎の中に入り込み、紫炎と融合して夜叉エンマとして生まれ変わる。生まれ変わった夜叉エンマは、紫炎を操っていた妖怪、空亡(そらなき)(内田直哉)と戦う。タエの祖母、キネ(真山亜子)が持ってきた草薙の剣に、シンの守り神、スサノオが反応し、神の剣、アマノムラクモが出現。夜叉エンマはその剣で空亡を倒す。空亡に捕らわれていた魂が解放されるが、イツキは閻魔大王になって再会することをシンに約束し、妖魔界に消えていく。老いたシンとタエのもとに、閻魔大王となったイツキが現れ、シンにはまだこの世でやるべきことがある、と告げて去っていくのだった。

ギャグ満載の作品かと思ったら、ちょっと恐かったり、後半は戦闘シーンが多く、敵も結構グロテスク。序盤に老人が出てきて回想に入るという、大人向けの映画のような演出だったのだが、子供にはだるい気がした。じゃあ大人も子供も楽しめると言えるかというと、やっぱり戦闘シーンなんかは子供っぽいので、ちょっと中途半端な作品だなと感じた。妖怪ウォッチの人気キャラを目当てにしている人にも、肩すかしな気がした。

【5段階評価】3

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2020年2月18日 (火)

(2010) アパートの鍵貸します

【監督】ビリー・ワイルダー
【出演】ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ、ジャック・クルーシェン
【制作】1960年、アメリカ

保険会社の男女の恋の行方を描いたコミカルかつシリアスな恋愛映画。第33回アカデミー賞作品賞受賞作品。

保険会社に勤めるC.C.バクスター(ジャック・レモン)は、アパート住まいだが、そのアパートを会社の複数の上司が女性との逢瀬に使われていた。バクスターはその間、会社や外で時間を潰していた。上司達からは会社での評価を高めておいた、と言われ、断り切れずにいたバクスターは、ある日、重役のシェルドレイク(フレッド・マクマレイ)に呼び出され、いよいよ昇進の報せが来たと喜ぶが、シェルドレイクもまた、彼のアパートを貸してくれと言ってくる。シェルドレイクは、妻子がありながら、バクスターが憧れているエレベーターガールのフラン・キューベリック(シャーリー・マクレーン)と、不倫の関係にあった。彼女の持っているコンパクトがバクスターの家に置き忘れられていたことから、バクスターはシェルドレイクの相手がフランであることを知る。フランは、シェルドレイクとの関係を断とうとするが彼に巧みに言いくるめられてそれもかなわず、ついにバクスターの部屋で睡眠薬自殺を図ってしまう。帰宅したバクスターはフランに気づき、隣に住む医者のドレイファス(ジャック・クルーシェン)を呼ぶ。彼女は一命を取り留める。バクスターは彼女とトランプのジンラミーをし、彼女の気を紛らわせる。バクスターは決してフランもシェルドレイクも責めず、むしろシェルドレイクにフランに会ってやってほしいと頼むが、シェルドレイクは無理だと一蹴。バクスターはついにシェルドレイクの隣の執務室に並ぶまで昇進するが、シェルドレイクのフランへの愛が本物ではないと悟ったバクスターは、シェルドレイクにアパートの鍵を貸すことを拒否し、会社を辞める。フランはシェルドレイクからバクスターが会社をやめたと聞かされ、彼の本当の愛を知り、シェルドレイクのもとを離れて彼のアパートに向かう。街を出ようと荷造りをしていたバクスターは、部屋にやってきたフランに愛を告げる。フランはトランプの束をバクスターに渡し、「黙って配って」と言い返す。バクスターはトランプを配り始め、二人は満面の笑みで互いに見つめ合うのだった。

タイトルからは、男を部屋に誘惑するお茶目な女性が主人公のラブコメディなのかと思いきや、ヒロインが不倫に苦しんで自殺未遂をするという、そこそこシリアスな物語。
最初、なぜバクスターが部屋貸しをしているのか、何か豪勢な作りであるとか都心に立地していて便利とか、何が理由なのかよく分からなかったのだが、どうやら浮気相手と二人で過ごせる場所がない時代だから需要があったということだろう。テニスラケットをパスタの湯切りに使うシーンも有名。

【5段階評価】3

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2020年2月17日 (月)

(2009) ヒックとドラゴン2

【監督】ディーン・デュボア
【出演】ジェイ・バルチェル(声)、ケイト・ブランシェット(声)、ジャイモン・フンスー(声)
【制作】2014年、アメリカ

ドラゴンと暮らす島の少年が、ドラゴンを使って世界を支配しようとする悪者と戦うところを描いた3DCGアニメ作品。「ヒックとドラゴン」の続編。

バーク島に住むバイキングの少年、ヒック(ジェイ・バルチェル/田谷隼)は、ドラゴンのトゥースを乗りこなし、周囲の地図を描いていた。ドラゴンハンターから、ドラゴ・ブラックフィスト(ジャイモン・フンスー)という男がドラゴンを狩っているという話を聞いたヒックは、父親のストイック(ジェラルド・バトラー/田中正彦)の制止を聞かず、ドラゴの説得に向かう。ヒックは、途中で覆面をしたドラゴン乗りに出会う。それは幼い頃に生き別れた母親のバルカ(ケイト・ブランシェット)だった。バルカはドラゴンとの戦いの道を進むバーク島を離れ、ドラゴンと仲良く暮らす道を選んでおり、息子がドラゴン乗りになったことを喜ぶ。ヒックを追ってきたストイックも妻との再会を喜び、一緒に暮らすことを決意する。そこに大軍を率いたドラゴが現れ、バルカのいる島の守り神的な存在の白いワイルダービーストに戦いを挑む。バルカもまた、黒いワイルダービーストを従えており、白いワイルダービーストは倒されてしまう。ワイルダービーストは他の竜を支配する能力を持っており、トゥースもワイルダービーストに操られ、ヒックに牙をむく。トゥースが炎を発した瞬間、ストイックが割って入り、身代わりとなって命を落とす。ドラゴは操ったヒックに乗り、バーク島の征服に向かう。取り残されたヒックと仲間達は、ベビードラゴンに乗ってバーク島に向かう。ヒックは操られた状態のトゥースに話しかけ、催眠を解くと、ワイルダービーストに戦いを挑む。それにより、ほかのドラゴンの操りも解け、ドラゴンたちはいっせいにワイルダービーストに攻撃。ワイルダービーストは圧倒され、島から逃げ去る。ヒックは新たな長となり、島は活気を取り戻すのだった。

ヒックとドラゴンの活躍が心地よく、見ていて楽しい作品。前作ではひ弱だったヒックが、コスチュームも新たにかっこいいドラゴンライダーになっているのは、爽快感があった。父親の死は、盛り上げるために殺してしまったかぁ、とちょっと残念ではあったが、ヒックの成長を見せるためには必要な演出ということだろう。ゴールデングローブ賞にも輝いたヒット作だが、日本では公開されなかったという経緯がある。

【5段階評価】3

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2020年2月16日 (日)

(2008) ヒックとドラゴン

【監督】ディーン・デュボア、クリス・サンダース
【出演】ジェイ・バルチェル(声)、アメリカ・フェレーラ(声)、ジェラルド・バトラー(声)
【制作】2010年、アメリカ

バイキングの少年とドラゴンとの交流を描いた3DCGアニメ作品。

バーク島に住むバイキングの少年、ヒック(ジェイ・バルチェル/田谷隼)はドラゴン退治に憧れるひ弱な少年。自作の投擲機で伝説のドラゴン、ナイト・フューリーをやっつけることに成功するが、誰も信じてくれない。ナイト・フューリーが墜落した場所に行くと、動けなくなったドラゴンを発見。ところが彼はドラゴンを殺すことができず、ドラゴンに絡まった縄を外す。ドラゴンはヒックを食らうことなく、飛び去っていく。
ヒックの父親でバイキングの長、ストイック(ジェラルド・バトラー/田中正彦)は、ヒックにドラゴン退治の訓練を受けさせることを決断するが、ヒックは全く活躍することができないのだった。ヒックは、ドラゴンと遭遇した場所に再び向かう。そこには、尾ひれの片側を失い、うまく飛べなくなったナイト・フューリーがいた。ヒックはドラゴンにトゥースと名付け、餌を与えると、トゥース用の尾ひれを自作し、トゥースに装着。鞍や手綱を作ってトゥースを乗りこなすようになる。ヒックはトゥースとの交流を通じてドラゴンの習性を知るようになり、ドラゴン退治の訓練でも、ドラゴンを倒すのではなく、うまく檻に誘導したり手なずけたりしてドラゴンを扱うようになり、ドラゴン訓練の最優秀者になる。ところが、父親のストイックは、ドラゴンと闘おうとしない息子を見限り、自らドラゴンの巣に大軍で乗り込む。ヒックは仲間のアスティ(アメリカ・フェレーラ/寿美菜子)らとともにドラゴンを乗りこなしてドラゴンの巣に向かい、暴走した巨大ドラゴンに立ち向かう。その姿を見て考えを改めたストイックは、船に拘束されていたトゥースを自由にする。ヒックはトゥースに乗って巨大ドラゴンと勇敢に戦い、退治に成功する。
ヒックは片足を失い、義足となってしまうが、バーク島はドラゴンとバイキングが仲良く暮らす島に生まれ変わるのだった。

コミカルなドラゴンの姿と、自然の中を飛び回る美しいシーンが見どころ。最後に現れる巨大ドラゴンも、敵ではなく仲間になればよかったが、口の中にトゥースの炎を打ち込まれ、爆死してしまったのはちょっと残念。ヒックとアスティの間に恋も芽生え、ハッピーエンドの楽しい作品だった。

【5段階評価】4

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2020年2月15日 (土)

(2007) ゲットバック

【監督】サイモン・ウェスト
【出演】ニコラス・ケイジ、ジョシュ・ルーカス、マリン・アッカーマン、サミ・ゲイル
【制作】2012年、アメリカ

娘を人質に取られた元銀行強盗が、娘の救出に奔走するアクション作品。

8年前、銀行から1,000万ドルの強奪未遂で刑務所入りとなったウィル・モンゴメリー(ニコラス・ケイジ)は、刑期を終え、改心を決意。ところが8年前の銀行強盗仲間だったビンセント(ジョシュ・ルーカス)は、逃亡時に顔を見られた清掃人を殺す、殺さないでウィルと揉めたときに脚を自分の銃で撃ってしまったことで片足を失っており、ウィルを激しく恨んでいた。彼は自分の指を切断して他人の焼死体とともに焼いて自分が死んだと見せかけ、タクシー運転手になっており、ウィルの出所と同時にウィルの娘アリソン(サミ・ゲイル)を誘拐し、ウィルに1,000万ドルをよこせ、と脅迫する。ウィルはFBIのティム・ハーランド(ダニー・ヒューストン)に娘が誘拐されたと助けを求めるが、彼は取り合わない。ウィルは自らの力でFBIの端末に潜入して、かつての仲間、ホイト(M・C・ゲイニー)からビンセントの情報を聞き出し、ビンセントを探し始める。ビンセントはタクシーのトランクにアリソンを監禁し、ウィルに携帯電話で金の受け渡しを要求。金を渡さなければ娘が本当に殺されると考えたウィルは、もう一人の仲間のライリー・ジェファーズ(マリン・アッカーマン)に協力を依頼。銀行の地下の用水路から高音のバーナーで銀行の金庫の床に穴を空け、金のインゴットを溶かして手に入れるという手段で金を手にすると、ビンセントの待つ遊園地跡地に向かう。ウィルはビンセントに金塊の入ったバッグを渡し、娘を返してもらおうとするが、ビンセントはウィルを銃撃し、タクシーにガソリンを撒いて火を放つ。ウィルはビンセントの妨害を躱して火に包まれた乗り込み、車ごと池にダイブ。何とかアリソンを救い出すと、再度襲ってきたビンセントを車のトランクに押し込む。重傷となったウィルだったが、そこにFBIのヘリが現れ、彼を救出する。アリソンは父親がまた刑務所に行くのかを心配するが、ティムは「金塊を盗んだのはビンセントだ」と言って、アリソンを安心させる。
時が経ち、傷の癒えたウィルは、ライリーとアリソンと休日を楽しんでいた。金塊の盗難に使った車に金塊の残骸を発見したウィルは、使い道をライリーに相談。ライリーは、売ればお金になるが犯罪だ、と説き、ウィルは金塊を池に投げ捨てる。その様子はFBIに監視されていた。そのことを分かっていたウィルとライリーは、金塊を捨てたと見せかけたが、池に沈んでいたのはパイナップル。彼らのテーブルの灰皿には金塊が残っているのだった。

娯楽作品としては十分に面白かったが、ツッコミどころも多かった。まずそもそも、銀行の警備が甘すぎる。1,000万ドルを燃やせば十分に証拠は残るはずなのに、ウィルがFBIに助けを求めた際に、ウィルが1,000万ドルを隠していると疑うのは理不尽。ビンセントが白バイ警官を射殺しても平気で逃げ続けられるのも、捜査の甘さが現実的ではない。何より、クライマックスにおけるビンセントの金の受け渡しの際の詰めの甘さは、どういうやりとりが起きるかを期待しただけに、ちょっとがっかり。ただでさえ片足は義足で指もないのに、ウィルを攻撃して自由を奪うことをせず、乱闘に持ち込まれてしまう。警官を殺すほどの覚悟があるなら、片足を失った恨みからウィルの片足を使えなくするぐらいはするのではという気がする。ただまあ、こういう主人公と悪役との一対一の格闘で決着が付くという展開はよくあるパターンではある。
なお、ウィルが金を燃やした振りをして実は1,000万ドルを巧みに隠している、という落ちがつくのかと思ったが、そういうシーンはなかった。刑が軽くなるよう金を燃やしたという理屈がよく分からないし、燃やさなくても話は成立すると思うのだが、そこは謎ではなかったようだ。

【5段階評価】3

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2020年2月14日 (金)

(2006) ザ・シークレット・サービス

【監督】ウォルフガング・ペーターゼン
【出演】クリント・イーストウッド、ジョン・マルコビッチ、レネ・ルッソ、ディラン・マクダーモット
【制作】1993年、アメリカ

大統領を警護するシークレット・サービスと大統領暗殺を企む男との攻防を描いたサスペンス。

かつてケネディ大統領の警護をしていて、彼の死を防げなかった過去を持つシークレット・サービスのフランク・ホリガン(クリント・イーストウッド)は、現職大統領(ジム・カーリー)暗殺を企む男(ジョン・マルコビッチ)の情報を得る。男はリンカーンを暗殺したブースを名乗り、ホリガンに電話で接触。逆探知の罠を巧みに避けながら、ホリガンへの連絡を続ける。ホリガンは大統領の警護を行うが、報道陣のカメラに囲まれて半ばパニック状態になって銃の存在を誤認識したり、ホテルの従業員をブラックリスト入りした人物と見間違えたり、の失態を続け、とうとう大統領身辺の警護から外されてしまう。ところが、犯人のミッチ・リアリーが高額献金者として大統領の応援パーティに潜入していることに気づいたホリガンは会場に戻り、リアリーが自作したプラスチック製の銃で大統領を撃とうとしたところに割って入り、大統領の命を救う。リアリーはホリガンを人質に取ったままエレベータに乗り込む。ホリガンは無線で相棒かつ恋人のリリー・レインズ(レネ・ルッソ)に指示を出し、狙撃班にリアリーを狙わせる。格闘の末、リアリーは転落死。事件は落着する。ホリガンはリリーと新たな一歩を踏み出すのだった。

オープニングの囮捜査のシーンから緊迫感に満ちた展開。そこから若干説明調のシーンになるが、後半に向けて盛り上がっていく。
犯人は自己顕示欲から、捜査側に接触しながら暗殺計画を進めていくわけだが、捜査側に接触することは、自分の計画の成功可能性を下げることに繋がるわけで、その辺りの兼ね合いに観る側がどこまで共感できるかが重要。その意味では、本作での犯人の行動は、映画を盛り上げるために、大統領暗殺のチャンスはあるのになかなか実行しないように見えてしまった。銀行員をルームメイトともども殺害したり、話しかけてきたハンターを殺したりするのも、必然性を感じられず、計画性があるのかないのか、残虐性があるのかないのか、犯人の人物像をどう描こうとしているのかも今ひとつよくわからなかった。

【5段階評価】3

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2020年2月13日 (木)

(2005) フレンチ・コネクション2

【監督】ジョン・フランケンハイマー
【出演】ジーン・ハックマン、フェルナンド・レイ、ベルナール・フレッソン、ジャン=ピエール・カスタルディ
【制作】1975年、アメリカ

麻薬密売のボスを追ってフランスに来たアメリカの刑事の奮闘を描いた作品。「フレンチ・コネクション」の続編。

前作で逃げおおせた麻薬密売組織のボス、アラン・シャルニエ(フェルナンド・レイ)を追って、ニューヨークから刑事のドイル(ジーン・ハックマン)がフランスのマルセイユにやってくる。警部のバルテルミー(ベルナール・フレッソン)の世話になりながら、強引な捜査を進めるドイルだったが、シャルニエに感づかれ、拉致監禁された上、麻薬中毒にされて放り出されてしまう。激しい禁断症状と闘いながら復帰したドイルは、執念でシャルニエの麻薬工場の場所を突き止め、逃げるシャルニエを追い、最後はボートに逃げ込んだシャルニエに拳銃で撃ち殺すのだった。

前作では尾行のシーンを丁寧に描いていたが、本作ではドイルが麻薬中毒にされた状況を克明に描写している。まあ、ジーン・ハックマンの演技力一本で魅せるという賭けは買うが、やはり演技だよなって思って観てしまうので、迫力という点では前作に及ばなかった。また、最後の追跡シーンも、船で逃げるシャルニエを陸地で追いかけるドイルがどう追いつくのか、と思って観ていると、「撃ち殺すんかい」という。で、それで映画は終わってしまう。さすがに武装せずに立っているだけの男を撃ち殺しちゃ駄目でしょというのが、まあ衝撃的と言えば衝撃的な作品だった。

【5段階評価】2

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2020年2月12日 (水)

(2004) ロビン・フッド

【監督】リドリー・スコット
【出演】ラッセル・クロウ、ケイト・ブランシェット、マーク・ストロング、マックス・フォン・シドー
【制作】2010年、アメリカ、イギリス

伝説の弓術士、ロビン・フッドの活躍を描いた作品。

フランス軍と戦うイギリス軍の王、リチャード1世(ダニー・ヒューストン)が戦死し、その王冠を王国に持ち帰る部隊が、フランス軍のゴドフリー(マーク・ストロング)率いる部隊の待ち伏せに遭い、全滅する。そこに通りかかったロビン・ロングストライド(ラッセル・クロウ)の一行はゴドフリーらを追い払い、虫の息のロクスリーから、剣を父親に返してほしいと頼まれる。
ロクスリーになりすましてイギリスに戻ったロビンは、ロクスリーとの約束を果たすため、ノッティンガムに向かう。ロクスリーの妻マリアン(ケイト・ブランシェット)は気丈に夫の死を受け入れ、父親のウォルター(マックス・フォン・シドー)はロビンを息子として受け入れる。
リチャード1世の死に伴い、王となったジョン(オスカー・アイザック)は、ゴドフリーを使って納税を渋る北部地方を制圧にかかるが、これはイギリス国内を内乱状態にしようとするフランス軍の策謀だった。ウォルターは、ロビンの父親がかつて王の圧政に抵抗する勇敢な男であったことを語り、ロビンの幼い頃の記憶を蘇らせる。北部にやってきたジョン王に対し、ロビンはイギリス軍としての一致団結と民の自由を解き、上陸したフランス軍を迎え撃つ。マリアンも戦いに参加し、最後はロビンの弓により、ゴドフリーを倒す。フランス軍は撤退するが、ジョン王はロビンの活躍に嫉妬し、彼をアウトローとして成敗の対象にする。ロビンはマリアン、孤児達と森に住み、仲間達と仲良く暮らすのだった。

序盤の戦闘シーンは「ジャンヌ・ダルク」には少し劣るが迫力があり、最初から観客を引き込んでいる。ロビン・フッドとウィリアム・テルの違いもよく分かっていない者からすると、もっとおとぎ話のような展開なのかと思っていたら、単純化はされているものの現実的な戦争を扱った展開で、ロビン自身、ただ弓を射るだけでなく、剣も扱えば部隊の指揮も執る軍人だった。「グラディエーター」の影響もあるだろうが、ラッセル・クロウはこうした歴史的な戦士の役が似合う。

【5段階評価】4

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2020年2月11日 (火)

(2003) 僕だけがいない街

【監督】平川雄一朗
【出演】藤原竜也、有村架純、石田ゆり子、及川光博、鈴木梨央、中川翼
【制作】2016年、日本

過去と現在を意識が行き来する力を持った青年が、周囲の人々を守るために連続殺人犯に立ち向かう。三部けいの同名の漫画が原作。

ピザ屋のバイトをしている藤沼悟(藤原竜也)は、人の命が危ない場面になると意識が過去に戻るという経験をしており、ピザの配達中、トラックの運転手が意識を失っていることに気づき、交差点で惹かれるはずだった小学生を助けるが、自分自身が車にはねられる。病院で意識を取り戻した悟を見守っていたのは、ピザ屋のバイト仲間の片桐愛梨(有村架純)だった。母親の藤沼佐知子(石田ゆり子)も看病に来るが、佐知子は悟の一人暮らしの家で、何者かに刺し殺されてしまう。悟は犯人とおぼしき人物を追いかけるが、逆に自分が怪しまれる存在となってしまい、警察に追われて点灯したとたん、小学校時代に意識が飛ぶ。小学生になった悟(中川翼)は、この頃、連続殺人に遭った同級生、雛月加代(鈴木梨央)の命を救うことで、母親を助けられると考え、母親から虐待を受けていた加代に接近。担任の八代先生(及川光博)の協力も得ながら、加代の殺害を防ぐ。ところが悟は現代に戻ることができない。犯人のターゲットは別の女子生徒に移ったことに気づいた悟はその生徒を追い、八代先生の車で女子生徒が乗っているとおぼしき車を追跡するが、実は八代先生こそが犯人だった。八代は悟を人気のない橋に連れて行くと、欄干から悟を突き落とす。
病院で悟の意識が戻り、それを見守っていたのは、大人になった加代(森カンナ)だった。母親も生きており、悟は安堵するが、悟は八代の行方を追う。八代は西園と名前を変え、市会議員をしながら女子小学生殺害を続けていた。悟は八代を見つけ、ビルの屋上で八代を説得するが、八代はナイフで自殺しようとする。止めに入った悟と八代はもみ合いになり、悟はナイフで首を切られる。八代は逮捕されるが、悟は帰らぬ人となる。しかし、悟の墓には、加代をはじめ、小学生時代の仲間が墓参りに訪れており、悟と縁のない人生を送ることになった愛梨も、カメラマンとなる夢を笑顔で追い続けるのだった。

本作は原作も読んでおり、期待しながら鑑賞。前半は原作に比較的忠実だが、後半はオリジナルの展開。記憶が時代を行き来しながら人の死を防ごうと奮闘する姿は、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のようでもあり、ハラハラドキドキするのだが、最後のビルの屋上でのもみ合いから主人公が死に至るというのは、必然性のない茶番で、なんともいただけないエンディング。題材がいいだけに、もっともっと観客を唸らせる展開がほしかった。

【5段階評価】3

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2020年2月10日 (月)

(2002) SPOOKS スプークス/MI-5

【監督】バハラット・ナルルーリ
【出演】キット・ハリントン、ピーター・ファース、ジェニファー・イーリー、エリス・ガベル、タペンス・ミドルトン、ララ・パルバー
【制作】2015年、イギリス

テロリストとイギリス諜報機関MI-5との戦いを描いた作品。spooksとは、お化けという意味だが、スパイの意味もある。「白いカラス」で主人公の教授が授業中に言って問題になったこの言葉は、黒人を侮辱する意味もある。

MI-5がテロリストのアデム・カシム(エリス・ガベル)の護送中、バイクに乗った武装集団に襲われ、カシムを奪われてしまう。市民の被害を恐れてカシムの檻を解放したハリー・ピアース(ピーター・ファース)だったが、MI-5は批判を浴び、ハリーは姿を消す。元MI-5のホロウェイ(キット・ハリントン)は、MI-5首脳部からハリーの行方を探すよう指示される。断るホロウェイだったが、長官(ティム・マッキナリー)からハリーがホロウェイの父の死の真相を知っていることをほのめかされ、協力することにする。ハリーは逆に、ホロウェイを空港に呼びつけ、MI-5にいる裏切り者を暴く協力をさせようとする。ホロウェイは、カシムの護送チームにいたジューン・キートン(タペンス・ミドルトン)に近づく。彼女と一緒に車に乗っていたロバート(マイケル・ワイルドマン)が怪しいとにらんだ二人は、マンションに住むロバートの部屋に侵入。ゴミ箱から多額の入金があった口座の明細書を発見する。そこにロバートが帰ってくる。ホロウェイがベランダに出てハリーに状況報告をすると、ハリーは黒幕を聞き出せ、と告げる。そのとき、部屋の中で大きな物音がしたため、ホロウェイは慌てて部屋に戻る。すると、ジューンが倒れていて、ロバートが部屋から逃げようとしていた。ホロウェイはロバートに飛びかかり、格闘となる。ロバートがホロウェイに銃を向けた瞬間、銃声が鳴り響き、ロバートが倒れる。ジューンがロバートを撃ったのだった。ロバートは黒幕の存在を話すことなく絶命する。
MI-5を支援していたフランシス議員(デビッド・ヘアウッド)が自爆テロの犠牲となり、カシムが犯行声明を行う。ハリーがカシムに接近していることを知っていたホロウェイは犠牲者の発生に繋がったハリーのやり方を責めるが、ハリーは、ロシアに捕らえられているカシムの妻アスマを連れ出す作戦を提案する。ホロウェイにMI-5のシステムに入らせ、ネットハッキングをして西側スパイの情報を入手したハリーはロシアに向かうが、ホロウェイとジューンがハリーを突き止める。ジューンはハリーの偽造パスポートを作成したと告げ、アジトに招くが、ハリーは新米のジューンを怪しむ。果たしてジューンは、上層部の指令により動いていた。ホロウェイとハリーはジューンを拘束。ロバートの件も上層部の指示により、ロバートが犠牲になるよう仕組んだものだった。ホロウェイとハリーは、予定通りアスマを確保しに行くが、アスマは流産に伴う事故ですでに死んでいた。
ロンドンに戻ったハリーは、MI-5のハナ(エレノア・マツウラ)をアスマ役に仕立ててカシムから爆破テロの情報を得ようとするが、失敗。ハリーはカシムと電話で話し、ハナにテロ組織のアジトの場所を告げる。ホロウェイとハリーはMI-5に捕らえられる。MI-5長官らは防弾ガラスに囲まれた会議室の中で、なぜハリーがカシムから爆弾のありかを聞き出せたのか尋ねるが、ハリーは答えない。そこに武装した集団とともにカシムが現れる。彼はMI-5に潜入することを条件にハリーと取り引きしていたのだ。カシムはMI-5の壊滅をもくろむが、会議室の外にいたホロウェイは、ジューンと協力して武装団の一人の手榴弾を防弾ガラス近くで爆発させ、中にいたカシムを撃ち殺す。ハリーと長官は無事だった。
ハリーは、会議室の中でもう一人生き残ったジェラルディン(ジェニファー・エール)を尋ねる。MI-5の裏切り者は彼女だった。ハリーは「逃げ道」と書かれた小袋を取り出す。それは、MI-5の取調室にいたハリーに、ジェラルディン自身が渡した物で、飲んで6時間経つと象徴に異変が生じて死に至る毒薬だった。ジェラルディンが、それを私が飲むと思うのか、と開き直ると、ハリーは小袋を開け、中味は二人で食事の際に飲んだ、と告げる。顔面蒼白となるジェラルディンを置いて、ハリーは立ち去る。
ハリーは外で待っていたホロウェイに会い、彼の父親が勇敢に亡くなったことを告げると、ホロウェイが産まれる日だということで父親が身につけていた指輪をホロウェイに託すのだった。

キャストは違うものの、イギリスのテレビドラマがもとになっているということで、序盤は「早く終わらないかな」という感じで見ていたが、映像は割と本格的で、後半は引き込まれた。少し詰め込みすぎの内容で、感情移入がしづらかったが、最後のどんでん返しも効いていて、よかった。

【5段階評価】3

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2020年2月 9日 (日)

(2001) アジョシ

【監督】イ・ジョンボム
【出演】ウォンビン、キム・セロン、タナヨン・ウォンタラクン、キム・ヒウォン、キム・ソンオ
【制作】2010年、韓国

元軍人の男が、犯罪組織に拉致された孤独な少女を救うために死闘を繰り広げるアクションサスペンス。

とあるクラブの踊り子ヒョジョン(キム・ヒョソ)は、麻薬の密売人をスタンガンで倒し、麻薬を横取りする。ヒョジョンの娘、ソミ(キム・セロン)は、質屋を営むチャ・テシク(ウォンビン)に懐いており、彼をアジョシ(おじさん)と呼んでは家に上がり込み、無愛想なテシクもソミに愛着を感じていた。
組織のオ社長(ソン・ヨンチャン)は、責任者のマンソク(キム・ヒウォン)を鼻血が出るほど殴り、麻薬の奪回を指示。マンソクはヒョジョンを突き止め、マンソクの弟、ジョンソク(キム・ソンオ)がヒョジョンを拷問。ソミとともに拉致する。ジョンソクの手下がテシクの店に現れ、ヒジョンが預けていたバッグを差し出すよう脅迫。テシクは手下の一人をあっという間にねじ伏せてしまうが、ヒョジョンとソミが拉致されたことを知ると、大人しくバッグを渡す。組織は中味を確認すると、携帯電話を残して二人を連れ去ってしまう。翌日、かかってきた電話の指示により、立体駐車場の車を運転して麻薬をオ社長のもとに運ぶが、それはマンソク兄弟の罠だった。テシクの乗っていた車のトランクには、臓器売買のために目と内臓を奪われたヒョジョンの遺体があった。テシクは警察に捕まってしまうが、テシクは食事のために手錠を外された一瞬の隙を突いて警察を脱走。警察の調べでは、テシクはオ社長とつながりがなく、麻薬にも手を染めていないことが判明。さらに、彼が元軍情報部特殊作戦部隊の要員、特殊殺傷武術の教官であることが分かる。
ソミは、ジョンソクの息のかかった組織に軟禁され、麻薬密売に加担させられる。テシクは渡された携帯を手がかりにマンソク兄弟の居場所を突き止め、ディスコクラブに向かうが、彼らの雇う傭兵、ラムロワンがテシクに襲いかかる。トイレで互角の死闘を演じた二人だったが、マンソクはラムロワンとともに店から消える。テシクはかつて、子供を身ごもった妻のキム・ヨンスを亡くした過去があった。ソミに娘の面影を感じたテシクは、彼女の救出を決意する。ソミは組織に軟禁された状態だが、母親の無事を信じて健気に生きており、額を負傷したラムロワンに絆創膏を貼ってあげる優しさも見せていた。
麻薬製造場所を突き止めたテシクは、ジョンソクを拘束し、携帯でマンソクに電話をかけると、ジョンソクの太ももにネイルガン打ち込み、ジョンソクの悲鳴を聞かせてソミの居場所を聞き出そうとするが、マンソクは弟に手を出したらソミの目玉と内臓をくりぬくと逆に脅すと、手下にソミの目玉をくりぬけ、と指示する。テシクはジョンソクの麻薬工場を爆破。ジョンソクは爆死する。
ソミは監禁された車の中で、臓器摘出を行う男とラムロワンとともにいた。母親の心臓を取り出した、とニヤニヤしながら話す男に向かって、ソミはママは生きていると言ってと叫ぶが、麻酔を嗅がされてしまう。
テシクはマンソクのアジトに単独で入り込む。マンソクは目玉の入ったガラス瓶をテシクに転がして渡す。怒りが頂点に達したテシクは10人以上いるマンソクの手下を次々と殺害。ラムロワンは正々堂々とナイフ一本を持った一対一の戦いを挑むが、テシクはラムロワンを下す。車で逃げようとするマンソクだったが、テシクは防弾フロントガラスに何発も銃弾を撃ち込み、ついにガラスを貫通させてマンソクを殺す。全てを終え、全てを失った哀しみに自らの命を絶とうとするテシクは、「アジョシ」と呼ぶ声を耳にする。ソミだった。ソミは殺されておらず、マンソクの持っていた目玉は、ラムロワンが臓器摘出の男からくりぬいたものだったのだ。テシクは警察に捕らえられるが、最後にソミを強く抱きしめるのだった。

臓器が摘出され、目玉がくりぬかれた遺体やハードなナイフ武術など、リアリティを追求した映像が見もの。麻薬と臓器の密売という社会の闇を題材に、身寄りのなくなった少女を救おうとする無償の愛が描かれる。社会派の作品というよりは、アクションが見ものの娯楽作品。
多少残念なのは、例えばラストシーンで、単身で乗り込んでいったときに誰も彼を拘束しないし銃も向けないとか、まだ銃弾が残っているのにラムロワンのナイフでの一騎打ちに挑むところとか、ところどころ嘘くささが見えるところ。この辺り、娯楽作品とは言え、もっとリアリティや緊迫感があればもっとよかった。でも、ソミが殺されないですむところには、ソミの健気さを見てきたラムロワンが関わっているという設定が効いていて、よかった。一度観たときは、ラストで目玉をくりぬかれている遺体が臓器摘出の男と気づかず、「???」だったのだが。

【5段階評価】4

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2020年2月 7日 (金)

(2000) 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗

【監督】セルジオ・レオーネ
【出演】クリント・イーストウッド、イーライ・ウォラック、リー・バン・クリーフ
【制作】1966年、イタリア

ついに本ブログも2,000本め。約10年かけての達成だから、だいたい年間200本は見ていることになる。
ということで、記念すべき2,000本目は、隠された20万ドルの行方を追うガンマンを描いた西部劇。「夕陽のガンマン」の続編というタイトルだが設定は連続していない。

南北戦争時代。賞金稼ぎのブロンディ(クリント・イーストウッド)はお尋ね者のトゥーコ(イーライ・ウォラック)と組み、彼を捕まえて懸賞金を手にしては、彼を絞首刑から救うということを繰り返していたが、ブロンディはトゥーコとの仲を解消。彼を荒野に置き去りにする。何とか街に戻ったトゥーコは、ブロンディを見つけて砂漠を延々と歩かせ、恨みを晴らす。ブロンディが死にかけて倒れたとき、一台の馬車が通る。トゥーコは馬車を止めると、中に死にかけた兵士が乗っており、20万ドル払うから水をくれ、とトゥーコに頼み込む。彼の名はビル・カーソン。トゥーコは、ビルから金の隠し場所を聞き出す。隠した金は墓地に埋めたと彼は答えるが、墓の名前は答えない。トゥーコが水を取って戻ろうとすると、いつの間にかブロンディがビルのそばにおり、彼から墓の名前を聞き出していた。トゥーコはブロンディと汲まざるを得なくなる。
一方、殺し屋のエンジェル・アイ(リー・バン・クリーフ)もまた、ビル・カーソンの20万ドルを追っていた。ブロンディとトゥーコは南北戦争の戦場をくぐり抜けて墓地に到達。そこにエンジェルも現れる。墓の位置はブロンディにしか分からない。ブロンディは、墓の名前を石に書き、決闘をしようと提案する。ブロンディ、トゥーコ、エンジェルが三角形を描くように立つ。じりじりとした緊張の中、エンジェルが銃を抜くがブロンディが見事にエンジェルを撃つ。トゥーコの銃はからだった。ブロンディはトゥーコに正しい墓穴を掘らせ、20万ドルを発見。ブロンディはかつてやっていたようにトゥーコの首に縄をかけ、不安定な墓の十字架の上に立たせると、半分の取り分を馬に積み、その場を走り去ると、遠くからトゥーコを吊る縄を銃で断ち切る。助かったトゥーコだったが、走り去るブロンディの悪態を叫ぶのだった。

前作で主人公の相棒を演じたリー・バン・クリーフが、今回は悪役で登場。西部劇に南北戦争を掛け合わせ、カウボーイが戦争に参加するというのが独特。3人での決闘も珍しいが、結局、主人公が無敵なのでやはり緊張感はなかった。途中のシーンも間延びしたようで、2000本目の作品にしては期待外れだった。

【5段階評価】2

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2020年2月 6日 (木)

(1999) 夕陽のガンマン

【監督】セルジオ・レオーネ
【出演】クリント・イーストウッド、リー・バン・クリーフ、ジャン・マリア・ボロンテ
【制作】1965年、イタリア、西ドイツ、スペイン

二人の賞金稼ぎの活躍を描いたマカロニ・ウェスタン。

賞金稼ぎのダグラス・モーティマー大佐(リー・バン・クリーフ)は、10,000ドルの賞金首、インディオ(ジャン・マリア・ボロンテ)とその一味を狙う。彼は妹をインディオに殺された恨みがあった。同じ賞金稼ぎのモンコ(クリント・イーストウッド)もまた、インディオを狙う。モンコとモーティマーは互いに牽制しあい、互いの帽子を銃で撃ち合って腕が互角であることを悟ると、モーティマーはモンコの共闘を持ちかける。
インディオはエルパソの銀行の金庫を強奪。モンコは彼らの内部に入り込み、モーティマーもドリルと薬品を使って金庫を開け、彼らの仲間となるが、夜中、金の隠し場所に忍び込んだところをインディオに見つかってしまう。インディオの仲間にリンチされた二人だったが、インディオは、大金を受け取る仲間を減らすために、わざと二人を逃がし、それを仲間のせいにして仲間を殺す。さらに仲間に逃げた二人を追わせるが、モーティマーとモンコは返り討ちにする。インディオとモーティマーは果たし合いをし、モーティマーが勝利。復讐を果たしたモーティマーは分け前を放棄し、立ち去る。モンコは賞金首と銀行の金を手にし、馬車で去って行くのだった。

西部劇は自動録画されても観ないようにしているのだが、本作はあまりにも有名なのと、クリント・イーストウッドが出ているので観た。オルゴールの音楽が鳴り終わったら互いに銃で撃ち合うといった果たし合いの勝負が何度も登場。主人公は常に無敵で、理由もなく果たし合いに勝つので、昔はそれでも観客を興奮させたのだろうが、今観るとなんとも工夫がないと感じてしまった。
悪人のインディオが、実はモーティマーの妹を愛しており、妹はインディオに殺されたのではなく、インディオを受け入れられない妹が自害したのだ、という真相を明かすシーンがちょっと切なく、作品にいい味付けをしていた。最後のシーンも、インディオはもしかすると愛した妹の兄に殺されることを悟っていたのかもしれない、と思わせるのだった。

【5段階評価】3

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2020年2月 5日 (水)

(1998) 太陽の季節

【監督】古河卓巳
【出演】長門裕之、南田洋子、三島耕、岡田眞澄、石原裕次郎、石原慎太郎
【制作】1956年、日本

石原慎太郎の小説が原作の青春ドラマ。ボクシング部の若者と娘の恋の行方を描く。

向こう見ずな高校生、津川竜哉(長門裕之)は、バスケ部をやめてボクシング部に入る。仲間と街に出て三人の娘をナンパ。竜哉はそのうちの一人、武田英子(南田洋子)と付き合う。二人は始めは互いに、人を好きになることはないと言っていたが、互いに惹かれ合い、ついに肉体関係を持つに至る。その後も竜哉は他の女との遊びをやめずにいたが、英子を手放すことはなかった。竜哉の兄、道久(三島耕)は、5,000円をやるから英子に手を出すな、ともちかけ、竜哉は了承。それを知った英子は自分から5,000円を道久に支払う。道久と竜哉は何度かそれを繰り返したが、道久が罪の意識を感じ、その契約は終わる。ある日、英子が竜哉の前に現れ、子供ができたと告げる。子を産むかどうかにいい加減な返事をする竜哉を見て、英子は子を堕ろすことにするが、腹膜炎を起こして急死してしまう。竜哉は葬式に行くと、家族が見守る中、遺影にりんを投げつけ、葬儀場を後にするのだった。

太陽族(サングラスにアロハシャツの姿で不健全な行為にふける若者)という言葉の元になった作品。終始、恋愛に対して真面目に向き合わない竜哉を待っていたのは、英子の突然の死だった。ということなのだが、映画ではそのシーンは唐突で、竜哉に対する共感も反感も感じることができずに見終わってしまった。のちに仲睦まじい夫婦となる長門裕之と南田洋子の若い姿が観られるのは貴重だろう。

【5段階評価】2

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2020年2月 4日 (火)

(1997) ときめきに死す

【監督】森田芳光
【出演】沢田研二、杉浦直樹、樋口可南子、岸部一徳、宮本信子
【制作】1984年、日本

要人殺害をもくろむ男と、それを支える男の関係を描いた作品。

北海道の渡島駅で、大倉洋介(杉浦直樹)という中年男が工藤直也(沢田研二)を出迎える。大倉はとある家に工藤を招き入れ、手厚くもてなす。大倉は何者かの組織から大金で雇われ、工藤の世話をするよう命じられていた。組織の命により、梢ひろみ(樋口可南子)という女性も加わる。彼女は工藤にあてがわれるはずの女性だったが、工藤は彼女に手を出さなかった。工藤は組織から、新興宗教の会長、谷川(岡本真)の殺害を命じられる。ところが、警察の厳重な警備により殺害は失敗。車は会長を乗せて走り出すが、別の暗殺者が会長をライフルで狙撃。会長は命を落とす。パトカーに取り残された工藤は、自ら手首を噛みちぎる。血しぶきが浴びて工藤は絶叫するのだった。

森田芳光監督作品らしい、訳の分からない作品。意味深長なようで意味が分からない演出がてんこもり。ピンボールを黙々と行う老人とバニーガール。PC-8801を扱う少年。少年にキャビアを食わせる男。おつまみの入った大きなガラス瓶。海で泳ぐ工藤に英語学習の勧誘をする男(岸部一徳)。ピンクの装束の村に荷物を置きに行く工藤。荷物の中味。旅館の廊下で縦笛を吹く児童。演出の意味が分からないし、出てくるシーンの意味もストーリーとのつながりも分からない。あっさり会長の殺害に失敗する意味も分からないし、結局狙撃できるんかい、っていう意味も分からない。最後に派手に死ぬのも分からない。サスペンス性もないし、秘められたメッセージも読み取れない作品だった。

【5段階評価】1

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2020年2月 3日 (月)

(1996) ワンダー 君は太陽

【監督】スティーブン・チョボスキー
【出演】ジェイコブ・トレンブレイ、ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソン、イザベラ・ビドビッチ
【制作】2017年、アメリカ

遺伝子疾患を持って生まれた少年の生き方を描いた作品。

オーガスト・プルマン(ジェイコブ・トレンブレイ)、オギーは、遺伝子疾患を持って生まれ、度々の手術を経て顔を整形した少年。母親のイザベル(ジュリア・ロバーツ)は5年生になった彼を普通の学校に通わせることにする。はじめは宇宙飛行士のヘルメットで顔を隠しがちだったオギーだったが、ジャック・ウィル(ノア・ジュープ)やサマー(ミリー・デイビス)などの友達を得て、得意の理科で活躍。その年の優秀な生徒として表彰されるに至るのだった。

個性の強いオギーがもちろん主人公ではあるのだが、作品の主題は彼の苦悩だけではない。彼の姉ビア(イザベラ・ビドビッチ)は、両親の関心が完全に弟に向かっていることを認識し、手のかからない娘を演じる苦しみと闘っているし、ビアの親友ミランダ(ダニエル・ローズ・ラッセル)は離婚した母親との関係へのストレスから仲睦まじい家族で暮らすビアに嫉妬に似た感情を持っている。作品では、それぞれの登場人物の名前がサブタイトルのように表示され、サブストーリーが展開する。(そう言えば「呪怨」でも使われていたが。)こうした作風を通じて本作は、障害を持った人の苦しみを描きながらも、普通の人々もまたいろいろな悩みも同様に扱うことで、障害を特別視せず、個性の一つなのだ、ということを表現することに成功していると思える。ラストの表彰シーンは感動的だった。

【5段階評価】5

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