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2019年10月20日 (日)

(1955) この世界の片隅に

【監督】片渕須直
【出演】のん(声)、細谷佳正(声)、尾身美詞(声)、稲葉菜月(声)
【制作】2016年、日本

第二次世界大戦中の広島、呉で生きた若い女性の姿を描いたアニメ作品。主人公の声をのんが担当し、クラウドファンディングで資金を集めたことが話題となった。

広島市で海苔作りをする家庭で育ったすず(のん)は、呉の北條家に嫁ぐ。夫の周作(細谷佳正)はすずに優しかったが、姉の黒村径子(尾身美詞)はきつい性格で、しばしばすずに厳しく当たった。配給の食糧も乏しく、決して恵まれた状況ではなかったが、のんびりした性格のすずはおだやかに生きていく。しかし、ある空襲のあった日、径子の幼い娘、晴美(稲葉菜月)を連れて歩いていたすずは、時限爆弾の爆撃を受けてしまい、晴美は死亡、すずも右手を失う。それでもすずは健気に生きてきたが、広島に原爆が落ち、終戦の玉音放送を聞くと、ついに怒りが爆発し、泣き叫ぶ。今後のことを話し合うすずと周作のもとに、ひとりのみなしごが現れる。その子の母親は爆撃で右手を失い、そのまま命を落としていた。ふたりはその子を家に連れ帰り、ともに暮らすことにするのだった。

太平洋戦争の中、人々がどのように暮らしてきたかを写実的に描いており、当時を知る作品として興味深い。戦争の無残さ、むなしさを、おだやかな画風で、間接照明のようにほのかに描いており、普通の人々が否応なく不幸に陥ってしまい、それを普通のことだと感じさせられてしまうという狂気を表現している。評判のいい作品だと聞いていたので、ようやく観ることができて嬉しかった。のんの声優も、作風に合っていてとてもよかった。

【5段階評価】4

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