« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »

2019年10月

2019年10月31日 (木)

(1962) はいからさんが通る 後編 ~花の東京大ロマン~

【監督】古橋一浩
【出演】早見沙織(声)、宮野真守(声)、梶裕貴(声)、瀬戸麻沙美(声)、中井和哉(声)、櫻井孝宏(声)
【制作】2017年、日本

大和和紀の漫画が原作のアニメ映画。大正時代を力強く生きた女性の活躍を描く。「はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~」の続編。

許嫁の伊集院忍(宮野真守)の手がかりを求めて満州に渡った花見紅緒(早見沙織)は、忍の部下だった鬼島森吾(中井和哉)と会い、東京に戻る。ある日、ロシアの貴族の夫婦が来日する。その夫の名はサーシャ(宮野真守)。紅緒は一目見て、忍だと気づくが、相手はなぜか紅緒を見ても顔色一つ変えない。しかし、その正体はやはり忍だった。戦地で記憶を失った忍を、ロシア人のラリサ(坂本真綾)が介抱。自分のなくした夫サーシャの弟であった忍を、自分がサーシャだと思い込ませて結婚したのだった。紅緒と再会して記憶を取り戻した忍だったが、命の恩人であるサーシャを見捨てることができず、また、許嫁がいながらほかの女性と結婚したことへの自責の念から、忍は紅緒と一緒になることを諦め、紅緒もまた、病弱なラリサに同情し、忍を諦める。紅緒の働く出版社の社長の青江冬星(櫻井孝宏)は、そんな紅緒に求婚。紅緒は受け入れる。ところが結婚式の日、関東大震災が起き、紅緒は崩れた建物で負傷する。そんな紅緒が心に浮かべたのは、冬星ではなく忍だった。ラリサは震災の直前に息を引き取り、忍は改めて紅緒に愛を誓う。冬星は身を引き、忍と紅緒はやっと結ばれるのだった。

前編は、忍を求めて紅緒が大陸に渡るところで終わるので、後編は忍を探す紅緒の冒険譚になるのかと思ったら、鬼島に会っただけで帰国し、その後は主人公が二人のイケメンに愛されるという、典型的な少女漫画的展開だった。でもまあ、歴史的な事件とそれぞれの人物の人生は波乱に富んでいて、なかなか面白い物語であることが分かった。この前後編を見れば「はいからさんが通る」をほぼ理解できるという意味では、お得な作品かもしれない。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月29日 (火)

(1961) はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~

【監督】古橋一浩
【出演】早見沙織(声)、宮野真守(声)、梶裕貴(声)、瀬戸麻沙美(声)、中井和哉(声)
【制作】2017年、日本

大和和紀の漫画が原作のアニメ映画。大正時代を力強く生きた女性の活躍を描く。

跡無女学館の女学生、花村紅緒(早見沙織)は、武道が得意な17歳の少女。自分に軍人の許嫁、伊集院忍(宮野真守)がいることを知り、親のいいなりになるのは嫌だと思いつつも、優しくまっすぐな忍に惹かれていく。忍はシベリアに配属になり、戦地で仲間を救うため、敵兵と戦い、崖下に落下して行方知れずとなる。紅緒は勤め先の出版社から出張という形で、忍の手がかりを求めて満州に飛ぶ。

原作のストーリーを知る上ではちょうどいい作品。単なるラブコメかと思いきや、運命の人の行方を探しに行くという、主人公の明るい性格に焦点を当てながらも、シリアスな面もあるラブ・ストーリーである。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月28日 (月)

(1960) ジョバンニの島

【監督】西久保瑞穂
【出演】横山幸汰(声)、谷合純矢(声)、市村正親(声)、仲間由紀恵(声)、ユースケ・サンタマリア(声)
【制作】2014年、日本

太平洋戦争後の色丹島に住む少年の激動の人生を描いた作品。

色丹島で暮らす小学生、順平(横山幸汰)とその弟の寛太(谷合純矢)は、島で元気に暮らしていた。太平洋戦争が終わり、島にソ連軍がやってくる。彼らは順平らの家や小学校を接収し、軍人の家族が移民してくる。順平はソ連軍の将校の娘、ターニャ(ポリーナ・イリュシェンコ)と仲よくなる。順平の父、辰夫(市村正親)は島民のために食糧を確保しようとし、ソ連軍に捕まり、収容所に送られてしまう。順平と寛太は、小学校の佐和子先生(仲間由紀恵)、おじの英夫(ユースケ・サンタマリア)とともにソ連に連れて行かれる。二人は父親に会いに行くため、電車に飛び乗り、追いかけてきた英夫と佐和子先生の協力のもと、父親に会う。辰夫ははじめは順平を叱り、すぐに帰れと命じるが、哀しい顔をして帰ろうとする順平の名を叫び、再会を心から喜ぶ。順平らはソ連軍に見つかってしまうが、日本行きの船に送ってもらう。その車の中、体調の悪化した寛太は息を引き取る。順平は寛太をおぶり、日本行きの船に乗り込む。時は過ぎ、老人となった順平(仲代達矢)は、佐和子先生(八千草薫)とともに島に向かい、56年ぶりの卒業式を挙げる。そこにはターニャとうり二つのターニャの孫娘が来ており、順平はロシア民謡に合わせて少女と踊り、多くの人達の思い出に浸るのだった。

順平、寛太の名は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の登場人物、ジョバンニとカムパネルラから取られた名前。銀河鉄道の夜をモチーフに話が進む。映像は幻想的なシーンも多いが基本的には写実的。戦後の動乱に巻き込まれる非力な一般人たちが、時にたくましく、時に理不尽さに耐えながら生きていく様子が伝わってきた。雪の降る夜、辰夫と順平、寛太の再会のシーンが感動的だった。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月25日 (金)

(1959) 旅猫リポート

【監督】三木康一郎
【出演】福士蒼汰、高畑充希(声)、竹内結子、広瀬アリス、戸田菜穂
【制作】2018年、日本

猫とともに旅をする青年を描いた作品。有川浩の小説が原作。

野良猫のナナ(声: 高畑充希)を飼う青年、宮脇悟(福士蒼汰)は、ナナの飼い主を探す旅をしていた。ナナは悟が小学生の頃に飼っていた猫、ハチに似ていた。悟は小学生の時に両親を交通事故で失い、おばの法子(竹内結子)が身元を引き受けていた。悟は重い病気で余命幾ばくもなく、そのために飼い主を探していたのだ。かつての友人のもとを訪ねながら、悟は自分の人生を振り返っていく。結局、飼い手は見つからず、法子の家でナナを飼うことになる。やがて悟は入院し、帰らぬ人となる。ナナは悟のベッドの上に乗り、法子とともに悟を看取るのだった。

主人公がちょっとなよなよしすぎで、感情移入しづらかったのと、主人公が不治の病で死ぬ設定は、若干食傷気味なのだった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2019年10月24日 (木)

(1958) ブレイクアウト

【監督】ジョエル・シューマッカー
【出演】ニコラス・ケイジ、ニコール・キッドマン、リアナ・リベラト、ベン・メンデルソーン、キャム・ギガンデット
【制作】2011年、アメリカ

金品目的で豪邸に侵入した強盗から家族を守ろうとする男の奮闘ぶりを描いた作品。

ダイヤモンドの商売をしているカイル・ミラー(ニコラス・ケイジ)には、愛する妻サラ(ニコール・キッドマン)と愛娘のエイブリー(リアナ・リベラト)がいた。家族で夕食をとろうという計画の日、エイブリーは、親に内緒で家を抜け出し、友達とパーティにでかけ、その間に強盗団が押し入る。強盗団は4人。ボスのエライアス(ベン・メンデルソーン)、その弟のジョーナ(キャム・ギガンデット)、攻撃的な性格のタイ(ダッシュ・ミホク)、エライアスの恋人、ペタル(ジョーダナ・スパイロ)。エライアスは、カイルに金庫を開けるよう脅すが、カイルは頑として開けようとしない。サラは強盗団のひとり、ジョーナが、家に修理工としてたびたび入り込んでいた男だと気づく。ジョーナはサラに気があり、彼女に手を触れるな、と強盗団に再三指示を出す。やがてエイブリーが帰宅し、彼女も捕らえられるが、サラはエライアスの持っていた神経毒の注射を盗み取って強盗団のひとりの首につきつけ、エイブリーを逃がすよう指示。エイブリーが逃げたのを見て、ついにカイルは金庫を開けるが、中はからっぽだった。カイルはお金はないのだ、と告げる。エイブリーは連れ戻されてしまう。屋敷に金目の物がないことを知らされたエイブリーは、3人を始末しようとするが、エイブリーが、友人の家に禁固があり、そこに20万ドルある、と告げ、ペタルを乗せて車で友人の家を目指す。エライアスは麻薬密売人だったが、18万ドルの麻薬を何者かに奪われてしまったため、どうしても18万ドルが必要だったのだ。エイブリーは、運転していた車をわざと標識に激突させ、ペタルのもとから逃げると、ペタルの銃を持って家に戻る。家では、ジョーナがサラに、カイルを置いて一緒に行こうと告げ、カイルは一緒に行くよう妻に告げる。サラはジョーナに連れられていこうとしたところ、タイがジョーナを阻止しようとしてもみ合いになり、タイがジョーナの首を絞める。背後からエライアスがタイを撃つ。タイは死ぬ間際、麻薬の強奪を企てたのはジョーナで、彼はサラを我が物にするために、カイルの家に強盗に入るよう仕組んだのだ、とエライアスに告げる。逃げる二人をエライアスは追い詰め、工事中のような部屋の中で二人はつかまる。カイルはネイルガンでエライアスを攻撃し、エライアスと撃ち合いになり、そのはずみで壁の一部が崩れ、中から大金が現れる。カイルが密かにためた金だった。エライアスはようやく見つけた大金に喜び、エライアスはカイルとサラに銃を突きつけて息の根を止めようとするが、そこに銃を持ったエイブリーが現れ、エライアスに銃を向ける。しかし、サラを撃とうとするエライアスを撃ったのは、彼の背後にいたジョーナだった。ジョーナは大金をかき集めながらサラに声をかけるが、カイルはこぼれた灯油にライターで火を付け、サラとエイブリーを逃がすと、ジョーナの足にネイルガンを打ち込む。ジョーナはカイルを撃ち殺そうとするが、戻ってきたサラがカイルをかばう。サラは、ジョーナに銃を渡して、と優しく話しかけるが、ジョーナはサラを羽交い締めにして一緒に死ね、と告げる。カイルは落ちていた銃でジョーナを撃ち、サラはなんとかカイルを外に連れ出す。3人は何とか助かるのだった。

展開がめまぐるしく、飽きさせないようにしているのと、なぜ金庫はからなのか、サラとジョーナは本当に恋愛関係にあるのか、という謎も織り交ぜて、そこそこ凝った作りになっているものの、犯人側の犯行計画の雑さに知性が感じられない残念な作品だった。まず、家族3人がいるはずだったのに、襲撃したとき娘がいないという失態。そしてそのうち戻ってくるだろう、という適当な対応策。付いてきた強盗団の女はクスリでイカれていて役立たず。ダイヤを盗もうとしたのに、盗品のダイヤを売ろうとしても売れないとカイルに説得されてあっさりひるむ。友人のパーティ会場に金があると言われて、ヤク中の女性ひとりだけを付き添わせる。当然のお約束で、結局、犯人側は主人公も主人公の家族も殺さない。こんな調子だと、いくら展開がめまぐるしく変わっても、なかなか興奮できないのだった。
序盤、カイルが車から降りるシーンで、ちらっと手錠が映るので、潜伏調査をしている刑事か何かなのかと思ったら、単にスーツケースと自分の手を手錠で繋いでいるだけだった。だったらもっとちゃんと映してほしい。それもなんだかまぎらわしかった。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月23日 (水)

(1957) 劇場版アイカツ!

【監督】木村隆一、矢野雄一郎
【出演】諸星すみれ(声)、寿美奈子(声)、田所あずさ(声)、大橋彩香(声)
【制作】2014年、日本

テレビアニメ「アイカツ!」の映画化作品。スペシャルライブを成功させるために活躍するアイドル達を描いている。

アイドル活動「アイカツ」中のアイドル、星宮いちご(諸星すみれ)は、学園長(松谷彼哉)から「大スター宮いちごまつり」というスペシャルライブの開催を告げられる。ライブを成功させるため、仲間のあおい(田所あずさ)や蘭(大橋彩香)がいちごに協力。いちごは、自分の憧れのアイドル、美月(寿美奈子)への気持ちを届けられるよう、シンガーソングライターの花音(かのん)(藤村歩)に曲を依頼。ライブ当日。衣装がなかなか届かない中、仲間の協力でライブをつなぎ、ようやく衣装が到着。いちごは最高のパフォーマンスを遂げる。アンコールでは憧れの美月も登場。ライブの成功後、いちごは美月を抜いてアイカツランキングのトップに立つ。いちごは後輩のあかり(下地紫野)にエールを送るのだった。

女の子向けの他愛もない話と言えばそれまでだが、アイドル達が振り付けをそろえて仲間のために踊るシーンはなんだか胸が熱くなる。ライバル同士の嫉妬のようなどろどろした部分は描かず、仲間のために自分にできることをするという姿を描き、素直にライブの成功を喜べる内容。たまにはこういう毒のない作品もいいかも。実はこの作品は映画館でも観ていた。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月22日 (火)

(1956) 溺殺魔 セバスチャン・ドナー

【監督】チャド・アーチボルド
【出演】ミッチェル・マイレット、キャロライン・パーマー、ライアン・バレット、ジョアン・ノードストーム
【制作】2014年、カナダ

水を媒介にして現れる殺人鬼の恐怖を描いたホラー作品。

イザベルという女性が、女性を溺死させる連続殺人鬼に狙われ、バスタブの中で彼に気があるふりをして返り討ちにしようとするが、殺人鬼はバスタブに沈んで消えてしまう。時が経ち、マディソン(ミッチェル・マイレット)という若い女性が、友達のハナ(キャロライン・パーマー)の婚約を喜んでいると、ふとした弾みで池に落ち、そこで何者かに襲われる悪夢を見る。それ以来、マディソンは水を怖がるようになり、ハナの結婚式にも出席できなくなってしまう。ハナはマディソンの恐怖を拭おうと、友人達とにせの悪魔払いを企てるが、意に反して不意にろうそくの火が消えたり、バスタブに横たわったマディソンが何者かに頭をつかまれ溺れそうになったり、何かが実在するような現象が起きる。マディソンはネットで情報を集め、セバスチャン・ドナー(ライアン・バレット)という殺人鬼の存在を知る。ハナはマディソンの情報収集に協力する。
儀式に参加したローレン(シドニー・コンドルース)は、何気なく飲んだ水が喉につまり、テーブルの上に吐き出す。そこから殺人鬼の手が伸び、ローレンを引きずり込む。ローレンは殺人鬼の家の浴槽に転移し、そこで溺死させられる。キャスリン(クレア・バステーブル)は魔物の存在に気づき、友人のコビー(ジェンマ・バード・マセソン)に警告に行くが、キャスリンもまた、コビーの目の前で水のたまった洗面台の中に引きずり込まれ、溺死させられる。マディソンは、ハナ、コビーとともに、セバスチャンを殺したというイザベル(ジョアン・ノードストーム)に会いに行く。イザベルはセバスチャンにレイプされており、産まれたのがマディソンだった。セバスチャンはマディソンを我が物にしようとしているのだという。3人は半狂乱になったイザベルの部屋を出てエレベーターに乗るが、突然、エレベーターの天井から水が流れ出し、床からセバスチャンが現れてコビーが引きずり込まれてしまう。残されたマディソンとハナは、セバスチャンの家に向かう。セバスチャンが火に弱いという情報を得たマディソンは、発煙筒を片手に地下室に向かうが、ハナは途中でセバスチャンに襲われ、水槽の中で溺死する。助けることができなかったマディソンの前にセバスチャンが現れる。マディソンは隙を突いて発煙筒をセバスチャンに突きつけ、部屋からの脱出に成功する。
マディソンは水を飲んでも大丈夫であることを確認すると、イザベルのもとに向かう。雨に濡れ、水をしたたらせたままのマディソンを見て、イザベルは恐怖する。マディソンは、セバスチャンは倒した、とイザベルに説明するが、マディソンの背後には、セバスチャンが立っているのだった。

恐怖映画ではあるが、血が流れるような残酷なシーンはなく、比較的上品な作り。殺人鬼も、無差別殺人というよりは、自分を殺したイザベルとその娘を付け狙うという目的がはっきりしているので、自分の背筋が寒くなるような後味は残らない。水のあるところに現れるというと、「ジョジョの奇妙な冒険」のアクア・ネックレスを思い出すが、そこまでの奇想天外さはなかった。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月20日 (日)

(1955) この世界の片隅に

【監督】片渕須直
【出演】のん(声)、細谷佳正(声)、尾身美詞(声)、稲葉菜月(声)
【制作】2016年、日本

第二次世界大戦中の広島、呉で生きた若い女性の姿を描いたアニメ作品。主人公の声をのんが担当し、クラウドファンディングで資金を集めたことが話題となった。

広島市で海苔作りをする家庭で育ったすず(のん)は、呉の北條家に嫁ぐ。夫の周作(細谷佳正)はすずに優しかったが、姉の黒村径子(尾身美詞)はきつい性格で、しばしばすずに厳しく当たった。配給の食糧も乏しく、決して恵まれた状況ではなかったが、のんびりした性格のすずはおだやかに生きていく。しかし、ある空襲のあった日、径子の幼い娘、晴美(稲葉菜月)を連れて歩いていたすずは、時限爆弾の爆撃を受けてしまい、晴美は死亡、すずも右手を失う。それでもすずは健気に生きてきたが、広島に原爆が落ち、終戦の玉音放送を聞くと、ついに怒りが爆発し、泣き叫ぶ。今後のことを話し合うすずと周作のもとに、ひとりのみなしごが現れる。その子の母親は爆撃で右手を失い、そのまま命を落としていた。ふたりはその子を家に連れ帰り、ともに暮らすことにするのだった。

太平洋戦争の中、人々がどのように暮らしてきたかを写実的に描いており、当時を知る作品として興味深い。戦争の無残さ、むなしさを、おだやかな画風で、間接照明のようにほのかに描いており、普通の人々が否応なく不幸に陥ってしまい、それを普通のことだと感じさせられてしまうという狂気を表現している。評判のいい作品だと聞いていたので、ようやく観ることができて嬉しかった。のんの声優も、作風に合っていてとてもよかった。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2019年10月18日 (金)

(1954) 東京暮色

【監督】小津安二郎
【出演】笠智衆、有馬稲子、原節子、山田五十鈴
【制作】1957年、日本

父と娘二人の家族に起きるできごとを描く人間ドラマ。

銀行員の杉山周吉(笠智衆)には二人の娘がいた。長女の孝子(原節子)は、父の勧めで文筆家の沼田康夫(信欣三)と結婚したが、折り合いが悪く2歳の娘を連れて父と暮らしており、次女の明子(有馬稲子)は父親に黙って知り合いに借金をお願いして回っていた。明子は木村憲二(田浦正巳)という若者と付き合って妊娠してしまい、中絶費用を工面しようとしていたのだった。明子は、時々顔を出す雀荘の女将、相島喜久子(山田五十鈴)が自分のことを調べていることを知り合いに聞かされ、彼女が物心の付く前に家を出てしまった母親ではないかと感じる。孝子は明子に黙って喜久子に会いに行き、明子に自分が母親だと言うな、と念を押す。明子はそれに気づいてしまい、喜久子に会って自分は誰の子供か、と問いかける。彼女は周吉が自分の父親なのか疑い始めていたのだ。喜久子は周吉が父親で間違いないと告げる。明子が妊娠したらしいことを噂に聞いていた喜久子はそのことを明子に聞くが、明子はそれには答えず、「お母さん嫌い! 」と叫んで出て行ってしまう。明子中華料理屋で一人、酒を飲む。そこに憲二が現れるが、明子は店を飛び出し、列車にはねられて命を落とす。孝子は喪服姿で喜久子のもとを訪れ、母親のせいで死んだ、と喜久子を責める。喜久子は東京にいるのが嫌になったと言って、夫(中村伸郎)から打診されていた北海道行きを承諾。夜行列車の出る日の昼、周吉の家を訪ねて、応対した孝子に明子に手を合わせたいと告げるが、孝子は受け入れず、喜久子の持ってきた花だけを受け取る。喜久子はその夜、夫とともに夜行列車で旅立つ。孝子の見送りを期待したが、彼女は来なかった。孝子は周吉に、沼田とやり直すと決意を告げる。片親だった明子は、母親がいなくて寂しかったのだと悟り、娘に同じ思いはさせたくないと思ったのだった。周吉は賛成し、手伝いを雇ってひとり暮らしを始めるのだった。

淡々と出来事が語られていくのだが、話は明快で分かりやすかった。号泣するほどの悲劇ではないが、終始、暗いムードで笑顔のシーンが少ない作品。
雀荘のシーンで、「イチニッパ」や「ゴナロク」などという、今の麻雀なら「イチサン」や「ゴッパ」という点数の発声が、時代を切り取っていて面白い。また、ヒョコタキっていうセリフがあるのだが、調べてみたものの意味が分からなかった。「誰勝ってんだい」と聞かれて「やっ子ちゃんよ。ヒョコタキよ」と答えているので、バカヅキみたいな意味だろうか。麻雀国語辞典に入れようかと思ったのだが。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月16日 (水)

(1953) 竜馬を斬った男

【監督】山下耕作
【出演】萩原健一、島田陽子、根津甚八、板東八十助、佐藤慶、中村れい子、大村崑
【制作】1987年、日本

早乙女貢の小説が原作。坂本竜馬を暗殺した尊王攘夷派の武士の生涯を描く。

美しい妻、八重(藤谷美和子)を江戸に置いて、剣術に優れた武士、佐々木只三郎(萩原健一)は京都に入り、討幕派の志士を討ち倒す。京都では芸妓の小栄(こえい)(島田陽子)の世話になりながらも、八重を思いながら過ごす。京都にはかつて只三郎の許嫁のぬい(中村れい子)を寝取った男、亀谷喜助(板東八十助)がおり、勤王派の彼は只三郎の討伐を誓う。
世間では、坂本竜馬(根津甚八)が薩長同盟に関与し、倒幕の動きを加速していた。只三郎は近江屋で竜馬を討つも、政府軍との戦いで致命傷を負ったところ、喜助にとどめを刺される。只三郎は喜助に反撃の太刀を浴びせ、喜助は河原で命を落とす。八重が京都に着いたのは、只三郎がなくなって半月が立っていたのだった。

史実に人間ドラマを織り交ぜた作品。泥水をすすったり、燃やした紙にかぶりついたり、という狂気の演技が萩原健一らしい。終盤に喜助が「俺はあんたが好きだったんだ~! 」と叫ぶシーンは、あまりにもひねりがないセリフで、しかも今さらなんだそりゃ、という失笑もの。学園ドラマじゃないんだから。歌舞伎俳優にわざわざ言わせるセリフではなかった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2019年10月15日 (火)

(1952) ライフ

【監督】ダニエル・エスピノーサ
【出演】ジェイク・ジレンホール、レベッカ・ファーガソン、真田広之、アリヨン・バカレ、ライアン・レイノルズ
【制作】2017年、アメリカ、イギリス

火星の生命体を採取した宇宙飛行士たちに襲いかかる恐怖を描いたSFホラー。

ISSの宇宙飛行士たちが、火星の土のサンプルを入手。生物学者のヒュー・デリー(アリヨン・バカレ)は、その再生に成功。培養を開始すると、単細胞生物と思われたその生命体は、融合して一つの意志を持って動くようになる。生命体はカルビンと名付けられるが、手のひら大に成長したそれは、隔離実験室の中でヒュー・デリーを襲い、培養装置の手袋を突き破って部屋の中に出ると、マウスを一瞬にして飲み込んで成長する。乗組員のローリー(ライアン・レイノルズ)は、部屋に飛び込んでヒューを室外に助け出すが、自分は取り残されてしまう。火炎放射器を使ってカルビンを焼き殺そうとするが果たせず、カルビンはローリーの口から体内に入り、ローリーを殺すと、換気口から室外に脱出し、行方をくらます。ステーションの装置が故障したため、キャット(オルガ・ディホビチナヤ)が船外に調査に行く。そこにカルビンが現れ、キャットに襲いかかる。キャットは仲間を守るため、自ら船外脱出口のドアを閉めて絶命。しかしカルビンは再びステーションに取りつき、スラスターから船内に戻る。船内で生き残っているのは、船医のデビッド(ジェイク・ジレンホール)、検疫官のミランダ(レベッカ・ファーガソン)、そしてエンジニアのショウ(真田広之)、そして右手をカルビンに砕かれたヒュー。4人は船内の一室に集まってカルビンを酸素欠乏状態にしようとするが、カルビンは密かにヒューの脚にとりつき、再び彼らに襲いかかる。デビッドとミランダは何とか逃げ切り、はぐれたショウも睡眠カプセルの中に逃げ込む。そしてソユーズがISSに到着。目的は彼らの救出ではなく、ミランダの指示により、乗組員を隔離することだった。妻と産まれたばかりの娘が地球で待っているショウは、何とかデビッドとミランダのもとに戻ろうとするが、途中でカルビンに追いつかれる。ミランダは何とかショウを救おうとするが果たせず、ショウはカルビンに殺される。ISSの中で孤立した二人は途方に暮れるが、デビッドは2つの緊急脱出ポッドにそれぞれが乗り込み、自分がカルビンを引き連れて大気圏外に跳ぶので、ミランダは地球に戻れ、と提案する。デビッドは酸素ランタンでカルビンを誘導しながら脱出ポッドに乗り込み、それを確認したミランダも何とかポッドに乗り込んで発射する。2体のポッドがからみあうように飛ぶ中、デビッドはカルビンに襲われ、宇宙服のヘルメットを剥ぎ取られ、襲われる。ミランダは脱出の成功を祈りながらポッドの捜査を続ける。やがてポッドは地球の海上に落下。近くにいた地元の漁師がポッドの中をのぞき込む。そこにいたのは、ミランダではなく、カルビンに取り込まれようとしているデビッドだった。カルビンはデビッドの手を捜査して自らのポッドを地球に突入させており、宇宙の彼方に飛び去ってしまったのは、ミランダの方だった。ポッドを開けるなと絶叫するデビッドの声もむなしく、漁師はハッチを開け、次々と漁船が集まってくるのだった。

大騒ぎして残酷なシーンが続くだけのパニックホラーではなく、ジェイク・ジレンホールらの演技は抑制が効いていて、見応えがあった。宇宙の無重力の撮影は俳優をワイヤーでつるして操作していたらしいが、そう感じさせないすばらしいできばえ。ただ、生命体のCG感が強すぎるのと、知能や運動能力の発達の仕方が極端すぎで、現実味に乏しいのが残念だった。やはり「エイリアン」の生々しさのほうが上回ると感じた。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2019年10月14日 (月)

(1951) おかあさんといっしょ はじめての大冒険

【監督】-
【出演】花田ゆういちろう、小野あつこ、小林よしひさ、上原りさ、満島真之介
【制作】2018年、日本

NHK教育の看板番組、「おかあさんといっしょ」の初劇場版作品。

番組のうたのおにいさん(花田ゆういちろう)、おねえさん(小野あつこ)、体操のおにいさん(小林よしひさ)、おねえさん(上原りさ)がバスに乗り、航空シミュレーターを体験したり、過去にタイムスリップしてお殿様(満島真之介)と踊ったりする。アニメコーナーでは、チョロミー(吉田仁美)、ムームー(冨田泰代)、ガラピコ(川島得愛)、スキッパー(西川貴教)らが、蜂の妖精イオ(関根麻里)とロボットのゴムリ(横山だいすけ)の友情をつなぐ。

子供向けの作品ということで、なぞなぞの答えを観客に聞いたり、大きな声を一緒に出してと言ってみたり、最後には撮影タイムがある。イオの声優が明らかに下手で、誰だろうと思いながら聞いていたが、関根麻里だった。声優ってけっこう難しいんだな、と実感。
それとこの映画、いろいろ調べたのだが、プロデューサーはいるものの、監督が見つからない。初めて監督名を書けない作品となった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2019年10月13日 (日)

(1950) 日の名残り

【監督】ジェームズ・アイボリー
【出演】アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、クリストファー・リーブ、ジェームズ・フォックス
【制作】1993年、イギリス、アメリカ

カズオ・イシグロの小説を映画化した作品。イギリスの執事の生き様を描いている。

イギリスの貴族の屋敷で執事をしていたスティーブンス(アンソニー・ホプキンス)は、屋敷を買い取ったアメリカの富豪、ファラディ(クリストファー・リーブ)に仕えることになる。スティーブンスはかつて仕事仲間だった女性、ケントン(エマ・トンプソン)から手紙を受け取る。スティーブンスはケントンに復職を持ちかけるため、彼女に会いに行く。
スティーブンスは仕事に忠実な男で、気の強い性格だったケントンは、女中頭として働いていた頃、主人のダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)がユダヤ人の使用人を解雇したことを激しく非難。辞職すると宣言するができず、自らを責めるケントンに、スティーブンスは優しい言葉をかける。スティーブンスの父(ピーター・ボーン)の死を乗り越え、仕事を続ける二人は次第に惹かれ合うが、スティーブンスは自分の感情をついに表に出すことはなく、ケントンは別の男と結婚したのだった。
過去を回想したスティーブンスは久しぶりにケントンと再会。職場復帰を持ちかけるが、娘の出産があるから、とそれを断る。別れ際、バスに乗り込むケントンは涙ぐんでいるように見えた。スティーブンスは屋敷に戻り、執事を続けるのだった。

男女の愛のすれ違いを描いた物静かな作品。イギリスの貴族の外交の様子が描かれ、その文化に触れられるのは楽しい。こういう作品もたまにはいい。原作がノーベル文学賞作家の小説であるということで、そんな気になっているのかもしれないが。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月 7日 (月)

(1949) チャイルド・プレイ

【監督】トム・ホランド
【出演】キャサリン・ヒックス、アレックス・ビンセント、クリス・サランドン、ブラッド・ドゥーリフ
【制作】1988年、アメリカ

魂の宿った人形が人を襲うホラー作品。

連続殺人魔のチャールズ・レイ(ブラッド・ドゥーリフ)は、刑事のマイク・ノリス(クリス・サランドン)に追われ、銃撃を受けて瀕死の状態になる。おもちゃ屋に逃げ込んだチャールズは、おもちゃの人形に呪術を施し、自分を置いて逃げたエディ(ニール・ジュントーリ)とマイクを殺すと恨みを込め、絶命する。
その人形は浮浪者を通じて、アンディ・バークレイ(アレックス・ビンセント)の元に届く。アンディが人形に話しかけると、人形はチャッキーと自己紹介する。母親のカレン(キャサリン・ヒックス)の残業中、同僚のマギー(ダイナ・マノフ)がアンディの面倒を見るが、チャッキーはひとりでに起き出し、チャッキーをぞんざいに扱うマギーを攻撃。マギーは台所の窓から転落死する。チャッキーはアンディに話しかけてエディの元に自分を連れて行かせると、エディのガスコンロでガス漏れを起こし、エディを殺害。警察に保護されたアンディは、チャッキーがやったと刑事に説明するが誰も信じない。ところがチャッキーを家に持って帰ったカレンは、チャッキーに電池が入っていないことに気づく。カレンは暖炉に火をつけ、話さないと燃やすとチャッキーを脅すと、チャッキーは突然恐ろしい表情でカレンを罵倒し、カレンにかみついて逃走する。カレンは慌ててマイクのもとに向かい、チャッキーに襲われたと説明するが、マイクは信じない。ところが、車に乗っているマイクもチャッキーに襲われる。何とかチャッキーを追い払ったマイクは、カレンとともに、アンディが確保されている医療施設に向かう。アンディはチャッキーが来たことに気づき、チャッキーに襲われながらも逃走。自宅に籠城する。チャッキーは、人間の体に戻るため、アンディを襲い、バットで殴って気絶させると彼に呪いの言葉をかける。そこにカレンとマイクが追いつき、死闘の末、チャッキーを倒す。頭がはずれ、黒焦げになったチャッキーを、アンディはしばらく見つめ、ドアを閉じるのだった。

やや大柄であまりかわいいとは言えない人形が、残酷な表情をあらわにして人に襲いかかるという、なかなかインパクトのある作品。殺害シーンの描写は控えめで、それほど心臓に悪くはない。
序盤からスピーディな展開なのがよい。オープニングで、刑事に負われる殺人鬼チャールズは、今際の際に突然、人形に向かって謎の呪文を唱え始める。何の説明もないが、観客はおそらくこの人物はどこかで呪術を身につけたのだろうと、勝手に想像で設定を補う。実際その通りの設定なので、それで問題はなく、序盤に彼がブードゥー教に心酔している説明的なシーンを入れる必要はない。もっとも、「オーメン」や「エクソシスト」のような重厚なホラーではなく、娯楽色の強い作品。エンディングでは、アンディに呪いがかかってしまったのではないか、と暗示させるような描写があり、ホラー映画定番の余韻を残していた。実際、いくつも続編が作られている。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月 6日 (日)

(1948) 劇場版MOZU

【監督】羽住英一郎
【出演】西島秀俊、真木よう子、伊勢谷友介、香川照之、長谷川博己、ビートたけし、杉咲花、松坂桃李、池松壮亮
【制作】2015年、日本

逢坂剛の小説を原作としたテレビドラマ、「MOZU」の劇場版。娘と妻を失った刑事が真相を求めて悪に立ち向かうサスペンス作品。

娘(小泉彩)を風呂場で、妻(石田ゆり子)を爆破テロで失った刑事、倉木尚武(西島秀俊)は、事件の背後に存在するというダルマの正体を突き止めるため、行動を起こす。犯罪組織の高柳柳市(伊勢谷友介)は権藤剛(松坂桃李)は、共謀してペナム共和国の少女、エレナ(マーシュ彩)を誘拐しようとするが未遂に終わる。倉木の元同僚の私立探偵、大杉良太(香川照之)は偶然、エレナを発見してかくまったため、事件に巻き込まれ、娘のめぐみ(杉咲花)を誘拐される。女性刑事の明星美希(真木よう子)も誘拐される。倉木と多過ぎは協力して二人の救出のため、ペナムに向かう。大杉は娘とエレナを守ろうとするが権藤にやられ、娘を殺されそうになる。そこに、権藤があがめる殺人者、新谷和彦(池松壮亮)が現れ、権藤を倒す。倉木は高柳に連れられ、ダルマこと吉田駒夫(ビートたけし)のもとに連れて行かれる。高柳らのエレナ誘拐の目的は、彼らが先生と仰ぐ吉田駒夫(ビートたけし)の延命のため、高齢の彼に臓器を提供する子供を確保することだった。高柳は倉木に歯車になれ、と命じる。結局、エレナは再び誘拐され、吉田は臓器移植により生気を取り戻す。夜の高層ビルの屋上で、高柳は倉木の娘の死の背景にダルマがいたことを告げる。倉木は高柳の投げナイフで襲われながらも高柳を返り討ちにする。吉田はそれを見て高笑いし、ヘリでその場を去る。しかし、そのヘリは墜落した。ダルマを追っていた公安捜査官、東和夫(長谷川博己)の仕業のようだった。倉木はダルマのいなくなった世界で生きていくのだった。

そこそこ派手なロケと映像ではあるが、芝居が嘘くさく、演技している感がありすぎ。特に松坂桃李と長谷川博己の高笑いや舌なめずりしながら話すような演技ぶりは、俳優は大変だなぁ、と逆に冷めてしまった。大使館の娘を誘拐するため、おとりでビルを襲い、無実の人たちを殺すとか、犯人たちの残虐さを湿す手段としては工夫がなく、安っぽい。もとのテレビドラマ版を見ていないので、あまり関心がなかったというのもあるかもしれないが、ドラマは見ていなくても、「HERO」なんかはちゃんと面白く感動的だった。本作は、泣けるところも感動するところも全くなく、ただただ大げさな演技、芝居がかったセリフ(いやまあ芝居なんですけども)が続くだけだった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2019年10月 5日 (土)

(1947) 101匹わんちゃん

【監督】ウォルフガング・ライザーマン、ハミルトン・ラスク、クライド・ジェロニミ
【出演】ロッド・テイラー(声)、ベン・ライト(声)、リサ・デイビス(声)、ケイト・バウアー(声)
【制作】1961年、アメリカ

15匹の子供をサレワレタダルメシアンの夫婦が、仲間の協力を得て子供達を取り戻すまでを描いたディズニー・アニメ。

ピアノ作曲家のロジャー・ラドクリフ(ベン・ライト)の飼い犬のオスのダルメシアン、ポンゴ(ロッド・テイラー)が、結婚に関心のなさそうな飼い主を何とかしようと通りを眺めていると、美しい女性アニータ(リサ・デイビス)ときれいなメスのダルメシアン、パーディタ(ケイト・バウアー)が散歩をしているのを発見。ポンゴの機転でロジャーとアニータは知り合い、結婚。ポンゴもパーディタと夫婦になる。パーディタは15匹の子を産むが、アニータの知り合いのクルエラ(ベティ・ルー・ガーソン)が、毛皮目当てに、二人の男を使って15匹をさらう。ポンゴとパーディタは遠吠えをして仲間と連絡をとり、子供を取り返す旅に出る。子犬は99匹集められていた。猫のチブス(デビッド・フランカム)が99匹の子犬の脱出を手引きし、ポンゴとパーディタはクルエラの追撃を振り切って子供達を助ける。ポンゴたちが戻ってきたのを見てロジャーは大喜び。101匹になった犬と暮らすことを決めるのだった。

コミカルだが写実的な犬の躍動的な姿が印象的。当時の技術からすると、相当魅力的な作品だったに違いない。登場する人間達も個性的で面白く、アニメーション映画のお手本のような楽しい作品。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2019年10月 3日 (木)

(1946) 祈りの幕が下りる時

【監督】福澤克雄
【出演】阿部寛、松嶋菜々子、小日向文世、溝端淳平、桜田ひより
【制作】2018年、日本

東野圭吾の推理小説の映画化作品。「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」の続編。

東京の日本橋の刑事、加賀恭一郎(阿部寛)は、精神を病んで家を出て仙台で亡くなった母親の田島百合子(伊藤蘭)が、かつて交際していた綿部俊一という男を16年間、捜し続けていた。加賀の従弟の松宮脩平(溝端淳平)は、滋賀県に住む女性、押谷道子(中島ひろ子)が腐乱死体となって発見された事件と、河川敷で焼死体が発見された事件との関連を見抜く。焼死体のDNAが、道子の死体が発見された部屋の住人、越川睦夫のものと一致したのだ。道子がなぜ東京に来たのかを捜査した脩平は、彼女が中学時代の同級生、浅居博美(松嶋菜々子)の母親(キムラ緑子)を勤め先で偶然見かけ、博美に会いに行ったことを知る。博美は道子の死を知っていた。博美は道子から、母親を見つけたから引き取ってほしいと問われるが、母親を激しく恨んでいた博美は、それを断っていた。彼女の部屋には、剣道着姿の加賀と一緒に写った写真があった。脩平は加賀に話を聞く。博美は芝居の演出家で、中学生の剣技指導を加賀に依頼しに来たことがあった。彼女は、自分は子供を堕ろしたことがある、自分は人殺しなんだ、という話を加賀にしていた。越川の部屋にあったカレンダーには、月ごとに日本橋周辺の橋の名前が書き込まれており、その橋の名と筆跡は、田島百合子の部屋にあったものと一致していた。加賀は、探し続けていた綿部俊一と越川睦夫が同一人物ではないか、と考える。彼女は中学生の頃に父親が自殺し、施設で育っており、中学卒業後、苗村(及川光博)という教師と交際していた。綿部俊一の正体は苗村かと思われたが、綿部を知る女性、宮本康代(烏丸せつ子)はそれを否定する。
捜査に加わった加賀は、父親が滋賀のビルで飛び降り自殺をしたという博美の話が嘘であると見抜き、博美に問いただす。博美はそれは罪に問われるのか、と開き直る。事件の関係者が自分の周辺にいることに気づいた加賀は、博美が自分に会ったのは偶然ではないのではないか、と考え始める。もし自分の亡くした肉親に恋人がいたら、その子供に会いたくなるのではないか。そう考えたのだ。加賀は、改めて博美に会いに行き、真相を博美から聞く。
中学生の博美(桜田ひより)の母親は、浮気をした挙げ句、夫名義で多額の借金をして家族を捨てていた。借金取りに追われ、夜逃げをした博美と父親の忠夫(小日向文世)が、とある食堂で食事をしていると、原発作業員の横山一俊(音尾琢磨)という男に話しかけられる。横山は二人が夜逃げをした親子だと見抜き、博美にこっそり、お小遣いを上げるから食堂裏のバンに来い、とささやく。博美は、父親が吹っ切れたように豪華な旅館に泊まったにもかかわらず、持ち金が全くないことに気づき、父親が自殺しようとしていると直感。意を決した博美は、横山の車に近寄る。横山は舌なめずりをするような顔つきで博美を車の中に引き入れる。博美がいないことに気づいて外を探し回っていた忠夫は、乱れた服装で駆け寄ってくる博美を発見。その手は血まみれだった。博美は横山を受け入れることができず、車の中にあった箸で横山の首を突き殺していたのだ。それを見て全てを悟った忠夫は、博美にある提案をする。それは、自分が自殺したことにして横山に成り代わり、原発作業員として働くというものだった。博美は号泣しながらも、その提案を受け入れざるを得なかった。二人はその後も、人目を忍んで会っていた。カレンダーの橋の名前は、密会をする場所を意味していたのだった。二人は不幸な境遇の中でもかすかな幸せを感じていたが、博美との密会が苗村にバレてしまう。忠夫は、苗村が博美の交際相手だと知りつつも、苗村を絞殺する。そして博美の演出した舞台の初日。博美は忠夫を舞台に招待していた。そこに居合わせたのが、博美の同級生の押谷道子だった。彼女は死んだはずの博美の父親に気づき、彼に声をかける。忠夫は道子も殺さざるを得なかった。自分を偽って逃げ続ける暮らしに疲れた忠夫は、博美に舞台の賛辞を伝えた後、自害を決意する。父親の自殺の気配を察知した博美は、河川敷で忠夫がテントにガソリンを撒いているのを見る。博美は必死で止めるが、忠夫のもう疲れた、という告白に同情。焼け死ぬのはごめんだ、とかつて忠夫が言っていたことを覚えていた博美は、父親が須子でも苦しまずに逝けるよう、自らの手で父親の首を絞めたのだった。
加賀は博美から、父親の書いた加賀宛ての手紙を手渡す。そこには、加賀の母親がなぜ、家族を捨てて失踪したのかが記されていた。水商売上がりの彼女は、夫の家族からさげすまれていた。精神的に不安定になった彼女は、ある日、いつの間にか息子の前で包丁を手にしている自分に気づき、このままでは息子にとんでもないことをしてしまうのではないか、と考え、家を去ったのだった。なぜ母親が自分を捨てたのかが分からなかった加賀は、それをやっと知ることになった。加賀の父親(山崎努)が、息子の活躍を空から見守ることができるなら、命が尽きるのが待ち遠しいぐらいだと言っていた、という話を、父親の看護をしていた金森登紀子(田中麗奈)から聞かされていた加賀は、博美の父親も同じように考えて死を選んだのだろうと考えるのだった。

真相を再現するクライマックスが圧巻。中学生の博美と父親が泣きながら抱き合って別れを惜しむシーンは感動的だった。東野圭吾原作の映画の中では、かなり当たりの部類だった。同じ加賀恭一郎シリーズでも「さまよう刃」はひどかったからな。

【5段階評価】5

| | コメント (0)

« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »