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2019年9月

2019年9月30日 (月)

(1945) ハングリー・ラビット

【監督】ロジャー・ドナルドソン
【出演】ニコラス・ケイジ、ジャニュアリー・ジョーンズ、ガイ・ピアース、ハロルド・ペリノー
【制作】2012年、アメリカ

妻の暴行被害をきっかけに組織犯罪に巻き込まれる男の奮闘を描いたサスペンス。

高校の英語教師、ウィル・ジェラード(ニコラス・ケイジ)は、美しい妻ローラ(ジャニュアリー・ジョーンズ)が暴行されたという報せを受ける。レイプされ、重体となった彼女を見てショックを受けるウィルに、サイモン(ガイ・ピアース)という男が近寄り、暴行魔への復讐を引き受けることをほのめかす。金銭は要求しないが、あとで手伝いをお願いすることになると言われ、ウィルはつい依頼をしてしまう。暴行魔は殺害され、自殺として処理される。ウィルは驚くが、やがてサイモンから、アラン・マーシュという少女暴行魔を殺害するよう指示される。ウィルが拒否すると、部屋の中に何者かが侵入し、冷蔵庫にマグネットで「choose」と書かれていた。ウィルは従わざるを得なくなり、現場に向かう。ウィルが歩道橋の上で恐る恐るアランを呼び止めると、アランは突如、押していた自転車をウィルに投げつけ、飛びかかってくる。ウィルがよけると、アランは歩道橋から落下し、車に轢かれて絶命する。ウィルは慌てて現場から逃走する。現場の監視カメラは別の関係者によって破壊されていると聞かされていたが、ウィルは現場の別のカメラに写っており、警察に逮捕されてしまう。ところが、中にいた刑事のひとりに、組織の合い言葉「空腹の兎は跳ぶ」を答えたところ、刑事に逃げるよう手引きされ、ウィルは警察を後にする。サイモンの組織は、始めは街にはびこる犯罪者を粛正する組織だったが、次第に組織に邪魔な者なら誰でも殺害の対象にするようになっていた。ウィルの友人だったジミー(ハロルド・ペリノー)も組織の者で、妻を人質に取られてしまう。サイモンはウィルを休業中のショッピングモールに連れて行く。そこには妻のローラがいた。サイモンはジミーらにウィルとローラの殺害を指示するが、ジミーは無実の者を殺そうとするサイモンに反抗。ジミーはサイモンに撃ち殺される。ウィルはサイモンに飛びかかって妻を守ろうとし、最後は護身用に拳銃を手にしていたローラがサイモンを射殺する。二人は、ウィルを警察から逃した刑事によって現場から立ち去るよう指示され、無事に現場を後にする。ウィルは、実は記者だったアランが、ハングリー・ラビットの組織の陰謀を暴くために取材した記事を新聞社に持って行く。ウィルがデータを託した男に、しっかり取材してくれ、と頼むと、男は任せてくれ、と言いながら「空腹の兎は跳ぶ」と答える。ウィルは絶望的な顔つきで男を見送るのだった。

出る作品を割と選ばないニコラス・ケイジが主演ということで、当たりか外れかどちらか、と思ったら、まあまあ当たりの方だった。
組織の狙いや結末が気になり、割とシンプルな結論に至る。複雑すぎず、気楽に楽しめる。もっとも、ウィルにいろいろと指示を出し、複数人でそれを監視しているので、費用対効果的に組織の運営方法はかなり疑問である。二人で監視するぐらいなら、その二人で処理を担当すりゃあいいじゃん、というツッコミをどうしても入れたくなってしまうのだった。妻役のジャニュアリー・ジョーンズは「アンノウン」でも主人公の妻役を演じている。

【5段階評価】4

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2019年9月26日 (木)

(1944) スリーメン&ベビー

【監督】レナード・ニモイ
【出演】トム・セレック、スティーブ・グッテンバーグ、テッド・ダンソン、フィリップ・ボスコ
【制作】1987年、アメリカ

急に赤ちゃんを育てることになった独身男性3人の奮闘ぶりを描いたコメディ作品。

建築家のピーター(トム・セレック)、漫画家のマイケル(スティーブ・グッテンバーグ)、CM俳優のジャック(テッド・ダンソン)の3人は、おしゃれな共通の家に住み、独身貴族を謳歌していた。ピーターの誕生パーティの日、ジャックは仕事仲間から荷物の代理受け取りを頼まれる。ジャックは留守番のピーターとマイケルにそれを告げ、CM撮影のため海外に飛ぶ。翌朝、家の前には、かごに入れられた見知らぬ赤ちゃんが置かれていた。かごの中には、シルビアという女性の書いた手紙があり、ジャックが父親だと書かれていた。ジャックの言っていた届く荷物とはこの赤ちゃんのことだと考えたピーターとマイケルは、仕方なく赤ちゃんを家に入れて世話を始める。始めはとまどう二人だったが、徐々に赤ちゃんの世話が板に付き、愛着が沸いてくる。数日後、二人組の男が家に現れ、荷物を家取りに来た、と言う。二人は赤ちゃんを手渡すが、しばらくして、家に届いていた小さな箱の存在に気づく。中味は麻薬だった。ピーターは慌てて二人の男を追いかけ、赤ちゃんを回収。二人組は麻薬を手に入れるため、ピーター達の留守中に家に押し入る。やがてジャックが帰ってくる。3人は、麻薬を追ってくる二人組の男を工事中のビルのエレベーターに閉じ込め、警察に連絡。二人は逮捕される。
やがて、赤ちゃんの母親のシルビア(ナンシー・トラビス)が現れる。シルビアは、赤ちゃんを連れてイギリスに帰るという。3人は赤ちゃんと離れるのが寂しく、空港まで追いかけるが、そこにシルビアの姿はなかった。諦めて家に戻った3人は、シルビアが戻ってきているのを発見。4人は一緒に暮らすことを決めるのだった。

父性愛をテーマにした、ほのぼのとした作品。麻薬を扱う二人も、犯罪者とはいえ暴力的ではなく、コミカルに描かれている。赤ちゃんを育てた経験のある人なら、より感情移入して楽しめるだろう。ただ、ストーリーにあまりひねりはない。

【5段階評価】3

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2019年9月24日 (火)

(1943) 隣のヒットマン

【監督】ジョナサン・リン
【出演】ブルース・ウィリス、マシュー・ペリー、ナターシャ・ヘンストリッジ、マイケル・クラーク・ダンカン
【制作】2000年、アメリカ、カナダ

隣にマフィアの殺し屋が引っ越してきたことに気づいた歯医者が巻き込まれる騒動を描いたコメディ作品。

カナダの片田舎に住む歯医者、オズことニコラス・オゼランスキー(マシュー・ペリー)は、誠実な人柄だが稼ぎが悪く、妻のソフィ(ロザンナ・アークエット)や義理の母から冷たくあしらわれる毎日。ある日、隣の家に引っ越してきた男にオズが何気なく挨拶をすると、手の入れ墨から、彼が殺し屋ジミー・チュデスキであることに気づく。ジミーはシカゴのマフィアを裏切っており、敵対関係にあった。ジミーはオズと仲よくなる。オズがソフィにそのことを告げると、ソフィは、シカゴのマフィアに彼の居場所を伝えて報奨金をもらいに行くようオズに指示。ソフィはその一方でジミーに接近してオズのことを告げ口する。オズがシカゴに到着し、ホテルにチェックインすると、部屋の中に黒人の大男フランキー・フィグズ(マイケル・クラーク・ダンカン)がおり、オズをマフィアのボス、ヤンニ・ゴーゴラック(ケビン・ポラック)のもとへ連れて行く。ヤンニはジミーを心底恨んでおり、フランキーをジミーの元へ向かわせる。そこにはジミーの妻、シンシア(ナターシャ・ヘンストリッジ)がおり、オズは一目惚れ。情報を求めてホテルの部屋にやってきたシンシアもオズの人柄に惹かれ、二人は一夜をともにする。シンシアによれば、ヤンニとジミーとシンシアのうち、生きている者のサインがあれば引き出せる1,000万ドルの大金が銀行にあり、ジミーはヤンニと自分を殺そうとしているし、ヤンニもジミーと自分を殺すだろうという。オズはシンシアを守ることを決意する。
フランキーとカナダに戻ったオズは、フランキーとジミーが親友であることを知る。ジミーによれば、ソフィがオズの殺害を1万ドルで依頼したということだった。そしてオズの勤める歯医者の受付をしているジル(アマンダ・ピート)もまた、ソフィがオズの殺害を依頼した殺し屋だった。ジルはオズからジミーの話を聞き、大ファンだと言って彼のもとに連れて行くようオズに頼む。ジルは、オズに近づいて彼の人のよさを知って殺せなくなったと話し、ジミーは、標的に近づきすぎるな、と助言する。ジルはすっかりジミーの虜になり、ジミーの計画に加わることになる。
ヤンニはシンシアと手下を連れてカナダにやってくる。フランキーとともに彼らを出迎えたオズは、ジミーを殺害するヤンニの計画に付き合わされてしまうが、隙を見てシンシアを連れて逃走する。ジミーは、ジルの協力のもと、ヤンニを返り討ちにする。そこに、一人の男が現れる。ソフィがオズ殺害のために雇った別の殺し屋だった。ジミーは難なく男を倒す。ところが彼は警察バッジを持っていた。潜伏捜査官だったのだ。逃げたオズにジルがポケベルで連絡を取る。電話を受け取ったジミーは、オズから、シンシアを愛していると告白される。とっさにジミーは、オズがシンシアと寝たことを見抜き、激怒。オズは死んだ警官の歯形をジミーとそっくりに偽装工作することを提案。シンシアはヤンニとジミーの死亡診断書をもとに1,000万ドルを引き出すと、ジミーに送金。オズは命を助けられ、形式上、未亡人となったシンシアに結婚を申し込む。ジミーは新しい相棒ジルを恋人にするのだった。

隣の男が殺し屋かと思ったら実は主人公の誤解で、すれ違いのやりとりが面白いというアンジャッシュのネタのような展開かと思ったら、予想に反して本当に殺し屋で、しかもコメディタッチの割に、後半は容赦なく人を殺し始める。別の意味で意外な作品だった。
素っ裸のジルが突然現れ、その隙にジミーが標的を殺すという作戦は、男の観客を喜ばせる以外の何の意味があるのか全く不明。劇中人物としてのジルの心境も意味不明だが、これを演じたアマンダ・ピートもまた、「なんでこんなことのために私のおっぱいをあらわにしなきゃいけないの」と思ったに違いない。プロの俳優の悲哀を感じた。

【5段階評価】3

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2019年9月19日 (木)

(1942) チェイス!

【監督】ビジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
【出演】アーミル・カーン、カトリーナ・カイフ、アビシェーク・バッチャン、ウダイ・チョープラ
【制作】2013年、インド

銀行に恨みを持つサーカス団の男と警察との攻防を描いたアクション映画。

銀行の融資を受けられず、銀行を恨んで自殺したサーカス団長の父を持つ青年サーヒル(アーミル・カーン)は、銀行だけを襲う盗賊となる。彼を追ってインド警察のジャイ(アビシェーク・バッチャン)とアリ(ウダイ・チョープラ)が現地シカゴにやってくる。サーヒルはサーカス団長としてジャイに接近。捜査協力を申し出ておいて銀行内部の情報を収集し、犯行を企てる。ジャイは犯人の肩を銃撃するが取り逃がす。後日、ジャイはサーヒルの肩を確認するが、そこに銃創はなかった。
実はサーヒルには双子の弟サマール(アーミル・カーン、二役)がおり、二人は協力して警察の目を欺いていた。サーカスでの人体消失のトリックも二人によるものだった。サマールは口下手で、常に兄サーヒルの影として生きてきたが、サーカス団に新しく入った美しい女性アーリア(カトリーナ・カイフ)に恋をしたサマールは表舞台に出ることを望む。二人は得意のバイクで逃走するが、ダムの上に追い詰められる。二人はダムからともに落下し、命を落とす。サーカス団長はアーリアが継ぐのだった。

インド映画は確か初めて取り上げる。派手なダンスシーンが登場したり、変形するバイクを使った路上と水上のチェイスシーンなどで盛り上げる。ストーリーとしても、中盤に双子が登場という展開で、ミステリー作品ではNGのトリックだが、アクション映画ならあり。ただ、恋物語やらなんやら、いろいろ盛り込みすぎて、ちょっと慌ただしい作品だった。

【5段階評価】3

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2019年9月17日 (火)

(1941) 星を追う子ども

【監督】新海誠
【出演】金元寿子(声)、入野自由(声)、井上和彦(声)、竹内順子(声)
【制作】2011年、日本

一人の女子中学生が巻き込まれる地底の国の冒険を描いたファンタジー・アニメ作品。

中学生の明日菜(金元寿子)は、鉄道の橋の上で大きな猪のような魔物に遭遇。そこに現れたシュン(入野自由)という少年に助けられる。彼が死んだと聞き、彼と会った場所に行くと、そこにはシュンと似たシン(入野自由、二役)という少年がいた。シュンとシンは地底の国アガルタから来ており、シンは、地上の世界と地底の世界を繋ぐ鍵となるクラビスの欠片を回収しに来ていた。突然、シンは武装した兵士の一団に襲撃される。一団はアガルタへの入り口を探しており、一団を率いていた森崎(井上和彦)は、自らの野望のため、組織を裏切り、アガルタに踏み込む。森崎に同行した明日菜は、アガルタでシンと再会。途中で出会った少女、マナ(日高里菜)の村で一夜を明かす。森崎の狙い、それは、地下の魔法の力で、亡くした妻を生き返らせることだった。森崎は明日菜とともに村を出て地の奥底を目指す。アガルタの兵は地上人である二人を倒そうとするが、シンは二人を守る。地下への断崖絶壁を前に、明日菜は動けなくなってしまい、森崎はひとりで地底を目指す。明日菜は地底に住む夷族(いぞく)に襲われるが、シンが間一髪で助けに入る。明日菜はシンとともに再び地底を目指す。地底では、森崎がシャクナ・ビマーナに妻の復活を願い出る。妻の魂が目の前に現れるが、受け皿となる肉体が必要だと言われてしまう。そこに折悪しく、明日菜が現れる。森崎は明日菜を受け皿にしようとするが、シンが儀式を妨害。現れた妻のリサ(島本須美)は、森崎に思われ続けたことを幸せに感じながら、姿を消していく。
三人は地の底から戻り、明日菜は日常の暮らしに戻り、森崎はアガルタに残ることを決めるのだった。

新海誠監督の写実的な作風とはやや一線を画し、ファンタジー色の濃い、ジブリアニメっぽい作品。明日菜について回る猫のような生き物ミミ(竹内順子)は、ナウシカの肩に乗っているテトのようだし、ケツァルトルという守り神のようなロボット生物は、「天空の城ラピュタ」のロボット兵のようでもある。ただ、ストーリーとしては、主人公の意志がどこにあるのか、よく分からず、空から落ちたり崖を降りたりするミニスカ女子中学生と、それを全く気にしないおじさんとの不思議な冒険の旅だった。

【5段階評価】3

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2019年9月15日 (日)

(1940) 帰ってきたヒトラー

【監督】ダービト・ブネント
【出演】オリバー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ、クリストフ・マリア・ヘルプスト、カッチャ・リーマン
【制作】2015年、ドイツ

現代にタイムスリップしたアドルフ・ヒトラー。ものまねタレントと勘違いされ、有名になっていく彼の野望を描いたブラック・コメディ。

自殺寸前のアドルフ・ヒトラー(オリバー・マスッチ)が2014年にタイムスリップ。彼はキオスクの店長に助けられ、空腹を満たす。彼はキオスクの中の情報をもとに、ドイツが戦争に負け、自分が死んだことになっていることを理解する。テレビ会社を首になったザバツキ(ファビアン・ブッシュ)は、自分の取材中のフィルムにヒトラーらしき人物が写っているのを発見し、彼を起用するアイディアを局に持ち込む。観客はヒトラーのものまねタレントが真面目に話していると受け取り、番組は盛り上がる。局長のベリーニは喜ぶが、局長の座を狙う副局長のゼンゼンブリンク(クリストフ・マリア・ヘルプスト)は、ヒトラーがまとわりつく子犬を撃ち殺すシーンをテレビで流し、ベリーニを失脚させる。ヒトラーはザバツキの恋人のクレマイヤー(フィランツィスカ・ウルフ)に招かれるが、クレマイヤーの祖母がヒトラーを敵視する過剰な反応、そして彼のユダヤ人への冒涜的な発言が気になったザバツキは、彼を発見した場所が、ヒトラーの地下壕の跡地だったことを発見。彼が本物のヒトラーであると確信する。彼はベリーニに真相を伝えるが相手にされず、精神病院送りにされてしまう。ヒトラーが書いた本を元にした映画が製作され、監修をしたベリーニはまたも時の人に。ヒトラーはまた、ドイツの人々に受け入れられようとしているのだった。

ヒトラー役のオリバー・マスッチは、ヒトラーとは体格も顔も似ても似つかないと言っていいほどだが、独特の髪型と口ひげ、そして話し方でそれらしく見えるのは面白い。作品の中では、ヒトラーを演じた多くの人々がフラッシュ映像として流れるが、その中には「ヒトラー ~最期の12日間~」のブルーノ・ガンツが含まれている。序盤はニヤリとさせ、後半に不穏な余韻を残す作品だった。

【5段階評価】3

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2019年9月 9日 (月)

(1939) マネーモンスター

【監督】ジョディ・フォスター
【出演】ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、ジャック・オコンネル、カトリーナ・バルフ、ドミニク・ウェスト
【制作】2016年、アメリカ

株式情報番組を乗っ取った立てこもり犯とキャスターが、株価暴落の真相に迫る過程を描いたサスペンス。

株式情報番組のキャスターのリー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が生放送番組を進行していると、とある若者(ジャック・オコンネル)がスタジオに現れる。彼はゲイツに銃を突きつけ、爆薬の付いたジャケットを着せて番組を乗っ取る。プロデューサーのパティ・フェン(ジュリア・ロバーツ)は若者を刺激しないよう、音声でゲイツに指示を出す。
若者の名はカイル・バドウェル。彼はゲイツのコメントを信じて、相続した6万ドルをアイビス社の株につぎ込んだが、アイビス社の株は暴落。カイルはゲイツを恨む。カイツが番組を乗っ取る様子は世界中に放送される。ゲイツはカイルに冷静になってもらおうと、事実を伝えようとし、アイビス社の広報責任者のダイアン(カトリーナ・バルフ)へのインタビューを試みるが、株価暴落の理由は株価の高速取り引きのプログラムのバグだとする杓子定規な応答にカイルは激昂。テレビモニタを銃で破壊する。パティは、スタジオに指示を出す一方で、ハッカーなどを使ってアイビス社の株価暴落の原因を究明する調査を進める。
ダイアンは機中にいたアイビス社CEOのウォルト・キャンビー(ドミニク・ウェスト)と会い、彼を真相究明の会見場に連れて行く。ゲイツはカイルとともにスタジオを出て会見場に向かう。その移動は、警察に囲まれた異様なものだったが、その途中でカイルは、爆弾は偽物だとゲイツに耳打ちする。アイビス社の株価が暴落したのは、プログラムのせいではなく、ウォルトの策略によるものだった。彼はストライキによって株価が下がっている南アフリカの鉱山会社の株を買い、その騒動が収まることで巨額の利益を得ていた。カイルはウォルトを脅して謝罪の言葉を勝ち取ると、達観したように手にした起爆装置を放り投げる。彼を囲んでいた狙撃隊の一人が、その瞬間に彼の心臓を撃ち抜き、カイルは絶命する。事件は落着し、ウォール街は、何事もなかったかのように、この事件を飲み込んでいくのだった。

ジョディ・フォスターの監督作品。ジョージ・クルーニーが主演・製作ということもあって、社会性の高い作品かと思ったが、電子マネーや株式の高速取引などを扱ってはいるものの、娯楽性を追及した作品だった。スピーディな展開、番組製作の裏側を見せる内容は興味深かったものの、犯人が死んでしまい、ゲイツがキャンビーを殴るというエンディングは物足りなかった。そういう暴力ではなく、知的なかたちでぎゃふんと言わせてほしかった。

【5段階評価】3

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2019年9月 6日 (金)

(1938) ぼくたちの家族

【監督】石井裕也
【出演】妻夫木聡、池松壮亮、原田美枝子、長塚京三、黒川芽以、鶴見辰吾
【制作】2014年、日本

母親が脳の病気に冒された四人家族の絆を描いた作品。

二人の息子を持つ若菜玲子(原田美枝子)は、物忘れや人の会話に集中できない、などの症状が現れ始めていた。玲子は長男の浩介(妻夫木聡)の妻の深雪(黒川芽以)の懐妊を喜ぶが、祝いの席で深雪の名前を呼び間違えたり、大声で独り言を言ったりしたため、夫の克明(長塚京三)は玲子を病院に連れて行く。診断の結果は重度の脳腫瘍で、余命は1週間だと言う。克明と浩介はショックを受けるが、次男の俊平(池松壮亮)は深刻に考えすぎだ、と明るく振る舞う。検査の結果、腫瘍の転移はなかったが、玲子は浩介のことを認識できなくなっており、夫がすぐ横にいるにもかかわらず、夫の悪口を言い、でも好きだから一緒にいたい、と俊平に話しかける。玲子は1週間を過ぎても生きていたが、担当医はさじを投げ、退院させようとする。浩介と俊平は手分けして治療してくれる医者を探し、ついに俊平が探し当てる。診断の結果、彼女はリンパ腫であることが判明。一命を取り留める。玲子に冷淡だった深雪も、俊平や克明の説得、そして何より浩介への信頼から、玲子の看病を申し出る。病状が回復した玲子は、深雪のお腹に「おばあちゃんですよ」と話しかけるのだった。

引き籠もりの過去を持ち、真面目な性格の浩介と、不真面目なようで実は誠実な俊平の対比が特徴的で、分かりやすい作品。お涙ちょうだい感がないのもよかったが、母親が一命を取り留めたときに、それまで平然としていた俊平が堰を切ったように泣き出すシーンは感動的だった。父親の克明がいいとこなしだったのは、ちょっとかわいそうだったが。

【5段階評価】3

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2019年9月 3日 (火)

(1937) レンタネコ

【監督】荻上直子
【出演】市川実日子、草村礼子、光石研、山田真歩、田中圭、小林克也
【制作】2011年、日本

猫のレンタルをする女性が様々な人達と交流する様子を描いた作品。

祖母に亡くなられ、一軒家に一人で住むサヨコ(市川実日子)は、祖母譲りの猫に近寄られる性質で、家には多くの猫が住んでいた。結婚の決意を書にしたためてふすまに張るが、男には縁がなく、隣のおばさん(小林克也)に馬鹿にされる日々。彼女はリヤカーに6匹ほど猫を乗せ、「レンタネコ」をしていた。ある老女(草村礼子)は、夫を亡くし、一緒にいた猫が死んだというので猫を借り、単身赴任の男(光石研)は犬好きの娘に臭いと言われたと悲しんで猫を借りる。彼女は家の審査をし、合格すると1,000円をもらって猫を貸すのだった。レンタカー屋の店員(山田真歩)にはドーナツをごちそうになったお礼に猫を貸した。ある日、いつものように河川敷でレンタネコの口上を述べていると、中学時代の幼なじみの吉沢シゲル(田中圭)に声をかけられる。彼は中学時代、嘘ばかり付いていた。彼は勝手にサヨコの家に付いてくる。サヨコは中学時代、保健室で寝てばかりおり、ジャミ子と呼ばれていた。シゲルはそんなサヨコがうらやましかったと言う。シゲルはいまは泥棒をやっているとうそぶき、暑い日はビールだ、と言って勝手にビールを買ってくるとサヨコに手渡し、立ち去る。その夜、サヨコの家に警察が来る。彼は本当に窃盗の常習犯だった。サヨコは中学の保健室でシゲルが持ってきたガリガリ君も、盗んだものだったのか、と思い返す。サヨコはまた、レンタネコ屋を続けるのだった。

かもめ食堂」や「めがね」の荻上直子監督作品ということで、肩の力の抜けた作品。脱力系女性漫画が原作のような作品で、ところどころ、彼女の本業というか副業として、デイトレーダーや占い師、CM作曲家などをしているシーンが挿入されるのだが、個人的には今ひとつ受けなかった。どうしても現実感(突っ込みどころ)を求めてしまう自分の性格だろう。「かもめ食堂」は好きな作品で、特に料理のシーンが素晴らしいと感じたのだが、本作はどうも今ひとつ入り込めなかった。
山田真歩演じるレンタカー店の女性が、知り合いの女の子にめっちゃ似ているのだが、「AカップのCランク」みたいな話が出てくるので、さすがに似ていると本人には言えないのだった。目が不自由とか手足の障害とかをいじるのはタブーなのに、Aカップとかハゲとか、そういうのをいじるのは笑いにつながるという感覚は、どうも好きになれない。当人の意志の及ばない他人の身体的特徴を馬鹿にして笑いにつなげるのは、ルール違反だと個人的には思っている。

【5段階評価】2

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2019年9月 2日 (月)

(1936) エージェント: ライアン

【監督】ケネス・ブラナー
【出演】クリス・パイン、ケビン・コスナー、キーラ・ナイトレイ、ケネス・ブラナー
【制作】2014年、アメリカ

CIA捜査官となった青年が、ロシアの事業家のテロ行為を防ぐために活躍するアクション作品。

9.11テロを機に軍隊入りしたジャック・ライアン(クリス・パイン)は、ヘリでの移動中に負傷し、除隊。彼に目を付けたCIAのトマス・ハーパー(ケビン・コスナー)は、彼に博士の取得と、テロリストの資金の監視を命じる。ジャックは、リハビリを担当した医学生のキャシー・ミュラー(キーラ・ナイトレイ)と暮らすようになり、10年間、CIA捜査官であることを伏せたまま捜査を続ける。ついにロシアの事業者チェレビン(ケネス・ブラナー)の不透明な口座の動きを発見したジャックは、単身、モスクワに向かう。チェレビンの差し向けた殺し屋を退けたジャックは、チェレビンと会うが、大した情報は得られない。ジャックは食い下がり、チェレビンとのディナーの約束を取り付ける。ところがジャックの部屋に勝手にキャシーが来てしまう。ジャックは自分がCIAであることを明かす。トマスはキャシーがチェレビンと食事をしている間に、酒に酔った振りをしたジャックがチェレビンの執務室に侵入し、闇取引のデータを盗み出す作戦を実行。途中で気づいたトマスはキャシーを拉致して拷問しようとするが、彼女の指輪に仕込まれた発信器を手がかりに彼女を奪い返し、帰国する。
チェレビンは息子のアレクサンドル(アウレック・アットゴフ)を使って、ウォール街で爆破テロを起こし、為替取引で大金を稼ごうとするが、ジャックはアレクサンドルの乗ったバンを発見。死闘の末、バンを運転して川の中に突っ込ませ、大事故を未然に防ぐ。ジャックは晴れて正式なCIA捜査官となり、大統領に面会するのだった。

ジャック・ライアンが主役の映画としては、「レッド・オクトーバーを追え」や「パトリオット・ゲーム」、「今そこにある危機」などがある。本作はジャック・ライアンがCIA捜査官になる経緯を描いていて面白いが、どうにもこの手の作品は、主人公が死ぬわけがないと思って観てしまうので、せめて他の重要人物が死を賭けるような展開があった方が、ハラハラしただろう。トマスなんかさしたる危機的立場にはおらず、ほぼ無敵状態だし、キャシーも電球を口にくわえるぐらいで、特に危害を加えられないままなので、正直あまり手に汗を握る感じはなかったのだった。

【5段階評価】3

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2019年9月 1日 (日)

(1935) 大脱出

【監督】ミカエル・ハフストローム
【出演】シルベスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジム・カビーゼル、カトリーナ・バルフ
【制作】2013年、アメリカ

巨大監獄からの脱出を試みる男達の活躍を描いた作品。二大アクションスターの初ダブル主演となった。

刑務所からの脱獄を成功させたレイ・ブレスリン(シルベスター・スタローン)は、犯罪者ではなく、刑務所のセキュリティを確認するため、自ら投獄されて脱獄を実行するコンサルタント。ある日、CIAの女性ジェシカ(カトリーナ・バルフ)から、非合法の監獄での任務を依頼され、所長のクラーク(ビンセント・ドノフリオ)は引き受ける。ところが、クラークは監獄の所長ホブス(ジム・カビーゼル)と通じており、脱獄のプロ、レイを脱獄させないことで、監獄の評判を上げさせるという目的で、レイを送り込んでいたのだった。レイは、ポルトスという偽名で収監され、やがてエミル・ロットマイヤー(アーノルド・シュワルツェネッガー)に話しかけられ、脱獄に協力するようになる。懲罰房からの脱出に成功したレイは、監獄の上部を目指し、外に出るが、そこは巨大タンカーの甲板だった。監獄は洋上にあるのだった。レイとロットマイヤーは、敵対していた囚人のジャベド(ファラン・タヒール)を仲間に付け、即席の六分儀で位置を計測。暴動を機に脱出を開始。ジャベドは看守の銃撃により致命傷を負い、ホブスにとどめを刺されるが、ロットマイヤーは甲板への脱出に成功。救出に来ていたヘリに乗り込み、機関銃で応戦。レイは排水タンクに入り込み、船外に脱出。ヘリに拾い上げられる。ホブスは船上から銃で攻撃するが、レイがドラム缶を銃撃し、ホブスは爆発に巻き込まれて死亡する。ロットマイヤーの正体は、ホブスが居場所を探っていた人物、マンハイム本人で、CIAのジェシカは彼の娘だった。ロットマイヤーと別れたレイは仲間と合流し、裏切り者のクラークを乗っていた車ごとタンカーのコンテナに放り込み、報復を果たすのだった。

大脱走」とよく似た紛らわしい邦題だが、本作は文学性のかけらもない完全な娯楽作品。脱出不可能な監獄の割に、看守の銃を奪って派手な銃撃戦が始まったり、シュワちゃんに機関銃持たせてぶっ放させたり、安っぽく俳優を使っているなあ、という印象は拭えない。まあでも、コーヒー牛乳パックを使った脱獄のアイディアなんかはちょっと面白かった。

【5段階評価】3

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