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2019年7月27日 (土)

(1925) トータル・リコール

【監督】レン・ワイズマン
【出演】コリン・ファレル、ジェシカ・ビール、ケイト・ベッキンセール、ブライアン・クランストン
【制作】2012年、アメリカ、カナダ

脳に直接働きかけて人工的な夢を見せるというサービスを受けようとした男が、大きな陰謀の渦に巻き込まれる。1990年「トータル・リコール」のリブート作品。

地球が汚染され、富裕層が暮らすUFBと貧困層が暮らすコロニーが別れた未来の世界。労働者のダグラス・クエイド(コリン・ファレル)は、見知らぬ女性(ジェシカ・ビール)とどこかの施設から逃走しようとしている夢に悩まされていた。彼はリコールという、極上の夢を人工的に体験させるサービスがあると聞き、仕事仲間ハリー(ボキーム・ウッドバイン)の反対を無視してそこに行く。二重スパイとして活躍するという夢を選んだダグラスだったが、リコールの担当者は突然、サービスの実施を停止。そこに警察が乗り込んでくる。大勢に囲まれたダグラスは、自分でも信じられないような身のこなしで全員を倒し、その場を脱出する。家に戻ったダグラスは、愛する妻であったローリー(ケイト・ベッキンセール)にも襲われる。彼とローリーは偽装結婚で、ローリーは彼の監視役だったというのだ。ダグラスは辛くもローリーから脱出。彼が逃走を続けていたところに、夢で会っていた女性メリーナが現れ、彼を助ける。
ダグラスはメリーナを連れて自分がかつて住んでいた部屋に向かう。彼はそこで、自分の正体がカール・ハウザーというレジスタンスの重要人物であったことを知る。彼はもともとUFB側のリーダー、コーヘイゲン(ブライアン・クランストン)の側におり、レジスタンスのリーダー、マサイアス(ビル・ナイ)の暗殺の命を受けてレジスタンス側に潜入。ところがレジスタンス側のメリーナと出会い、コーヘイゲンに敵対することを決めていたのだ。追っ手に気づいたダグラスとメリーナは逃げようとするが、そこにハリーが現れる。ハリーは、ダグラスがリコール社の椅子の上で悪夢から抜けられなくなっていると告げ、メリーナを撃ち殺して悪夢から覚めろとダグラスを説得。しかしダグラスはメリーナの涙を見てこの世界が現実だと確信し、ハリーを撃ち殺し、建物を脱出する。
ダグラスはメリーナの導きでマサイアスに会うが、これはコーヘイゲンの罠だった。マサイアスのアジトにコーヘイゲンの部隊が突入。コーヘイゲンはマサイアスを撃ち殺し、ダグラスをかつてのハウザーに戻すよう部下に指示し、ローリーとともにコーヘイゲンは立ち去る。ダグラスは椅子に縛り付けられるが、コーヘイゲンの兵士の中にいたレジスタンスの貴重な犠牲を得てダグラスは脱出に成功。フォールに捕らわれていたメリーナを助け出したダグラスは、死闘の末、コーヘイゲンを倒し、UFBとコロニーを繋ぐ移動機関「フォール」を破壊。ローリーはメリーナになりすましてダグラスに襲いかかるが、彼は手の傷をもとに彼女が偽物だと気づき、ローリーを倒す。コロニーは独立を勝ち取るのだった。

特撮技術や世界観は素晴らしい。しかし、この作品が致命的なのは、序盤で主人公がリコール社で夢の世界に入る直前に、なだれ込んできた敵を鮮やかな身のこなしで殲滅するという場面。観ている側は、このシーンを観て、主人公がすでに二重スパイの夢に突入している可能性に思い至る。そのため、その後のチェイスシーンや、ローリーとの死闘のシーンでも、これは夢かもしれない、という冷めた目で見ざるを得なくなってしまう。その結果、主人公のピンチに全く没入できない。そのうち、その状況があまりにも長いので、「どうやらこれが実際に起こっているということで作品を楽しんだほうがいいらしい」となるのだが、結局観る側は、映画を観ている自分を客体視したような見方になってしまっている。これは映画としてはダメである。最後になって「まあ一応、夢落ちではなかったのか」となるのだが、なんだかずっと、いつ裏切られるのかと待っていた結果、結局裏切られなかったという、とてももったいない時間を過ごした気になってしまうのだ。
まあもっとも、1990年の「トータル・リコール」も、夢落ちを暗示していたわけなので、そこが制作者側の狙いだったのかもしれないが、予想されたどんでん返しは、もはや予定調和にすぎない。映像の独創性や迫力は素晴らしいだけに、もったいない作品だと感じた。
それともう一つ。メリーナの涙を見て、これが現実だと主人公が気づくシーン。ここはやはり、ハリーの冷や汗で気づく方がしゃれていた。そういうシーン、過去にも観たな。何だっただろうか。

【5段階評価】3

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